(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6280125
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】毛元塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 24/22 20060101AFI20180205BHJP
A45D 19/00 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
A45D24/22 B
A45D19/00 B
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-536639(P2015-536639)
(86)(22)【出願日】2014年9月12日
(86)【国際出願番号】JP2014074170
(87)【国際公開番号】WO2015037694
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年6月15日
(31)【優先権主張番号】61/878,097
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/476,862
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 大輔
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−106533(JP,A)
【文献】
特開2012−236016(JP,A)
【文献】
特開平6−70809(JP,A)
【文献】
特開2004−344288(JP,A)
【文献】
特開2009−106655(JP,A)
【文献】
特開2011−251699(JP,A)
【文献】
特開2005−185578(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0041869(US,A1)
【文献】
米国特許第6457476(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/22
A45D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記櫛歯本体部は、塗布剤の導液路を内部に備えると共に、該導液路の吐出口が、前記先端弾性変形部の近傍に配置されて、又は前記先端弾性変形部と接して或いは重なって配置されて、開口しており、
前記櫛歯は、前記導液路の吐出口から枝別れして表面に開口する、複数の枝別れ吐出口を有しており、
前記櫛歯本体部は、長軸と短軸とを備える扁平な横断面形状を有しており、前記枝別れ吐出口は、前記櫛歯本体部の短軸方向に向けて一対設けられており、
前記櫛歯部に着脱可能に装着される補助櫛歯部を備えており、該補助櫛歯部は、補助櫛歯台から立設する複数の補助櫛歯を有しており、該補助櫛歯部が前記櫛歯台に装着された状態で、前記補助櫛歯は、前記櫛歯部の、前記短軸方向に隣接する各一対の前記櫛歯の間隔部分に、各々配置される毛元塗布具。
【請求項2】
前記先端弾性変形部を形成する軟質樹脂の引張り強度が、1〜10MPaである請求項1記載の毛元塗布具。
【請求項3】
前記先端弾性変形部は、先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状を有している請求項1又は2記載の毛元塗布具。
【請求項4】
前記櫛歯本体部は、前記櫛歯台側の基端部から、先端の前記先端弾性変形部に向けて、断面積を減少させた先細り形状を有している請求項1〜3のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項5】
前記櫛歯は、前記導液路の吐出口を、当該櫛歯の先端側にのみ配置している請求項1〜4のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項6】
前記櫛歯は、前記櫛歯本体部の長軸方向を平行に配置して、前記櫛歯本体部の短軸方向に間隔を置いて複数並べて設けられており、前記先端弾性変形部及び前記枝別れ吐出口は、前記短軸方向に沿った同一直線上に複数並べて設けられている請求項1〜5のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項7】
前記吐出口が開口する高さ位置は、前記先端弾性変形部の先端から1.0〜5.5mmの高さ領域に含まれる請求項1〜6のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項8】
前記補助櫛歯部が前記櫛歯台に装着された状態で、前記櫛歯の前記先端弾性変形部の先端の高さ位置は、前記補助櫛歯の先端の高さ位置と同じか又はこれよりも高くなっている請求項1〜7のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項9】
前記先端弾性変形部の高さ方向の長さの前記櫛歯の全体の長さに対する比率が、0.05〜0.35となっている請求項1〜8のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項10】
前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部の引張り強度の差が、5〜40MPaである請求項1〜9のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項11】
前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部とは、連続的且つ一体的に成形されて設けられている請求項1〜10のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項12】
前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部とは、2色成形又はインサート成形によって連続的且つ一体的に成形されている請求項11記載の毛元塗布具。
【請求項13】
前記塗布剤の30℃における粘度が3〜30000mPa・sである請求項1〜12のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項14】
塗布剤が収容される前記容器と、前記櫛歯部とは、前記容器の高さ方向のスライド操作によって押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造、又は前記容器の周方向のツイスト操作によって押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造を有しており、
前記櫛歯部を前記容器に対して押上げた状態では、前記容器の導液路と前記櫛歯部の導液路とが接続され、
前記櫛歯部を前記容器に対して押下げた状態では、前記容器の導液路と前記櫛歯部の導液路との接続が遮断される請求項1〜13のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項15】
前記容器は、エアゾール容器又はスクイズ容器である請求項1〜14のいずれか1項記載の毛元塗布具。
【請求項16】
櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする、請求項1〜15のいずれか1項記載の毛元塗布具を用いた塗布方法であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備えかつ内部に塗布剤の導液路を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記櫛歯本体部で毛髪を梳かしながら、前記先端弾性変形部の先端を頭皮に押し付けて弾性変形させつつ、前記櫛歯本体部の導液路の吐出口から前記先端弾性変形部の近傍に供給される塗布剤の塗布を行う塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備える毛元塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器から送られてくる塗布剤を、複数の櫛歯が設けられた櫛歯部に吐出させて、櫛歯による塗布作業を行えるようにした櫛歯付きの塗布具として、例えば染毛剤等の毛髪化粧料を毛髪に塗布する際に用いる毛髪塗布具が知られている。毛髪化粧料用の毛髪塗布具は、好ましくはスクイズ操作が可能な容器の口首部に、櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部を、着脱可能に装着して用いられる。毛髪化粧料として例えば染毛剤を塗布する毛髪塗布具は、容器から送られてくる染毛剤を、例えば櫛歯部の櫛歯台に形成した吐出口から、複数の櫛歯で囲まれる領域に吐出させて、櫛歯によって梳かしながら染毛剤を毛髪に塗布できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、染毛剤の吐出口を、櫛歯部の複数の櫛歯に各々形成することで、細かい部分の染毛や、毛髪の生え際の染毛を簡単に行えるようにした毛髪塗布具も開発されている(例えば 特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国公開特許2003−41869号公報
【特許文献2】特開2001−46140号公報
【特許文献3】特開2002−186516号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具である。前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含む。前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有している。前記櫛歯本体部は、塗布剤の導液路を内部に備えると共に、該導液路の吐出口が、前記先端弾性変形部の近傍に配置されて、又は前記先端弾性変部と接して或いは重なって配置されて、開口している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る毛元塗布具の斜視図である。
【
図3】
図3は、櫛歯の先端部分の拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、先端弾性変形部を弾性変形させつつ塗布剤を塗布させる状態の説明図である。
【
図5(a)】
図5(a)は、櫛歯の先端部分に設けられた先端弾性変形部及び枝別れ吐出口の形態を例示する図表である。
【
図5(b)】
図5(b)は、櫛歯本体部の長軸方向から見た櫛歯の要部断面図である。
【
図6】
図6は、補助櫛歯部を装着した状態の毛元塗布具の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の好ましい他の実施形態に係る毛元塗布具の斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、他の実施形態の毛元塗布具の櫛歯の先端部分の拡大斜視図である。
図9(b)は、他の実施形態の毛元塗布具の櫛歯の先端部分の拡大断面図である。
【
図10】
図10は、他の実施形態の毛元塗布具によって塗布剤を塗布する状況の説明図である。
【0007】
毛髪は、日々長くなってゆくものであることから、毛髪の全体を程よく均等に染毛した後に、例えば数週間から数箇月程度経過すると、毛髪の毛元部分に、染毛されていない未染毛領域が生じてくる。このため、毛髪の毛元部分に生じた染毛されていない未染毛領域を、ムラなく均一に染毛できれば、染毛剤の使用者とって便利である。
【0008】
しかしながら、毛髪の毛元部分の未染毛領域は、生え際等の使用者が自身の目で見える部分の他、頭頂部や後頭部等の見えない部分を含めた、毛髪の全体に同時に生じてくる。このため、例えば頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、使用者が自身の目で未染毛領域を確認しにくい部分については、例えば毛髪を掻き分けながら、ムラなく均一に毛元部分の染毛を行うことは困難である。
【0009】
また、特許文献2や特許文献3の毛髪塗布具では、目で確認できる毛髪の生え際等の未染毛領域については、細かく均一に染毛を行うことが可能であるが、頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、使用者が自身の目で未染毛領域を確認できない部分については、ムラなく均一に毛元部分の染毛を行うことは困難である。
【0010】
本発明は、染毛剤等の毛髪化粧料やその他の塗布剤を、例えば頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、使用者が自身の目で未染毛領域を確認しにくい毛元部分についても、頭皮の近くの毛元まで塗布剤を十分に供給可能とし、しかも頭皮への感触が良好であり、頭皮に近い毛元部分をねらって塗布することができる毛元塗布具に関する。
【0011】
本発明は、櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具である。前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含む。前記櫛歯本体部は前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有している。毛髪を掻き分けることが可能な保形性とは、毛髪を掻き分けるときに撓むが変形しない程度の可撓保形性であることが好ましい。前記櫛歯本体部は、塗布剤の導液路を内部に備えると共に、該導液路の吐出口が、前記先端弾性変形部の近傍に配置されて、又は前記先端弾性変部と接して或いは重なって配置されて、開口している。
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施態様に基づき、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る毛元塗布具10は、塗布剤として、例えば毛髪化粧料である染毛剤が収容された容器11の口首部11a(
図2参照)に、複数の櫛歯12,12’を備える櫛歯部13を着脱可能に装着することによって構成される。本実施形態では、容器11の胴部11bは、押圧変形可能な可撓性を備えている。使用者は、胴部11bを把持して容器11を傾倒又は倒立させると共に、例えば櫛歯12,12’を頭皮に押し当てた状態で、胴部11bを押圧(スクイズ)することで、櫛歯部13に送り出された染毛剤を吐出し、毛髪に塗布しながら、櫛歯12,12’によって毛髪を梳かすことができる。本実施形態の毛元塗布具10は、使用者が自身の目で毛髪の未染毛領域を確認しにくい毛元部分についても、頭皮の近くの毛元まで染毛剤を十分に供給可能とし、しかも頭皮への感触が良好であり、頭皮に近い毛元部分をねらって容易に染毛剤を塗布できるようにして、毛元部分に安定して染毛してゆくことを可能にする。
【0013】
そして、本実施形態の毛元塗布具10は、
図1及び
図2に示すように、櫛歯台14の表面から複数の櫛歯12,12’が立設する櫛歯部13と、塗布剤として染毛剤が収容される容器11とを備え、容器11から櫛歯12に供給される染毛剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする塗布具である。櫛歯12,12’は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部15,15’と、櫛歯本体部15,15’の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部16,16’とを含んで構成されている。なお、櫛歯12、12’は、櫛歯本体部15、15’と先端弾性変形部16、16’との間に中間部材を設けてもよいが、櫛歯本体部15、15’と先端弾性変形部16、16’からなるものが好ましい。櫛歯本体部15は、塗布剤の導液路17を内部に備えると共に、導液路17の吐出口17aが、先端弾性変形部16の近傍に配置されて、又は先端弾性変形部16と接して或いは重なって配置されて、開口している。
【0014】
ここで、後述するように、櫛歯12は、内部に導液路17が形成された中間櫛歯であり、櫛歯12’は、内部に導液路17が形成されていない端部櫛歯である。端部櫛歯は、内部に導液路17が形成された櫛歯12とすることもできる。また、導液路17の吐出口17aは、毛元部分への塗布性を向上させる点から櫛歯12の先端側にのみ設けることが好ましく、先端側の側面にあることが好ましい。
【0015】
また、本実施形態では、毛髪の部位によることなく、毛髪の全体を染毛できるように、補助櫛歯部23を備えていることが好ましい(
図1参照)。補助櫛歯部23は、櫛歯部13に着脱可能に装着される。補助櫛歯部23は、補助櫛歯台24から立設する複数の補助櫛歯22を有している。補助櫛歯部23を櫛歯部13に装着することで、例えば、生え際、こめかみ、首もと又は襟足などの毛髪に対して、さらに綺麗な染毛を行うことができる。
【0016】
本実施形態では、容器11は、合成樹脂製であり、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種を含む合成樹脂で構成されるブロー成型品であることが好ましい。また、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種を含む合成樹脂は、共重合体であっても良いし、ブレンド品であっても良い。容器11は、有底円筒形状の胴部11bと、胴部11bの上端部に肩部11cを介して連続して設けられた、上端面が流出開口となっている口首部11aとを備える。胴部11bは、押圧変形(スクイズ変形)可能な可撓性を備えている。口首部11aの外周面には、キャップや櫛歯部13を直脱可能に装着させる雄ネジ突条11dが設けられている。具体的には、容器として、スクイズ容器やデラミ容器などを使用することができる。
【0017】
毛元塗布具10が製品化された状態では、容器11には、例えば過酸化水素水を含む酸性の剤である、染毛剤の第2剤が収容されていると共に、口首部11aを覆ってキャップ(図示せず)が装着されている。毛元塗布具10を購入した使用者は、容器11からキャップを取り外して、チユーブ容器等の他の容器に収容された、例えばアルカリ剤である第1剤を加えて第2剤と混合することにより、染毛剤を形成することができる。ここで容器11に収容されている剤を第1剤とし、他の容器に収容されている剤を第2剤としてもよい。そして、染毛剤を形成したら、混合時に再装着したキャップを取り外して、容器11の口首部11aに櫛歯部13を装着することで、本実施形態の毛元塗布具10が形成される。
【0018】
ここで、毛髪に塗布する染毛剤は、本実施形態では、例えばWO2012/147858号公報に記載されている、アルカリ剤を含有する組成物A、及び酸化剤を含有する組成物Bの混合によって形成される染毛剤や、アルカリ剤を含有する組成物A、酸化剤を含有する組成物B、及び粉末状の酸化助剤を含有する組成物Cの混合によって形成される染毛剤を好ましく用いることができる。染毛剤の30℃における粘度は、好ましくは3mPa・s以上であり、より好ましくは5mPa・s以上であり、さらに好ましくは500mPa・s以上であり、また好ましくは30000mPa・s以下であり、より好ましくは20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは15000mPa・s以下である。なお、本発明で用いる容器がスクイズ容器である場合には、染毛剤の30℃における粘度は、より好ましくは1000mPa・s以上であり、さらに好ましくは5000mPa・s以上である。本発明で用いる容器がエアゾール容器である場合には、染毛剤の30℃における粘度は、より好ましくは1000mPa・s以上であり、さらに好ましくは5000mPa・s以上である。内容液(染毛剤)の30℃における粘度は、粘度計(東機産業株式会社製 モデルTVB-10R、T-BAR STAGE TS-10)を用い、スピンドルNo.T−C、回転数10rpmの条件下に30℃で1分間回転させた後の値とする。ただし、粘度が2000mPa・s以下の場合、粘度計(東機産業株式会社製モデルTVB-10M)を用い、スピンドルNo.4、回転数30rpmの条件下に30℃で1分間回転させた後の値とする。また、粘度が1000mPa・s以下の場合、SV型粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製、型番:SV-10、固有振動数30Hz)にて測定した値とする。
【0019】
なお、容器11に収容されている塗布剤が、トニック、育毛剤、頭皮ケア剤等の液剤や、乳化物やオイルの場合には、頭皮に十分にいきわたらせる観点と、液だれを防止し塗布性を向上させる観点から、塗布剤の30℃における粘度は、好ましくは0.5mPa・s以上であり、より好ましくは1mPa・s以上であり、さらに好ましくは5mPa・s以上であり、また好ましくは10000mPa・s以下であり、より好ましくは5000mPa・s以下であり、さらに好ましくは2000mPa・sであり、よりさらに好ましくは1000mPa・s以下である。
【0020】
本実施形態では、櫛歯部13は、合成樹脂により構成され、好ましくは2色成形、又はインサート成形による射出成型品となっている。櫛歯部13は、櫛歯台14と、櫛歯台14の表面(上面)から立設する複数の櫛歯12,12’と、櫛歯台14の下端部に連続して設けられた装着スカート部18とを備える。櫛歯12,12’の先端部の先端弾性変形部16,16’の部分を除いた、櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’、櫛歯台14、及び装着スカート部18の部分は、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種以上を含む合成樹脂を用いて形成されていることが好ましく、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種を含む合成樹脂を用いて形成されていることがより好ましく、ポリプリピレン、高密度ポリエチレンから選ばれる1種又は2種による合成樹脂を用いて形成されていることがさらに好ましい。
【0021】
また、櫛歯12,12’の先端部の先端弾性変形部16,16’を形成する軟質樹脂は、好ましくはポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムから選ばれる1種又は2種以上のゴム成分又はエラストマー成分を含む、弾性樹脂材料又は軟質樹脂材料から選ばれる1種の樹脂又は2種以上の混合樹脂であり、好ましくはエラストマー成分を含有し、より好ましくはポリスチレンを含有するエラストマーである。櫛歯12、12’の先端部の先端弾性変形部16、16’は、頭皮に押し付ける行為によって屈曲し、弾性変形する合成樹脂を用いて形成されており、JISK6251(2010)に基づき測定される引張り強度は、好ましくは1MPa以上であり、より好ましくは2MPa以上であり、また好ましくは10MPa以下であり、より好ましくは8MPa以下である。
【0022】
櫛歯本体部15、15’を形成する合成樹脂は、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種又は2種以上の樹脂を含むものが好ましく、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種又は2種の樹脂を主に含むものが好ましく、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種又は2種の樹脂からなるものが好ましい。櫛歯本体部15、15’のD638/651により測定された引張り強度は、櫛歯12、12’がしなる程度の範囲で撓みや変形を生じず、毛髪を梳かす機能を備える点から、好ましくは10MPaよりも大きく、より好ましくは15MPa以上であり、さらに好ましくは20MPa以上であり、また好ましくは50MPa以下であり、より好ましくは40MPaである。
【0023】
櫛歯本体部15、15’と先端弾性変形部16、16’との引張り強度の差は、櫛歯12、12’が毛髪を梳かす機能を備えつつ、先端弾性変形部16、16’の変形を十分に支持する観点から、好ましくは5MPa〜40MPaであり、より好ましくは10MPa〜35MPaであり、さらに好ましくは15MPa〜35MPaである。
【0024】
先端弾性変形部16、16’は頭皮に押し付ける行為によって屈曲し、弾性変形する合成樹脂を用いて形成されている。先端弾性変形部16、16’の縦弾性率(ヤング率)は、好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは1MPa以上であり、さらに好ましくは3MPa以上であり、また好ましくは50MPa以下であり、より好ましくは40MPa以下であり、さらに好ましくは30MPa以下である。これに対して、櫛歯本体部15、15’のD638に基づき測定される引張り弾性率は、櫛歯12、12’がしなる程度の範囲で撓みや変形を生じず、毛髪を梳かす機能を備える観点から、好ましくは200MPa以上であり、より好ましくは400MPa以上であり、さらに好ましくは800MPa以上であり、また好ましくは2000MPa以下であり、より好ましくは1500MPa以下である。なお、先端弾性変形部16、16’の縦弾性率(ヤング率)は、JISK6251(2010)に準拠してJIS3号ダンベルでサンプルを用意し、応力―ひずみ曲線を得て、その初期ひずみ領域での曲線に対する接線の傾きから求める。
【0025】
櫛歯本体部15、15’の引張り弾性率と先端弾性変形部16、16’の縦弾性率との差は、櫛歯12、12’が毛髪を梳かす機能を備えつつ、先端弾性変形部16、16’の変形を十分に支持する観点から、好ましくは200MPa〜1950MPaであり、より好ましくは400MPa〜1460MPaであり、さらに好ましくは800〜1460MPaである。
【0026】
先端弾性変形部16、16’と櫛歯本体部15、15’とは物性だけでなく、色を異なるものにすることもできる。先端弾性変形部16、16’と櫛歯本体部15、15’とを異なる色に着色することにより、各々の部位の識別力を持たせることが可能となり、吐出口などの洗浄が容易となる。さらに、使用者に先端弾性変形部16、16’の存在を認識させ、使用者が先端弾性変形部16、16’を積極的に頭皮に押し付ける行為を促すことができる。
【0027】
櫛歯部13の装着スカート部18は、円形の平板形状を有する天面板18aと、天面板18aの周縁部から下方に延設して設けられた、略円筒形状の筒状装着部18bと、筒状装着部18bの内側に同心状に配置されて、天面板18aの下面から下方に突出して設けられた、円環形状のインナーリング部18cとを備える。筒状装着部18bの内周面には、容器11の口首部11aの外周面に形成された雄ネジ突条11dに螺着される、雌ネジ突条18dが設けられている。インナーリング部18cは、櫛歯部13が容器11の口首部11aに装着された際に、口首部11aの上端部内周面に密着して、強固な止水性を保持することができる。また、筒状装着部18bの上端部分には、後述する補助櫛歯部23を櫛歯部13に重ねて装着する際に、補助櫛歯部23の下端係止部を係止させる、係止段差部18eが設けられている。
【0028】
櫛歯部13の櫛歯台14は、本実施形態では、装着スカート部18の円形の天面板18aの中央部分を径方向に横断するように配置されて、天面板18aから上方に突出して設けられている。櫛歯台14は、上面に櫛歯12,12’の立設基板14aを配置した、容器11の口首部11aと連通する矩形の中空断面形状を有している。櫛歯台14の立設基板14aは、横長の帯板形状を備えている。立設基板14aから上方に立設して、複数の櫛歯12,12’が設けられている。
【0029】
櫛歯部13の櫛歯12,12’は、本実施形態では、立設基板14aの長手方向両端部に配置された一対の端部櫛歯12’と、これらの一対の端部櫛歯12’の間に配置された5本の中間櫛歯12とを備える。各々の櫛歯12,12’は、毛髪を掻き分けることが可能な保形剛性(保形性)を有することで、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部15,15’と、櫛歯本体部15,15’の先端に連続して設けられた、軟らかい軟質樹脂による先端弾性変形部16,16’とを備える。各々の中間櫛歯12の内部には、櫛歯台14の中空内部と連通する、導液路17が形成されている。櫛歯12,12’は、櫛歯本体部15,15’と先端弾性変形部16,16’とが、嵌合により固定されたもの、ネジ加工により固定されたもの、2色成形又はインサート成形されたものから選ばれるものが好ましく、2色成形又はインサート成形されたものがより好ましく、2色成形されたものがより好ましい。
【0030】
ここで、櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’及び先端弾性変形部16,16’を含めた高さ方向の全体の長さは、毛髪を掻き分けて梳かす機能を向上させる観点から、15〜25mmであることが好ましく、18〜23mmであることがより好ましい。先端弾性変形部16,16’の高さ方向の長さは、1.0〜5.5mmであることが好ましく、1.5〜4.0mmであることがより好ましい。先端弾性変形部16,16’の高さ方向の長さの、櫛歯12,12’の全体の長さに対する比率は、0.05〜0.35であることが好ましく、0.07〜0.2であることがより好ましい。隣接する櫛歯12,12’の間に保持される間隔は、1〜8mmであることが好ましく、2〜4mmであることがより好ましい。前記の櫛歯12,12’の間に保持される間隔とは、櫛歯12、12’の基部(根元部)から基部までの最短距離であり、例えば先細りの形状を有している場合には、基部における間隔が櫛歯12、12’の先端において保持されていなくてもよい。
【0031】
本実施形態では、各々の櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’は、長軸と短軸とを備える扁平な断面形状を有している。櫛歯12,12’は、櫛歯本体部15,15’の長軸方向を平行に配置して、櫛歯本体部15,15’の短軸方向に間隔を置いて、好ましくは3〜8mmの等しい中心間ピッチで、より好ましくは4〜6mmの等しい中心間ピッチで、複数並べて設けられている(本実施形態では、5mmの中心間ピッチ)。なお、複数並べて設けられた櫛歯12,12’の中心間ピッチは異なっていてもよく、複数の櫛歯12,12’の本数は図面に記載された本数に制限されない。なお、前記中心間ピッチとは、櫛歯12、12’の各々の軸中心の間の距離をいう。
【0032】
さらに、本実施形態では、各々の櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’と先端弾性変形部16、16’を含めた全体形状は、櫛歯台14側の基端部15b,15b’(
図2参照)から、先端弾性変形部16,16’の先端に向けて、断面積を減少させた先細り形状有している。すなわち、櫛歯本体部15,15’と先端弾性変形部16、16’の全体形状は、例えば縦長の略2等辺三角形の正面形状を有するように形成されている。櫛歯12,12’は、櫛歯本体部15,15’の両側の斜辺部の長さが異なる縦長の略三角形の正面形状を有していても良い。
【0033】
櫛歯本体部15,15’の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部16,16’は、先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状を有している。すなわち、先端弾性変形部16,16’は、例えば略2等辺三角形の正面形状を有するように形成されている。先端弾性変形部16,16’は、両側の斜辺部の長さが異なる略三角形の正面形状を有していても良い。櫛歯12、12’は、櫛歯本体部15、15’が先端側において徐々に断面積が小さくなり、先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状の先端弾性変形部16,16’と連続していることが好ましい。
【0034】
さらにまた、本実施形態では、中間櫛歯12の内部に形成された導液路17は、
図2に示すように、吐出口17aが、先端弾性変形部16の近傍に配置されて櫛歯本体部15の先端部に開口している。ここで、吐出口17aは、櫛歯本体部15の部分のみに開口している他、先端弾性変形部16に接して開口していても、先端弾性変形部16に一部つながるように重なって配置されていても良い。先端弾性変形部16は、軟質樹脂で構成される柔らかい部分なので、一般的に吐出口を設けることは難しいが、部分的に吐出口を設けることは可能である。
【0035】
本実施形態では、吐出口17aが開口する高さ位置である吐出口17aの先端側の端部の位置は、先端弾性変形部16の先端から1.0〜5.5mmの高さ領域に含まれることが好ましく、1.5〜4.0mmの高さ領域に含まれることがより好ましい。吐出口17aの開口形状は、矩形、円形、楕円形、三角形等とすることができる。吐出口17aの内径は、1.0〜3.0mmであることが好ましく、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。吐出口17aの開口は、櫛歯本体部15の軸方向である高さ方向に直交する方向の幅が、1.0〜3.0mmであることが好ましく、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。また、吐出口17aの開口面積は、0.77〜7.06mm
2であることが好ましく、1.0〜3.5mm
2であることがより好ましい。
【0036】
中間櫛歯12の内部に形成された導液路17の断面形状は、円形、矩形、楕円形、三角形、鍵穴形状等とすることができる。導液路17の内径(又は櫛歯本体部15の高さ方向に直交する方向の幅)は、0.5〜4.0mmであることが好ましく、1.5〜2.5mmであることがより好ましい。
【0037】
中間櫛歯12の導液路17が形成される部分の櫛歯本体部15の短軸方向の幅は、1.5〜4.5mmであることが好ましく、2.0〜3.0mmであることがより好ましい。導液路17の内径と、櫛歯本体部15の短軸方向の幅との比は、0.2〜0.75であることが好ましく、0.5〜0.7であることがより好ましい。
【0038】
また、本実施形態では、中間櫛歯12は、
図3、
図4、
図5(b)にも示すように、導液路17の吐出口17aから先端側において枝別れして表面に開口する、複数の枝別れ吐出口17bを有している。枝別れ吐出口17bもまた、先端弾性変形部16の近傍に配置されて、櫛歯本体部15の先端部に開口している。枝別れ吐出口17bは、長軸と短軸とを備える扁平な横長の横断面形状を有する櫛歯本体部15の、短軸方向に背向させて一対設けられていることが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、櫛歯本体部15,15’の短軸方向に間隔を置いて設けられた、複数の櫛歯12,12’の先端弾性変形部16,16’及び枝別れ吐出口17bは、櫛歯本体部15,15’の短軸方向に沿った同一直線上に複数並べて設けられている。
【0040】
そして、上述の構成を備える本実施形態の毛元塗布具10によれば、染毛剤を、例えば頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、使用者が自身の目で未染毛領域を確認しにくい毛元部分についても、頭皮の近くの毛元まで容易に染毛剤を供給することが可能になり、これによって頭皮に近い毛元部分をねらって染毛剤を塗布できるようにして、毛元部分を安定して染毛してゆくことが可能になる。
【0041】
すなわち、本実施形態によれば、櫛歯部13の櫛歯12,12’は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部15,15’と、櫛歯本体部15,15’の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部16,16’とを含んで構成されており、また櫛歯本体部15は、塗布剤の導液路17を内部に備えると共に、導液路17の吐出口17aを、先端弾性変形部16と近接する先端部に開口させている。したがって、櫛歯本体部15、15’で毛髪を梳かしながら、先端弾性変形部16、16’を頭皮に押し付けて弾性変形させつつ、櫛歯本体部15の導液路17の吐出口17aから先端弾性変形部16、16’の近傍に供給される塗布剤の塗布を行い、毛元近くまで塗布剤を塗布することができる。
【0042】
これによって、本実施形態によれば、使用者が胴部11bを把持して櫛歯12,12’を頭皮に押し当てた状態で、胴部11bを押圧することで染毛剤を毛髪に塗布する際に、櫛歯本体部15,15’によって、毛髪のボリュームがある場所においても、容易に毛髪を掻き分けることが可能になると共に、柔軟な先端弾性変形部16,16’を介して、櫛歯12,12’の先端部を頭皮に押し当てることが可能になる。柔軟な先端弾性変形部16,16’は、頭皮に押し当てた後に、頭皮に押し付ける力をさらに加えることで、
図4に示すように、潰れるように弾性変形したり、毛髪を梳かす方向とは反対側に折れるように弾性変形して、櫛歯12の導液路17の吐出口17aや、枝別れ吐出口17bを、頭皮にさらに近づけることが可能になる。これによって、頭皮への接触面積を大きくして、使用者の頭皮に櫛歯12、12’を押し付ける力を分散させることができる。またこれによって、例えば櫛歯12,12’ の先端弾性変形部16,16’を頭皮に押し当てて位置決めした後に、さらに頭皮に押し付ける力を加えながら、胴部11bを押圧して染毛剤を吐出させることにより、頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、未染毛領域を目で確認しにくい毛元部分をねらって染毛剤を供給し、安定した状態で染毛剤を塗布して毛元を染毛することが可能になる。また、先端弾性変形部16は弾性変形する構造である為、吐出口17aが先端弾性変形部16の近傍に、又は先端弾性変部16と接して或いは重なった位置に配置されることにより、先端弾性変形部16に強度を持たせることが可能になる。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’の先端に柔軟な先端弾性変形部16,16’が取り付けられているので、先端弾性変形部16,16’を先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状に形成しても、頭皮に対するソフトな感触を保持することが可能になる。これによって、頭皮に痛みを感じにくくすると共に、先端弾性変形部16、16’をさらに弾性変形しやすくして、ソフトな感触を維持することができる。またこれによって、頭皮に刺激を与えることなく、先端弾性変形部16,16’の先端部を、頭皮の所望の位置にスムーズに押し当て、かつ、毛髪を梳かすことが可能になり、しかも吐出口17aや枝別れ吐出口17bを頭皮によりいっそう近づけて、染毛剤を塗布することが可能になる。
【0044】
図5(a)は、櫛歯本体部15の先端部分に設けられた先端弾性変形部16及び枝別れ吐出口17の形態を例示する図表である。
図5の図表において、上段は斜視図、中段は側面図、下段は正面図となっている。また(1)〜(3)欄は、櫛歯本体部及び先端弾性変形部が2色成形されたものとなっており、(4)及び(5)欄は、インサート成形されたものなっている。
図5(a)に示すように、先端弾性変形部は、先端部が丸みを持つように形成することもできる((1)参照)。また、枝別れ吐出口は、櫛歯本体部と先端弾性変形部に跨るようにして形成することもできる((4)、(5)参照)。先端弾性変形部は、先端を尖った形状とすると、先端部が曲がりやすくなる一方で、頭皮に刺激を与えることになるが、先端弾性変形部の先端形状を曲線状に湾曲させることによって、先端弾性変形部は曲がり難くなる一方で、頭皮に刺激の少ない形状とすることができる。
【0045】
また、櫛歯12の櫛歯本体部15は、
図5(b)に示すように、これの長軸方向から櫛歯12を見た状態で、先端弾性変形部16の近傍部分において、櫛歯本体部15の幅を狭くする段部15aを備えていることが好ましい。これによって、櫛歯本体部15の先端部の形状をスリムにして(厚さ、幅を小さくして)、櫛歯12によるコーム性を向上させると共に、吐出口17aよりも下方部分における櫛歯本体部15の短軸方向の幅を十分に確保することが可能になる。そして、櫛歯本体部15は、先端弾性変形部16の樹脂より高い剛性の樹脂を用いることで、内部に導液路17を設けることができ、櫛歯12に毛髪を掻き分けるのに必要な保形剛性を付与することが可能になる。さらに、吐出口17bは、段部15aよりも櫛歯12の先端側の櫛歯12の側面に開口していることが好ましい。これによって、導液路17の断面積及び断面の径を十分に確保しつつ、櫛歯12のより先端側の断面積の小さな領域に、吐出口17bを設けることが可能になる。また、容器11から導液路17に送り込まれ、吐出口17bから吐出された染毛剤が、櫛歯本体部15、15’の側、即ち櫛歯本体部15、15’の基部の側に広がることを防止して、より頭皮方向に吐出されるようにすることで、頭皮方向に染毛剤を塗布しやすくなる。以上のように、櫛歯12は、染毛剤の吐出性とコーム性と毛髪を梳かす保形剛性とを兼ね備えることになる。
【0046】
本実施形態では、毛髪の毛元部分だけではなく、毛髪の部位によらずに、生え際や襟足やこめかみ等を含む毛髪の全体を染毛できるように、
図1及び
図6に示すように、補助櫛歯部23を備えている。補助櫛歯部23は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を用いて、射出成形によって形成されている。
【0047】
補助櫛歯部23には、
図7にも示すように、補助櫛歯台24の上面に、櫛歯部13の櫛歯台14の立設基板14aと同様の横長の帯板形状を備える、立設基板14aよりも大きな補助立設基板24aが設けられている。補助立設基板24aには、櫛歯部13の櫛歯台14から立設する複数の櫛歯12,12’と対応する位置に、櫛歯挿通口24bが複数開口形成されている。櫛歯挿通口24bは、櫛歯12,12’の高さ方向中間部分における断面形状よりも僅かに大きな、これと同様の開口形状を備えるように形成されている。櫛歯挿通口24bは、櫛歯部13の櫛歯12,12’と同様に、当該櫛歯挿通口24bの短軸方向である補助立設基板24aの長手方向に間隔を置いて、等しい中心間ピッチで7か所に開口形成されている。
【0048】
また、補助櫛歯台24には、これの上面の補助立設基板24aから立設して、多数の補助櫛歯22が設けられている。補助櫛歯22は、本実施形態では、細長い円錐形状の突起となっている。補助櫛歯22は、7か所の櫛歯挿通口24bの全体を囲んで、補助立設基板24aの周縁部分沿って矩形環状に連設して設けられている。また7か所の櫛歯挿通口24bの、各一対の隣接する櫛歯挿通口24bの間の間隔部分にも、複数の補助櫛歯22が立設して設けられている。
【0049】
補助櫛歯部23の補助櫛歯台24は、補助立設基板24aの長辺に沿った部分を凹状に窪ませた、略半球状のドーム形状を備えている。補助櫛歯台24の下端部分の内径は、櫛歯部13の装着スカート部18の筒状装着部18bの上端部分に形成された、係止段差部18eの外径と同様となっている。補助櫛歯台24の下端部分を下端係止部として、係止段差部18eに係止させることで、櫛歯12,12’を櫛歯挿通口24bに各々中間部分まで挿通した状態で、補助櫛歯部23が、櫛歯部13に重ねて装着される。補助櫛歯台24の下端縁部から、補助立設基板24aの長手方向に沿った外側に張り出して、一対の指掛けリブ24cが設けられている。これらの指掛けリブ24cに指を係止することによって、補助櫛歯部23を櫛歯部13に着脱する操作を、よりスムーズに行うことが可能になる。
【0050】
櫛歯部13に補助櫛歯部23を装着して用いることにより、補助櫛歯部23によってより多くの毛髪をとらえることが可能になる。これによって、櫛歯部13の先端側から吐出される染毛剤を、補助櫛歯部23の先端にうけとめ又はからめながら、例えば、顔と頭皮の間の生え際、こめかみ、首もとや襟足などを、ひと塗りの操作でも、より多くの毛髪に染毛剤を行き届かせながら、綺麗な染毛を行うことができる。本実施形態では、櫛歯部13の先端の先端弾性変形部16、16’の存在により、補助櫛歯13のより先端側に染毛剤を供給することを可能として、上記の生え際等であっても毛元をきれいに染毛することができる。
【0051】
本実施形態では、上述のように、補助櫛歯台24の補助立設基板24aにおける各一対の隣接する櫛歯挿通口24bの間の間隔部分に、複数の補助櫛歯22が立設して設けられている。これによって、補助櫛歯部23が櫛歯部13に装着された状態で、補助櫛歯22は、櫛歯部13の、短軸方向に隣接する各一対の櫛歯12,12’の間隔部分に、各々配置されるようになっている。またこれによって、櫛歯部13の櫛歯12に形成された、吐出口17aや枝別れ吐出口17bから吐出された染毛剤を、補助櫛歯22を介在させた各一対の櫛歯12,12’の間隔部分に、容易に保持することが可能になるので、毛髪の全体を、さらに安定して均一にムラなく染毛することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、補助櫛歯部23が櫛歯部13に装着された状態で、櫛歯部13の櫛歯12,12’の先端弾性変形部16,16’の先端の高さ位置は、補助櫛歯22の先端の高さ位置と同じか又はこれよりも高くなっている。櫛歯12,12’の先端弾性変形部16,16’の先端の高さ位置が、補助櫛歯22の先端の高さ位置と同じか又はこれよりも高くなっていることにより、補助櫛歯22の先端が塗布部(頭皮)と隙間なく接触して、先端弾性変形部16の近傍から吐出された染毛剤を補助櫛歯22の先端側に容易に供給されるようにすることで、染毛剤をさらにむらなくきれいに塗布することが可能になる。
【0053】
図8は、本発明の他の実施形態に係る毛元塗布具30を示すものである。本他の実施形態の毛元塗布具30は、塗布剤として、例えば毛髪化粧料である染毛剤やブリーチ剤が収容された容器31の口首部31aに、複数の櫛歯32を備える櫛歯部33を着脱可能に装着することによって構成される。本他の実施形態の毛元塗布具30では、櫛歯台34は、上面に円形の立設基板34aを備える扁平な有天円筒形状を有している。櫛歯32は、中央に配置された櫛歯34と、中央の櫛歯34を中心に同心円状に複数配置された櫛歯34とを備えることが好ましい。
図8の実施形態によれば、円形の立設基板34aから上方に立設して、中央部に1箇所、これの周囲に5箇所の合計6箇所に、略円錐形状の櫛歯32が設けられている。
【0054】
各々の櫛歯32は、
図9(a)、
図9(b)にも示すように、毛髪を掻き分けることが可能な保形剛性を有することで、毛髪を梳かす機能を備える略切頭円錐形状を有する櫛歯本体部35と、櫛歯本体部35の先端に連続して設けられた、軟らかい軟質樹脂による略円錐形状を有する先端弾性変形部36とによって構成されている。各々の櫛歯32の内部には、櫛歯台34の中空内部と連通する、導液路37が形成されている。導液路37は、吐出口37aが、先端弾性変形部36の近傍に配置されて、先端部に開口している。櫛歯32は、導液路37の吐出口37aから4方向に枝別れして表面に開口する、4箇所の枝別れ吐出口37bを有している。
【0055】
本他の実施形態の毛元塗布具30によっても、上記実施形態の毛元塗布具10と同様の作用効果が奏される。また、本他の実施形態の毛元塗布具30によれば、櫛歯32は、略円錐形状を有しており、先端部分の柔軟な先端弾性変形部36もまた、略円錐形状を有しているので、先端弾性変形部36は、任意の方向に押しつぶされるようにして変形することが可能である。これによって、例えば
図10に示すように、吐出口37aや枝別れ吐出口37bから頭皮の狭い領域に吐出された塗布剤を、頭皮の広い領域に分配して行き渡らせることが可能になる。またこれによって、頭皮に対するマッサージ効果を向上させることが可能になる。
【0056】
各々の櫛歯32は、
図10に示すように、広範囲にわたって均一な塗布を行うことができる。吐出口は、4箇所の枝別れ吐出口37bを有している為(
図10の1)、塗布剤は平面的に浸透していき(
図10の2)、広範囲にわたって均一な塗布状態を得ることができる(
図10の3)。
【0057】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の毛元塗布具によって毛髪の毛元部に塗布される塗布剤は、染毛剤に限られず、ブリーチ剤等の毛髪化粧料の他、頭皮用のローション、オイル、トニック剤、育毛剤、フケ抑制剤等の、毛髪の毛元部や頭皮に塗布して有効な、その他の種々の塗布剤であっても良い。
【0058】
また、本発明の毛元塗布具を用いた塗布剤の塗布方法として、櫛歯本体部で毛髪を梳かしながら、先端弾性変形部の先端を頭皮に押し付けて弾性変形させつつ、好ましくは櫛歯本体部の内部の導液路の吐出口から櫛歯に供給される、塗布剤の塗布を行う方法を採用することもできる。
【0059】
さらに、本発明の毛元塗布具は、上述のように、櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする塗布具であって、前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを備える。ここで、櫛歯12,12’の櫛歯本体部15,15’及び先端弾性変形部16,16’を含めた高さ方向の全体の長さは、毛髪の間に先端弾性変形部16、16’を配置させる機能の点から、10〜25mmであることが好ましく、12〜20mmであることがより好ましい。先端弾性変形部16,16’の高さ方向の長さは、1.0〜5.5mmであることが好ましく、2.0〜5.0mmであることがより好ましい。先端弾性変形部16,16’の高さ方向の長さの、櫛歯12,12’の全体の長さに対する比率は、0.05〜0.5であることが好ましく、0.1〜0.3であることがより好ましい。隣接する櫛歯12,12’の間に保持される間隔は、10〜20mmであることが好ましく、12〜16mmであることがより好ましい。
【0060】
さらにまた、本発明の毛元塗布具は、
図11に示すように、例えば櫛歯部13’を、容器11の口首部11aに装着される装着スカート部41を備える中栓キャップ40と、中栓キャップ40に対して上下に移動可能に取り付けられる櫛歯台14’とによって形成して、櫛歯台14’を中栓キャップ40に対して上下に移動させることで、連通口42を介して容器11の内部から中間櫛歯12の導液路17に至る流路を開放した状態と、連通口42を介した流路を閉塞した状態とを、切り替え可能として用いることもできる。
【0061】
この切り替えの機構は、図示されていないが、容器の高さ方向のスライド操作によって、押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造や、容器の周方向のツイスト操作によって、押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造を用いて構成することができる。櫛歯部を容器に対して押上げた状態では、容器の導液路と櫛歯部の導液路とが接続され、櫛歯部を容器に対して押下げた状態では、容器本体の導液路と櫛歯部の導液路との接続が遮断されるようにすることができる。
【0062】
前述した本発明の実施態様に関し、更に以下の付記(毛元塗布具及び塗布方法)を開示する。
【0063】
<1> 櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記櫛歯本体部は、塗布剤の導液路を内部に備えると共に、該導液路の吐出口が、前記先端弾性変形部の近傍に配置されて、又は前記先端弾性変部と接して或いは重なって配置されて、開口している毛元塗布具。
【0064】
<2> 前記先端弾性変形部を形成する引張り強度が、好ましくは1〜10MPaであり、より好ましくは2〜8MPaである上記<1>記載の毛元塗布具。
<3> 前記先端弾性変形部は、先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状を有している上記<1>又は<2>記載の毛元塗布具。
<4> 前記櫛歯本体部は、前記櫛歯台側の基端部から、先端の前記先端弾性変形部に向けて、断面積を減少させた先細り形状を有している上記<1>〜<3>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<5> 前記櫛歯は、前記導液路の吐出口を、当該櫛歯の先端側にのみ配置している上記<1>〜<4>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<6> 前記櫛歯は、前記導液路の吐出口から先端側に枝別れして表面に開口する、複数の枝別れ吐出口を有している上記<1>〜<5>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<7> 前記櫛歯本体部は、長軸と短軸とを備える扁平な横断面形状を有しており、前記枝別れ吐出口は、前記櫛歯本体部の短軸方向に向けて一対設けられている上記<6>記載の毛元塗布具。
【0065】
<8> 前記櫛歯は、前記櫛歯本体部の長軸方向を平行に配置して、前記櫛歯本体部の短軸方向に間隔を置いて複数並べて設けられており、前記先端弾性変形部及び前記枝別れ吐出口は、前記短軸方向に沿った同一直線上に複数並べて設けられている上記<7>記載の毛元塗布具。
<9> 前記吐出口が開口する高さ位置は、前記先端弾性変形部の先端から好ましくは1.0〜5.5mmの高さ領域に含まれ、より好ましくは1.5〜4.0mmの高さ領域に含まれる上記<1>〜<8>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<10> 前記櫛歯は、前記櫛歯本体部の長軸方向を平行に配置して、前記櫛歯本体部の短軸方向に間隔を置いて複数並べて設けられており、かつ、
前記櫛歯部に着脱可能に装着される補助櫛歯部を備えており、該補助櫛歯部は、補助櫛歯台から立設する複数の補助櫛歯を有しており、該補助櫛歯部が前記櫛歯台に装着された状態で、前記補助櫛歯は、前記櫛歯部の隣接する各一対の前記櫛歯の間隔部分に、各々配置される上記<1>〜<9>のいずれか1記載の毛元塗布具。
【0066】
<11> 前記補助櫛歯部が前記櫛歯台に装着された状態で、前記櫛歯の前記先端弾性変形部の先端の高さ位置は、前記補助櫛歯の先端の高さ位置と同じか又はこれよりも高くなっている上記<10>記載の毛元塗布具。
<12> 櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記先端弾性変形部の高さ方向の長さの前記櫛歯の全体の長さに対する比率が、好ましくは0.05〜0.35となっている毛元塗布具。
<13> 櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記先端弾性変形部の高さ方向の長さの前記櫛歯の全体の長さに対する比率が、好ましくは0.05〜0.5となっている毛元塗布具。
【0067】
<14> 前記先端弾性変形部の縦弾性率は、好ましくは0.5〜50MPaであり、より好ましくは1〜40MPaであり、さらに好ましくは3〜30MPaである上記<1>〜<13>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<15> 前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部の引張り強度の差が、好ましくは5〜40MPaであり、より好ましくは10〜35MPaであり、さらに好ましくは15〜35MPaである上記<1>〜<14>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<16> 前記櫛歯本体部の引張り弾性率と前記先端弾性変形部の縦弾性率との差が、好ましくは200MPa〜1950MPaであり、より好ましくは400MPa〜1460MPaであり、さらに好ましくは800〜1460MPaである上記<1>〜<15>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<17> 前記櫛歯本体部の引張り弾性率は、好ましくは200MPa以上2000MPa以下であり、より好ましくは400MPa以上1500MPa以下であり、さらに好ましくは800MPa以上1500MPa以下である上記<1>〜<16>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<18> 前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部とは、連続的且つ一体的に成形されて設けられている上記<1>〜<17>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<19> 前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部とは、2色成形又はインサート成形によって連続的且つ一体的に成形されている上記<1>〜<18>のいずれか1記載の毛元塗布具。
【0068】
<20> 前記塗布剤の30℃における粘度が、好ましくは3mPa・s以上であり、より好ましくは5mPa・sであり、さらに好ましくは500mPa・s以上であり、よりさらに好ましくは1000mPa・s以上であり、また好ましくは30000mPa・s以下であり、より好ましくは20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは15000mPa・s以下である上記<1>〜<19>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<21> 塗布剤が収容される前記容器と、前記櫛歯部とは、前記容器の高さ方向のスライド操作によって押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造、又は前記容器の周方向のツイスト操作によって押下げ、押上げ可能に嵌合させる嵌合構造を有しており、
前記櫛歯部を前記容器に対して押上げた状態では、前記容器の導液路と前記櫛歯部の導液路とが接続され、
前記櫛歯部を前記容器に対して押下げた状態では、前記容器本体の導液路と前記櫛歯部の導液路との接続が遮断される上記<1>〜<20>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<20> 前記容器は、エアゾール容器又はスクイズ容器である上記<1>〜<21>のいずれか1記載の毛元塗布具。
【0069】
<23> 前記櫛歯本体部と前記先端弾性変形部とが異なる色に着色されている上記<1>〜<22>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<24> 前記櫛歯本体部は、長軸と短軸とを備える扁平な横長の横断面形状を有しており、前記櫛歯は、前記導液路の吐出口から先端側に枝別れして表面に開口する、複数の枝別れ吐出口を有しており、前記枝別れ吐出口は、前記櫛歯本体部の短軸方向に向けて一対設けられており、前記導液路の内径と、前記櫛歯本体部の短軸方向の幅との比は、好ましくは0.2〜0.75であり、より好ましくは0.5〜0.7である上記<1>〜<23>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<25> 前記吐出口の開口面積は、好ましくは0.77〜7.06mm
2であり、より好ましくは1.0〜3.5mm
2である上記<1>〜<24>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<26> 前記櫛歯本体部は、好ましくは、前記先端弾性変形部の近傍において、当該櫛歯本体部の幅を狭くする段部を備えている上記<1>〜<25>のいずれか1記載の毛元塗布具。
【0070】
<27> 前記櫛歯台が、円筒形状を有しており、前記櫛歯は、前記櫛歯台上に同心円状に配置されている上記<1>〜<26>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<28> 前記櫛歯は、中央に配置された櫛歯と、該中央の櫛歯を中心に同心円状に複数配置された櫛歯とを備える上記<27>記載の毛元塗布具。
<29> 前記櫛歯の内部には前記櫛歯台の中空内部と連通する、導液路が形成されており、前記櫛歯は、前記導液路の吐出口から4方向に枝別れして表面に開口する、4箇所の枝別れ吐出口を有している上記<27>又は<28>記載の毛元塗布具。
【0071】
<30> 前記先端弾性変形部を形成する軟質樹脂は、好ましくはゴム成分又はエラストマー成分を含む、弾性樹脂材料又は軟質樹脂材料から選ばれる1種の樹脂又は2種以上の混合樹脂であり、より好ましくはポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ウレタンゴム及びシリコーンゴムから選ばれる1種又は2種以上のゴム成分又はエラストマー成分を含む樹脂であり、さらに好ましくはポリスチレンを含有するエラストマーである上記<1>〜<29>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<31> 前記櫛歯本体部を形成する合成樹脂は、好ましくは中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれる1種又は2種以上の樹脂を含む樹脂である上記<1>〜<30>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<32> 前記塗布剤が染毛剤である上記<1>〜<31>のいずれか1記載の毛元塗布具。
<33> 前記先端弾性変形部は、好ましくは先端部に向けて徐々に断面積が小さくなる尖鋭な形状を有しているとともに、先端形状が曲線状に湾曲している上記<1>〜<32>のいずれか1記載の毛元塗布具。
【0072】
<34> 櫛歯台の表面から複数の櫛歯が立設する櫛歯部と、塗布剤が収容される容器とを備え、該容器から前記櫛歯に供給される塗布剤を、毛髪の毛元部分に塗布できるようにする毛元塗布具を用いた塗布方法であって、
前記櫛歯は、毛髪を梳かす機能を備える櫛歯本体部と、該櫛歯本体部の先端に連続して設けられた、軟質樹脂による先端弾性変形部とを含み、
前記櫛歯本体部は、前記先端弾性変形部よりも剛性が高く、毛髪を掻き分けることが可能な保形性を有しており、
前記櫛歯本体部で毛髪を梳かしながら、前記先端弾性変形部の先端を頭皮に押し付けて弾性変形させつつ、前記櫛歯本体部の導液路の吐出口から前記先端弾性変形部の近傍に供給される塗布剤の塗布を行う塗布方法。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の毛元塗布具によれば、染毛剤等の毛髪化粧料やその他の塗布剤を、例えば頭頂部や後頭部の毛髪の毛元部分等の、使用者が自身の目で未染毛領域を確認しにくい毛元部分についても、安定した状態で、効率良く集中的に塗布してゆくことができる。