【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、第1の観点では、本発明は、金型であって、容器の形状に金型空洞を概ね画定する複数の金型セグメントを備え、さらには、閉じた第1の端部を有する概ね管状である予成形物を収容するように構成されており、且つ、開いた第2の端部の開口部と連通する予成形物空洞を画定する金型と、注入ヘッドであって、予成形物の開口部に連結するように、且つ、液体供給源と上記開口部との間の流体連通を確立するように構成されている注入ヘッドと、注入弁であって、上記注入ヘッドの中を通した流体連通を選択的に可能にするように構成されている注入弁とを備える、容器を製造する装置に関する。
【0016】
本発明によって、上記装置は、さらに、少なくとも1つの圧縮手段が引込み位置においては上記金型空洞の外側に配置されるように、且つ、伸長位置においては上記金型空洞の中に突き出すように、上記金型に対して相対的に移動可能な少なくとも1つの圧縮手段をさらに備えることによって特徴付けられる。
【0017】
これは、圧縮手段がその伸長位置に前進させられる時に容器を圧縮し、従来技術で公知の方法よりも単純に、正確に、且つ、経済的に、容器内から液体の一部分を排出して、容器内に空所を提供することが可能なので、有利である。
【0018】
詳細に述べると、圧縮手段の動作と、容器から排出される液体の体積との間の関係が、容器からの液体の排出における一定程度の不正確性を各々がもたらすポンプや流量計等のような器具を必要とする当業で公知の装置のこの関係に比べて、より直接的で且つ正確である。容器から排出される液体の体積は、金型空洞の中への圧縮手段の伸長の関数である容器の圧縮自体の度合に正比例している。これによって、容器が充填される正確性が改善される。
【0019】
この装置は、さらに、その動作の清浄性が最大化されるので有利である。この装置は、容器が水を排出するためにその容器の外側にだけ作用するので、液体と接触する可能性があるその装置の表面の割合が最小化され、これによって、汚染されやすいこれらの表面をクリーニングして清浄に保つために必要な労力を最小限にする。したがって、この装置は、適正な清浄性の水準を維持しながら、当業で公知の装置に比べてより経済的に動作させられるだろう。
【0020】
好ましくは、上記少なくとも1つの圧縮手段が少なくとも1つの圧縮タブ
(圧縮部材)を備え、上記少なくとも1つの圧縮タブは、上記金型セグメントの少なくとも1つの金型セグメントの一部分を備え、且つ、上記金型セグメントの少なくとも1つの金型セグメントに対して相対的に移動可能であり、且つ、その引込み位置にある時に上記金型空洞の表面の一部分を形成する。
【0021】
このことは、金型空洞の表面の一部分を形成する圧縮タブの表面の一部分が、その圧縮タブが伸長位置にある時に、本来的に、その圧縮タブが接触する容器の輪郭と概ね一致した形状を呈するだろうという理由から、有利である。したがって、各々の圧縮タブによって容器上に及ぼされる圧縮は、容器の壁における局所化された応力を最小化する形で加えられ、容器に対する損傷の可能性を低減させ、及び、その装置の調節可能性を最適化するだろう。これによって、容器からの液体の排除がより的確にされ、及び、より正確に充填された容器を実現する。
【0022】
さらに、少なくとも1つの金型セグメント内の少なくとも1つの圧縮タブの配置が、金型に圧縮手段を合体させることによって、その装置がよりコンパクトで空間効率が高いものにされるので、有利である。
【0023】
1つの特徴としては、少なくとも1つの圧縮手段が、金型空洞の縦軸線に対して垂直な方向に移動可能である。
【0024】
このことは、金型空洞の中に圧縮手段が伸長する特定の距離において、容器から排出される液体の体積が最大化されるので、有利である。したがって、金型空洞内での圧縮手段の特定の最大伸長において、その装置によって放出されることが可能な液体の最大体積が増大させられる。したがって、金型空洞の縦軸線に対して垂直な方向に移動可能であるように圧縮手段を構成することが、その装置の効率を改善し、及び、生産されることが可能な容器の形状構成の範囲を拡大する。
【0025】
別の特徴としては、少なくとも1つの圧縮手段が、上記金型空洞の直径が局所的に縮小した区域において、その金型空洞の中へ伸長する。
【0026】
このことは、金型空洞の局所的に縮小した直径の結果としてその容器の表面上の他のあらゆる場所よりも変形し易い領域に、容器に対して作用するように圧縮手段が配置されることになるので、有利である。したがって、金型空洞の中への圧縮手段の特定の伸長によって、より大きな体積の液体が容器から排出されることになり、このことが、適正に充填された容器の生産におけるその装置の汎用性と効率とを向上させる。
【0027】
別の特徴としては、圧縮手段が伸長位置にある時に、上記金型空度の縦軸線を中心として概ね互いに均一な角度間隔を開けて金型空洞の中に伸長するように配置されている、複数の圧縮手段が備えられている。
【0028】
このことは、金型空洞の中への圧縮手段の前進の結果として生じる容器の圧縮が対称的となり、この結果として、金型空洞の中への圧縮手段の特定の前進において、容器の均一な圧縮と、上記容器からの液体の最大化された排出とを生じさせるので、有利である。さらに、概ね均一な角度間隔での圧縮手段の配置は、圧縮手段の概ね均等な配置が、容器の壁における応力の集中を最小化し且つこれによって容器から液体を放出する時に容器に対して損傷を与えることを回避するので、その圧縮手段によって容器に及ぼされる圧縮力によってその容器を損傷させることを防止するだろう。したがって、この装置は、より効果的で且つ汎用的なものにされる。
【0029】
さらに別の特徴としては、少なくとも2つの圧縮タブが金型セグメントの1つの中に配置されている。
【0030】
このことは、金型セグメントの1つの中に複数の圧縮タブを備えることによって、容器からの液体の放出に対するより大きな度合の制御が実現されることになるので、有利である。圧縮タブの各々は、各々の圧縮タブが金型空洞の中に伸長させられる度合に応じて、その他の圧縮タブの各々によって及ぼされる容器の圧縮に影響を与え、容器の全体的な圧縮を増大又は軽減させる。各々の圧縮タブの伸長を操作することによって、容器からの液体の排出に対するより大きな度合の調節が実現されることになる。
【0031】
これは、特に、容器の長さに沿って圧縮タブが配置される時に当てはまる。特に、このように配置された複数の圧縮タブは、その圧縮タブの変形し易さに応じて、その圧縮タブの領域において、容器に対して作用するだろう。より大きな変形し易さを有する領域内に配置されている圧縮タブは、特定の度合の伸長において、より大きな体積の液体を排出するだろうし、又は、その逆も同様である。少なくとも2つの圧縮タブの各タブの伸長を調節することによって、液体の排出に対する大まかな調節と細かな調節の両方が実現され、これによって、その装置が操作される精度が最大化される。
【0032】
さらに別の特徴としては、注入弁は、上記注入ヘッドのノズルと同軸に注入ヘッド内に配置されており、上記注入弁は、閉じた位置にある時に上記ノズル内で着座している。
【0033】
このことは、注入弁が注入ヘッド内に一体化されているので、有利である。これによって、この装置の全体がよりコンパクトにされ、及び、さらに、注入ヘッドのノズルと注入弁との間のその装置の液体流路の体積も減少させる。これによって、注入ヘッドの精度と応答性とその装置内の注入ヘッドの位置の融通性との両方が改善される。
【0034】
さらに別の特徴としては、この装置は、さらに、延伸ロッドを備え、この延伸ロッドは、予成形物の縦軸線に沿ってその予成形物に対して相対的に移動可能であり、且つ、予成形物の閉じた第1の端部において上記予成形物の内側表面に押し当たるように構成されている。
【0035】
このことは、延伸ロッドの作用が、予成形物の縦軸線に沿った予成形物の変形を容易化して、こうした延伸ロッドなしの場合に比べて、より細長い外観を有する容器をその装置が生産することを可能にするだろう。これによって、その装置の汎用性と、その容器の他の利点が実現される可能性がある容器の範囲の拡大とが、強化される。
【0036】
第2の観点では、本発明は、容器を製造する方法に関し、この方法は、概ね管状である予成形物を提供する段階であって、この予成形物は、閉じた第1の端部を有し、及び、開いた第2の端部における開口部と連通している予成形物空洞を画定する段階と、複数の金型セグメントで構成されており且つ容器の形状を概ね画定する金型空洞を備えている金型の中に、少なくとも部分的に予成形物を配置する段階と、予成形物の開口部上に注入ヘッドを配置する段階であって、上記注入ヘッドは上記開口部と液体供給源との間の流体連通を確立し、注入弁が上記注入ヘッドの中を通した流体連通を選択的に可能にする段階と、予成形物空洞の中に一定の体積の液体を注入する段階であって、上記液体は、注入ヘッドと開いた注入弁とを通って流体供給源から上記予成形物空洞に流れ、これによって、予成形物が金型空洞の輪郭に膨張して容器を形成することを生じさせる段階と、上記金型空洞の外側の引込み位置から、上記金型空洞の中に突き出る伸長位置に、少なくとも1つの圧縮手段を伸長させる段階であって、これによって上記容器が圧縮され、上記容器内の液体の一部分がこれによって注入ヘッドを通して排出される段階と、注入弁を閉じ、これによって容器と液体供給源との間の流体連通を阻止する段階と、注入ヘッドと少なくとも1つの圧縮手段とを容器から引き抜く段階とを含む。
【0037】
このことは、こうした方法が容器の製造と充填における上述した装置の利点を実現することになるので有利である。したがって、この方法は、従来技術で公知の方法に比べて、より高い清浄性と信頼性とを伴って、より的確に且つ経済的に容器を製造及び充填するだろう。
【0038】
1つの特徴では、上記少なくとも1つの圧縮手段は、上記金型セグメントの少なくとも1つの金型セグメントの一部分を備え、且つ、上記金型セグメントの少なくとも1つの金型セグメントに対して相対的に移動可能であり、且つ、その引込み位置にある時に上記金型空洞の表面の一部分を形成する、圧縮タブである。
【0039】
このことは、上記説明による圧縮タブとして少なくとも1つの圧縮手段を提供することが、上述したように、容器の壁における局所的応力を最小化し且つ液体の排出の調節可能性を最大化する形で、圧縮力が容器に対して加えられることを結果的に生じさせることになるので、有利である。
【0040】
別の特徴では、注入する段階と伸長させる段階との間に、金型セグメントを分離させるための段階がある。
【0041】
このことは、金型セグメントの分離が、そうでない場合には金型セグメントの存在によって制限されることになる形態に、少なくとも1つの圧縮手段によって容器が変形させられることを可能にする。したがって、この方法は、より汎用性が高いものにされ、及び、その適用可能な用途の範囲が拡大される。
【0042】
さらに、金型セグメントの分離は、完全に金型の外側に配置されており、且つ、金型セグメントを分離するための段階の最中に形成された間隙の中を通して金型空洞の中に伸長させられる、圧縮手段の使用を可能にする。このように実施される方法では、金型空洞の表面は、少なくとも1つの圧縮手段によって中断されておらず、又は、他の形で遮られてはおらず、こうした中断からのウィットネスマーク(witness mark)を持たない容器を製造する。これによって、この方法によって生産される容器の品質が向上させられる。
【0043】
さらに別の特徴では、注入する段階中に、延伸ロッドが、予成形物の開口部を通して予成形物空洞の中に挿入されて、上記延伸ロッドが、上記予成形物の閉じた第1の端部の内側表面の中に押し込まれて、上記予成形物がその縦軸線に沿って変形することを生じさせる。
【0044】
このことは、上述したように、より多くの様々な形態での容器の製造及び充填を可能にするので、有利である。
【0045】
第3の観点では、本発明は、上述の方法によって生産される容器に関する。
【0046】
これは、こうした容器が上述した利点を具体化するので、有利である。
【0047】
本発明の他の特徴と利点とが、以下の説明から明らかになるだろう。
【0048】
添付図面では、非限定的な具体例が示されている。