【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、外科用安定化プレートに関する。このようなプレートは、プレート部分および複数の固定部分を含み、固定部分のうちの少なくとも1つ(および、たとえばそれらすべて)は、プレート部分に堅固に接続され、近位側からアクセス可能な長手方向開口部と長手方向開口部から外部に達する少なくとも1つの孔とを備えた被覆要素を含む。安定化プレートはさらに、被覆要素ごとに、被覆要素に挿入されるかまたは挿入可能な熱可塑性要素を含み、熱可塑性要素は、たとえば、熱可塑性要素に作用する機械的エネルギによって液化可能である。
【0006】
一群の実施例においては、少なくとも1つの孔は径方向の孔である。径方向の孔は、それぞれの固定部分の遠位端とは異なる場所に配置されてもよいが、固定部分は、径方向の孔から遠位側に安定化部分を備えていてもよい。
【0007】
安定化部分の軸方向延在部は実質的なものであり得、たとえば、プレート部分と径方向の孔との間の距離の少なくとも3分の2であってもよく、または、プレート部分と径方向の孔との間の距離以上であってもよい。安定化部分は非円形の断面を有し得る。プレート部分と径方向の孔との間の距離は、たとえば、再凝固後に径方向の孔から押出されて周囲の骨組織に到達する液化材料がACPの皮質下の係止をもたらすように、調整される。
【0008】
このような安定化プレートの一例として前方頚部用プレート(ACP:anterior cervical plate)が挙げられる。この場合、プレート部分は、脊柱の前方に(腹側に)配置さ
れて、2つ以上の異なる椎体に取付けられることによって、人または動物の背骨を安定させることができる。このため、この場合の固定部分は、異なる椎体において係止されるよう定められている。
【0009】
本発明の局面に従うと、前方頚部用プレート(ACP)が提供される。ACPは、脊柱の腹側に配置されて、2つ以上の異なる椎体に取付けられることによって人または動物の背骨を安定させるためのプレート部分を備え、異なる椎体において係止されるよう適合された複数の固定部分をさらに備える。固定部分のうちの少なくとも1つは、プレート部分に堅固に接続され、近位側からアクセス可能な長手方向開口部と長手方向開口部から外部に達する少なくとも1つの孔とを備えた被覆要素を備える。前方頚部用プレートはさらに、被覆要素ごとに、被覆要素に挿入されるかまたは挿入可能な熱可塑性要素を含み、熱可塑性要素は、たとえば、熱可塑性要素に作用する機械的エネルギによって液化可能である。この場合、孔は、液化された熱可塑性材料を、当該孔を通じて、固定具を係止すべき椎体の骨組織内へと押込むことができるように、位置決めされる。少なくとも1つの固定部分は、前方頚部用プレートに対する機械的負荷を吸収することのできる安定化構造を含む。
【0010】
たとえば特に機械的な振動を受けた後、熱可塑性要素へのエネルギの衝突が停止し、骨組織に押込まれた液化材料が再度凝固し、これにより、固定部分とこれによりACPとに係止をもたらす。
【0011】
一群の実施例においては、少なくとも1つの孔、または複数の孔のうち少なくとも1つは径方向の孔である。
【0012】
安定化構造の安定化効果は、熱可塑性材料の係止効果に追加される効果である。この目的のために、第1のオプションに従った固定部分は、単純回転型シリンダからずれた構造的特徴を備える。たとえば、固定部分は、上/下方向よりも横断方向においてより大きな延在部を備えていてもよい。第1のオプションに加えて、または第1のオプションの代替例として、第2のオプションに従った固定部分は、径方向の孔がそれぞれの固定部分の遠位端には配置されていない点で、孔の遠位側に安定化部分を備え得る。安定化部分は非円形の断面を有してもよく、たとえば、上−下(頭側−尾側)方向よりも横(または横断)方向においてより大きな延在部を有してもよい。
【0013】
径方向の孔は、皮質下の係止を確実にするよう位置決めされ得る。概して、骨組織の外面と細長い空洞から出ていく係止材料を通過させる開口部の近位端との間の距離がたとえば2mm〜7mm、特に3.5mm〜5.5mm(これは、成人に対して該当する分量である)であれば、たとえばさらなる皮質下の係止が達成され得る。したがって、プレート部分の遠位端面と開口部の近位側入口との間の距離は、同じオーダとなるよう、すなわち2mm〜7mm、特に3.5mm〜5.5mmとなるよう選択することができる。
【0014】
係止材料を通過させる開口部の長さ(近位−遠位間の延在部)は1mm〜6mm、特に
2.5mm〜5mmであってもよい。(椎体骨組織内の)皮質下の係止についての実験によれば、複数(たとえば、4つ)の孔が円周寸法に均等に分散されている場合、開口部の一致する延在部に対応する近位−遠位間延在部を備え、4mm直径の管要素を囲む10mmの直径を備えた係止材料リングが得られるだろうことが判明した。
【0015】
脊椎骨間用スペーサを備え、椎体の横方向延在部に関連する脊柱安定化装置に関する実施例においては、係止材料が突出る深さが椎体の延在部の約5%〜20%であれば、皮質下での係止が達成され得る。
【0016】
長手方向開口部を備えた固定部分に加えて、安定化プレートは従来の固定具を備えてもよい。
【0017】
特別な実施例においては、安定化プレート(たとえば、ACP)は、プレート部分に堅固に接続される上述のタイプの4つの固定部分を備える。当該固定部分は、長手方向開口部と、長手方向開口部から外部へと通ずる少なくとも1つの孔(たとえば、ほぼ等しい軸方向位置において2つ、3つまたは4つの径方向開口部)とを備える。安定化プレートがACPであれば、固定部分は2つの隣接する椎骨の椎体に(各々について2つずつ)打込まれるよう位置決めされる。
【0018】
他の特別な実施例においては、安定化プレートは、プレート部分に堅固に接続される上述のタイプの4つ、5つまたは6つの固定部分を備える。当該固定部分は、長手方向開口部と、長手方向開口部から外部へと通ずる少なくとも1つの孔(たとえば、ほぼ等しい軸方向位置において2つ、3つまたは4つの径方向開口部)とを備える。この実施例におけるACPは、3つの隣接する椎骨にわたって延び、次いで、固定部分が、3つの椎骨のうち少なくとも最上部およびの最下部の椎体に、場合によっては3つの椎骨すべての椎体に、打込まれるよう位置決めされる。
【0019】
安定化プレートを埋込むための器具は、固定部分の位置に対応する位置において骨組織に設けられる窪みの位置を規定するテンプレートを含み得る。第1のオプションに従うと、窪みは予め設けられたボアであってもよく、テンプレートはボアを設けるドリルを案内する役割を果たす。第2のオプションに従うと、固定部分が、たとえばテンプレートによって案内されるドリルまたは他の器具によって骨組織に入り込むべき位置においては、皮質骨だけが取除かれるかまたは予め打抜かれる(かまたは準備される)。さらなるオプションに従うと、鋭い先端を有する固定部分は、それら自体が皮質骨を貫通し組織内を進んでいくのに用いられてもよく、テンプレート(もしあれば)は、埋込み中に(叩き込むことよって)安定化プレートを直接案内するのに用いられてもよい。
【0020】
固定部分は、液化された熱可塑性材料が押されて通過し得る複数の径方向の孔を備える場合、液化可能な材料の種々の部分を径方向の孔のうち種々の孔へと方向付けるために、長手方向開口部の長手方向軸に対して角度を付けて構造化された方向付け構造を含むよう構成されてもよい。このような方向付け構造は、WO2011/054122に開示されるタイプのものであってもよい。
【0021】
複数の径方向の孔を備えた実施例においては、埋込み中に液化材料を流れ出させるためのこれら径方向の孔が、同じ軸方向位置にあってもよく、または、異なる軸方向位置にあってもよい。角度位置は、円周にわたって均等に分散されてもよい。特別な実施例においては、角度位置は、特定の要求に適合するようずらして分散されていてもよい。たとえば、インプラントが関節部分を融合させるためのインプラントおよび関節腔に挿入されるインプラントとして企図される場合、孔(3つ以上の場合)が、関節区域に接触するよう対向し合う側に集中して設けられてもよい。
【0022】
プレート部分の全体的な形状は胴部がくびれていてもよい。この場合、胴部は椎体間に形成され、固定具は角部に位置する。この「胴部がくびれている」とは、(たとえば、ACPが係止される椎骨間にある)中央領域におけるプレート部分の横断方向延在部が上方/下方端部における横断方向延在部よりも小さく、たとえば、固定部分の軸間の横断方向距離よりも短いことを意味する。これは、ACPのうち矢状面からの距離が最も長い場所に固定部分が位置することを示唆し得る。これは、横方向の曲げおよび捻りを防ぐ/吸収する能力を最大限に発揮しつつ、横方向のプレート延在部を最小限にするという目的を果たすものである。
【0023】
特別な実施例においては、前方頚部用プレートは、ちょうど4つの固定部分(各々の角に固定部分を1つずつ)を備えた胴部のくびれたプレート部分を含む。この場合、固定部分は上述のタイプであり、プレート部分と一体化している。加えて、前方頚部用プレートは、固定部分ごとに1つの(初めは分離している)熱可塑性要素を備え得る。熱可塑性要素の形状は、熱可塑性要素がそれぞれの固定部分の長手方向開口部に差込まれるよう適合されている。プレート部分は、固定部分を保持する角部において背側の方に曲げられてもよい。
【0024】
プレート部分は平らである必要がなく、たとえば並進対称性などの特定の他の形状を有する必要もない。むしろ、ユーザの要求に従ってプレート部分を形作ることができることは、固定部分とプレート部分との一体型(内蔵)構造が有する特定の利点である。たとえば、所望の態様で機械的負荷を吸収するよう形作ることができる。機械的補強部は、たとえばビード、隆起などの形状を有し得る。加えてまたは代替例として、プレート部分は、骨の幾何学的形状および寸法に適合するよう、かつ椎体からの深さが最小限になるよう形作ることができる。特定の例として、前方頚部用プレートは、食道または知覚可能な軟組織構造に対する刺激を最小限にするよう、矢状面に近接して背側の方向に曲げられてもよい。
【0025】
さらなる局面に従うと、本発明は、脊柱の腹側に配置されて、2つ以上の異なる椎体に取付けられることによって人または動物の脊柱を安定させるためのプレート部分を備えた前方頚部用プレートに関し、前方頚部用プレートはさらに、異なる椎体において係止されるよう適合された複数の固定部分を備える。固定部分はプレート部分に堅固に接続され、近位側からアクセス可能な長手方向開口部と、長手方向開口部から外部に到達する少なくとも1つの孔とを備えた被覆要素を備える。孔は、液化された熱可塑性材料を、当該孔を通じて、固定具を係止すべき椎体の骨組織内へと押込むことができるように位置決めされる。以下の条件のうち1つまたは両方が満たされる。
【0026】
− プレート部分が平面ではない(平坦でない)。
− 固定部分の外側輪郭が回転円筒対称性を有さない。
【0027】
「固定部分」の外側輪郭が回転円筒対称性を有さないという特徴は、この文脈においては、固定部分の形状が(たとえば、径方向の)孔に加えて回転円筒形とは異なっていることを示唆している。特に、固定部分は、非円形の外側輪郭を有してもよく、および/または少なくとも1つのトレンチなどを有していてもよい。
【0028】
特に、少なくとも複数の孔は径方向の孔であってもよく、固定部分は、径方向の孔の遠位側に安定化部分を備えてもよく、安定化部分は、上/下方向よりも横断方向においてより大きな延在部を有し得る。プレート部分は、上述の規定に従って胴部がくびれていてもよい。固定部分はプレート部分の端縁によって保持されてもよく、端縁部分は任意には背側に曲げられてもよい。プレート部分は補強用隆起またはビードを含み得る。
【0029】
また、さらなる局面に従うと、前方頚部用プレートはさらに、被覆要素ごとに、被覆要素に挿入されるかまたは挿入可能な熱可塑性要素を含み得る。熱可塑性要素は、たとえば熱可塑性要素に作用する機械的エネルギによって液化可能である。
【0030】
他の実施例においては、ACPの代わりである安定化プレートは、骨折用または骨切り術後の安定化プレートであってもよい。骨切り術は、骨を短くするか、長くするかまたは、再度位置合わせする目的で切断する外科的処置である。骨切り術は、主として関節における耐荷重面を再度位置合わせし、特に、顔面上顎領域における骨部分を再度位置合わせするための、但し、骨折後に互いに対して不所望な配置で治癒した骨部分を再度位置合わせするために、人および動物の患者に施される。骨切り術によって切離された骨部分は、主として、互いに相対的な所望の位置に再度位置合わせされて、再び一緒に合わさって治癒できるようにこの位置で安定させる必要がある。最先端技術に従うと、骨切り術部は、通常、骨切り術での切断部位にわたる骨表面に位置決めされて骨ねじまたは釘を用いてこの位置で固定されるプレート(たとえば金属板)を用いて安定させる。単純骨折は同じ態様で安定させる。
【0031】
特に、安定化プレートは、骨折部または骨切断部を安定させるために人または動物の関節付近で用いられてもよい。人または動物の関節付近では、従来の外科手術用ねじの係止が弱いため、従来のプレートはしばしば固定するのが容易ではない。たとえば、プレートが関節における骨部分から、関節から離れた骨部分にまで延在する場合、関節により近いプレートのアンカーは、上述のタイプの固定部分であり得るのに対して、関節から離れた骨部分における係止のために、従来の固定用外科手術ねじが用いられてもよい。代替的には、すべての固定部分は、長手方向開口部および熱可塑性材料要素を備えた上述のタイプであってもよい。
【0032】
また、概して、安定化プレートは、プレートをカバーする軟繊維がほとんどない(結果として、従来の金属製外科手術用ねじが刺激をもたらす傾向がある)状況において有利である。
【0033】
安定化プレートの特別な応用例として、特に人、犬または猫の患者用の脛骨プラトーの骨切り術後の安定化が挙げられる。
【0034】
機械的振動によってもたらされる摩擦熱によるポリマーの液化を含む、本発明の実施例に従った装置および方法に適した機械的振動または発振は、好ましくは、2〜200kHz(さらにより好ましくは10〜100kHz、または20〜40kHz)の周波数を有し、活性面の平方ミリメートル当たり0.2〜20Wの振動エネルギを有する。振動要素(ソノトロード)は、たとえば、その接触面が主に要素軸(縦振動)の方向に、1〜100μm、好ましくは約10〜30μmの振幅で振動するように設計される。回転または径方向の発振も可能である。
【0035】
装置の具体的な実施例に関して、機械的振動の代わりに、係止材料の液化に必要とされる特定の摩擦熱を引起すための回転運動を用いることも可能である。このような回転運動の速度は好ましくは10’000〜100’000rpmである。所望の液化のための熱エネルギを生成するためのさらなる方法は、埋込まれるべき装置部品のうちの1つに電磁放射を結合するステップと、装置部品のうちの1つを、電磁放射を吸収できるように設計するステップとを含み、このような吸収は、好ましくは、液化されるべき係止材料内において、またはそのごく近傍で行われる。好ましくは、可視周波数または赤外周波数の範囲で電磁放射が用いられる。好ましい放射源として、対応するレーザが挙げられる。装置部品のうちの1つを電気加熱することも可能であり得る。
【0036】
この明細書においては、「たとえば機械的振動によって液化可能な熱可塑性材料」、または単に「液化可能な熱可塑性材料」もしくは「液化可能な材料」という表現は、少なくとも1つの熱可塑性成分を含む材料を説明するために用いられており、その材料は、加熱された場合、特に摩擦によって加熱された場合、すなわち、互いに接触し相対的に振動により移動するかまたは回転移動する1対の表面(接触面)のうちの一方に配置された場合、液体になるかまたは流動的になる。この場合、振動の周波数は2kHzから200kHzであり、好ましくは20kHz〜40kHzであり、振幅は1μm〜100μm、好ましくは約10μm〜30μmである。このような振動は、たとえば歯科の用途に公知なものとして、たとえば超音波装置によってもたらされる。組織に対する耐荷重接続の構成を可能にするために、材料は0.5GPaよりも高い弾力性係数、好ましくは1GPaよりも高い弾力性係数を有する。少なくとも0.5GPaの弾力性係数によっても、確実に、液化可能な材料が、その内部の液化をこのようにわずかに減衰させつつ超音波振動を伝達することが可能となり、こうして、液化可能な要素が不安定にならないようにする。すなわち、液化可能な材料が停止面に対する液化界面にある場合にのみ液化が起こる。可塑化温度は、好ましくは最大で200℃であり、200℃〜300℃であるか、またはさらには300℃を上回っている。用途に応じて、液化可能な熱可塑性材料は再吸収可能であってもよく、再吸収可能でなくてもよい。
【0037】
好適な再吸収可能ポリマーは、たとえば、乳酸および/またはグリコール酸(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)またはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖類、ポリジオキサノン(PD)、ポリ酸無水物(polyanhydrides)、ポリペプチドまたは対応するコポリマーもしくは混合ポリマーに基づいているか、または、上述のポリマーを成分として含有する複合材料が、再吸収可能な液化可能材料として適している。熱可塑性物質、たとえば、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニルスルフィドまたは液晶ポリマー(LCPS)、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリプロピレン(PP)、または対応するコポリマーもしくは混合ポリマー、または上述のポリマーを成分として含む複合材料などが、再吸収不可能なポリマーとして適している。好適な熱可塑性材料の例として、ベーリンガーインゲルハイム(Bohringer Ingelheim)社によるポリラクチド生成物LR708(非晶質のポリ−L−DLラクチド70/30)、L209またはL210Sのうちのいずれか1つが含まれる。
【0038】
分解性材料の具体的な実施例として、LR706 PLDLLA 70/30、R208 PLDLA 50/50、L210SおよびPLLA 100%L(すべてBohringerによる)のようなポリラクチドが挙げられる。好適な分解性ポリマー材料の一覧も以下のとおり見出すことができる:Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa, "Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren", 3;Auflage, Springer, Berlin 2002 (以下、"Wintermantel"と称する)、200頁;PGAおよびPLAの情報に
ついては202頁以降、PCLについては207頁、PHB/PHVコポリマーについては206頁;ポリジオキサノンPDSについては209頁を参照されたい。さらなる生体吸収可能(bioresorbable)材料の説明を、たとえば、CA Bailey他によるJ
Hand Surg [Br](2006年4月;31(2):208〜12)において見出すことができる。
【0039】
非分解性材料の具体的な実施例は以下のとおりである:ポリエーテルケトン(PEEK Optima、グレード450および150(Invibio Ltd))、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネートウレタン(特に、DSMによるBionate(登録商標)、特にBionate75DおよびBionate65D;対応する情報が、たとえば、Automation Creations,Inc.によるwww.matweb.com上で公にアクセス可能なデータシート上で利用可能である)。ポリマーおよびその応用例の概略的な表がWintermantelの150頁において列挙される。具体的な例は、Wintermantelの161頁以降において見出すことができる(PE,Hostalen Gur 812, Hochst AG)、164頁以降(PET)、169頁以降(PA,すなわちPA6およびPA66)、171頁以降(PTFE)、173頁以降(PMMA)、180頁(PUR,表を参照)、186頁以降(PEEK)、189頁以降(PSU)、191頁以降(POM:Polyacetal(商品名:Delrin;Tenac)は、Protecによる内蔵式人工臓器においても用いられてきた)。
【0040】
熱可塑性の特性を有する液化可能な材料は、さらなる機能を果たす異種の位相または化合物を含有し得る。特に、熱可塑性材料は、混合された充填剤、たとえば、治療または他の所望の効果を有し得る粒状の充填剤、によって強化され得る。熱可塑性材料はまた、元の場所で膨張するかまたは溶解する(細孔を作り出す)成分(たとえば、ポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)を含有し得るか、または、それ以外の位置で放出されて、治療上の効果、たとえば治癒および再生の促進といった効果(たとえば、酸性分解の悪影響に対抗するリン酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムなどの成長因子、抗生物質、炎症抑制剤もしくは緩衝剤)を有する化合物を含有し得る。熱可塑性材料が再吸収可能である場合、このような化合物の放出が遅れる。
【0041】
液化可能な材料が振動エネルギでは液化せず、電磁放射によって液化する場合、この液化可能な材料は、特定の周波数範囲(特に、可視または赤外線周波数の範囲)のこのような放射を吸収することのできる化合物(微粒子または分子)、たとえば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、雲母、飽和脂肪酸、多糖類、グルコースまたはその混合物、を局所的に含有し得る。
【0042】
使用される充填剤は、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ハイドロキシアパタイト(HA、<90%の結晶度);またはTCP、HA、DHCP、バイオガラスの混合物(Wintermantelを参照)を含む分解性ポリマーにおいて用いられる分解性の骨刺激性充填剤を含み得る。非分解性ポリマーのための、わずかに部分的にしか分解しないかまたはほとんど分解しないオッセオインテグレーション刺激充填剤は、バイオガラス、ハイドロキシアパタイト(>90%の結晶度)、HAPEX(登録商標)(SM Rea他によるJ Mater Sci Mater Med.(2004年9月;15(9):997〜1005)を参照)を含む。ハイドロキシアパタイトについては、L.Fang他によるBiomaterials(2006年7月;27(20):3701〜7)、M.Huang他によるJ Mater Sci Mater Med(2003年7月;14(7):655〜60)、ならびに、W.BonfieldおよびE.TannerによるMaterials World(1997年1月;5第1号:18〜20)を参照されたい。生物活性充填剤の実施例およびその説明は、たとえば、X.HuangおよびX.MiaoによるJ Biomater App.(2007年4月;21(4):351〜74),JA Juhasz他によるBiomaterials(2004年3月;25(6):949〜55)において見出すことができる。粒状の充填剤タイプとして、粗いタイプ:5〜20μm(含有量が優先的には10〜25容量%)、サブミクロン(析出から得られるナノ充填剤、優先的には、板状アスペクト比>10、10〜50nm、0.5〜5容量%の含有量)が含まれる。
【0043】
実験を行った材料の具体例として、特に有利な液化挙動を示した30%(重量パーセン
ト)の二相Caリン酸塩を含むPLDLA70/30があった。
【0044】
ACPの材料は、液化可能な材料の溶解温度では溶解しない如何なる材料であってもよい。特に、被覆要素は金属、たとえばチタン合金、でできていてもよい。好ましい材料としてチタン等級5が挙げられる。この材料は、一般に埋込み可能な装置に適していることに加えて、比較的低い熱伝導性を有する。この不利な熱伝導性のせいで、液化可能な材料において生じる溶解帯は急速に加熱されるが、周囲が過度に高い温度に加熱されることはない。ACPのための代替的な材料として、他のチタン合金、ステンレス鋼のような他の金属、またはPEEKなどの硬質プラスチックなどが挙げられる。
【0045】
図面の簡単な説明
以下において、本発明および実施例を実行するための方法を、添付の図面を参照して説明する。図面は大部分が概略的に図示される。図面においては、同じ参照番号は同じまたは類似の要素を指す。