特許第6280295号(P6280295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6280295仮想現実ヘッドセットの圧縮可能なアイカップアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6280295
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】仮想現実ヘッドセットの圧縮可能なアイカップアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20180205BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   H04N5/64 511A
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-538410(P2017-538410)
(86)(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公表番号】特表2018-504636(P2018-504636A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】US2015024531
(87)【国際公開番号】WO2016118178
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年7月28日
(31)【優先権主張番号】14/601,572
(32)【優先日】2015年1月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】オキュラス ブイアール,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、マット リー
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−19034(JP,U)
【文献】 特開2011−107303(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234189(US,A1)
【文献】 特開平04−287583(JP,A)
【文献】 特開昭63−89815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00−27/64
G02B 23/00−23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実(VR)ヘッドセットであって、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
前記画像光を受け取るように構成された光学系ブロックとを備え、前記光学系ブロックは、
各々が前記画像光の一部を、前記VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズおよび追加のレンズと、
基底部分と頭頂部分と複数の圧縮アジャスタを含む円錐体であって、前記基底部分が前記VRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、前記頭頂部分が前記レンズに結合されており、前記複数の圧縮アジャスタは、前記頭頂部分と前記基底部分との間の距離を調整するように前記円錐体の前記頭頂部分と前記基底部分に結合され、前記円錐体は、前記基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記レンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記円錐体と、
追加の基底部分と追加の頭頂部分と追加の複数の圧縮アジャスタを含む追加の円錐体であって、前記追加の基底部分が前記VRヘッドセットの前記硬質本体の前記取付面に結合され、前記追加の頭頂部分が前記追加のレンズに結合されており、前記追加の複数の圧縮アジャスタは、前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の距離を調整するように前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分に結合され、前記追加の円錐体は、前記追加の基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の前記距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記追加の円錐体と、
前記円錐体の前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離または前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の前記距離を受信した入力に基づいて調節するように構成された調節機構とを含前記調節機構は、前記複数の圧縮アジャスタの1つまたは複数と、前記追加の複数の圧縮アジャスタの1つまたは複数とを個別に調整するように構成されている、VRヘッドセット。
【請求項2】
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、前記調節機構から受け取った入力に応答して前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離を短縮するように構成されている、請求項1に記載のVRヘッドセット。
【請求項3】
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されたバネである、請求項2に記載のVRヘッドセット。
【請求項4】
前記円錐体は、熱可塑性ポリウレタンからなる、請求項1に記載のVRヘッドセット。
【請求項5】
前記基底部分に結合されたレールと、前記追加の基底部分に結合された追加のレールとをさらに備え、前記調節機構は、中心間隔調節入力を受け取ったことに応答して、前記基底部分の中心と前記追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を調節するように構成されている、請求項1に記載のVRヘッドセット。
【請求項6】
前記不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性である、請求項1に記載のVRヘッドセット。
【請求項7】
仮想現実(VR)ヘッドセットであって、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
前記画像光を受け取るように構成された光学系ブロックとを備え、前記光学系ブロックは、
前記画像光の一部を、前記VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズと、
基底部分と頭頂部分と複数の圧縮アジャスタを含む円錐体であって、前記基底部分が前記VRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、前記頭頂部分が前記レンズに結合されており、前記複数の圧縮アジャスタは、前記頭頂部分と前記基底部分との間の距離を調整するように前記円錐体の前記頭頂部分と前記基底部分に結合され、前記円錐体は、前記基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記レンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記頭頂部分と前記基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記円錐体と、
前記円錐体の頭頂部分と基底部分との間の距離を受信した入力に基づいて調節するように構成された調節機構と
を備え、前記調節機構は、前記複数の圧縮アジャスタの1つまたは複数を個別に調整するように構成されている、VRヘッドセット。
【請求項8】
前記光学系ブロックは、
前記画像光の一部を、前記VRヘッドセットの前記使用者の他の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成された追加のレンズと、
追加の基底部分と追加の頭頂部分と追加の複数の圧縮アジャスタを含む追加の円錐体であって、前記追加の基底部分が前記VRヘッドセットの前記硬質本体の前記取付面に結合され、前記追加の頭頂部分が前記追加のレンズに結合されており、前記追加の複数の圧縮アジャスタは、前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の距離を調整するように前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分に結合され、前記追加の円錐体は、前記追加の基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記追加の円錐体と
をさらに備え、
前記調節機構はさらに、前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の前記距離を前記受信した入力に基づいて調節するように構成されており前記調節機構は、前記追加の複数の圧縮アジャスタの1つまたは複数を個別に調整するように構成されている、請求項7に記載のVRヘッドセット。
【請求項9】
前記基底部分に結合されたレールと、前記追加の基底部分に結合された追加のレールとをさらに備え、前記調節機構は、前記基底部分の中心と前記追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を中心間隔調節入力に応答して調節するように構成されている、請求項8に記載のVRヘッドセット。
【請求項10】
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離を、前記調節機構から受け取った入力に応答して短縮するように構成されている、請求項7に記載のVRヘッドセット。
【請求項11】
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されたバネである、請求項10に記載のVRヘッドセット。
【請求項12】
前記円錐体は、熱可塑性ポリウレタンからなる、請求項7に記載のVRヘッドセット。
【請求項13】
前記不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性である、請求項7に記載のVRヘッドセット。
【請求項14】
仮想現実(VR)ヘッドセットであって、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
前記画像光を受け取るように構成された光学系ブロックとを備え、前記光学系ブロックは、
前記画像光の一部を、前記VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズと、
基底部分と頭頂部分と複数の圧縮アジャスタを含む円錐体であって、前記基底部分が前記VRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、前記頭頂部分が前記レンズに結合されており、前記複数の圧縮アジャスタは、前記頭頂部分と前記基底部分との間の距離を調整するように前記円錐体の前記頭頂部分と前記基底部分に結合され、前記円錐体は、前記基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記レンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記頭頂部分と前記基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記円錐体と、
前記円錐体の前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離を受信した入力に基づいて調節するように構成された調節機構とを備え
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、前記頭頂部分と前記基底部分との間の前記距離を前記受信した入力に応答して短縮するように構成されている、VRヘッドセット。
【請求項15】
前記複数の圧縮アジャスタの少なくとも1つは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されたバネである、請求項14に記載のVRヘッドセット。
【請求項16】
前記受信した入力に応答して前記バネにより前記電流が受け取られる、請求項15に記載のVRヘッドセット。
【請求項17】
前記光学系ブロックは、
前記画像光の一部を、前記VRヘッドセットの前記使用者の他の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成された追加のレンズと、
追加の基底部分と追加の頭頂部分と追加の複数の圧縮アジャスタを含む追加の円錐体であって、前記追加の基底部分が前記VRヘッドセットの前記硬質本体の取付面に結合され、前記追加の頭頂部分が前記追加のレンズに結合されており、前記追加の複数の圧縮アジャスタは、前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の距離を調整するように前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分に結合され、前記追加の円錐体は、前記追加の基底部分を通る画像光を受け取り、前記画像光を前記追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、前記追加の円錐体と
をさらに含み、
前記調節機構はさらに、前記追加の円錐体の前記追加の頭頂部分と前記追加の基底部分との間の前記距離を前記受信した入力に基づいて調節するように構成されており前記調節機構は、前記追加の複数の圧縮アジャスタの1つまたは複数を個別に調整するように構成されている、請求項14に記載のVRヘッドセット。
【請求項18】
前記基底部分に結合されたレールと、前記追加の基底部分に結合された追加のレールとをさらに備え、前記調節機構は、前記基底部分の中心と前記追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を中心間隔調節入力に応答して調節するように構成されている、請求項14に記載のVRヘッドセット。
【請求項19】
前記円錐体は、熱可塑性ポリウレタンからなる、請求項14に記載のVRヘッドセット。
【請求項20】
前記不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性である、請求項14に記載のVRヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に仮想現実ヘッドセットに関し、特に仮想現実ヘッドセット内で伸展可能なアイカップアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)ヘッドセットはアイカップアセンブリを含み、これは光を電子ディスプレイから使用者の眼へと通過させる。アイカップアセンブリのある部分から使用者の眼までの距離は一般に、VRヘッドセットを装着したときの使用者の快適さに影響を与え、また、使用者から見たVRヘッドセットにより表示されるコンテンツの視野にも影響を与える可能性がある。従来のVRヘッドセットは、複数の使用者に対応できるように、サイズの異なる複数の硬質のアイカップアセンブリを含む。
【0003】
VRヘッドセットに取り付けたときに、硬質のアイカップアセンブリの1つのサイズにより、VRヘッドセットに取り付けたときに、使用者の眼から取り付けられた硬質のアイカップのある部分(例えば、硬質のアイカップアセンブリの後方部分)までの固定距離に差異が生じて、これは使用者の快適さまたは視野に影響を与える。VRヘッドセットを使用するために、使用者は、VRヘッドセットの快適な着け心地と所望の視野が得られるように硬質のアイカップアセンブリのサイズを選択する。例えば、眼鏡をかけている使用者はおそらく、眼鏡をかけていない別の使用者より、アイカップアセンブリのある部分と使用者の眼との間の距離がより長いアイカップアセンブリを選ぶことにより、VRヘッドセットの使用時に使用者の眼鏡が快適にVRヘッドセット内に収まるようにするであろう。しかしながら、VRヘッドセット用の硬質のアイカップアセンブリを何組も製造すると、VRヘッドセットの製造コストが増大する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
仮想現実(VR)ヘッドセットは、電子表示素子と、2つのアイカップアセンブリを有する光学系ブロックとを含む。各アイカップアセンブリは、レンズと、レンズに結合され、VRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合される円錐体とを含む。円錐体は不透過性材料(例えば、可視光の波長に対して不透過性の材料)を含み、これは円錐体の頭頂部分と円錐体の基底部分との間の距離を調節する(例えば、伸張または収縮させる)ように変形可能である。いくかの実施形態において、円錐体の頭頂部分と円錐体の基底部分との間の距離に対する調節は、VRヘッドセット内に含められた調節機構を通じて行われる。円錐体の最も高い位置と最も低い位置との間の距離を調節することによって、使用者は各アイカップアセンブリの外面と使用者の眼との間の空間を調節して、快適にVRヘッドセットを使用できる。いくつかの実施形態において、調節機構により、使用者は両方のアイカップアセンブリ間の中心間隔距離を調節することができるため、中心間隔距離が使用者の瞳孔間距離(すなわち、使用者の両眼の瞳の中心間の距離)と一致する。中心間隔距離を調節することにより、使用者はVRヘッドセットの射出瞳の位置をその使用者の眼の位置と整列させることができる。これらの調節により、異なる特性(例えば、異なる瞳孔間距離、眼鏡をかけていない、眼鏡をかけている、等)を有する異なる使用者が1つのVRヘッドセットを使用することが可能となる。
【0005】
いくつかの実施形態において、アイカップアセンブリは1つまたは複数の圧縮アジャスタを含む。圧縮アジャスタは、アイカップアセンブリ内の円錐体の頭頂部分上のある点とその円錐体の基底部分上のある点との間の距離を調節する。例えば、圧縮アジャスタは機械的装置、電気的装置、またはそれらの何れかの組合せである。いくつかの実施形態において、圧縮アジャスタはバネであり、これは電流がバネに印加されたことに応答して圧縮するように構成される。
【0006】
本発明による実施形態は特に、方法、記憶媒体、システム、およびコンピュータプログラム製品に関する添付の特許請求の範囲に開示されており、1つの請求項のカテゴリ(例えば、方法)に記載された任意の特徴は、他の請求項のカテゴリ(例えば、システム)においても同様に請求できる。添付の特許請求の範囲の従属関係または後方への参照は、形式的な理由でのみ選択されている。しかしながら、任意の前の請求項を意図的に後方に参照したこと(特に多数項従属性)から得られるいかなる主題も請求でき、それによって、添付の特許請求の範囲内で選択されている従属性に関わらず、請求項またはその特徴の任意の組合せも開示され、請求できる。請求することができる主題は、添付の特許請求の範囲の請求項に記載されている特徴の組合せだけでなく、特許請求の範囲の請求項における他の特徴のあらゆる組合せも含み、特許請求の範囲の請求項に記載されている各特徴は、請求項における何れの他の特徴とも、または他の特徴の組合せとも組み合わせることができる。さらに、本明細書において記載され、または図示されている実施形態および特徴のいずれかは、別の請求項および/または本明細書において記載され、もしくは図示されている何れの実施形態または特徴とも、または添付の特許請求の範囲の請求項の特徴の何れとも組み合わせて請求できる。
【0007】
本発明による一実施形態において、仮想現実(VR)ヘッドセットは、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
画像光を受け取るように構成された光学系ブロックとを備え、光学系ブロックは、
各々が画像光の一部を、VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズおよび追加のレンズと、
基底部分と頭頂部分を含む円錐体であって、基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、頭頂部分がレンズに結合されており、円錐体は、基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光をレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ頭頂部分と基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる円錐体と、
追加の基底部分と追加の頭頂部分を含む追加の円錐体であって、追加の基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、追加の頭頂部分が追加のレンズに結合されており、追加の円錐体は、追加の基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光を追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、追加の円錐体と、
円錐体の頭頂部分と基底部分との間の距離または追加の円錐体の追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を受け取った入力に基づいて調節するように構成された調節機構とを含む。
【0008】
本発明による一実施形態において、VRヘッドセットは、
円錐体の頭頂部分と基底部分に結合された圧縮アジャスタであって、調節機構から受け取った入力に応答して頭頂部分と基底部分との間の距離を短縮するように構成された圧縮アジャスタをさらに含んでいてもよい。
【0009】
圧縮アジャスタは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されたバネであってもよい。
円錐体は、熱可塑性ポリウレタンを含んでいてもよい。
【0010】
本発明による一実施形態において、VRヘッドセットは、
基底部分に結合されたレールと、追加の基底部分に結合された追加のレールをさらに含んでいてもよく、調節機構は、中心間隔調節入力を受け取ったことに応答して、基底部分の中心と追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を調節するように構成される。
【0011】
不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性であってもよい。
本発明による一実施形態において、仮想現実(VR)ヘッドセットは、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
画像光を受け取るように構成された光学系ブロックとを備え、光学系ブロックは、
画像光の一部を、VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズと、
基底部分と頭頂部分を含む円錐体であって、基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、頭頂部分がレンズに結合されており、円錐体は、基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光をレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ頭頂部分と基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、円錐体と、
円錐体の頭頂部分と基底部分との間の距離を受け取った入力に基づいて調節するように構成された調節機構とを含む。
【0012】
光学系ブロックは、
画像光の一部を、VRヘッドセットの使用者の他の眼の位置と一致する対応する射出瞳へと方向付けるように構成された追加のレンズと、
追加の基底部分と追加の頭頂部分を含む追加の円錐体であって、追加の基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、追加の頭頂部分が追加のレンズに結合されており、追加の円錐体は、追加の基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光を追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、追加の円錐体とをさらに含んでいてもよく、
調節機構はさらに、追加の円錐体の追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を受け取った入力に基づいて調節するように構成される。
【0013】
本発明による一実施形態において、VRヘッドセットは、
基底部分に結合されたレールと、追加の基底部分に結合された追加のレールと、をさらに含んでいてもよく、調節機構は、基底部分の中心と追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を中心間隔調節入力に応答して調節するように構成される。
【0014】
本発明による一実施形態において、VRヘッドセットは、
円錐体の頭頂部分と基底部分に結合され、頭頂部分と基底部分との間の距離を、調節機構から受け取った入力に応答して短縮するように構成された圧縮アジャスタをさらに含んでいてもよい。
【0015】
圧縮アジャスタは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されるバネであってもよい。
円錐体は、熱可塑性ポリウレタンを含んでいてもよい。
【0016】
不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性であってもよい。
本発明による一実施形態において、仮想現実(VR)ヘッドセットは、
画像光を出力するように構成された電子表示素子と、
画像光を受け取るように構成された光学系ブロックと、を含み、光学系ブロックは、
画像光の一部を、VRヘッドセットの使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳へと方向付けるように構成されたレンズと、
基底部分と頭頂部分を含む円錐体であって、基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、頭頂部分がレンズに結合されており、円錐体は、基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光をレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ頭頂部分と基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、円錐体と、
円錐体の頭頂部分と基底部分との間の距離を受け取った入力に基づいて調節するように構成された調節機構と、
円錐体の頭頂部分と基底部分に結合され、頭頂部分と基底部分との間の距離を受け取った入力に応答して短縮するように構成された圧縮アジャスタと、
を含む。
【0017】
圧縮アジャスタは、電流を受け取ったことに応答して圧縮するように構成されたバネであってもよい。
電流は、受け取った入力に応答してバネにより受け取られてもよい。
【0018】
光学系ブロックは、
画像光の一部を、VRヘッドセットの使用者の他の眼の位置と一致する対応する射出瞳へと方向付けるように構成された追加のレンズと、
追加の基底部分と追加の頭頂部分を含む追加の円錐体であって、追加の基底部分がVRヘッドセットの硬質本体の取付面に結合され、追加の頭頂部分が追加のレンズに結合されており、追加の円錐体は、追加の基底部分を通る画像光を受け取り、この画像光を追加のレンズに向かって方向付けるように構成され、かつ追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を調節するように変形可能な不透過性材料からなる、追加の円錐体とをさらに含んでいてもよく、
調節機構はさらに、追加の円錐体の追加の頭頂部分と追加の基底部分との間の距離を受け取った入力に基づいて調節するように構成される。
【0019】
本発明による一実施形態において、VRヘッドセットは、
基底部分に結合されたレールと、追加の基底部分に結合された追加のレールと、をさらに含み、調節機構は、基底部分の中心と追加の基底部分の中心との間の中心間隔距離を中心間隔調節入力に応答して調節するように構成される。
【0020】
円錐体は、熱可塑性ポリウレタンを含んでいてもよい。
不透過性材料は、可視光の波長に対して不透過性であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による、仮想現実(VR)システムを含むシステム環境のブロック図である。
図2A】一実施形態による仮想現実ヘッドセットの配線図である。
図2B】一実施形態による、図2AのVRヘッドセットの前方硬質本体の断面図である。
図3】一実施形態による、図2Aに示されるVRヘッドセットの前方硬質本体の実施形態の配線図である。
図4】一実施形態による、図3に示される前方硬質本体の取付面に結合された2つのアイカップアセンブリの一実施形態の配線図である。
図5A】一実施形態による、完全に伸張した状態のアイカップアセンブリの断面図である。
図5B】一実施形態による、完全に圧縮した状態のアイカップアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は、本開示の実施形態を単に例示のために描いている。当業者であれば、以下の説明から、本願において例示されている構造および方法の代替的な実施形態を、本願において説明されている開示の原理、または売り込まれている利点から逸脱せずに利用できることが容易にわかるであろう。
【0023】
システムの概要
図1は、VRコンソール110が動作する仮想現実(VR)システム環境100のブロック図である。図1に示されるシステム環境100は、VRヘッドセット105と、撮像装置135と、VR入力インタフェース140と、含み、これらは各々、VRコンソール110に結合されている。図1は1つのVRヘッドセット105、1つの撮像装置135、および1つのVR入力インタフェース140を含むある例示的なシステム環境100を示しているが、他の実施形態においては、任意の数の構成要素が、システム環境100内に含められてもよい。例えば、複数のVRヘッドセット105があってもよく、その各々が、関連するVR入力インタフェース140を有し、かつ1つまたは複数の撮像装置135によりモニタされ、各VRヘッドセット105、VR入力インタフェース140、および撮像装置135がVRコンソール110と通信する。代替的な構成において、異なる、および/または追加の構成要素が、システム環境100内に含められてもよい。
【0024】
VRヘッドセット105は、使用者にメディアを提示する頭部装着型ディスプレイである。VRヘッドセットにより提示されるメディアの例としては、1つまたは複数の画像、ビデオ、オーディオ、またはそれらの何れかの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、音声は外部装置(例えば、スピーカおよび/またはヘッドフォン)を介して提示され、これは音声情報をVRヘッドセット105、VRコンソール110、またはそれらの両方から受け取り、この音声情報に基づいて音声データを提示する。VRヘッドセット105の一実施形態については、図2Aおよび2Bに関連して後でさらに説明する。VRヘッドセット105は、1つまたは複数の硬質本体を含んでいてもよく、これは相互に一体として強固な状態または強固でない状態に結合されてもよい。硬質本体間の強固な状態での結合によって、結合された硬質本体は1つの硬質の実体として機能する。それに対して、硬質本体間の強固でない状態の結合では、硬質本体が相互に関して移動できる。
【0025】
VRヘッドセット105は、電子ディスプレイ115と、光学系ブロック118と、1つまたは複数のロケータ120と、1つまたは複数の位置センサ125と、慣性測定装置(IMU:inertial measurement unit)130とを含む。電子ディスプレイ115は、VRコンソール110から受け取ったデータに従ってユーザに対して画像を表示する。各種の実施形態において、電子ディスプレイ115は、1つの電子ディスプレイを含んでいても、複数の電子ディスプレイ(例えば、使用者の各眼について1つのディスプレイ)を含んでいてもよい。電子ディスプレイ115の例としては、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、アクティブマトリクス有機発光ダイオードディスプレイ(AMOLED)、他の何れかのディスプレイ、またはこれらの何れかの組合せが含まれる。
【0026】
光学系ブロック118は、受け取った光を増幅し、画像光に関連する光学エラーを補正し、補正された画像光をVRヘッドセット105の使用者に対して提示する。各種の実施形態において、光学系ブロック118は、1つまたは複数の光学素子を含む。光学系ブロック118に含められる例示的な光学素子としては、絞り、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、または画像光に影響を与える他の何れかの適当な光学素子が含まれる。さらに、光学系ブロック118は、様々な光学素子の組合せを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、光学系ブロック118に含められる光学素子のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のコーティング、例えば反射防止コーティングを有していてもよい。
【0027】
光学系ブロック118による画像光の増幅によって、電子ディスプレイ115を物理的に小型化、軽量化し、より大型のディスプレイより消費電力を少なくすることができる。それに加えて、増幅により、電子ディスプレイ115により提示されるコンテンツの視野を増大させ得る。例えば、表示されたコンテンツの視野は、表示されたコンテンツが、使用者の視野のほとんどすべて(例えば、対角線で110度)および、場合によっては全部を使って提示されるようになる。それに加えて、いくつかの実施形態において、拡大の量は光学要素を追加したり、減らしたりすることによって調節されてもよい。
【0028】
光学系ブロック118は、1つまたは複数の種類の光学エラーを補正するように設計されてもよい。光学エラーの例としては、2次元光学エラー、3次元光学エラー、またはそれらの何れかの組合せが含まれる。2次元エラーは、2次元で発生する光収差である。2次元エラーの種類の例としては、樽型歪曲、糸巻型歪曲、軸上色収差、倍率色収差、または他の何れかの種類の2次元光学エラーが含まれる。3次元エラーは、3次元で発生する光学エラーである。3次元エラーの種類の例としては、球面収差、コマ収差、像面湾曲、非点収差、または他の何れかの種類の3次元光学エラーが含まれる。いくつかの実施形態において、表示のために電子ディスプレイ115に提供されるコンテンツは予歪された状態にあり、光学系ブロック118は、コンテンツに基づいて生成された電子ディスプレイ115からの画像光を受け取った時に歪曲を補正する。
【0029】
光学系ブロック118は、各眼に1つのアイカップアセンブリを含む。各アイカップアセンブリはレンズを含み、電子ディスプレイ115からの画像光を受け取って、この画像光をレンズへと方向付けるように構成され、レンズは画像光を、VRヘッドセット105を装着する使用者の、対応する眼へと方向付ける。いくつかの実施形態において、アイカップアセンブリの1つまたは複数は変形可能であるため、アイカップアセンブリは圧縮され、または伸張されて、使用者の眼とアイカップアセンブリのある部分との間の空間を、それぞれ増大または縮小してもよく、これについては、図3〜5Bに関して後でさらに説明する。
【0030】
いくつかの実施形態において、光学系ブロック118は調節機構を含み、これは使用者がアイカップアセンブリの一方または両方の位置を使用者の眼に関して調節できるような機械的または電気的装置である。いくつかの実施形態において、調節機構は、各アイカップアセンブリの外面と使用者の眼との間の間隔を調節するため、使用者はVRヘッドセット105をより快適に使用できる。例えば、眼鏡をかけていない使用者は、調節機構を介して、眼鏡をかけている使用者よりアイカップアセンブリをより自分の眼の近くに位置付ける。それに加えて、いくつかの実施形態において、調節機構により、使用者は両方のアイカップアセンブリ間の中心間隔距離を、使用者の瞳孔間距離(すなわち、使用者の両眼の瞳孔の中心間の距離)と一致させることができる。中心間隔距離を調節することにより、使用者はVRヘッドセット105の射出瞳の位置を使用者の眼の位置にと整列させるこができる。したがって、調節機構により、瞳孔間距離が異なる、眼鏡をかけていない、眼鏡をかけている、または他の何れかの適当な特性を有する異なる使用者が1つのVRヘッドセット105を使用できることになる。
【0031】
ロケータ120は、VRヘッドセット105上の、相互に関する、およびVRヘッドセット105上の特定の基準点に関する特定の位置に配置される物体である。ロケータ120は、発光ダイオード(LED)、コーナキューブリフレクタ、反射マーカ、VRヘッドセット105が動作する環境と対照的な種類の光源、またはそれらの何れかの組合せであってもよい。一実施形態において、ロケータ120がアクティブ(すなわち、LEDまたは他の種類の発光装置)であるとき、ロケータ120は可視バンド(約380nm〜750nm)、赤外(IR)バンド(約750nm〜1mm)、紫外バンド(10nm〜380nm)、電磁スペクトルの他の何れかの部分、またはこれらの何れかの組合せの光を発してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、ロケータ120は、VRヘッドセット105の外面の下に位置付けられ、外面はロケータ120により発せられ、または反射される光の波長を透過させるか、またはロケータ120により発せられ、または反射された光の波長を実質的に減衰させないように十分なほど薄い。それに加えて、いくつかの実施形態において、VRヘッドセット105の外面またはその他の部分は、光の波長の可視バンドにおいて不透過性である。それゆえ、ロケータ120は、IRバンド内で透過性であるが、可視バンド内で不透過性の外面の下で、IRバンド内の光を発してもよい。
【0033】
IMU 130は、位置センサ125のうちの1つまたは複数から受け取った測定信号に基づいて、VRヘッドセット105の初期位置に関するVRヘッドセット105の推定位置を示す高速較正データ(fast calibration data)を発生する電子装置である。位置センサ125は、VRヘッドセット105の動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサ125の例としては、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁気探知機、運動を検出する他の適当な種類のセンサ、IMU 130のエラー補正のために使用される種類のセンサ、またはこれらの何れかの組合せが含まれる。位置センサ125は、IMU 130の外部、IMU 130の内部、またはそれらの何れかの組合せに配置されてもよい。
【0034】
1つまたは複数の位置センサ125により生成される1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU 130は、VRヘッドセット105の初期位置に関するVRヘッドセット105の推定位置を示す高速較正データを生成する。例えば、位置センサ125は、並進運動(前後、上下、左右)を測定する複数の加速度計および回転運動(例えば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定する複数のジャイロスコープを含む。いくつかの実施形態において、IMU 130は、各種の位置センサ125からの測定信号を高速でサンプリングし、サンプリングされたデータからVRヘッドセット105の推定位置を計算する。例えば、IMU 130は、ある期間にわたり1つまたは複数の加速度計から受け取った測定信号を積分して、VRヘッドセット105上の基準点の推定位置を決定する。あるいは、IMU 130は、サンプリングされた測定信号をVRコンソール110に供給し、VRコンソール110が高速較正データを決定する。基準点は、VRヘッドセット105の位置を説明するために使用できる点である。基準点は一般に、空間内のある点として定義されてもよいが、実際には、基準点はVRヘッドセット105内のある点(例えば、IMU 130の中心)として定義される。
【0035】
IMU 130は、VRコンソール110から1つまたは複数の較正パラメータを受け取る。後でさらに述べるように、1つまたは複数の較正パラメータは、VRヘッドセット105を継続的に追跡するために使用される。受け取った較正パラメータに基づいて、IMU 130は、1つまたは複数のIMUパラメータ(例えば、サンプリングレート)を調整してもよい。いくつかの実施形態において、特定の較正パラメータはIMU 130に基準点の初期位置を更新させるため、これは基準点の次の較正された位置に対応する。基準点の初期位置を基準点の次の較正された位置として更新することは、決定された推定位置に関連する累積エラーを減らすのに役立つ。累積エラーは、ドリフトエラーとも呼ばれ、基準点の推定位置がある時間を経て基準点の実際の位置から「ドリフトする」原因となる。
【0036】
撮像装置135は、VRコンソール110から受け取った較正パラメータに従って低速較正データ(slow calibration data)を生成する。低速較正データには、撮像装置135により検出可能なロケータ120の観察された位置を示す1つまたは複数の画像が含まれる。撮像装置135には、1つまたは複数のカメラ、1つまたは複数のビデオカメラ、ロケータ120のうちの1つまたは複数を含む画像を撮影できる他の何れかの装置、またはそれらの組合せが含まれてもよい。それに加えて、撮像装置135は、1つまたは複数のフィルタ(例えば、信号対ノイズ比を高めるため)を含んでいてもよい。撮像装置135は、撮像装置135の視野内にあるロケータ120から発せられ、または反射された光を検出するように構成される。ロケータ120がパッシブ素子(例えば、レトロリフレクタ)を含む実施形態において、撮像装置135は、ロケータ120のいくつかまたは全部を照明する光源を含んでいてもよく、これにより光が撮像装置135内の光源に向かって逆反射する。低速較正データは、撮像装置135からVRコンソール110へと通信され、撮像装置135はVRコンソール110から1つまたは複数の較正パラメータを受け取って、1つまたは複数の画像パラメータ(例えば、焦点距離、焦点、フレームレート、ISO、センサ温度、シャッタスピード、絞り等)を調整する。
【0037】
VR入力インタフェース140は、使用者がVRコンソール110へと動作要求を送信できるようにする装置である。動作要求は、特定の動作を実行することの要求である。例えば、動作要求は、あるアプリーションを開始もしくは終了することでも、そのアプリケーションにおける特定の動作を実行することでもよい。VR入力インタフェース140は、1つまたは複数の入力装置を含んでいてもよい。例示的な入力装置としては、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、ジョイスティック、ヨーク、または動作要求を受け取り、受け取った動作要求をVRコンソール110に通信するのに適した他の何れかの装置が含まれる。VR入力インタフェース140が受け取る動作要求は、VRコンソール110に通信され、VRコンソール110が動作要求に対応する動作を実行する。いくつかの実施形態において、VR入力インタフェース140は、VRコンソール110から受け取った命令に従って、使用者に触覚フィードバックを提供してもよい。例えば、触覚フィードバックは動作要求が受け取られたときに提供されるか、またはVRコンソール110は命令をVR入力インタフェース140に通信して、VRコンソール110が動作を実行するときにVR入力インタフェース140に聴覚フィードバックを生成させる。
【0038】
VRコンソール110は、撮像装置135、VRヘッドセット105、およびVR入力インタフェース140のうちの1つまたは複数から受け取った情報に従って、使用者に提示するためのコンテンツをVRヘッドセット105に提供する。図1に示されている例において、VRコンソール110は、アプリケーションストア145と、追跡モジュール150と、仮想現実(VR)エンジン155とを含む。VRコンソール110のいくつかの実施形態は、図1に関連して説明したものとは異なる構成要素を有する。同様に、後でさらに説明する機能は、VRコンソール110の構成要素間で、ここで説明したものとは異なる方法で分散されてもよい。
【0039】
アプリケーションストア145は、VRコンソール110によって実行される1つまたは複数のアプリケーションを保存する。アプリケーションは命令の集合であり、これはプロセッサにより実行されると、ユーザに提示されるコンテンツを生成する。アプリケーションにより生成されるコンテンツは、VRヘッドセット105またはVRインタフェース140の移動を介して使用者から受け取った入力に応答していてもよい。アプリケーションの例としては、ゲームアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の適当なアプリケーションが含まれる。
【0040】
追跡モジュール150は、1つまたは複数の較正パラメータを使ってシステム環境100を較正し、1つまたは複数の較正パラメータを調整して、VRヘッドセット105の位置の決定におけるエラーを低減する。例えば、追跡モジュール150は撮像装置135の焦点を調整して、VRヘッドセット105上の観察されたロケータに関する、より正確な位置を取得する。さらに、追跡モジュール150により実行される較正は、IMU130から受け取る情報にも関わる。それに加えて、VRヘッドセット105を追跡できなくなると(例えば、撮像装置135がロケータ120の少なくとも閾値の数の視線を失うと)、追跡モジュール140はシステム環境100の一部または全部を再較正する。
【0041】
追跡モジュール150は、撮像装置135からの低速較正情報を使ってVRヘッドセット105の動きを追跡する。例えば、追跡モジュール150は、低速較正情報とVRヘッドセット105のモデルから、観察されたロケータ120を使って、VRヘッドセット105の基準点の位置を決定する。追跡モジュール150は、高速較正情報からの位置情報を使ってVRヘッドセット105の基準点の位置を決定する。それに加えて、いくつかの実施形態において、追跡モジュール150は、高速較正情報の一部、低速較正情報、またはそれらの何れかの組合せを使って、ヘッドセット105将来の位置を予測してもよい。追跡モジュール150は、VRヘッドセット105の推定または予測された将来の位置をVRエンジン155に提供する。
【0042】
VRエンジン155は、システム環境100内でアプリケーションを実行し、追跡モジュール150からVRヘッドセット105の位置情報、加速情報、速度情報、予測された将来の位置、またはその何れかの組合せを受け取る。受け取った情報に基づいて、VRエンジン155は、使用者に提示されるようにVRヘッドセット105に提供するコンテンツを決定する。例えば、受け取った情報が、使用者が左を見ていることを示していれば、VRエンジン155は、仮想環境内でその使用者の動きを反映するVRヘッドセット105のためのコンテンツを生成する。それに加えて、VRエンジン155は、VR入力インタフェース140から受け取った動作要求に応答して、VRコンソール110上で実行されるアプリケーションにおける動作を実行し、その動作が実行されたというフィードバックを使用者に提供する。提供されるフィードバックは、VRヘッドセット105を介した視覚的フィードバックまたは可聴フィードバックでも、VR入力インタフェース140を介した触覚フィードバックでもよい。
【0043】
図2Aは、一実施形態による仮想現実(VR)ヘッドセット200の配線図である。VRヘッドセット200は、VRヘッドセット105の一実施形態であり、前方硬質本体205とバンド210とを含む。前方硬質本体205は、電子ディスプレイ115(図示せず)の1つまたは複数の電子表示素子と、IMU 130と、1つまたは複数の位置センサ125と、ロケータ120とを含む。図2Aに示される実施形態において、位置センサ125はIMU 130内に配置され、IMU 130と位置センサ125の何れも、使用者からは見えない。
【0044】
ロケータ120は、前方硬質本体205の上の、相互に関して、および基準点215に関して固定された位置に配置される。図2Aの例において、基準点215はIMU 130の中心に配置される。ロケータ120の各々は光を発し、これは撮像装置135により検出可能である。ロケータ120またはロケータ120の一部は、図2Aの例において、前方硬質本体205の前面220A、上面220B、下面220C、右面220D、および左面220Eに配置される。
【0045】
図2Bは、図2Aに示されるVRヘッドセット200の一実施形態の前方硬質本体205の断面225である。図2Bに示されるように、前方硬質本体205は、変化した画像光を射出瞳250に提供する光学ブロック230を含む。射出瞳250は、VRヘッドセット200の使用中に使用者の眼245が位置付けられる位置である。例示を目的として、図2Bは片眼245に関連する断面225を示しているが、光学ブロック230とは別の他の光学ブロックが、変化した画像光を使用者の他の眼に提供する。
【0046】
光学ブロック230は、電子ディスプレイ115の電子表示素子235と、光学系ブロック118とを含む。電子表示素子235は画像光を光学系ブロック118に向かって発する。いくつかの実施形態において、光学系ブロック118は、1つまたは複数の光学素子またはその他の構成要素を介して1つまたは複数の光学エラー(例えば、歪曲、収差等)を補正する。光学系ブロック118は、アイカップアセンブリを介して、補正された画像光を、使用者に提示するために射出瞳250へと方向付ける。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の光学エラーを修正するための光学要素がアイカップアセンブリに含まれる。
【0047】
図3は、図2Aに示されるVRヘッドセット200の前方硬質本体205の一実施形態の配線図である。前方硬質本体205は、取付面340上の取付位置320および330にそれぞれ結合されたアイカップアセンブリ310および315を含む。図4に関連して以下に述べるように、アイカップアセンブリ310、315の一部を圧縮し、伸張し、またはそれ以外に変形させて、使用者の眼とアイカップアセンブリ310、315の外面370との間の間隔を調節してもよい。いくつかの実施形態において、調節機構350は、アイカップアセンブリ310、315のうちの1つまたは複数を変形させて、使用者の眼の1つまたは複数とアイカップアセンブリ310、315の1つまたは複数との間の間隔を調節する。あるいは、使用者は、使用者の眼とアイカップアセンブリのうちの1つまたは複数の外面370との間の間隔を、アイカップアセンブリ310、315を手動で圧縮するか、または伸張することによって手動で調節してもよい。それに加えて、いくつかの実施形態において、アイカップアセンブリ310、315を取付面340に結合することによって、アイカップアセンブリ310、315の中心線間の中心間隔360を調節できる。これによって、使用者は中心間隔360を使用者の瞳孔間距離(すなわち、使用者の両眼の瞳孔の中心間の距離)と一致するように調節できる。
【0048】
図4は、図3に示される前方硬質本体205の取付面340に結合された2つのアイカップアセンブリ310、315の一実施形態の配線図である。図4に示されるように、アイカップアセンブリ310、315は取付面340に結合されて、アイカップアセンブリ310、315間の中心間隔360を調節できるようになっている。図4の例において、取付面340はレール410を含み、これはアイカップアセンブリ310、315に結合され、かつ調節機構350に結合される。いくつかの実施形態において、レール410にはねじ山が設けられ、アイカップアセンブリ310、315の一方または両方の、対応するねじ山と噛み合う。例えば、一方または両方のレール410がある方向に回転すると、アイカップアセンブリ310、315は相互に向かって移動し、他方で、レールの一方または両方が反対方向に回転すると、アイカップアセンブリ310、315は相互に反対に移動する。
【0049】
各アイカップセンブリ310、315は円錐体420と、レンズアセンブリ430と、1つまたは複数の圧縮アジャスタ440とを含む。アイカップアセンブリ310、315のレンズアセンブリ430は1つまたは複数の光学素子を含み、画像光の一部をVRヘッドセット200の、使用者の眼の位置と一致する、対応する射出瞳250に方向付けるように構成される。いくつかの実施形態において、レンズアセンブリ430はまた、1つまたは複数の種類の光学エラーを補正し、かつ/または画像光を増幅するように構成される。
【0050】
円錐体420は、頭頂部分450と基底部分460を含む。頭頂部分450はレンズアセンブリ430に結合され、かつレンズアセンブリ430を保持するように構成される。円錐体420は、基底部分460を通る画像光を受け取り、画像光をレンズアセンブリ430に向かって方向付けるように構成される。各種の実施形態において、円錐体420は、可視光に対して不透過性の材料からなり、変形可能であるため、頭頂部分450と基底部分460との間の変形距離470が変化してもよい。例えば、円錐体420は熱可塑性ポリウレタンで製作される。いくつかの実施形態において、使用者は円錐体420を手動で圧縮し、または伸張して、変形距離470を変化させてもよく、円錐体420は変形された状態を保つ。他の実施形態において、変形距離470は、調節機構350または他の適当な機構を使って調節されてもよい。
【0051】
円錐体420は、その頭頂部分450とその基底部分460との間の異なる距離に対応する様々な位置状態をとる。例示的な位置状態としては、完全に伸張した状態、途中まで圧縮した状態、および完全に圧縮した状態が含まれる。完全に伸張した状態は、円錐体420の、頭頂部分450と基底部分460との間の距離が最大値をとる状態である。完全に圧縮した状態は、円錐体420の、頭頂部分450と基底部分460との間の距離が最小値をとる状態である。途中まで圧縮した状態は、円錐体420の、頭頂部分450と基底部分460との間の距離が最大値より小さく、最小値より大きい数値の状態である。例えば、図5Aは、完全に伸張した状態510のアイカップアセンブリ500の一実施形態の断面図である。これに対して、図5Bは、完全に圧縮した状態520のアイカップアセンブリ500の一実施形態の断面図である。
【0052】
図4に戻ると、圧縮アジャスタ440は、特定の円錐体420の、円錐体420の頭頂部分450上のある点と円錐体520の基底部分460上のある点との間の距離を調節する。各円錐体420は、少なくとも1つの圧縮アジャスタ440を含む。図4に示される実施形態において、各円錐体420は3つの圧縮アジャスタ440を含む。圧縮アジャスタ440は機械的装置でも、電気的装置でも、またはそれらの何れかの組合せでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、圧縮アジャスタ440は、調節機構350に電気的に結合されたバネか、または他の適当な装置である。バネは導電性材料からなり、電流をバネに印加することによって、バネは圧縮する。電流がバネに供給されていないとき、バネは圧縮しない。各種の実施形態において、電流が印加された時にバネが圧縮する量は、バネに印加される電流の量と正の相関を有する。電流が印加された時にバネが圧縮するのは、バネのコイルが同じ方向に流れる電流を有し、それが磁場を生成して、バネの各ループが相互に引きつけるからである。
【0054】
調節機構350は、アイカップアセンブリ310、315の一方および/または両方を変形させることのできる機械的および/または電気的調節装置であってもよい。アイカップアセンブリ310、315が変形すると、アイカップアセンブリ310、315の円錐体420の頭頂部分450と、アイカップアセンブリ310、315の円錐体420の基底部分460との間の変形距離470が変化する。調節機構350は、1つまた複数の圧縮アジャスタ440に機械的および/または電気的に結合される。使用者からの入力を受け取ったことに応答して、調節装置350は圧縮アジャスタ440の1つまたは複数を圧縮し、または伸張する。
【0055】
それに加えて、いくつかの実施形態において、調節機構350は、アイカップアセンブリ310、315の一方または両方をレール410に沿って移動させてもよい。例えば、調節機構350はレール410と(電気的および/または機械的に)相互作用し得るため、使用者が調節機構350を介して調節することにより、中央間隔距離360が変化する。代替的な実施形態においては、アイカップアセンブリ310、315の中央間隔距離360を調節するために異なる調節機構が使用される。
【0056】
取付面345はまた、1つまたは複数の検出器495を含んでいてもよく、検出器495はアイカップアセンブリ310、315に関する位置情報を決定するために使用される。例えば、較正中に、検出器495は、レール410の異なる位置を決定し、レール410の位置はアイカップアセンブリ310、315の対応する位置にマッピングされる。それゆえ、VRヘッドセット105は、検出器495により決定されたレール410の位置を使って、アイカップアセンブリ310、315の位置を決定する。
【0057】
概要
本開示の実施形態に関する上記の説明は、例示を目的として提供されており、これらを排他的としたり、本開示を開示されている正確な形態に限定したりすることは意図されない。当業者であれば、上述の開示から、多くの改良や変更が可能であることがわかる。
【0058】
本明細書で使用されている文言は基本的に、読みやすく、分かり易くするために選ばれており、本発明の主旨を限定または制限するために選択されていない。したがって、本開示の範囲はこの詳細な説明によってではなく、本発明に基づく出願時に記載された何れかの特許請求項によって限定されることが意図される。そのため、開示されている実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲を限定するのではなく、例示するためのものである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B