(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、防火戸のラッチ式レリーズ装置は、避難経路となる例えば廊下に設置した防火戸を壁際に沿った開放状態に保持しており、火災が発生した場合に、遠隔操作による電磁ソレノイドの駆動でラッチを解除し、ドアクローザの力により防火戸を通路を遮る閉鎖位置に移動させている。
【0003】
このような防火戸のラッチ式レリーズ装置は、防火戸設置場所の壁面に日本工業規格(JIS)の規格品として知られたスイッチボックス(アウトレットボックスとも言う)を埋込設置し、スイッチボックスの開口部に、裏面にラッチ式レリーズを取り付けたカバープレートをねじ止め固定し、更に、その外側に化粧カバーを装着するようにしている。
【0004】
図15は従来のラッチ式レリーズ装置の説明図であり、
図15(A)に正面を示し、
図15(B)にX−X断面を示す。また
図16はスイッチボックスを取り出して示して示した説明図であり、
図16(A)に正面を示し、
図16(B)にX−X断面を示す。さらに
図17はカバープレートを取り出して示す。
【0005】
図15乃至
図17に示すように、従来のラッチ式レリーズ装置は、スイッチボックス100の開口部に、裏面にラッチ式レリーズ104を取付け固定したカバープレート102を4箇所でねじ106によりねじ込み固定している。
【0006】
スイッチボックス100は、略正方形の開口部をもち、開口部内側に4箇所の張出部108を一体に形成し、そこにねじ穴110を加工している。またスイッチボックス100の上部には
通線穴を備えた電線管接続口112を設け、電線管を介して外部から引き込んだ信号線を、ラッチ式レリーズ104を駆動する電磁ソレノイドに接続している。
【0007】
スイッチボックス
100のねじ穴110の中心位置は、正方形開口の対角線交点を中心Pとした所定の半径Rの仮想的な円上となる位置であり、ねじ穴110の図示の横幅はL1であり、これに対し図示の縦幅はそれより長いL2となっており、L1,L2は規格で決まっており、例えばL1=46mm、L2=83.5mmとしている。
【0008】
カバープレート102は、図示で横向きにレリーズ穴
114を開口し、スイッチボックス100のねじ穴110に対応して円弧穴116aを4箇所に形成している。また、カバープレート102は、レリーズ穴114を図示で縦向きとした取付けを可能とするため、円弧穴116aに対し90度回転した位置に別の円弧穴116bを4箇所に形成している。
【0009】
図18はスイッチボックスにカバープレートを取付ける場合の位置合せを示した説明図である。
図18に示すように、スイッチボックス100の開口部にカバープレート102を載せ、何れか一箇所について、カバープレート102の円弧穴116aの中にスイッチボックス100のねじ穴110が見えるように位置合せし、この状態で円弧穴116aを介してねじ穴110にねじをねじ込み、続いて、残り3箇所について同様に位置合せして円弧穴116aを介してねじ穴110にねじをねじ込み、最終的にスイッチボックス100の開口部にカバープレート102を位置合せてして締め付け固定する。
【0010】
図19は、レリーズ穴114を図示で縦向きとなるようにカバープレート102をねじ込み固定する場合であり、
図18に対しカバープレート102を90°回転した位置とし、この場合も、何れか一箇所について、カバープレート102の円弧穴116bの中にスイッチボックス100のねじ穴110が見えるように位置合せし、この状態で円弧穴116bを介してねじ穴110にねじをねじ込み、続いて、残り3箇所について同様に位置合せしてねじ穴110に円弧穴116bを介してねじをねじ込み、最終的にスイッチボックス100の開口部にカバープレート102を位置合せてして締め付け固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来のラッチ式レリーズ装置におけるスイッチボックスに対するカバープレートの取付作業にあっては、スイッチボックスから引き出した信号線をカバープレートの裏面に取り付けているラッチ式レリーズの電磁ソレノイドに接続した状態で、カバープレートをスイッチボックスの開口部に、
図15又は
図16に示したように位置合せしてねじにより取り付け固定しており、カバープレートを片手で位置決めしながら、もう一方の手にドライバを持ってねじをねじ穴にセットしてねじ込むという煩雑な作業を必要とし、手間と時間がかかると共に熟練を必要とする作業となっている。
【0013】
本発明は、スイッチボックスに対するカバープレートの位置決めを伴う取付作業を簡単且つ容易に行うことを可能とするラッチ式レリーズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(ラッチ式レリーズの2方向取付選択構造 その1)
また、本発明は、防火戸を設置する場所の壁面に埋設されたスイッチボックスの開口部に、ラッチ式レリーズを備えたカバープレートをねじ止め固定するラッチ式レリーズ装置に於いて、
スイッチボックスは、開口部の4箇所にねじ穴を形成し、
カバープレートは、スイッチボックスの4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部(ねじシャフト部)を挿通可能な円弧穴を4箇所に形成すると共に、円弧穴の各々に、カバープレートを第1の向きで取付ける場合にねじの頭部を挿通可能な大径の第1遊嵌穴と、カバープレートの第1の向きに対し90度回転した第2の向きで取り付ける場合にねじの頭部を挿通可能な大径の第2遊嵌穴とを形成し、
スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの第1の向きに対応した
第1遊嵌穴は第2の向きに対応した
第2遊嵌穴を位置合せして嵌め入れた後に、第1の向きは又は第2の向きに回動してねじ止め固定する取付構造としたことを特徴とする。
【0016】
(ラッチ式レリーズの2方向取付選択構造 その2)
また、本発明は、防火戸を設置する場所の壁面に埋設されたスイッチボックスの開口部に、ラッチ式レリーズを備えたカバープレートをねじ止め固定するラッチ式レリーズ装置に於いて、
スイッチボックスは
、開口部の4箇所にねじ穴を形成し、
カバープレートは、前記スイッチボックスの4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部(ねじシャフト部)を挿通可能な円弧穴を4箇所に形成すると共に、円弧穴の各々にねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、
スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの第1の向き又は第2の向きに対応して遊嵌穴を位置合せして嵌め入れた後に、第1の向きは又は第2の向きに回動してねじ止め固定する取付構造としたことを特徴とする。
【0017】
(ねじ穴と円弧穴の位置関係)
スイッチボックスのねじ穴を、
カバープレートを取付ける略正方形の開口部の対角線交点を中心とする所定半径の円に内接する所定の長方形の頂点が位置するカバー内側の4箇所に形成し、
カバープレートの円弧穴を、スイッチボックスの4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な円の一部となる4箇所に形成する。
【0018】
(カバープレートを横移動して位置決めする取付構造)
本発明は、防火戸を設置する場所の壁面に埋設されたスイッチボックスの開口部に、ラッチ式レリーズを備えたカバープレートをねじ止め固定するラッチ式レリーズ装置に於いて、
スイッチボックスは、前記開口部の4箇所にねじ穴を形成し、
カバープレートは、
スイッチボックスに第1の向きで取付ける場合に、スイッチボックスの4箇所のねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な横向きの第1の長穴を4箇所に形成すると共に第1の長穴の各々にねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、且つ
第1の向きに対し90度回転した第2の向きで取り付ける場合に、スイッチボックスの4箇所のねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な
縦向きの第2の長穴を4箇所に形成すると共に第2の長穴の各々にねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、
スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの第1の向きに対応した第1の長穴の遊嵌穴又は第2の向きに対応した第2の長穴の遊嵌穴を位置合せして嵌め入れた後に、カバープレートを横移動により位置決めしてねじ止め固定する取付構造としたことを特徴とする。
【0019】
(カバープレートを縦移動して位置決めする取付構造)
本発明は、防火戸を設置する場所の壁面に埋設されたスイッチボックスの開口部に、ラッチ式レリーズを備えたカバープレートをねじ止め固定するラッチ式レリーズ装置に於いて、
スイッチボックスは、開口部の4箇所にねじ穴を形成し、
カバープレートは、
スイッチボックスに第1の向きで取付ける場合に、スイッチボックスの4箇所のねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な縦向きの第1の長穴を4箇所に形成すると共に第1の長穴の各々にねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、且つ
第1の向きに対し90度回転した第2の向きで取り付ける場合に、スイッチボックスの4箇所のねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な
横向きの第2の長穴を4箇所に形成すると共に第2の長穴の各々にねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、
スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの第1の向きに対応した第1の長穴の遊嵌穴又は第2の向きに対応した第2の長穴の遊嵌穴を位置合せして嵌め入れた後に、カバープレートを縦移動により位置決めしてねじ止め固定する取付構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明のラッチ式レリーズ装置によれば、スイッチボックスは、カバーを取付ける開口部の4箇所にねじ穴を形成し、カバープレートは、スイッチボックスの4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部(ねじシャフト部)を挿通可能な円弧穴を4箇所に形成すると共に、円弧穴の各々に、ねじの頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴を形成し、スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの遊嵌穴をねじの頭部に位置合せして嵌め入れた後に所定の向き回動してねじ止め固定する取付構造としたため、スイッチボックスから引き出した信号線をカバープレートの裏側に装着したラッチ式レリーズに接続した状態で、スイッチボックスの開口部にカバープレートを取付固定する場合、まず、スイッチボックス開口部の4箇所のねじ穴にねじの先端部分を少しねじ込んで予め起立しておき、この状態でカバープレートの円弧穴の一部に形成している大径の遊嵌穴を、ねじ頭部に合せて嵌め入れることで、カバープレートをスイッチボックス側にセットし、続いて、スイッチボックスの開口部にカバープレートを位置合せしてねじを締め込むことで固定することができ、スイッチボックスに対するカバープレートの位置合せとねじ込みを別々の作業に分離でき、熟練を必要とすることなく、簡単且つ容易にスイッチボックスにカバープレートを取り付け固定することができる。
【0021】
(ラッチ式レリーズの2方向取付選択構造による効果)
また、カバープレートに、スイッチボックスの4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじのねじ部を挿通可能な円弧穴を4箇所に形成すると共に、円弧穴の各々に、カバープレートを第1の向きで取付ける場合にねじの頭部を挿通可能な大径の第1遊嵌穴と、カバープレートの第1の向きに対し90度回転した第2の向きで取り付ける場合にねじの頭部を挿通可能な大径の第2遊嵌穴とを形成することで、スイッチボックスに対しラッチ式レリーズの向きを横向き(第1の向き)又は縦向き(第2の向き)で取付ける場合についても、スイッチボックスに対するカバープレートの位置合せとねじ込みを別々の作業に分離でき、熟練を必要とすることなく、簡単且つ容易にスイッチボックスにカバープレートを取り付け固定することができる。
【0022】
(カバープレートを横移動又は縦移動して位置決めする取付構造の効果)
また、スイッチボックスの4箇所のねじ穴にねじの先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレートの第1の向きに対応した第1の長穴の遊嵌穴又は第2の向きに対応した第2の長穴の遊嵌穴を位置合せして嵌め入れた後に、カバープレートを横移動又は縦移動により位置決めしてねじ止め固定する取付構造とすることで、スイッチボックスに対しラッチ式レリーズの向きを横向き(第1の向き)又は縦向き(第2の向き)で取付ける場合についても、スイッチボックスに対するカバープレートの位置合せとねじ込みを別々の作業に分離でき、熟練を必要とすることなく、簡単且つ容易にスイッチボックスにカバープレートを取り付け固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[ラッチ式レリーズ装置の概要]
図1はラッチ式レリーズを横向き配置とした実施形態を示した説明図であり、
図1(A)は正面を示し、
図1(B)はX−X断面を示す。また
図2はスイッチボックスを取出して示した説明図であり、
図2(A)に正面を示し、
図2(B)に側面を一部断面で示す。更に、
図3はカバープレートを取出して示した説明図である。
【0025】
図1乃至
図3に示すように、ラッチ式レリーズ装置は、防火戸を設置する場所の壁面等に埋設されるスイッチボックス10の開口部に、裏側にラッチ式レリーズ14を取り付けたカバープレート12を4本のねじ16によりねじ込み固定している。
【0026】
スイッチボックス10は、日本工業規格(JIS)の規格品であり、略正方形の開口部を備えた厚さが例えば1.6mmの金属製ボックスであり、開口部に相対して設けた4箇所の張出部18の各々にねじ穴30を加工している。
【0027】
スイッチボックス10におけるねじ穴30の中心位置は、
図2(A)に示すように、略正方形の開口部における対角線交点Pを中心とする所定半径Rの仮想的な円32に内接する図上で横幅L1、縦幅L2の所定の長方形の頂点の位置としている。ねじ穴30の中心間隔となる横幅L1と縦幅L2は規格で決まっており、例えばL1=46mm、L2=83.5mmとなる。なお、スイッチボックス10は
図13の従来例と同じである。
【0028】
スイッチボックス10の図示上部には電線管接続口20を形成し、ここに電線管を接続し、電線管を通して通線穴20aから信号線をボックス内に引き込み、カバープレート12の裏側に取り付けているラッチ式レリーズ14の電磁ソレノイド(図示せず)に信号線を接続する。
【0029】
カバープレート12は、コーナ部をアール取りした厚さ1.6mm程度の略正方形の金属板であり、中央に、図示横向きにレリーズ穴22を開口し、その両側に皿ねじを挿通する通し穴34を形成している。
【0030】
またカバープレート12の上下には皿ねじ穴36を形成し、
図1に示すスイッチボックス10に対するカバープレート12の取り付け固定状態で、カバープレート12の前面に装着する化粧カバーを、皿ねじによる皿ねじ穴36に対するねじ込みで取付け可能としている。なお、化粧カバーには、レリーズ穴22に対応した開口を形成している。
【0031】
スイッチボックス10のねじ穴30に対応したカバープレート12の4箇所には、ねじ16のねじシャフト部を挿通可能な円弧穴24を形成している。この円弧穴24は、スイッチボックス10のねじ穴
30が位置する仮想的な円32に沿った円弧形状としており、この円32に内接する正八角形の1つ置きの辺の位置に略対応して円弧穴24を4箇所に分けて形成している。
【0032】
カバープレート12の円弧穴24とスイッチボックス10のねじ穴30との関係は、レリーズ穴22を図示で横向きとした第1の向きでカバープレート12をスイッチボックス10に取付ける場合、
図3に示すA点がねじ穴30の中心位置となる。
【0033】
また、レリーズ穴22を図示の横向きに対し90°回転して縦向きとした第2の向きでカバープレート12をスイッチボックス10に取付ける場合、
図3に示すB点がねじ穴30の中心位置となる。
【0034】
カバープレート12を第1の向き(レリーズ穴22を横向き)でスイッチボックス10に取り付ける場合に、ねじ穴30が位置するA点の左側近傍には、ねじ
16のねじシャフト部に対し径の大きなねじ頭部を挿通可能な大径の第1遊嵌穴26aを形成している。
【0035】
また、カバープレート12を第2の向き(レリーズ穴22を縦向き)でスイッチボックス10に取り付ける場合に、ねじ穴30が位置するB点の左側近傍には、ねじ
16のねじシャフト部に対し径の大きなねじ頭部を挿通可能な大径の第2遊嵌穴26bを形成している。なお、大径の第1遊嵌穴26aと第2遊嵌穴26bを形成した円弧穴24は、一種のダルマ穴ということもできる。
【0036】
[ラッチ式レリーズを横向きとしたカバープレートの取付け]
図4は
図1のスイッチボックス側に起立するねじに対するカバープレートの嵌め込みを示した説明図、
図5は
図4に続く位置合せと取付け固定を示した説明図、
図6は
図4のX−X断面について
図4のカバープレート嵌め込みと
図5の取付け固定を示した断面図である。なお、
図4及び
図5にあっては、位置関係を分かり易くするため、スイッチボックスとカバープレートのみを示している。
【0037】
スイッチボックス10の開口部にカバープレート12を取り付ける場合には、スイッチボックス10の4箇所のねじ穴30に、ねじ16のねじシャフト部を少しだけねじ込み、ねじ頭部との間にカバープレート12が入る十分な隙間を空けた状態でねじ16を起立させる。
【0038】
この状態で、
図4に示すように、ねじ穴30に起立しているねじ16(図示省略)のねじ頭部に、カバープレート12の円弧穴24に形成している大径の第1遊嵌穴26aが相対するように、カバープレート12を斜めにして位置合せし、この状態でカバープレート12の第1遊嵌穴26aにねじ16のねじ頭部が入るようにカバープレート12を嵌め込み、
図6(A)に示すように、スイッチボックス10側に起立しているねじ16にカバープレート12を保持させる。
【0039】
続いて、
図5に示すように、カバープレート12を左回りに回動して、スイッチボックス10の開口部に位置合せし、この状態でねじ16をねじ穴30に締め込むことで、
図6(B)に示すように、スイッチボックス10にカバープレート12を取り付け固定する。
【0040】
このようにスイッチボックス10に隙間を空けて起立したねじ16にカバープレート
12を嵌め込んで保持させる作業と、続いてスイッチボックス10に起立したねじ16に回動自在に保持しているカバープレート12を位置決めして、ねじ16をドライバを使用して締め付け固定する作業とを分離して行うことができ、従来のように、カバープレートの円弧穴をスイッチボックスのねじ穴に合せながらドライバによるねじを締め付け固定するという煩雑で熟練を要する作業を不要とし、裏面に取り付けたラッチ式レリーズ14に信号線を接続した状態でカバープレート12をスイッチボックス10に簡単且つ容易に取付け固定することを可能とし、作業効率を高めることができる。
【0041】
[ラッチ式レリーズを縦向きとしたカバープレートの取付け]
図7はラッチ式レリーズを縦向きとした実施形態を示した説明図、
図8は
図7のスイッチボックス側に起立したねじに対するカバープレートの嵌め込みを示した説明図、
図9は
図8に続く位置合せと取付け固定を示した説明図である。なお、
図8及び
図9にあっては、位置関係を分かり易くするため、スイッチボックスとカバープレートのみを示している。
【0042】
図7に示すように、本実施形態では、スイッチボックス10に対し、ラッチ式レリーズ14を図示で縦向きとなるように、カバープレート12を位置決めして、4本のねじ16でねじ込み固定している。
【0043】
図7のようにラッチ式レリーズ14を縦置きでスイッチボックス10の開口部にカバープレート12を取付け固定する場合には、まず
図8に示すスイッチボックス10の4箇所のねじ穴30に、ねじ16(図示省略)のねじシャフト部を少しだけねじ込み、ねじ頭部との間にカバープレート12が入る十分な隙間を空けた状態でねじ16を起立させる。
【0044】
続いて、
図4の横向き配置の場合に対し、カバープレート12を90°回転し、この状態で
図8に示すように、ねじ穴30に起立しているねじ16(図示省略)のねじ頭部に、カバープレート12の円弧穴24に形成している大径の第2遊嵌穴26bが相対するように、カバープレート12を斜めにして位置合せし、この状態でカバープレート12の第2遊嵌穴26bにねじ16のねじ頭部が入るようにカバープレート12を嵌め込み、スイッチボックス10側に起立しているねじ16にカバープレート12を保持させる。
【0045】
続いて、
図9に示すように、カバープレート12を左回りに回動して、スイッチボックス10の開口部に位置合せし、この状態でねじ16をねじ穴30に締め込むことで、
図7に示したように、スイッチボックス10にカバープレート12を取り付け固定する。
【0046】
このようにラッチ式レリーズ14を縦置きでスイッチボックス10の開口部にカバープレート12を取り付ける場合にも、スイッチボックス10に隙間を空けて起立したねじ16に対するカバープレート10を嵌め込んで保持させる作業と、続いてスイッチボックス10に起立したねじ16に回動自在に保持しているカバープレート12を位置決めして、ねじ16をドライバを使用して締め付け固定する作業とを分離して行うことができ、従来のように、カバープレートの円弧穴をスイッチボックスのねじ穴に合せながらドライバによるねじを締め付け固定するという煩雑で熟練を要する作業を不要とし、裏面に取り付けたラッチ式レリーズ14に信号線を接続したカバープレート12をスイッチボックス10に簡単且つ容易に取付け固定することを可能とし、作業効率を高めることができる。
【0047】
[カバープレートに遊嵌穴付きの円弧穴を二重に形成した実施形態]
図10は遊嵌穴付きの円弧穴を二重に形成したカバープレートの実施形態を示した説明図、
図11は
図10の外周側の遊嵌穴付きの円弧穴を使用して取付け固定するスイッチボックスを示した説明図である。
【0048】
図10に示すように、本実施形態のカバープレート12は、内側に第1遊嵌穴26aと第2遊嵌穴26bを設けた円弧穴24を4箇所に分けて環状に設けており、この点は
図3のカバープレート12と同じであるが、更に、その外側に、単一の遊嵌穴40を設けた円弧穴38を4箇所に分けて環状に設けている。
【0049】
カバープレート12の外側に設けた円弧穴38は、
図11に示すスイッチボックス10への取り付けを予定している。
図11に示すスイッチボックス10は、開口部の張出部18に、ねじ穴中心を図示の横幅L3と縦幅L4としてねじ穴30を4箇所に設けており、この横幅L3,縦幅L4は規格で決まっており、例えばL3=70mm、L4=105mmとしている。
【0050】
スイッチボックス10のねじ穴30に対応したカバープレート12の4箇所には、ねじ16のねじ部を挿通可能な円弧穴38を形成している。
【0051】
カバープレート12の円弧穴38とスイッチボックス10のねじ穴30との関係は、レリーズ穴22を図示で横向きとした第1の向きでカバープレート12をスイッチボックス10に取付ける場合、
図10に示す円弧穴38の中のC点がねじ穴30の中心位置となる。
【0052】
また、レリーズ穴22を図示の横向きに対し90°回転して縦向きとした第2の向きでカバープレート12をスイッチボックス10に取付ける場合、
図10に示す円弧穴38の中のD点がねじ穴30の中心位置となる。
【0053】
ここで円弧穴
38に対する第1の向きのねじ穴中心位置のC点と第2の向きのねじ穴中心位置のD点は、円弧穴38の両側に位置することから、その間にねじ
16のねじシャフト部に対し径の大きなねじ頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴40を形成している。
【0054】
このカバープレート12に単一の遊嵌穴40を設けた円弧穴38を形成した場合についても、スイッチボックス10の開口部にカバープレート12を取り付ける場合、スイッチボックス10に隙間を空けて起立したねじ16に対するカバープレート
12を嵌め込んで保持させる作業と、続いてスイッチボックス10に起立したねじ16に回動自在に保持しているカバープレート12を位置決めして、ねじ16をドライバを使用して締め付け固定する作業とを分離して行うことができ、従来のように、カバープレートの円弧穴をスイッチボックスのねじ穴に合せながらドライバによるねじを締め付け固定するという煩雑で熟練を要する作業を不要とし、裏面に取り付けたラッチ式レリーズ14に信号線を接続したカバープレート12をスイッチボックス10に簡単且つ容易に取付け固定することを可能とし、作業効率を高めることができる。
【0055】
また、カバープレート12に円弧穴24,38を二重に設けたことで、
図2と
図11に示したねじ穴の中心間隔の異なる2種類のスイッチボックス10について、同じカバープレート12を使用した取付けが選択的にできる。
【0056】
[ラッチ式レリーズを横向き配置のみとする実施形態]
図12はラッチ式レリーズを横向き配置のみとするカバープレートを用いた実施形態を示した説明図であり、
図12(A)に正面を示し、
図12(B)に
図12(A)のX−X断面を示す。
【0057】
図12に示すように、本実施形態のカバープレート12は、
図2に示したねじ穴中心位置の横幅L1,縦幅L2のスイッチボックス10に対し、ラッチ式レリーズを横向きにのみ配置可能とする円弧穴24を形成しており、このため
図3に示したカバープレート12の円弧穴24のねじ穴中心位置を示すB点側の半分を除き、ねじ穴中心位置を示すA点側の半分を残した円弧形状としており、ねじ頭部を挿通する遊嵌穴も、ねじ穴中心位置を示すA点側の第1遊嵌穴26aのみとしている。
【0058】
このようなカバープレート12の構造により、
スイッチボックス10に対しラッチ式レリーズ14を図示で横向きのみとした取付け固定を可能とする。
【0059】
一方、スイッチカバー10に対しラッチ式レリーズ14を図示で縦向きのみとした取付け固定を可能とする場合には、
図3に示したカバープレート12の円弧穴24のねじ穴中心位置を示すA点側の半分を除き、ねじ穴中心位置を示すB点側の半分を残した円弧形状とし、ねじ頭部を挿通する遊嵌穴も、ねじ穴中心位置を示すB点側の第2遊嵌穴26bのみとすれば良い。
【0060】
[カバープレートを横異動して位置決めする取付け構造の実施形態]
図13はカバープレートを横移動して取付け固定する実施形態を示した説明図である。
【0061】
図13に示すように、本実施形態のカバープレート12は、スイッチボックス10に第1の向き(レリーズ穴22を横向き)で取付ける場合に、スイッチボックス10の4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじ16のねじシャフト部を挿通可能な横向きの第1の長穴42aを4箇所に形成すると共に、第1の長穴42aの各々に、ねじ
16のねじシャフト部に対し径の大きなねじ頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴44aを形成している。
【0062】
また、カバープレート12は、スイッチボックス10に第1の向きに対し90度回転した第2の向き(レリーズ穴22を縦向き)で取り付ける場合に、スイッチボックス10の4箇所の
ねじ穴に嵌め入れるねじ16のねじシャフト部を挿通可能な横向きの第2の長穴42b(図示の第1の向きでは縦向きであるが、第2の向きでは横向きとなる)を4箇所に形成すると共に、第2の長穴42bの各々に、ねじ
16のねじシャフト部に対し径の大きなねじ頭部を挿通可能な大径の遊嵌穴44bを形成している。
【0063】
それ以外の構成は
図1の実施形態と同様である。また、なお、大径の遊嵌穴44a,44bを形成した第1の長穴44及び第2の長穴42bは、ダルマ穴ということもできる。
【0064】
本実施例によれば、スイッチボックス10の4箇所のねじ穴30にねじ16の先端をねじ込んで起立した状態で、カバープレート12の第1の向きに対応した第1の長穴42aの遊嵌穴44aを位置合せして嵌め入れた後に、カバープレート12を横移動により位置決めしてねじ止め固定することで、スイッチボックス10に対しラッチ式レリーズ14の向きを横向きで取付ける場合に、スイッチボックス10に対するカバープレート12の位置合せとねじ込みを別々の作業に分離でき、熟練を必要とすることなく、簡単且つ容易にスイッチボックス10にカバープレート12を取り付け固定することを可能とする。
【0065】
[本発明の変形例]
上記の実施形態におけるカバープレートの大径の遊嵌穴を設けた円弧穴の配置は、カバープレートをねじ込み固定するスイッチボックスに設けたねじ穴の中心位置の横幅及び縦幅により決まるものであり、上記の実施形態に限定されない。
【0066】
また、円弧穴に大径の遊嵌穴を2つ設けるか、1つ設けるかも、スイッチボックスに設けたねじ穴の中心位置の横幅及び縦幅により決まるものであり、上記の実施形態に限定されない。
【0067】
また、上記の実施形態は、ラッチ式レリーズ装置を例にとるものであったが、適宜の器機を取り付けたカバープレートをスイッチボックスにねじ込み固定する適宜の装置についても、そのまま適用することができる。
【0068】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。