(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<<実施形態1>>
図1に、本発明の実施形態1に係わるヒートポンプ給湯機のシステム概略図を示す。
実施形態1のヒートポンプ給湯機Hは、給湯口109から所望の温度で給湯するための給湯機である。
【0017】
ヒートポンプ給湯機Hは、水または低温のお湯を高温水または高温のお湯に加熱する際に稼動するヒートポンプサイクルS1と、被加熱側の水側サイクルS2と、給湯時に稼動する給湯用流路群S3とを具備している。
【0018】
ヒートポンプ給湯機Hでは、ヒートポンプサイクルS1に冷媒としてCO
2が封入され、水側サイクルS2と給湯用流路群S3の給湯サイクルS31とに水が満たされる。そして、貯湯容器104に水を供給するために、貯湯容器104の下部に水道管108を接続している。
【0019】
<ヒートポンプサイクルS1>
ヒートポンプサイクルS1は、冷媒としてCO
2を使用し、圧縮機100、水冷媒熱交換器101、減圧手段である膨張弁102、および蒸発器103が、冷媒管r1を介して環状に接続される構成である。
圧縮機100は、ガス状の冷媒を高温高圧のガスに圧縮する。
【0020】
水冷媒熱交換器101は、高温高圧のガス状の冷媒で、水側サイクルS2で送られる水または低温のお湯を熱交換により高温水(高温のお湯)に加熱する。
膨張弁102は、水冷媒熱交換器101を通過したガス状の冷媒を減圧して液状の冷媒にする。
蒸発器103は、膨張弁102を通って送られる液状の冷媒を外気の熱を奪い蒸発させる。
【0021】
<水側サイクルS2>
水側サイクルS2は、貯湯容器104、沸き上げ用循環ポンプ105、および水冷媒熱交換器101が、配管h1を介して環状に接続される構成である。
貯湯容器104は、水道管108から水が供給されるとともに、水または低温のお湯がヒートポンプサイクルS1で加熱された高温水(高温のお湯)が貯留される。
【0022】
沸き上げ用循環ポンプ105は、貯湯容器104内の水または低温のお湯を加熱するため、水冷媒熱交換器101に送る。
水冷媒熱交換器101では、沸き上げ用循環ポンプ105により配管h1を介して送られる貯湯容器104内の水または低温のお湯が冷媒の熱で加熱され高温水(高温のお湯)とされ、高温水は貯湯容器104の上部に戻される。
【0023】
<給湯用流路群S3>
給湯用流路群S3は、給湯口109から所望の温度で給湯するための回路である。
【0024】
給湯用流路群S3は、水(水道水など)を加熱するための給湯サイクルS31と、水道管108、給湯熱交換器107、給湯口109が配管h2を介して直列に接続される流路とを有して構成されている。
給湯サイクルS31は、貯湯容器104、給湯用循環ポンプ106、給湯熱交換器107とが、配管h3、h4を介して環状に接続されている。
【0025】
<水冷媒熱交換器101>
図2に、水冷媒熱交換器の冷媒入口側の斜視図を示し、
図3に
図2のA平面の断面図を示す。
水冷媒熱交換器101に接続される冷媒管r1は、
図2に示す冷媒ヘッダ3riに接続されている。冷媒ヘッダ3riには、第1・第2・第3・第4冷媒流路21、22、23、24が接続されている。
【0026】
冷媒ヘッダ3riに流れ込む冷媒(
図1、
図2の矢印α1参照)は、4つの第1・第2・第3・第4冷媒流路21、22、23、24に分流されて水冷媒熱交換器101に流入されている。
図示しないが、水冷媒熱交換器101の冷媒出口側についても、
図2と同様な構造とされている。つまり、水冷媒熱交換器101の冷媒出口側で、第1・第2・第3・第4冷媒流路21、22、23、24から流出する冷媒は、冷媒ヘッダ3ro(
図6参照)に流入して合流し、冷媒管r1に流出されている(
図1の矢印α2参照)。
【0027】
水冷媒熱交換器101は、加熱される水または低温のお湯が流れる3枚の長形の平板状の水流路1(11、12、13)と、水を加熱する冷媒が流れる4本の横断面円形の冷媒流路2(21、22、23、24)とで構成されている。
【0028】
水流路1は、例えばステンレス、銅、アルミニウムなどの板を用いて形成されている。具体的には、水流路1は、プレスで絞り加工された上方に開口部1kをもつ扁平な箱状のケース部材1aと、プレスで打ち抜きされた平板の蓋部材1bとが、溶接、ろう付けなどで接合されて形成されている。例えば、水流路1がステンレス鋼の場合には、ニッケルろうが使われ、水流路1が銅製材料の場合には、りん銅ろうが使われる。或いは、ケース部材1aと蓋部材1bとが異なる材質であって溶接して固定する場合には、銀ろうなどが使われる。
【0029】
冷媒流路2は、所定の径をもつ銅管が使用されている。水流路1、冷媒流路2は例示した材料、形成法に限定されない。
長形の板状の水流路1(11、12、13)には、水が紙面奥側から紙面手前側に流れ(
図2の矢印β1参照)、加熱された高温水が出口側の水ヘッダ3moから配管h1に流出する(
図1、
図2の矢印β2参照)。
【0030】
このように、水流路1(11、12、13)は、流路端部でそれぞれ1本の流路(入口側の水ヘッダ3mi(
図6参照)、出口側の水ヘッダ3mo)に接続されている。また、冷媒流路2(21、22、23、24)は、流路端部にてそれぞれ1本の流路(入口側の冷媒ヘッダ3ri、出口側の冷媒ヘッダ3ro(
図6参照))に接続されている。
【0031】
図2に示すように、4本の冷媒流路2(21、22、23、24)は、第2水流路12の廻りにらせん状に配置される。そして、らせん状の冷媒流路2を挟装するように、らせん状の冷媒流路2の外面に第1水流路11と第3水流路13とが配置される。
【0032】
図3に示すように、3層の平板状の水流路1(11、12、13)と2層のらせん状の冷媒流路2(21、22、23、24)とが、交互に重なり接触する。これにより、冷媒流路21、22、23、24内の冷媒の熱が、第1水流路11と第3水流路13とに均等に伝達される構造としている。
【0033】
<ヒートポンプ給湯機Hのシステム全体の動作>
次に、ヒートポンプ給湯機Hのシステム全体の動作について説明する。
<ヒートポンプサイクルS1>
図1のヒートポンプサイクルS1は以下のように動作する。
ヒートポンプサイクルS1の冷媒管r1を流れるCO
2の冷媒は圧縮機100で圧縮されて高温・高圧状態になる。そして、高温・高圧の冷媒は水冷媒熱交換器101にて、貯湯容器104の下部から沸き上げ用循環ポンプ105によって送られてきた水または低温のお湯に熱を伝え、高温水(高温のお湯)に加熱する代わりに自身の熱を失う。
【0034】
そして、冷媒は膨張弁102を通過することで蒸発し易い状態に減圧され、低温・低圧状態になる。その後、低温・低圧状態の冷媒は蒸発器103にて空気から熱(蒸発潜熱)を受け取りガス状態となり、再び圧縮機100へと流入する。
【0035】
水冷媒熱交換器101では、
図2に示すように、水または低温のお湯が水流路1(11、12、13)を矢印β1方向に流れる一方、冷媒は、第2水流路12の廻りを冷媒流路2(21、22、23、24)によりらせん状に矢印α1a方向に流れる。
こうして、水流路1を流れる水または低温のお湯と冷媒流路2を流れる冷媒は、対向する方向に流通する。そして、加熱後の高温水(高温のお湯)は出口側の水ヘッダ3moから流出して、配管h1を通過して貯湯容器104の上部に戻される(
図1参照)。
【0036】
<給湯運転>
図1の給湯口109から給湯する給湯運転時には、給湯用循環ポンプ106が稼動され、貯湯容器104の上部から、配管h3を介して、給湯熱交換器107へと高温水が供給される。同時に、水道管108から給湯熱交換器107に水道水が供給される。給湯熱交換器107では、水道水は貯湯容器104からの高温水(
図1の矢印β3参照)と対向する方向(
図1の矢印γ1方向)に流通し、高温水から熱を受け取った後、配管h5を介して、給湯口109に供給される。また、給湯熱交換器107で熱を失った貯湯容器104からの温水は、配管h4を介して、貯湯容器104の下部へと戻る。
【0037】
<水冷媒熱交換器101の動作>
次に、水冷媒熱交換器101の動作について、
図2、
図3を用いて説明する。
図2の矢印α1のように、水冷媒熱交換器101へと流入した冷媒は、冷媒ヘッダ3riによって4つの冷媒流路21、22、23、24に分岐した後、中央の第2水流路12の周囲をらせん状に回りながら下流(
図2の矢印α1a方向)へと流通する。これに対して、貯湯容器104(
図1参照)から供給された水(低温水または低温のお湯)は冷媒の出口側(
図2では図示せず)から流入して3つの水流路11、12、13へと分岐する。そして、各水流路1(11、12、13)を、
図2の矢印β1のように流通する。その後、水冷媒熱交換器101で加熱され高温になった高温水は、冷媒の入口側の水ヘッダ3mo(
図2参照)で再度合流し、貯湯容器104の上部へと戻る。この一連の流れにより、高温の冷媒から水または低温のお湯へと熱が伝わる。
【0038】
<水冷媒熱交換器101の熱交換性能>
水冷媒熱交換器101の熱交換性能について、冷媒流路2に着目して説明する。水冷媒熱交換器101では、冷媒が第2水流路12の周囲をらせん状に回転するため、冷媒は第2水流路12と常に熱交換する以外に、第1水流路11と第3水流路13とに交互に繰り返し熱交換する。
【0039】
そのため、第1水流路11と第3水流路13の流量が異なり、水温に前記の
図20のようなばらつき(第1水流路1の出口の水温t1と第3水流路1の出口の水温t3との差)が発生するような場合には、冷媒流路21、22、23、24を介して第1水流路11と第3水流路13とが熱交換する(
図2、
図3参照)ことで、第1水流路11を流れる液体の温度(水温)と第3水流路13を流れる液体の温度(水温)が均一化される。
【0040】
その結果、従来の構成(
図19、
図20参照)と異なり、特定の流路の第1水流路11または第3水流路13で伝熱面積が過剰になることが避けられるため、流路を多分岐化した場合でも材料原価に対して、水冷媒熱交換器101の最大の熱交換性能を得ることが可能となる。
【0041】
図4にらせん状流路内の流れの模式断面図を示す。
図4中の矢印は冷媒流路2内の冷媒の流れの向きを示している。らせん状の冷媒流路2では、冷媒流路2の中心ではらせん構造の内側から外側へ流れ(
図4のα11)ができるとともに、冷媒流路2の壁面はらせん構造の外側から内側へ向かう流れ(
図4のα12)ができる。つまり、冷媒の流れとしては、冷媒ヘッダ3riから冷媒ヘッダ3roへ向かう流れではあるものの、冷媒流路2の横断面においては、中心では内から外へ、壁面では外から内への流れができ、冷媒が循環して入れ替わる。
【0042】
この冷媒流路内の冷媒の流れにより、冷媒流路2内の冷媒が攪拌されることで、水冷媒熱交換器101の熱伝達率が向上するという作用がある。そのため、従来の
図19に示すように、流路(81、82、83、91、92)を平行に配置する場合に比べて冷媒流路2内の冷媒が入れ替わることで、水冷媒熱交換器101は伝熱性能が高くなり、更に材料原価に対する性能が向上する。
【0043】
<水冷媒熱交換器10の製造方法>
次に、水冷媒熱交換器10の製造方法について説明する。
図5に、
図2に示す水冷媒熱交換器の構造の分解図を示し、
図6に第2水流路12と冷媒流路2の構成の上面図を示す。
水冷媒熱交換器101の製造は、プレス加工などで製造した平板状の第2水流路12の外周の長手方向に沿って横断面円形状の冷媒流路2(21、22、23、24)をらせん状に巻きつける。
【0044】
その後、
図5に示すように、第2水流路・冷媒流路アッセンブリ12Aの両側を第1水流路11と第3水流路13で、
図5の白抜き矢印のように挟み込むことで容易に製造できる。
なお、実施形態1では、水流路1(11、12、13)を平板状の流路とし、冷媒流路2(21、22、23、24)を横断面円形の管の場合を例示したが、本水冷媒熱交換器10の効果は流路の形状に依存しないため、例えば水流路1と冷媒流路2を共に横断面円形の管とした場合などにおいても、同様な効果を奏する。そのため、水流路1と冷媒流路2の各横断面形状は任意である。
【0045】
上記構成の水冷媒熱交換器101によれば、第1の流体(冷媒流路2)の主流方向に沿って、第1の流路(冷媒流路2)が複数に分岐した異なる第2の流路(第1水流路11、第2水流路12)と複数回、入れ替わり接することで、複数の第2の流路(水流路1)の流量比が均等でない場合において、第1の流体(冷媒)を介して複数の第2の流路(水流路1)の液体(水)の温度が均等化され、第2の流路の液体(水またはお湯)の温度のばらつきを軽減できる。なお、この効果は第1の流路(冷媒流路2)が全ての第2の流路(水流路1)と接する場合に最大化する。
【0046】
また、第2の流路(水流路1)の周囲に第1の流路(冷媒流路2)をらせん状に配置することで第1の流路は、全ての前記第2の流路と接することができる。
そのため、複数の第2の流路(水流路1)の温度が均等化される。加えて、第1の流路(冷媒流路2)の
図4に示すようならせん状流路特有の伝熱促進効果により、材料原価に対する性能が向上する。
【0047】
また、第2の流路(水流路1)をらせん状の仕切りを有する第1の流体(冷媒流路2)を形成する外壁で覆った構成とした場合、外壁をプレス加工などで製造することで、均一な温度分布でかつ高い伝熱性能の熱交換器を、安価に大量生産できる。
【0048】
さらに、水冷媒熱交換器101を、冷媒によって冷水を温水に加熱するヒートポンプ給湯機Hの熱交換器に適用することで、被加熱流体(水や低温のお湯)や冷媒の温度差のばらつきが小さい熱交換が可能となるため、従来の熱交換器で冷媒出口部の冷媒と入口部の水温の温度差が小さい場合でも、本実施形態の水冷媒熱交換器101では、熱交換器としての性能を充分に発揮でき、冷媒の熱を熱交換により取り切ることができる。
【0049】
従って、複数に分岐した流路の温度のばらつきを小さくすることで熱交換温度差が均一化され、材料原価に対する性能を最大化できる熱交換器(水冷媒熱交換器101)を有するヒートポンプ式加熱装置のヒートポンプ給湯機Hを実現できる。
【0050】
<<実施形態2>>
実施形態2の水冷媒熱交換器201について、
図7〜
図10に従って説明する。
図7に実施形態2の水冷媒熱交換器の斜視図を示し、
図8に
図7のB平面の断面図を示す。
水冷媒熱交換器201は、実施形態1の水冷媒熱交換器101に比べ、冷媒流路と水流路との積み重なる数を異ならせたものである。
【0051】
具体的には、水冷媒熱交換器201は、実施形態1の水冷媒熱交換器101と比べて流路の積層数を増やし、5層の水流路1(11、12、13、14、15)とし、4層の冷媒流路2(21、22、23、24)としたものである。
【0052】
水冷媒熱交換器201は、5本の冷媒流路2を第2水流路12と第4水流路14とにらせん状に巻き、これを第3水流路3を間に挟んで折り込み、第1水流路11と第5水流路15とを、上下から挟んで構成したものである(
図9、
図10参照)。
なお、
図9は水冷媒熱交換器の製造方法の工程を示す図であり、第2水流路12と第4水流路14と冷媒流路2で成る第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリを示している。
図10は水冷媒熱交換器の製造方法の工程を示す図であり、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A1に第3水流路13、第1水流路11、第5水流路15を組み付ける過程を示す。
【0053】
こうして、実施形態1と同様に、1本の冷媒流路2は、5層全ての水流路1と
図8中の矢印に沿って順番に繰り返し熱交換する構成となっている。なお、
図8は、冷媒流路2が5層全ての水流路11、12、13、14、15と接触し熱交換する様を模式的に示したものである。
この構成により、水流路1の分岐数が多い場合にも、1本の冷媒流路2は5層全ての水流路1に繰り返し熱交換するので、流路ごとの温度のばらつきを均一化できる。
【0054】
<水冷媒熱交換器201の製造方法>
次に、水冷媒熱交換器201の製造方法について、
図9、
図10を用いて説明する。
【0055】
水冷媒熱交換器201(
図7参照)を製造するに際しては、まず、
図9の通り、第2水流路12と第4水流路14の2流路を並置して、これに対して冷媒流路2をらせん状に巻きつけ、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A1を形成する。
【0056】
その後、
図9中の2点鎖線の位置で冷媒流路2を、山折り方向に曲げ(2点鎖線の箇所が
図9の紙面手前に山側となり第2水流路12と第4水流路14の各端部側が谷となるように曲げ)て、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A1を
図10に示す状態とする。
【0057】
そして、
図10の第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A1の上下に、白抜き矢印で示すように第1水流路11と第5水流路15とを配置し、さらに曲げ部の内周側から白抜き矢印で示すように第3水流路13を挿入して、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A2を形成する。
【0058】
その後、
図8に示すように、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A2を第1固定板材k1と第2固定板材k2とで上下方向から挟む。そして、組み立て用ボルトsb1などで、第2・4水流路・冷媒流路アッセンブリ201A2を挟持した第1固定板材k1と第2固定板材k2とを固定することで水冷媒熱交換器201が完成する。なお、
図7では、第1固定板材k1、第2固定板材k2、組み立て用ボルトsb1など固定用部材は省略して示している。
【0059】
なお、第1固定板材k1、第2固定板材k2、組み立て用ボルトsb1などの固定用部材に代えて、固定を要する箇所にろうのシートを挟み込み、加熱炉に入れて加熱し、ろうにより固定することで水冷媒熱交換器201としてもよい。
【0060】
実施形態2によれば、複数の水流路1に流量の違いがあった場合にも冷媒流路2と水流路1とが入れ替わり万偏なく接触して熱交換が均等に行われ、熱交換効率がよい水冷媒熱交換器201を得られる。
また、水冷媒熱交換器201をヒートポンプ給湯機Hに備えれば、熱交換効率が高く給湯性能が高いヒートポンプ給湯機Hを実現できる。
【0061】
<<実施形態3>>
図11に実施形態3の水冷媒熱交換器の斜視図を示し、
図12に分解図を示す。
実施形態3の水冷媒熱交換器301は、実施形態1の水冷媒熱交換器101とは異なる構成として、冷媒流路の冷媒と水流路の液体(水やお湯)との熱交換性能を高めたものである。
【0062】
水冷媒熱交換器301は、3本の冷媒流路2(21、22、23)のうちの中央に位置する第2冷媒流路22の両側に、プレス加工などで成型した、仕切り部を有する板状の外壁4(4a、4b)を被せることで、外壁4と第2冷媒流路22の間の空間にらせん状の水流路1(11、12、13、14)を形成している。そして、第1水流路11に接触して第1冷媒流路21を設置するとともに、第3水流路13に接触して第3冷媒流路23を設置したものである。
【0063】
水冷媒熱交換器301の製造は、まず、中央に第2冷媒流路22を挟んで上外壁4aと下外壁4bを合わせると内部に、4つのらせん状のらせん状の水流路1(11、12、13、14)ができるような上外壁4aと下外壁4bとをプレスで成形する(
図12参照)。上外壁4aと下外壁4bとは、ステンレス、銅などのプレス成形でき、かつ、防錆性をもつ金属板が使用される。なお、冷媒流路2(21、22、23)は銅管などが使用される。
【0064】
図13、
図14に実施形態3の水冷媒熱交換器の組み立て工程を斜視図で示す。
その後、
図13に示すように、中央に第2冷媒流路22を挟んで上外壁4aと下外壁4bを合わせて、上外壁4aと下外壁4bとを水密になるように溶接する。
そして、
図14に示すように、第1冷媒流路21と第3冷媒流路23とを両側方に合わせて溶接、ろう付けなどで上・下外壁4a、4bに固定し、水冷媒熱交換器301が完成する(
図11参照)。
【0065】
水冷媒熱交換器301によれば、冷媒が冷媒流路2(21、22、23)を直進し、水がらせん状の水流路1(11、12、13、14)をらせん状に流通することで、冷媒流路2と水流路1とが熱交換する。そのため、3本の冷媒流路2(21、22、23)の流量が均等でないときには、らせん状に形成された水流路1を介して第1冷媒流路21と第3冷媒流路23の温度が均等化される。また、水流路1では、前記の
図4に示すようならせん状の流れ特有の伝熱促進効果が発生するため、高い伝熱性能が得られる。
また、らせん状の水流路1がプレス加工で製作できるため、生産性が高く製造コストが低廉である。
【0066】
なお、水冷媒熱交換器301を実装する場合、冷媒配管が破損した際に、冷媒配管内を流通する油などが水に溶け込むことを防ぐため、冷媒管を2重構造とする。また、水冷媒熱交換器301では外壁4の外側に第1冷媒流路21と第3冷媒流路23を溶接する形式としているため、外壁4の素材としては銅などの熱伝導率が高い素材が適当である(望ましい)。
【0067】
<実施形態3の変形例>
図15に実施形態3の変形例の水冷媒熱交換器の斜視図を示し、
図16に分解図を示す。
変形例の水冷媒熱交換器301Aは、実施形態3の上外壁4aと下外壁4bとを、樹脂で射出成形した上外壁4cと下外壁4dにしたものである。その他の構成は、実施形態3と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0068】
水冷媒熱交換器301Aの製作は以下のように遂行される。
まず、
図16に示すように、中央に第2冷媒流路22を挟んで上外壁4cと下外壁4dを合わせると内部に、4つのらせん状の水流路1(11、12、13、14)ができるようなリブ4cr、4drをそれぞれもつ上外壁4cと下外壁4dとを射出成形で樹脂成形する。
【0069】
上外壁4cと下外壁4dは、耐熱性をもつとともに熱伝導性をもつ材料が好ましい。なお、リブ4cr、4drは、高温の冷媒が流れる第2冷媒流路22に接触することとなるのでステンレス、銅などの金属で形成し、それぞれ上外壁4cと下外壁4dにインサート成形で形成してもよい。
【0070】
また、第1冷媒流路21と第1水流路11とは熱交換し、また、第3冷媒流路23と第3水流路13とが熱交換する。
そこで、第1冷媒流路21と第3冷媒流路23とが接合される上外壁4cの箇所4c1および下外壁4dの箇所4d1は熱伝導性が良好な金属の部材とし、当該金属の部材(4c1、4d1)を予め上外壁4cと下外壁4dにインサート成形してもよい。
【0071】
その後、第2冷媒流路22を挟持した上外壁4cと下外壁4dは溶着、接着材やネジ止めなどで固定される。
そして、
図15に示すように第2冷媒流路22を挟持した上外壁4cと下外壁4dの外側方に第1冷媒流路21と第3冷媒流路23とを接合し、水冷媒熱交換器301Aが完成する。
【0072】
変形例によれば、らせん状の水流路1が樹脂成形できるため、生産性が高く製造コストが低廉である。
また、実施形態3と同様な作用効果を奏する。なお、上外壁4cと下外壁4dとを、金属を用いてダイカストで成形してもよい。これにより、上外壁4cと下外壁4dとの製造が容易で、熱伝導性が良好な上・下外壁4c、4dが得られる。
【0073】
<<実施形態4>>
図17に実施形態4の水冷媒熱交換器の斜視図を示し、
図18に分解図を示す。
実施形態4の水冷媒熱交換器401は、実施形態1の水冷媒熱交換器101と異なる構成で、冷媒流路2の冷媒と水流路1の液体(水やお湯)との熱交換性能を高めたものである。
水冷媒熱交換器401は、3つの冷媒流路2(21、22、23)を、らせん状の水流路1(11、12、13、14)が形成される外壁4e、4fで覆うような構造としている。これにより、らせん状の水流路1内の液体は、3本の冷媒流路2に必ず接触することとなる。
【0074】
水冷媒熱交換器401の製作は以下のように遂行される。
まず、
図18に示すように、中央に3つの冷媒流路2(21、22、23)を挟んで上外壁4eと下外壁4fを合わせると内部に、4つのらせん状の水流路1(11、12、13、14)ができるようなリブ4er、4frをそれぞれもつ上外壁4eと下外壁4fとを射出成形やプレス加工で成形する。
【0075】
上外壁4eと下外壁4fは熱交換を行わないために熱伝導性能が要求されない。そのため、樹脂やステンレスなどを用いることで材料原価を抑えることができる。上外壁4eと下外壁4fを樹脂成形する場合、リブ4cr、4drは、高温の冷媒が流れる第2冷媒流路22に接触することとなるのでステンレス、銅などの金属で形成し、それぞれ上外壁4eと下外壁4fにインサート成形で形成してもよい。
【0076】
その後、冷媒流路2(21、22、23)を挟持した上外壁4cと下外壁4dは溶接、ネジ止め、溶着などで固定される。なお、冷媒流路2(21、22、23)を一体に形成した場合を例示したが、第1冷媒流路21、第2冷媒流路22、および第3冷媒流路23にそれぞれ分離した構成としてもよい。この場合、冷媒流路2の製造が容易である。
【0077】
実施形態4の水冷媒熱交換器401によれば、冷媒が流れる冷媒流路2(21、22、23)を、らせん状の水流路1(11、12、13、14)を流れる被加熱液体(水やお湯)が接触して熱交換されるので、冷媒と被加熱液体とが偏りなく均等に熱交換できる。そのため、熱効率が向上する。
【0078】
また、上外壁4eと下外壁4fとは、熱伝導性能が要求されないために材料の選択の幅が広がり、設計や製造が簡易化できる。
更に、らせん状の水流路1(11、12、13、14)をもつ上外壁4eおよび下外壁4fは、樹脂成形やプレス加工で製造できるため、製造が極めて容易であり、低コスト化が可能である。
【0079】
以上より、水冷媒熱交換器101(201、301、301A、401)を用いたヒートポンプ給湯機Hは、水冷媒熱交換器101(201、301、301A、401)の作用効果を同様に奏する。
従って、熱交換の温度差が均一化され熱交換性能を高めた熱交換器およびそれを用いたヒートポンプ加熱装置を提供できる。
【0080】
<<その他の実施形態>>
前記実施形態、変形例で説明した水流路1と冷媒流路2とを入れ替えた熱交換器の構成してもよい。具体的には、水流路1として説明した流路を冷媒流路2とし、冷媒流路2として説明した流路を水流路1としてもよい。この場合も、前記した水冷媒熱交換器101などと同様な作用効果を奏する。
【0081】
なお、本発明は前記した実施形態、変形例に限定されるものでなく、様々な実施形態が含まれる。例えば、上記した実施形態、変形例は本発明を分り易く説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、説明した構成の一部を含むものであってもよい。
【0082】
また、ある実施形態、変形例のうちの一部の構成を他の実施形態、変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態、変形例の構成に他の実施形態、変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態、変形例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。