特許第6280675号(P6280675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6280675
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】新規ヨードフォア組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/18 20060101AFI20180205BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20180205BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20180205BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20180205BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20180205BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20180205BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20180205BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   A61K33/18
   A61K47/20
   A61K47/34
   A61P27/02
   A61P31/00
   A61P31/04
   A61P31/10
   A61P31/12
【請求項の数】17
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-552794(P2017-552794)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(86)【国際出願番号】US2016013660
(87)【国際公開番号】WO2016118424
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年10月5日
(31)【優先権主張番号】62/105,613
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/187,973
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516039745
【氏名又は名称】ヴェローチェ・バイオファーマ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】カプリオッティ,ジョーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】カプリオッティ,カラ
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエ,ジェシー
【審査官】 渡部 正博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0271529(US,A1)
【文献】 特表2014−518865(JP,A)
【文献】 特表2011−522891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOS
IS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.15%〜1.5%のポビドン−ヨウ素(PVP−I)と、
30%〜97%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、
2%〜5%の、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)であるゲル化剤と、
水または等張緩衝液
を含む安定な局所眼科用ゲル組成物であって、
追加の抗炎症薬を含まない、前記組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、0.15%〜1.0%のPVP−Iを含むことを特
徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、0.25%〜0.5%のPVP−Iを含むことを特
徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であって、約0.25%のPVP−Iを含むことを特徴とする
組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、30%〜70%のDMSOを含むことを特徴とする
組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物であって、40%〜49%のDMSOを含むことを特徴とする
組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物であって、44%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物であって、前記ゲル化剤を2%〜4%の量で含むことを特徴とする組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、前記ゲル化剤を2%の量で含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、
0.25%のPVP−Iと、
44%のDMSOと、
2〜4%のヒドロキシエチルセルロースと、
補助溶媒と
を含み、ステロイドを含まず、そしてNSAIDを含まない、前記組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の安定なゲル組成物であって、前記組成物中の各成分は眼科的に受容可
能である、前記組成物。
【請求項12】
眼または眼瞼の感染状態を処置する方法において使用するための請求項1に記載の組成
物であって、前記方法は、
前記感染を軽減または排除するために有効量の請求項1に記載の安定な局所眼科用ゲル組成物を前記感染の部位に適用するステップ
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、前記感染状態が、眼瞼炎、結膜炎、角膜潰瘍、細
菌角膜炎、ウイルス角膜炎、術後眼内炎、および硝子体内または眼房内注射後の眼内炎か
らなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物であって、前記感染状態が、細菌、ニキビダニ属、真菌また
は酵母、およびウイルスからなる群から選択される1つ以上の感染因子に起因するまたは
関連することを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項12に記載の組成物であって、前記状態が、眼瞼炎、眼瞼結膜炎、結膜炎、角膜
炎、又は角膜潰瘍であることを特徴とする組成物。
【請求項16】
請求項12に記載の組成物であって、前記感染状態がウイルスに起因するか又は関連することを特徴とする組成物。
【請求項17】
請求項12に記載の組成物であって、前記感染状態がニキビダニ属に起因するか又は関連することを特徴とする組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
何百万というヒト患者が、皮膚、毛包、または生殖器のウイルス感染もしくはウイルス性いぼ感染、ニキビダニ属感染、真菌もしくは酵母感染、または細菌感染を患っている。眼瞼、結膜、角膜、眼球表面またはマイボーム腺のウイルスもしくはいぼ感染、ニキビダニ属感染、真菌もしくは酵母感染、または細菌感染は、眼瞼の炎症状態である眼瞼炎として現れ得る。
【0002】
尋常性疣贅(いぼの医学用語)は、身体のどこにでも生じ得るものであり、あらゆるいぼを表す包括的な用語として機能する。いぼは、最も多くの場合、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)または伝染性軟属腫ウイルス(MCV)に関連するウイルス感染の結果として生じ得る。
【0003】
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は、皮膚または粘膜の上皮に感染していぼを引き起こす、およそ100種の遺伝子型のDNA腫瘍ウイルスの大きな群である。尋常性疣贅(一般的ないぼ)は、臨床的には、HPV−1、2または4に関連する、角質増殖性の外長性の半球形の丘疹または小節として現れる。それらは、最も一般的には、指、手背、および損傷を起こしやすい他の部位(例えば、膝または肘)上に見出されるが、それらは、任意の解剖学的位置において起こり得る。
【0004】
HPVによる生殖器感染は、臨床的または準臨床的HPV感染を宿した個体との親密な接触の結果として生じ得、青年期および成人の間で最も一般的な性病のうちの1つである。成人人口におけるHPV感染の有病率は、地理的な位置によって異なるが、典型的には、全人口の20%から45%に至る。米国では、いつでも2000万の人々が生殖器HPV感染に罹っており、性感染症に費やされる医療費において60億ドル/年の年間費用負担に相当する(HIVに次ぐのみである)。
【0005】
皮膚の非生殖器ウイルス感染は、直接的な人から人への皮膚接触を介して、または公衆が利用する場(例えば、公共のスイミングプールまたは体育館)における汚染された表面を介して間接的に起こり得る。皮膚は小さな擦過傷を介してウイルスに曝露され、上皮の浸軟によって感染が促進される。自己接種も一般的である。皮膚いぼの非生殖器形態のものは、男女共に等しい頻度で学童の20%で起こる。
【0006】
手掌足底疣贅(手掌および足底のいぼ)は、血栓を形成したしばしば合体して大きな半球様隆起となる多数の毛細管を含む、厚い内長性の丘疹および班である。それらは、多くの場合、深い内方成長により痛みを伴い、周知のように、取り除くことが困難である。HPV−1、2、27および57が、手掌または足底のいぼの最も一般的な原因である。
【0007】
扁平疣贅(扁平いぼ)は、最も一般的には手背、脚、または顔上に位置する、皮膚色またはピンク色の、平坦な表面をもつ、僅かに隆起した、先端が扁平な丘疹である。それらは、引っ掻きまたは髭剃りがそれらを広がらせ得るため、多くの場合、線形配列状になっている。HPV3型および10型は、この表現型をもたらす。
【0008】
尖形コンジローム(生殖器いぼ)は、外性器および会陰上、肛門周囲上、または隣接領域(例えば、鼡径ひだまたは恥丘)において見出される。それらは、大きさが数ミリメートルから数センチメートルに至り得、最も一般的には、皮膚色、褐色または白色であり得る、無茎の、平坦な表面をもつ、外長性の乳頭腫である。それらには、皮膚上に見出される一般的ないぼの、厚い角質増殖層がない。HPV−6および11は、症例の大半において生殖器いぼを引き起こす。
【0009】
眼を取り囲むまたは眼の一部を構成する皮膚の感染もまた起こり得る。眼瞼炎は、人口のおよそ15%を襲う一般的に遭遇される状態であり、眼瞼の炎症状態を示す。眼瞼炎には、真皮、睫毛、瞼板結膜、粘膜皮膚移行部またはマイボーム腺が関与し得、最も多くの場合、グラム陽性細菌感染(例えば、ブドウ球菌属、コリネバクテリウム属、およびプリピオニバクテリウム属(Pripionibacterium)の種)に起因する。しかしながら、眼瞼炎を引き起こす他の因子には、ウイルス感染、ニキビダニ属(ダニ)感染、または酵母感染、脂漏、しゅさ、およびホルモン調節異常が含まれる。
【0010】
処置せずに放置すると、眼瞼炎は、ドライアイの増悪、睫毛の喪失、角膜の潰瘍形成を引き起こし得、白内障手術後の眼内炎のリスクの増加を与え得る。理解を容易にするために、眼瞼炎は、一般的に、前部、後部の眼瞼縁、またはその両方の構造物に影響を及ぼす炎症に分類される。
【0011】
前部眼瞼炎は、最も一般的には、睫毛襟状付着物の存在の有無を問わず、前部眼瞼および睫毛の硬皮生成として現れる。他の症状には、モラクセラ属またはウイルスに特有の脂漏または眼角炎症に関連する、皮膚または睫毛の剥落も含まれ得る。
【0012】
後部眼瞼炎は、一般的に、マイボーム腺疾患とも称される。マイボーム腺は、涙液膜内への脂質の放出を担っており、効果的に蒸発性の涙の喪失を緩和する。全ての眼瞼炎に共通する慢性的な刺激、炎症および紅斑に加えて、後部異型は、さらに、マイボーム腺の濃厚化、開口部の角質化、毛細管拡張、および後縁眼瞼肥厚を特徴とし得る。眼の微生物叢から生じる細菌性リパーゼもまた、マイボーム腺分泌物に作用し遊離脂肪酸を生成し得、この遊離脂肪酸がさらに眼球表面を荒らす。
【0013】
細菌感染、ニキビダニ属感染、真菌/酵母感染、およびウイルス感染(いぼおよび眼の状態(例えば、眼瞼炎)を含む)のための現行の処置は、それらが感染の原因因子のサブセットのみを処置するものであるため無効であり得る。現行の治療薬の多くは、望ましくない成分(例えば、ステロイドまたは他の潜在的に有害な構成要素)を含む。
【0014】
Capriottiらによる最近の発見により、有効成分としてヨードフォア(例えば、ポビドン−ヨウ素(PVP−I))と、その有効成分のための浸透増強剤として使用されるジメチルスルホキシド(DMSO)とを含む組成物が開示された。これらの組成物は、皮膚および爪の真菌感染を処置するために有用であることが明らかにされた。例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第2014/0205559号明細書(Capriotti‘559)を参照されたい。PVP−Iは、ウイルス種、真菌種、および細菌種、ならびにニキビダニ属に対する広範な活性スペクトルを有するよく知られている消毒薬であり、既知の細菌耐性、真菌耐性またはウイルス耐性がない。PVP−Iが、バイオフィルムの形成を阻害すること、および既に形成されてしまったバイオフィルムを排除することも明らかにされている。
【0015】
様々な有機溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む)が、ある特定の医薬の経皮吸収を向上させることが知られている。DMSOが浸透および皮膚保持を向上させることについて他の溶媒より優れていることが、DMSO、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アルコールまたはベンゼンに溶解させた14C標識グリセオフルビンのヒト皮膚の通過についてのインビトロでの調査において示された。その種々の溶媒中のグリセオフルビンの浸透比は、それぞれ、60、40、7、3、および1であった。水中DMSOの50%溶液が使用された場合でさえ、14C−ヒドロコルチゾンの浸透率は著しく向上した。とは言うものの、DMSOは、小分子または低分子量(LMW)化合物もしくは薬物については浸透を向上させるが、約10,000ダルトンより大きい高分子量(HMW)化合物(例えば、ポリマー)の浸透は向上させないことが、薬学の技術分野において長く受け入れられてきた。
【0016】
驚くべきことに、DMSOが、手掌および足底の厚い角質層への浸透を向上させることにおいて有効であることが発見された。さらに、DMSOは、ごく最近になって、意外なことに、ポビドン−ヨウ素(PVP−I)の浸透を向上させることが示された。PVP−I調製物は、分子量が1,000から1,000,000またはそれ以上に至る。PVPグレードK29〜32のみを用いた局所薬学的組成物が認可されている。1つの受容可能なPVPグレードはPVP K30であり、これは、30,000〜60,000ダルトンのMW(約40,000ダルトンの平均MW)を有する。したがって、Capriotti‘559の教示より前に、当業者が、大分子、ポリマーまたは高分子量物質(例えば、PVP−I)の皮膚浸透を向上させるために局所薬学的組成物中にDMSOを採用することはないであろう。
【0017】
しかしながら、Capriotti‘559の教示を考慮しても、DMSO中にヨードフォア(例えば、PVP−I)を含む特定の局所ゲル処方物が、皮膚感染(例えば、いぼ)または眼の状態(例えば、眼瞼炎)として現れているある特定のウイルス感染、ニキビダニ属感染、真菌/酵母感染、または細菌感染を処置することにおいて特に有用であることは知られていなかった。
【0018】
よって、本発明は、当該技術分野にとって著しい進歩であり、ヨードフォア(例えば、PVP−I)とDMSOとゲル化剤とを含む局所ゲル組成物が、いぼまたは他の皮膚感染(眼の皮膚感染(例えば、眼瞼炎)を含む)の処置において有利かつ意外な結果をもたらし得るという驚くべきかつ意外な発見を開示する。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、ヨードフォアと浸透増強剤とゲル化剤とを含む局所ゲル組成物に関し、当該組成物は、いぼまたは眼瞼炎を引き起こし得るウイルス感染、ニキビダニ属感染、真菌/酵母感染、または細菌感染を処置することにおいて特に有効である。よって、主題の発明は、本明細書に開示されるような局所ゲル組成物を用いてウイルス感染、ニキビダニ属感染、真菌/酵母感染、または細菌感染を処置する方法をさらに含む。当該組成物は、任意選択の薬学的に受容可能な賦形剤または溶媒もしくは補助溶媒をさらに含み得る。
【0020】
主題の発明の組成物は、好ましくは、米国食品医薬品局(FDA)により薬学的調製物における使用に適切かつ受容可能であると認められた医薬品有効成分(API)を含む。本発明の好ましい組成物は、局所投与のための薬学的調製物における使用に適切かつ受容可能であると認められた不活性成分または賦形剤をさらに含む。FDAにより認可されたAPIまたは受容可能な不活性成分もしくは賦形剤を、本明細書では「薬学的に受容可能」であると言う。したがって、薬学的に受容可能なAPI、不活性成分または賦形剤を含む主題の発明の局所組成物、処方物、または調製物を、本明細書では「薬学的に受容可能」な局所組成物と言う。
【0021】
同様に、眼科用調製物における使用のために受容可能なFDAにより認可された有効成分または不活性成分を含む主題の発明の眼科用組成物を、本明細書では、眼科的使用のために「薬学的に受容可能」であるまたは「眼科的に受容可能」であるAPI、賦形剤または溶媒を含む、「薬学的に受容可能な眼科用組成物」または「眼科的に受容可能」な組成物と言う。
【0022】
さらに特定すれば、主題の発明は、好ましい実施形態において、10,000ダルトンより大きな分子量を有するヨードフォアと、ジメチルスルホキシド(DMSO)と、ゲル化剤と、任意選択のさらなる薬学的または眼科的に受容可能な賦形剤または溶媒もしくは補助溶媒とを含む、安定な局所組成物に関する。
【0023】
主題の発明の組成物は、皮膚、毛包、または生殖器のウイルス感染もしくはウイルス性いぼ感染、ニキビダニ属感染、真菌もしくは酵母感染、または細菌感染を処置するための方法において有用であり得、さらに、眼瞼、結膜、角膜、眼球表面またはマイボーム腺のウイルス性いぼ感染、ニキビダニ属感染、真菌もしくは酵母感染、または細菌感染により引き起こされ得る眼瞼炎を処置するのに有用であり得る。
【0024】
主題の発明の局所ゲル組成物は、意外にも、水性または無水成分の存在下において、室温で極めて安定である。
【0025】
主題の発明の局所ゲル組成物は、約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素(PVP−I)と、約30%〜約99%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、約1%〜約10%のゲル化剤とを含む。本発明の局所ゲル組成物は、意外にも、ゲル化剤を実質的に含まない約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素と約30%〜約99%のDMSOとを含む液体組成物に比べて、皮膚感染または眼瞼炎を処置することにおいてより大きな有効性を示す。
【0026】
好ましい組成物は、約1%〜約5%のPVP−Iを含む。より好ましい組成物は、約1%のPVP−Iまたは約2%のPVP−Iを含み得る。K30のポビドングレードを採用するPVP−Iは、主題の組成物における使用に好ましい。
【0027】
好ましい組成物は、約30%〜約70%のDMSOを含む。より好ましい組成物は、約40%〜約49%のDMSO、さらにより好ましくは約44%のDMSOを含み得る。
【0028】
好ましい組成物は、約2%〜約5%のゲル化剤を含む。より好ましい組成物は、約4%のゲル化剤を含み得る。試験用に調製された特に有用な組成物は、2%のPVP−Iと、44%のDMSOと、4%のヒドロキシエチルセルロースと、50%の水性溶媒とを含む。好ましい水性溶媒は、水または等張緩衝液である。
【0029】
本発明の組成物は、ゴム、寒天、カラギーナン、ペトロラタム、またはセルロースポリマーなどから選択され得る、当該技術分野においてよく知られているようなゲル化剤を含み得る。ゲル化剤として好ましい1つのセルロースポリマーは、ヒドロキシエチルセルロースである。代替的なセルロースポリマーゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロースである。
【0030】
本発明の組成物は、好ましくは、10,000より大きな平均分子量を有するポビドン−ヨウ素、すなわちPVP−Iを含む。より好ましくは、本発明の組成物は、約20,000〜約1,000,000の間の平均分子量を有するPVP−Iを含む。1つの好ましい実施形態は、約30,000〜約60,000の間、またはそれ以上の平均分子量を有するPVP−Iを含む。PVP−I成分の各々を、本明細書では「高分子量PVP−I」または「HMW PVP−I」と言う。
【0031】
主題の発明に従う組成物の別の実施形態は、約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素(PVP−I)と、約30%〜約99%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、約1%〜約10%のゲル化剤とを含む安定な局所眼科用ゲル処方物であり、当該組成物中の各成分は、眼科的に受容可能なものであり、当該眼科用ゲル組成物は、ゲル化剤を実質的に含まない約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素と約30%〜約99%のDMSOとを含む液体組成物に比べて、眼または眼瞼の感染状態を処置することにおいてより大きな有効性を示す。
【0032】
好ましい眼科用ゲル組成物は、約0.5%〜約5%のPVP−Iを含む。より好ましい眼科用ゲル組成物は、約1%〜約3%のPVP−Iを含み、最も好ましい眼科用ゲル組成物は、約1%のPVP−Iを含む。
【0033】
本発明の組成物は、好ましくは、10,000より大きな平均分子量を有するポビドン−ヨウ素、すなわちPVP−Iを含む。より好ましくは、本発明の組成物は、約20,000〜約1,000,000の間の平均分子量を有するPVP−Iを含む。1つの好ましい実施形態は、高分子量(HMW)PVP−Iを含む。
【0034】
好ましい眼科用ゲル組成物は、約30%〜約70%のDMSOを含む。より好ましい眼科用ゲル組成物は、約40%〜約49%のDMSO、さらにより好ましくは約44%のDMSOを含み得る。
【0035】
好ましい眼科用ゲル組成物は、約2%〜約5%のゲル化剤を含む。より好ましい眼科用ゲル組成物は、約4%のゲル化剤を含み得る。眼または眼瞼の感染の処置における使用のために調製された特に有用な組成物は、1%のPVP−Iと、44%のDMSOと、4%のヒドロキシエチルセルロースと、51%の水性溶媒とを含む。好ましい水性溶媒は、水または等張緩衝液である。
【0036】
本発明の眼科用ゲル組成物は、ゴム、寒天、カラギーナン、ペトロラタム、またはセルロースポリマーなどから選択される、当該技術分野においてよく知られているようなゲル化剤を含み得る。ゲル化剤として有用な1つの好ましいセルロースポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。代替的なセルロースポリマーゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロースである。
【0037】
主題の発明は、さらに、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)または伝染性軟属腫ウイルス(MCV)に起因するいぼ(生殖器いぼを含む)を処置する、またはそれの増殖を阻害するための方法に関する。当該方法は、一般的には、いぼが排除される、またはその増殖が実質的に阻害されるまでの、必要に応じて1回以上の、本発明の局所ゲル、すなわち、ヨードフォアとDMSOとゲル化剤とを含む局所組成物の、部位への投与または局所適用を含む。好ましい方法において、主題のゲル組成物は、結果が見られるまで、典型的には約1週間から約24週間までの間、必要に応じて(PRN)、好ましくは少なくとも1日1回(QD)、より好ましくは少なくとも1日2回(BID)、いぼ上に直接投与される。
【0038】
さらに特定すれば、主題の発明の方法は、本明細書に記載されるような組成物を提供し、細菌、ニキビダニ属、真菌または酵母、およびウイルスからなる群から選択される1つ以上の感染因子に起因するまたは関連する感染を軽減または排除するために必要に応じて有効量の局所ゲル組成物を感染の部位に適用することにより、皮膚(生殖器の皮膚を含む)の感染を処置することを含む。
【0039】
皮膚または生殖器のウイルス感染を処置する好ましい方法は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)または伝染性軟属腫ウイルス(MCV)に起因するまたは関連する皮膚感染に対する投与または適用を含む。好ましくは、主題の方法は、ウイルス性いぼを軽減または排除するために使用され得る。当該方法は、顔または生殖器の皮膚上の皮膚感染に対する当該組成物の適用または投与によって実施され得る。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、感染を軽減または排除するために有効量の安定な局所眼科用ゲル組成物を感染の部位に適用することを含む、眼または眼瞼の感染状態を処置する方法を含む。
【0041】
本発明の方法は、1つ以上の感染因子(例えば、細菌、ニキビダニ属、真菌もしくは酵母、またはウイルス)に起因するまたは関連する、眼瞼炎、結膜炎、角膜潰瘍、HSV角膜炎、結膜腫瘍、前眼房炎症、術後眼内炎、および硝子体内または眼房内注射後の眼内炎を処置するのに有用であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、消毒剤と浸透増強剤とゲル化剤とを含む局所ゲル組成物に関する。好ましくは、当該組成物は、消毒剤としてポビドン−ヨウ素と、浸透増強剤としてジメチルスルホキシド(DMSO)と、セルロースゲル化剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC))とを含む。当該組成物は、任意選択で、滑沢剤もしくは補助溶媒、または他の受容可能な賦形剤をさらに含み得る。例えば、眼の状態(例えば、眼瞼炎)を処置するための組成物は、眼科的に受容可能な賦形剤を含み得る。
【0043】
主題の組成物は、驚くべきことに、皮膚のウイルス性いぼ感染、ならびに眼瞼炎を引き起こし得る眼瞼、結膜、角膜、眼球表面およびマイボーム腺のウイルス感染、ニキビダニ属感染、真菌/酵母感染または細菌感染の処置に有用である。
【0044】
有用な薬学的調製物を提供する本発明の処方物の具体的だが非限定的な例は、溶液として1種またはさらなる補助溶媒を含むDMSOに溶解または懸濁させた、ゲルまたは半固体として調製された固体PVP−Iを含む。
【0045】
別の実施形態において、DMSOは、PVP−Iの水溶液に添加され得る。一例において、DMSOは、10%〜99%の範囲内の水と共に補助溶媒として存在し得る。そのような処方物の一実施形態は、様々な賦形剤(例えば、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸水素二ナトリウムおよび水、ならびに当業者に知られている他のもの)を含み得るであろう。
【0046】
別段の指摘がない限り、組成物全体における特定の構成要素に関して本明細書に示される百分率は、(w/w)である。例えば、1%のPVP−Iと45%のDMSOとを含む組成物は、組成物全体を基準にして1重量%のPVP−Iを有している。例えば、一実施形態において、組成物は、約0.01%〜約15%の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.05%〜12.5%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.05%〜10.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.1%〜10.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.1%〜5.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.25%〜9.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.2%〜2.5%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.5%〜7.5%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.5%〜1.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。別の実施形態において、組成物は、0.75%〜5.0%の間、さらに別の実施形態においては1.0%〜4.0%の間の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。一実施形態において、組成物は、約0.1%〜約2.5%、約0.2%〜約2.0%、約0.3%〜約1.0%、および約0.4%〜約0.75%の範囲内のポビドン−ヨウ素を含む。
【0047】
一実施形態において、組成物は、約0.01%、約0.05%、約0.10%、約0.15%、約0.20%、約0.25%、約0.30%、約0.35%、約0.40%、約0.45%、約0.50%、約0.55%、約0.60%、約0.65%、約0.70%、約0.75%、約0.80%、約0.85%、約0.90%、約0.95%、約1.00%、約1.05%、約1.10%、約1.15%、約1.20%、約1.25%、約1.30%、約1.35%、約1.40%、約1.45%、約1.50%、約1.55%、約1.60%、約1.65%、約1.70%、約1.75%、約1.80%、約1.85%、約1.90%、約1.95%、約2.00%、約2.05%、約2.10%、約2.15%、約2.20%、約2.25%、約2.30%、約2.35%、約2.40%、約2.45%、約2.50%、約2.55%、約2.60%、約2.65%、約2.70%、約2.75%、約2.80%、約2.85%、約2.90%、約2.95%、約3.00%、約3.05%、約3.10%、約3.15%、約3.20%、約3.25%、約3.30%、約3.35%、約3.40%、約3.45%、約3.50%、約3.55%、約3.60%、約3.65%、約3.70%、約3.75%、約3.80%、約3.85%、約3.90%、約3.95%、約4.00%、約4.05%、約4.10%、約4.15%、約4.20%、約4.25%、約4.30%、約4.35%、約4.40%、約4.45%、約4.50%、約4.55%、約4.60%、約4.65%、約4.70%、約4.75%、約4.80%、約4.85%、約4.90%、約4.95%、約5.00%、約5.05%、約5.10%、約5.15%、約5.20%、約5.25%、約5.30%、約5.35%、約5.40%、約5.45%、約5.50%、約5.55%、約5.60%、約5.65%、約5.70%、約5.75%、約5.80%、約5.85%、約5.90%、約5.95%、約6.00%、約7.05%、約7.10%、約7.15%、約7.20%、約7.25%、約7.30%、約7.35%、約7.40%、約7.45%、約7.50%、約7.55%、約7.60%、約7.65%、約7.70%、約7.75%、約7.80%、約7.85%、約7.90%、約7.95%、約8.00%、約8.05%、約8.10%、約8.15%、約8.20%、約8.25%、約8.30%、約8.35%、約8.40%、約8.45%、約8.50%、約8.55%、約8.60%、約8.65%、約8.70%、約8.75%、約8.80%、約8.85%、約8.90%、約8.95%、約9.00%、約9.05%、約9.10%、約9.15%、約9.20%、約9.25%、約9.30%、約9.35%、約9.40%、約9.45%、約9.50%、約9.55%、約9.60%、約9.65%、約9.70%、約9.75%、約9.80%、約9.85%、約9.90%、約9.95%、約10.00%、約10.05%、約10.10%、約10.15%、約10.20%、約10.25%、約10.30%、約10.35%、約10.40%、約10.45%、約10.50%、約10.55%、約10.60%、約10.65%、約10.70%、約10.75%、約10.80%、約10.85%、約10.90%、約10.95%、約11.00%、約11.05%、約11.10%、約11.15%、約11.20%、約11.25%、約11.30%、約11.35%、約11.40%、約11.45%、約11.50%、約11.55%、約11.60%、約11.65%、約11.70%、約11.75%、約11.80%、約11.85%、約11.90%、約11.95%、約12.00%、約12.05%、約12.10%、約12.15%、約12.20%、約12.25%、約12.30%、約12.35%、約12.40%、約12.45%、約12.50%、約12.55%、約12.60%、約12.65%、約12.70%、約12.75%、約12.80%、約12.85%、約12.90%、約12.95%、約13.00%、約13.05%、約13.10%、約13.15%、約13.20%、約13.25%、約13.30%、約13.35%、約13.40%、約13.45%、約13.50%、約13.55%、約13.60%、約13.65%、約13.70%、約13.75%、約13.80%、約13.85%、約13.90%、約13.95%、約14.00%、約14.05%、約14.10%、約14.15%、約14.20%、約14.25%、約14.30%、約14.35%、約14.40%、約14.45%、約14.50%、約14.55%、約14.60%、約14.65%、約14.70%、約14.75%、約14.80%、約14.85%、約14.90%、約14.95%、約15.00%、または前述の百分率から決定可能な任意の範囲(例えば、約0.01%〜約0.05%または約10.55%〜約12.50%)のポビドン−ヨウ素を含む。
【0048】
一実施形態において、組成物は、約0.01%〜約15%の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.05%〜12.5%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.05%〜10.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.1%〜10.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.1%〜5.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.25%〜9.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.2%〜2.5%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.5%〜7.5%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.5%〜1.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.75%〜5.0%の間、さらに別の実施形態においては1.0%〜4.0%の間の範囲内のPVP−Iを含む。一実施形態において、組成物は、約0.1%〜約2.5%、約0.2%〜約2.0%、約0.3%〜約1.0%、および約0.4%〜約0.75%の範囲内のPVP−Iを含む。
【0049】
一実施形態において、組成物は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.25%、約1.50%、約1.75%、約2.0%、約2.25%、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約7.5%、約10%、約12.5、または約15.0%のPVP−Iを含む。一実施形態において、組成物は、約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.05%、約0.10%、約0.15%、約0.20%、約0.25%、約0.30%、約0.35%、約0.40%、約0.45%、約0.50%、約0.55%、約0.60%、約0.65%、約0.70%、約0.75%、約0.80%、約0.85%、約0.90%、約0.95%、約1.00%、約1.05%、約1.10%、約1.15%、約1.20%、約1.25%、約1.30%、約1.35%、約1.40%、約1.45%、約1.50%、約1.55%、約1.60%、約1.65%、約1.70%、約1.75%、約1.80%、約1.85%、約1.90%、約1.95%、約2.00%、約2.05%、約2.10%、約2.15%、約2.20%、約2.25%、約2.30%、約2.35%、約2.40%、約2.45%、約2.50%、約2.55%、約2.60%、約2.65%、約2.70%、約2.75%、約2.80%、約2.85%、約2.90%、約2.95%、約3.00%、約3.05%、約3.10%、約3.15%、約3.20%、約3.25%、約3.30%、約3.35%、約3.40%、約3.45%、約3.50%、約3.55%、約3.60%、約3.65%、約3.70%、約3.75%、約3.80%、約3.85%、約3.90%、約3.95%、約4.00%、約4.05%、約4.10%、約4.15%、約4.20%、約4.25%、約4.30%、約4.35%、約4.40%、約4.45%、約4.50%、約4.55%、約4.60%、約4.65%、約4.70%、約4.75%、約4.80%、約4.85%、約4.90%、約4.95%、約5.00%、約5.05%、約5.10%、約5.15%、約5.20%、約5.25%、約5.30%、約5.35%、約5.40%、約5.45%、約5.50%、約5.55%、約5.60%、約5.65%、約5.70%、約5.75%、約5.80%、約5.85%、約5.90%、約5.95%、約6.00%、約7.05%、約7.10%、約7.15%、約7.20%、約7.25%、約7.30%、約7.35%、約7.40%、約7.45%、約7.50%、約7.55%、約7.60%、約7.65%、約7.70%、約7.75%、約7.80%、約7.85%、約7.90%、約7.95%、約8.00%、約8.05%、約8.10%、約8.15%、約8.20%、約8.25%、約8.30%、約8.35%、約8.40%、約8.45%、約8.50%、約8.55%、約8.60%、約8.65%、約8.70%、約8.75%、約8.80%、約8.85%、約8.90%、約8.95%、約9.00%、約9.05%、約9.10%、約9.15%、約9.20%、約9.25%、約9.30%、約9.35%、約9.40%、約9.45%、約9.50%、約9.55%、約9.60%、約9.65%、約9.70%、約9.75%、約9.80%、約9.85%、約9.90%、約9.95%、約10.00%、約10.05%、約10.10%、約10.15%、約10.20%、約10.25%、約10.30%、約10.35%、約10.40%、約10.45%、約10.50%、約10.55%、約10.60%、約10.65%、約10.70%、約10.75%、約10.80%、約10.85%、約10.90%、約10.95%、約11.00%、約11.05%、約11.10%、約11.15%、約11.20%、約11.25%、約11.30%、約11.35%、約11.40%、約11.45%、約11.50%、約11.55%、約11.60%、約11.65%、約11.70%、約11.75%、約11.80%、約11.85%、約11.90%、約11.95%、約12.00%、約12.05%、約12.10%、約12.15%、約12.20%、約12.25%、約12.30%、約12.35%、約12.40%、約12.45%、約12.50%、約12.55%、約12.60%、約12.65%、約12.70%、約12.75%、約12.80%、約12.85%、約12.90%、約12.95%、約13.00%、約13.05%、約13.10%、約13.15%、約13.20%、約13.25%、約13.30%、約13.35%、約13.40%、約13.45%、約13.50%、約13.55%、約13.60%、約13.65%、約13.70%、約13.75%、約13.80%、約13.85%、約13.90%、約13.95%、約14.00%、約14.05%、約14.10%、約14.15%、約14.20%、約14.25%、約14.30%、約14.35%、約14.40%、約14.45%、約14.50%、約14.55%、約14.60%、約14.65%、約14.70%、約14.75%、約14.80%、約14.85%、約14.90%、約14.95%、約15.00%、または前述の量から決定可能な任意の範囲(例えば、約0.001%〜約1.75%または約0.05%〜約15.0%)のPVP−Iを含む。
【0050】
別の実施形態において、組成物は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、約0.1%以下、約0.5%以下、約1%以下、約2%以下、約3%以下、約4%以下、約5%以下、約6%以下、約7%以下、約8%以下、約9%以下または約10%以下のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、約0.01%以上、約0.05%以上、約0.075%以上、約0.1%以上、約0.2%以上、約0.3%以上、約0.4%以上、約0.5%以上、約0.6%以上、約0.7%以上、約0.8%以上、約0.9%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上または約10%以上のPVP−Iを含む。別の実施形態において、組成物は、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.25%、1.5%、1.75%、2.0%、2.25%、2.5%、2.75%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%または10.0%のPVP−Iを含む。
【0051】
一実施形態において、組成物は、DMSOとPVP−Iとを含む。一実施形態において、組成物は、DMSOとPVP−Iとから実質的になる。一実施形態において、組成物は、DMSOとPVP−Iとからなる。一実施形態において、組成物は、無水である。一実施形態において、組成物は、実質的に無水である。一実施形態において、組成物は、測定可能な量の水を含む。
【0052】
一実施形態において、無水DMSOが、組成物中で使用される。一実施形態において、実質的に無水のDMSOが、組成物中で使用される。DMSOが異なるグレードで生産されかつ/または入手され得るものであること、および異なるグレードのDMSO調製物の間の変動要素のうちの1つが含水率であることが、当業者により理解される。例として、DMSOは、完全に無水(本明細書では単に「無水」とも言う)であり得る、実質的に無水であり得る、または測定可能な程度まで水を含有し得る。DMSO調製物中の測定可能な水の量は、そのような測定を行うために使用される計器および技術の限界に基づき変化し得ることが理解される。一実施形態において、完全に無水ではないDMSOは、実質的に無水であり得、検出能のレベルよりも低いレベルで水を含有し得る。一実施形態において、完全に無水ではないDMSOは水を含有し得、含水率は、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2.0%、少なくとも約2.5%、少なくとも約5%、少なくとも約7.5%、少なくとも約10%、少なくとも約12.5%、またはそれ以上である。一実施形態において、完全に無水ではないDMSOは水を含有し得、含水率は、約0.01%未満、約0.02%未満、約0.03%未満、約0.04%未満、約0.05%未満、約0.06%未満、約0.07%未満、約0.08%未満、約0.09%未満、約0.1%未満、約0.2%未満、約0.3%未満、約0.4%未満、約0.5%未満、約0.6%未満、約0.7%未満、約0.8%未満、約0.9%未満、約1.0%未満、約1.5%未満、約2.0%未満、約2.5%未満、約5%未満、約7.5%未満、約10%未満、約12.5%未満、またはそれ以上である。DMSOは、水に加えて1種以上の他の不純物を含有し得ることが理解される。
【0053】
一実施形態において、組成物は、米国薬局方協会(USP)グレードDMSO、医薬品有効成分(API)グレードDMSO、分析グレードDMSO、および米国化学学会(ACS)分光測光グレードDMSOのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態において、組成物は、KF滴定で<0.1%の水を有し、無水ベースで判断して>99.9%のDMSOを含む。
【0054】
上で述べたように、組成物中のDMSOのパーセント量は、別段の指摘がない限り、組成物の1つ以上の他の構成要素と比較して、重量対重量(w/w)比で記載される。一実施形態において、DMSOの重量パーセントは、PVP−Iの添加後の重量パーセントの残分である。非限定的な例として、組成物は、1重量パーセント(1%)のPVP−Iおよび99重量パーセント(99%)のDMSOを含み得る。上述の例において、組成物のDMSO構成要素は、完全に無水であり得る、実質的に無水であり得る、または測定可能な程度まで水を含有し得ることが理解される。一実施形態において、DMSOの重量パーセントは、PVP−Iおよびあらゆる他の構成要素(例えば、補助溶媒、水、さらなる有効成分など)の添加後の重量パーセントの残分である。一実施形態において、DMSOの重量パーセントは、ヨードフォアおよび他の構成要素(存在する場合)の添加後の重量パーセントの残分である。一実施形態において、組成物中の浸透剤の重量パーセントは、ヨードフォアおよび他の構成要素(存在する場合)の添加後の重量パーセントの残分である。
【0055】
一実施形態において、組成物は、50%〜99.99%の範囲内のDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、1%〜99.99%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、5%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、10%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、20%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、30%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、40%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、50%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、60%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、70%と99.9%の範囲内のDMSOを含む。別の実施形態において、組成物は、80%と99.9%の範囲内、さらに別の実施形態においては90%〜99.9%の間のDMSOを含む。
【0056】
一実施形態において、組成物は、重量パーセントで少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約87.5%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.9%のDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、約1%のDMSOを含む。他の実施形態において、組成物は、約1%、約1.5%、約2%、約2.5、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約10.5%、約11%、約11.5%、約12%、約12.5%、約13%、約13.5%、約14%、約14.5%、約15%、約15.5%、約16%、約16.5%、約17%、約17.5%、約18%、約18.5%、約19%、約19.5%、約20%、約20.5%、約21%、約21.5%、約22%、約22.5%、約23%、約23.5%、約24%、約24.5%、約25%、約25.5%、約26%、約26.5%、約27%、約27.5%、約28%、約28.5%、約29%、約29.5%、約30%、約30.5%、約31%、約31.5%、約32%、約32.5%、約33%、約33.5%、約34%、約34.5%、約35%、約35.5%、約36%、約36.5%、約37%、約37.5%、約38%、約38.5%、約39%、約39.5%、約40%、約40.5%、約41%、約41.5%、約42%、約42.5%、約43%、約43.5%、約44%、約44.5%、約45%、約45.5%、約46%、約46.5%、約47%、約47.5%、約48%、約48.5%、約49%、約49.5%、約50%、約50.5%、約51%、約51.5%、約52%、約52.5%、約53%、約53.5%、約54%、約54.5%、約55%、約55.5%、約56%、約56.5%、約57%、約57.5%、約58%、約58.5%、約59%、約59.5%、約60%、約60.5%、約61%、約61.5%、約62%、約62.5%、約63%、約63.5%、約64%、約64.5%、約65%、約65.5%、約66%、約66.5%、約67%、約67.5%、約68%、約68.5%、約69%、約69.5%、約70%、約70.5%、約71%、約71.5%、約72%、約72.5%、約73%、約73.5%、約74%、約74.5%、約75%、約75.5%、約76%、約76.5%、約77%、約77.5%、約78%、約78.5%、約79%、約79.5%、約80%、約80.5%、約81%、約81.5%、約82%、約82.5%、約83%、約83.5%、約84%、約84.5%、約85%、約85.5%、約86%、約86.5%、約87%、約87.5%、約88%、約88.5%、約89%、約89.5%、約90%、約90.5%、約91%、約91.5%、約92%、約92.5%、約93%、約93.5%、約94%、約94.5%、約95%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約99.9%、または前述の量から決定可能な任意の範囲(例えば、約1%〜約45.5%または約20.0%〜約49.0%)のDMSOを含む。
【0057】
一実施形態において、組成物は、重量パーセントで約40%〜約50%、約41%〜約50%、約42%〜約50%、約43%〜約50%、約44%〜約50%、約45%〜約50%、約46%〜約50%、約47%〜約50%、約48%〜約50%、約49%〜約50%、40%〜約49%、約41%〜約49%、約42%〜約49%、約43%〜約49%、約44%〜約49%、約45%〜約49%、約46%〜約49%、約47%〜約49%、約48%〜約49%、約40%〜約48%、約41%〜約48%、約42%〜約48%、約43%〜約48%、約44%〜約48%、約45%〜約48%、約46%〜約48%、約47%〜約48%、40%〜約47%、約41%〜約47%、約42%〜約47%、約43%〜約47%、約44%〜約47%、約45%〜約47%、約46%〜約47%、40%〜約46%、約41%〜約46%、約42%〜約46%、約43%〜約46%、約44%〜約46%、約45%〜約46%、40%〜約45%、約41%〜約45%、約42%〜約45%、約43%〜約45%、約44%〜約45%、40%〜約44%、約41%〜約44%、約42%〜約44%、約43%〜約44%、40%〜約43%、約41%〜約43%、約42%〜約43%、約40%〜約42%、約41%〜約42%、または約40%〜約41%のDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで約10%〜約30%または約10%〜約49%のDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで65%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで60%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで55%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで50%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで49%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで45%までのDMSOを含む。一実施形態において、組成物は、重量パーセントで44%までのDMSOを含む。
【0058】
一実施形態において、組成物は、1%〜99.99%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、5%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、10%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、20%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、30%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、40%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、50%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、60%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、70%と99.9%の範囲内の補助溶媒を含む。別の実施形態において、組成物は、80%と99.9%の範囲内、さらに別の実施形態においては90%〜99.9%の間の補助溶媒を含む。
【0059】
一実施形態において、組成物は、約1%の補助溶媒を含む。他の実施形態において、組成物は、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の補助溶媒を含む。
【0060】
補助溶媒の例としては、アルコール、シリコーン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペトロラタム、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、補助溶媒は、プロピレングリコールである。
【0061】
一実施形態において、組成物は、約0.01%〜99.99%の範囲内のDMSOを含み、かつ0.01%〜約99.99%の範囲内の少なくとも1種の浸透剤をさらに含む。一実施形態において、組成物は、DMSOを含み、かつ約0.1%〜約50%の範囲内の少なくとも1種の浸透剤をさらに含む。別の実施形態において、組成物は、DMSOを含み、かつ約5%〜約50%の間の範囲内の少なくとも1種の浸透剤をさらに含む。別の実施形態において、組成物は、DMSOを含み、かつ約10%〜約99%の間の範囲内の少なくとも1種の浸透剤をさらに含む。一実施形態において、組成物は、DMSOと、少なくとも1種の補助溶媒と、少なくとも1種の浸透剤とを含む。一実施形態において、補助溶媒は、浸透剤でもある。
【0062】
一実施形態において、可能な場合には、組成物は、組成物中の化合物の薬学的に受容可能な塩を含み得る。一実施形態において、組成物は、本化合物の酸付加塩を含む。一実施形態において、組成物は、本化合物の塩基付加塩を含む。本明細書で使用される場合、薬学的に受容可能な塩または複合体という用語は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、非所望の毒物学的作用があったとしてもほとんど示さない塩または複合体(例えば、溶媒和物、多形体)をいう。
【0063】
種々の実施形態において、本明細書において包含される組成物は、限定するものではないが、保護剤、吸着剤、粘滑剤、皮膚緩和剤、保存剤、酸化防止剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤、および界面活性剤を含む、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、これにより参照により本明細書に援用されるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 866−885(Alfonso R.Gennaro ed.19th ed.1995;Ghosh,T.K.;et al.TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997)に載せられているもの)を含む。
【0064】
保護剤および吸着剤としては、散布剤、ステアリン酸亜鉛、コロジオン、ジメチコン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲルおよび他のアロエ製品、ビタミンE油、アラントイン、グリセリン、ペトロラタム、ならびに酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
粘滑剤としては、ベンゾイン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
皮膚緩和剤としては、動物性および植物性油脂、ミリスチルアルコール、ミョウバン、ならびに酢酸アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
保存剤としては、二酸化塩素、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化デカリニウム、および塩化セチルピリジニウム);水銀剤(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、およびチメロサール);アルコール剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、およびベンジルアルコール);抗菌エステル(例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル);および他の抗微生物剤(例えば、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸およびポリミキシン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好適な酸化防止剤としては、アスコルビン酸およびそのエステル、重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにキレート剤(EDTAおよびクエン酸など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、およびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
好適な可溶化剤としては、第四級アンモニウムクロリド、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン、およびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
好適な皮膚浸透剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、およびモノオレイン酸プロピレングリコール);およびN−メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
一実施形態において、組成物は、PVP−IとDMSOとプロピレングリコールとを含む。一実施形態において、組成物は、2%のPVP−Iと、65%のDMSOと、23%および10%のプロピレングリコールとを含む。一実施形態において、組成物は、実質的に無水である。一実施形態において、組成物は、PVP−Iと、DMSOと、ヒドロキシメチルセルロースと、プロピレングリコールと、グリセリンとを含む。一実施形態において、組成物は、2%のPVP−Iと、約40%のDMSOと、10〜33%のプロピレングリコールと、少なくとも1種のさらなる不活性成分とを含む。
【0073】
一実施形態において、組成物は、1〜3%のPVP−Iと、40〜49%のDMSOと、8〜15%のアルコールと、18〜25%のプロピレングリコールと、0〜2%のゲル化剤と、0〜3%の水とを含む。一実施形態において、組成物は、非プロトン性溶媒を含む。一実施形態において、組成物は、1〜3%のPVP−Iと、10〜30%のDMSOと、10〜35%のプロピレングリコールと、0〜2%のゲル化剤と、0〜3%の水とを含む。一実施形態において、組成物は、非プロトン性溶媒を含む。
【0074】
一実施形態において、本発明は、DMSO40〜50%(w/w)と、0.5%〜5%のPVP−I(w/w)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースとを含む。
【0075】
一実施形態において、組成物は、溶液;半固体(例えば、ゲル、懸濁液、軟膏またはクリーム);チンキ;泡沫;エアロゾルまたは別の一般的な薬学的剤形である。一実施形態において、組成物は、2%PVP−I/44%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、1%PVP−I/45%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、1.5%PVP−I/46%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、2.5%PVP−I/43%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、1%PVP−I/99%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、2%PVP−I/65%DMSO溶液である。一実施形態において、組成物は、2%PVP−I/65%DMSO/10〜25%プロピレングリコール溶液である。
【0076】
安定性
A.ヨウ素残存パーセントとして測定
一実施形態において、処方物は、少なくとも6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月の間、室温25℃で安定である。安定性は、最終PVP−I濃度が、USP法に従い表示濃度の少なくとも85%〜120%である場合として定義される。
【0077】
一実施形態において、処方物は、少なくとも6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月の間、室温2〜8℃で安定である。安定性は、最終PVP−I濃度がUSP法に従い表示濃度の少なくとも85%〜120%である場合(したがって、例えば、表示が0.2%のヨウ素を提供する2%PVP−Iであるならば、90%であれば0.18のヨウ素元素となるだろう)として定義される。
【0078】
一実施形態において、処方物は、少なくとも6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月の間、室温−10〜25℃で安定である。安定性は、最終PVP−I濃度がUSP法に従い表示濃度の少なくとも85%〜120%である場合(したがって、例えば、表示が0.2%のヨウ素を提供する2%PVP−Iであるならば、90%であれば0.18のヨウ素元素となるだろう)として定義される。
【0079】
一実施形態において、処方物は、少なくとも6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月の間、室温15〜30℃で安定である。安定性は、最終PVP−I濃度がUSP法に従い表示濃度の少なくとも85%〜120%である場合(したがって、例えば、表示が0.2%のヨウ素を提供する2%PVP−Iであるならば、90%であれば0.18のヨウ素元素となるだろう)として定義される。
【0080】
一実施形態において、処方物は、少なくとも1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月の間、室温40℃で安定である。安定性は、最終PVP−I濃度がUSP法に従い表示濃度の少なくとも85%〜120%である場合(したがって、例えば、表示が0.2%のヨウ素を提供する2%PVP−Iであるならば、90%であれば0.18のヨウ素元素となるだろう)として定義される。
【0081】
調製および使用の方法
低いPVP−I濃度においてPVP−I水溶液を長期にわたって安定させることが困難であることが、当業者に知られている。非限定的な例として、約0.7%未満(w/w、水溶液)のPVP−Iの濃度では、PVP−I水溶液は、急速に壊変して、ヨウ素化されている構成成分とヨウ素を含まない構成成分との複雑な混合物を生じる。
【0082】
本明細書に記載されるように、驚くべきことに、本明細書に示される開示により包含される非プロトン性DMSO溶媒系中0.1%と低いPVP−I溶液は、容易に調製され得、長期にわたりタイプIガラスまたはHDPEプラスチック中で安定な組成物として維持され得る。同じく本明細書に記載されるように、水性PVP−Iから調製された水和DMSO溶液は、PVP−I構成要素について安定性の増大を示す。
【0083】
一実施形態において、組成物は、DMSOを含むまたはDMSOからなる組成物に溶解または懸濁させた、乾燥した、固体または粉末のPVP−Iを含む。別の実施形態において、DMSOは、PVP−Iを含むまたはPVP−Iからなる水性調製物に添加される。当業者は、本明細書における開示に基づき、本明細書において包含される組成物の他の考え得る構成要素の中でも特に、ヨウ素、ヨードフォア、およびDMSOの所望の量に達するためにはどのように組成物を調製すればよいかを理解する。
【0084】
非限定的な例として、治療上有効な薬学的組成物は、固体PVP−Iを用いて調製され、この固体PVP−Iは、DMSOに溶解または懸濁される。一態様において、組成物は無水である。一態様において、組成物は実質的に無水である。別の実施形態において、DMSOは、治療上有効な薬学的組成物を調製するためにPVP−Iの水溶液に添加され得る。一実施形態において、DMSOは、水および他の非水性補助溶媒と共に、補助溶媒として50%〜99%の範囲内で使用される。一実施形態において、処方物は、1種以上の賦形剤を含む。非限定的な例として、賦形剤としては、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、無水リン酸水素二ナトリウムおよび水、ならびに当業者に知られている他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
一実施形態において、組成物は、10%PVP−I(w/v、水溶液)を純DMSO(適量)に添加して、DMSOを含む1%PVP−I(w/w)の結果として生じる溶液を得ることにより調製される。別の実施形態において、組成物は、純DMSO(適量)に固体PVP−Iを溶解させて、DMSOを溶媒として含む、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1.0%、1.25%、1.5%、2.0%、または2.5%PVP−I(w/w)、および約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約1.0%、約1.25%、約1.5%、約2.0%、または約2.5%PVP−I(w/w)組成物のうちの任意のものを得ることにより調製される。さらに別の実施形態において、組成物は、純DMSO(適量)に固体PVP−Iを溶解させて、本明細書において示され、説明され、かつ/または包含される任意の組成物を得ることにより調製される。水性PVP−I(当該技術分野において一般的に使用されかつ/または知られている賦形剤を含むおよび含まない)とDMSOとを含む同様の組成物が、標準10%PVP−I水溶液および純DMSOから調製され得る。しかしながら、所望の最終PVP−I濃度を結果としてもたらすように適切な希釈および調整がなされる場合には、固体または液体の、PVP−Iの任意の出発組成物が使用され得ることが、当業者により理解される。同様に、それぞれ所望の最終ヨードフォアまたはヨウ素元素濃度を結果としてもたらすように適切な希釈および調整がなされる場合には、ヨードフォアまたはヨウ素元素の任意の出発組成物が使用され得る。
【0086】
当該技術分野の技術を考慮すると、本明細書において包含される化合物および組成物についての具体的な投与量が臨床実験および/または薬物動態学実験により経験的に決定され得ること、ならびにそのような投与量が予め規定された有効性基準および/または毒性基準に従い調整され得ることが、本明細書に示される開示に基づき理解される。任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、様々な要因(採用される具体的な化合物の活性、患者の特性、薬物の組み合わせ、処置医の判断ならびに処置されている特定の疾患または状態の性質および重症度を含む)によって決まることもまた理解される。
【0087】
一実施形態において、治療用組成物は、1種以上の化合物を、その化合物について典型的に使用される剤形と異なる剤形での使用のために最適化することにより調製される。一実施形態において、典型的には局所剤形で投与されない化合物が、局所剤形での使用のために開発される。そのような開発に必要とされる化学的アッセイおよび生物学的アッセイは、当業者に知られている。本明細書における開示は、そのような化合物およびそのような化合物を含む組成物をどのように調製すればよいかについての手引きを当業者に提供する。
【0088】
一実施形態において、微生物の集落形成および/または感染を併発した眼球表面疾患に罹っている被験体を処置する方法は、眼球表面疾患を処置するための本明細書において示され、説明され、かつ/または包含される組成物の投与を含み、眼球表面疾患の処置は、感染の進行を防止または緩慢化すること、感染の拡散を防止すること、感染の少なくとも一部を根絶すること、および全感染を根絶することのうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
一実施形態において、治療用組成物は、スケジュール通りに1日1回投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1日2回投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1日3回、1日4回、1日5回、またはそれ以上投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1日1回よりも少ない頻度で投与される。一実施形態において、治療用組成物は、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1週間に1回よりも少ない頻度で投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1ヵ月に1回投与される。一実施形態において、治療用組成物は、1ヵ月に2回投与される。
【0090】
一実施形態において、治療的投薬レジメンは、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、または少なくとも7日にわたり継続される。一実施形態において、治療的投薬レジメンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、または少なくとも16週間にわたり継続される。一実施形態において、治療的投薬レジメンは、少なくとも1ヵ月、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、または少なくとも12ヵ月にわたり継続される。
【0091】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明される。一態様において、以下の実施例は、特定された状態の、本開示により包含される組成物および方法を用いた有効なかつ/または成功裏の処置を示す。本発明の特徴に基づく変形が当業者の技術の範囲内であること、および本発明の範囲が実施例により限定されるべきではないことが認識されるべきである。本発明の範囲を適切に決定するために、利害関係者は、本明細書中の特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物を考慮すべきである。国際特許出願PCT/US2012/036942号明細書および同PCT/US2012/065298号明細書の開示全体が、これにより、あたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により本明細書に援用される。加えて、本明細書における全ての引用は参照により援用され、別段の明示的な記述がない限り、全ての百分率は重量/重量による。
【0092】
本発明において記載される有用な組成物のさらなる例は、クリーム剤、ペトロラタムバルム剤、膏薬、噴霧剤といった処方物、および眼球表面への局所投与に好適な当業者によく知られている他の処方物を含む、または「眼科的に受容可能」な組成物である。
【0093】
上述の記述説明はその最良の形態であると現在考えられるものを当業者が再現しかつ使用することを可能にするが、当業者は、上で提供された特定の実施形態、方法および例の変形、組み合わせ、派生物、類似物および均等物の存在を理解し、正しく認識する。したがって、本発明は、上に記載した実施形態、例および方法により限定されるべきではなく、その代わりに、本発明の範囲および趣旨の範囲内の全ての実施形態、例および方法により限定されるべきである。
【0094】
臨床試験結果および臨床的有効性
HPV疣贅いぼの処置についての12週間の臨床試験において、調査者により採点されるGlobal Aesthetic Improvement Scoreにおける+2以上の変化によって定義される実質的な改善は、完全な根絶および/またはいぼの総数の実質的な減少および/またはいぼもしくは病変の大きさの減少というエンドポイントに到達することにより示される。この結果は、調査被験体の約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%において達成される。調査被験体の少なくとも20%においてプライマリーエンドポイントを達成することとして定義される臨床的成功は、1日1回、1日2回、1日3回または1日4回の投薬によって達成される。
【0095】
被験体は、12週間にわたり1日2回投薬される。被験体は、明らかな疣贅いぼを訴える、10〜99歳の間の、男性または女性である。ゲルの粘度に比べてより低い粘度は有効成分が表皮層またはいぼの一般的により浸透性の低い角質外層をより容易に横切って移動することを可能にすることが予想されることから、一般的には、液体処方物の方が、ゲル処方物よりも効果的であることが予想される。ゲル処方物の投薬は、いぼ(12週間にわたり2回/日)および/またはいぼを直接取り囲む領域へのおよそ1/2インチの紐状のものの直接的な投与を含む。液体処方物の投薬は、いぼおよび/またはいぼを直接取り囲む領域への1〜5滴、典型的には2〜3滴の組成物の直接的な投与を含む。
【0096】
下記の表は、例示的な意外な結果をまとめたものであり、本発明のゲル処方物を、主題の発明の液体処方物よりもいぼに対して有効なものとして示している。
【0097】
39人の臨床被験体における本発明のゲル処方物(2%のPVP−I;44%のDMSO;4%のヒドロキシエチルセルロース;50%の水)を用いたいぼ処置の有効性を、下記表1にまとめてある。
【0098】
伝染性軟属腫には、PVP−I2%ゲル処方物の方が、PVP−I2%溶液よりも効果的であることが見出された。溶液は、完全に吸収するのに1〜2分かかるのであるが、軟属腫は主に小児個体群において生じるため、この待ち時間は、多くの場合に固守されず、溶液の一部が不注意に拭い取られてしまう。ゲルは、はるかに良好な接触時間を有し、皮膚に一旦適用されれば待ち時間を必要としない。溶液については、完全な除去が5/11(45%)の患者、部分的な除去が6/11(55%)の患者でみられ、病変全体の79/98(81%)が消散した。ゲルについては、完全な反応が20/28(71%)の患者、部分的な反応が8/28(29%)の患者でみられ、病変全体の268/288(93%)が消えた。
【0099】
眼瞼炎の処置についての12週間の臨床試験における、完全な根絶のエンドポイントならびに/または眼瞼炎の徴候および症状の実質的な減少のエンドポイント。無作為化対照臨床試験からの結果は、浸透増強剤のDMSOと共に2%のポビドン−ヨウ素を含む主題の発明の処方物の有効性を示し、この処方物は、眼瞼炎を成功裏に排除し得る。眼瞼炎感染は、2週間間隔で評価され、12週間の臨床評価により完全な消散が示される。12週間の調査の終了までに、調査被験体の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%または少なくとも40%において眼瞼炎の徴候および症状の完全な消散が、12週目の調査終了来院までに観察される。
【0100】
加えて、18人の患者の最近の調査により、0.25%または0.5%のPVP−Iを含むゲル処方物が下眼瞼結膜円蓋に投与された場合により少ない刺激を示すことが明らかになった。これらの結果を下記表2にまとめてある。
【0101】
上記の臨床試験からの例において、液体処方物は、いぼおよび眼瞼炎に対する適切な有効性を提供することが予想された。大抵のいぼ治療薬が液体である。驚くべきことに、ゲル処方物が意外な利点および液体処方物中の同様の濃度のPVP−Iと比較して増大した有効性を提供することが見出された。
【実施例】
【0102】
実施例1
前部眼瞼炎:ポリプロピレングリコールおよびヒドロキシメチルセルロースを含む30%USPグレードDMSO中の1.0%PVP−Iで処置
この患者は、前部眼瞼炎を患っていた。この一般的な種類の眼瞼炎において、前部眼瞼縁は、睫毛脱落、睫毛襟状付着物、ふけ、睫毛堆積物および細菌異常増殖を示す。眼瞼縁はさらに結膜に沿って紅斑を有し得、涙液破壊時間の減少が存在する。この患者において、この状態は、7年以上持続しており、慢性経過をとっていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブ、オメガ3脂肪酸、および抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ポリプロピレングリコールおよびヒドロキシメチルセルロースを含む30%DMSO中の1.0%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日2回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間後、結膜紅斑が収まり、涙液破壊時間およびドライアイ症状が正常化したので、状態は急速に改善した。前部眼瞼の眼瞼縁の精密な検査により、結合した堆積物も細菌異常増殖もない、健康な睫毛が明らかになった。
【0103】
実施例2
後部眼瞼炎;ヒドロキシエチルセルロースを含む35%%USPグレードDMSO中の0.2%PVP−Iで処置
この患者は、後部眼瞼炎を患っていた。この最も一般的な種類の眼瞼炎において、後部眼瞼縁は、マイボーム腺肥厚、角質化、脂肪鹸化、および拡張した毛細血管拡張性(telangectatic)眼瞼血管を示す。眼瞼縁はさらに結膜に沿って紅斑を有し得、涙液破壊時間の減少が顕著である。この患者において、この状態は、7年以上持続しており、慢性経過をとっていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブ、オメガ3脂肪酸および抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む35%%DMSO中の0.2%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日2回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間後、結膜紅斑が収まり、涙液破壊時間およびドライアイ症状が正常化したので、状態は急速に改善した。後部眼瞼の眼瞼縁の綿密な検査により、健康なマイボーム腺分泌物、後部眼瞼血管の細化および無紅斑が明らかになった。
【0104】
実施例3
A.しゅさ性眼瞼炎;ヒドロキシエチルセルロースを含む38%USPグレードDMSO中の0.5%PVP−Iで処置
この患者は、しゅさ性眼瞼炎を患っていた。この種類の眼瞼炎において、後部眼瞼縁は、マイボーム腺肥厚、角質化、脂肪鹸化、および拡張した毛細血管拡張性(telangectatic)眼瞼血管を示す。前部眼瞼縁もまた、ふけおよび細菌異常増殖を示し得る。眼瞼縁はさらに結膜に沿って紅斑を有し得、涙液破壊時間の減少が存在する。この患者において、この状態は、7年以上持続しており、慢性経過をとっていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブ、オメガ3脂肪酸および抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。
【0105】
ヒドロキシエチルセルロースを含む38%DMSO中の0.5%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日2回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間後、結膜紅斑が収まり、涙液破壊時間およびドライアイ症状が正常化したので、状態は急速に改善した。拡張した蛇行性の後部眼瞼縁血管は著しく細化し、マイボーム腺分泌物は健全になった。前部眼瞼の眼瞼縁の精密な検査により、結合した堆積物も細菌異常増殖もない、健康な睫毛が明らかになった。
【0106】
B.しゅさ性眼瞼炎(Blepahritis);水中4%のヒドロキシエチルセルロースを含む44%USPグレードDMSO中の1%PVP−Iで処置
緑内障の眼の既往歴および偽水晶体眼を有する78歳の男性は、長年にわたる眼球乾燥、ざらざら感、眼周囲紅斑および眼瞼硬皮生成を訴えた。顔面検査時に、潮紅を伴う鼻および顔面の毛細血管拡張が顕著であった。彼の局所薬剤レジメンは、ラタノプロスト1滴(就寝時、両眼)、ブリモニジン1滴(1日2回、両眼)、およびドルゾラミド/チモロール1滴(1日2回、両眼)を含んだ。患者は、この状態を減じるための様々な医薬品および処置の利用を承認したが、しかしながら、それらはほとんど有益でなかった。失敗した治療には、局所ステロイド、抗生物質(アジスロマイシン、複合医薬品、およびシクロスポリンを含む)が含まれた。経口医薬品(ドキシサイクリンおよびDHA/ALA/EPAを含む)もまた無効であった。
【0107】
細隙灯生体顕微鏡検査により、両側の前部眼瞼縁の紅斑、硬皮形成および肥厚が明らかになった。睫毛検査により、ふけ様の付着物と共にいくらかの切断が明らかになった。後部眼瞼の検査により、上部を覆う混濁した分泌物を伴う濃厚化したマイボーム腺が明らかになった。さらに後部瞼板領域に向かうと、拡張した、充血した毛細血管拡張性血管が存在した。眼瞼辺縁紅斑は、瞼板だけでなく、下眼球結膜にも拡張していた。涙液破壊時間は顕著に減少し、角膜は、下方両側の点状上皮びらんを示していた。しゅさ性眼瞼結膜炎の診断を行った。
【0108】
認可された調剤薬局からの調製されたジメチルスルホキシド(DMSO)ビヒクル中の1%PVP−Iの局所ゲルを患者に与えた。治療薬を、1日2回投与し、ゲルを睫毛の列および眼瞼に擦り込むことにより送達した。1週間後の最初の追跡来院時に、著しい改善が示された。最も顕著には、結膜炎、前部眼瞼の紅斑および肥厚が大方後退した。ゲルを1日1回に減らすが、合計1ヵ月の間処置を続けるように患者に指示した。この2回目の追跡来院時には、初期の改善が維持されていただけでなく、後部眼瞼縁血管および毛細血管拡張も細化および退行し始めていた。さらに、マイボーム腺の上部の覆いはもはや存在せず、分泌物の粘性は低くなっていた。患者は、適用部位における時々の軽い刺痛以外に他の副作用を報告しなかった。
【0109】
実施例4
ニキビダニ属眼瞼炎;ペトロラタムを含む40%USPグレードDMSO中の1.0%PVP−Iで処置
この患者は、前部ニキビダニ属眼瞼炎を患っていた。この種類の眼瞼炎において、前部眼瞼縁は、睫毛脱落、円筒形態状の睫毛襟状付着物および睫毛堆積物を示す。涙液破壊時間の減少も顕著である。後部眼瞼縁もまた紅斑を有し得、マイボーム腺の濃厚化、脂肪鹸化、および細菌異常増殖を示し得る。この患者において、この状態は、7年以上持続しており、慢性経過をとっていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、テイーツリー油、眼瞼スクラブオメガ3脂肪酸および抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。睫毛を抜き、顕微鏡下で検査し、ニキビダニを陽性と同定した。ペトロラタムを含む40%DMSO中の1.0%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日2回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間後、結膜紅斑が収まり、涙液破壊時間およびドライアイ症状が正常化したので、状態は急速に改善した。後部眼瞼縁は、正常なマイボーム腺分泌物を示した。睫毛の顕微鏡評価は、ニキビダニ属ダニについて陰性であった。
【0110】
実施例5
眼瞼結膜炎;グリセリンを含む33%USPグレードDMSO中の0.3%PVP−Iで処置
この患者は、眼瞼結膜炎を患っていた。この種類の眼の炎症において、前部眼瞼縁は、睫毛脱落、睫毛襟状付着物、ふけ、睫毛堆積物および細菌異常増殖を示す。後部眼瞼縁もまた紅斑を有し得、マイボーム腺の濃厚化、上部の覆いおよび角質化を示す。この過程の特徴は、前部および後部眼瞼炎症に副次的なおびただしい結膜充血である。この患者において、この状態は、1週間以上持続しており、急性経過をとっていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブ、オメガ3脂肪酸、および抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。グリセリンを含む33%DMSO中の0.3%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日2回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間後、涙液破壊時間およびドライアイ症状が正常化したので、状態は急速に改善した。前部眼瞼の眼瞼縁の精密な検査により、結合した堆積物も細菌異常増殖もない、健康な睫毛が明らかになった。後部眼瞼縁検査により、健康なマイボーム腺分泌物および眼瞼紅斑の減少が明らかになった。結膜検査により、炎症のない、穏やかかつ健康な組織が明らかになった。
【0111】
実施例6
アデノウイルス性結膜炎;ポリビニルピロリドンを含む44%USPグレードDMSO中の0.15%PVP−Iで処置
この患者は、アデノウイルス性結膜炎を患っていた。この一般的な種類の結膜炎は、最近のウイルス性上気道感染または別の感染者との接触の結果として起こる。耳前腺症が多くの場合に存在する。この患者において、結膜は、結膜浮腫を伴うびまん性充血を示していた。頻繁な眼の透明分泌物が存在した。眼瞼外転により、少数の散在する点状出血を伴う3+の濾胞反応が明らかになった。RPS Adenodetectorサンプリングにより、原因因子がアデノウイルス血清型であると同定された。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブおよび抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ポリビニルピロリドンを含む48%DMSO中の0.15%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日3回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、結膜浮腫および眼瞼浮腫の減少から明らかな改善が眼瞼内および眼瞼周囲で示された。2週間の時点で、結膜紅斑、分泌物および濾胞はもはや存在しておらず、状態は消散した。角膜浸潤物または偽膜の発生はなかった。
【0112】
実施例7
流行性アデノウイルス性結膜炎;ヒドロキシエチルセルロースを含む41.5%%USPグレードDMSO中の0.5%PVP−Iで処置
この患者は、流行性アデノウイルス性結膜炎を患っていた。この種類の結膜炎は、最近のウイルス性上気道感染または別の感染者との接触の結果として起こる。耳前腺症が多くの場合に存在する。この患者において、結膜は、偽膜形成に加えて結膜浮腫を伴うびまん性充血を示していた。頻繁な眼の透明分泌物が存在した。眼瞼外転により、少数の散在する点状出血を伴う3+の濾胞反応が明らかになった。角膜検査により、多発性上皮下浸潤物が示された。RPS Adenodetectorサンプリングにより、原因因子がアデノウイルス血清型であると同定された。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブおよび抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む41.5%DMSO中の0.5%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日3回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。2週間の時点で、結膜紅斑、分泌物、濾胞および偽膜はもはや存在しておらず、状態は消散した。角膜浸潤物も消散してしまっており、角膜は透明でかつ引き締まっていた。
【0113】
実施例8
細菌性結膜炎;ポリプロピレングリコールを含む31.5%USPグレードDMSO中の0.7%PVP−Iで処置
この患者は、細菌性結膜炎を患っていた。この種類の結膜炎においては、多くの場合、細菌異常増殖および結膜上皮層の浸潤が存在する。この患者において、結膜はまた、炎症性膜形成に加えて結膜浮腫を伴うびまん性充血も示していた。頻繁な眼の化膿性分泌物が存在した。眼瞼外転により、少数の点状出血を伴う3+の眼瞼結膜の炎症が明らかになった。結膜培養により、原因因子をスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus Aureus)と同定した。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、眼瞼スクラブおよび抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ポリプロピレングリコールを含む31.5%DMSO中の0.7%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および結膜に1日3回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼瞼内および眼瞼周囲で改善が示された。1週間の時点で、結膜紅斑、分泌物、濾胞および炎症性膜はもはや存在しておらず、状態は消散した。
【0114】
実施例9
単純ヘルペスウイルス上皮角膜炎;グリセリンを含む49%USPグレードDMSO中の2.0%PVP−Iで処置
この患者は、単純ヘルペスウイルス上皮角膜炎を患っていた。この種類の角膜炎においては、多くの場合、活性な複製性ウイルスが上皮の樹枝状病変内に存在する。免疫系が弱まると、ウイルスが知覚神経節中で再活性化し、下行して、角膜に感染する。これは、多くの場合、再発性疾患として現れ得る。この患者において、結膜は、びまん性充血を示し、角膜は、末端膨大部を伴う蛇状または樹枝状形態の染色性の上皮潰瘍を見せていた。Millipore検査により、単純ヘルペスウイルスが原因因子として明らかになる。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。グリセリンを含む49%DMSO中の2.0%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。樹枝状病変は再上皮化し始め、活発なウイルス複製は停止した。1週間の時点で、状態は消散し、先の角膜病変の形跡はなかった。結膜は白色かつ穏やかであった。
【0115】
実施例10
単純ヘルペスウイルス間質性角膜炎;ヒドロキシエチルセルロースを含む44%USPグレードDMSO中の0.15%PVP−Iで処置
この患者は、単純ヘルペスウイルス間質性角膜炎を患っていた。この種類の角膜炎においては、多くの場合、間質性角膜腫脹を引き起こす分子相同性に比べると二次的な宿主の免疫活性化が存在する。活性な複製性ウイルスは、存在することもあるし、存在しないこともある。これは、多くの場合、再発性疾患として現れ得る。この患者において、結膜は、びまん性充血を示し、角膜は、不透明化を伴うびまん性角膜腫脹を見せていた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む44%DMSO中の0.15%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。間質性浮腫が消え始め、患者は染色性の樹枝状病変を何ら有していなかった。1週間の時点で、状態は消散し、先の角膜病変、瘢痕形成、または新生血管形成の形跡はなかった。結膜は白色かつ穏やかであった。
【0116】
実施例11
単純ヘルペスウイルス内皮角膜炎;ヒドロキシエチルセルロースを含む38%USPグレードDMSO中の1.4%PVP−Iで処置
この患者は、単純ヘルペスウイルス内皮角膜炎を患っていた。この種類の角膜炎においては、多くの場合、内皮細胞に向けられる分子相同性に比べると二次的な宿主の免疫活性化が存在する。活性な複製性ウイルスは、存在することもあるし、存在しないこともある。これは、多くの場合、再発性疾患として現れ得る。この患者において、結膜は、びまん性充血を示し、角膜は、角膜後面沈着物を伴う円板状内皮炎症を見せていた。いくらかの間質性角膜浮腫も存在した。前房は、まばらな炎症細胞および軽度の線維柱帯炎を示していた。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む38%DMSO中の1.4%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。間質性浮腫が消え始め、角膜後面沈着物は減少した。前房細胞および発赤はもはや存在しなかった。1週間の時点で、状態は消散し、先の角膜腫脹の形跡はなかった。残存する角膜瘢痕形成も、新生血管形成もなかった。結膜は白色かつ穏やかであった。
【0117】
実施例12
眼部帯状疱疹(Hepres Zoster Ophthalmicus);ペトロラタムを含む40%USPグレードDMSO中の1.8%PVP−Iで処置
この患者は、帯状疱疹ウイルス上皮角膜炎を患っていた。この種類の角膜炎においては、多くの場合、皮節分布における紅斑性班および表皮剥離に加えて眼内のウイルス感染が存在する。免疫系が弱まると、三叉神経の眼神経内で、帯状疱疹ウイルスが再活性化される。この患者において、結膜は、びまん性充血を示し、角膜は、末端膨大部を伴わない、ローズベンガル染色性の上皮に「付着した」樹枝状病変を見せていた。下にある角膜支質は、角膜後面沈着物を伴わない中央の浮腫を示した。眼底検査は、脈管炎について陰性であった。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ペトロラタムを含む40%DMSO中の1.8%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。樹枝状病変は再上皮化し始め、活発なウイルス複製は停止した。1週間の時点で、状態は消散し、先の角膜病変の形跡はなかった。結膜は白色かつ穏やかであり、角膜は透明でかつ引き締まっていた。
【0118】
実施例13
グラム陽性細菌性角膜潰瘍;ペトロラタムを含む45%USPグレードDMSO中の0.35%PVP−Iで処置
この患者は、細菌性角膜潰瘍を患っていた。この種類の感染において、多くの場合にコンタクトレンズの使用歴が存在するが、しかしながら、これは必要条件ではない。細菌は、上皮における小さな破損を介して眼に導入され、下にある構造物への足掛かりを得る。この患者において、結膜は、化膿性分泌物を伴うびまん性充血を示していた。角膜は、上に重なる中央上皮の欠陥を伴う中央の3ミリメートルの円形浸潤物を示していた。この浸潤物は支質溶解を誘発しており、その結果、角膜はおよそ30パーセント薄くなっていた。前房に1ミリメートルの層状の前房蓄膿が存在した。角膜培養を行い、コアグラーゼ陰性連鎖球菌種を同定した。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ペトロラタムを含む45%DMSO中の0.35%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日6回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。角膜溶解は停止し、再上皮化が起こっていた。1週間の時点で、前房蓄膿は消散し、結膜は透明になり、小さな中央の浸潤物が残存していた。2週目までに、患者は回復し、活発な細菌感染は残存していなかった。中央角膜の瘢痕が、先の活性な浸潤物の領域において顕著であった。
【0119】
実施例14
グラム陰性細菌性角膜潰瘍;ポリビニルピロリドンを含む36%USPグレードDMSO中の0.2%PVP−Iで処置
この患者は、細菌性角膜潰瘍を患っていた。この種類の感染において、多くの場合にコンタクトレンズの使用歴が存在するが、しかしながら、これは必要条件ではない。細菌は、上皮における小さな破損を介して眼に導入され、下にある構造物への足掛かりを得る。この患者において、結膜は、化膿性分泌物を伴うびまん性充血を示していた。角膜は、上に重なる中央上皮の欠陥を伴う中央の5ミリメートルの円形浸潤物を示していた。この浸潤物はおびただしい支質溶解を誘発しており、その結果、角膜はおよそ75パーセント薄くなっていた。前房に2ミリメートルの層状の前房蓄膿が存在した。角膜培養を行い、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)種を同定した。患者は、数多くの抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ポリビニルピロリドンを含む36%DMSO中の0.2%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日6回局所適用することにより患者を処置した。3日以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。角膜溶解は停止し、再上皮化が起こっていた。1週間の時点で、前房蓄膿は消散し、結膜は透明になり、小さな中央の浸潤物が残存していた。2週目までに、患者は回復し、活発な細菌感染は残存していなかった。中央角膜の瘢痕が、先の活性な浸潤物の領域において顕著であった。
【0120】
実施例15
真菌性角膜潰瘍;グリセリンを含む45%USPグレードDMSO中の1.2%PVP−Iで処置
この患者は、真菌性角膜潰瘍を患っていた。この種類の感染において、多くの場合にコンタクトレンズの使用歴が存在するが、しかしながら、これは必要条件ではない。真菌は、上皮における小さな破損を介して眼に導入され、下にある構造物への足掛かりを得る。この患者において、結膜は、化膿性分泌物を伴うびまん性充血を示していた。角膜は、上に重なる中央上皮の欠陥を伴う多発性の羽毛様浸潤物を含有していた。この浸潤物はほとんど支質溶解を誘発しておらず、その結果、角膜は薄くなっていなかった。前房蓄膿はなかったが、しかしながら、細胞および発赤は存在した。角膜培養を行い、フザリウム属種を同定した。患者は、数多くの抗真菌薬、抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。グリセリンを含む45%DMSO中の1.2%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日6回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。角膜は、再上皮化の過程を開始していた。2週間の時点で、角膜浸潤物は消散し、結膜は透明になり、前房は穏やかであった。中央角膜の瘢痕が、先の活性な浸潤物の領域において顕著であった。
【0121】
実施例16
アカントアメーバ角膜潰瘍;ヒドロキシエチルセルロースを含む39%USPグレードDMSO中の0.4%PVP−Iで処置
この患者は、アカントアメーバ角膜潰瘍を患っていた。この種類の感染において、多くの場合にコンタクトレンズの使用歴および自家製のコンタクトレンズ液が存在するが、しかしながら、これは必要条件ではない。アカントアメーバ寄生虫は、多くの場合、上皮における小さな破損を介して眼に導入され、下にある構造物への足掛かりを得る。患者は、検査に対して過大な疼痛を認める。この患者において、結膜は、びまん性充血を示していた。角膜は、角膜神経の肥大を伴う複数の水疱性病変を含有していた。上に重なる上皮の欠陥およびかすかな輪状浸潤物が存在した。この浸潤物はほとんど支質溶解を誘発しておらず、その結果、角膜は薄くなっていなかった。前房蓄膿はなかったが、しかしながら、細胞および発赤は存在した。角膜培養を行い、エスケリキア・コリ(E.coli)で覆った無栄養寒天上でアカントアメーバ属種を同定した。患者は、数多くの抗アメーバ薬(クロルヘキシジン、プロパミジンを含む)、抗真菌薬、抗生物質、ステロイド、経口用および局所用の抗ウイルス薬ならびに抗炎症薬を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む39%DMSO中の0.4%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日6回局所適用することにより患者を処置した。1週間以内に、眼内および眼周囲で改善が示された。角膜は、再上皮化の過程を開始しており、輪状潰瘍は、度合いが小さくなり始めた。2週間の時点で、角膜浸潤物は消散し、結膜は透明になり、神経周囲痛は収まった。中央角膜の瘢痕が、先の活性な浸潤物の領域において顕著であった。
【0122】
実施例17
結膜上皮内腫瘍;ポリプロピレングリコールを含む47%USPグレードDMSO中の1.1%PVP−Iで処置
この患者は、結膜上皮内腫瘍を患っていた。この種類の異形成において、細胞は、上皮内で不規則に増殖するが、基底膜を突破しない。これは、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、結膜は、白斑を伴う肉質の辺縁塊の増殖を示していた。隆起した栄養血管が存在した。不規則領域は、ローズベンガルに陽性に染まった。結膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ポリプロピレングリコールを含む47%DMSO中の1.1%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。結膜病変は退行し始め、表面積が小さくなり始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、結膜は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0123】
実施例18
結膜扁平上皮癌;ポリビニルピロリドンを含む32%%USPグレードDMSO中の1.5%PVP−Iで処置
この患者は、結膜扁平上皮癌を患っていた。この種類の異形成において、細胞は、上皮内で不規則に増殖し、基底膜を突破して結膜支質に入る。これは、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、結膜は、白斑を伴う肉質の辺縁塊を示していた。隆起した栄養血管が存在した。不規則領域は、ローズベンガルに陽性に染まった。結膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ポリビニルピロリドンを含む32%DMSO中の1.5%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。結膜病変は退行し始め、表面積が小さくなり始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、結膜は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0124】
実施例19
角膜上皮内腫瘍;ポリビニルピロリドンを含む33%USPグレードDMSO中の0.6%PVP−Iで処置
この患者は、角膜上皮内腫瘍を患っていた。この種類の異形成において、細胞は、結膜上皮内で不規則に増殖するが、基底膜を突破しない。これは、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、角膜は、白斑を伴うびまん性の半透明の灰色の腫瘍を示していた。不規則領域は、ローズベンガルに陽性に染まった。角膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ポリビニルピロリドンを含む33%DMSO中の0.6%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。角膜病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、角膜は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0125】
実施例20
角膜扁平上皮癌;ヒドロキシエチルセルロースを含む30.5%USPグレードDMSO中の0.1%PVP−Iで処置
この患者は、角膜扁平上皮癌を患っていた。この種類の異形成において、細胞は、角膜上皮内で不規則に増殖し、基底膜を突破してより深い構造物に侵入する。これは、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、角膜は、白斑を伴うびまん性の半透明の灰色の腫瘍を示していた。不規則領域は、ローズベンガルに陽性に染まった。角膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ヒドロキシエチルセルロースを含む30.5%DMSO中の0.1%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。角膜病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、角膜は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0126】
実施例21
結膜扁平上皮乳頭腫;ペトロラタムを含む46%USPグレードDMSO中の1.9%PVP−Iで処置
この患者は、結膜乳頭腫を患っていた。この種類の異形成において、結膜細胞は、外長性またはカリフラワー様の形態を示す。それらはまた、指様形態で増殖し得、多くの場合、血管芯を備えて小葉に分かれる。その過程は、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、結膜は、有茎基部、葉様増殖および血管芯を有する外長性塊を示していた。結膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。局所抗炎症薬も投与された。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ペトロラタムを含む46%DMSO中の1.9%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。結膜病変は退行し始め、表面積を減らし始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、下にある結膜は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0127】
実施例22
角膜扁平上皮乳頭腫;ポリビニルピロリドンを含む43%USPグレードDMSO中の0.8%PVP−Iで処置
この患者は、角膜扁平上皮乳頭腫を患っていた。この種類の異形成において、角膜細胞は、外長性またはカリフラワー様の形態を示す。それはまた、指様形態で増殖し得、多くの場合、血管芯を備えて小葉に分かれる。その過程は、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、角膜は、有茎基部、葉様増殖および血管芯を有する外長性塊を示していた。角膜生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。局所抗炎症薬も投与された。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ポリビニルピロリドンを含む43%DMSO中の0.8%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に、眼内で改善が示された。角膜病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、角膜組織は健康であるように見えた。罹患領域における処置後生検は陰性であった。
【0128】
実施例23
眼瞼扁平上皮乳頭腫;ヒドロキシエチルセルロースを含む47%USPグレードDMSO中の1.7%PVP−Iで処置
この患者は、眼瞼扁平上皮乳頭腫を患っていた。この種類の異形成において、細胞は、外長性またはカリフラワー様の形態を示す。それらはまた、指様形態で増殖し得、多くの場合、血管芯を備えて小葉に分かれる。その過程は、多くの場合、紫外線曝露、喫煙、またはヒト乳頭腫ウイルスに関連する。この患者において、眼瞼薄層は、有茎基部、葉様増殖および血管芯を有する外長性塊を示していた。眼瞼生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所化学療法剤(例えば、マイトマイシンおよびインターフェロン)を試してきた。局所抗炎症薬も投与された。最終的な寒冷療法による切除が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ヒドロキシエチルセルロースを含む47%DMSO中の1.7%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼に1日4回局所適用することにより患者を処置した。1ヵ月以内に改善が示された。眼瞼病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。2ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、眼瞼組織および構造物は健康であるように見えた。
【0129】
実施例24
眼瞼疣贅;ポリプロピレングリコールを含む43%USPグレードDMSO中の0.1%PVP−Iで処置
この患者は、眼瞼疣贅を患っていた。この種類の眼瞼増殖は、通常、灰色または黄褐色の丘疹で始まり、これが乳頭腫性表面を有する角質増殖性病変に進行する。その過程は、多くの場合、上皮層のヒト乳頭腫ウイルス感染に関連する。この患者において、上眼瞼は、乳頭腫性表面を有する充実性の白色増殖物を示していた。眼瞼生検を行い、病理学報告により診断を確定した。患者は、数多くの局所用薬剤を試してきたが、有益ではなかった。最終的に寒冷療法が行われたが、しかしながら、病変は再発した。ポリプロピレングリコールを含む43%DMSO中の0.1%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼構造物に1日4回局所適用することにより患者を処置した。2週間以内に改善が示された。病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。1ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、眼瞼組織および皮膚は健康であるように見えた。
【0130】
実施例25
眼瞼伝染性軟属腫;ヒドロキシエチルセルロースを含む39%USPグレードDMSO中の0.9%PVP−Iで処置
この患者は、眼瞼関連伝染性軟属腫を患っていた。この種類の眼瞼感染は、通常、くぼみのある中央を有する、肌色の、半球形の、真珠様の丘疹を示す。その過程は、多くの場合、上皮層のポックスウイルス感染に関連する。この患者において、上眼瞼および眼瞼縁は、くぼみのある中央を有する、複数の肌色の丘疹を示していた。患者は、数多くの局所用薬剤(サリチル酸およびイミキモッドを含む)を試してきたが、有益ではなかった。切除を伴う寒冷療法が最終的に行われたが、しかしながら、病変は再発した。ヒドロキシエチルセルロースを含む39%DMSO中の0.9%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を眼瞼および辺縁構造物に1日4回局所適用することにより患者を処置した。2週間以内に改善が示された。病変は退行し始め、表面積が減少し始めていた。1ヵ月の時点で、病変の完全な退行があり、眼瞼の組織および薄層は健康であるように見えた。
【0131】
実施例26
白内障手術前の眼瞼消毒;ヒドロキシエチルセルロースを含む44%USPグレードDMSO中の0.2%PVP−Iで処置
この患者は、白内障手術の前に前部および後部眼瞼炎を患っていた。数多くの眼の研究が、眼瞼および結膜に住みついている細菌を、術後感染性眼内炎を招くものとして関係づけている。したがって、前記手順を開始する前にこれらの表面の殺菌を試みることが慣例である。この患者において、後部眼瞼縁は、マイボーム腺肥厚、角質化、脂肪鹸化、および拡張した毛細血管拡張性(telangectatic)眼瞼血管を示していた。前部眼瞼縁もまた、ふけおよび細菌異常増殖を示していた。患者は、眼球表面を殺菌するための数多くの局所用薬剤(局所抗生物質および消毒薬を含む)を試してきたが、有益ではなかった。ヒドロキシエチルセルロースを含む44%DMSO中の0.2%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を、手順の3日前から開始して、眼および眼瞼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。手順の当日に結膜培養を行い、増殖物のないことが示された。患者は、成功裏の手順を受け、順調な術後経過をとった。
【0132】
実施例27
硝子体内注射前の眼瞼消毒;グリセリンを含む32%USPグレードDMSO中の1.4%PVP−Iで処置
この患者は、硝子体内注射の前に前部および後部眼瞼炎を患っていた。数多くの眼の研究が、眼瞼および結膜に住みついている細菌を、注射後感染性眼内炎を招くものとして関係づけている。したがって、前記手順を開始する前にこれらの表面の殺菌を試みることが慣例である。この患者において、後部眼瞼縁は、マイボーム腺肥厚、角質化、脂肪鹸化、および拡張した毛細血管拡張性(telangectatic)眼瞼血管を示していた。前部眼瞼縁もまた、ふけおよび細菌異常増殖を示していた。患者は、眼球表面を殺菌するための数多くの局所用薬剤(局所抗生物質および消毒薬を含む)を試してきたが、有益ではなかった。グリセリンを含む32%DMSO中の1.4%PVP−Iを用いた本明細書に開示されるような組成物を調製した。溶液を、手順の3日前から開始して、眼および眼瞼に1日3回局所適用することにより患者を処置した。手順の当日に結膜培養を行い、増殖物のないことが示された。患者は、成功裏の注射を受け、順調な術後経過をとった。
以下に、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素(PVP−I)と、
約30%〜約99%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、
約1%〜約10%のゲル化剤と
を含む局所ゲル組成物において、前記局所ゲル組成物は、ゲル化剤を実質的に含まない約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素と約30%〜約99%のDMSOとを含む液体組成物に比べて、皮膚感染を処置することにおいてより大きな有効性を示すことを特徴とする局所ゲル組成物。
[請求項2]
請求項1に記載の組成物において、約1%〜約5%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項3]
請求項1に記載の組成物において、約1%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項4]
請求項1に記載の組成物において、約2%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項5]
請求項1に記載の組成物において、約30%〜約70%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項6]
請求項1に記載の組成物において、約40%〜約49%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項7]
請求項1に記載の組成物において、約44%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項8]
請求項1に記載の組成物において、約2%〜約5%のゲル化剤を含むことを特徴とする組成物。
[請求項9]
請求項1に記載の組成物において、約4%のゲル化剤を含むことを特徴とする組成物。
[請求項10]
請求項1に記載の組成物において、
2%のPVP−Iと、
44%のDMSOと、
4%のヒドロキシエチルセルロースと、
50%の水性溶媒と
を含むことを特徴とする組成物。
[請求項11]
請求項10に記載の組成物において、前記水性溶媒が、水または等張緩衝液であることを特徴とする組成物。
[請求項12]
請求項1に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ゴム、寒天、ペトロラタム、及びセルロースポリマーからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
[請求項13]
請求項1に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ヒドロキシエチルセルロースであることを特徴とする組成物。
[請求項14]
請求項1に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ヒドロキシメチルセルロースであることを特徴とする組成物。
[請求項15]
生殖器の皮膚を含む皮膚の感染を処置する方法において、前記方法は、
前記感染を軽減または排除するために必要に応じて有効量の請求項1に記載の局所ゲル組成物を前記感染の部位に適用するステップ
を含むことを特徴とする方法。
[請求項16]
請求項15に記載の方法において、前記感染が、細菌、ニキビダニ属、真菌または酵母、およびウイルスからなる群から選択される1つ以上の感染因子に起因するまたは関連することを特徴とする方法。
[請求項17]
請求項16に記載の方法において、前記ウイルス感染因子が、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)または伝染性軟属腫ウイルス(MCV)であることを特徴とする方法。
[請求項18]
請求項15に記載の方法において、前記皮膚感染が、ウイルス性いぼであることを特徴とする方法。
[請求項19]
請求項15に記載の方法において、前記皮膚感染が、伝染性軟属腫であることを特徴とする方法。
[請求項20]
請求項15に記載の方法において、前記皮膚感染が、顔または生殖器の前記皮膚上にあることを特徴とする方法。
[請求項21]
約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素(PVP−I)と、
約30%〜約99%のジメチルスルホキシド(DMSO)と、
約1%〜約10%のゲル化剤と
を含む安定な局所眼科用ゲル組成物において、
前記組成物中の各成分は、眼科的に受容可能であり、かつ
前記眼科用ゲル組成物は、ゲル化剤を実質的に含まない約0.1%〜約10%のポビドン−ヨウ素と30%〜約99%のDMSOとを含む液体組成物に比べて、眼または眼瞼の感染状態を処置することにおいてより大きな有効性を示すことを特徴とする
安定な局所眼科用ゲル組成物。
[請求項22]
請求項21に記載の組成物において、約0.1%〜約5%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項23]
請求項21に記載の組成物において、約1%〜約3%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項24]
請求項21に記載の組成物において、約1%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項25]
請求項21に記載の組成物において、約0.10%〜約3.0%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項26]
請求項21に記載の組成物において、約0.15%を含むことを特徴とする組成物。
[請求項27]
請求項21に記載の組成物において、約0.25%のPVP−Iを含むことを特徴とする組成物。
[請求項28]
請求項21に記載の組成物において、約30%〜約70%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項29]
請求項21に記載の組成物において、約40%〜約49%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項30]
請求項21に記載の組成物において、約44%のDMSOを含むことを特徴とする組成物。
[請求項31]
請求項21に記載の組成物において、約3%〜約5%のゲル化剤を含むことを特徴とする組成物。
[請求項32]
請求項21に記載の組成物において、約4%のゲル化剤を含むことを特徴とする組成物。
[請求項33]
請求項21に記載の組成物において、
1%のPVP−Iと、
44%のDMSOと、
4%のヒドロキシエチルセルロースと、
51%の水性溶媒と
を含むことを特徴とする組成物。
[請求項34]
請求項33に記載の組成物において、前記水性溶媒が、水または等張緩衝液であることを特徴とする組成物。
[請求項35]
請求項21に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ゴム、寒天、ペトロラタム、およびセルロースポリマーからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
[請求項36]
請求項21に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ヒドロキシエチルセルロースであることを特徴とする組成物。
[請求項37]
請求項21に記載の組成物において、前記ゲル化剤が、ヒドロキシメチルセルロースであることを特徴とする組成物。
[請求項38]
眼または眼瞼の感染状態を処置する方法において、前記方法は、
前記感染を軽減または排除するために必要に応じて有効量の請求項1に記載の安定な局所眼科用ゲル組成物を前記感染の部位に適用するステップ
を含むことを特徴とする方法。
[請求項39]
請求項38に記載の方法において、前記感染状態が、眼瞼炎、結膜炎、角膜潰瘍、HSV角膜炎、結膜腫瘍、前眼房炎症、術後眼内炎、および硝子体内または眼房内注射後の眼内炎からなる群から選択されることを特徴とする方法。
[請求項40]
請求項39に記載の方法において、前記感染状態が、細菌、ニキビダニ属、真菌または酵母、およびウイルスからなる群から選択される1つ以上の感染因子に起因するまたは関連することを特徴とする方法。
[請求項41]
請求項38に記載の方法において、前記状態が、眼瞼炎であることを特徴とする方法。
[請求項42]
請求項38に記載の方法において、前記感染因子が、ウイルスであることを特徴とする方法。
[請求項43]
請求項38に記載の方法において、前記感染因子が、ニキビダニ属であることを特徴とする方法。
【要約】
皮膚および生殖器のウイルス性いぼ感染、ニキビダニ属感染および細菌感染の処置において有用な安定な局所処方物、ならびに皮膚および生殖器のウイルス性いぼ感染、ニキビダニ属感染および細菌感染を前記組成物で処置する方法が記載される。
【選択図】なし