特許第6280767号(P6280767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルネサスエレクトロニクス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6280767
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20180205BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20180205BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   H03F3/45 Z
   H03F3/34 C
   H03F3/68 Z
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-31371(P2014-31371)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-156599(P2015-156599A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】水田 元紀
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−299506(JP,A)
【文献】 特開昭62−082804(JP,A)
【文献】 特開昭64−001014(JP,A)
【文献】 特開平09−252223(JP,A)
【文献】 特開2007−324991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00− 3/45、3/50− 3/52、
3/62− 3/64、3/68− 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流信号を出力する信号源と、
前記交流信号から一定振幅の第1の交流電圧を生成する差動増幅器を有し、前記第1の交流電圧を外部負荷の一端へ出力する電圧生成回路と、
前記外部負荷の他端と接続され、前記交流信号に応じて、前記第1の交流電圧とは逆相の一定振幅の交流電流を前記外部負荷に供給する電圧電流変換回路と、を備え、
前記交流信号は、所定電圧を基準として一定振幅で変動する正の電圧であり、
前記電圧生成回路は、
一端に前記所定電圧が印加され、他端が前記差動増幅器の反転入力端子と接続される第1の抵抗と、
一端が前記差動増幅器の前記反転入力端子と接続され、他端が前記差動増幅器の出力端子と接続される第2の抵抗と、を備え、
前記差動増幅器の非反転入力端子に前記交流信号が入力され、
前記差動増幅器の前記出力端子から前記第1の交流電圧が出力される、
駆動回路。
【請求項2】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の一方又は両方は可変抵抗であり、
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の一方又は両方の抵抗値を制御する制御回路を更に備える、
請求項に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記信号源と前記電圧電流変換回路との間、又は、前記信号源と前記電圧生成回路との間に挿入され、前記交流信号の位相を調整する位相調整器を更に備え、
前記制御回路は、前記位相調整器での前記交流信号の位相調整量を制御する、
請求項に記載の駆動回路。
【請求項4】
交流信号を出力する信号源と、
前記交流信号から一定振幅の第1の交流電圧を生成する差動増幅器を有し、前記第1の交流電圧を外部負荷の一端へ出力する電圧生成回路と、
前記外部負荷の他端と接続され、前記交流信号に応じて、前記第1の交流電圧とは逆相の一定振幅の交流電流を前記外部負荷に供給する電圧電流変換回路と、を備え、
前記交流信号は、所定電圧を基準として一定振幅で変動する正の電圧であり、
前記電圧生成回路は、
一端に前記交流信号が印加され、他端が前記差動増幅器の反転入力端子と接続される第1の抵抗と、
一端が前記差動増幅器の前記反転入力端子と接続され、他端が前記差動増幅器の出力端子と接続される第2の抵抗と、を備え、
前記差動増幅器の非反転入力端子に前記所定電圧が入力され、
前記差動増幅器の前記出力端子から前記第1の交流電圧が出力される、
駆動回路
【請求項5】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の一方又は両方は可変抵抗であり、
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の一方又は両方の抵抗値を制御する制御回路を更に備える、
請求項に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記信号源と前記電圧電流変換回路との間、又は、前記信号源と前記電圧生成回路との間に挿入され、前記交流信号の位相を調整する位相調整器を更に備え、
前記制御回路は、前記位相調整器での前記交流信号の位相調整量を制御する、
請求項に記載の駆動回路。
【請求項7】
交流信号を出力する信号源と、
前記交流信号から一定振幅の第1の交流電圧を生成する差動増幅器を有し、前記第1の交流電圧を外部負荷の一端へ出力する電圧生成回路と、
前記外部負荷の他端と接続され、前記交流信号に応じて、前記第1の交流電圧とは逆相の一定振幅の交流電流を前記外部負荷に供給する電圧電流変換回路と、を備え、
前記交流信号は、所定電圧を基準として一定振幅で変動する正の電圧であり、
前記差動増幅器の非反転入力端子に前記所定電圧が入力され、
前記差動増幅器の反転入力端子に前記交流信号が入力され、
前記差動増幅器の出力端子から前記第1の交流電圧が出力される、
駆動回路
【請求項8】
前記信号源は、
前記電圧電流変換回路へ第1の交流信号を前記交流信号として出力し、
前記電圧生成回路へ第2の交流信号を前記交流信号として出力し、
前記第1の交流信号及び前記第2の交流信号の一方又は両方の位相を調整可能に構成される、
請求項1に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動回路に関し、例えば、接続される負荷を駆動する駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、接続される外部の負荷を駆動するための駆動回路が、様々な電気機器や半導体装置などに搭載されている。
【0003】
例えば、生体電気インピーダンス測定に搭載される駆動回路が提案されている(特許文献1)。この駆動回路には、負荷として生体が電気的に接続されることとなる。この構成では、駆動回路が一定振幅の交流電流を生体に流すことで、生体のインピーダンスを測定することができる。この例では、駆動回路の差動増幅器の出力端子が生体の一端と接続され、かつ、生体の他端が差動増幅器の反転入力端子と接続され、負のフィードバック回路が構成される。
【0004】
他にも、負荷(コイル)に一定の電流を流す駆動回路も提案されている(特許文献2)。この駆動回路では、固定電圧に対して出力電圧を変動させて、負荷に電流を流している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−12868号公報
【特許文献2】特開2003−204231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、発明者は、上述の駆動回路には、以下に示す問題点が有ることを見出した。特許文献1に記載の駆動回路は、差動増幅器を用いた負のフィードバック回路を有する。そのため、差動増幅器に接続される負荷のインピーダンスによっては、差動増幅器の動作が不安定になる場合がある。そのため、種々のインピーダンスを有する負荷に対応することが困難である。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、駆動回路は、交流信号を出力する信号源と、前記交流信号から一定振幅の第1の交流電圧を生成する差動増幅器を有し、前記第1の交流電圧を外部負荷の一端へ出力する電圧生成回路と、前記外部負荷の他端と接続され、前記第1の交流電圧とは逆相の一定振幅の交流電流を前記外部負荷に供給する電圧電流変換回路と、を備えるものである。
【0009】
一実施の形態によれば、駆動回路は、交流信号を出力する信号源と、一定振幅の第1の交流電圧を外部負荷の一端へ出力する電圧生成回路と、前記外部負荷の他端と接続され、前記第1の交流電圧とは逆相の一定振幅の交流電流を前記外部負荷に供給する電圧電流変換回路と、を備えるものである。

【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、負荷のインピーダンスによらず一定振幅の電流を負荷に流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる駆動回路の構成を示す回路ブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図3】実施の形態1にかかる駆動回路100での基準電圧と出力電圧との関係を示すグラフである。
図4】実施の形態1にかかる駆動回路での出力電圧と基準電圧との差電圧を示すグラフである。
図5】実施の形態1にかかる駆動回路が負荷に流す電流を示すグラフである。
図6】基準電圧が一定である場合の電圧電流変換回路の出力電圧の例を示すグラフである。
図7】一定の基準電圧と電圧電流変換回路の出力電圧との間の差電圧を示すグラフである。
図8】基準電圧が一定の場合に負荷に流れる電流を示すグラフである。
図9】実施の形態2にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図10】実施の形態3にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図11】実施の形態3にかかる駆動回路での基準電圧と出力電圧との関係を示すグラフである。
図12】実施の形態4にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図13】実施の形態5にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図14】実施の形態6にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図15】実施の形態7にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図16】実施の形態8にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図17】実施の形態9にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図18】実施の形態10にかかる電圧電流変換回路の構成を示す回路図である。
図19】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図20】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図21】実施の形態11にかかる位相調整器の構成を示す回路図である。
図22】実施の形態11にかかる位相調整器の構成を示す回路図である。
図23】実施の形態11にかかる位相調整器の構成を示す回路図である。
図24】実施の形態11にかかる位相調整器の構成を示す回路図である。
図25】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図26】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図27】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図28】実施の形態11にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図29】実施の形態12にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図30】実施の形態13にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図31】実施の形態14にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
図32】実施の形態15にかかる駆動回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
実施の形態1
実施の形態1にかかる駆動回路100について説明する。図1は、実施の形態1にかかる駆動回路100の構成を示す回路ブロック図である。駆動回路100は、交流電圧信号源1、電圧電流変換回路2及び基準電圧生成回路3を有する。なお、交流電圧信号源は単に信号源とも称する。基準電圧生成回路は、電圧生成回路とも称する。
【0014】
交流電圧信号源1は、交流電圧を出力する。交流電圧信号源1の一方の端子T2は電圧電流変換回路2の正相入力端子と接続され、他方の端子T1は基準電圧生成回路3と接続される。また、交流電圧信号源1の端子T1とグランドとの間には、VDD/2の大きさの直流電圧V1(所定電圧とも称する)を出力する直流電源5が挿入される。直流電源5の高電圧側端子が交流電圧信号源1の端子T1と接続され、低電圧側端子がグランドと接続される。ここでは、端子T1から出力される電圧を直流電圧V1、端子T2から出力される電圧を交流信号V2としている。
【0015】
電圧電流変換回路2は、入力される交流信号V2に比例した電流信号(すなわち同位相の電流信号)を負荷4へ出力する回路である。電圧電流変換回路2の正相入力端子は、交流電圧信号源1の端子T2と接続される。電圧電流変換回路2の逆相入力端子は、交流電圧信号源1の端子T1と、直流電源5の高電圧側端子とに接続される。電圧電流変換回路2の出力端子は、負荷4の一端と接続される。電圧電流変換回路2は、交流信号V2と同位相の電流信号を出力するので、電圧電流変換回路2の出力電圧V22(第1の交流電圧とも称する)は交流信号V2と同位相となる。なお、電圧電流変換回路2は、電源電圧VDDとグランドとの間に挿入されることで、電源供給を受ける。
【0016】
基準電圧生成回路3は、負荷4に電流を供給するための基準電圧V21(第2の交流電圧とも称する)を生成する。基準電圧生成回路3は、この例では反転増幅器として構成される。基準電圧生成回路3の入力端子には、交流信号V2が入力される。基準電圧生成回路3の出力端子は、負荷4の他端と接続される。基準電圧生成回路3は、電源電圧VDDとグランドとの間に挿入されることで、電源供給を受ける。
【0017】
この例では、電圧電流変換回路2の正相入力端子には交流信号V2、逆相入力端子には直流電圧V1が入力される。基準電圧生成回路3の入力端子には交流信号V2が入力される。その結果、基準電圧生成回路3が出力する基準電圧V21は、電圧電流変換回路2の出力電圧V22に対して逆相の交流電圧となる。
【0018】
なお、基準電圧生成回路を非反転増幅器として構成し、基準電圧生成回路の入力端子に、交流信号V2に対して逆相の交流信号を入力してもよい。更に、基準電圧生成回路は、電圧電流変換回路の出力電圧と逆相の基準電圧を出力できるならば、他の構成とすることができる。
【0019】
以上の構成より、駆動回路100は、交流電圧信号源1が出力する交流信号V2の振幅が正のとき、基準電圧V21の振幅が負となり、出力電圧V22の振幅が正となる。この場合、負荷4に、電圧電流変換回路2から負荷4を経由して基準電圧生成回路3へ向かう電流が流れる。また、電圧電流変換回路2は、交流電圧信号源1が出力する交流信号V2の振幅が負のとき、基準電圧V21の振幅が正となり、出力電圧V22の振幅が負となる。この場合、負荷4に、基準電圧生成回路3から負荷4を経由して電圧電流変換回路2へ向かう電流が流れる。これにより、負荷4には、交流信号V2に比例する電流が流れることとなる。
【0020】
次いで、基準電圧生成回路3の構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる駆動回路100の構成を示す回路図である。この例では、基準電圧生成回路3は、抵抗R1(第1の抵抗とも称する)、抵抗R2(第2の抵抗とも称する)及び差動増幅器AMPにより構成される。この例では、基準電圧生成回路3と交流電圧信号源1との間に、位相調整器6が挿入されている。なお、位相調整器6は、必ずしも必須の構成要素ではない。
【0021】
差動増幅器AMPの非反転入力端子は、位相調整器6を介して、交流電圧信号源1の端子T2及び電圧電流変換回路2の正相入力端子と接続される。差動増幅器AMPの反転入力端子は、抵抗R1を介して、交流電圧信号源1の端子T1及び直流電源5の高電圧側端子と接続される。また、差動増幅器AMPの反転入力端子は、抵抗R2を介して、差動増幅器AMPの出力端子と接続される。
【0022】
以下、駆動回路100の動作について、具体例を示して説明する。交流電圧信号源1は、VDD/2の電源供給を受けて、周波数f=50kHz、振幅A=1Vの交流正弦波信号を出力する。ここで、VDD=2.4Vとすると、交流信号V2は1.2V±1.0Vのレンジで変動する交流正弦波信号となる。
【0023】
以下、抵抗R1及び抵抗R2の抵抗値を、それぞれR1及びR2と表記する。R1=10kΩ、R2=9kΩとすると、基準電圧V21は、以下の式(1)で表される。以降の式において、tは時間を示す。
【数1】
ここで、負荷4の抵抗値RT=2.5kΩ、電圧電流変換回路2の出力電流Iの振幅を800mAとすると、電圧電流変換回路2の出力電圧V22は以下の式(2)で表される。
【数2】
【0024】
図3は、実施の形態1にかかる駆動回路100での基準電圧V21と出力電圧V22との関係を示すグラフである。図3に示すように、基準電圧V21は+0.3V〜+2.1Vの範囲で、出力電圧V22は+0.1V〜+2.3Vの範囲で変動する。
【0025】
図4は、実施の形態1にかかる駆動回路100での出力電圧V22と基準電圧V21との差電圧を示すグラフである。出力電圧V22と基準電圧V21とは逆相であるので、負荷4に電流を流すための駆動電圧となる出力電圧V22と基準電圧V21との差電圧ΔVを、−2.0V〜+2.0Vの範囲で変動させることができる。よって、駆動回路100では、負荷に与える電圧の両振幅(この例では4.0Vp−p)を電源電圧(+2.4V)以上にまで大きくすることができる。
【0026】
図5は、実施の形態1にかかる駆動回路100が負荷に流す電流を示すグラフである。駆動回路100は、負荷に与える電圧の振幅を大きくできるので、低い電源電圧でも、負荷に流す電流を大きくする(振幅800μA)とすることができる。
【0027】
比較例として、基準電圧が一定である場合(例えば、特許文献2)について検討する。例えば、基準電圧を電源電圧(+2.4V)の1/2の+1.2Vであるものとする。図6は、基準電圧が一定である場合の電圧電流変換回路の出力電圧の例を示すグラフである。この場合、負荷に与える電圧の振幅を、駆動回路100と同様の2.0Vにしようとすると、基準電圧Vrefを基準として、電圧電流変換回路の出力電圧Voutを−0.8V〜+3.2Vの範囲で変動させなければならない(図6の破線)。しかし、電圧電流変換回路の出力電圧Voutは、電源電圧(+2.4V)よりも大きくすることはできず、かつ、グランド(0V)よりも小さくすることはできない。よって、出力電圧Voutは、図6に実線で示すように、正弦波の頂部が潰れた波形となる。
【0028】
図7は、一定の基準電圧と電圧電流変換回路の出力電圧との間の差電圧Vdを示すグラフである。図8は、基準電圧が一定の場合に負荷に流れる電流を示すグラフである。前述のように、出力電圧Voutは正弦波の頂部が潰れた波形となるので、図7に示すように、差電圧Vdも正弦波の頂部が潰れた波形となる。そのため、図8に示すように、負荷(2.5kΩ)に流れる電流も正弦波の頂部が潰れた波形となり、電流振幅も480μAに制限されてしまう。
【0029】
すなわち、本構成によれば、基準電圧を電圧電流変換回路の出力電圧に対して逆相とすることで、基準電圧が一定の場合に比べ、より大きな電流を流すことができる。
【0030】
なお、一般に、2個の増幅器を並列させて用いる手法として、BTL(Bridged Transless)接続が知られている。しかし、BTL接続は単に出力を大きくする構成であるのに対し、本構成は、負荷への電流出力を大きくするとともに、基準電圧が一定の場合と比べて電圧電流変換回路の出力電圧振幅を小さくするものである。つまり、本構成は、BTL接続とは動作が異なるものであることが理解できる。
【0031】
実施の形態2
実施の形態2にかかる駆動回路200について説明する。図9は、実施の形態2にかかる駆動回路200の構成を示す回路図である。駆動回路200は、駆動回路100の基準電圧生成回路3を、基準電圧生成回路31に置換した構成を有する。駆動回路200のその他の構成は、駆動回路100と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
基準電圧生成回路31は、抵抗R1(第1の抵抗とも称する)、抵抗R2(第2の抵抗とも称する)及び差動増幅器AMPにより構成される。
【0033】
差動増幅器AMPの非反転入力端子は、交流電圧信号源1の端子T1及び直流電源5の高電圧側端子と接続される。差動増幅器AMPの反転入力端子は、抵抗R1を介して、交流電圧信号源1の端子T2及び電圧電流変換回路2の正相入力端子と接続される。また、差動増幅器AMPの反転入力端子は、抵抗R2を介して、差動増幅器AMPの出力端子と接続される。
【0034】
以下、駆動回路200の動作について、具体例を示して説明する。実施の形態1と同様に、基準電圧V21は式(1)、出力電圧V22は式(2)で表される。駆動回路200では、駆動回路100と同様(図3)に、基準電圧V21と出力電圧V22とが逆相となり、かつ、同様に変動する。
【0035】
すなわち、駆動回路200は、基準電圧生成回路の構成は異なるものの、駆動回路100と同様に、負荷に電流を流すことが可能であることが理解できる。
【0036】
実施の形態3
実施の形態3にかかる駆動回路300について説明する。図10は、実施の形態3にかかる駆動回路300の構成を示す回路図である。駆動回路300は、駆動回路100の基準電圧生成回路3を、基準電圧生成回路32に置換した構成を有する。駆動回路300のその他の構成は、駆動回路100と同様であるので、説明を省略する。
【0037】
基準電圧生成回路32は、差動増幅器AMPにより構成される。
【0038】
差動増幅器AMPの非反転入力端子は、交流電圧信号源1の端子T1及び直流電源5の高電圧側端子と接続される。差動増幅器AMPの反転入力端子は、交流電圧信号源1の端子T2及び電圧電流変換回路2の正相入力端子と接続される。
【0039】
以下、駆動回路300の動作について、具体例を示して説明する。図11は、実施の形態3にかかる駆動回路300での基準電圧V21と出力電圧V22との関係を示すグラフである。図11に示すように、基準電圧生成回路32から出力される基準電圧V21は、交流信号V2と直流電圧V1との間の大小関係の変化に応じて、電圧が0V又は+2.4Vに変化する矩形波となる。
【0040】
これに対し、出力電圧V22は正弦波形を有する。但し、基準電圧V21が0Vであるときは、出力電圧V22は、基準電圧V21(0V)を基準として、振幅2.0Vの上に凸の波形となる。一方、基準電圧V21が+2.4Vであるときは、出力電圧V22は、基準電圧V21(+2.4V)を基準として、振幅2.0Vの下に凸の波形となる。つまり、基準電圧V21と出力電圧V22との間の差電圧ΔVは、駆動回路100と同様の変化(図4)をすることとなる。
【0041】
以上、本構成によれば、駆動回路100と比べて、基準電圧V21及び出力電圧V22の波形は異なるものの、負荷4に印加される電圧を同様とすることができる。よって、駆動回路300は、駆動回路100と同様に、負荷4に電流を供給することができる。また、駆動回路300は、駆動回路100と比べて、基準電圧生成回路の構成を簡略化することができる。
【0042】
実施の形態4
実施の形態4にかかる駆動回路400について説明する。図12は、実施の形態4にかかる駆動回路400の構成を示す回路図である。駆動回路400は、駆動回路100の基準電圧生成回路3を、基準電圧生成回路33に置換した構成を有する。駆動回路400のその他の構成は、駆動回路100と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
基準電圧生成回路33は、インバータINVにより構成される。インバータINVの入力端子は、交流電圧信号源1の端子T2と接続される。インバータINVの出力端子は、負荷4と接続される。
【0044】
以下、駆動回路400の動作について、具体例を示して説明する。インバータINVから出力される基準電圧V21は、交流信号V2が正のときに0Vとなり、交流信号V2が負のときに+2.4Vとなる。したがって、駆動回路400における基準電圧V21は、駆動回路300と同様の波形(図11)となる。その結果、駆動回路400における出力電圧V22も、駆動回路300と同様の波形(図11)となる。
【0045】
以上、本構成によれば、駆動回路300と比べて、基準電圧生成回路3の構成が異なるものの、負荷4に印加される電圧を同様とすることができる。よって、駆動回路400は、駆動回路300と同様に、負荷4に電流を供給することができる。
【0046】
実施の形態5
実施の形態5にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路21は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図13は、実施の形態5にかかる電圧電流変換回路21の構成を示す回路図である。
【0047】
電圧電流変換回路21は、PchトランジスタMP1〜MP7、NchトランジスタMN1〜MN4、抵抗R11、電流源IREFを有する。
【0048】
PchトランジスタMP1〜MP5のソースには、電源電圧VDDが供給される。PchトランジスタMP1のドレインとグランドとの間には、電流源IREFが挿入される。PchトランジスタMP2のドレインは、PchトランジスタMP6のソースと接続される。PchトランジスタMP3のドレインは、PchトランジスタMP7のソースと接続される。PchトランジスタMP1〜MP3のゲート及びPchトランジスタMP1のドレインは、それぞれ相互に接続されている。
【0049】
PchトランジスタMP6のドレインは、NchトランジスタMN1のドレインと接続される。PchトランジスタMP7のドレインは、NchトランジスタMN2のドレインと接続される。PchトランジスタMP6のドレインとPchトランジスタMP7のドレインとの間には、抵抗R11が接続されている。PchトランジスタMP6のゲートには、直流電圧V1が印加される。PchトランジスタMP7のゲートには、交流信号V2が印加される。NchトランジスタMN1のソースは、グランドと接続される。NchトランジスタMN2のソースは、グランドと接続される。
【0050】
PchトランジスタMP4のドレインは、NchトランジスタMN3のドレインと接続される。NchトランジスタMN3のソースは、グランドと接続される。PchトランジスタMP5のドレインは、NchトランジスタMN4のドレインと接続される。NchトランジスタMN4のソースは、グランドと接続される。PchトランジスタMP4のドレイン、PchトランジスタMP4及びMP5のゲートは、相互に接続される。
【0051】
NchトランジスタMN1のゲート、NchトランジスタMN1のドレイン及びNchトランジスタMN4のゲートは、相互に接続されている。NchトランジスタMN2のゲート、NchトランジスタMN2のドレイン及びNchトランジスタMN3のゲートは、相互に接続されている。
【0052】
PchトランジスタMP5のドレインとNchトランジスタMN4のドレインとの間のノードは、出力端子TOUTと接続される。出力端子TOUTからは、出力電圧V22が出力される。
【0053】
NchトランジスタMN1とNchトランジスタMN2とは、同じサイズのトランジスタである。NchトランジスタMN3とNchトランジスタMN4とは、同じサイズのトランジスタである。また、NchトランジスタMN1及びMN2のサイズS1とNchトランジスタMN3及びMN4とのサイズS2とのサイズ比(S2/S1)をM(Mは、正の実数)とする。
【0054】
このとき、電圧電流変換回路21の出力電流Iは、以下の式(3)で表される。
【数3】
【0055】
以上、抵抗R11の抵抗値、直流電圧V1、交流信号V2及びトランジスタのサイズ比に応じた電流を出力する電圧電流変換回路を具体的に構成することができる。
【0056】
実施の形態6
実施の形態6にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路22は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図14は、実施の形態6にかかる電圧電流変換回路22の構成を示す回路図である。
【0057】
電圧電流変換回路22は、抵抗221〜225、差動増幅器226を有する。抵抗221の一端には交流信号V2が印加され、他端は差動増幅器226の反転入力端子と接続される。また、差動増幅器226の反転入力端子と差動増幅器226の出力端子との間には、抵抗222が接続される。差動増幅器226の出力端子と電圧電流変換回路22の出力端子TOUTとの間には、抵抗223が接続される。抵抗224の一端には直流電圧V1が印加され、他端は差動増幅器226の非反転入力端子及び抵抗225の一端と接続される。抵抗225の他端は、電圧電流変換回路22の出力端子TOUTと接続される。出力端子TOUTからは、出力電圧V22が出力される。
【0058】
ここで、抵抗221及び抵抗224の抵抗値をRsとする。抵抗222及び抵抗225の抵抗値をRfとする。抵抗223の抵抗値をR0とする。このとき、電圧電流変換回路22の出力電流Iは、以下の式(4)で表される。
【数4】
【0059】
以上、抵抗221〜225の抵抗値、直流電圧V1及び交流信号V2に応じた電流を出力する電圧電流変換回路を具体的に構成することができる。
【0060】
実施の形態7
実施の形態7にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路23は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図15は、実施の形態7にかかる電圧電流変換回路23の構成を示す回路図である。
【0061】
電圧電流変換回路23は、電圧電流変換回路22の変形例である。電圧電流変換回路22では抵抗221に交流信号V2が印加されているのに対し、電圧電流変換回路23では抵抗221に直流電圧V1が印加されている。電圧電流変換回路22では抵抗224に直流電圧V1が印加されているのに対し、電圧電流変換回路23では抵抗224に交流信号V2が印加されている。電圧電流変換回路23のその他の構成は、電圧電流変換回路22と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
このとき、電圧電流変換回路22の出力電流Iは、以下の式(5)で表される。
【数5】
【0063】
以上、抵抗221〜225の抵抗値、直流電圧V1及び交流信号V2に応じた電流を出力する電圧電流変換回路を具体的に構成することができる。
【0064】
実施の形態8
実施の形態8にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路24は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図16は、実施の形態8にかかる電圧電流変換回路24の構成を示す回路図である。
【0065】
電圧電流変換回路24は、電圧電流変換回路22に差動増幅器241を追加した構成を有する。抵抗224の一端には直流電圧V1が印加され、他端は差動増幅器226の非反転入力端子及び抵抗225の一端と接続される。抵抗225の他端は、差動増幅器241の出力端子及び反転入力端子と接続される。差動増幅器241の非反転入力端子は、電圧電流変換回路22の出力端子TOUTと接続される。出力端子TOUTからは、出力電圧V22が出力される。電圧電流変換回路24のその他の構成は、電圧電流変換回路22と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
このとき、電圧電流変換回路24の出力電流Iは、上述の式(4)で表される。以上、抵抗221〜225の抵抗値、直流電圧V1及び交流信号V2に応じた電流を出力する電圧電流変換回路を具体的に構成することができる。
【0067】
実施の形態9
実施の形態9にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路25は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図17は、実施の形態9にかかる電圧電流変換回路25の構成を示す回路図である。
【0068】
電圧電流変換回路25は、電圧電流変換回路24の変形例である。電圧電流変換回路24では抵抗221に交流信号V2が印加されているのに対し、電圧電流変換回路25では抵抗221に直流電圧V1が印加されている。電圧電流変換回路24では抵抗224に直流電圧V1が印加されているのに対し、電圧電流変換回路25では抵抗224に交流信号V2が印加されている。電圧電流変換回路25のその他の構成は、電圧電流変換回路24と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
このとき、電圧電流変換回路25の出力電流Iは、上述の式(5)で表される。以上、抵抗221〜225の抵抗値、直流電圧V1及び交流信号V2に応じた電流を出力する電圧電流変換回路を具体的に構成することができる。
【0070】
実施の形態10
実施の形態10にかかる電圧電流変換回路について説明する。本実施の形態で説明する電圧電流変換回路26は、上述の電圧電流変換回路2の具体例である。図18は、実施の形態10にかかる電圧電流変換回路26の構成を示す回路図である。
【0071】
電圧電流変換回路26は、PchトランジスタMP10、NchトランジスタMN10、抵抗R21及び抵抗R22、差動増幅器261及び262を有する。
【0072】
抵抗R21の一端には電源電圧VDDが印加され、他端はPchトランジスタMP10のソースと接続される。PchトランジスタMP10のドレインは、NchトランジスタMN10のドレインと接続される。抵抗R22の一端はグランドと接続され、他端はNchトランジスタMN10のソースと接続される。PchトランジスタMP10のドレインとNchトランジスタMN10のドレインとの間のノードは、出力端子TOUTと接続される。出力端子TOUTからは、出力電圧V22が出力される。
【0073】
差動増幅器261の非反転入力端子には、交流信号V2が印加される。差動増幅器261の反転入力端子は、PchトランジスタMP10のソースと接続される。差動増幅器261の出力端子は、PchトランジスタMP10のゲートと接続される。差動増幅器261の非反転入力端子は、電圧電流変換回路26の正相入力端子に相当する。
【0074】
差動増幅器262の非反転入力端子には、直流電圧V1が印加される。差動増幅器262の反転入力端子は、NchトランジスタMN10のソースと接続される。差動増幅器262の出力端子は、NchトランジスタMN10のゲートと接続される。差動増幅器262の非反転入力端子は、電圧電流変換回路26の逆相入力端子に相当する。
【0075】
実施の形態11
実施の形態11にかかる位相調整器について説明する。本実施の形態で説明する位相調整器は、上述の位相調整器6の変形例である。
【0076】
位相調整器の第1の変形例である位相調整器61について説明する。図19は、実施の形態11にかかる駆動回路501の構成を示す回路図である。駆動回路501は、図9に示す駆動回路200に位相調整器61を追加した構成を有する。
【0077】
位相調整器61は、抵抗R61及び容量C1を有し、パッシブ型のローパスフィルタとして構成される。抵抗R61は、交流電圧信号源1の端子T2及び電圧電流変換回路2の正相入力端子と、基準電圧生成回路31の抵抗R1との間に挿入される。容量C1の一端は、抵抗R61と基準電圧生成回路31の抵抗R1との間のノードと接続される。容量C1の他端は、基準電圧生成回路31の差動増幅器AMPの非反転入力端子と接続される。
【0078】
位相調整器61はローパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を遅らせる方向に調整することができる。
【0079】
位相調整器の第2の変形例である位相調整器62について説明する。図20は、実施の形態11にかかる駆動回路502の構成を示す回路図である。位相調整器62は、抵抗R62及び容量C2を有し、パッシブ型のハイパスフィルタとして構成される。容量C2は、交流電圧信号源1の端子T2及び電圧電流変換回路2の正相入力端子と、基準電圧生成回路31の抵抗R1との間に挿入される。抵抗R62の一端は、容量C2と基準電圧生成回路3の抵抗R1との間のノードと接続される。容量C2の他端は、基準電圧生成回路31の差動増幅器AMPの非反転入力端子と接続される。
【0080】
位相調整器62はハイパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を進ませる方向に調整することができる。
【0081】
位相調整器の第3の変形例である位相調整器63について説明する。図21は、実施の形態11にかかる位相調整器の一例である位相調整器63の構成を示す回路図である。位相調整器63は、差動増幅器630、抵抗631及び632、容量633及び634を有し、アクティブ型のローパスフィルタとして構成される。
【0082】
抵抗631の一端には、交流信号V2が印加される。抵抗631の他端は、抵抗632の一端と容量633の一端とに接続される。抵抗632の他端は、差動増幅器630の非反転入力端子と容量634の一端とに接続される。容量633の他端は、差動増幅器630の出力端子に接続される。容量634の他端には、直流電圧V1が印加される。差動増幅器630の反転入力端子は、差動増幅器630の出力端子と接続される。また、差動増幅器630の出力端子は、端子T3と接続される。端子T3は、基準電圧生成回路と接続される。
【0083】
位相調整器63はローパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を遅らせる方向に調整することができる。
【0084】
位相調整器の第4の変形例である位相調整器64について説明する。図22は、実施の形態11にかかる位相調整器の一例である位相調整器64の構成を示す回路図である。位相調整器64は、位相調整器64に抵抗641及び642を追加した構成を有する。抵抗641の一端は差動増幅器630の反転入力端子と接続され、他端には直流電圧V1が印加される。抵抗642は、差動増幅器630の反転入力端子と差動増幅器630の出力端子との間に挿入される。位相調整器64のその他の構成は、位相調整器63と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
位相調整器64はローパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を遅らせる方向に調整することができる。
【0086】
位相調整器の第5の変形例である位相調整器65について説明する。図23は、実施の形態11にかかる位相調整器の一例である位相調整器65の構成を示す回路図である。位相調整器65は、アクティブ型のハイパスフィルタとして構成される。位相調整器65は、上述の位相調整器63において、抵抗631と容量633とを入れ換え、かつ、抵抗632と容量634とを入れ換えた構成を有する。
【0087】
位相調整器65はハイパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を進ませる方向に調整することができる。
【0088】
位相調整器の第6の変形例である位相調整器66について説明する。図24は、実施の形態11にかかる位相調整器の一例である位相調整器66の構成を示す回路図である。位相調整器66は、位相調整器65に抵抗641及び642を追加した構成を有する。抵抗641及び642は、位相調整器64と同様であるので、説明を省略する。
【0089】
位相調整器66はハイパスフィルタであるので、本構成によれば、基準電圧V21の位相を進ませる方向に調整することができる。
【0090】
位相調整器の第7の変形例である位相調整器67について説明する。図25は、実施の形態11にかかる駆動回路507の構成を示す回路図である。駆動回路507は、駆動回路100の位相調整器6を位相調整器67に置換した構成を有する。位相調整器67は、差動増幅器670、抵抗671〜673及び容量674を有し、オールパスフィルタとして構成される。
【0091】
抵抗671の一端には交流信号V2が印加され、他端は差動増幅器670の反転入力端子と接続される。抵抗672の一端には交流信号V2が印加され、他端は差動増幅器670の非反転入力端子と接続される。抵抗673は、差動増幅器670の反転入力端子と差動増幅器670の出力端子との間に挿入される。また、差動増幅器670の出力端子は、基準電圧生成回路3の差動増幅器AMPの非反転入力端子と接続される。容量674の一端には直流電圧V1が印加され、他端は差動増幅器670の非反転入力端子と接続される。なお、差動増幅器670は、電源電圧VDDとグランドとの間に挿入されることで電源供給を受ける。
【0092】
以上、本構成によれば、基準電圧V21の位相を遅らせる方向に調整することができる。また、上述の位相調整器61〜66はRCフィルタであるので、基準電圧V21の位相を調整すると電圧振幅が変化してしまう。これに対し、位相調整器67はオールパスフィルタであるので、電圧振幅を変化させることなく、基準電圧V21の位相を調整することができる。
【0093】
位相調整器の第8の変形例である位相調整器68について説明する。図26は、実施の形態11にかかる駆動回路508の構成を示す回路図である。駆動回路508は、駆動回路100の位相調整器6を位相調整器68に置換した構成を有する。位相調整器68は、位相調整器67の抵抗672と容量674とを入れ換えた構成を有する。位相調整器68のその他の構成は、位相調整器67と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
以上、本構成によれば、基準電圧V21の位相を進ませる方向に調整することができる。また、上述の位相調整器61〜66はRCフィルタであるので、基準電圧V21の位相を調整すると電圧振幅が変化してしまう、これに対し、位相調整器68はオールパスフィルタであるので、電圧振幅を変化させることなく、基準電圧V21の位相を調整することができる。
【0095】
位相調整器の第9の変形例である位相調整器69について説明する。図27は、実施の形態11にかかる駆動回路509の構成を示す回路図である。駆動回路509は、駆動回路200に位相調整器69を追加した構成を有する。位相調整器69は、従属接続されたn(nは、1以上の整数)個のバッファB_1〜B_nを有する。
【0096】
バッファB_1〜B_nは、差動増幅器691で構成される。差動増幅器691の反転入力端子は、差動増幅器691の出力端子と接続される。
【0097】
1段目のバッファB_1を構成する差動増幅器691の非反転入力端子には、交流信号V2が印加される。以降、k(kは、2≦k≦n−1の整数)番目のバッファB_kを構成する差動増幅器691の非反転入力端子は、k−1番目のバッファB_k−1を構成する差動増幅器691の出力端子と接続される。n番目のバッファB_nを構成する差動増幅器691の出力端子は、基準電圧生成回路3の反転入力端子と接続される。なお、バッファB_1〜B_nを構成する差動増幅器691は、電源電圧VDDとグランドとの間に挿入されることで電源供給を受ける。
【0098】
位相調整器69は、多段のバッファにより、通過する交流電圧を遅延させることができる。以上、本構成によれば、基準電圧V21の位相を遅らせる方向に調整することができる。
【0099】
位相調整器の第10の変形例である位相調整器70について説明する。図28は、実施の形態11にかかる駆動回路510の構成を示す回路図である。駆動回路510は、駆動回路200に位相調整器70を追加した構成を有する。位相調整器70は、位相調整器69の接続位置を、変更した構成を有する。
【0100】
n番目のバッファB_nを構成する差動増幅器691の出力端子は、電圧電流変換回路2の正相入力端子と接続される。位相調整器70のその他の構成は、位相調整器69と同様であるので、説明を省略する。
【0101】
位相調整器70は、多段のバッファにより、通過する交流電圧を遅延させることができる。以上、本構成によれば、基準電圧V21の位相を進ませる方向に調整することができる。
【0102】
実施の形態12
実施の形態12にかかる駆動回路600について説明する。図29は、実施の形態12にかかる駆動回路600の構成を示す回路図である。駆動回路600は、位相調整器の代わりに、交流電圧信号源に位相調整機能を付与した構成を有する。具体的には、駆動回路600は、駆動回路100から位相調整器6を除去し、交流電圧信号源1を交流電圧信号源10に置換した構成を有する。
【0103】
交流電圧信号源10は、電圧電流変換回路2へ交流信号V12(第1の交流信号とも称する)を出力し、基準電圧生成回路3へ交流信号V11(第2の交流信号とも称する)を出力する。交流電圧信号源10は、制御回路11、デジタル−アナログ変換器(DAC)12及び13、ローパスフィルタ(LPF)14及び15を有する。
【0104】
制御回路11は、DAC12及び13へ、これらの動作を制御するデジタル信号を出力する。DAC12及び13は、入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換することで、交流電圧を出力する。DAC12から出力された交流電圧は、LPF14で高周波成分が除去され、交流信号V12として出力される。DAC13から出力された交流電圧は、LPF15で高周波成分が除去され、交流信号V11として出力される。
【0105】
例えば、制御回路11が、DAC13に与えるデジタル信号を、DAC12に与えるデジタル信号よりも遅らせることで、交流信号V12と比較して交流信号V11の位相を遅らせることができる。また、制御回路11が、DAC13に与えるデジタル信号を、DAC12に与えるデジタル信号よりも早めることで、交流信号V12と比較して交流信号V11の位相を進ませることができる
【0106】
なお、交流電圧信号源10は、駆動回路100以外の他の実施の形態にかかる駆動回路に適用することが可能である。
【0107】
実施の形態13
実施の形態13にかかる駆動回路700について説明する。図30は、実施の形態13にかかる駆動回路700の構成を示す回路図である。駆動回路700は、駆動回路100における基準電圧生成回路3の抵抗R1及びR2を、それぞれ可変抵抗VR1及びVR2に置換し、制御回路7を追加した構成を有する。制御回路7は、例えばデジタル回路で構成され、可変抵抗VR1及びVR2の抵抗値を制御することができる。駆動回路700のその他の構成は、駆動回路100と同様であるので、説明を省略する。
【0108】
以下、抵抗VR1及び抵抗VR2の抵抗値を、それぞれR3及びR4と表記する。この場合、基準電圧V21は、式(1)を書き換えて、以下の式(6)で表される。
【数6】
【0109】
駆動回路700では、式(6)に示すように、可変抵抗VR1及び可変抵抗VR2の抵抗値を制御することで、基準電圧V21の振幅を制御することができる。基準電圧V21の振幅を制御することで、同様に、出力電圧V22の振幅も制御することができる。
【0110】
以上、本構成によれば、負荷4を接続した後の初期設定として、基準電圧V21及び出力電圧V22の振幅を適宜制御することで、負荷4に望ましい振幅を有する電流を与えることができる。
【0111】
実施の形態14
実施の形態14にかかる駆動回路800について説明する。図31は、実施の形態14にかかる駆動回路800の構成を示す回路図である。駆動回路700は、駆動回路100に制御回路8を追加した構成を有する。制御回路8は、基準電圧生成回路3の位相調整器6の位相調整量を制御する。制御回路8は、例えば出力電圧V22を監視し、監視結果に応じて、位相調整量を指示する制御信号を位相調整器6へ出力する。
【0112】
以上、本構成によれば、負荷4を接続した後の初期設定として、位相調整器6の位相調整量を適宜制御することで、基準電圧V21が出力電圧V22に対して逆相となるように制御することが可能となる。
【0113】
実施の形態15
実施の形態15にかかる駆動回路900について説明する。図32は、実施の形態15にかかる駆動回路900の構成を示す回路図である。駆動回路900は、駆動回路700の変形例であり、制御回路7を制御回路9に置換した構成を有する。制御回路9は、可変抵抗VR1及びVR2の抵抗値の制御のみならず、制御回路8と同様に、位相調整器6の位相調整量の制御を併せて行う。
【0114】
以上、本構成によれば、負荷4を接続した後の初期設定として、基準電圧V21及び出力電圧V22の振幅を適宜制御することで、負荷4に望ましい振幅を有する電流を与えることができる。かつ、負荷4を接続した後の初期設定として、位相調整器6の位相調整量を適宜制御することで、基準電圧V21が出力電圧V22に対して逆相となるように制御することが可能となる。
【0115】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の位相調整器61、62、69及び70は、駆動回路200以外の上述の実施の形態にかかる駆動回路に適用できる。上述の位相調整器67及び68は、駆動回路100以外の上述の実施の形態にかかる駆動回路に適用できる。
【0116】
上述の実施の形態12及び14にかかる駆動回路は、駆動回路100の変形例として説明したが、駆動回路100以外の上述の実施の形態にかかる駆動回路の変形例として構成できることは言うまでもない。上述の実施の形態13及び15にかかる駆動回路は、駆動回路100の変形例として説明したが、実施の形態にかかる駆動回路200の変形例として構成できることは言うまでもない。
【0117】
負荷4としては、生体インピーダンス測定の際の生態や、ディスプレイパネルなど、各種の交流電流を要するものを用いることができる。
【0118】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0119】
1、10 交流電圧信号源
2、21〜26 電圧電流変換回路
3、31〜33 基準電圧生成回路
4 負荷
5 直流電源
6、61〜70 位相調整器
7〜9、11 制御回路
100、200、300、400、501、502、507、510、600、700、800、900 駆動回路
221〜225、631、632、641、642、671〜673 抵抗
226、241、261、262、591、630、670、691 差動増幅器
633、634、674 容量
AMP 差動増幅器
B_1〜B_n バッファ
C1、C2 容量
I 出力電流
INV インバータ
IREF 電流源
MN1〜MN4、MN10 Nchトランジスタ
MP1〜MP7、MP10 Pchトランジスタ
R1、R2、R11、R21、R22、R61、R62 抵抗
T1〜T3 端子
TOUT 出力端子
V1 直流電圧
V2 交流信号
V21 基準電圧
V22 出力電圧
Vd 差電圧
VDD 電源電圧
Vout 出力電圧
VR1、VR2 可変抵抗
Vref 基準電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32