(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず、
図1を用いて、本発明に係るコージェネレーションシステムの実施の一形態に係る給湯システム1について説明する。
なお、以下の説明では、比較的温度の低い水を「水」、比較的温度の高い水を「湯」と記載するが、水と湯は温度の違い以外に実質的な差異はない。
【0033】
給湯システム1は、需要家の元に設けられ、排熱等を利用して湯を沸かすと共に、給湯需要に応じて湯を供給するためのものである。ここで「需要家」とは、例えば住宅や種々の施設等、給湯需要のある全てのものを意味する。また「給湯需要」とは、例えば浴室等の、湯が使用される種々の設備を意味する。給湯システム1は、主として太陽熱温水システム10、第一上水管路20、接続管路30、燃料電池システム40、給湯管路60、排出管路70、排熱伝達機構80、パネル温度センサ90、第一タンク温度センサ100、第二タンク温度センサ110及び制御装置120を具備する。
【0034】
太陽熱温水システム10は、太陽熱を集熱して蓄えると共に、必要に応じて当該熱を供給するものである。太陽熱温水システム10は、主として集熱パネル11、太陽熱貯湯タンク12、第一熱交換器13及び第一管路14を具備する。
【0035】
集熱パネル11は、本発明に係る集熱器の実施の一形態である。集熱パネル11は、太陽光を受けて太陽熱を集熱するものである。集熱パネル11は、広い面で太陽光を受けることができるように、平板状に形成される。集熱パネル11は、日当たりの良い場所(例えば、住宅の屋根の上等)に設置される。
【0036】
太陽熱貯湯タンク12は、本発明に係る太陽熱蓄熱タンクの実施の一形態である。太陽熱貯湯タンク12は、集熱パネル11で集熱された熱を蓄えるものである。太陽熱貯湯タンク12は、内部に水(湯)を貯溜することが可能な空間を有する箱状に形成される。太陽熱貯湯タンク12は、集熱パネル11からの熱によって温められた熱媒体(本実施形態においては、水(湯))を蓄えることによって、太陽熱を蓄えることができる。
【0037】
第一熱交換器13は、高温の流体(液体)から低温の流体(液体)へと熱を移動させるものである。第一熱交換器13は、太陽熱貯湯タンク12に設けられる。第一熱交換器13は、太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水と、当該第一熱交換器13を流通する不凍液と、の間で熱を移動(熱交換)させる。
【0038】
第一管路14は、本発明に係る太陽熱伝達管路の実施の一形態である。第一管路14は、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で熱媒体(本実施形態においては、不凍液)を循環させるものである。第一管路14は、主として往管路14a及び復管路14bを具備する。
【0039】
往管路14aは、集熱パネル11と第一熱交換器13とを連通するものである。往管路14aの一端は、集熱パネル11(より詳細には、集熱パネル11の全面に亘るように(集熱パネル11内を循環するように)配置された配管の一端)に接続される。往管路14aの他端は、第一熱交換器13の一端に接続される。
【0040】
復管路14bは、集熱パネル11と第一熱交換器13とを連通するものである。復管路14bの一端は、集熱パネル11(より詳細には、集熱パネル11の全面に亘るように配置された前記配管の他端)に接続される。復管路14bの他端は、第一熱交換器13の他端に接続される。
【0041】
第一管路14、集熱パネル11及び第一熱交換器13の内部は不凍液で満たされている。また、第一管路14の中途部には図示しないポンプが設けられる。当該ポンプを駆動させることにより、不凍液を往管路14a、集熱パネル11、復管路14b及び第一熱交換器13の順に循環させることができる。
【0042】
第一上水管路20は、太陽熱貯湯タンク12へと上水を供給するものである。第一上水管路20の一端は、太陽熱貯湯タンク12に接続される。太陽熱貯湯タンク12内の水(湯)が減少すると、当該減少した分だけ第一上水管路20から太陽熱貯湯タンク12内へと上水が供給される。
【0043】
接続管路30は、太陽熱貯湯タンク12内の湯を後述する燃料電池システム40の排熱貯湯タンク42へと供給するものである。接続管路30の一端は、太陽熱貯湯タンク12に接続される。接続管路30の他端は、排熱貯湯タンク42に接続される。
【0044】
燃料電池システム40は、燃料を用いて発電すると共に、当該発電の際に発生する熱(排熱)を蓄え、必要に応じて当該熱を供給するものである。燃料電池システム40は、主として発電ユニット41、排熱貯湯タンク42及びラジエータ43を具備する。
【0045】
発電ユニット41は、本発明に係る発電装置の実施の一形態である。発電ユニット41は、水素等の燃料を用いて電力を取り出す(発電する)ものである。発電ユニット41の方式としては、例えばSOFC(固体酸化物形燃料電池)が用いられる。SOFC方式の発電ユニット41は、メンテナンスを行う場合を除き、通常は24時間連続して運転される。発電ユニット41によって発電された電力は、需要家の元に設けられた種々の電気負荷(電化製品等)に供給される。発電ユニット41が発電する際には、同時に排熱が発生する。
【0046】
排熱貯湯タンク42は、本発明に係る排熱蓄熱タンクの実施の一形態である。排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41の排熱を蓄えるものである。排熱貯湯タンク42は、内部に水(湯)を貯溜することが可能な空間を有する箱状に形成される。排熱貯湯タンク42は発電ユニット41に接続される。排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41の排熱によって温められた熱媒体(本実施形態においては、水(湯))を蓄えることによって、当該排熱を蓄えることができる。また、排熱貯湯タンク42には図示しない補助熱源が設けられる。前記補助熱源は、燃料を用いて排熱貯湯タンク42内の水を沸かすことができる。
【0047】
ラジエータ43は、発電ユニット41の排熱のうち、排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分を外部へと放熱するためのものである。ラジエータ43は、発電ユニット41に取り付けられる。ラジエータ43は、発電ユニット41の排熱を外気へと移動させることで、当該排熱を放熱することができる。
【0048】
排熱貯湯タンク42は、内部に貯溜された水を一旦発電ユニット41に供給する。発電ユニット41は、排熱貯湯タンク42から受け取った水を自らの排熱によって沸かし、再び排熱貯湯タンク42へと戻す。排熱貯湯タンク42は、発電ユニット41から受け取った湯(沸かされた水)を蓄えることによって、発電ユニット41の排熱を蓄えることができる。また、発電ユニット41の排熱だけでは十分な量の湯が得られない場合には、前記補助熱源を駆動させることで、燃料を用いて不足分の湯を沸かすことができる。
【0049】
また、排熱貯湯タンク42に蓄えることができる熱量には限界がある。そこで、当該排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱量が上限値に達した場合、ラジエータ43が作動される。これによって、排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分の排熱を、当該ラジエータ43から外部へと放熱することができる。なお、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱量は、後述する第二タンク温度センサ110等を用いることで測定することができる。
【0050】
給湯管路60は、排熱貯湯タンク42内の湯を給湯需要(例えば、浴室等)へと供給するものである。給湯管路60の一端は、排熱貯湯タンク42に接続される。給湯管路60の他端は、給湯需要に接続される。
【0051】
排熱伝達機構80は、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給し、当該集熱パネル11の温度を上昇させるものである。排熱伝達機構80は、主として第二熱交換器81、第二管路82、第一三方弁83及び第二三方弁84を具備する。
【0052】
第二熱交換器81は、本発明に係る熱交換器の実施の一形態である。第二熱交換器81は、高温の流体(液体)から低温の流体(液体)へと熱を移動させるものである。第二熱交換器81は、排熱貯湯タンク42に設けられる。第二熱交換器81は、排熱貯湯タンク42内に貯溜された高温の湯と、当該第二熱交換器81を流通する不凍液と、の間で熱を移動(熱交換)させる。
【0053】
第二管路82は、本発明に係る排熱伝達管路の実施の一形態である。第二管路82は、第二熱交換器81と第一管路14との間で熱媒体(本実施形態においては、不凍液)を循環させるものである。第二管路82は、主として往管路82a及び復管路82bを具備する。
【0054】
往管路82aは、第二熱交換器81と第一管路14の往管路14aとを連通するものである。往管路82aの一端は、第二熱交換器81の一端に接続される。往管路82aの他端は、第一三方弁83を介して第一管路14の往管路14aの中途部に接続される。
【0055】
復管路82bは、第二熱交換器81と第一管路14の復管路14bとを連通するものである。復管路82bの一端は、第二熱交換器81の他端に接続される。復管路82bの他端は、第二三方弁84を介して第一管路14の復管路14bの中途部に接続される。
【0056】
第一三方弁83は、本発明に係る切替機構の実施の一形態である。第一三方弁83は、第一管路14の往管路14aと第二管路82の往管路82aとを互いに接続するものである。第一三方弁83は、その状態を第一状態又は第二状態に切り替えることにより、往管路14a及び往管路82a内を流通する不凍液の流通経路を切り替えることができる。
【0057】
ここで第一三方弁83の「第一状態」とは、往管路14aの上流側(太陽熱貯湯タンク12側)と下流側(集熱パネル11側)とを連通すると共に、往管路14aと往管路82aとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第一状態では、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とが連通されると共に、集熱パネル11と第二熱交換器81との連通が遮断される。
【0058】
また、第一三方弁83の「第二状態」とは、往管路14aの下流側と往管路82aとを連通すると共に、往管路14aの上流側と往管路14aの下流側及び往管路82aとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第二状態では、集熱パネル11と第二熱交換器81とが連通されると共に、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通が遮断される。
【0059】
第二三方弁84は、本発明に係る切替機構の実施の一形態である。第二三方弁84は、第一管路14の復管路14bと第二管路82の復管路82bとを互いに接続するものである。第二三方弁84は、その状態を第一状態又は第二状態に切り替えることにより、復管路14b及び復管路82b内を流通する不凍液の流通経路を切り替えることができる。
【0060】
ここで第二三方弁84の「第一状態」とは、復管路14bの上流側(集熱パネル11側)と下流側(太陽熱貯湯タンク12側)とを連通すると共に、復管路14bと復管路82bとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第一状態では、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とが連通されると共に、集熱パネル11と第二熱交換器81との連通が遮断される。
【0061】
また、第二三方弁84の「第二状態」とは、復管路14bの上流側と復管路82bとを連通すると共に、復管路14bの下流側と復管路14bの上流側及び復管路82bとの連通を遮断する状態である。すなわち、当該第二状態では、集熱パネル11と第二熱交換器81とが連通されると共に、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通が遮断される。
【0062】
第二熱交換器81及び第二管路82の内部は、第一管路14と同様に不凍液で満たされている。また、第二管路82の中途部には図示しないポンプが設けられる。第一三方弁83及び第二三方弁84がそれぞれ第二状態に切り替えられるた状態で、当該ポンプを駆動させることにより、不凍液を往管路82a、往管路14a、集熱パネル11、復管路14b、復管路82b及び第二熱交換器81の順に循環させることができる。
【0063】
パネル温度センサ90は、本発明に係る集熱器温度検出手段の実施の一形態である。パネル温度センサ90は、集熱パネル11の温度を検出するものである。パネル温度センサ90は集熱パネル11に設けられ、当該集熱パネル11の表面(太陽光を受ける面)の温度を検出することができる。
【0064】
第一タンク温度センサ100は、本発明に係るタンク温度検出手段の実施の一形態である。第一タンク温度センサ100は、太陽熱貯湯タンク12内の温度を検出するものである。第一タンク温度センサ100は太陽熱貯湯タンク12内に設けられ、当該太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水(湯)の温度を検出することができる。
【0065】
第二タンク温度センサ110は、排熱貯湯タンク42内の温度を検出するものである。第二タンク温度センサ110は排熱貯湯タンク42内に設けられ、当該排熱貯湯タンク42内に貯溜された水(湯)の温度を検出することができる。
【0066】
制御装置120は、給湯システム1の動作を制御するものである。制御装置120は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、I/O等の入出力装置、並びにモニター等の表示装置等により構成される。制御装置120には、給湯システム1の動作を制御するための種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
【0067】
制御装置120はパネル温度センサ90に接続され、集熱パネル11の温度に関する信号を受信することができる。
制御装置120は第一タンク温度センサ100に接続され、太陽熱貯湯タンク12内の温度に関する信号を受信することができる。
制御装置120は第二タンク温度センサ110に接続され、排熱貯湯タンク42内の温度に関する信号を受信することができる。
制御装置120は第一三方弁83に接続され、当該第一三方弁83の動作(第一状態と第二状態の切り替え)を制御することができる。
制御装置120は第二三方弁84に接続され、当該第二三方弁84の動作(第一状態と第二状態の切り替え)を制御することができる。
【0068】
以下では、
図2を用いて、上述の如く構成された給湯システム1の基本的な動作について説明する。
【0069】
太陽熱温水システム10において、集熱パネル11に太陽光が照射されると、当該集熱パネル11は太陽熱を集熱し、内部の不凍液の温度を上昇させる。当該不凍液は、復管路14bを介して第一熱交換器13へと供給される。第一熱交換器13は、集熱パネル11から供給された高温の不凍液の熱を、太陽熱貯湯タンク12内に貯溜された水へと移動させる。これによって、太陽熱貯湯タンク12内の水が沸かされる。第一熱交換器13において熱を奪われた不凍液は、往管路14aを介して再び集熱パネル11へと供給される。このように、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させることで、集熱パネル11からの熱を、水(湯)を熱媒体として太陽熱貯湯タンク12に蓄えることができる。
【0070】
燃料電池システム40において、発電ユニット41の運転(発電)と同時に発生する排熱によって排熱貯湯タンク42内の水が沸かされる。このように、水(湯)を熱媒体として、発電ユニット41からの排熱を排熱貯湯タンク42に蓄えることができる。浴室等の給湯需要で湯が使用される場合には、排熱貯湯タンク42内の湯が給湯管路60を介して給湯需要へと供給される。この際、給湯需要へと供給された湯と同量の水(又は湯)が接続管路30を介して太陽熱貯湯タンク12から排熱貯湯タンク42へと供給される。このようにして、排熱貯湯タンク42内は常に水(又は湯)で満たされることになる。また、太陽熱貯湯タンク12内の水(又は湯)を排熱貯湯タンク42へと供給することによって、当該排熱貯湯タンク42内の水(又は湯)の温度を出来る限り高い状態に維持することができる。
【0071】
また、接続管路30を介して太陽熱貯湯タンク12から排熱貯湯タンク42へと湯が供給されると、当該湯と同量の上水が第一上水管路20を介して太陽熱貯湯タンク12へと供給される。このようにして、太陽熱貯湯タンク12内は常に水(又は湯)で満たされることになる。
【0072】
以上の如く、給湯システム1では、集熱パネル11において集熱された太陽熱、及び発電ユニット41の排熱を利用して湯が沸かされ、当該湯を給湯需要へと供給することができる。
【0073】
ここで、上述の如く集熱パネル11において集熱された太陽熱を利用して太陽熱貯湯タンク12内の水を沸かす場合、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度よりも高くなっている必要がある。以下、具体的に説明する。
【0074】
図3には、ある1日における集熱パネル11に照射される太陽光の日射量と、集熱パネル11の温度の時間変化を示している。また
図3には、当該1日における日の出の時刻(集熱開始時刻)H1、及び集熱パネル11からの太陽熱の供給がない場合の太陽熱貯湯タンク12内の温度(太陽熱貯湯タンク温度)Ttを示している。なお、太陽熱貯湯タンク12内の温度Ttは時間変化するものであるが、
図3においては説明の便宜上一定として示している。
【0075】
太陽光が集熱パネル11に照射されることがない(日射量が0である)時間帯(日の出の時刻H1以前や、18時以降)においては、当該集熱パネル11の温度は大幅に低下する。集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Ttよりも低い温度まで低下した状態で、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させる(
図2参照)と、太陽熱貯湯タンク12内の熱を奪い、当該熱を集熱パネル11へと供給することになる。すなわち、太陽熱貯湯タンク12内の水に熱を与えて沸かすことができず、逆に当該水から熱を奪ってしまうため好ましくない。
【0076】
従って通常は、日の出の時刻H1以後(集熱パネル11に太陽光が照射されている状態)であっても、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt以上になるまで(時刻H2)は、集熱パネル11と第一熱交換器13との間で不凍液を循環させることはない。
【0077】
このように、集熱パネル11に太陽光が照射されている状態であっても、当該集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt未満である場合には、太陽熱を太陽熱貯湯タンク12へと蓄えることができない。
【0078】
一方、
図4には、
図3と同じ1日における、排熱貯湯タンク42に蓄えることができる熱量の上限値に対する、実際に排熱貯湯タンク42に蓄えられる熱量の割合(蓄熱割合)の時間変化を実線で示している。蓄熱割合が100(%)である場合、排熱貯湯タンク42には上限まで熱量が蓄えられていることを意味する。また、給湯需要で熱(湯)が使用された際には、蓄熱割合は低下する。
【0079】
上述の如く発電ユニット41は通常24時間連続して運転される。また、給湯需要(例えば、浴室)で熱(湯)が使用される時間帯(
図4の例においては、7時前後及び19時前後)は概ね決まっている。このため、給湯需要で熱が使用される時間帯まで、発電ユニット41からの排熱によって蓄熱割合は時間の経過と共に増加する。
【0080】
しかし、排熱貯湯タンク42内に蓄えることができる熱量には限界がある。このため、蓄熱割合が100(%)(満蓄)に達した場合、給湯需要によって熱量が使用されるまでの間(
図4における時間帯Wt)、発電ユニット41の排熱のうち排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分はラジエータ43から外部へと放熱される。
【0081】
このように、発電ユニット41で排熱が発生しても、排熱貯湯タンク42の容量を超える排熱は蓄えることができす、無駄に排出されることになる。
【0082】
以上のことから本実施形態に係る給湯システム1では、発電ユニット41の排熱のうち排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分が発生することが事前に予測された場合には、発電ユニット41の排熱を用いて、集熱パネル11の温度を太陽熱貯湯タンク12内の温度Tt以上まで速やかに上昇させる。これによって、集熱パネル11で集熱された太陽熱を無駄なく太陽熱貯湯タンク12へと蓄え、エネルギー効率の向上を図る。以下では、当該給湯システム1の制御(以下、この制御を「プレヒート制御」と記す)について説明する。
【0083】
なお、以下の説明において用いる各種の予測値(後述する発電時排熱量D
t、予測熱需要S
t、貯湯ロスL
t等)は、需要家の元に設けられるHEMS(Home Energy Management System)等に蓄積された過去のデータに基づいて定めることができる。
【0084】
プレヒート制御は、発電ユニット41の排熱のうち余剰分を予測する余剰熱量予測制御、集熱パネル11への熱の供給を開始する時刻を決定する開始時刻決定制御、及び実際に集熱パネル11へと熱を供給するプレヒート実行制御に分けることができる。よって以下では、各制御について順に説明する。
【0085】
まず、
図5を用いて、余剰熱量予測制御の処理について詳細に説明する。
なお、本実施形態において、制御装置120は、余剰熱量予測制御を1日に1回、予め決められた時刻に実行するものとする。
【0086】
図5のステップS101において、制御装置120は、タイムステップ数tの値に、初期値を代入する。
ここで、タイムステップ数とは、時刻に対応して予め定められる数値である。本実施形態においては、0時に対応するタイムステップ数tを0、1時に対応するタイムステップ数tを1、2時に対応するタイムステップ数tを2・・・24時に対応するタイムステップ数tを24と定めるものとする。すなわち、タイムステップ数tは、0時を0として、1時間毎に1だけ増加する値とする。
【0087】
また、タイムステップ数tの初期値とは、現在時刻に対応する値である。例えば、ステップS101において、現在時刻が3時である場合には、制御装置120はタイムステップ数tの値に3を代入する。
なお、以下では便宜上、タイムステップ数tを用いて時刻を表すものとする。例えば、「時刻t」との記載は、「タイムステップ数tに対応する時刻」を意味する。
制御装置120は、当該ステップS101の処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0088】
ステップS102において、制御装置120は、時刻tにおいて排熱貯湯タンク42に蓄えられていると予測される排熱の熱量(予測熱量)Q
tを算出する。
予測熱量Q
tは、「予測熱量Q
t=予測熱量Q
t−1+発電時排熱量D
t−予測熱需要S
t−貯湯ロスL
t」の数式を用いて算出することができる。
【0089】
ここで、予測熱量Q
t−1は、時刻t−1(時刻tよりも1つ前のタイムステップ(本実施形態では、1時間前))において排熱貯湯タンク42に蓄えられていると予測された排熱の熱量である。
また、発電時排熱量D
tは、時刻t−1から時刻tまでの間に発電ユニット41から発生すると予測される排熱の熱量(発電ユニット41から排熱貯湯タンク42に供給されると予測される排熱の熱量)である。
また、予測熱需要S
tは、時刻t−1から時刻tまでの間に給湯需要において使用されると予測される熱量である。
また、貯湯ロスL
tは、時刻t−1から時刻tまでの間に意図せず排熱貯湯タンク42から失われる熱量(損失)である。なお、本実施形態においては、貯湯ロスL
tを減算するものとしたが、実際の算出においては、所定の割合(例えば、90(%))を乗算しても良い。
【0090】
制御装置120は、当該ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0091】
ステップS103において、制御装置120は、予測熱量Q
tが0より大きいか否かを判定する。
制御装置120は、予測熱量Q
tが0より大きいと判定した場合、ステップS201に移行する。
制御装置120は、予測熱量Q
tが0以下であると判定した場合、ステップS104(
図6参照)に移行する。
【0092】
ステップS104において、制御装置120は、予測熱量Q
tが、排熱貯湯タンク42に蓄えることができる熱量の上限値Q
max以下であるか否か(すなわち、排熱貯湯タンク42の蓄熱割合が100(%)以下であるか否か)を判定する。
制御装置120は、予測熱量Q
tが上限値Q
maxより大きいと判定した場合、ステップS105に移行する。
制御装置120は、予測熱量Q
tが上限値Q
max以下であると判定した場合、ステップS107に移行する。
【0093】
ステップS105において、制御装置120は、余剰熱量QSの値に、予測熱量Q
tと上限値Q
maxとの差(Q
t−Q
max)を加算する。
ここで、余剰熱量QSとは、各時刻における熱量の余剰分を合計した値が代入される変数である。すなわち、当該処理を各時刻について繰り返し行うことで、各時刻における熱量の余剰分の合算値を、余剰熱量QSとして得ることができる。
制御装置120は、当該ステップS105の処理を行った後、ステップS106に移行する。
【0094】
ステップS106において、制御装置120は、予測熱量Q
tの値に、上限値Q
maxの値を代入する。
これは、当該予測熱量Q
tの値を、ループ(ステップS110から再度ステップS102に移行)した後のステップS102の処理で予測熱量Q
t−1として使用する際に、当該予測熱量Q
t−1が排熱貯湯タンク42の上限値Q
maxを超えた値になるのを防止するためである。
制御装置120は、当該ステップS106の処理を行った後、ステップS109に移行する。
【0095】
ステップS107において、制御装置120は、予測熱量Q
tが最小熱量Q
minよりも大きいか否かを判定する。
ここで、最小熱量Q
minとは、各時刻における予測熱量Q
tのうち、最小の値が代入される変数(ステップS108参照)である。すなわち制御装置120は、時刻tにおける予測熱量Q
tが、それ以前の各時刻における予測熱量のうち最小値よりも大きいか否かを判定することになる。
制御装置120は、予測熱量Q
tが最小熱量Q
min以下であると判定した場合、ステップS108に移行する。
制御装置120は、予測熱量Q
tが最小熱量Q
minよりも大きいと判定した場合、ステップS109に移行する。
【0096】
ステップS108において、制御装置120は、最小熱量Q
minの値に、予測熱量Q
tの値を代入する。
制御装置120は、当該ステップS108の処理を行った後、ステップS109に移行する。
【0097】
ステップS109において、制御装置120は、タイムステップ数tの値に1を加算する。
制御装置120は、ステップS109の処理を行った後、ステップS110に移行する。
【0098】
ステップS110において、制御装置120は、タイムステップ数tが所定値tfであるか否かを判定する。
ここで所定値tfとは、ステップS102からステップS110までの処理のループを終了するために設定される値である。本実施形態においては、ステップS102からステップS110までの処理のループを24時(時刻t=24)まで繰り返すものとし、当該所定値tfとして24が設定されているものとする。
制御装置120は、タイムステップ数tが所定値tfであると判定した場合、ステップS201(
図6参照)に移行する。
制御装置120は、タイムステップ数tが所定値tfではないと判定した場合、再度ステップS102に移行(ループ)する。
【0099】
このように制御装置120は、24時までの各時刻tにおける予測熱量Q
tを算出し(ステップS102)、当該予測熱量Q
tが上限値Q
maxを超える時刻がある場合には(ステップS104)、当該上限値Q
maxを超えた分を合算して余剰熱量QSを算出する(ステップS105)。
また制御装置120は、各時刻tにおける予測熱量Q
tの中で最も小さい値を最小熱量Q
minとする(ステップS107及びステップS108)。
また制御装置120は、予測熱量Q
tが0以下となった場合には、本余剰熱量予測制御を終了し、ステップS201に移行する(ステップS103)。
【0100】
なお、本実施形態においては、以上のような余剰熱量予測制御は1日に1回行われるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、1日に複数回行う(例えば、各時刻(1時間毎)に行う)ことも可能である。
【0101】
また、本実施形態においては、所定値tfとして24が設定されている(ステップS102からステップS110までの処理のループを24時まで繰り返す)ものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、所定値tfの値は任意に設定することが可能である。
【0102】
次に、
図6を用いて、開始時刻決定制御の処理について詳細に説明する。
【0103】
図6のステップS201において、制御装置120は、集熱パネル11の温度を太陽熱貯湯タンク12内の温度以上まで上昇させるために、当該集熱パネル11へと供給する必要がある熱量(必要熱量)QNを算出する。
必要熱量QNは、「必要熱量QN=(太陽熱貯湯タンク温度Tt−集熱パネル温度Tp)×不凍液量V×比熱C」の数式を用いて算出することができる。
【0104】
ここで、太陽熱貯湯タンク温度Ttは、前述の如く太陽熱貯湯タンク12内の温度である。
また、集熱パネル温度Tpは、集熱パネル11の表面の温度である。
また、不凍液量Vは、集熱パネル11と第二熱交換器81との間を循環する不凍液の総量である。
また、比熱Cは、不凍液の比熱である。
不凍液量V及び比熱Cの値は給湯システム1の構成から予め分かっており、制御装置120に記憶されている。
【0105】
制御装置120は、当該ステップS201の処理を行った後、ステップS202に移行する。
【0106】
ステップS202において、制御装置120は、余剰熱量QS(
図5のステップS105参照)が必要熱量QNより大きいか否かを判定する。
制御装置120は、余剰熱量QSが必要熱量QNより大きいと判定した場合、ステップS203に移行する。
制御装置120は、余剰熱量QSが必要熱量QN以下であると判定した場合、ステップS204に移行する。
【0107】
ステップS203において、制御装置120は、供給熱量QPの値に必要熱量QNの値を代入する。
ここで、供給熱量QPとは、実際に集熱パネル11へと供給される熱量の値が代入される変数である。
制御装置120は、当該ステップS203の処理を行った後、ステップS205に移行する。
【0108】
ステップS204において、制御装置120は、供給熱量QPの値に余剰熱量QSの値を代入する。
制御装置120は、当該ステップS204の処理を行った後、ステップS205に移行する。
【0109】
ステップS205において、制御装置120は、供給熱量QPが最小熱量Q
minよりも大きいか否かを判定する。
制御装置120は、供給熱量QPが最小熱量Q
min以下であると判定した場合、ステップS206に移行する。
制御装置120は、供給熱量QPが最小熱量Q
minよりも大きいと判定した場合、ステップS207に移行する。
【0110】
ステップS206において、制御装置120は、供給熱量QPの値を元の値(ステップS203又はステップS204で決定された供給熱量QPの値)のまま維持する。
制御装置120は、当該ステップS206の処理を行った後、ステップS208に移行する。
【0111】
ステップS207において、制御装置120は、供給熱量QPの値に最小熱量Q
minの値を代入する。
制御装置120は、当該ステップS207の処理を行った後、ステップS208に移行する。
【0112】
ステップS208において、制御装置120は、集熱パネル11への熱の供給を開始する時刻(供給開始時刻)HPを算出する。
供給開始時刻HPは、「供給開始時刻HP=集熱開始時刻H1−必要時間WN」の数式を用いて算出することができる。
【0113】
ここで、集熱開始時刻H1は、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態となると予測される時刻である。ここで、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態とは、当該集熱パネル11に太陽光が照射されている状態を意味する。集熱開始時刻H1は、本実施形態においては日の出の時刻(日照予定時刻)であり、集熱パネル11に太陽光が照射され始める時刻である。日照予定時刻(例えば、予め予測された日の出の時刻等)は、予め制御装置120に記憶されている。
また、必要時間WNは、本発明に係る所要時間の実施の一形態である。必要時間WNは、必要熱量QNを集熱パネル11へと供給するのに要する時間である。必要時間WNは、「必要時間WN=供給熱量QP/流量R/比熱C/(太陽熱貯湯タンク温度Tt−集熱パネル温度Tp)」の数式を用いて算出することができる。
【0114】
ここで、流量Rは、集熱パネル11と第二熱交換器81との間を循環する不凍液の流量である。
【0115】
制御装置120は、当該ステップS208の処理を行った後、ステップS301(
図7参照)に移行する。
【0116】
このように制御装置120は、必要熱量QNを算出し(ステップS201)、余剰熱量QSと必要熱量QNのうち小さい方の値を供給熱量QPに代入する(ステップS202からステップS204)。これによって、余剰熱量QSを超える熱量が集熱パネル11へと供給されるのを防止することができる。
さらに制御装置120は、最小熱量Q
minが供給熱量QP以下である場合には(ステップS205)、当該最小熱量Q
minの値を供給熱量QPに代入する(ステップS207)。これによって、最小熱量Q
minを超える熱量が集熱パネル11へと供給されるのを防止することができる。
このようにして、制御装置120は、余剰熱量QS、必要熱量QN及び最小熱量Q
minのうち、最も小さい値を供給熱量QPに代入する(ステップS201からステップS207)。
【0117】
また制御装置120は、集熱開始時刻H1及び必要時間WNから、供給開始時刻HPを算出する。このように算出された供給開始時刻HPから集熱パネル11への熱の供給を開始することで、集熱開始時刻H1になった時点で、集熱パネル11の温度が最も高くなるようにすることができる。
【0118】
次に、
図7を用いて、プレヒート実行制御の処理について詳細に説明する。
【0119】
図7のステップS301において、制御装置120は、現在時刻が、集熱パネル11へと熱を供給すべき時間帯(供給時間帯)に含まれるか否かを判定する。
ここで、前記供給時間帯とは、具体的には供給開始時刻HPから集熱開始時刻H1までの時間帯である。すなわち制御装置120は、現在時刻から集熱開始時刻H1までの時間が必要時間WN(ステップS208参照)未満であるか否かを判定することになる。
制御装置120は、現在時刻が前記供給時間帯に含まれると判定した場合、ステップS302に移行する。
制御装置120は、現在時刻が前記供給時間帯に含まれないと判定した場合、ステップS304に移行する。
【0120】
ステップS302において、制御装置120は、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Ttより低いか否かを判定する。
制御装置120は、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Ttより低いと判定した場合、ステップS303に移行する。
制御装置120は、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Tt以上であると判定した場合、ステップS304に移行する。
【0121】
ステップS303において、制御装置120は、第一三方弁83及び第二三方弁84の動作を制御することにより、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給する。以下、具体的に説明する。
【0122】
図8に示すように、制御装置120は、第一三方弁83及び第二三方弁84をそれぞれ第二状態に切り替える。
【0123】
この状態では、第二熱交換器81は、排熱貯湯タンク42内の熱を、当該第二熱交換器81内の不凍液へと移動させる。これによって高温となった不凍液は、往管路82a及び往管路14aを介して集熱パネル11へと供給される。集熱パネル11は、供給されてきた高温の不凍液からの熱によって温度が上昇する。集熱パネル11において熱を奪われた不凍液は、復管路14b及び復管路82bを介して再び第二熱交換器81へと供給される。このように、集熱パネル11と第二熱交換器81との間で不凍液を循環させることで、排熱貯湯タンク42内に蓄えられている発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給することができる。
【0124】
制御装置120は、当該ステップS303の処理を行った後、ステップS305に移行する。
【0125】
ステップS304において、制御装置120は、第一三方弁83及び第二三方弁84の動作を制御することにより、発電ユニット41の排熱の集熱パネル11への供給を停止する。すなわち制御装置120は、第一三方弁83及び第二三方弁84をそれぞれ第一状態に切り替える。なお、ステップS304に移行した時点ですでに第一三方弁83及び第二三方弁84がそれぞれ第一状態に切り替えられている(発電ユニット41の排熱の集熱パネル11への供給が停止されている)場合には、制御装置120はその状態を維持する。
【0126】
制御装置120は、当該ステップS304の処理を行った後、ステップS305に移行する。
【0127】
ステップS305において、制御装置120は、現在時刻が最終時刻であるか否かを判定する。
ここで、前記最終時刻とは、前述の余剰熱量予測制御(
図5参照)が終了した時点でのタイムステップ数tに対応する時刻である。
具体的には、前記余剰熱量予測制御がステップS110(
図5参照)からステップS201(
図6参照)へと移行した場合には、タイムステップ数tは24であり、前記最終時刻は24時となる。また、前記余剰熱量予測制御がステップS103(
図5参照)からステップS201(
図6参照)へと移行した場合には、その時点のタイムステップ数tに対応する時刻が前記最終時刻となる。
【0128】
制御装置120は、現在時刻が前記最終時刻であると判定した場合、本プレヒート実行制御を終了し、再び前記余剰熱量予測制御(
図5参照)を開始する。
制御装置120は、現在時刻が前記最終時刻ではないと判定した場合、ステップS301に移行する。
【0129】
このように制御装置120は、現在時刻が供給時間帯に含まれており(ステップS301)、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Ttより低い場合には(ステップS302)、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給する(ステップS303)。
【0130】
これによって、集熱パネル温度Tpを太陽熱貯湯タンク温度Tt以上まで速やかに上昇させ(ステップS302)、集熱パネル11からの熱を太陽熱貯湯タンク12に蓄えることができるようになり、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0131】
また、この際に集熱パネル11へと供給される熱は、予め発生することが予測された発電ユニット41の排熱の余剰分であるため、エネルギーを無駄にすることなく、エネルギー効率の向上を図ることができる。例えば、
図4には、プレヒート制御を行った場合の排熱貯湯タンク42の蓄熱割合の時間変化を破線で示している。
図4に示すように、蓄熱割合が100(%)になって排熱の余剰分が発生する(時間帯Wtにおける実線参照)ことが予め予測された場合には、排熱貯湯タンク42内の熱(排熱)を集熱パネル11へと供給することで、当該排熱貯湯タンク42の蓄熱割合は一旦減少する(6時前後における破線参照)。しかしこれによって、蓄熱割合が100(%)になって排熱の余剰分が発生する時間が減少し(
図4の破線の例では0になる)、エネルギーの無駄がなくなる。
【0132】
一方、制御装置120は、現在時刻が前記供給時間帯に含まれていない場合には(ステップS301)、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給することはない(ステップS304)。具体的には、現在時刻が供給開始時刻HPよりも前の時刻である場合には、集熱パネル11へと排熱が供給されることはない。これによって、集熱開始時刻H1に合わせて集熱パネル11の温度が最も高くなるように、当該集熱パネル11の温度を上昇させることができ、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0133】
また、前記供給時間帯は、供給熱量QPに基づいて算出されている。
従って、供給熱量QPの値として余剰熱量QSの値が用いられている場合には(ステップS204)、余剰熱量QS以上の熱量が集熱パネル11へと供給されて排熱貯湯タンク42内の排熱が必要以上に消費されるのを防止することができる。
また、供給熱量QPの値として最小熱量Q
minの値が用いられている場合には(ステップS207)、最小熱量Q
min以上の熱量が集熱パネル11へと供給されて排熱貯湯タンク42内の排熱が全て消費されるのを防止することができる。
【0134】
また、現在時刻が前記供給時間帯に含まれている場合であっても(ステップS301)、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Tt以上である場合には(ステップS302)、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給することはない(ステップS304)。この場合には、すでに集熱パネル温度Tpは、集熱パネル11から太陽熱貯湯タンク12へと太陽熱を供給可能な程度に十分に上昇しているためである。
【0135】
なお、余剰熱量QSが0である(発電ユニット41の排熱の余剰分がない)と予測された場合には、供給熱量QPは0となり(ステップS202からステップS207)、発電ユニット41の排熱が集熱パネル11へと供給されることは無い。このように、集熱パネル11へと供給されるのは、発電ユニット41の排熱の余剰分に限られる。これによって、太陽熱貯湯タンク12に蓄えられた発電ユニット41の排熱が不足し、前記補助熱源が駆動されるのを抑制することができる。
【0136】
以上の如く、本実施形態に係る給湯システム1(コージェネレーションシステム)は、
太陽光を受けて太陽熱を集熱する集熱パネル11(集熱器)と、
集熱パネル11で集熱された熱を蓄える太陽熱貯湯タンク12(太陽熱蓄熱タンク)と、
燃料を用いて発電する発電ユニット41(発電装置)と、
発電ユニット41の排熱を蓄える排熱貯湯タンク42(排熱蓄熱タンク)と、
発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給し、当該集熱パネル11の温度を上昇させる排熱伝達機構80と、
発電ユニット41の排熱のうち、排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分が発生することが予測された場合には、排熱伝達機構80によって発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給させる制御装置120と、
を具備するものである。
このように構成することにより、発電ユニット41の排熱のうち、排熱貯湯タンク42に蓄えることができない余剰分が発生することが予測された場合、当該余剰分を利用して集熱パネル11の温度を上昇させることができる。これによって、集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度よりも低い場合に当該集熱パネル11の温度を上昇させることで、速やかに太陽熱を蓄えることができる状態にすることができ、ひいてはエネルギー効率の向上を図ることができる。
また、集熱パネル11の温度を上昇させるための熱として、予測された発電ユニット41の排熱の余剰分を用いることにより、よりエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0137】
また、排熱伝達機構80は、
排熱貯湯タンク42との間で熱交換可能な第二熱交換器81(熱交換器)と、
集熱パネル11と第二熱交換器81との間で熱媒体を循環させる第二管路82(排熱伝達管路)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0138】
また、第二管路82は、
集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との間で熱媒体を循環させる第一管路14(太陽熱伝達管路)に接続されることで、当該第一管路14を介して集熱パネル11に接続され、
排熱伝達機構80は、
第一管路14と第二管路82との接続部に設けられ、集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12とを連通すると共に集熱パネル11と第二熱交換器81との連通を遮断する第一状態と、集熱パネル11と第二熱交換器81とを連通すると共に集熱パネル11と太陽熱貯湯タンク12との連通を遮断する第二状態と、を切り替える第一三方弁83及び第二三方弁84(切替機構)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、予め設けられた第一管路14を用いることで、簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
また、第二管路82からの熱媒体を集熱パネル11内で循環させるための配管等を別途設ける必要もない(第一管路14からの熱媒体を集熱パネル11内で循環させるための配管等を兼用できる)ため、より簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0139】
また、給湯システム1は、
集熱パネル11の温度を検出するパネル温度センサ90(集熱器温度検出手段)と、
太陽熱貯湯タンク12内の温度を検出する第一タンク温度センサ100(タンク温度検出手段)と、
をさらに具備し、
制御装置120は、
集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満である場合にのみ(ステップS302)、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給するものである。
このように構成することにより、必要な場合、すなわち集熱パネル11の温度が太陽熱貯湯タンク12内の温度未満であり、太陽熱を蓄えることが出来ない場合にのみ集熱パネル11の温度を上昇させることができる。
【0140】
また、制御装置120は、
集熱パネル11へと供給する排熱の供給熱量QPを算出し(ステップS201からステップS207)、
供給熱量QPを集熱パネル11へと供給するのに要する必要時間WN(所要時間)を算出し(ステップS208)、
現在時刻から、集熱開始時刻H1(集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態になると予測される時刻)までの時間が必要時間WN未満になった場合にのみ、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11へと供給する(ステップS208及びステップS301)ものである。
このように構成することにより、集熱パネル11が太陽熱を集熱することが可能になるタイミングに合わせて、供給熱量QPを集熱パネル11へと供給することができる。
【0141】
また、制御装置120は、
発電ユニット41の排熱のうち排熱貯湯タンク42に蓄えることができないと予測される余剰分の余剰熱量QSと(ステップS105)、
集熱パネル温度Tp(集熱パネル11の温度)を太陽熱貯湯タンク温度Tt(太陽熱貯湯タンク12内の温度)まで上昇させるために必要な必要熱量QNと(ステップS201)、
を算出し、
余剰熱量QS及び必要熱量QNのうち、小さい方の値を供給熱量QPとする(ステップS202からステップS204)ものである。
このように構成することにより、必要熱量QNが余剰熱量QSより小さい場合には、余剰熱量QSから必要熱量QNを全て賄うことができるため、必要とする熱量(必要熱量QN)を集熱パネル11へと供給することで、当該集熱パネル11の温度を十分に上昇させることができる。一方、余剰熱量QSが必要熱量QNより小さい場合には、当該余剰熱量QSだけを集熱パネル11へと供給することで、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が余剰分を超えて集熱パネル11へと供給されるのを防止することができる。
【0142】
また、制御装置120は、
排熱貯湯タンク42に蓄えられると予測される排熱の最小値である最小熱量Q
minと(ステップS108)、
集熱パネル温度Tpを太陽熱貯湯タンク温度Ttまで上昇させるために必要な必要熱量QNと(ステップS201)、
を算出し、
最小熱量Q
min及び必要熱量QNのうち、小さい方の値を供給熱量QPとする(ステップS205からステップS207)ものである。
このように構成することにより、必要熱量QNが最小熱量Q
minより小さい場合には、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が全て失われるおそれがないため、必要とする熱量(必要熱量QN)を集熱パネル11へと供給することで、当該集熱パネル11の温度を十分に上昇させることができる。一方、最小熱量Q
minが必要熱量QNより小さい場合には、当該最小熱量Q
minだけを集熱パネル11へと供給することで、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が全て失われた状態で、さらに集熱パネル11への熱の供給が続けられるのを防止することができる。
【0143】
また、制御装置120は、
発電ユニット41の排熱のうち排熱貯湯タンク42に蓄えることができないと予測される余剰分の余剰熱量QSと(ステップS105)、
排熱貯湯タンク42に蓄えられると予測される排熱の最小値である最小熱量Q
minと(ステップS108)、
集熱パネル温度Tpを太陽熱貯湯タンク温度Ttまで上昇させるために必要な必要熱量QNと(ステップS201)、
を算出し、
余剰熱量QS、最小熱量Q
min及び必要熱量QNのうち、最も小さい値を供給熱量QPとする(ステップS202からステップS207)ものである。
このように構成することにより、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が余剰分を超えて集熱パネル11へと供給されるのを防止することができる。また、排熱貯湯タンク42に蓄えられた熱が全て失われた状態で、さらに集熱パネル11への熱の供給が続けられるのを防止することができる。
【0144】
なお、本実施形態においては、熱媒体として水(湯)及び不凍液を用いる構成としたが、本発明に係る熱媒体はこれに限るものではなく、任意に選択して使用することが可能である。
【0145】
また、本実施形態においては、第二管路82は第一管路14の中途部に接続されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第二管路82は、第一管路14ではなく集熱パネル11に直接接続され、第二熱交換器81と集熱パネル11とを直接連通するものであっても良い。この場合、第一管路14及び第二管路82にそれぞれ熱媒体の流通の可否(開閉)を切り替える制御弁を設け、一方の制御弁が開かれた場合には他方の制御弁が閉じられる構成とすることが望ましい。
【0146】
また、本実施形態においては、太陽熱貯湯タンク12内に第一タンク温度センサ100を1つ設ける構成を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、太陽熱貯湯タンク12内に複数の第一タンク温度センサ100を設け、当該複数の第一タンク温度センサ100によって検出された温度の平均を、太陽熱貯湯タンク12内の温度とすることも可能である。また、第一タンク温度センサ100を太陽熱貯湯タンク12内の下部に設け、当該太陽熱貯湯タンク12内の下部(太陽熱貯湯タンク12の中でも特に温度の低い部分)の温度を用いてプレヒート制御することも可能である。
排熱貯湯タンク42内に設けられる第二タンク温度センサ110についても同様である。
【0147】
また、本実施形態においては、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態(
図6のステップS208参照)とは、当該集熱パネル11に太陽光が照射されている状態を意味するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、集熱パネル11に太陽光が照射されていたとしても、日射量が少ない場合には十分な集熱ができない場合もあると考えられる。そこで、集熱パネル11に照射される太陽光の日射量が所定値以上となった状態を、集熱パネル11が太陽熱を集熱可能な状態と定めても良い。
【0148】
また、本実施形態においては、日照予定時刻(集熱開始時刻H1)の例として、予め予測された日の出の時刻を例示したが(ステップS102参照)、本発明はこれに限るものではない。例えば、天気が曇りや雨等から晴れに変わる時刻も、日照予定時刻に含まれるものとする。この場合の日照予定時刻は、天気予報等に基づいて定めることが可能である。
【0149】
また、本実施形態においては、日照予定時刻は予め制御装置120に記憶されているものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば制御装置120は、インターネット等を介して常に最新の日照予定時刻(予測される日の出の時刻や、天気予報等)を取得する構成とすることも可能である。
【0150】
また、本実施形態においては、ステップS302において、制御装置120は集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Tt未満であるか否かを判定するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。当該ステップS302の処理を言い換えると、制御装置120は、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Tt以上であるか否かを判定している。しかし実際には、集熱パネル温度Tpが太陽熱貯湯タンク温度Ttよりもある程度高い温度にならなければ、集熱パネル11の温度を十分に太陽熱貯湯タンク12に蓄えることはできない場合もあると考えられる。そこで、ステップS302においては、集熱パネル温度Tpが、太陽熱貯湯タンク温度Ttに所定値(例えば、5(℃)等)だけ加算した温度(目標温度)以上であるか否かを判定しても良い。これによって、集熱パネル温度Tpが、目標温度(太陽熱貯湯タンク温度Ttよりも所定値だけ高い温度)に上昇するまで、発電ユニット41の排熱を集熱パネル11に供給することができる。
【0151】
また、本実施形態においては、各種の予測値(後述する発電時排熱量D
t、予測熱需要S
t、貯湯ロスL
t等)は、需要家の元に設けられるHEMSに蓄積されたデータに基づいて定めるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他の方法(例えば、外部の制御装置により予測するなど)により各種の予測値を定め、制御装置120に当該予測値を記憶させる構成とすることも可能である。
【0152】
また、本発明に係る集熱器は、本実施形態に係る集熱パネル11に限るものではない。例えば、集熱器として、太陽熱を集熱すると同時に太陽光を受けて発電する太陽光発電装置を用いることも可能である。
【0153】
また、本実施形態のプレヒート制御(余剰熱量予測制御)において、タイムステップ数tは、0時を0として、1時間毎に1だけ増加する値としたが、本発明はこれに限るものではなく、任意に設定することができる。例えば、30分毎に1だけ増加する値に設定することで、より細かい制御が可能となる。
【0154】
また、本実施形態に係る第二熱交換器81(本発明に係る熱交換器の一実施形態)は、排熱貯湯タンク42に設けられて、当該排熱貯湯タンク42に蓄えられた発電ユニット41の排熱との間で熱交換するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、
図9に示すように、第二熱交換器81を給湯管路60の中途部に設ける構成とすることも可能である。これによって、排熱伝達機構80は、給湯管路60を流通する湯との間で熱交換し、当該熱を集熱パネル11へと供給することができる。
【0155】
このように、変形例(
図9参照)に係る排熱伝達機構80は、
排熱貯湯タンク42内の熱媒体を給湯需要へと供給する給湯管路60との間で熱交換可能な第二熱交換器81(熱交換器)と、
集熱パネル11と第二熱交換器81との間で熱媒体を循環させる第二管路82(排熱伝達管路)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、簡素な構成でエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0156】
なお、
図9に一例を示したように、第二熱交換器81は、発電ユニット41の排熱を回収することができる位置であれば任意の位置に設けることが可能である。