(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用できる実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態に係る超音波洗浄装置は、超音波洗浄装置に単独で着脱可能な洗浄槽と、前記洗浄槽の上方に配置された超音波振動子と、を有し、前記超音波振動子が振動部内に配置され、前記洗浄槽の中の洗浄液に前記振動部を介して浸漬可能なものである。本実施形態に係る超音波洗浄装置によれば、洗浄槽が超音波洗浄装置に単独で着脱可能に構成されており、洗浄槽が回路部を含む駆動装置を付属しないため、洗浄槽を丸洗いすることができる。さらに、超音波振動子が洗浄槽の上方に配置され、洗浄槽の中の洗浄液に振動部を介して浸漬されるので、被洗浄物の上方から均一に超音波を照射することができ、従来の超音波洗浄装置と比べて、超音波振動子などの個数を減らすことができ、小型化が可能となる。
【0012】
(一実施形態に係る超音波洗浄装置)
図1は、一実施形態に係る超音波洗浄装置の斜視図を示す。超音波洗浄装置10は、超音波洗浄装置10に着脱可能に配置された洗浄槽11を有する。洗浄槽11は、超音波洗浄装置10からスライドさせて取り外されるように構成されている。なお、洗浄槽11の詳細については、後述する。
【0013】
洗浄槽11の上方には、超音波振動子が配置されている(不図示)。超音波振動子の移動機構の一実施形態を説明する。一実施形態において、超音波洗浄装置10は、超音波振動子を移動させるレバー12、およびレバー12のロックを解除するロックボタン13を有している。レバー12は、ロックボタン13を押してロックを解除し、レバー12を直立位置から矢印a方向(洗浄槽11方向)に回動させることで、超音波振動子が洗浄槽11の中の洗浄液に振動部を介して浸漬するように移動可能に構成されている。また、超音波振動子は、レバー12を矢印a方向とは逆方向に回動させて、直立位置に戻すことで、洗浄槽11の中の洗浄液から取り出される。
【0014】
一実施形態において、超音波洗浄装置10の側面にレバー12の回動を制限する突出部分を設け、超音波振動子の洗浄槽11への最大挿入高さを制限するように構成してもよい。また、一実施形態において、レバー12は、直立位置に戻されたとき、自動的にロックされるように構成されてもよい。また、ロックボタン13を設けずに、レバー12のクリップ部を握ることで、ロックが解除されるように構成されてもよい。
【0015】
超音波洗浄装置10の上面には、操作パネル14が配置されている。一実施形態において、操作パネル14にはモード選択、スタート、およびストップなどを行う操作スイッチが設けられている。操作パネル14は、使用者が操作し易い部分に配置されていればよく、配置箇所は超音波洗浄装置10の上面に限定されず、超音波洗浄装置10の側面でもよい。
【0016】
図2は、一実施形態に係る超音波洗浄装置の断面図を示す。
図2は、
図1のA−A断面図であり、レバー12が直立位置にある場合の状態を示す。超音波洗浄装置10は、ボード17を境界として、超音波洗浄装置の上部10aと下部10bとで構成される。なお、超音波洗浄装置10の脚から操作パネル14に向かう方向を上向きという。下部10bには、着脱可能に配置された洗浄槽11が配置されている。洗浄槽11は、紙面左方向にそれをスライドさせることで、下部10bから取り外され得る。洗浄槽11には、洗浄液22および被洗浄物23が配置されている。
【0017】
上部10aには、紙面奥行方向に駆動装置18が配置され、超音波振動子15および操作パネル14に接続される。上部10aに駆動装置18が配置されることにより、洗浄槽11から駆動装置18への漏水の可能性が低減され得る。電力部(不図示)も上部10aに配置することができる。なお、駆動装置18の詳細については、後述する。
【0018】
(超音波振動子)
超音波振動子15は、レバー12の直立位置において、洗浄槽11の斜め上方に配置されている。超音波振動子15は、一実施形態において、20kHzから5MHz、別の実施形態において、50kHzから4MHz、さらに別の実施形態において、100kHzから3MHzの周波数の超音波が提供されるものが使用される。一実施形態において、超音波振動子15としては、ランジュバン型振動子、圧電セラミック型振動子などが使用され得る。洗浄力を向上させるためには、提供される超音波が強力なランジュバン型振動子が使用され得る。ランジュバン型振動子が使用されることで、従来の超音波洗浄装置と比べて、超音波振動子および振動部の個数をさらに減らすことができ、小型化が可能となる。
【0019】
(振動部)
振動部16は、その内側で、底面に超音波振動子15を固定している。振動部16の形状は、超音波振動子15を内部に配置することができ、洗浄液に超音波を伝えることができれば、特に限定されるものでない。一実施形態において、振動部16の形状は、カップ状(有底筒状)であり、たとえば、有底円筒状、有底角柱状、および有底錐台状などが挙げられる。このように、振動部16の形状をカップ状とすることにより、洗浄液中に振動部16を浸漬させることができる。このとき振動部16の底面に加えて側面も洗浄液に接触させることができるので、その結果、振動部16と洗浄液との接触面積が増え、洗浄液中の超音波の拡散性を向上させることができる。
【0020】
振動部16の洗浄槽11に挿入される部分(たとえば、底面)の最大長さ(直径)dは、振動部16が洗浄槽11に挿入できれば、特に限定されるものでなく、洗浄槽11の開口の内側の最大長さ(直径)以下であればよい。一実施形態において、振動部16の底面の最大長さdは、洗浄槽11の開口の内側の最大長さの98%、別の実施形態において、95%、さらに別の実施形態において、90%、さらに別の実施形態において、80%、さらに別の実施形態において、70%、さらに別の実施形態において、50%、さらに別の実施形態において、30%である。また、振動部16の材質は、洗浄液に超音波を伝えることができれば、特に限定されるものでなく、たとえば、ステンレスなどの金属が挙げられる。
【0021】
振動部16は、支持部21によって支持され得る。
図3は、
図1のA−A断面図であり、レバー12が矢印a方向に下げられて振動部16が洗浄槽11に浸漬された状態を示す。一実施形態において、支持部21は、紙面の奥行方向で、超音波洗浄装置10の内側に配置された回動部21aと連結され得る。回動部21aは、超音波洗浄装置10の外側に配置されたレバー12と連結されており、レバー12を回動させることで、振動部16は、洗浄槽11の中の洗浄液22に浸漬され得る。
図2に示すように、洗浄液22が洗浄槽11(特に洗浄カップ11a)を満たすように供給されていた場合、洗浄槽11への振動部16の浸漬により洗浄液22が溢れ出るが、本実施形態の超音波洗浄装置10は、洗浄槽11がカップホルダ11b(詳細は後述する)を有するので、
図3に示すように、溢れ出た洗浄液22aはカップホルダ11b内に保持され、外部に漏れ出すことがない。
【0022】
また、このように余分な洗浄液を洗浄カップ11aから溢れ出させ、カップホルダ11bに保持可能とすることで、ユーザは超音波洗浄装置10の使用時に洗浄槽11に入れる洗浄液22の量を厳密に調整しなくてもよくなる。即ち、ユーザは、洗浄液22が溢れ出しても良いことを前提として、洗浄槽11に所定量の洗浄液22を入れて、超音波洗浄装置10を使用することができる。また、洗浄カップ11aから洗浄液22aが溢れ出る状態では、振動部16の表面は洗浄槽11内の洗浄液22と確実に接触している。よって、洗浄槽11に入れる洗浄液22の量を厳密に調整しなくとも、レバー12を矢印a方向に下げて振動部16を洗浄槽11に浸漬させるだけで、洗浄液22を介して被洗浄物23に対して超音波を確実に照射することができる。本実施形態のように、洗浄カップ11aから溢れ出た洗浄液をカップホルダ11bに収容する場合、カップホルダ11bの容積は、洗浄カップ11a自体を収容した状態において、洗浄液22で一杯に満たした洗浄カップ11aに振動部16を浸漬した場合にあふれ出る洗浄液を十分に収容可能な容積に定められる。
【0023】
一実施形態の超音波洗浄装置では、
図2に示すように、洗浄槽11に挿入される前の振動部16の底面は、洗浄槽11の開口面に対して傾斜するように設けられているが、振動部16の下面は洗浄槽11の開口面に対して略垂直になるように設けてられてもよい。また、一実施形態の超音波洗浄装置10では、
図3に示すように、洗浄槽11に挿入された後の振動部16の底面は、洗浄槽11の開口面と略平行、つまり、洗浄液22の液面と略平行になる。このように、本実施形態の振動部16およびその移動機構は、ハンマー状の形状を有し、振動部16はハンマーを振り下ろすような動作により、移動され得る。
【0024】
また、洗浄槽11への、振動部16の挿入部分(嵌り込み部分)の高さhは、被洗浄物23の寸法や、洗浄槽11の大きさなどにより決定され、特に限定されるものでない。一実施形態において、洗浄槽11への、超音波振動子15および振動部16の挿入部分の高さhは、1mm、別の実施形態において、5mm、さらに別の実施形態において、10mm、さらに別の実施形態において、20mm、さらに別の実施形態において、50mmである。
【0025】
一実施形態に係る超音波洗浄装置10によれば、被洗浄物23の上方から均一に超音波を照射することができ、従来の超音波洗浄装置と比べて、超音波振動子15および振動部16の個数を減らすことができるので、小型化が可能となる。
【0026】
(洗浄槽)
図4は、一実施形態に係る超音波洗浄装置の洗浄槽の斜視図である。洗浄槽11は、洗浄カップ11aと、カップホルダ11bと、リング11cと、を有する。洗浄カップ11aは、カップホルダ11b内に配置されており、リング11cは、洗浄カップ11aとカップホルダ11bの上に配置されている。洗浄カップ11aとリング11cは、カップホルダ11bともに持ち運び可能である。また、
図4に示すように、カップホルダ11bに把持部を設けることで、持ち運びが容易になる。なお、カップホルダ11bおよびリング11cは、設置されなくてもよい。
【0027】
このように、洗浄槽11は、超音波洗浄装置10から単独で着脱可能に配置されているので、洗浄槽11は丸洗いされ得る。それに対して、従来の超音波洗浄装置では、被洗浄物に対する超音波の照射効率を向上させるために、洗浄槽の下面、または側面に超音波振動子または振動部などが固定されていたため、洗浄槽を超音波洗浄装置から単独で取り外すことができず、洗浄槽の洗浄性が低いものであった。また、本実施形態の超音波洗浄装置10は、洗浄槽11が単独で着脱可能なものであるため、つまり、洗浄槽11は交換可能であるため、洗浄槽11を複数用意することで、超音波洗浄の効率が向上し、また洗浄液に適した洗浄槽の選択することもできる。さらに、洗浄槽11が破損した場合、洗浄槽11のみ交換することで、超音波洗浄装置10は利用できる。
【0028】
(洗浄カップ)
洗浄カップ11aは、洗浄液、および被洗浄物を入れるものである。そのため、洗浄カップ11aの形状は有底筒状であり得る。洗浄カップ11aの形状は、被洗浄物を内部に配置することができ、振動部16が挿入できれば、特に限定されるものでない。一実施形態において、洗浄カップ11aの形状は、有底円筒状、有底角柱状、および有底錐台状などが挙げられる。
【0029】
(カップホルダ)
カップホルダ11bは、洗浄カップ11aを収容するものである。一実施形態に係る超音波洗浄装置10において、超音波振動子15および振動部16を洗浄カップ11aの中の洗浄液に浸漬させて使用するが、洗浄槽11がカップホルダ11bを備えているため、洗浄液20が洗浄カップ11aを満たすように供給されていた場合、洗浄カップ11aへの振動部16の浸漬により洗浄液20が溢れ出るが、カップホルダ11bを有するので、溢れ出た洗浄液22aは外部に漏れ出すことがない。また、カップホルダ11bの形状は、洗浄カップ11aを内部に配置することができれば、特に限定されるものでない。一実施形態において、カップホルダ11bの形状は、有底円筒状、有底角柱状、および有底錐台状などが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、洗浄カップ11a、カップホルダ11b、およびリング11cは、同心になるように配置される。この配置を容易に行うため、位置決め部11dが内壁に設けられ得る。
【0031】
(リング)
リング11cは、洗浄カップ11aおよびカップホルダ11bの少なくとも一方の開口周囲を取り囲み保護するものである。また、洗浄カップ11aがカップホルダ11bに設置された状態で、洗浄カップ11aの開口部の高さがカップホルダ11bの開口部の高さより低い場合、リング11cをカップホルダ11bの上に配置することで、洗浄カップ11aから洗浄液22が溢れ出たとしても、洗浄液22aが外部に漏れ出すことをリング11cにより防止することができる。リング11cには開口11eが設けられており、当該開口11eを介して洗浄カップ11aから溢れ出た洗浄液22がカップホルダ11bに収容される。
【0032】
リング11cの形状は、洗浄カップ11aおよびカップホルダ11bの少なくとも一方の開口周囲を取り囲むことができれば、特に限定されるものでない。一実施形態において、カップホルダ11bの形状は、円状、四角状、および多角状などが挙げられる。一実施形態において、リング11cは、洗浄カップ11aおよびカップホルダ11bの両方の開口周囲を取り囲むことができるように、二重リング状とすることができ、2つのリングを連結させて、一体の二重リング状とすることもできる。
【0033】
(洗浄槽の材質)
洗浄カップ11a、カップホルダ11bおよびリング11cの材質は、特に限定されるものでなく、金属、ガラス、または樹脂などが使用される。一実施形態において、例えば、金属としてはステンレスが挙げられ、ガラスとしては石英ガラスが挙げられ、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、またはABSなどが挙げられる。洗浄液として腐食性を有する液体などが使用されるときは、耐食性に優れた樹脂やガラスなどが選択され得る。また、金属、またはガラスに耐食性に優れた樹脂をコートしたものが使用されてもよい。洗浄カップ11a、カップホルダ11bおよびリング11cの材質は、全て同じであって、各々異なっていてもよい。
【0034】
一実施形態において、洗浄槽11、特に、洗浄カップ11a、およびカップホルダ11bは、可視光を透過する材質とすることができ、例えば、ガラス、または樹脂などが使用される。これにより、洗浄時に洗浄カップ11a内の被洗浄物が見えるので、洗浄状況の確認が可能となる。洗浄カップ11a、およびカップホルダ11bの可視光の透過率は特に限定されるものでなく、たとえば、一実施形態において、50%以上、別の実施形態において、70%、さらに別の実施形態において、90%以上とすることができる。
【0035】
(駆動装置)
例えば
図2に示すように、駆動装置18は、ボード17上に設けられている。駆動装置18の配置は、特に限定されるものでない。駆動装置18は、回路部19および駆動アンプ部20を含んでいる。回路部19はデジタル回路を含み、デジタル回路は制御マイコンを有し得る。駆動装置18(回路部19および駆動アンプ部20)は、操作パネル14、超音波振動子15、および電源部(不図示)に接続されている。このように、駆動装置が上部10aに配置されているので、洗浄槽11からの駆動装置18への漏水の可能性が低減され得る。
【0036】
(超音波洗浄装置の制御)
図5は、一実施形態に係る超音波洗浄装置10の制御のブロック図を示す。
図5に基づき、超音波洗浄装置10の超音波照射の制御について説明する。
図1に示す超音波洗浄装置10の操作パネル14は、洗浄モードスイッチ、スタートスイッチ、およびストップスイッチなどの操作スイッチを有している。操作パネル14からの命令は、駆動装置20の回路部19に含まれる制御マイコン部に送られる。
【0037】
洗浄モードは、(1)超音波振動子の超音波の発信中心周波数、(2)中心周波数からスイングする上限周波数および下限周波数、(3)スイングの速度(スイングの上限下限の往復周期)、(4)駆動時間などから構成されるステップを複数ステップ含むように構成され得る。(1)から(4)、およびステップ数は、被洗浄物、および除去物質に応じて決定される。駆動装置20は(1)および(4)の少なくとも1つを変更することができる。
【0038】
回路部19は、洗浄モード(洗浄条件)などを記憶するように構成された制御条件記憶部、および記憶された洗浄モードを実行する信号を生成する制御信号生成部を有している。回路部19に記憶される制御信号の情報は、外部のコンピュータ24などで作成され得る。コンピュータ24で作成された制御信号の情報は、超音波洗浄装置10に着脱可能なUSBメモリなどの外部記憶媒体を介して、回路部19に送られ、記憶され得る。なお、作成された制御信号の情報は、外部記憶媒体を使用せず、有線通信手段や無線通信手段により、回路部19に送ることもできる。
【0039】
回路部19には、1以上の洗浄モードが記憶されている。前記の操作パネル14から送られた命令に従い、回路部19から洗浄モードの情報を読み出される。この情報に従い、回路部19の制御信号生成部で、制御信号が生成される。生成された制御信号は、駆動装置18の駆動アンプ部20において、電力部25から供給された電力から駆動電力が生成される。この駆動電力が超音波振動子15に送られ、洗浄モードに応じた超音波が出力される。このような制御において、ランジュバン型超音波振動子の使用が効果的である。
【0040】
一実施形態に係る超音波洗浄装置10は、このような制御系を含むことにより、洗浄モードの変更のために回路素子を交換などせず、洗浄物の形状、大きさ、汚れ、洗浄液の温度などの異なる場合に適した洗浄モードを選択して、洗浄を行うことができる。また、本実施形態に係る制御系、特に、駆動装置18は、従来の超音波洗浄装置(たとえば、超音波振動子が洗浄槽の上部以外にあり、洗浄槽が着脱不可能であるような超音波洗浄装置)にも適用することができ、目的とする洗浄モードを容易に設定することが可能となる。
【0041】
一実施形態に係る超音波洗浄装置10は、さらにヒータ、温度計測器、温度調節装置、液面のレベルセンサなどが設けることもできる。
【0042】
(超音波洗浄装置の使用方法)
図1から
図4に示した超音波洗浄装置を参照して、一実施形態に係る超音波洗浄装置10の使用方法が説明される。まず、洗浄槽11が超音波洗浄装置10からスライドさせて取り外される。洗浄槽11に被洗浄物23および洗浄液22が入れられる。洗浄槽11が超音波洗浄装置10から単独で取り外されるので、洗浄液22の供給が効率的に実施され得る。
【0043】
洗浄液22は、特に限定されるものでなく、被洗浄物23、または被洗浄物23に付着した除去物質に応じて、選択すればよい。例えば、洗浄液22としては、酸性液体、アルカリ性液体、塩素系液体、有機溶剤、水などが使用され得、さらに界面活性剤、防錆剤などの薬剤を添加してもよい。
【0044】
被洗浄物23も特に限定されるものでなく、ガラス、金属、陶器、セラミックおよびプラスチックなどの物品とすることができる。例えば、被洗浄物23は、入れ歯、メガネ、コンタクトレンズなどの日用品、指輪やアクセサリーなどの装飾品、鉗子、メス、ハサミ、内視鏡などの医療器具、半導体基板、ガラス基板などの電気電子部品、カメラや時計などに用いる精密機械部品、プレス部品、配管、フィルター、刃物などの産業用品、食器類などの生活用品などが挙げられる。
【0045】
続いて、洗浄槽11が超音波洗浄装置10に取り付けられる(
図2は、この状態を示す)。ロックボタン13を押して、レバー12のロックを解除し、レバー12を直立位置から矢印a方向に回動させ、レバー12と連結している回動部21aを介して振動部16を洗浄液22に浸漬させる(
図3は、この状態を示す)。洗浄液22の一部22aは洗浄カップ11aから溢れ出るがカップホルダ11bにより保持され、外部に溢れ出ることがない。
【0046】
被洗浄物23に適した洗浄モードを操作パネル14の洗浄モードスイッチを操作して選択する。操作パネル14には、洗浄モード、洗浄時間などが表示されるように構成することができる。操作パネル14のスタートスイッチを操作して洗浄を開始する。
【0047】
洗浄モードに応じた洗浄時間が経過後、自動的に洗浄(超音波の照射)が終了するように構成することができる。なお、操作パネル14には、洗浄を停止するストップスイッチを設けることができ、洗浄の状態に応じて、洗浄中に洗浄を停止するように構成することができる。また、洗浄終了後に、洗浄状態に応じて、再度洗浄を実行するように構成することもできる。その際、同一の洗浄モードで洗浄することも、別の洗浄モードで洗浄することも選択できるように構成することができる。
【0048】
洗浄終了後、レバー12を後方(矢印aの逆方向)に回動させて、直立位置にすることで、振動部16が洗浄槽11の中の洗浄液22から取り出される(
図2に示すような状態となる)。超音波洗浄装置10から洗浄槽11をスライドさせて取り外し、洗浄槽11から被洗浄物23を取り出す。その後、または、他の被洗浄物の洗浄を同一の洗浄液22で洗浄行った後、洗浄液22を廃棄する。このように、洗浄槽11が単独で超音波洗浄装置10から着脱可能であるため、排水性に優れ、洗浄槽11を丸洗いすることができる。
【0049】
以上より、一実施形態に係る超音波洗浄装置10によれば、
(1)洗浄槽が超音波洗浄装置に単独で着脱可能に構成されており、洗浄槽を丸洗いすることができ、
(2)超音波振動子が洗浄槽の上方に配置され、洗浄物の上方から均一に超音波を照射することができるので、超音波振動子などの個数を減らすことができ、小型化が可能となり、
(3)洗浄槽より上方に駆動装置が配置されているので、洗浄槽から駆動装置への漏水の可能性が低減され、
(4)超音波振動子として出力が高いランジュバン型振動子が使用されるので、超音波振動子および振動部の個数をさらに減らすことができ、小型化が可能となり、
(5)駆動装置がデジタル回路を含むので、洗浄物に適した洗浄モードで洗浄を行うことができ、
(6)振動部の形状がカップ状であるので、振動部と洗浄液との接触面積が増え、洗浄液中の超音波の拡散性を向上させることができ、
(7)洗浄槽がガラスまたは樹脂で構成されるので、洗浄時に洗浄カップ内の被洗浄物が見え、洗浄状況の確認が可能となり、
(8)超音波振動子および振動部の移動機構がレバーの回動によるものであるので、洗浄槽の中の洗浄液に容易に振動部を浸漬可能であり、および、
(9)洗浄槽が洗浄カップ、カップホルダ、およびリングを含むので、洗浄液が外部に溢れ出ことが防止される。
【0050】
(別の実施形態に係る超音波洗浄装置)
図6は、別の実施形態に係る超音波洗浄装置30の斜視図を示す。別の実施形態に係る超音波洗浄装置30は、
図1に示す超音波洗浄装置10と比較して、大きい、または多数の被洗浄物の洗浄を可能とするものである。以下、一実施形態に係る超音波洗浄装置10と異なる部分を中心に説明する。
【0051】
超音波洗浄装置30は超音波洗浄装置の上部30aと下部30bで構成され、本体連結部32で連結されている。また、上部30aの側面にはハンドル33が配置され、上部30aの上面には操作パネル34が配置されている。操作パネル34は、使用者が操作し易い部分に配置されていればよく、配置箇所は上部30aの上面に限定されず、超音波洗浄装置30の側面でもよい。
【0052】
上部30aと下部30bは、両者が一体的に構成されても、別体として分離可能に構成されてもよい。両者が一体的に構成される場合、たとえば、ヒンジなどで両者の一部を固定して、ハンドル33により開閉可能に構成され得る。また、別体として分離可能に構成される場合、上部30aの側面のハンドル33を握り、上部30aを持ち運びできるように構成することもできる。
【0053】
図7は、
図6のB側の側面図を示し、分離可能に構成された上部30aを示している。また、
図7に示すように、一実施形態において、上部30aは、ハンドル33、および立脚部41を有する。立脚部41は、ハンドル33を有する上部30aの側面と反対側上部30aの側面に設けられている。この立脚部41が設けられた側面を下側として、接地面に立てて置くことができる。これにより、ユーザが上部30aを取り外して、洗浄液および被洗浄物を交換など行う際に、振動部36を接地面、たとえば、作業台、または床などに接触しないように上部30aを接地面に立てて置くことができる。その結果、振動部36が床などに接触することによる損傷などを防止することができ、さらに、振動部36を衛生的に保つこともできる。
【0054】
図8は、別の実施形態に係る超音波洗浄装置の断面図を示す。
図8は、
図6のC−C断面図である。上部30aは、ボード37を有している。ボード37は上部30aに固定され、超音波洗浄装置30を上部30aと下部30bとを分けている。ボード37の略中央には、超音波振動子35および振動部36がボード37を上下に貫通するように設けられている。また、ボード37には、回路部39、および駆動アンプ部40を含む駆動装置が配置されている。一方、下部30bには、着脱可能な洗浄槽31が配置されている。なお、
図8は、洗浄槽31に洗浄液42および被洗浄物43が配置された状態を示す。
【0055】
(洗浄槽)
洗浄槽31は、下部30b内部に配置されている。別の実施形態に係る超音波洗浄装置30において、下部30bを設けずに、上部30aと洗浄槽31とを本体連結部32で連結させることもできる。洗浄槽31の材質は、特に限定されるものでなく、
図1に示される一実施形態に係る超音波洗浄装置10の洗浄槽11と同様のものが使用され得る。
【0056】
一実施形態において、洗浄槽31、および下部30bは、可視光を透過する材質とすることができ、例えば、ガラスまたは樹脂などが使用される。これにより、洗浄時に洗浄槽31内の被洗浄物43が見えるので、洗浄状況の確認が可能となる。洗浄槽31、および下部30bの可視光の透過率は特に限定されるものでなく、たとえば、一実施形態において、50%以上、別の実施形態において、70%、さらに別の実施形態において、90%以上とすることができる。
【0057】
(ボード)
上部30aは、ボード37を有している。ボード37は、超音波振動子35、振動部36、回路部39、および駆動アンプ部40などを上部30aから脱落しないように配置できればよく、その形状は特に限定されるものでなく、例えば、上部30aの開口面を塞ぐように開口面と同様の形状とすることができる。また、ボード37の材質も、特に限定されるものでなく、洗浄槽31で使用される材質から選択することができる。
【0058】
(超音波振動子、および振動部)
図8では、超音波振動子35、および振動部36は、ボード37の略中央に1つ設けられているが、複数設けられてもよい。超音波振動子35および振動部36は、ボード37を上下に貫通し、洗浄槽31の内側まで延びるように配置される。洗浄槽31の内側に延びる振動部36の高さhは、洗浄液42に到達すればよく、特に限定されるものでない。一実施形態において、洗浄槽31への、振動部36の挿入の高さhは、5mm、別の実施形態において、10mm、さらに別の実施形態において、20mm、さらに別の実施形態において、50mm、さらに別の実施形態において、100mmである。
【0059】
一実施形態において、振動部36の下面は、洗浄槽31の開口面と略平行、つまり、洗浄液42の液面と略平行になるように構成される。別の実施形態に係る超音波洗浄装置30によれば、被洗浄物43の上方から均一に超音波を照射することができる。このような、別の実施形態に係る超音波洗浄装置によれば、被洗浄物43の上方から均一に超音波を照射することができ、従来の超音波洗浄装置と比べて、超音波振動子35および振動部36の個数を減らすことができるので、小型化が可能となる。
【0060】
一実施形態において、振動部36の洗浄槽31に挿入される部分(たとえば、底面)の最大長さ(直径)dは、洗浄槽31の開口の内側の最大長さの90%、別の実施形態において、80%、さらに別の実施形態において、70%、さらに別の実施形態において、50%、さらに別の実施形態において、30%、さらに別の実施形態において、20%、さらに別の実施形態において、10%である。
【0061】
超音波振動子35は、
図1および
図2に示す一実施形態係る超音波洗浄装置10と同様に、ランジュバン型振動子、圧電セラミック型振動子などが使用され得る。また、振動部36の形状および材質は、
図1および
図2に示す一実施形態係る超音波洗浄装置10の振動部16の形状および材質と同様とすることができる。
【0062】
(駆動装置)
例えば
図8に示すように、駆動装置は、超音波振動子35および振動部36の両側のボード37上に設けられている。駆動装置の配置は、特に限定されるものでなく、超音波振動子35および振動部36の片側に設けてもよい。駆動装置は、回路部39および駆動アンプ部40を含み、回路部39はデジタル回路を含み、
図1に示す一実施形態に係る超音波洗浄装置10の駆動装置18と同様とすることができる。したがって、超音波洗浄装置30の制御系も
図5に示す一実施形態に係る超音波洗浄装置10の駆動装置18と同様の制御系とすることができる。
【0063】
別の実施形態に係る超音波洗浄装置30は、さらにヒータ、温度計測器、温度調節装置、液面のレベルセンサなどが設けることもできる。
【0064】
(超音波洗浄装置の使用方法)
図6から
図8に示した超音波洗浄装置を参照して、別の実施形態に係る超音波洗浄装置30の使用方法が説明される。まず、超音波洗浄装置30の上部30aを開閉、または
図7に示すように取り外す。洗浄槽31に被洗浄物43および洗浄液42が入れられる。この際、洗浄槽31を下部30bから取り外してもよい。洗浄槽31が超音波洗浄装置30から単独で取り外されるので、洗浄液42の供給が効率的に実施され得る。
【0065】
洗浄液42、および被洗浄物43は、特に限定されるものでなく、
図1に示す一実施形態に係る超音波洗浄装置10で使用されるものと同様のものを使用することができる。
【0066】
上部30aで下部30bを覆い、振動部36は洗浄液42に浸漬させられる。上部30aと下部30bとが本体連結部32で連結される。被洗浄物43に適した洗浄モードが操作パネル34の洗浄モードスイッチを操作して選択される。操作パネル34には、洗浄モード、洗浄時間などが表示されるように構成することができる。操作パネル34のスタートスイッチを操作して洗浄を開始する。
【0067】
図1に示す一実施形態に係る超音波洗浄装置10と同様に、洗浄モードに応じた洗浄時間が経過後、自動的に洗浄(超音波の照射)が終了するように構成すること、洗浄の状態に応じて、洗浄中に洗浄を停止するように構成すること、および、洗浄終了後に、再度洗浄を実行するように構成することができる。
【0068】
洗浄終了後、本体連結部32での連結を解除し、上部30aを開閉または取外し、被洗浄物43を取り出す。その後、または、他の被洗浄物の洗浄を行った後、超音波洗浄装置30から洗浄槽31を取り出し、洗浄液42を廃棄する。このように、洗浄槽31が単独で超音波洗浄装置30から着脱可能であるため、排水性に優れ、洗浄槽31を丸洗いすることができる。
【0069】
以上より、別の実施形態に係る超音波洗浄装置30によれば、
(1)洗浄槽が超音波洗浄装置に単独で着脱可能に構成されており、洗浄槽を丸洗いすることができ、
(2)超音波振動子が洗浄槽の上方に配置され、洗浄物の上方から均一に超音波を照射することができるので、超音波振動子などの個数を減らすことができ、小型化が可能となり、
(3)洗浄槽より上方に駆動装置が配置されているので、洗浄槽から駆動装置への漏水の可能性が低減され、
(4)超音波振動子として出力が高いランジュバン型振動子が使用されるので、超音波振動子および振動部の個数をさらに減らすことができ、小型化が可能となり、
(5)駆動装置がデジタル回路を含むので、洗浄物に適した洗浄モードで洗浄を行うことができ、
(6)振動部の形状がカップ状であるので、振動部と洗浄液との接触面積が増え、洗浄液中の超音波の拡散性を向上させることができ、
(7)洗浄槽がガラスまたは樹脂で構成されるので、洗浄時に洗浄カップ内の被洗浄物が見え、洗浄状況の確認が可能となり、および、
(8)超音波洗浄装置が上部と下部に分離可能で、振動部を含む上部が立脚部を介して、立てて置かれるので、振動部が床などに接触することによる損傷などを防止することができ、振動部が衛生的に保たれる。
【解決手段】 超音波洗浄装置であって、前記超音波洗浄装置に単独で着脱可能な洗浄槽と、前記洗浄槽の上方に配置された超音波振動子と、を有し、前記超音波振動子は、振動部内に配置され、前記洗浄槽の中の洗浄液に前記振動部を介して浸漬可能であることを特徴とする超音波洗浄装置。