特許第6281027号(P6281027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6281027読み取り専用メモリ機能性を提供するように構成可能なフラッシュメモリ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6281027
(24)【登録日】2018年1月26日
(45)【発行日】2018年2月14日
(54)【発明の名称】読み取り専用メモリ機能性を提供するように構成可能なフラッシュメモリ装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/22 20060101AFI20180205BHJP
   G11C 16/08 20060101ALI20180205BHJP
   G11C 11/00 20060101ALI20180205BHJP
   G11C 8/20 20060101ALI20180205BHJP
【FI】
   G11C16/22
   G11C16/08 110
   G11C11/00 100
   G11C8/20
【請求項の数】40
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-543735(P2017-543735)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(86)【国際出願番号】US2016016347
(87)【国際公開番号】WO2016133705
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】14/624,476
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】トラン ヒュー ヴァン
(72)【発明者】
【氏名】リー アィン
(72)【発明者】
【氏名】ヴー トゥアン
(72)【発明者】
【氏名】グエン フン クオック
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/101423(WO,A1)
【文献】 特開2001−283594(JP,A)
【文献】 特開平11−110293(JP,A)
【文献】 特開平10−188577(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0247905(US,A1)
【文献】 米国特許第5930826(US,A)
【文献】 特開2001−51904(JP,A)
【文献】 特開2005−149715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/22
G11C 16/08
G11C 11/00
G11C 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリ装置であって、
フラッシュメモリセルのアレイであって、第1のフラッシュメモリセルの行のセットと、第2のフラッシュメモリセルの行のセットと、を含むアレイと、
前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを可能にするように構成されている第1のデコーダのセットと、
前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを防止するように構成されている第2のデコーダのセットと、を含み、
前記第1のデコーダのセットが、前記アレイの制御部分に格納されるビットの第1のセットに応答する、不揮発性メモリ装置。
【請求項2】
前記第1のビットのセットに対する応答が、前記第1のデコーダのセット内のラッチに格納される、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項3】
前記第2のデコーダのセットが、前記アレイの前記制御部分に格納される第2のビットのセットに応答する、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項4】
前記第2のビットのセットに対する応答が、前記第2のデコーダのセット内のラッチに格納される、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項5】
前記制御部分が、前記制御部分が消去及びプログラミング可能かどうかを示す、1つ又は2つ以上のビットを含む、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項6】
前記第1のデコーダのセットが、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定する、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項7】
前記第2のデコーダのセットが、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定する、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項8】
前記不揮発性メモリ装置が電源投入されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットが前記制御部分から読み取られる、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項9】
去コマンド又はプログラムコマンドが受信されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットの幾つかが前記制御部分から読み取られる、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項10】
前記制御部分がプログラミングされた後に、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットが前記制御部分から読み取られる、請求項に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項11】
不揮発性メモリ装置であって、
フラッシュメモリセルのアレイであって、第1のフラッシュメモリセルの行のセットと、第2のフラッシュメモリセルの行のセットと、を含むアレイと、
前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを可能にするように構成されている第1のデコーダのセットと、
前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを防止するように構成されている第2のデコーダのセットと、
前記アレイの内の制御部分と、前記制御部分に関連づけられた制御部分セクタデコーダと、を含む、揮発性メモリ装置。
【請求項12】
前記制御部分セクタデコーダが、前記制御部分の消去及びプログラミングを無効にするラッチを含む、請求項11に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項13】
フラッシュメモリセルのアレイ(第1のフラッシュメモリセルの行のセットと、第2のフラッシュメモリセルの行のセットと、を含むアレイ)を含む不揮発性メモリ装置の動作方法であって、
第1のデコーダのセットにより、前記アレイの制御部分から第1のビットのセットを受信することと、
第2のデコーダのセットにより、前記アレイの前記制御部分から第2のビットのセットを受信することと、
前記第1のデコーダのセットにより、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを可能にすることと、
前記第2のデコーダのセットにより、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを無効にすることと、を含む、方法。
【請求項14】
前記制御部分が、前記制御部分が消去及びプログラミング可能かどうかを示す1つ又は2つ以上のビットを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のデコーダのセットによって、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のデコーダのセットによって、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記不揮発性メモリ装置が電源投入されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
去コマンド又はプログラムコマンドが受信されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットの幾つかを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記制御部分がプログラミングされた後に、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記フラッシュメモリセルのそれぞれが、不揮発性分割ゲートメモリセルである、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが1回のみプログラム可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記アレイ内のOTPセクタのOTPビットが、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットを1回のみプログラム可能にすることを可能にする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のメモリアレイの行のセット内の列数が可変である、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
不揮発性メモリ装置であって、
フラッシュメモリセルのアレイであって、第1のフラッシュメモリセルの行のセットと、第2のフラッシュメモリセルの行のセットと、を含むアレイと、
前記アレイの制御部分に格納された第1のビットのセットに反応して、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを可能にするように構成されているデコーダの第1のセットと、
前記アレイの前記制御部分に格納された第2のビットのセットに反応して、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを防止するように構成されている第2のデコーダのセットと、
前記制御部分に格納された第2のデータのセットに一致する、第1のデータのセットが受信されたときに、前記制御部分が消去及びプログラミングされることを可能にするためのセキュリティ回路と、を含む、不揮発性メモリ装置。
【請求項25】
前記第1のデコーダのセットが、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定する、請求項24に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項26】
前記第2のデコーダのセットが、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定する、請求項25に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項27】
前記不揮発性メモリ装置が電源投入されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットが前記制御部分から読み取られる、請求項24に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項28】
去コマンド又はプログラムコマンドが受信されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットの幾つかが前記制御部分から読み取られる、請求項24に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項29】
前記制御部分がプログラミングされた後に、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットが前記制御部分から読み取られる、請求項24に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項30】
前記フラッシュメモリセルのそれぞれが、不揮発性分割ゲートメモリセルである、請求項24に記載の不揮発性メモリ装置。
【請求項31】
フラッシュメモリセルのアレイ(第1のフラッシュメモリセルの行のセットと、第2のフラッシュメモリセルの行のセットと、を含むアレイ)を含む不揮発性メモリ装置の動作方法であって、
第1のデコーダのセットにより、前記アレイの制御部分から第1のビットのセットを受信することと、
第2のデコーダのセットにより、前記アレイの前記制御部分から第2のビットのセットを受信することと、
前記第1のデコーダのセットにより、前記第1のセットのフラッシュメモリセルの行が消去及びプログラミングされることを可能にすることと、
前記第2のデコーダのセットにより、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが消去及びプログラミングされることを無効にすることと、
第1のデータのセットが、前記制御部分に格納された第2のデータのセットに一致する場合に、セキュリティ回路により、前記第1のデータのセットを受信し、前記制御部分が消去及びプログラミングされることを可能にすることと、を含む、方法。
【請求項32】
前記第1のデコーダのセットによって、前記第1のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のデコーダのセットによって、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットに対応する消去ゲート、連結ゲート、及びソース線の電圧を設定することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記不揮発性メモリ装置が電源投入されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
去コマンド又はプログラムコマンドが受信されたときに、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットの幾つかを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記制御部分がプログラミングされた後に、前記第1のビットのセット及び前記第2のビットのセットを前記制御部分から読み取ることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記フラッシュメモリセルのそれぞれが、不揮発性分割ゲートメモリセルである、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットが1回のみプログラム可能である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記アレイ内のOTPセクタのOTPビットが、前記第2のフラッシュメモリセルの行のセットを1回のみプログラム可能にすることを可能にする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のメモリアレイの行のセット内の列数が可変である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、読み取り専用メモリ装置として動作するように構成され得るフラッシュメモリ装置を含む。一部の実施形態では、フラッシュメモリ装置は、可変のフラッシュアレイサイズを有するフラッシュメモリ部分と、可変のROMアレイサイズを有する読み取り専用メモリ(ROM)部分と、に構成され得る。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2015年2月17日に出願された米国特許出願第14/624,476号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリセルは、当該技術分野において周知である。1つの従来技術の不揮発性分割ゲートメモリセル10を図1に示す。メモリセル10は、P型などの第1の導電型の半導体基板12を備える。基板12は、その上にN型などの第2の導電型の第1の領域14(ソース線SLとしても知られる)が形成される表面を有する。やはりN型の第2の領域16(ドレイン線としても知られる)が、基板12の表面に形成される。第1の領域14と第2の領域16との間には、チャネル領域18が設けられている。ビット線BL20は、第2の領域16に接続される。ワード線WL22は、チャネル領域18の第1の部分の上方に位置付けられ、そこから絶縁される。ワード線22は、第2の領域16とほとんど又は全く重ならない。浮遊ゲートFG24は、チャネル領域18の他の部分の上方にある。浮遊ゲート24は、そこから絶縁され、ワード線22に隣接する。浮遊ゲート24はまた、第1の領域14にも隣接する。浮遊ゲート24は、第1の領域14に重なり、領域14から浮遊ゲート24への結合を提供することができる。結合ゲートCG(制御ゲートとしても知られる)26は、浮遊ゲート24の上方にあり、そこから絶縁される。消去ゲートEG28は、第1の領域14の上方にあり、浮遊ゲート24及び結合ゲート26に隣接し、そこから絶縁される。浮遊ゲート24の上隅部は、消去効率を高めるために、T字形状の消去ゲート28の内側隅部の方に向けることができる。消去ゲート28はまた、第1の領域14からも絶縁される。セル10は、その開示内容が全体的に本明細書に参考として組み込まれる、米国特許第7,868,375号に更に具体的に記述されている。
【0004】
従来技術の不揮発性メモリセル10の消去及びプログラムのための一操作例は次のとおりである。セル10は、消去ゲート28に高電圧を印加し、他の端子が0ボルトに等しくなることによって、ファウラーノルドハイムトンネリング機構を通して消去される。電子が浮遊ゲート24から消去ゲート28の中へトンネリングすることで、浮遊ゲート24を正に帯電させ、読み出し状態においてセル10をオンにする。その結果生じるセルの消去状態は、「1」状態として知られる。セル10は、結合ゲート26に高電圧を印加し、ソース線14に高電圧を印加し、消去ゲート28に中電圧を印加し、ビット線20にプログラミング電流を印加することによって、ソース側ホットエレクトロンプログラミング機構を通してプログラムされる。ワード線22と浮遊ゲート24との間の間隙を横断して流れる電子の一部は、十分なエネルギーを得て、浮遊ゲート24に注入され、浮遊ゲート24を負に帯電させ、読み出し状態においてセル10をオフにする。その結果生じるセルのプログラミングされた状態は、「0」状態として知られる。
【0005】
また、金属又は接触マスクなどのBEOL(back end of line)マスクによるなど、典型的にマスクによって実装される読み取り専用メモリ装置が、従来技術分野において周知である。一部の読み取り専用メモリ装置は、データを永久的に格納し、1度だけ書き込みが可能である。他の読み取り専用メモリ装置、例えば、EPROM(消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)及びEEPROM(電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)は、書き込まれてから、特殊な機構を使用して消去され、その後再び書き込み可能になる。この順序は、無期限に繰り返され得る。
【0006】
ただし、従来技術は、読み取り専用メモリ装置として動作可能なフラッシュメモリ装置も、可変のフラッシュメモリ部分及び可変の読み取り専用メモリ部分を提供するためにリアルタイムで電気的に分割され得るフラッシュメモリ装置も含まない。
【0007】
必要とされるものは、フラッシュメモリ装置を読み取り専用メモリ装置として使用可能にする設計である。更に必要とされるものは、フラッシュメモリ部分として使用されるフラッシュメモリ装置の一部分と、読み取り専用メモリ部分として使用される別の一部分と、を確立する装置の構成を可能にする設計である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示される実施形態は、読み取り専用メモリ装置として動作するように構成され得るフラッシュメモリ装置を含む。一部の実施形態では、フラッシュメモリ装置は、フラッシュメモリ部分と読み取り専用メモリ部分と、に構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の方法を適用することができる従来技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
図2図1に示される従来技術の不揮発性メモリセルを使用した不揮発性メモリ装置のブロック図である。
図3】読み取り専用メモリ機能性を提供するように構成される、フラッシュメモリ装置を使用するシステムを示す。
図4】情報部分及びROM有効部分を含む、フラッシュメモリアレイを示す。
図5】ROM有効部分を使用する方法を示す。
図6】フラッシュメモリ部分と読み取り専用メモリ部分と、に分割されるメモリアレイを表す図である。
図7】セクタデコーダを示す。
図8A】SecuredKeyコントローラを示す。
図8B】SecuredKeyコントローラを示す。
図9】ROM有効部分へのアクセスを可能にするためのセキュリティ方法を示す。
図10】ROM有効部分に使用されるデコーダを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、ダイ200を備えるフラッシュメモリシステムのアーキテクチャの一実施形態を表す。ダイ200は、データを記憶するためのメモリアレイ215及びメモリアレイ220であって、以前に図1においてメモリセル10として説明された型のメモリセルの行及び列を備える、メモリアレイ215及び220と、ダイ200の他の構成要素と、典型的には、次にピン(図示せず)に接続するワイヤボンド(図示せず)と、又はSOC(システムオンチップ)上で他のマクロに相互接続するためのパッケージ化されたチップ又はマクロインターフェースピン(図示せず)の外側から集積回路にアクセスするために使用されるパッケージバンプとの間の電気通信を可能にするためのパッド240及びパッド280と、正及び負電圧源をシステムに提供するために使用される高電圧回路275と、冗長性及び組み込み自己試験機能などの様々な制御機能を提供するための制御論理270と、アナログ回路265と、メモリアレイ215及びメモリアレイ220からデータをそれぞれ読み出すために使用される検知回路260及び261と、メモリアレイ215及びメモリアレイ220の行にそれぞれアクセスして、読み出し及び書き込みを行うために使用される行デコーダ回路245及び行デコーダ回路246と、メモリアレイ215及びメモリアレイ220のバイトにそれぞれアクセスして、読み出し及び書き込みを行うために使用される列デコーダ回路255及び列デコーダ回路256と、プログラム及び消去動作のための増加した電圧をメモリアレイ215及びメモリアレイ220にそれぞれ提供するために使用されるチャージポンプ回路250及びチャージポンプ回路251と、読み出し及び書き込み動作のためにメモリアレイ215及びメモリアレイ220によって共有される負電圧ドライバ回路230と、読み出し及び書き込み動作中にメモリアレイ215によって使用される高電圧ドライバ回路225及び読み出し及び書き込み動作中にメモリアレイ220によって使用される高電圧ドライバ回路226と、を備える。
【0011】
読み出し、消去、又はプログラムコマンドに応答して、論理回路270は、選択メモリセル10及び非選択メモリセル10の両方の様々な部分に、適時に、ディスターブが最も少ない方法で様々な電圧を供給させる。
【0012】
選択及び非選択メモリセル10に対し、印加される電圧及び電流は次のとおりである。以下に使用されるように、次の略語、つまり、ソース線又は第1の領域14(SL)、ビット線20(BL)、ワード線22(WL)、結合ゲート26(CG)が使用される。
【0013】
選択メモリセル10及び非選択メモリセル10の読み出し、消去、及びプログラム動作を行う方法は、以下の電圧を印加することを含む。
【表1】
【表2】
【0014】
1つの実施形態では、読み出し及びプログラム動作中にメモリセル10が非選択であるときに、負電圧をワード線22に印加することができ、よって、以下の電圧が印加される。
【表3】
【表4】
【0015】
別の実施形態では、読み出し、消去、及びプログラム動作中にメモリセル10が非選択であるときに、負電圧をワード線22に印加することができ、そして、消去動作中に負電圧を結合ゲート26に印加することができ、よって、以下の電圧が印加される。
【表5】
【表6】
【0016】
図3は、システム300を示す。システム300は、電源管理ユニット310、周辺装置320(USBコントローラ、SPIコントローラなど)、SRAM 330、及びコントローラ340を含む。コントローラ340は、マイクロコントローラコア342、メモリコントローラ344、及び不揮発性メモリコントローラ346を含む。システム300は、図1のダイ200を更に含む。不揮発性メモリコントローラ346は、ダイ200と相互作用する。
【0017】
図4は、図2のメモリアレイ215を示す。同じ図を、メモリアレイ220又は他のメモリアレイを説明するために使用できることを理解されたい。メモリアレイ215は、第1のメモリセルの行のセットを含むメモリ部分410と、第2のメモリセルの行のセットを含む情報部分420と、第3のメモリセルの行のセットを含むROM有効部分430と、を含む。ROM有効部分430は、OTPビット432及びSFROMビット434を含む。ROM有効部分430は、メモリアレイ215の制御部分として表示され得る。
【0018】
情報部分420は、製造業者又は設計者向けの情報、例えば製品を製造又は設計した会社を識別する既知のコードを格納するために使用され得る。
【0019】
SFROMビット434は、読み取り専用メモリとして使用されるメモリ部分410のセクタを識別するために使用される。メモリアレイ215内のセクタは、メモリセルの偶数行、例えば2、4、又は8行のメモリセルからなる。セクタ内のすべてのメモリセルは、同時に消去される。例えば、SFROMビット434内の特定のビットが「0」である場合、そのビットに対応するセクタは読み取り専用セクタと見なされ、そのセクタの消去及びプログラミングは無効化される。特定のビットに「1」が格納される場合、そのビットに対応するセクタは複数回プログラミング可能セクタと見なされ、そのセクタの消去及びプログラミングは有効化され、セクタは標準のフラッシュメモリとしてアクセス可能になる。「0」値及び「1」値の役割は例示であり、それらの役割は所望に応じ、製造業者によって切り換えられ得ることを理解されたい。
【0020】
OTPビット432は、ROM有効部分430自体が読み取り専用メモリとなるか、又は消去及びプログラミング可能かどうかを決定する。例えば、OTPビット432が「0」である場合、ROM有効部分430は読み取り専用部分と見なされ、その部分の消去及びプログラミングは無効化される。OTPビット321が「1」である場合、ROM有効部分430は複数回プログラミング可能セクタと見なされ、その部分の消去及びプログラミングは有効化される。
【0021】
図5は、プログラミング方法500を示す。
【0022】
工程510では、OTPビット432が消去され、それによってプログラミングが有効化されるROM有効部分430が有効化される。
【0023】
工程520では、SFROMビットのビット434がプログラミングされる。ビットが「0」にプログラミングされると、そのビットに対応するセクタが読み取り専用メモリとして使用され、ビットが「1」にプログラミングされると、そのビットに対応するセクタはフラッシュメモリとして使用される。
【0024】
工程530では、OTPビット432が「1」にプログラミングされ、それによって、ROM有効部分430の更なるプログラミングは無効になる。
【0025】
工程540では、SFROMビット434がセクタデコーダ630に読み込まれる。それにより、SFROMビット434が、それぞれのビットの値によって、それぞれのセクタの消去及びプログラミングを有効化又は無効化する。
【0026】
SFROMビット434は、システムの動作中の様々なインスタンスで、セクタデコーダ630に読み込まれ得る。1つのアプローチ下では、SFROMビット434は、システムが電源投入されたときにセクタデコーダ630に読み込まれ得る。電源投入時におけるSFROMビット434の読み込みの別の実施形態では、SFROMビット434が読み込まれる前に、データパターンチェック(固定データを読み取り、検証する)及び/又は電源品質チェック(電源レベルが所定のレベルに到達可能であることを検証する)が実行される。別のアプローチ下では、特定のセクタに対する消去コマンド又はプログラムコマンドを受信したときは常に、そのセクタのSFROMビット434もセクタデコーダ630に読み込まれ得る。第3のアプローチ下では、ROM有効部分430が消去又はプログラミングされたときは常に、SFROMビット434もセクタデコーダ630に読み込まれ得る。これらのアプローチのうち、2つ以上に従うことができる。
【0027】
図6は、アレイ215を示す。同じ図を、メモリアレイ220又は他のメモリアレイを説明するために使用できることを理解されたい。アレイ215は、SFROMビット434の値に対応する、フラッシュアレイ610及び読み取り専用メモリアレイ620に分割される。つまり、フラッシュアレイ610は、それらのセクタに対応するSFROMビット434を特定の値(例えば「1」)に設定することによって確立され、読み取り専用メモリアレイ620は、SFROMビット434を反対の値(例えば「0」)に設定することによって確立される。
【0028】
セクタデコーダ630は、対応するSFROMビット434の値に基づいてフラッシュアレイ610のセクタの消去及びプログラミングを有効にし、対応するSFROMビット434の値に基づいて読み取り専用メモリアレイ620のセクタの消去及びプログラミングを無効にすることになる。この方法で、アレイ215はフラッシュ部分(フラッシュアレイ610)及び読み取り専用メモリ部分(フラッシュROMアレイ620)に分割され得る。これは、例えば、製造業者がユーザーに消去されたくない、フラッシュメモリチップ上の重要な情報(BIOS、システム情報、ファイルシステム情報、セキュリティキーなど)を格納するのに有益であり得る。セクタデコーダは、所望により、図2に示す制御論理270に配置され得る。
【0029】
図7は、セクタデコーダ630間の1つのセクタデコーダの更なる詳細を示す。同じ設計を、セクタデコーダ630のすべてに使用できることを理解されたい。
【0030】
SFROMビット434の1つは、SFROMビット434の値を出力し、保持する、SFROMラッチ710への入力である。ラッチ710のその出力は、高電圧論理回路720に送信され、また、高電圧源、ワード線、及び(and and)消去/プログラム制御線を受信する。高電圧論理回路720の出力は、消去ゲートドライバ730(メモリアレイ215内のメモリセルのセクタに適用される消去ゲート信号を生成する)、制御ゲートドライバ740(メモリアレイ215内のメモリセルのセクタに適用される制御ゲート信号を生成する)、及びソース線ドライバ750(メモリアレイ215内のメモリセルのセクタに適用されるソース線信号を生成する)への入力である。SFROMビット434を、読み取り専用を示す値(例えば「0」)に設定すると、消去ゲート、制御ゲート、及びソース線の出力値は、読み取り動作のみを許可し、前に説明した電圧値を使用する動作の消去又はプログラミングは許可しないように設定される。
【0031】
図8A及び8Bは、これまでに説明した実施形態の変形を示す。図8A及び8Bの実施形態では、製造業者又はユーザーは、情報部分420、ROM有効部分430、又は他の場所若しくは装置に格納される、SecuredKey 850(セキュリティキー)を確立し得る。SecuredKey 850は、例えば、256ビット値であり得る。ユーザーが適切にSecuredKey 850を入力すると、ユーザーはROM有効部分430の内容を変更し、それによって、メモリアレイ215の構成と、フラッシュアレイ610及びフラッシュROMアレイ620の関連サイズ及び境界と、を変更することが許可される。これは、例えば、フラッシュアレイ610又はフラッシュROMアレイ620に追加の空間が必要であると判断された場合に有益となり得る。
【0032】
図8A及び8Bでは、不揮発性メモリコントローラ346は、SecuredKeyコントローラ820を含み、SecuredKeyコントローラ820は、ユーザーからデータを受信する動作、受信したデータをSecuredKey 850と比較する動作、及び必要に応じてROM有効部分430へのアクセスを有効化する又は防止する動作を管理する。
【0033】
このことは、セキュリティ方法900が示された図9に表示されている。工程910では、ユーザーがデータ915を入力し、それがSecuredKey 850に入るユーザーの試みとなる。工程920では、データ915が、メモリアレイ215に格納されたSecuredKey 850と比較される。工程930では、データ915とSecuredKey 850との間に一致が見つかると、ユーザーはROM有効部分430若しくは単にSFROMビット434を消去及び/又はプログラミングすることを許可される。工程940では、データ915とSecuredKey 850との間に一致が見つからない場合、ユーザーにそのようなアクセスは与えられない。
【0034】
図8A、8B、及び9の実施形態では、ユーザーは装置の一般ユーザー、装置の製造業者、又は装置を別の製品に取り付け、その製品を一般ユーザーに販売する製造業者の顧客であり得る。アクセス権は、SecuredKey 850のプロビジョニング(又はその欠如)を介して決定され得る。
【0035】
図10では、セクタデコーダ630の1つ(ここではセクタデコーダ1000と標識化)が示されている。セクタデコータ1000は、ROM有効部分430がそれ自体消去及びプログラミングされ得るかどうか、又は読み取り専用メモリ部分であるかどうかを決定するのに使用される。検出器1010は、ROM有効部分430からOTPビット432を受信し、ラッチ1020が値をラッチして、値を高電圧論理回路1130に提供し、高電圧論理回路1130は、更に高電圧源、ワード線、及び消去/プログラム制御線を受信する。高電圧論理回路1030の出力は、消去ゲートドライバ1040(ROM有効部分430のメモリセルに適用される消去ゲート信号を生成する)、制御ゲートドライバ1050(ROM有効部分430のメモリセルに適用される制御ゲート信号を生成する)、及びソース線ドライバ1060(ROM有効部分430のメモリセルに適用されるソース線信号を生成する)への入力である。SFROMビット434を、読み取り専用を示す値(例えば「0」)に設定すると、消去ゲート、制御ゲート、及びソース線の出力値は、読み取り動作のみを許可し、前に説明した電圧値を使用する動作の消去又はプログラミングは許可しないように設定される。
【要約】
開示される実施形態は、読み取り専用メモリ装置として動作するように構成され得るフラッシュメモリ装置を含む。一部の実施形態では、フラッシュメモリ装置は、フラッシュメモリ部分と読み取り専用メモリ部分と、に構成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10