特許第6281049号(P6281049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6281049-炭酸含有パック化粧料調製用キット 図000002
  • 特許6281049-炭酸含有パック化粧料調製用キット 図000003
  • 特許6281049-炭酸含有パック化粧料調製用キット 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281049
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】炭酸含有パック化粧料調製用キット
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20180215BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20180215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A45D34/00 510Z
   A61K8/19
   A61K8/365
   A61Q19/00
   A45D34/00 510B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-129353(P2016-129353)
(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公開番号】特開2017-222630(P2017-222630A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2016年10月11日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515089976
【氏名又は名称】株式会社Sun Blue Road
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 晴道
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−218448(JP,A)
【文献】 特開平03−170408(JP,A)
【文献】 特開昭60−215606(JP,A)
【文献】 特表2006−525842(JP,A)
【文献】 特開2016−171975(JP,A)
【文献】 特開2013−209331(JP,A)
【文献】 特開2012−106953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)炭酸含有パック化粧料を調製するための、クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩のセットである炭酸源あるいは炭酸水
(2)調製した炭酸含有パック化粧料を保存するための容器であって、ボトル、そして該ボトルに装着するための、弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップから構成され、該キャップの弁を閉じた状態で、該キャップが下を向き、かつ該炭酸含有パック化粧料取出口が下を向くようにボトルを支持することによって前記炭酸含有パック化粧料を保存する容器が、ケースに収容されてなり、該容器は、該ボトルと該キャップとが分離した状態で該ケースに収容されている炭酸含有パック化粧料調製用キット。
【請求項2】
さらに、キャップを装着したボトルを、キャップが下を向くように支持するための支持台が収容されている請求項1に記載の炭酸含有パック化粧料調製用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パック化粧料に炭酸を溶解させた炭酸含有パック化粧料を調製するためのキットに関する
【背景技術】
【0002】
パック化粧料に炭酸を溶解させた炭酸含有パック化粧料は弱酸性(pH3.0〜6.0)であり、炭酸が一定の濃度である程度の時間、肌に触れていると血行を良くすることから新陳代謝を活性化させ、肌にうるおいとハリを出す美容効果があることが知られている。
【0003】
特許文献1には、炭酸ガスまたは炭酸ガス発生物質を含有するパック剤が記載されている。この特許文献1には、炭酸ガスは、pHが酸性にあると、血流促進作用を示すと記載されている。
【0004】
特許文献2には、炭酸塩5〜60重量%と有機酸5〜60重量%と発熱物質と泡安定剤とを含有するパック化粧料が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ジェルパックに二酸化炭素を混合した二酸化炭素含有ジェルパックから二酸化炭素の減少していく様が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−215606号公報
【特許文献2】特開平08−268828号公報
【特許文献3】特開2016−000712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
炭酸含有パック化粧料を、使用時前にその都度調製するのは煩雑である。そこで、一度多量の炭酸含有パック化粧料を調製し、その調製した炭酸含有パック化粧料を保存して長期間にわたって少量ずつ使用することができれば好ましい。しかしながら、本発明の発明者の検討によると、炭酸含有パックを、ハンドソ−プやシャンプ−の容器のようなボトルにキャップが一体型の容器に収容して保存すると、保存中に炭酸含有パック化粧料から炭酸が消失してしまい、弱酸性の炭酸含有パック化粧料が中性のパックになることが判明した。
従って、本発明の目的は、一度に多量の炭酸含有パック化粧料を調製でき、その調製した炭酸含有パック化粧料を、炭酸を消失させずに保存でき、長期間にわたって少量ずつ使用することができる炭酸含有パック化粧料調製用キットを提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、パックと、クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩あるいは炭酸水を用いて調製した炭酸含有パック化粧料をボトルに入れ、そのボトルに弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップを装着し、そのキャップが下を向くようにボトルを支持することによって、炭酸含有パック化粧料を、炭酸を消失させずに長期間にわたって保存できることを見出した。
【0009】
従って、本発明は、(1)炭酸含有パック化粧料を調製するための、クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩のセットである炭酸源あるいは炭酸水(2)調製した炭酸含有パック化粧料を保存するための容器であって、ボトル、そして該ボトルに装着するための、弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップから構成され、該キャップの弁を閉じた状態で、該キャップが下を向き、かつ該炭酸含有パック化粧料取出口が下を向くようにボトルを支持することによって前記炭酸含有パック化粧料を保存する容器が、ケースに収容されてなり、該容器は、該ボトルと該キャップとが分離した状態で該ケースに収容されている炭酸含有パック化粧料調製用キットにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭酸含有パック化粧料調製用キットを利用することによって、炭酸を消失させずに炭酸含有パック化粧料を長期間にわたって保存することができる。このため、一度に多量の炭酸含有パック化粧料を調製し、その調整した炭酸含有パック化粧料を長期間にわたって少量ずつ使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従う炭酸含有パック化粧料調製用キットの一例の平面図である。
図2図1に示す炭酸含有パック化粧料調製用キットの構成物品の正面図である。
図3】本発明で用いる炭酸含有パック化粧料用の容器に炭酸含有パック化粧料を入れて保管した状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の炭酸含有パック化粧料調製用キットは、炭酸含有パック化粧料を調製するための、クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩のセットあるいは炭酸水、調製した炭酸含有パック化粧料を保存するための容器であって、ボトル、そして該ボトルに装着するための、弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップが、ケースに収容されてなる。炭酸を溶解させるパック化粧料は、ケースに収容されていてもよいし、炭酸含有パック化粧料調製用キットの使用者が通常、利用している市販品を用いてもよい。
【0014】
パック化粧料としては、増粘剤を含む組成物を用いることができる。パック化粧料は、アレルギー特定原材料(例えば、えび、かに、卵、乳、小麦、落花生、そば)と(アレルギー特定原材料に準ずるもの(例えばあわび、いか、いくら、オレンジ、もも、やまいも)を含まないものを使うことが好ましい。増粘剤の例としてはキサンタンガム及びプルランを挙げることができる。
【0015】
クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩のセットは、炭酸源として用いられる。クエン酸の塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩を挙げることができる。金属炭酸塩は、アルカリ金属炭酸塩であることが好ましい。アルカリ金属炭酸塩は、アルカリ金属炭酸水素塩を含む。アルカリ金属炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム及び炭酸水素リチウムを挙げることができる。クエン酸もしくはその塩と金属炭酸塩のセットの代わりに炭酸水を用いてもよい。
【0016】
本発明の炭酸含有パック化粧料調製用キットにおいて、調製した炭酸含有パック化粧料を保存するための容器は、ボトルと、そのボトルに装着するための、弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップから構成される。炭酸含有パック化粧料はボトルに入れられ、そのボトルにキャップを装着し、キャップの弁を閉じた状態で、そのキャップが下を向くようにボトルを支持することによって保存される。キャップの弁の例としては、ボールバルブ、ニードバルブ、二方コック、及び炭酸含有パック化粧料取出口が開口するように構成された弁を挙げることができる。
【0017】
次に、本発明の炭酸含有パック化粧料調製用キットを、図1図3を参照しながら詳しく説明する。図1は、本発明に従う炭酸含有パック化粧料調製用キットの一例の平面図であり、図2は、図1に示す炭酸含有パック化粧料調製用キットの構成物品の正面図である。
【0018】
図1、2において、炭酸含有パック化粧料調製用キットは、ケース1にパック化粧料が収容されているパック化粧料容器2、クエン酸が収容されているクエン酸容器3、金属炭酸塩が収容されている金属炭酸塩容器4、ボトル5、ボトルに装着するための、弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップ6、そしてボトルを支持するための筒状のボトル支持台10を含む。
【0019】
図1、2の調製キットにおいて、炭酸含有パック化粧料は、パック化粧料、クエン酸、金属炭酸塩を混合、攪拌することによって調整することができる。パック化粧料、クエン酸及び金属炭酸塩は同時に混合してもよいし、パック化粧料とクエン酸とを混合した後、金属炭酸塩を加えてさらに混合してもよいし、パック化粧料と金属炭酸塩とを混合した後、クエン酸を加えて混合してもよい。
【0020】
図3は、上述の炭酸含有パック化粧料用の容器に炭酸含有パック化粧料を入れて保存した状態を示す部分断面図である。
図3において炭酸含有パック化粧料11が入れられたボトル5は、キャップ6を装着した状態で、そのキャップ6が下を向くようにボトル支持台10によって支持されている。キャップ6の弁は、炭酸含有パック化粧料取出口7の先端に備えられたボール9を押し上げることによって炭酸含有パック化粧料取出口7が開口するように構成された弁である。すなわち、ボール9は炭酸含有パック化粧料取出口7の先端に設けられた突起8の上に配置されていて、ボール9を押し上げることによって、突起8とボール9との間に隙間が形成されて、炭酸含有パック化粧料11がその隙間を通って外部に取り出されるように構成されている。
図3に示す容器では、ボトル5と炭酸含有パック化粧料11との間の空間は、外部につながっていないので、炭酸含有パック化粧料11から抜けた炭酸は外部に流出しにくい。このため、この容器を利用することによって、炭酸を消失させずに炭酸含有パック化粧料11を長期にわたって保存することが可能となる。
【実施例】
【0021】
容量500mlのボトルに精製水50mLとキサンタンガム5gとを攪拌混合して入れた。次いで、ボトルに炭酸水200mLを入れてボトルに弁を備えた炭酸含有パック化粧料取出口を有するキャップを取り付け上下に振って攪拌混合して、炭酸含有パック化粧料を調製した。調製直後の炭酸含有パック化粧料のpHは4.8であった。そして、図3に示すように、キャップが下を向くようにボトルを支持台により支持した状態で、室温(25℃)にて1週間静置した。その1週間静置後の炭酸含有パック化粧料のpHは5.1であり、重量の変化は、−0.1gであった。すなわち、1週間静置後の炭酸含有パック化粧料には多くの炭酸が残留していた。
【0022】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして炭酸含有パック化粧料を調製した。調製直後の炭酸含有パック化粧料のpHは4.8であった。調製した炭酸含有パック化粧料をボトルに入れ、ボトルにキャップ一体型のポンプを取り付けた。そして、キャップを上に向けた状態で、室温(25℃)にて1週間静置した。その1週間静置後の炭酸含有パック化粧料のpHは6.6であり、重量の変化は、−3.3gであった。すなわち、1週間静置後の炭酸含有パック化粧料は炭酸が消失していた。
【符号の説明】
【0023】
1 ケース
2 パック化粧料容器
3 クエン酸容器
4 金属炭酸塩容器
5 ボトル
6 キャップ
炭酸含有パック化粧料取出口
8 突起
9 ボール
10 ボトル支持台
11 炭酸含有パック化粧料
図1
図2
図3