特許第6281056号(P6281056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281056
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】循環式遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A63F7/02 301C
   A63F7/02 334
【請求項の数】1
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-262425(P2013-262425)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-138791(P2014-138791A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-278913(P2012-278913)
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】茨田 悦臣
【審査官】 永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−228475(JP,A)
【文献】 特開2012−228477(JP,A)
【文献】 特開2012−249660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行を司る主制御基板と、
発射可能球数を管理する払出制御基板と、を備え、
所定数の遊技球を内部に封入した循環式遊技機において、
前記主制御基板に、
始動条件が成立し、且つ、特別図柄の保留記憶がないことを条件に待機信号を送信する待機信号送信手段を備え、
前記払出制御基板に、
遊技領域への発射球数と遊技領域から排出された排出球数との誤差玉数を演算する誤差玉演算手段と、
遊技終了時の精算を行うために操作する精算スイッチの操作に基づいて遊技球の発射を停止する発射停止手段と、
最後の遊技球の発射からの経過時間を計測するタイマ手段と、
前記精算スイッチが操作され、且つ、前記タイマ手段によって計測された経過時間が所定時間に達することを条件に、前記誤差玉数を機外に送信する誤差玉送信手段と、
該誤差玉数の送信後に、発射可能球数を機外に送信する持球送信手段と、
前記誤差玉数が異常な値になることを条件に、前記持球送信手段による発射可能球数の送信を禁止する送信禁止手段と、
前記発射可能球数の送信を前記待機信号の受信まで遅延する送信遅延手段と、
該遅延中に所定条件が成立することにより、前記精算スイッチの操作に基づく処理をクリアするキャンセル手段と、を備えた
ことを特徴とする循環式遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射した遊技球を遊技機内で回収して再度発射位置へ誘導する循環式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技者の持球数を記憶し、該持球数である発射可能球数による遊技が可能で、発射した遊技球が入賞口に入賞すると、該入賞口に応じた賞球数が発射可能球数、即ち、遊技者の持球数に加算される遊技機として循環式(封入式)遊技機が知られている。また、循環式(封入式)遊技機と接続され、遊技者が所有する遊技用価値(カード残高、貯球、持球など)を用いて発射可能数を加算又は設定する遊技用装置としては、カードユニットが知られている。
【0003】
そのような循環式(封入式)遊技機では、封入された遊技媒体(遊技球)の玉詰まりなどの異常や、電波や糸付き玉を利用した不正行為を早期発見するため、遊技領域への発射球数(IN数)と遊技領域からの排出球数(OUT数)とを監視し、該監視状況に基づいて遊技を中断するなどの異常時制御を実行するものもある。
【0004】
そこで、IN数とOUT数とを監視し、異常時制御を実行する閾値を遊技状態に応じて変更することで、異常状態の早期発見を行うとともに、現在の遊技状態を考慮して適切な異常時制御を行うことを可能とした発明もされている<特許文献1>。
【0005】
ところで、カードユニットと接続された循環式(封入式)遊技機では、遊技を終了する際には、遊技者のスイッチ操作に基づいて発射可能球数をカードユニットに挿入されたカードに持球又は貯球として記憶させる必要が生じる。特許文献1のように、遊技を行っているときに監視する場合は、IN数とOUT数との誤差が生じていることが前提となり、誤差玉が閾値を超えるか否かで異常時制御を行うか否かを判断することになるが、発射可能球数をカードに持球又は貯球として記憶させる場合には、遊技を行っていない時にIN数とOUT数とを監視することが望ましい。
【0006】
そこで、発射された後に未だ回収されていない浮遊球(遊技領域に発射されてから未だ遊技領域から排出されていない(回収されていない)遊技球)数を監視し、浮遊球数が0となった場合に遊技終了の判定を行いカードユニットへの発射可能球数の送信処理を実行する発明もなされている<特許文献2>
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−157501号公報
【特許文献2】特開2011−104441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のようにしても、浮遊球数が0とならなければ異常状態であることを示すが、この0ではない誤差玉数が電波や糸付き球を用いた不正行為によって生じたのか、偶然の玉掛かりによって遊技領域に遊技球が残ることによって生じたのかを判断することはできない。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、循環式(封入式)遊技機からの離席時(遊技を終了するための精算時)において、不正とは判断できない異常な状況によって生じる影響を抑制することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の循環式遊技機は、
遊技の進行を司る主制御基板と、
発射可能球数を管理する払出制御基板と、を備え、
所定数の遊技球を内部に封入した循環式遊技機において、
前記主制御基板に、
始動条件が成立し、且つ、特別図柄の保留記憶がないことを条件に待機信号を送信する待機信号送信手段を備え、
前記払出制御基板に、
遊技領域への発射球数と遊技領域から排出された排出球数との誤差玉数を演算する誤差玉演算手段と、
遊技終了時の精算を行うために操作する精算スイッチの操作に基づいて遊技球の発射を停止する発射停止手段と、
最後の遊技球の発射からの経過時間を計測するタイマ手段と、
前記精算スイッチが操作され、且つ、前記タイマ手段によって計測された経過時間が所定時間に達することを条件に、前記誤差玉数を機外に送信する誤差玉送信手段と、
該誤差玉数の送信後に、発射可能球数を機外に送信する持球送信手段と、
前記誤差玉数が異常な値になることを条件に、前記持球送信手段による発射可能球数の送信を禁止する送信禁止手段と、
前記発射可能球数の送信を前記待機信号の受信まで遅延する送信遅延手段と、
該遅延中に所定条件が成立することにより、前記精算スイッチの操作に基づく処理をクリアするキャンセル手段と、を備えた
ことを特徴とする循環式遊技機である。
【0011】
払出制御基板が管理する発射可能球数は、所謂遊技者の持球数となり、循環式遊技機、詳しくは循環式遊技機が備える払出制御基板が遊技者が発射可能な持球数を記憶し、遊技の進行に応じてその増減を管理する構成となる。
【0012】
遊技領域への発射球数(IN数)の計数は、既に遊技領域に向けて発射された遊技球の検出に基づくものであってもよいし、必ず遊技領域に発射されることになる遊技球の検出に基づくものであってもよい。この場合、発射球数の計数は、遊技領域に向けて発射された遊技球が通過する軌道上(遊技領域の入口など)に遊技球の通過を検出するセンサを設け、該センサの検出に基づいてもよいし、例えば、発射装置を遊技領域の上部に配置することによって、発射した遊技球が必ず遊技領域に到達し、尚且つ発射位置に送られた遊技球は必ず発射される構成であれば、発射位置に送り出した遊技球の検出に基づくものであってもよい。
【0013】
遊技領域から排出された排出球数(OUT数)の計数は、遊技領域に配置された入賞口への遊技球の入球と、アウト口への遊技球の入球とに基づいて行われるのが好適であり、入賞口への入賞数とアウト口への入球数とを個々に計数してもよいし、入賞口とアウト口への入球をまとめて計数してもよい。また、発射球数の計数が遊技領域へ到達した遊技球を検出する構成であった場合は、発射したにもかかわらず遊技領域に到達しなかった遊技球(ファール球)はOUT数として計数する構成又はIN数から差し引く構成が望ましい。
【0014】
誤差玉演算手段によって演算される誤差玉は、遊技領域に発射されてから未だ遊技領域から排出されていない(回収されていない)遊技球(浮遊球)となる。
【0015】
発射停止手段は、発射位置に送り出した遊技球の検出に基づいて発射球の検出としているのであれば、発射位置へ遊技球を送り出す球送り装置の駆動源の駆動を停止してもよいし、遊技領域に向けて発射された遊技球の検出に基づいて発射球の検出としているのであれば、発射するための槌の駆動源の駆動を停止してもよく、発射球の検出と対応させることが望ましい。
【0016】
設定されている閾値は、誤差玉演算手段の演算による誤差玉数が不正行為が実行された場合でしか生じることがない数であるか否かを判断する値となり、例えばその値が「0」であってもよい。これにより、誤差玉演算手段の演算による誤差玉数が0を下回った場合は発射可能球数の送信が禁止されるが、誤差玉数が0を下回る状況は、発射した遊技球数よりも、遊技領域から排出した遊技球数(入賞口への入賞及びアウト口へ入球した遊技球数)の方が多いことを示し、入賞検出スイッチに対する不正行為(例えば電波ゴトなど)が実行された可能性が極めて高いと判断できる。
【0017】
待機信号は、特別図柄の変動や保留記憶がなくなったことによって、大当りが発生する可能性がなくなった状態を示す信号であればよく、該可能性がある状態では、精算スイッチが操作されても送信遅延手段によって発射可能球数の送信は遅延される。
【0018】
キャンセル手段が精算スイッチの操作に基づく処理をクリアすることとなる所定条件は、遊技球を発射しなければならない状況の発生としてもよく、例えば、遊技者による発射装置の再操作の検出であっても、大当たりの発生であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の循環式遊技機では、不正行為と判断することができない状況下において、誤差玉が生じた場合であっても離席を可能とすることでホール従業員の負担を軽減する。また、早々に離席可能としたことで遊技機が占有された状態を短縮することができ、遊技機の稼働を高めることも期待できる。
【0022】
さらに、明らかな不正行為と判断できる状況下においては、発射可能数の送信を禁止するため、不正行為によって得た利益が手に入らず離席することができない状況となり、不正行為を行う意味を失わせることができる。また、誤差玉数を機外に送信するため、ホールでもどの程度の不正行為が行われたかを判断することができる。
【0023】
当該変動又は保留記憶で当たる可能性がある状況では発射可能球数の送信は行わず、所定条件が成立すれば計数スイッチの操作に基づいて実施されている処理のキャンセルも可能としたため、不意に遊技を再開したくなった場合でも、当該変動又は保留記憶に基づく変動で大当りが生起した場合であっても、スムーズな遊技の再開を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】循環式遊技機50の正面図。
図2】循環式遊技機50における遊技球の循環の仕組みを背面から模式的に示した説明図。
図3】循環式遊技機50の電気的構成を示すブロック図1
図4】循環式遊技機50の電気的構成を示すブロック図2
図5】主制御装置80が実行する特図変動開始処理を示すフローチャート。
図6】主制御装置80が実行する特図停止コマンド送信処理を示すフローチャート。
図7】払出発射制御装置84が実行する待機設定処理を示すフローチャート。
図8】払出発射制御装置84が実行するタイマ処理を示すフローチャート。
図9】払出発射制御装置84が実行するIN/OUT計数処理を示すフローチャート。
図10】払出発射制御装置84が実行する遊技終了処理を示すフローチャート。
図11】払出発射制御装置84が実行する精算処理を示すフローチャート。
図12】払出発射制御装置84が備える各種フラグの種類と内容。
図13】操作結果表示部102dに表示する遊技終了演出の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【実施例】
【0028】
図1は、遊技球の機外へ払出しを行わず、機内に遊技球を封入して遊技を行う循環式遊技機50の正面図である。図1に示すように、循環式遊技機50は、台間ユニット100と隣り合わせで配置されている。台間ユニット100には、カード挿入口100aと、現金挿入口100bとが設けられており、カード挿入口100aにICカードを挿入するか現金挿入口100bに現金を挿入することで、循環式遊技機50に設けた球貸しボタン102aの操作が可能となる。
【0029】
循環式遊技機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられていると共に、該ヒンジ53には内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
【0030】
また、内枠70には、ヒンジ53等により前枠52が開閉可能に取り付けられていると共に、この前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には、内枠70に取り付けられた遊技盤1が配されている。前枠52の上部左右には、スピーカ(図示無し)が設けられており、循環式遊技機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(図示無し)も複数設けられている。また、前枠52の右下部には入賞表示装置20が配置され、後述する入賞口に遊技球が入賞すると、入賞口毎に設定された獲得遊技球数を表示する。
【0031】
前枠52の下方右側には遊技球の発射操作を行う発射操作ユニット107が配置され、その下には手置き台71が取付けられている。手置き台71は、常時発射操作を行う遊技者の手を乗せておく台となる。発射操作ユニット107は、発射強度調整スイッチ部108と、遊技者が遊技球を発射するために操作する摺動操作部107aと、摺動操作部107aの上部に配置した発射停止スイッチ111と、発射強度を固定する場合に操作する発射強度固定スイッチ110と、発射強度を数値で示す発射強度表示部107bと、遊技者の操作を感知する図示しないタッチセンサ112とで構成されている。摺動操作部107aは右方向に操作するほど発射強度が強くなる。本実施例では、摺動スイッチを用いて発射強度の調節を行っているが、これに限るわけではなく、一般的な発射ハンドルの回動量に応じて発射強度を調節する構成でも何ら差し支えない。
【0032】
発射操作ユニット107の右上(循環式遊技機50の右端)には、内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できるスライド錠を操作するシリンダ錠36が配置され、鍵が挿入可能となっている。このシリンダ錠36は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっており、このような可変式錠を循環式遊技機50に使用することで、遊技店は、店に配置される全ての遊技機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。
【0033】
発射操作ユニット107の左には、遊技者とのインターフェースとなるコントロール部8が設けられている。このコントロール部8には、タッチパネル式の液晶表示器となる操作部装置102(タッチパネル式液晶表示器)と、計数スイッチ105と、遊技球数表示装置106が配置されている。操作部装置102のタッチパネル上には、球貸しスイッチ102aと、返却スイッチ102bと、画面切換スイッチ102cと、球貸しスイッチ102a及び返却スイッチ102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。
【0034】
なお、ICカードからの球貸し、持球の精算、及びICカードの返却、離席等を行うボタン類(球貸しスイッチ102a、計数スイッチ105、返却スイッチ102b)を台間ユニット100に配置する構成としてもよく、これにより、球貸しや精算などの操作を台間ユニット100にまとめることで、遊技に係る演出関連の操作と明確に区別することが可能となる。また、本実施例ではタッチパネル式液晶パネルに上記したスイッチを備える構成としているが、タッチパネル式液晶パネルに限るわけではなく、機械式のスイッチを用いても何ら差し支えない。
【0035】
コントロール部8を備える前板部も、ヒンジ53等によって内枠70から開閉可能となっているが、前枠52が前板部に被さる様に設置されているため、前枠52の開放時のみ前板部の開放も可能となる。
【0036】
また、図1は、板ガラス61の奥に位置する遊技盤1の遊技領域3の様子を概略的に示している。遊技領域3は、ガイドレール16によって囲まれた略円形の領域であると共に、多数の遊技釘が植設されており、遊技盤1の左上に配置した発射装置から発射された遊技球は、発射直後に遊技領域3を流下する構成となっている。
【0037】
遊技領域3のほぼ中央部には、ワープ通路やステージ等が形成されたセンターケースや窓が設けられており、この窓の奥には、演出図柄表示装置6の液晶画面が配置される。また、これら以外にも、遊技領域3には、常時入賞可能な普通図柄作動ゲート17や、第1始動口11や、普通電動役物として構成された第2始動口12や、一般入賞口13、アタッカー式の大入賞口14等の役物(入賞口)や、アウト口15が設けられ、遊技領域3の右下には第1特図表示装置9、第2特図表示装置10、普通図柄表示装置8、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置7a等が設けられている。遊技領域3に進入した遊技球は、上記した第1始動口11、普通第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14、アウト口15の何れかから遊技領域3外に排出される。
【0038】
上記のように遊技盤1を構成することによって、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物の羽根部材が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.2秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では1.8秒(2回)である。また、第2始動口12は、普通電動役物の羽根部材が駆動しなければ遊技球が入球不可能な構成となっている。
【0039】
第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第1特図表示装置9において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口12である普通電動役物に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第2特図表示装置10において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0040】
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口11と第2始動口12への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。
【0041】
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド14b(図3参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
【0042】
また、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得する当否乱数等の種々の乱数を、保留記憶として主制御装置50に格納(記憶)するとともに、第1始動口11及び第2始動口12への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置83(図3参照)に送信する処理を行う。以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
【0043】
本実施形態においては、普図保留数表示装置7a、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10aによる各々の点灯数の最大個数は4個(最大保留記憶数が4個)となっている。また、それぞれの保留記憶数が0であっても、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得される当否乱数等の種々の乱数は、最大値未満の記憶数がある場合と同様に主制御装置50に格納される。
【0044】
第1特図始動スイッチ11a又は第2特図始動スイッチ12aが遊技球を検出し、その場合の第1保留記憶又は第2保留記憶の数が4個未満であれば、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1又は第2保留記憶として記憶領域に格納する。
【0045】
保留記憶された各種乱数は、当否判定処理(大当り判定)によって予め設定されている値との比較判定が行われ、大当り判定用乱数の当否判定結果が大当り図柄決定用乱数の値に基づいて第1特図表示装置9a、第2特図表示装置10a、演出図柄表示装置6に表示される。
【0046】
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口14を閉鎖した遊技と大入賞口14を開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口14を閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態(大当りとなる確率が甘く、大当りし易い)となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。
【0047】
特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、大当り遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
【0048】
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ普通電動役物の開放延長機能が作動する時短状態となる。特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果(確定図柄)が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
【0049】
具体的には、本実施形態の時短状態では、特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより普通電動役物の作動回数も増大する。また、普通電動役物の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物入賞で得る賞球により、遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
【0050】
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、普通電動役物の開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて特別図柄の大当り確率が高くなる(大当りし易い状態)ため、更に遊技者に有利な遊技状態となる。
【0051】
次に、図2を用いて、本実施例における循環式遊技機50の遊技球の循環の仕組みを説明する。図2は循環の仕組みを背面から模式的に示した説明図となる。図2には、遊技球を循環させるための主な装置と、遊技球を揚上させる経路と、主な制御装置とが記載されている。遊技球が発射されてから循環する流れを順を追って説明する。
【0052】
少なくとも、発射可能な遊技球を循環式遊技機50が管理(記憶)している状態で、摺動操作部107aが操作されると、発射装置87に配置された球送りソレノイド130が作動し、遊技球を発射位置に送り出す。その際、本実施例の循環式遊技機50では、発射位置に送り出された遊技球は、直後の発射によって必ず遊技領域3まで到達する構成(発射位置に送り出された遊技球は、必ず発射され、且つ、ファール球とならず遊技領域3に到達する)であるため、発射装置87内に設けられた減算センサ131は、送り出した遊技球を発射球として検出し、持球カウンタ(発射可能な遊技球数)から1を減算する。本実施例では、遊技球の発射を不能状態に制御する場合、球送りソレノイド130の駆動を禁止する構成となっているが、発射ソレノイド129の駆動を禁止する構成としてもよく、但しその場合は、減算センサ131の遊技球検出を発射球検出とはみなさず、発射後に遊技領域3に進入した遊技球を検出するセンサを設け、該センサの遊技球検出を発射球の検出とする構成が望ましい。発射可能な遊技球数は、遊技球数表示装置106に表示され、減算センサ131の遊技球検出に応じて1を減算して表示する。
【0053】
発射位置に送り出された遊技球は、摺動操作部107aの位置に応じた発射強度で発射ソレノイド129の作動により遊技領域3に発射される。本実施例における循環式遊技機50では、発射装置87の位置(遊技球を発射する位置)が遊技領域3を表から見て左上部(図は背面であるため右上部)となるため、従来機のように、発射された遊技球がガイドレールで形成された発射経路によって打ち上げられることがなく、発射ソレノイド129によって弾球された遊技球は、弾球直後に遊技領域3に到達する。
【0054】
遊技領域3に到達した遊技球は、遊技領域3を流下し、第1始動口11、第2始動口12等の入賞口に入球するか、或いは、アウト口15に入球する。いずれかの入賞口に入賞した遊技球は、遊技盤1の裏面を流下し誘導経路に配置された入賞検出センサ124に検出され、アウト口15に入球した遊技球は非入賞検出センサ125に検出される。
【0055】
入賞検出センサ124、又は非入賞センサ125が遊技球を検出するとアウト球数(本発明の遊技領域から排出された排出球数に相当)として加算される。アウト球数と発射球数(減算センサ131検出球数)とにより遊技球循環の管理が行われる。本実施例では、上記した各センサは払出発射制御装置84に接続され、封入された遊技球の循環は払出発射制御装置84によって管理されるが、払出発射制御装置84と相互通信が可能に接続された主制御装置80で管理する構成としてもよい。
【0056】
入賞検出センサ124、非入賞センサ125が検出した遊技球は玉磨き装置85に繋がる誘導経路を流下する。玉磨き装置85では、カセットモータ114、研磨モータ115、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117を備え、研磨布を搭載したカセットを使用し、遊技球の研磨を実施する。また、研磨布を搭載したカセットの検知が行われる。
【0057】
遊技球の研磨は、研磨モータ115を動作させて遊技球を研磨布に押し付けるように動かすことにより実施される。研磨布はカセットに搭載した構造で交換可能となっており、カセットモータ114を使用して一定周期で布を巻き取るように作動させる。また、カセットスイッチ116により、研磨布を搭載したカセットの有無を検知する。
【0058】
研磨された遊技球は、球磨き装置85から誘導経路を経て揚上装置86に誘導される。揚上装置86は、揚上発射モータ119、揚上発射モータ監視センサ121、揚上入口センサ120を備え、封入式遊技機50の下部まで流下した遊技球を、発射装置87を配置した上部(発射球タンク40)まで揚上させる。
【0059】
本実施例の循環式遊技機50では、揚上装置86まで誘導された遊技球を、揚上発射モータ119を用いて、循環式遊技機50の上部に配置されている発射球タンク40まで打ち上げる構成となっている。揚上装置86では、揚上入口センサ120、発射入口センサ131により、揚上発射モータ119の遊技球発射位置と揚上経路の出口(発射球タンク40の入口)とに遊技球が存在するか否かを検出し、該検出結果に応じて揚上発射モータ119を駆動させる。揚上発射モータ119の駆動によって発射された遊技球は、図に示す封入球打上げ揚上経路の最上部の曲面に接触することより飛球経路が変化し、飛球速度が減速して発射球タンク40に達する。揚上発射モータ監視センサ121は、揚上モータ119が正常な発射動作を行っているか検出する。
【0060】
上記した構成により、本実施例の循環式遊技機50では、揚上装置86に誘導された遊技球は、揚上動作(揚上発射モータ119による球の打ち上げ)の実施直後に発射球の待機する発射球タンク40に移動する。従って、螺旋構造の揚上装置や、ベルトによる揚上装置のように揚上経路上に複数の遊技球が存在することがないため、遊技を待機せざるを得ない遊技球の数を減少させ、結果的に循環式遊技機50内で循環させる封入球数を減らすことが可能となっている。
【0061】
発射球タンク40まで揚上された遊技球は、転動して発射装置87に至るが、発射装置87への誘導を兼ねる封入球数計数経路に配置された適正量センサ123と満タンセンサ126とで遊技球を検出し、循環に必要な遊技球数を管理して過不足を検出すると報知を行う構成となっている。この場合の報知は、台間ユニット100を介して機外の管理装置(ホールコンピュータ87)に信号を出力すると共に、循環式遊技機50が備える表示装置(演出図柄表示装置6およびタッチパネル式液晶表示器102)に遊技球の過不足を表示する。
【0062】
次に、循環式遊技機50の電気的構成を図3、4に示したブロック図を用いて説明する。詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出発射制御装置84、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0063】
図3に示す主制御装置80を中心にしたブロックでは、主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を検出するためのカウントスイッチ14a、一般入賞口13に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ13a、遊技球の流下方向に影響を与える磁力を検出する磁力センサ91、同様に遊技球の流下方向に影響を与える振動を検出する振動センサ92、上記した入賞口の検出スイッチを誤動作させる電波を検出する電波センサ93等の検出信号が入力される。
【0064】
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し(約2msごとの割込み)、上記した検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して、遊技領域3の右下に配置されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置7aの点灯を制御する。
【0065】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御し、入賞口への入賞を検出すると入賞口毎に設定された獲得遊技球数を入賞表示装置20に表示する。また、各入賞口への入賞に応じて賞球数指示信号を払出発射制御装置84に送信する。
【0066】
また、主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動、遊技状態、大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、払出発射制御装置84と台間ユニット100を介してホールコンピュータに送られる。本実施例では、遊技機から機外の管理装置に向けての信号は全て台間ユニット100を介して出力される構成となっているが、これに限らず、払出発射制御装置84の制御に基づく信号が払出発射制御装置84から機外の管理装置に直接出力されてもよいし、主制御装置80を介して機外の管理装置に出力されてもよい。同様に、主制御装置80の制御に基づいて機外に出力する信号も、主制御装置から直接出力してもよいし、払出発射制御装置84を介して(台間ユニット100を介さず)出力してもよい。
【0067】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し(払出発射制御装置84から出力され、主制御装置50を介して受信するコマンドもある)、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカか66らの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0068】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80、又は主制御装置80を介して払出発射制御装置84から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0069】
次に、図4を用いて、主制御装置80と双方向通信が可能に接続された払出発射制御装置84を中心としたブロックを説明する。払出発射制御装置84は、搭載しているプログラムに従って動作(約2ms毎の割り込み)し、主制御装置80から上述した獲得遊技球数の要求を示すコマンドを受信すると、要求された獲得遊技球数を発射可能な遊技球数(持球カウンタ)へ加算し、加算した値を遊技球数表示装置106に表示する。また、操作に応じた信号又は、センサの検出に応じた信号に基づいて、貸球の加算、台間ユニット100への持球データの移行、遊技球の発射、遊技球の研磨、遊技球(封入球)の循環、等を制御する。
【0070】
払出発射制御装置84に台間ユニット100及び操作部接続基板101を介して接続された操作部装置102のタッチパネル式の液晶表示器には、前述したように球貸しスイッチ102aと、返却スイッチ102bと、画面切換スイッチ102cと、球貸しスイッチ102a及び返却スイッチ102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。この循環式遊技機50に設けられたタッチパネル式の液晶表示器の電源は、台間ユニット100から供給される。
【0071】
また、タッチパネル式液晶表示器には、台間ユニット100に挿入されたICカード(又は会員カード)に記録されているカード情報や循環式遊技機50の遊技情報(遊技履歴等)を表示する機能も備えている。
【0072】
操作部装置102の球貸しスイッチ102aを操作すると、タッチパネル操作情報として貸球数の加算を要求する信号が台間ユニット100を介して払出発射制御装置84に入力され、払出発射制御装置84は、該入力によって要求された貸球数を持球カウンタに加算し、加算後の持球カウンタの値を遊技球数表示装置106に表示する。この時、遊技球数表示装置106の加算状況に応じて貸球動作の結果内容を操作結果表示部102dに表示する。なお、一回の球貸しスイッチ102aの操作に対しては、予め設定された所定額(例えば、500円)に応じた貸球数(例えば、125個)を要求する。
【0073】
操作部装置102の返却スイッチ102bを操作すると、タッチパネル操作情報としてICカードの返却動作を要求する信号が台間ユニット100に入力され、台間ユニット100から払出発射制御装置84に排出確認信号が入力される。その時の循環式遊技機50の状態がICカードの返却が可能な状態であるか否かに応じて返却の可否と返却結果を操作結果表示部102dに表示する。返却可能な状態であれば、操作結果表示部102dに返却が可能であることが表示され、ICカードが台間ユニット100から排出される。返却不可能な状態であれば、操作結果表示部102dに返却が不可能であることが表示されるとともに、主制御装置80を介してサブ統合制御装置83に指示信号を送信することにより、演出図柄表示装置6において計数スイッチ105の操作を促す報知を実施する。
【0074】
操作部装置102の画面切換スイッチ102cを操作すると切換回路101aが作動し、タッチパネル式液晶表示器に表示する情報を、台間ユニット100から受信した情報から循環式遊技機50の演出図柄制御装置82から受信した情報(画像含む)へ切り替える。この切り替えに応じて、演出図柄表示装置6には台間ユニット100からの情報が表示される。
【0075】
台間ユニット100と操作部接続基板101とは相互通信が可能に接続され、演出図柄制御装置82と操作部装置102とは、互いに操作部接続基板101と相互通信が可能に接続されている。なお、循環式遊技機50からホールコンピュータ87への全ての出力は、台間ユニット100を介して行われるため、台間ユニット100も循環式遊技機50を管理することが可能な構成となっている。但し、この構成に限らず、台間ユニット100を介さずに払出発射制御装置84から直接ホールコンピュータ87に出力する構成や主制御装置80から直接ホールコンピュータ87に出力する構成も考えられる。
【0076】
循環式遊技機50内においては、払出発射制御装置84には操作部中継基板103が相互通信可能に接続され、操作部中継基板103には相互通信可能に遊技球数表示基板104が接続されている。遊技球数表示基板104には、計数スイッチ105と遊技球数表示装置106が配置され、計数スイッチ105の操作信号が払出発射制御装置84に入力される。また、払出発射制御装置84の出力に応じて遊技球数表示装置106に発射可能な遊技球数が表示される。
【0077】
計数スイッチ105が操作されると、持球カウンタが記憶している全ての値を持球カウンタから減算し、台間ユニット100に減算した値を送信する。よって持球カウンタの値を表示する遊技球数表示装置106の数値も減算される。計数スイッチ105の操作によって発射可能な遊技球数が0になると、台間ユニット100に挿入されているICカードの返却が可能となる。
【0078】
払出発射制御装置84には、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力され、操作部中継基板103を介して、発射操作ユニット107が相互通信が可能に接続され、発射操作ユニット107では、前述したように、発射強度調節スイッチ108、発射強度固定スイッチ110、発射停止スイッチ111、タッチセンサ112、からの信号が払出発射制御装置84へ入力され、発射強度表示装置109の表示が払出発射制御装置84によって制御される。
【0079】
また、払出発射制御装置84には、相互通信可能に接続された研磨中継基板113を介して、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117の検出信号が入力され、払出発射制御装置84は研磨中継基板113を介してカセットモータ114、研磨モータ115の駆動を制御する。
【0080】
また、研磨中継基板113と相互通信可能に接続された揚上中継基板118を介して、払出発射制御装置84には、揚上入口センサ120、揚上モータ監視センサ121からの検出信号が入力され、払出発射制御装置84は前述した揚上発射モータ119の駆動を制御する。
【0081】
また、内枠中継基板122は、内枠中継基板122から研磨中継基板113へと一方向通信が可能に接続され、内枠中継基板122には、前述した、適正量センサ123、入賞検出センサ124、非入賞検出センサ125、満タンセンサ126と、夜間監視スイッチ127とが接続され、各センサ又はスイッチからの信号が払出発射制御装置84に入力される。
【0082】
夜間監視スイッチ127は、夜間(営業時間外)の扉開放を伴う不正を判断するための装置であり、電源基板に搭載されたバックアップ電源により、電源がオフの状態であっても内枠70の開放を監視可能とし、払出発射制御装置84が夜間の内枠70の開放回数情報を記憶し、電源投入時に開放回数情報を主制御装置80を介して機外に出力する構成となっている。
【0083】
また、研磨中継基板113と相互通信が可能に接続された発射中継基板128を介して、払出発射制御装置84には、減算センサ131、発射入口センサ132の検出信号が入力され、同様に発射中継基板128を介して払出発射制御装置84は、球送りソレノイド130と発射ソレノイド129の駆動を制御する。
【0084】
次に、図5を用いて、主制御装置80が実行する特図変動開始処理を説明する。本処理は第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて抽出し保留記憶した乱数を判定し、該判定の結果に応じて第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に表示する特別図柄の変動表示を開始し、サブ統合制御装置83に疑似図柄の変動開始を指示する処理となり、本発明の待機信号送信手段を含む。
【0085】
本処理を開始すると、特別図柄の始動条件が成立しているか否か判定する(S10)。この判定では、大当り遊技中でないこと、第1特別図柄及び第2特別図柄が変動中又は確定表示中でないことを判定する。否定判定なら(S10:no)リターンし、肯定判定なら(S10:yes)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S15)。肯定判定なら(S15:yes)、S25に進み、否定判定なら(S15:no)第1保留記憶が有るか否か判定し(S20)、肯定判定なら(S20:yes)S25に進む。
【0086】
S20が否定判定、即ち、大当り遊技中でもなく、第2保留記憶も第1保留記憶もなく、第2特別図柄及び第1特別図柄の変動中でもなく、確定表示中でもなければ(S20:no)、払出発射制御装置84に待機信号を送信し(S50)(本発明の待機信号送信手段に相当)リターンする。
【0087】
S15とS20の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本発明の効果に変わりはない。
【0088】
S15、又はS20の肯定判定(S15:yes、S20:yes)に続く当否判定処理では、最も古い保留記憶を当否判定の対象として保留記憶の大当り判定用乱数値と遊技状態に応じて予め設定された当否判定テーブルとを比較し、大当りか小当りかはずれかを判定する(S25)。続いてS25の判定結果と、読み出した乱数値に応じて第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示する図柄の種類と変動パターン(変動時間)とを選択する(S30、S35)。
【0089】
次に、S30で選択した図柄およびS35で選択した変動パターンの情報を指示する変動指示コマンドを生成しサブ統合制御装置83へ送信する(S40)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する疑似図柄の変動表示を開始する。なお、演出図柄表示装置6は、本発明の「疑似図柄を表示する表示装置」に相当する。サブ統合制御装置83への変動指示コマンドの送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0090】
S40に続いては、払出発射制御装置84に特別図柄の変動を開始することを示す変動信号を送信し(S45)リターンする。この変動信号は、待機信号の送信後初めて変動表示を開始する場合のみ実施する構成としてもよく、例えば、待機信号送信時に待機フラグを立て、該待機フラグが立っている場合のみ変動信号を送信してフラグを降ろす構成としてもよい。これにより、保留記憶からの変動を開始するごとに無駄な信号送信を行わずに済む。本実施例では変動信号はS45のタイミングで払出発射制御装置84に送信されたが、待機信号の送信後初めて第1始動口11又は第2始動口12へ遊技球が入球したタイミング(抽出した乱数が保留記憶されたタイミング)で払出発射制御装置84に送信してもよい。
【0091】
次に、図6を用いて、主制御装置80が実行する特図停止コマンド送信処理を説明する。本処理は、特別図柄の変動表示が終了する毎に図柄停止コマンドをサブ統合制御装置83に送信するとともに、確定表示する図柄が大当りを示す場合は、払出発射制御装置84に大当りを示す信号を送信する処理となる。
【0092】
本処理を開始すると、特別図柄(特図)の変動時間(S35で選択した変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定し(S60)、否定判定なら(S60:no)リターンし、肯定判定なら(S60:yes)、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置53に出力するとともに、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10を制御してS30で決定した図柄を確定表示させる(S65)。図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に予め決めておいた擬似(演出)図柄を確定表示させる指示信号を出力し、演出図柄制御装置82は、その信号により演出図柄表示装置6を制御して擬似(演出)図柄を確定表示させる。これにより、特別図柄と擬似(演出)図柄の変動の開始と終了が同じタイミングになる(同期する)。
【0093】
S65に続いては、確定表示を行うのが大当り図柄か否か判定し(S70)、否定判定なら(S70:no)リターンし、肯定判定なら(S70:yes)、払出発射制御装置84に大当り確定信号を送信し(S75)リターンする。
【0094】
次に、図7を用いて、払出発射制御装置84が実行する待機設定処理を説明する。本処理は待機信号の受信に応じて待機フラグを設定し、変動信号の受信に応じて待機フラグをクリアする処理となる。本処理を開始すると、待機信号を受信したか否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:yes)、待機フラグに1を設定し(S105)、S105又はS100の否定判定(S100:no)に続いては、変動信号を受信したか否か判定する(S110)。否定判定なら(S110:no)リターンし、肯定判定なら(S110:yes)、待機フラグに0を設定して(S115)リターンする。
【0095】
待機フラグは払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図12の図表に示すように、値が0であれば特別図柄が変動表示を実施中(継続中)であることを、値が1であれば特別図柄の変動表示と確定表示が終了し且つ保留記憶がないこと(特別図柄の変動表示の継続が不可能なこと)を払出発射制御装置84が判断する。従って、払出発射制御装置84は、この待機フラグの値に基づいて図柄変動遊技が終了しているか否かの判断が可能となる。
【0096】
以上が払出発射制御装置84が実行する待機設定処理となる。なお、S115では、S45によって送信される変動信号の受信に基づいて待機フラグに0を設定したが、第1始動口11又は第2始動13への入球に基づいて、即ち第1又は第2保留記憶の発生に基づいて主制御装置80から払出発射制御装置84に入賞信号(保留記憶信号)を送信し、この信号の受信に応じて待機フラグに0を設定する構成としてもよい。
【0097】
次に、図8を用いて、払出発射制御装置84が実行するタイマ処理を説明する。本処理は本発明のタイマ手段に相当する。本処理を開始すると、球送りが可能か否か判定する(S150)。この球送りが可能か否かの判定は、発射可能球数が有り(遊技者の持球を記憶しており)、且つ、球送り停止Fが0か否かを判定する。
【0098】
球送り停止フラグは払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図12の図表に示すように、値が0であれば発射位置への球送りが可能な期間であることを、値が1であれば発射位置への球送りが不可能な期間であることを払出発射制御装置84が判断する。
【0099】
S150が肯定判定なら(S150:yes)、球送りソレノイド130の駆動によって球送りが実施されたか否か判定する(S160)。肯定判定なら(S160:yes)、新たな球送りが実施されたことに基づいて最後の球送りが実施されてからの経過時間を計時しているタイマを初期化する(S165)。S165、又はS150、S160の否定判定(S150:no、S160:no)に続いては、上記したタイマとなるカウンタに+1するインクリメント処理を行い(S175)リターンする。
【0100】
以上が払出発射制御装置84が実行するタイマ処理となる。本処理のS175が、遊技球の最後の発射からの経過時間を計測するタイマ手段のタイマ部となる。また本処理では、同じタイマ部を用いて球送りの待機時間を計測する構成となっている。
【0101】
次に、図9を用いて、払出発射制御装置84が実行するIN/OUT計数処理を説明する。本処理は、本発明の誤差玉演算手段に相当する処理となる。本処理を開始すると、発射球として球送りソレノイド130が送り出した遊技球を検出する減算センサ131が遊技球を検出したか否か、即ち、遊技球を発射したか否か判定し(S200)、肯定判定なら(S200:yes)、IN/OUTカウンタに+1するインクリメント処理を行う(S205)。S205、又はS200の否定判定(S200:no)に続いては、遊技領域3に配置された入賞口(第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14)に入賞した遊技球を検出する入賞検出センサ124が遊技球を検出したか否か判定し(S210)、肯定判定なら(S210:yes)、IN/OUTカウンタから−1するデクリメント処理を行う(S215)。S215、又はS210の否定判定(S210:no)に続いては、遊技領域3に配置されたアウト口15に入賞した遊技球を検出する非入賞検出センサ125が遊技球を検出したか否か判定し(S220)、肯定判定なら(S220:yes)、IN/OUTカウンタから−1するデクリメント処理を行う(S225)。
【0102】
S225、又はS220の否定判定(S220:no)に続いては、IN/OUTカウンタの値が25よりも大きいか否か判定し(S230)、否定判定なら(S230:no)リターンし、肯定判定なら(S230:yes)、不正フラグに1を設定し(S235)リターンする。
【0103】
不正フラグは、払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図12の図表に示すように、値が0であれば、発射球数と遊技領域3からの排出球数との関係が正常であることを、値が1であれば、発射球数から排出球数を引いた値(即ち、遊技領域3で浮遊している遊技球数)が所定数(本実施例では25)を超えている状態であることを、払出発射制御装置84が判断する。
【0104】
以上が、払出発射制御装置84が実行するIN/OUT管理処理となる。本実施例のIN/OUTカウンタの値は、発射玉数から遊技領域3から排出された球数(回収玉数)を減算した値を示し、発射した球が全て回収されるとその値は0となる。遊技盤面の構成によっても異なるが、本実施例の遊技機では発射から概ね10秒程で遊技球は回収されるため、正常な遊技中のIN/OUTカウンタの値は、10秒間に発射可能な遊技球数約16を含む15〜18の範囲になる。従って、不正フラグに1が設定された状態では、発射されたにも関わらず未回収の遊技球が遊技領域3に25から範囲の値を減算した値となる7〜10個残存している可能性が高いことを示し、この状態は盤面上で玉詰まりが発生している可能性が高い状態といえるため、不正フラグに1が設定されると、遊技機が玉詰まりの解消を指示する異常状態報知を開始するとともに、台間ユニット100を介して機外のホールコンピュータ87に異常状態を示す信号を出力する。なお、本実施例の遊技機では機内に封入する遊技球数は50個を基準の個数としている。
【0105】
また、本実施例では、発射球数と排出球数とに基づく演算を一つのIN/OUTカウンタを用いてその値を加減算する構成としたが、発射球数の計数と排出球数の計数を異なるカウンタで行い、発射球数を計数するカウンタの値から排出球数を計数するカウンタの値を減算する構成としてもよい。
【0106】
次に、図10を用いて、払出発射制御装置84が実行する遊技終了処理を説明する。本処理は、本発明の発射停止手段と、演出指示手段とを含む処理となる。本処理を開始すると、計数スイッチ105(本発明の精算スイッチに相当)の操作信号を受信したか否か判定する(S250)。否定判定なら(S250:no)リターンし、肯定判定なら(S250:yes)、持球カウンタ(発射可能球数を記憶するカウンタ)の値が0よりも大きいか否か判定する(S225)。否定判定なら(S225:no)リターンし、肯定判定なら(S225:yes)、計数スイッチ操作フラグに1を設定し(S260)、球送り停止フラグに1を設定し(S265)(本発明の発射停止手段に相当)、遊技終了演出を開始する指示信号を台間ユニット100及び操作部接続基板101aを介して操作部装置102に送信し(S270)(本発明の演出指示手段に相当)リターンする。
【0107】
計数スイッチ操作フラグは、払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図12の図表に示すように、値が0であれば、計数スイッチの操作に応じた処理を未実行中の状態であることを、値が1であれば、計数スイッチの操作に応じた処理を実行中の状態であることを、払出発射制御装置84が判断する。
【0108】
以上が、払出発射制御装置84が実行する遊技終了処理となり、遊技機が発射可能な遊技球数を記憶している状態で計数スイッチ105が操作されると、球送りを停止することによって記憶している発射可能遊技球数を確定し、計数スイッチ操作フラグをたてることにより精算処理を開始する。
【0109】
次に、図11を用いて、払出発射制御装置84が実行する精算処理を説明する。本処理は、本発明の、誤差玉送信手段と、持球送信手段と、送信遅延手段と、送信禁止手段と、キャンセル手段とを含む処理となる。本処理を開始すると、計数スイッチ操作フラグが1か否か判定する(S300)。否定判定なら(S300:no)リターンし、肯定判定なら(S300:yes)、発射操作信号が未受信、即ち、遊技者が発射操作を行っていないか否か判定し(S305)、肯定判定なら(S305:yes)、大当り確定信号が未受信か否か判定する(S310)。S305又はS310が否定判定、即ち、計数スイッチ105の操作後に発射操作が再開された場合、又は計数スイッチ105の操作後に大当りが生起した場合は(S305:no、S310:no)、計数スイッチ操作フラグに0を設定し(S360)、球送り停止フラグに0を設定し(S365)リターンに抜ける。
【0110】
S360とS365により、精算処理をキャンセルし遊技者の発射操作に応じた遊技球の発射を可能な状態としている。したがって、この構成は、本発明の「精算スイッチの操作から前記待機信号の受信までの間に所定条件が成立することにより、前記精算スイッチの操作に基づく処理をクリアするキャンセル手段」に相当し、本実施例では、遊技者の発射操作の再開と、大当りの生起が所定条件に該当する。所定条件はこれに限るわけではなく、他の条件を設定しても問題ないが、発射できないことで遊技者が不利益を被る状況の生起や、遊技者が遊技を行う意思を示す操作とすることが望ましい。
【0111】
S310が肯定判定なら(S310:yes)、S175で計測しているタイマが所定値(本実施例では10秒)以上か否か判定し(S315)、否定判定なら(S315:no)リターンし、肯定判定なら(S315:yes)、IN/OUT管理処理によって演算されたIN/OUTカウンタの値を示す信号を台間カウンタ100を介してホールコンピュータ87に出力する(S320)(本発明の誤差玉送信手段に相当)。本実施例では、機外の管理装置であるホールコンピュータ87に信号を出力する際は、台間ユニット100を介して出力しているが、払出発射制御装置84から直接出力してもよいし、主制御装置80を介して主制御装置80から直接ホールコンピュータ87に出力してもよい。
【0112】
S320に続いては、出力したIN/OUTカウンタの値が0以上か否か判定する(S325)。否定判定、即ち、IN/OUTカウンタの値が正常な遊技ではありえないマイナス値を示した場合(S325:no)、この状態は遊技機へ電波を照射することによって入賞センサを誤動作させる不正が行われた可能性が極めて高い状態であると判断できるため、不正行為によって入手した発射可能球数(持球カウンタの値)を台間ユニット100に送信する処理を禁止するとともに、ホールコンピュータ87に当該状況を示す不正信号を送信し(S355)(本発明の送信禁止手段に相当。本実施例における閾値は0となる)リターンする。この構成により、不正によって手に入れた遊技球数データは機外に取り出せず離席できないため、不正行為自体が無駄で意味のないものになる。また、その時のIN/OUTカウンタの値がホールコンピュータ87に出力されるため、どれだけの不正行為が行われたか判断できる。
【0113】
S325が肯定判定なら(S325:yes)、待機フラグが1か否か判定し(S330)(本発明の送信遅延手段に相当)、否定判定なら(S330:no)リターンし、肯定判定なら(S330:yes)、持球カウンタが記憶している全ての値を持球カウンタから減算し、台間ユニット100に減算した値を送信し(S335)(本発明の持球送信手段に相当)、計数スイッチ操作フラグに0を設定し(S340)、球送り停止フラグに0を設定し(S345)、精算処理が終了したことに応じて遊技終了演出終了指示信号を操作部装置102に送信し(S350)、リターンする。
【0114】
以上が、払出発射制御装置84が実行する精算処理となる。S355によって持球カウンタの送信が禁止された状態になると、ホールスタッフが解除するまではこの状態は継続するため、台間ユニット100に挿入されたカードは解除するまでは排出不可能とすることが望ましいが、遊技機の持球カウンタに値を残したままカードのみ排出する構成としてもよい。カードを排出する場合は、不正行為の証拠がない分に関しては遊技者に戻すことができる。
【0115】
S315の判定は、最後に発射した遊技球が概ね回収(入賞検出センサ124又は非入賞検出センサ125により遊技球を検出)される時間として所定時間(10秒)が設定されている。従って、計数スイッチ105が操作された時点で発射球の球送りが停止されるため、S315が肯定判定となった時点では遊技球が転動する遊技は終了しているが、特別図柄が変動している場合があるため、待機フラグが立つまで(所定時間が経過した時点ですでに立っている場合もある)精算処理を遅延させる構成となっている。これにより、S315とS330により、最後に発射した遊技球が回収され、且つ、特別図柄の保留記憶も変動もない状態で大当りの可能性がなくなったことで、ほぼ確実な遊技終了時期であることを判断したうえで発射可能球数の送信を行う構成としている。
【0116】
但し、所定時間が経過し待機フラグが成立した状態であっても、予期せぬ不具合の発生で発射した全ての遊技球が未回収の場合も考えられ(例えば、通常の遊技において、遊技球が偶然に釘間で停留してしまう)、こういった場合においては遊技者に何ら責任はないため、未回収の遊技球数をホールコンピュータ87に送信していることを担保として発射可能遊技球数の送信を可能とし、遊技者は問題なく離席することができる。
【0117】
次に、図13を用いて、操作結果表示部102dに表示する遊技終了演出の表示例を説明する。本実施例では、遊技を終了するために計数スイッチ105が操作されると(S250による計数スイッチ105の操作信号受信)、コントロール部8(循環式遊技機50の前面下部)に配置された操作部装置102(タッチパネル式液晶表示器)の操作結果表示部102dにおいて、精算処理が終了するまで(S350により遊技終了演出終了指示を受信するまで)遊技終了演出を表示する(S270によって演出表示を開始し、S350によって終了)構成となっている。これは、本発明の「精算スイッチの操作に基づく遊技終了時処理の実行を示す演出表示を指示する演出指示手段と、を備え、」と、「前記表示演出は、疑似図柄を表示する表示装置とは異なる表示装置に表示する」に相当する。
【0118】
具体的な表示演出の内容は、図12の(1)「精算処理中です 球貸しは行えません 発射操作で精算処理はキャンセルします」、(2)「精算処理中です 球貸しは行えません +(進行状況を示すバー+パーセンテージ表示」、(3)「精算処理中です 球貸しは行えません 処理が終了するまでしばらくお待ちください」を順番に切り替えながら表示する。また、(2)の進行状況を示すバーとパーセンテージ表示は、時間の経過に応じて表示態様が変化する(終了分を示す表示が右側に進むとともにパーセンテージを示す数字が大きくなる)。
【0119】
本実施例では、(2)において進行状況を示すバーを用いて処理状態の進捗を報知する演出を行っているが、この態様に限るものではなく、遊技者に処理中であることを認識させることが可能な態様であればよく、例えば砂時計を模した表示態様で進行状況を演出してもよいし、遊技機から台間ユニットへデータが運ばれている状況を模した態様としてもよい。
【0120】
また、表示する進行状況は、実際の処理時間に対応した表示でなくてもよく、処理中であることを示していればよい。本実施例においても、実際にデータを送信する時間ではなく、データの送信が可能となるまでの期間が遊技終了演出の表示期間となり、計数スイッチ105が操作されてから持球カウンタの値を示すデータの台間ユニット100への送信が開始されるまでの時間(最後の発射球が回収され、最後の特別図柄の変動表示が終了するまでの時間)に遊技終了演出が表示される。
【0121】
以上が実施例の説明となる。発射可能球数を台間ユニット100に移動させる計数スイッチ105の操作は、遊技が終了(発射を停止した状態で最後の特別図柄の変動が終了した状態)してから、又は遊技の終了間際に行われることがほとんどであるため、本実施例では、持球カウンタの値が0よりも大きければ(発射可能球数があれば)、いつでも計数スイッチ105の操作は有効としたが、特別図柄の保留記憶がある場合(又は保留記憶の数が上限値である場合)は、計数スイッチ105の操作を無効としてもよい。その場合、「保留記憶がなくなってから計数スイッチを操作してください」等の表示を行い、有効とする場合であっても、「特別図柄の変動が全て終了するまで時間がかかります」等の表示を行うのが好適である。
【0122】
また、特別図柄の保留記憶が残っている状態で計数スイッチ105が操作された場合は、該保留記憶の期待度を示す演出を操作結果表示部102dに表示してもよい。この場合、計数スイッチ105の操作を示す信号を払出発射制御装置84から主制御装置80に送信すると、保留記憶の数と、個々の保留記憶時に実施した先読判定の結果を示す信号を払出発射制御装置84を介して操作部装置102に送信する。操作部装置102は、受信した保留記憶の数に応じてキャラクタ等の表示を行い、該キャラクタは、同時に受信した先読判定の結果に応じて個々に表示態様を変化させる。この演出表示により、通常は遊技演出とは分離された表示装置において遊技に係る演出が行われることで意外性を発揮し興趣を向上させる。
【0123】
本実施例において遊技終了演出を実施する期間は、計数スイッチ105が操作されてから持球データを台間ユニット100に送信可能となるまでの期間となる。この期間は、計数スイッチ105の操作タイミングによって様々な長さとなる。最後の遊技球の発射から所定時間(10秒)が経過し、且つ、特別図柄の変動表示が保留記憶分も含めて全て終了した時点で計数スイッチ105が操作された場合は、該操作とほぼ同時に持球カウンタの値が台間ユニット100に送信されるため、操作結果表示部102dにおける遊技終了演出の表示は一瞬で終了するが、保留記憶分を含む変動表示が残った状態で計数スイッチ105が操作された場合には、全ての変動表示が終了するまでの時間の方が、最後の遊技球の発射から所定時間(10秒)経過するまでよりも時間が長くなるため、残りの特別図柄の変動表示時間に合わせて遊技終了演出の態様(特に進行状況を示すバー等の図形)を変化させるのが望ましい。
【0124】
この場合も、計数スイッチ105の操作を示す信号を主制御装置80に送信し、特別図柄の変動や保留記憶が残っていた場合は、先読判定による保留記憶分の変動時間と、現在変動分の残りの時間とを示す信号を払出発射制御装置84を介して操作部装置102に送信し、受信した時間に応じて遊技終了演出の態様を変化させる構成としてもよい。この場合は、終了するまで(持球データを台間ユニット100に送信するまで)の残り時間をそのまま表示し、時間の経過に合わせて残り時間表示を変化させてもよいし、進行状況バーの長さやパーセンテージ表示を変化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明の循環式遊技機によれば、遊技の終了時に循環式遊技機が記憶した持球データを精算するために計数スイッチを操作した場合において、最後に発射した遊技球が回収される時間が経過したことと、特別図柄の最後の変動が終了したことを条件として循環式遊技機が記憶した持球データを台間ユニットに送信する。この場合、発射球数と回収球数とが同一数とならなくても、明らかな異常状態と判断できなければ、発射球数と回収球数との差玉を機外に送信して担保とすることにより、問題なく精算を完了させることができる構成となっている。従って、発射球数と回収球数との計数比較が可能な循環式遊技機に適用することができる。
【0126】
6 演出図柄表示装置
80 主制御装置
84 払出発射制御装置
100 台間ユニット
102 操作部装置
102d 操作結果表示部
105 計数スイッチ
124 入賞検出センサ
125 非入賞検出センサ
131 減算センサ
図1
図2
図3
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図7
図8
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図10
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