【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1〜3、比較例1〜4)
表1に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜6を、油性成分7〜13と水(成分14)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、スラリーを調製した。なお、成分2及び6の配合量は、成分1〜13の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜13の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0042】
上記で得られたスラリーを平皿上に広げ、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去して粉体バルクを得た。
【0043】
次に、得られた粉体バルクを、アトマイザーで粉砕した。粉砕物を金皿に充填し、通常の乾式製法の条件で圧縮成型することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0044】
得られた粉末固型化粧料について、下記の方法にしたがって使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価した。また、粉末固型化粧料を作製したときの作業性について、下記の方法にしたがってスラリー乾燥の作業性及び作業時間を評価した。
【0045】
[使用性]
化粧品評価専門パネル10名に粉末固型化粧料を使用してもらい、使用性として「取れ易さ(塗布体への化粧料の取れ)」、「密着感(肌への付き)」、「滑らかな使用性」の観点から使用性を評価し、各自が以下の評価基準に従って5段階の評点を付し、更に得られた各パネルの評点を平均し、この平均点と以下の判定基準とに基づいて各項目をそれぞれ4段階で判定した。
[評価基準]
評点:
5点:非常に良好
4点:良好
3点:どちらともいえない
2点:やや不良
1点:不良
[判定基準]
◎:平均点が4.5点以上
○:平均点が3.5点以上4.5点未満
△:平均点が1.5点以上3.5点未満
×:平均点が1.5点未満
【0046】
[耐衝撃性]
粉末固型化粧料を、50cmの高さから厚さ50mmの合板上に10回落下させた後、粉末固型化粧料の状態を以下の評価基準に基づいて4段階で評価した。
◎:化粧料にヒビ、欠けが全くない
○:化粧料表面に極僅かなヒビ、欠けがある
△:化粧料に部分的なヒビ、欠けがある
×:化粧料全体的にヒビ、欠けがある
【0047】
[粉体の凝集]
粉末固型化粧料の表面状態を確認し、白色ブツの有無を目視で確認した。
◎:白色ブツなし
×:白色ブツあり
【0048】
[スラリー乾燥の作業性]
調製したスラリーが完全に乾燥するまでの時間を計測し、4段階で評価した。
◎:15時間以内
○:15時間を超え、20時間以内
△:20時間を超え、30時間以内
×:30時間を超える
【0049】
[作業時間]
粉体成分と油性成分の混合物20kgのスラリー調製にかかる時間を計測し、4段階で評価した。
◎:15分以内
○:15分を超え、25分以内
△:25分を超え、35分以内
×:35分を超える
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すとおり、油性成分の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し7〜15質量部、粉体の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し85〜93質量部、及び、水の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し60〜120質量部であるスラリーを調製して粉末固型化粧料を作製した実施例1〜3では、スラリー乾燥の作業性及び作業時間を大きく損なうことなく、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集のすべてに良好な結果を示す粉末固型化粧料が得られた。
【0052】
(実施例4〜11、参考例1〜4、比較例5、6)
表2又は表3に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜7を、油性成分8〜14と水の一部(成分15)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、混合物を調製した。なお、成分3及び7の配合量は、成分1〜14の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜14の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0053】
次に、混合物に水の残部(成分16)を加えてスラリーを調製した。
【0054】
上記で得られたスラリーを平皿上に広げ、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去して粉体バルクを得た。
【0055】
次に、得られた粉体バルクを、アトマイザーで粉砕した。粉砕物を金皿に充填し、通常の乾式製法の条件で圧縮成型することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0056】
得られた粉末固型化粧料について、上記と同様の方法にしたがって使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価した。
【0057】
また、粉末固型化粧料を作製したときの作業性について、下記の方法にしたがってスラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間を評価した。
【0058】
[スラリー作製時の粉飛び]
粉体成分と一部の水を含む油性成分の混合物20kgに残りの水を加えてスラリー調製する際の粉飛びがなくなるまでの時間を計測し、4段階で評価した。
◎:5分以内
○:5分を超え、10分以内
△:10分を超え、15分以内
×:15分を超える
【0059】
[粉体の分散性]
粉体成分と一部の水を含む油性成分をスーパーミキサーで撹拌したあとの混合物の状態を観察し、4段階にて評価した。
◎:混合物が完全に粉末状態である。
○:混合物が粉末状態であるが、一部顆粒状態のものがある。
△:混合物が全て顆粒状態である。
×:混合物が顆粒状と大きな塊が混ざった状態である。
【0060】
[作業時間]
粉体成分と油性成分の混合物20kgのスラリー調製にかかる時間を計測し、4段階で評価した。
◎:15分以内
○:15分を超え、25分以内
△:25分を超え、35分以内
×:35分を超える
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
表2及び3に示すとおり、油性成分の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し7〜15質量部、粉体の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し85〜93質量部、及び、水の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し60〜120質量部であるスラリーを調製するに際し、水の配合量が粉体及び油性成分の合計配合量100質量部に対し5〜15質量部である混合物を調製する2段階スラリー調製を行った実施例4〜11では、スラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間が良好となり、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集のすべてに良好な結果を示す粉末固型化粧料が更に作業性よく得られた。
【0064】
スラリー調製を1段で行った参考例1及び3では、スラリー作製時の粉飛びが発生しやすく、実施例4〜7に比べて作業時間に劣る結果となった。
【0065】
混合物における水の配合量が粉体及び油性成分の合計配合量100質量部に対し15質量部を超える参考例2及び4では、粉体の分散性が悪く、実施例4〜7に比べて作業時間にやや劣る結果となった。
【0066】
スラリーにおける油性成分の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し5質量部であり、粉体の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し95質量部である比較例5では、粉末固型化粧料の使用性及び耐衝撃性が劣る結果となり、スラリーにおける油性成分の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し17質量部であり、粉体の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し83質量部である比較例6では、粉末固型化粧料の使用性が劣る結果となった。
【0067】
(実施例12〜14)
表4に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜6を、油性成分7〜16と水の一部(成分17)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、混合物を調製した。なお、成分2及び6の配合量は、成分1〜16の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜16の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0068】
次に、混合物に水の残部(成分18)を加えてスラリーを調製した。
【0069】
上記で得られたスラリーを平皿上に広げ、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去して粉体バルクを得た。
【0070】
次に、得られた粉体バルクを、アトマイザーで粉砕した。粉砕物を金皿に充填し、通常の乾式製法の条件で圧縮成型することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0071】
得られた粉末固型化粧料について、上記と同様の方法にしたがって使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価した。また、上記と同様の方法にしたがってスラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間を評価した。
【0072】
【表4】
【0073】
(実施例15〜17、比較例7、8)
表5に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜5を、油性成分6〜12と水(成分13)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、スラリーを調製した。なお、成分2、4及び5の配合量は、成分1〜12の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜12の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0074】
上記で得られたスラリーを、金皿に充填し、通常の湿式製法の条件で圧縮成型した後、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0075】
得られた粉末固型化粧料について、実施例1で行った評価と同様の方法で、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価した。また、粉末固型化粧料を作製したときの作業性について、実施例1で行った評価と同様の方法で作業時間を評価した。
【0076】
【表5】
【0077】
表5に示すとおり、油性成分の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し7〜15質量部、粉体の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し85〜93質量部、及び、水の配合量が油性成分及び粉体の合計100質量部に対し60〜120質量部であるスラリーを調製して粉末固型化粧料を作製した実施例15〜17では、作業時間を大きく損なうことなく、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集のすべてに良好な結果を示す粉末固型化粧料が得られた。
【0078】
(実施例18〜20、参考例5、6)
表6に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜5を、油性成分6〜12と水の一部(成分13)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、混合物を調製した。なお、成分2、4及び5の配合量は、成分1〜12の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜12の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0079】
次に、混合物に水の残部(成分14)を加えてスラリーを調製した。
【0080】
上記で得られたスラリーを、金皿に充填し、通常の湿式製法の条件で圧縮成型した後、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0081】
得られた粉末固型化粧料について、実施例1で行った評価と同様の方法で、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価し、粉末固型化粧料を作製したときの作業性について、実施例4で行った評価と同様の方法でスラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間を評価した。
【0082】
【表6】
【0083】
表6に示すとおり、2段階スラリー調製を行った実施例18〜20では、スラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間が良好となり、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集のすべてに良好な結果を示す粉末固型化粧料が更に作業性よく得られた。
【0084】
スラリー調製を1段で行った参考例5では、スラリー作製時の粉飛びが発生しやすく、実施例18〜20に比べて作業時間に劣る結果となった。
【0085】
混合物における水の配合量が粉体及び油性成分の合計配合量100質量部に対し15質量部を超える参考例6では、粉体の分散性が悪く、実施例18〜20に比べて作業時間にやや劣る結果となった。
【0086】
(実施例21及び22)
表7に示される配合量(質量部)で、粉体成分1〜8を、油性成分9〜16と水の一部(成分17)とを予め混合した混合物に、室温にて分散し、混合物を調製した。なお、成分3、7及び8の配合量は、成分1〜16の全量が100質量部となるように調整した。また、表に示される水の混合量は、化粧料基材となる成分1〜16の全量を100質量部としたときの質量部を示す。
【0087】
次に、混合物に水の残部(成分18)を加えてスラリーを調製した。
【0088】
上記で得られたスラリーを、金皿に充填し、通常の湿式製法の条件で圧縮成型した後、温風乾燥により50〜100℃で乾燥し水を除去することにより粉末固型化粧料を作製した。
【0089】
得られた粉末固型化粧料について、実施例1で行った評価と同様の方法で、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集を評価し、粉末固型化粧料を作製したときの作業性について、実施例4で行った評価と同様の方法でスラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間を評価した。
【0090】
表7に示すとおり、実施例21及び22では、スラリー作製時の粉飛び、粉体の分散性及び作業時間が良好となり、使用性、耐衝撃性及び粉体の凝集のすべてに良好な結果を示す粉末固型化粧料が更に作業性よく得られた。
【0091】
【表7】