(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281138
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】充電ケーブル保持構造
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 301B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-89769(P2014-89769)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-211483(P2015-211483A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】作田 征勝
【審査官】
小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−192320(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0021162(US,A1)
【文献】
特開2013−043717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ケーブルを充電ケーブル支持具に巻き付けて保持させる充電ケーブル保持構造であって、
該充電ケーブル支持具が、
背面板と、該背面板の上端から前方に延設させた上側壁と、該背面板の左右側端から、各々、前方に延設させた左側壁と右側壁を有し、
前記上側壁、および、左側壁と右側壁を、前記充電ケーブルの巻き付け作業時に充電ケーブルを当接させて巻き付け位置にガイドするガイド部とするとともに、
前記上側壁、および、左側壁と右側壁で囲まれた内部空間を形成し、充電ケーブルを収納可能としたことを特徴とする充電ケーブル保持構造。
【請求項2】
該背面板の下端から前方に延設させた下側壁を有することを特徴とする請求項1記載の充電ケーブル保持構造。
【請求項3】
前記左側壁と右側壁を、
各々、上側壁の左右両端位置より外側に設け、
上側壁と左側壁、および、上側壁と右側壁との間に切欠空間を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の充電ケーブル保持構造。
【請求項4】
前記左側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部を設け、
前記右側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部を設けたことを特徴とする請求項1記載の充電ケーブル保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ケーブル保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッドカーの充電は、充電装置とこれらの車両を充電ケーブルで接続して行われる。
【0003】
充電ケーブルを、充電装置に保持させておく構造として、充電装置の筐体内で上下2カ所に充電ケーブル支持具を配置し、この上下の充電ケーブル支持具の外周側に充電ケーブルを巻き付ける構造(特許文献1、2)や、充電ケーブル支持具の外周側に巻き付けた充電ケーブルの外周側に、充電ケーブル保持用のケーブルガードを設け、ケーブルガードで囲まれた空間内に充電ケーブルを保持する構造(特許文献2)が開示されている。
【0004】
しかし、上記の従来技術では、充電ケーブルの巻き付け位置が所定箇所に固定されており、例えば、長尺の充電ケーブルの内、充電コネクタの近傍にあって頻繁に引き出して使用される先端側部分と、車両側の給電口と充電装置との距離が離れている場合に引き出して使用される末端側部分とを区分しておきたい等の、各ユーザの要望に柔軟に対応できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−210072号公報
【特許文献2】特開2012−19610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、充電ケーブルを充電ケーブル支持具に巻き付けて保持させる際、充電ケーブルの巻き付け位置を、ユーザが必要に応じて選択することができる充電ケーブル保持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、充電ケーブルを充電ケーブル支持具に巻き付けて保持させる充電ケーブル保持構造であって、該充電ケーブル支持具が、背面板と、該背面板の上端から前方に延設させた上側壁と、該背面板の左右側端から、各々、前方に延設させた左側壁と右側壁を有し、前記上側壁、および、左側壁と右側壁を、前記充電ケーブルの巻き付け作業時に充電ケーブルを当接させて巻き付け位置にガイドするガイド部とするとともに、前記上側壁、および、左側壁と右側壁で囲まれた内部空間を形成し、充電ケーブルを収納可能としたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の充電ケーブル保持構造において、該背面板の下端から前方に延設させた下側壁を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の充電ケーブル保持構造において、前記左側壁と右側壁を、各々、上側壁の左右両端位置より外側に設け上側壁と左側壁、および、上側壁と右側壁との間に切欠空間を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の充電ケーブル保持構造において、前記左側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部を設け、前記右側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の充電ケーブル保持構造では、充電ケーブルを充電ケーブル支持具に巻き付けて保持させる充電ケーブル保持構造において、該充電ケーブル支持具が、背面板と、該背面板の上端から前方に延設させた上側壁と、該背面板の左右側端から、各々、前方に延設させた左側壁と右側壁を有する構造とし、前記上側壁、および、左側壁と右側壁を、前記充電ケーブルの巻き付け作業時に充電ケーブルを当接させて巻き付け位置にガイドするガイド部とするとともに、前記上側壁、および、左側壁と右側壁で囲まれた内部空間を形成し、充電ケーブルを収納可能としているため、充電ケーブルを充電ケーブル支持具に巻き付けて保持させる際、充電ケーブルの巻き付け位置を、ユーザが必要に応じて選択することができる。具体的には、充電ケーブル支持具に充電ケーブルを巻き取る際、巻き取った充電ケーブルを前記上側壁と左側壁と右側壁の内側に形成される空間に保持する場合には、上側壁の上面と左側壁の右面と右側壁の左面に充電ケーブルを沿わせてガイドさせながら巻き取り作業を行うことができる。また、巻き取った充電ケーブルを前記上側壁と左側壁と右側壁の外側に形成される空間に保持する場合には、上側壁の上面と左側壁の左面と右側壁の右面に充電ケーブルを沿わせてガイドさせながら巻き取り作業を行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明のように、更に、背面板の下端から前方に延設させた下側壁を有する構造とすることにより、巻き取った充電ケーブルを前記左側壁と右側壁の内側に形成される空間に保持する場合に、上側壁の下面と下側壁の上面、左側壁の右面と右側壁の左面に当接して充電ケーブルの広がりを防止し、該空間内で充電ケーブルを保持することができ、巻き取った充電ケーブルを安定して保持することができる。
【0013】
請求項3記載の発明のように、左側壁と右側壁を、各々、上側壁の左右両端位置より外側に設け、上側壁と左側壁、および、上側壁と右側壁との間に切欠空間を形成する構造とすることにより、充電ケーブルが充電ケーブル支持具に巻き付けられた状態において、充電ケーブルの曲げを小さくして巻き付けることや切欠空間を充電ケーブルが通過可能とするので、充電ケーブルをコンパクトに収納することが可能である。
【0014】
請求項4記載の発明のように、左側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部と、前記右側壁の前端から、左方向に延設させた突出部と右方向に延設させた突出部を設ける構造とすることにより、充電ケーブル支持具に巻き付けられた充電ケーブルが、前方方向から脱落することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の充電ケーブル保持構造を有した充電装置の全体斜視図である。
【
図5】充電ケーブルを巻き付けた状態を示す上側壁の背面側斜視図である。
【
図6】第1の実施形態における充電ケーブル保持構造の説明図である。
【
図7】第2の実施形態における充電ケーブル保持構造の説明図である。
【
図8】第3の実施形態における充電ケーブル保持構造の説明図である。
【
図9】第4の実施形態における充電ケーブル保持構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0017】
本発明の充電ケーブル保持構造は、
図1に示すように、充電装置1の下方に配置された充電ケーブル支持具2に、非充電時の充電ケーブル5や使用時の充電ケーブル5の余長部分を巻き付けて保持させるための構造に関するものである。
【0018】
本実施形態の充電装置1は、筺体3内部に、コンセントユニットや充電ケーブルの先端に設けた充電コネクタを非充電時に収容する充電コネクタ収納部等を備え、筐体3は支持台4に固定して立設されている。
【0019】
本実施形態では、充電ケーブル支持具2は、板金加工された板材から構成され、充電ケーブル支持具2に取り付けて固定されている。他の実施形態として、充電ケーブル支持具2を樹脂部材等、他の素材で構成することもできる。また、本実施形態においては筐体3の下方位置に設置されているが、筐体3内に充電ケーブル支持具2を形成しておくことや、充電ケーブル支持具2は独立した自立部材に構成したり、他の壁面(例えば、隣接する家屋等の壁面)に固定した構造とすることもできる。
【0020】
本実施形態の充電ケーブル支持具2は、
図2、3に示すように、背面板6と、背面板6の上端から前方に延設させた上側壁7と、上側壁7より下方位置で、背面板6の左右側端から、各々、前方に延設させた左側壁8と右側壁9と、背面板6の下端から前方に延設させた下側壁10を有している。本実施形態では、上側壁7と左側壁8と右側壁9と下側壁10は、全て、背面板6を折り曲げて形成しているが、他の実施形態として、各壁を構成する板材を、背面板6に溶接する構造とすることもできる。このような上側壁7、左側壁8、右側壁9、下側壁10を、充電ケーブル5を当接させて巻き付け位置にガイドするガイド部として選択自在に利用可能としている。
【0021】
図4に示すように、上側壁7は、上側壁7の前方端部から上方に延設させた上側壁突出片11と、上側壁7の左右側端部を上方に折り曲げた折曲片12と、折曲片12の上端部を上側壁7の中央側に向けて傾斜させた傾斜辺13を有している。上側壁7の上面側に充電ケーブル5の巻き付けを行う場合、巻き付けられた充電ケーブル5は、
図5、6、7に示すように、傾斜辺13によって保持されている。これらの実施形態において、上側壁突出片11は、充電ケーブル5がその保持位置から前方への落下することを防止する機能を果たしている。そして、折曲片12や傾斜片13は上側壁7の補強部材となることは勿論のこと、充電ケーブル5を傾斜片13に保持させることが可能で、上側壁7の上面より浮かせた位置に形成しているため、充電ケーブル5と上側壁7の間に指を差込むスペースが生じ、充電ケーブル5を充電ケーブル支持具2より取外しを容易としている。
【0022】
図2に示すように、下側壁10は、下側壁10の前方端部から下側突出片24を備えている。下側突出片24は下側壁10の前方端部から上方に延設した第1の下側壁突出片19と、下側壁10の前方端部から下方に延設させた第2の下側壁突出片23とからなる。また、下側壁10の左右側端部を下方に折り曲げた折曲片20と、折曲片20の下端部を下側壁10の中央側に向けて傾斜させた傾斜辺21を有している。上側壁7と左側壁8と右側壁9と下側壁10で囲まれた空間(以下、中央空間22という)内で充電ケーブル5を収納可能で、
図8に示すように、巻き付けられた充電ケーブル5の下端部は下側壁10で保持される。このように、充電ケーブル支持具2に充電ケーブル5を巻き取る際、充電ケーブル5を上側壁7と、左側壁8と右側壁9の内側に形成される内部空間22に収納可能で、また、充電ケーブル5を上側壁7と、左側壁8と右側壁9の外側に充電ケーブル5を沿わせてガイドさせながら巻き取り作業を行うことができる。よって、上側壁7、および、左側壁8と右側壁9をガイド部として使用して、充電ケーブル5の巻き付け位置を、ユーザが必要に応じて選択することができるものである。
【0023】
図2に示すように、左側壁8は、その前端を左方向に延設させた第1突出部14と右方向に延設させた第2突出部15を、交互に備え、右側壁9は、その前端を左方向に延設させた第3突出部16と右方向に延設させた第4突出部17を、交互に備えている。なお、本実施形態では、各突出部を、各壁の前端から延設させて形成しているが、他の実施形態として、各側壁の中央付近からさせて形成することもでき、また各側壁の前端に形成した各突出部を1つずつ形成することもできる。この構成により、充電ケーブル支持具2に巻きつけられた充電ケーブル5が、下側突出片24や各突出部により前方方向から脱落することを防止するものである。
【0024】
図2、3に示すように、左側壁8と右側壁9を、各々、上側壁7より下方位置で、下側壁10より上方位置、かつ、上側壁7および下側壁10の左右両端位置より外側に設ける。つまり、上側壁7と左側壁8、および、上側壁7と右側壁9、および、下側壁10と左側壁8、および、下側壁10と右側壁9との間に、切欠空間18を形成するように各側壁が形成している。各側壁の外面に沿って巻き付ける場合でも、充電ケーブル5の曲げを小さくしつつ充電ケーブル支持具2に巻き付けることが可能となるので充電ケーブル5をコンパクトに収納可能となり、また、上側壁7及び下側壁10の左右両端位置と左側壁8及び右側壁9間の切欠空間18より充電ケーブル5を通過させ、充電ケーブル5を左側壁8及び右側壁9の内面にガイドさせ、コンパクトに収納可能としている。
【0025】
上記のような構成により、充電ケーブル5を充電ケーブル支持具2に巻き付けて保持させる際、充電ケーブル5の巻き付け位置を、ユーザが必要に応じて選択することができる。以下に充電ケーブル5の巻き付け例について説明するものである。
【0026】
具体的には、例えば、
図6に示すように、上側壁7の上面と左側壁8の左面と右側壁9の右面に充電ケーブル5を沿わせてガイドさせながら、充電ケーブル支持具2の外周に巻き取り作業を行ったり、
図7に示すように、上側壁7の上面に沿わせるようにガイドした充電ケーブル5を切欠空間18から、中央空間22に導き、左側壁8の右面と右側壁9の左面に充電ケーブル5を沿わせてガイドさせながら巻き取り作業を行ったり、
図8に示すように、上側壁7の下面と左側壁8の右面と右側壁9の左面と下側壁10の上面に充電ケーブル5を沿わせてガイドさせながら、充電ケーブル支持具2の内部空間22に収納したり、
図9に示すように、充電ケーブル支持具2の内部空間22および外面の両方を用いて巻き取り作業を行うことができる。
【0027】
図6に示す実施形態の場合、第1突出部14と第4突出部17と、上側突出片11及び第2の下側壁突出片23が、充電ケーブル5がその保持位置から前方へ落下することを防止する機能を果している。
【0028】
図7に示す実施形態の場合、第2突出部15と第3突出部16が、充電ケーブル5がその保持位置から前方への落下することを防止する機能を果たすとともに、巻き取った充電ケーブル5が左右方向に拡がることを防止する機能を果たしている。
【0029】
図8に示す実施形態の場合、第1の下側壁突出片19と第2突出部15と第3突出部16が、充電ケーブル5がその保持位置から前方への落下することを防止する機能を果たすとともに、各側壁により充電ケーブル5が左右方向及び上下方向に拡がることを防止する機能を果たしている。
【0030】
図9に示す実施形態の場合、充電ケーブル5が長い場合においては、通常取り外して使用しない長さの充電ケーブル5を充電ケーブル支持具2の中央空間22に収納しておき、通常取り外して使用する長さの充電ケーブル5は充電ケーブル支持具2の外面に沿って巻きつけるようにすることが可能である。場合によっては中央空間22に収納した充電ケーブル5を取り出して、充電ケーブル5の引き出し長さを調整することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 充電装置
2 充電ケーブル支持具
3 筺体
4 支持台
5 充電ケーブル
6 背面板
7 上側壁
8 左側壁
9 右側壁
10 下側壁
11 上側壁突出片
12 折曲片
13 傾斜辺
14 第1突出部
15 第2突出部
16 第3突出部
17 第4突出部
18 切欠空間
19 第1の下側壁突出片
20 折曲片
21 傾斜辺
22 中央空間
23 第2の下側壁突出片
24 下側突出片