(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニッパー駆動用アクチュエータおよび前記回転用アクチュエータは、エアシリンダもしくはモータシリンダで構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子基板リード切断装置。
前記リード切断機構移動手段および前記基板設置台を設置するベース台上の予め指定された位置に設置されて、前記電子基板の裏面からのリード線露出高さを検出するリード線露出高さ測定手段と、
前記リード線露出高さ測定手段の測定値を記録する記録手段と、
該記録手段に記録された測定値および測定した位置座標を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電子基板リード切断装置。
【背景技術】
【0002】
電子基板の製造工程上では、はんだリフロー工程後にリード線を所定の長さにカット(切断)する工程が必須となる。
図26は、従来から知られている一般的な電子基板の概要を示す図である。この電子基板510をはんだリフロー工程に投入して電子部
品のリード
線にはんだを付着させるようにしている。
【0003】
図27は、従来のはんだリフロー工程後の電子部品リード線周辺の様子を示す模式図である。同図において、電子基板510から
電子部品550のリード線540の先端までのリード線長は、ハウジングされるものと干渉しないように、それぞれの製造元で例えば1.0乃至2.0mm内に収まるようにリード線高さを管理している。
【0004】
その場合、現状では、切断対象となるリード線540の数が多く且つそのリード線位置が点在していることから、リード線の切断を自動化することは困難とされているため、ヒト(作業者)がニッパーによる手作業でリード線を一本ずつ切断する作業を行っている。
【0005】
図28は、作業者がニッパーを用いてリード線を切断した場合のリード線切断部の拡大図である。
図28に示されるように、ニッパー刃
(切断刃)520を開いた状態で対象リード線540に接近し、ニッパー刃520を閉じて対象リード線540を切断している。
【0006】
対象リード線540を切断する際には、ニッパー刃520の鋭利度合い、対象リード線540の材質、ニッパー切断力のバラつき等で、対象リード線540の切断状況が
図28の(1)〜(3)に示すようにばらつく。特にニッパー刃520が潰れてきた場合、
図28の(3)に示すように、対象リード線540を切り落としたつもりでもリード線が伸びて切り落とせない場合がある。この場合、作業者がニッパー操作した後、そのまま手首を捻って対象リード線540の切り残しを引っ張り落とすようにしている。
【0007】
下記に示す特許文献1は、切断刃部2aを保持台3に取付け、該保持台を基台5に垂直に起立して軸6を介して回転自在に支持し、これら基台5と保持台3に、上記切断刃部2aが常に原位置に戻るように基台5に対する保持台3の回転位置を制御する位置制御手段(マグネット7,8)を備える切断装置を開示している。
【0008】
また下記に示す特許文献2は、部品がリードを用いて取り付けられているプリント配線板から前記部品を分離する部品分離装置であって、前記プリント配線板と前記部品との間に入れて前記部品を前記プリント配線板から切断して分離する鋸刃を備えた部品分離装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したリード線の切断作業は、作業者の熟練度に大きく依存し、作業スピードのばらつき、リード線長のばらつき、フィレット530の破損などが発生してその修正のために作業ロスが発生してしまうため生産量が安定しないという課題がある。
【0011】
更には、ヒト(作業者)がニッパーを操作して対象リード線を切断するという単純作業を繰り返し行うことによる疲労により、作業スピードが低下するばかりでなく、ニッパー操作による傷病(例えば、腱鞘炎)が懸念される。そのため電子基板リード線の切断作業を人手によらず機械化・自動化することが切望されている。
【0012】
そこで本発明の目的は、電子基板リード切断装置に電子基板を載置するだけで、自動的に電子基板裏面のリード線高さを所定値以内に切断することが可能な電子基板リード切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明の電子基板リード切断装置は、基板上に複数の電子部品が実装された電子基板の製造装置において、
前記電子基板を載置する基板設置台と、
前記電子基板に設けられる複数の位置決め穴に嵌合するよう前記基板設置台上に設けられる位置決めピンと、
前記基板設置台の側面に設置され前記電子基板を挟持する基板固定手段と、
前記電子基板の裏面側に配置されるニッパーを有するリード切断機構部と、
該リード切断機構部を前記電子基板と平行に移動させるリード切断機構移動手段と、
少なくとも前記基板固定手段および前記リード切断機構部を制御する制御手段と、
該制御手段に作業者が駆動指示を与える操作盤と、を備え、
前記リード切断機構部は、
前記電子基板の裏面側に露出するリード線を切断するニッパーと、
該ニッパーの刃先が離れる方向に付勢する付勢手段と、
前記ニッパーの刃先を離接するように駆動するニッパー駆動用アクチュエータと
該ニッパー駆動用アクチュエータの駆動力を前記ニッパーに伝えるニッパー駆動用カムと、
該ニッパー駆動用カム上を周動するローラーと、
前記ニッパーの刃先周辺が前記電子基板から離接するように回転支持するリード切断機構回転支持部と、
を有することを特徴とする。
【0014】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、前記リード切断機構回転支持部を中心に前記リード切断機構部を駆動する回転用アクチュエータをさらに有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、前記ニッパー駆動用アクチュエータおよび前記回転用アクチュエータは、エアシリンダもしくはモータシリンダで構成されることを特徴とする。
【0016】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、前記基板設置台を設置するベース台上の予め指定された位置に設置されて電子基板の有無を検出する検出手段と、前記基板設置台に載置され、前記基板固定手段により固定された前記電子基板が固定面から規定の量だけ離れたことを検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、前記リード切断機構移動手段および前記基板設置台を設置するベース台上の予め指定された位置に設置されて、前記電子基板の裏面からのリード線露出高さを検出するリード線露出高さ測定手段と、前記リード線露出高さ測定手段の測定値を記録する記録手段と、該記録手段に記録された測定値および測定した位置座標を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、切断後の切り屑を飛散させずに集塵する集塵部と、集塵した前記切り屑を外部廃棄するまでに一時的に保管する保管部と、前記集塵部から前記保管部への間にあって前記切り屑を搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また本発明の電子基板リード切断装置は、上記において、電子部品が実装された子基板が並列に配置された複数取りが可能な複数種類の電子基板のリード切断を同時処理できるようにするために、前記リード切断機構部を並列に2台以上取り付ける手段と、前記リード切断機構部の間隔を調整する手段と、前記リード切断機構部の切断高さを調整する手段と、前記リード切断機構部の間隔調整する際に当該間隔を制御する制御手段と、該制御手段に対する前記間隔を作業者が指示するための操作盤と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本発明の電子基板リード切断装置に電子基板を載置するだけで、自動的に電子基板裏面のリード線高さを所定値以内に切断することが可能となることにより、生産量を安定させることができる。
(2)本発明の電子基板リード切断装置でリード線を切断することで、作業者の手作業のように作業スピード及びリード線長のばらつき及びフィレット破損ミスを発生させることなく、製品品質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部の外観を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置のリード切断機構部の構成例を示す図である。
【
図3】
図2に示したリード切断機構部の側断面を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部を組み込んだ、電子基板リード切断装置全体の様子を示す斜視図である。
【
図5】
図4のB視点から見た載置済の電子基板の表裏面の様子を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電子基板を設置する基板設置部を拡大して示した図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る基板固定手段を拡大して示した図である。
【
図8】
図6に示した基板設置部を中央からC視点方向に見た様子を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るリード切断機構部による切断作業の動作プロセスを示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その1)の構成を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その2)の構成を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その3)の構成を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における電子基板の有無と電子基板の距離測定により基板浮きを検出する検出手段の概要を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部の切断の衝撃力により電子基板の浮き上がりが発生することを示す図である。
【
図15】
図14に示す電子基板の浮き上がりがどの部位で大きくなるかを示す模式図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における電子基板の有無の検出及び電子基板の距離測定により基板浮きを検出する検出手段の詳細構成を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構により切断されたリード線の切断高さの合否判定の概要を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係るリード線露出高さ測定・切断位置検知手段の設置位置を示す断面図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置におけるリード線切断後のリード線露出高さ測定手段の詳細構成を示す図である。
【
図20】
図19とは異なる、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置におけるリード線切断後のリード線露出高さが規定値を超えていないかを測定する測定手段の構成を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態に係るリード切断機構部の切断部の動作プロセスを示す図である。
【
図22】リード線切り屑飛散防止機能を組み込んだ本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の構成を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部の動作を示す図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の他の構成例を示す図である。
【
図25】
図24に示す構成例で使用するリード切断対象となる複数取り可能な電子基板例の概要を示す図である。
【
図26】従来から知られている一般的な電子基板の概要を示す図である。
【
図27】従来のはんだリフロー工程後の電子部品リード線周辺の様子を示す模式図である。
【
図28】作業者がニッパーを用いてリード線を切断した場合のリード線切断部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部の外観を示す図であり、作業者(ヒト)によるリード切断作業を模擬して実現したものである。
図1に示される本発明の切断機構部10においては、切断部(ニッパー部)200の切断刃(ニッパー刃)220がリード線400をカットした後に、切断刃(ニッパー刃)220の刃先を閉じた状態で電子基板100から退避するような動作をすることで、切り残したリード線400を強制的に切り落とすことができるようにしたものである。
【0023】
図1に示した切断機構部の左図において、まずリード線400に対するリード線の高さ調整を切断機構部の回転中心40による回転操作により行う。左図におけるA視点から見た図が中央部に示され、右図はリード線400を切断した後の切断部(ニッパー部)200の動きを示すものである。左図のA視点から見た図、すなわち中央部に示された図において、切断刃駆動用アクチュエータ227が起動し、それに伴ってニッパー(切断刃)駆動用カム210が動作することでニッパー刃220が閉じ、リード線400を切断する。次に、右図に示される回転用アクチュエータ230が起動することでカムフォロワ(後述する)がカム(後述する)を経由して上部のニッパー部200が回転し、ニッパー刃220が閉じたままリード線400を切り落とす。図示例では切り落とされたリード線が飛び散るように図示されているが、実際には切り落とされたリード線は飛び散ることなく不図示の集塵部で集塵された後に屑箱(図示せず)に回収されるようになっている。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置のリード切断機構部の構成例を示す図であり、
図3は、
図2に示したリード切断機構部の側断面を示す図である。
図2に示されるようにリード切断機構部10は、先端にリード線400をカットするニッパー部200を備える。ニッパー部200は切断刃L(222)と切断刃R(223)がニッパー支点221で回転可能にされている。更に、図示しないバネなどの付勢手段で、切断刃L(222)と切断刃R(223)は、刃先が離れる方向に付勢される。
【0025】
ニッパー部200の刃先と逆側には、ニッパー部200の切断動作を行う切断刃(ニッパー)駆動用アクチュエータ227としてエアシリンダを設置している。更に、当該エアシリンダ227には、エアシリンダの直線運動を、ニッパー開閉駆動するための回転運動に変換する為、ニッパー(切断刃)駆動用カム226を設置している。ニッパー部200のニッパー(切断刃)駆動用カム226側は、図中のニッパーアームR(224)及びニッパーアームL(225)のように先端にローラーを設置した状態で構成されており、このローラーが切断刃駆動用カム226上を周動することで、ニッパー部200がエアシリンダ227に連動して動く。これにより、エアシリンダ227が退避した状態で切断刃222,223が開き、エアシリンダ227が突出した状態で切断刃222,223が閉じる動作を行う。
【0026】
図3に示されるように、リード切断機構部10は、ニッパー部200の刃先部分が電子基板面110から所定のクリアランスを確保するように設置されているが、この位置を上限として、ニッパー部200の刃先部分が離接するようにリード切断機構回転支持部13にて回転支持されている。リード切断機構部10のリード切断機構回転支持部13と反対面には、リード切断機構回転用カム12が設置されている。リード切断機構回転用カム12は、回転用アクチュエータ230として設置したエアシリンダに取り付けられたカムフォロア240が周動するように構成されている。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部を組み込んだ、電子基板リード切断装置全体の様子を示す斜視図である。
図4において、装置中央には、電子基板100を設置する台が設けられ、当該台上に突出する位置決めピン(後述する)に沿わせて電子基板100を載置することで、電子基板100が所定の位置に位置決めされるようになっている。中央上部には、本発明の電子基板リード切断装置の制御手段(図示せず)に命令信号を入力する操作盤500が設けられている。
【0028】
図5は、
図4のB視点から見た載置済の電子基板の表裏面の様子を示す図である。電子基板100の両側には、電子基板端部を挟持する基板固定手段600と、裏面側にはニッパー刃220を備えたリード切断機構部10が設置されている。リード切断機構部10は、ロボシリンダ(登録商標)などのスライド式のリード切断移動手段20に搭載され、当該リード切断移動手段20により電子基板100を平行に2次元のX,Y方向に移動できるよう構成している。作業者が操作盤500を介して本発明の電子基板リード切断装置に起動信号を入力すると、基板固定手段600が作動し電子基板100の両端が挟持される。次に制御手段(後述する)に予め入力されたリード線切断位置の情報により、上記スライド式のリード切断移動手段20を動作させてリード切断機構部10を対象となるリード線の切断位置まで移動させて、対象となるリード線400の切断作業を行う。
【0029】
図6は、本発明の実施形態に係る電子基板を設置する基板設置部を拡大して示した図である。基板設置部には、電子基板100を設置する基板設置台150、及び、基板設置台150の側面の両側には基板固定手段600が設置されている。本発明装置の起動と共に載置された電子基板100を、基板固定手段駆動手段620により回転駆動した基板固定手段600で電子基板100の両端を挟持する。
【0030】
図7は、本発明の実施形態に係る基板固定手段を拡大して示した図である。本発明装置への起動信号を受けると、基板固定手段駆動手段620が伸長し、基板固定部回転軸640を中心に基板固定部60を回転駆動し、電子基板100の端部を挟持することで、電子基板100を固定する。
【0031】
図8は、
図6に示した基板設置部を中央からC視点方向に見た様子を示す図である。
図8において、基板固定手段600の台座部分には、電子基板100に設けられた複数の位置決め穴と同箇所に、基板の位置ズレを防止する位置決めピン30が設けられている。制御手段(図示せず)においては、位置決めピン30と切断対象となるリード線400の位置関係をマップ化して記録装置内に保持しているのでプログラム(図示せず)によりリード線400の切断制御を容易に実行することができる。
【0032】
図8に示されるように基板設置台に設置された電子基板100の裏面側には、リード切断機構部10が設けられている。リード切断機構部10のニッパー刃先端は、電子基板100の裏面から所定のクリアランスが確保されるように配置している。更に、リード切断機構部10の下部には、電子基板100と所定のクリアランスを保って平行にX軸,Y軸の2方向に移動可能なリード切断移動手段20が設けられている。基板固定手段600、リード切断機構部10、リード切断移動手段20は、図示省略された制御手段によって動作が制御される。これらについては後述する。
【0033】
図9は、本発明の実施形態に係るリード切断機構部による切断作業の動作プロセスを示す図である。
図9において、プロセス(1)は、初期状態を示し、プロセス(2)は、リード線400のリード切断状態を示し、プロセス(3)は、切断後の切り落とし状態を示し、プロセス(4)は、他のリード線位置への刃先移動状態を示し、プロセス(5)は、刃先移動先での刃先開放状態を示し、プロセス(6)は、切断準備状態を示している。
【0034】
そしてリード切断機構部10が回転動作を行うことによって、プロセス(3),(4)に示されるように切落し効果の他に、対象リード線400間の移動時間の短縮を図ることが可能となる。またプロセス(4)に示されるように次のカット対象位置に切断刃222,223を移動する際に、リード線400の切り落としをしていない領域においても、リード線400と切断刃222,223の干渉を気にすること無く、次の対象リード線400の直下の位置に直線移動して、プロセス(6)に示されるように切断刃222,223を上昇させれば良いので、リード切断制御の為のプログラミングを簡略化することができる。
【0035】
図10は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その1)の構成を示す図である。同図において、切断機構(その1)は、先端にリード線400をカットする切断部200を備える。切断部200は切断刃L(222)と切断刃R(223)が切断刃支点221で回転可能に設置されている。更に、図示されていないがバネなどの付勢手段で、切断刃L(222)と切断刃R(223)は、刃が互いに離れる方向に付勢される。
【0036】
切断部200の刃先と逆側には、切断刃開閉を行う切断刃駆動用アクチュエータ227としてエアシリンダが設置されている。更に、エアシリンダ227には、エアシリンダの直線運動を、切断刃開閉駆動するための回転運動に変換するために、切断刃駆動用カム210が設置されている。切断部200の切断刃駆動用カム210側は、図中の切断刃L(222)と切断刃R(223)のように先端にローラーが設置された状態で構成されており、このローラーが切断刃駆動用カム210上を周動することで、切断部200がエアシリンダ227に連動して動く。これにより、エアシリンダ227が退避した状態で切断部200が開き、エアシリンダ227が突出した状態で切断部200が閉じる動作を行う。
【0037】
切断機構(その1)は、切断刃先部分が電子基板面110から所定のクリアランスを確保するように設置されているが、この位置を上限として、離接するように切断機構回転支持部13にて回転支持されている。切断機構(その1)の切断機構回転支持部13と反対面には、切断機構回転用カム12が設置されている。この切断機構回転用カム12内には、アクチュエータとして設置されたエアシリンダに取り付けたカムフォロア240が周動するように設置されている。
【0038】
次に
図10に示した切断機構(その1)の動作について説明する。すなわち、
(1)切断刃駆動用アクチュエータ227が駆動してリード線400を切断する。
(2)シリンダ227の先端に設置したカムフォロア240を経由して切断機構(その1)に反時計方向の回転力を伝達し、切断部200の先が下方向へ移動(退避)する。
(3)切断部200がリード線400を挟みこむことでカットしきれなかった、リード線400を切り落とすことが可能となる。
(4)シリンダ227を引き込むことにより、切断機構(その1)に時計方向の回転力を伝達し、切断部200の先が上方向へ移動(復帰)する。
【0039】
図11は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その2)の構成を示す図である。同図において、切断機構(その2)は、先端にリード線400をカットする切断部200を備える。切断部200は切断刃L(222)と切断刃R(223)が切断刃支点221で回転可能に設置されている。更に、バネなどの付勢手段で、切断刃L(222)と切断刃R(223)は、刃が離れる方向に付勢される。
【0040】
切断部200の刃先と逆側には、切断部200の開閉を行う開閉用アクチュエータ228としてエアシリンダを設置している。更に、エアシリンダ228には、エアシリンダの直線運動を、切断刃開閉駆動するための回転運動に変換するために、切断刃駆動用カム210が設置されている。切断部200の切断刃駆動用カム210側は、図中の切断刃L(222)と切断刃R(223)のように先端にローラーが設置された状態で構成されており、このローラーが切断刃駆動用カム210上を周動することで、切断部200がエアシリンダ228に連動して動く。これにより、エアシリンダ228が退避した状態で切断部200が開き、エアシリンダ228が突出した状態で切断部200が閉じる動作を行う。
【0041】
切断機構(その2)は、切断刃先部分が電子基板面110から所定のクリアランスを確保するように設置されているが、この位置を上限として、離接するように切断機構回転支持部13にて回転支持されている。切断機構(その2)の切断機構回転支持部13と反対面には、切断機構回転用カム12が設置されている。この切断機構回転用カム12内には、回転用アクチュエータ230として設置されたエアシリンダに取り付けたカムフォロア240が周動するように設置されている。
【0042】
次に
図11に示した切断機構(その2)の動作について説明する。すなわち、
(1)開閉用アクチュエータ228が駆動し、切断部200を設定した刃開きまで閉じる。
(2)回転用アクチュエータ230が駆動してリード線400を切断し、シリンダ230を押し出す。
(3)シリンダ230の先端に設置したカムフォロア240を経由して切断機構(その2)に反時計方向の回転力を伝達し、切断部200の先が下方向へ移動(退避)する。
(4)切断部200が挟みこむことでカットしきれなかった、リード線400を切り落とすことが可能となる。
(5)開閉用アクチュエータ228を駆動させ、切断部200を開く
(6)シリンダ230を引き込むことにより、切断機構(その2)に時計方向の回転力を伝達し、切断部200の先が上方向へ移動(復帰)する。
【0043】
図12は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における切断刃による切断機構(その3)の構成を示す図である。同図において、切断機構(その3)は、先端にリード線400をカットする切断部200を備える。切断部200は切断刃L(222)と切断刃R(223)が切断刃支点221で回転可能に設置されている。更に、図示しないバネなどの付勢手段で、切断刃L(222)と切断刃R(223)は、刃が離れる方向に付勢される。
【0044】
切断部200の刃先と逆側には、切断刃の切断動作を行う切断刃駆動用アクチュエータ227としてエアシリンダが設置されている。更に、エアシリンダ227には、エアシリンダの直線運動を、切断刃開閉駆動するための回転運動に変換するために、切断刃駆動用カム210が設置されている。切断部200の切断刃駆動用カム210側は、図中の切断刃アームR(224)、及び切断刃アームL(225)のように先端にローラーが設置された状態で構成されており、このローラーが切断刃駆動用カム210上を周動することで、切断刃222,223がエアシリンダ227に連動して動く。これにより、エアシリンダ227が退避した状態で切断刃222,223が開き、エアシリンダ227が突出した状態で切断刃222,223が閉じる動作を行う。
【0045】
切断機構(その3)は、切断部200の先部分を電子基板面110から所定のクリアランスを確保するように設置されているが、この位置を上限として、離接するように切断機構回転支持部13により回転支持されている。切断機構部(その3)の切断機構回転支持部13と反対面には、切断機構回転用カム12が設置されている。この切断機構回転用カム12内には、回転用アクチュエータ230として設置したエアシリンダに取り付けたカムフォロア240が周動するように設置されている。
【0046】
次に
図12に示した切断機構(その3)の動作について説明する。すなわち、
(1)切断刃駆動用アクチュエータ227が駆動してリード線400を切断する。
(2)回転用アクチュエータ230が駆動し、シリンダ230を押し出す。
(3)シリンダ230の先端に設置されたカムフォロア240を経由して切断機構(その3)に反時計方向の回転力を伝達し、切断部200の刃先が下方向へ移動(退避)する。
(4)切断部200の切断刃222,223がリード線400を挟みこむことでカットしきれなかった、リード線400を切り落とすことが可能となる。
(5)シリンダ230を引き込むことにより、切断機構(その3)に時計方向の回転力を伝達し、切断部200の切断刃222,223が上方向へ移動(復帰)する。
【0047】
図13は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における電子基板の有無と電子基板の距離測定により基板浮きを検出する検出手段75の概要を示す図である。
図13においては上述した位置決めピン30と基板固定手段600を用いて電子基板の位置決めと電子基板を固定しているが、
図14に示すように、リード線切断機構10がリード線400を切断した際、リード線400の切断による衝撃力が電子基板100に加わり、この衝撃力により電子基板100が浮き上がる(
図15の浮き摸式図参照)。
図13に示す基板固定手段600は、上記の衝撃力により電子基板100の浮き上がりを抑制するために用いられる。
【0048】
しかし実際にどの程度の浮き上がりが電子基板100に発生しているかを検出する必要がある。
図15は、電子基板100において浮き上がりが発生し易い部位を説明するものであり、基板の中央に近づくにつれ電子基板100の浮き量が大きくなっていることが分かる。この浮き上がり現象によって、ニッパー刃(切断刃)220と電子基板100間の距離が変化することになるため、電子基板100から露出したリード線切断高さもばらつく。
【0049】
図16は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置における電子基板の有無の検出及び電子基板の距離測定により基板浮きを検出する検出手段75の詳細構成を示す図である。
図16において、電子基板100の基板浮きを測定するための検出手段75としてラインセンサ(光電センサで構成)77を用いる。ラインセンサ77は、
図16の左図に示される作業台(後述する)に設置されるボルト付柱78の上部に設置され、該ボルトには設置される電子基板の重さを支えるバネ72が敷設され、基板設置台150を敷設したときその基板設置台をナット92によってボルトに固定する。基板設置台150には光電センサ遮蔽用板金73が設置されており、電子基板100が基板設置台150に載置されたときにはその重さにより上記バネ72の反発力に抗して落下する。落下することでラインセンサ77に到達する光量が光電センサ遮蔽用板金73により遮蔽されて受光部(図示せず)に到達する光量が減少することにより電子基板の有無を測定することができる。
【0050】
電子基板100を基板設置台150に載置していない状態では、光電センサ遮蔽用板金73がラインセンサ77を遮蔽しないため、”基板無し”と判定する。そして電子基板100を基板設置台150に載置した状態では、その重さにより基板設置台150がバネ72の反発力に抗して落下するため光電センサ遮蔽用板金73がラインセンサ77を遮蔽する。検出手段75は、リード切断機構部10によるリード線切断開始前の光電センサ遮蔽用板金73の落下によるラインセンサ77の遮蔽量を基準高さとして保持する。切断中の遮断量と上記した基準高さの差分が一定値を超えないかをチェックして基板浮き(撓み)を検出する。基板浮き量を実測する場合には、最も基板の撓みが発生しやすい基板中央部で測定することが望ましい。
【0051】
図17は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構により切断されたリード線の切断高さの合否判定の概要を示す図である。電子基板100裏面からのリード線400露出高さが、既定した切断仕様高さ(図示例の破線参照)以下の場合のみ「合格」と判定し、切断露出高さが既定した切断仕様高さより大きい場合および本リード切断装置の切断機構10がリード線を切断できず、切残しが発生した場合は「不合格」と判定する。このリード線高さを判定する手段として、
図18の下部に示すように、リード線露出高さ測定・切断位置検知手段70を設ける。当該測定・検知手段70の詳細については後述する。
【0052】
図19は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置におけるリード線切断後のリード線露出高さ測定手段の詳細構成を示す図である。同図において、リード線切断後のリード線露出高さを測定するラインセンサを複数セット設けている。すなわち、短手方向のリード線露出高さを測定するためのラインセンサ77および長手方向のリード線露出高さを測定するためラインセンサ79の2セットをあらかじめ備えておき、当該ラインセンサ77,79によりリード線露出高さが既定した切断仕様高さ以下とならずに「不合格」と判定されたリード線の露出高さとその位置座標を特定できるようにしている。
【0053】
長手方向のラインセンサ79の設置場所は、
図19の右側に示されるように、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の作業台160の裏面の長手方向に設置した走査用移動手段(具体的にはロボシリンダ(登録商標))26とLMガイド(登録商標)28のステージ上に設ける。走査用移動手段26とLMガイド28は連結され、走査用移動手段26の駆動にLMガイド28が追従できるようにしている。なお、LMガイド(登録商標)は、機械の直線運動部を“コロガリ”を用いてガイドする機械要素部品として当該技術分野の技術者に広く知られている。
【0054】
一方、短手方向のラインセンサ77の設置場所は、上記と同様に、作業台160の裏面の短手方向に設置した走査用移動手段(具体的にはロボシリンダ(登録商標))24とリード切断機構部10の切断機構ベース板8から伸ばしたアーム1(14)に設置する。短手のロボシリンダ24とリード切断機構部10のエアシリンダ(図示せず)とは連結されず、同一の制御アンプ(図示せず)で処理されて、同期運転できる構成になっている。
【0055】
リード切断機構部10によるリード線切断処理終了後、電子基板100を搬出する前に両方向、すなわち短手及び長手の走査用ロボシリンダ24,26とリード切断機構部10のエアシリンダ(図示せず)を駆動し、短手及び長手方向のラインセンサ77,79を用いて電子基板100の全リード線の露出高さ測定と露出高さが(仕様で設定された)閾値を超えたリード線の位置座標を検出する。この場合、リード切断機構部10によるリード線切断処理が終了しているので、ラインセンサ77,79の移動についてはリード切断機構部10の動作と無関係に自由に移動可能となっている。
【0056】
検出した測定値と位置座標は
図18の右部に示される本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置用の制御手段80内の記録装置や上述の制御アンプ(図示せず)内に格納する。格納した値は、表示部を有する操作盤500で作業者が測定値と合否判定結果を確認できる。
【0057】
図20は、
図19とは異なる、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置におけるリード線切断後のリード線露出高さが規定値を超えていないかを測定する測定手段の構成を示す図である。同図においては、切断後のリード線露出高さが規定値を超えていないかを検出するためにスポットセンサ229を設けている。
【0058】
図20に示すように、リード切断機構部10の切断機構ベース板8から伸ばしたアーム2(15)上で切断刃220の両側面にスポットセンサ229を設置する。そしてリード線露出高さの検出タイミングは、
図21に示す切断部の動作プロセスの(2),(3)に示すように、切断刃220の刃先閉→刃先下降によるリード線400の切断後に行う。
【0059】
そしてスポットセンサ229がリード線有りを検出した場合には、
図21に示す切断部の動作プロセスの(4)に示す工程終了後に、切断部の動作プロセスをプロセス(5)に移行せず、プロセスの(2),(3)の処理を複数回ループさせる工程を実施する。当該複数回ループさせる工程を実施してもスポットセンサ229がリード線有りを検出した場合には、リード切断機構部10の移動手段20における位置座標を本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置用の制御手段(後述する)内の記録装置や上述の制御アンプ内に格納する。格納した値は、表示部を備える操作盤500で作業者が確認できるようにしている。
【0060】
図22は、リード線切り屑飛散防止機能を組み込んだ本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の構成を示す図である。すなわち本発明の電子基板リード切断装置で電子基板100のリード線400を切断した際にリード線400の切り屑410が発生し、装置駆動部内に切り屑410が飛散・侵入し、装置の故障原因となる恐れがあるため、あらかじめその対策を施しておくものである。
【0061】
図22においては、切断機構部10の切断部近傍に切り屑飛散防止のための切り屑410の集塵部(屑受け)430を設けている。集塵部(屑受け)430と屑箱420との間をホースで接続しておく。集塵部430に集められた切り屑410は装置外に廃棄されるまで一時的に保管する屑箱420にホース(搬送経路)を経て保管する。より具体的には、まず(1)リード線400を切断(切残しは、上記した切断機構の駆動を利用)して落とす。落とされた切り屑410は(2)集塵部(屑受け)430に集められ、(3)(自重や外部からの吸引により)搬送経路(ホース)を通り、(4)屑箱420で一時的に保管する。屑箱420は、上記した切断機構10の移動手段20によってリード線400の切断位置に同期しながら移動させられ、リード線切断位置の最終地点における切断の終了後に取り外されて切り屑410が外部に廃棄される。なお切残しは、上記した切断機構の駆動を利用せずにエアーなどの外力を利用して落とすようにしても良い。
【0062】
このように集塵部と屑箱の位置関係は一定のままホース(搬送経路)とともに移動するので、ホース(搬送経路)が外れること無く切り屑が装置内で散乱することを防止することができる。
【0063】
図23は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の切断機構部の動作を示す図であり、作業者によるリード線切断作業を模擬することで動作するものである。
図23に示される切断機構部10においては、動作状態(1)では切断機構部10が初期状態にあり、屑受け430で切り屑を受け入れる状態になっていない。次いで動作状態(2)では切断機構部10が切断位置に移動し、屑受け430は回転動作して切り屑を受け入れる状態になる。そして動作状態(3)に示すニッパー部200がリード線400をカットした後に、動作状態(4)に示すニッパー部200の切断刃220を閉じた状態で電子基板100から退避する動作を行うことで、切り残したリード線400の切り屑410を屑受け430に強制的に落下させることが可能となる。なお、上記
図22に示したように切り屑は、屑受け430からホース(搬送経路)を介して屑箱420に導いて屑箱420で切り屑を一時的に保管する構成にしている。
【0064】
図24は、本発明の実施形態に係る電子基板リード切断装置の他の構成例を示す図であり、切断機構部を並列に2台並べたものである。すなわち、
図24では、第1の切断機構部10と第2の切断機構部16とを並列に備えている。また
図25は、
図24に示す構成例で使用するリード切断対象となる複数取り可能な電子基板例の概要を示す図である。
図25に示される複数取りが可能な電子基板100のリード線400を切断する場合、切断対象箇所が多くなることから作業時間が複数取りでない電子基板に比べて多く掛かる。そのために
図24に示すように、切断機構部を並列に2台並べた構成としたものである。
【0065】
図24においては、複数取り電子基板100の子基板120が並列に配置されるという特徴を活かし、第1の切断機構部10及び第2の切断機構部16をそれぞれ取付部32により設置する。そして第1と第2の切断機構部10,16との切断間隔調整用にロボシリンダ(登録商標)を使用する。ロボシリンダ(リード切断間隔調整手段)22は、切断機構移動用のロボシリンダ(切断機構移動手段)20の上部に取り付けられている。
【0066】
間隔調整用ロボシリンダ(リード切断間隔調整手段)22の上部に、上記第1及び第2の切断機構部10,16を、上記取付部32に備わる位置決めピンとネジにより取り付ける。
間隔調整用のロボシリンダ(リード切断間隔調整手段)22を調整後、切断機構移動用のロボシリンダ20でリード線の切断対象位置に移動させた後、リード線400の切断を行う。
【0067】
第1と第2の切断機構部10,16の間隔調整はロボシリンダ制御アンプ(図示せず)で行う。なお間隔調整は、電子基板ごとにタッチパネルなどの数値入力が可能な機器、具体的には上記した操作盤500、を用いて作業者が調整すべき間隔を制御手段80に指示・入力することで行われ、その結果を上記操作盤500に表示させて確認できるようにしている。これによって作業時間の短縮(例:2台並列時=作業時間1/2)を図ることが可能になる。なお、リード線の切断高さを検知し調整する手段(図示例ではリード線切断高さ調整手段29)は制御手段80から制御することにより調整可能できるようにしている。