特許第6281255号(P6281255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6281255-粉体貯蔵設備 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281255
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】粉体貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 7/22 20060101AFI20180208BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   E04H7/22
   B65G65/40 B
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-238864(P2013-238864)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-98709(P2015-98709A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】末光 将貴
(72)【発明者】
【氏名】松岡 守
(72)【発明者】
【氏名】亀川 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 英人
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−008638(JP,A)
【文献】 実開平07−038044(JP,U)
【文献】 特開2002−179250(JP,A)
【文献】 特開平09−056253(JP,A)
【文献】 米国特許第04449339(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 7/22
B65G 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に排気用の集塵機を有し、潮解性を有する粉体を収容する貯蔵設備と、
該貯蔵設備の下方に位置し、該貯蔵設備から排出された粉体の重量を測定する計量器と、
粉体を収容して排出する排出シュートと、
発塵を抑制するための集塵配管とを具備し、
前記集塵配管に、空気増幅器を設置し、
エアードライヤで乾燥した圧縮空気を空気増幅器に供給することで、系内を負圧に保持すること
を特徴とする粉体貯蔵設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体貯蔵設備に関するものであり、特に、粉体を収容する貯蔵設備と粉体重量を測定する計量器とが一体化された貯蔵設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントは、通常、原料工程、クリンカ焼成工程および仕上げ工程を経て製造される。そのうち原料工程では、ゴミ焼却灰飛灰等塩素分の多い原料を調合、焼成してクリンカを生成している。また、焼成工程ではキルン内で循環する塩素を高濃度で抽出し、塩素バイパスダストとして処理し、キルン内のコーチングトラブルを回避している。
【0003】
従来より、塩素濃度の高いゴミ焼却灰飛灰や塩素バイパスダストを貯蔵設備から空気圧送もしくはまたはトラック等に積載して移送する際、貯蔵設備上部に集塵機を設置し、粉体搬出時、集塵配管を使用して空気を吸引し、発塵を防止している。しかし、長期間使用していると、粉体が空気中の湿分と反応し、集塵配管に固着し吸引能力が低下するのみならず、閉塞し発塵するという問題があった。
【0004】
そこで、従来の特許文献1にあっては、集塵配管に空気増幅器を設置し、エアードライヤで乾燥した圧縮空気を音速に近い速度で、空気増幅器に供給し、ベルヌイ効果で内部に強力な負圧を発生させ、粉体排出シュート部の空気を吸引することで、配管内に粉体が固着することを抑制し、発塵トラブルを低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−8638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、粉体貯蔵設備は貯蔵設備上部に集塵機を設置し、粉体出荷時空気を吸引して発塵を防止していた。しかしながら本設備を長期間使用していると、粉体(特に潮解性粉体)が空気中の湿分と反応して集塵配管に固着し閉塞する、という問題があった。また、最も固着トラブルが多発していた集塵配管吸引口はファンで空気を吸引され負圧に保たれているため、雨天時等空気中の相対湿度が高いとき、外気を吸引し粉体の固着トラブルが多発していた。
本発明はこの問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、集塵配管への粉体の固着を抑制し、粉体貯蔵設備からの発塵を防止する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明では、上部に排気用の集塵機を有し、粉体を収容する貯蔵設備と、該貯蔵設備の下方に位置し、該貯蔵設備から排出された粉体の重量を測定する計量器と、粉体を収容して排出する排出シュートと、発塵を抑制するための集塵配管を具備することとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、乾燥した圧縮空気を集塵配管へ押し込むことにより、配管内の湿度を下げる効果があり、更に湿度の高い外気の進入の抑制を可能にする。
【0009】
また、圧縮空気を音速に近い速度で集塵配管壁面へ押し込んでおり、集塵配管壁面にエアーカーテンを形成することで、粉体が配管内部に固着することを抑制し、粉体貯蔵設備からの発塵を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による粉体貯蔵設備の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による空気増幅器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による粉体貯蔵設備10が示されている。
【0012】
粉体貯蔵設備10は、高塩素粉体を貯蔵しており、輸送機11により計量器12へ排出される。計量器12で計量された粉体は、排出シュート13を通り、圧送配管15へ落下する。
【0013】
圧送配管15には、ブロア14が接続されており、ブロア14から圧送された空気により、次工程へ粉体を移送される。粉体移送時、計量器12から排出シュート13へ落下すると、シュート内の圧力が高くなり、粉体を含む空気が粉体貯蔵設備の系外へ排出されるため、従来は集塵配管16を設置し、集塵機18を通してファン等で吸引して、発塵を防止していた。しかしながら、粉体(特に潮解性粉体)は空気中の水分と反応して集塵配管16の配管内部へ固着して吸引力を低減するのみならず、配管が閉塞して発塵トラブルが多発していた。
【0014】
本発明は、集塵配管16へ空気増幅器17を設置し、コンプレッサー20から供給される圧縮空気中の水分をエアードライヤ19で除去し、乾燥した圧縮空気を供給することで、粉体(特に潮解性粉体)が集塵配管16の配管内部へ固着することを回避するものである。
【0015】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による空気増幅器17が示されている。
【0016】
空気増幅器17にエアードライヤ19で乾燥した圧縮空気を複数のノズルから少量の圧縮空気を音速に近い速度で噴出されることにより、ベルヌイ効果で内部に強力な負圧が発生する。空気増幅器17では、強力な負圧により粉体排出シュートから大量の空気102を誘導し、供給圧縮空気101とあいまって前方へ強力に送り出す特性を活かし、集塵配管16内をブローする。この原理を利用して、集塵配管16内にエアーカーテンを形成し、配管内へ粉体が固着することが防止できる。
【0017】
ここで、本発明において空気増幅器17に供給する圧縮空気100はエアードライヤ19で乾燥した空気を使用することが重要である。
【0018】
ここで、一般的な圧縮空気を導入すると多量の湿分が集塵配管内へ持ち込まれ、配管内へ粉体が固着する原因となり易い。
【0019】
本発明では、エアードライヤ19で乾燥した空気を使用することで、圧縮空気内の湿分を低減できるのみならず、音速に近い速度で噴出されることにより、ベルヌイ効果で内部に強力な負圧が発生させることで、粉体貯蔵設備系外から湿分の多い外気の流入も抑制できる効果が得られる。
【0020】
更に、圧縮空気100が音速に近い速度で噴出されることにより、配管内部の閉塞トラブルが皆無となる多大な効果を得ることができた。
【符号の説明】
【0021】
10 粉体貯蔵設備
11 輸送機
12 計量器
13 粉体排出シュート
14 ブロア
15 圧送配管
16 集塵配管
17 空気増幅器
18 集塵機
19 エアードライヤ
20 コンプレッサー
100 圧縮空気
101 噴出する空気
102 吸引される空気
図1
図2