(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281256
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】内面ブローチ盤
(51)【国際特許分類】
B23D 39/00 20060101AFI20180208BHJP
B23D 37/10 20060101ALI20180208BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20180208BHJP
B23F 5/28 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
B23D39/00
B23D37/10
B23Q11/10 A
B23F5/28
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-239989(P2013-239989)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-98077(P2015-98077A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(72)【発明者】
【氏名】余湖 健志
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭40−011679(JP,Y1)
【文献】
特開2002−126941(JP,A)
【文献】
特開平10−006175(JP,A)
【文献】
実開昭60−091348(JP,U)
【文献】
米国特許第05332343(US,A)
【文献】
特開2001−198726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 39/00,41/02,37/10,37/04,37/00,
B23F 5/28,1/08,
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向及び外周に多数の切れ刃が設けられた棒状のブローチ工具をワークの下穴内に挿入し、ブローチ工具とワークを相対運動させることにより、ワークの下穴の前記軸方向の溝加工を加工する内面ブローチ盤において、前記ワークの上方又は下方に、前記ブローチ工具外周面に向かって潤滑液又はミスト又はエアー等の流体を、前記軸方向の上方から見て、前記ブローチ工具の軸の垂直方向に対し斜め右方向にオフセットして噴出する第1ノズルと、前記軸方向の上方から見て、前記軸の垂直方向に対し斜め左方向にオフセットして前記流体を噴出する第2ノズルと、を備え、前記第1ノズルと前記第2ノズルとは、前記軸方向に離間して配置されていることを特徴とする内面ブローチ盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面ブローチ盤に関し、特に内面ブローチ盤のブローチ工具とワークとの潤滑又は切り屑排出機構を備えた内面ブローチ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内歯車や内キー溝、内スプライン溝等の穴加工に、内面ブローチ加工が知られている。内面ブローチ加工は、軸方向及び外周に多数の切れ刃が設けられた棒状のブローチ工具をワークの中空穴内に挿入し、ワークとブローチ工具とを相対運動させる。これにより、ワークの中空穴内の軸方向溝加工を加工するものである。加工にあたってワークと切れ刃との潤滑、冷却あるいは切削後の切り屑の排出のためにワーク近傍でブローチ工具の外周に向かって、研削液、切削液、冷却液又はエアー等の流体を噴出させる。
【0003】
例えば、特許文献1のものでは、ねじれ刃溝を有するブローチ工具やヘリカルブローチ等の切れ刃がねじれて配置されているブローチ工具のねじれに沿って斜め方向にクーラント(切削液、冷却液)を噴出させている。また、リード方向も考慮にいれて噴出口の位置を調整している。噴出口は個別に配置されたノズルに設けられ、潤滑条件等に合わせてノズルの位置を調整する。
【0004】
しかし、特許文献1のものは、ノズルを個別に調整しなければならないため、煩雑である。そこで、特許文献2のように、ノズルに代えて、ブローチ工具が挿通される円盤状の流体噴出治具を用いて治具を交換することにより所定の切削液やエアー等を噴出さえている。治具にはスリット状の噴出通路が設けられている。この治具をワーク上側に設け、噴出通路からブローチ工具の切れ刃に向かって潤滑油を供給する。また、ワークの下側にも同様なスリット状の噴出通路を有する治具を設け、噴出通路からエアーを噴出させ、加工後の切り屑を除去いている。この場合の噴出角度は流体を環状通路に沿って斜め方向から供給することにより行っている。また、軸に対して上下斜め方向に噴出させている。
【0005】
かかる治具をさらに多用した特許文献3のものでは、ブローチ工具の軸方向、径方向に対して所定角傾斜した加工液噴出通路を備える治具をワークの上下に配置している。この加工液噴出通路からブローチ工具の切れ刃の逃げ面側、すくい面側にそれぞれ潤滑油を供給し、加工部位の潤滑及び冷却している。さらに、下方にはブローチ工具に向けてエアーを吹き付けるためのエアーブロー用治具が設けられ、加工後の切粉を除去している。また、潤滑油の噴出方向は軸心より離れるようにして軸心に対して斜めに噴出させ、ねじれ溝等にも対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−269813号公報
【特許文献2】特開2002−126941号公報
【特許文献3】特開平10−006175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
切削液等を
ブローチ工具の軸方向の上方から見て、ブローチ工具の軸の垂直方向に対し斜め
方向にオフセットして噴出させる場合、ねじれのない丸ブローチや、ねじれが一定方向のブローチ工具の場合は、治具をそのまま使用できる。しかし、ねじれが逆方向のブローチ工具を同一ブローチ盤で使用する場合は、
前述の斜め
方向にオフセットして噴出
するものは、
ブローチ工具のねじれの方向の逆方向に噴出することになり潤滑性能等が悪くなる。そのためには治具を交換するか、または、特許文献1のようにノズル位置を調整する。しかし、治具の交換や調整を忘れたりした場合には潤滑不足等の不具合が発生するおそれがある。本発明の課題は、係る問題点に鑑みて、ねじれ方向が異なるブローチ工具を用いても治具の交換やノズルの位置調整を都度しなくてもよく、潤滑、洗浄、切り屑排出を容易に実施できる内面ブローチ盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、軸方向及び外周に多数の切れ刃が設けられた棒状のブローチ工具をワークの下穴内に挿入し、ブローチ工具とワークを相対運動させることにより、ワークの下穴の
前記軸方向
の溝加工を加工する内面ブローチ盤において、前記ワークの上方又は下方に、前記ブローチ工具外周面に向かって潤滑液又はミスト又はエアー等の流体を
、前記軸方向の上方から見て、前記ブローチ工具
の軸の垂直方向に対し斜め右方向にオフセットして噴出する第1ノズルと、
前記軸方向の上方から見て、前記軸の垂直方向に対し斜め左方向にオフセットして前記流体を噴出する第2ノズル
と、を備え、前記第1ノズルと前記第2ノズルとは、前記軸方向に離間して配置されている内面ブローチ盤を提供することにより前述した課題を解決した。
【0009】
即ち、
ブローチ工具の軸方向の上方から見て、ブローチ工具の軸の垂直方向に対し斜め右方向にオフセットして流体を噴出する第1ノズルと、軸方向の上方から見て、軸の垂直方向に対し斜め左方向にオフセットして流体を噴出する第2ノズルと、を備える構成とする。そして、第1ノズルと第2ノズルとは、軸方向に離間して配置し、常に流体をブローチ側に供給する。噴出方向が、
第1ノズルは斜め右方向にオフセットし、第2ノズルは斜め左方向にオフセットしているので、ブローチ工具のねじれ方向に対して、どちらか一方の流体が確実に切れ刃に均一に到達する。また、ねじれ刃を持たないものは、両方向の流体が切れ刃に均一に到達する。なお、第1、2ノズルはワーク上方、下方の何れか一方又は両方でもよいが、第1、2ノズルは同じ側に設ける。また、第1、2ノズルにさらに別のノズルを加えてもよいことはいうまでもない。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、噴出方向が
、ブローチ工具の軸方向の上方から見て、ブローチ工具の軸の垂直方向に対し斜め右方向にオフセットして流体を噴出する第1ノズルと、軸方向の上方から見て、軸の垂直方向に対し斜め左方向にオフセットして流体を噴出する第2ノズルと、を備える構成とする。そして、第1ノズルと第2ノズルとは、軸方向に離間して配置したので、ブローチ工具の切れ刃のねじれの有無、ねじれ方向が違っても切れ刃に流体が均一又は十分に供給される。よって、噴出方向をその都度替える必要がなく取扱が容易なものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態であるブローチ盤の部分断面図である。
【
図2】
図1の第1ノズルのA−A線部分断面図である。
【
図3】
図1の第2ノズルのB−B線部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、ブローチ盤1は、ワーク2を載置するワーク取り付け台3を有する。ワーク取り付け台3には貫通穴4が空けられ、棒状のブローチ工具5が挿通可能にされている。さらに下方5aにはブローチ工具5の前つかみ部を把持し、ブローチ工具5を下方へ引き下げるためのプルヘッドが設けられている(図示せず)。ブローチ工具5の外周5bには、多数の切れ刃5cがすくい面を前つかみ方向に向かうようにして設けられている。切れ刃5cは軸方向に反前つかみ部方向(図でみて上方)に進むに従い順次ワークを加工するように刃丈、刃幅、刃厚方向の何れか又は組み合わせて徐々に大きくされている。なお、符号3aはワーク取り付け用治具である。
【0013】
ワーク2には加工すべき下加工穴2aが空けられており、この下加工穴2a、貫通穴4、にブローチ工具5を挿通させ、ワーク2とブローチ工具5とを相対運動させ、下加工穴2aの内面に歯車やスプライン、キー溝等を設けるものである。内面ブローチ盤の詳細については従来と同様であるので説明を割愛する。
【0014】
ワーク2の下方に、エアーをブローチ工具
5の軸
心C方向の上方から見て、軸心Cの垂直方向に対し斜め右方向にオフセットして噴出する第1ノズル6と、
ブローチ工具5の軸心C方向の上方から見て、軸心Cの垂直方向に対し斜め左方向にオフセットして、エアーを噴出する第2ノズル7
を備える。そして、第1ノズル6と第2ノズル7とは、軸心C方向に離間して配置する。図2に示すように、第1ノズル6はブローチ工具軸心Cに対して、斜め右方向にオフセットして開口する噴出口6aが軸心Cを回りに等分に配置されている。また、
図3に示すように、第2ノズル7はブローチ工具軸心Cに対して、斜め左方向にオフセットして開口する噴出口7aが軸心Cを回りに等分に配置されている。噴出穴の外周には環状通路8が形成され、さらに図示しないエアー供給源に接続されるエアー供給穴9に連通している。
【0015】
エアー供給穴9より、エアーを供給すると、エアーは環状通路8を経由して噴出口から噴出される。
第1ノズル6の噴出口は軸心C
方向の上方から見て、軸心Cの垂直方向に対し斜め右方向にオフセットしており、第2ノズル7の噴出口は、軸心C方向の上方から見て、軸心Cの垂直方向に対し斜め左方向にオフセットしているので、第1ノズルの噴出エアー10は
図2でみて、左回りの渦状となる。また、第2ノズルの噴出エアー11は
図3でみて、右回りの渦状となる。これにより、両方向からエアーが噴出されるので、ブローチ工具5のねじれが左右どちらであっても、また、ねじれのないブローチ工具であっても、ブローチ工具外周の切れ刃に対し均一にもれなくエアーが噴出される。これにより、ねじれに関係なく加工屑が除去可能となる。また、ブローチ工具のねじれを気にする必要がないので、段取りや作業が簡単なものとなる。
【0016】
なお、実施の形態においては、切り屑排出用のエアーブローとして、第1,2ノズルをワークの下側に設けたが、潤滑用として、ワークの上に設けてもよい。また、さらに、ワークの下側に近接して潤滑用として設ける等適宜配置できる。また、噴出流体も潤滑用、冷却用、切り屑除去用等適宜適適用できることはいうまでもない。また、噴出口は細穴で説明しているが、スリット状でもよい。また、実施の形態においては、噴出方向は下斜め方向としたが、上斜め方向又は軸直角方向としてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 内面ブローチ盤
2 ワーク
2a 下穴
5 ブローチ工具
5b ブローチ工具外周面
6 第1ノズル
7 第2ノズル
C 軸心