特許第6281301号(P6281301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281301
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】接点装置及びこれを使用した電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 1/06 20060101AFI20180208BHJP
   H01H 50/38 20060101ALI20180208BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H01H1/06 M
   H01H50/38 A
   H01H50/54 A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-16096(P2014-16096)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-46373(P2015-46373A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-159015(P2013-159015)
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】柴 雄二
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健司
(72)【発明者】
【氏名】中 康弘
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−243592(JP,A)
【文献】 特開2002−334644(JP,A)
【文献】 特開2001−118451(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/020529(WO,A1)
【文献】 実開昭50−014963(JP,U)
【文献】 特開平04−312715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/06
H01H 50/38
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の固定接触子に対して可動接触子が接離可能に配置された接点装置であって、
前記一対の固定接触子は、上板部と該上板部の下側に所定間隔を保って平行に配置される接点台部と前記上板部及び前記接点台部間を連接する連結板部とで互いに対向する内方側を開放したC字状接点部を有し、
前記可動接触子は、前記一対の固定接触子の上板部及び接点台部間に当該接点台部に対して接離可能に配置され、
前記接点台部の接点部に平面視で短辺がアークの駆動方向となる長方形の凹部を形成し、該凹部内に前記接点粒がその上面を前記接点台部の上面に対して突出させて配置され、前記短辺側に外方に行くに従い高さが低くなるテーパー部が形成されていることを特徴とする接点装置。
【請求項2】
前記接点台部のアーク駆動方向に面取り部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の接点装置と、該接点装置の可動接触子を可動する電磁石ユニットとを備えたことを特徴とする電磁接触器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定接触子に対して可動接触子が接離可能に配置された接点装置及びこれを使用した電磁接触器に関する。
【背景技術】
【0002】
電流路の開閉を行う電磁接触器では、所定距離を保って配置された互いに対向する内方側を開放したC字状部を有する一対の固定接触子と、これら一対の固定接触子の下板部に対して接離可能に配置された可動接触子とが接点収納ケース内に配置され、この接点収納ケースの内側に一対の固定接触子及び可動接触子を囲むように絶縁筒体を配置し、この絶縁筒体に一対の固定接触子及び可動接触子間に発生するアークを消弧するアーク消弧用永久磁石を磁石収納部で位置決め保持するとともに、この磁石収納部の可動接触子の延長方向外側にアーク消弧空間を形成するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−243592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、一対の固定接触子をC字状部とこれを支持する支持導体部とで構成し、C字状部と支持導体部とをろう付け等によって接合するようにしている。
このため、一対の固定接触子を構成するために、C字状部と支持導体部とをろう付け等によって接合する際に、450℃前後に加熱する必要があり、接合後の固定接触子に残留歪みが生じる。
この残留歪みが固定接触子と可動接触子との接触に影響を与え、安定した接触状態を得ることができないという未解決の課題がある。
この未解決の課題を解決するとともに接点消耗を防ぐために、固定接触子の可動接触子との接触部に接点粒を配置することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記理由で接点粒を配置する場合には、接点消耗を防ぎ、長寿命化を図るためには、接点粒の下板部の上面からの高さを高くして段差部が生じることになる。このように接点粒と下板部との間に段差部が生じると、固定接触子から可動接触子が離間する開極時に発生するアークが接点粒の段差部を乗り越えて伸長することが難しく、アークの膠着現象を生じて、接点部に激しい消耗を起こすとともに、アーク遮断時間が長く遮断が不安定となる。このため、接点粒を設けた場合には、接点粒を設けない場合に比較してアーク遮断性能が大幅に低下するという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、アークの膠着現象を生じることなく接点粒を固定接触子に形成することができる接点装置及びこれを使用した電磁接触器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る接点装置の一態様は、一対の固定接触子に対して可動接触子が接離可能に配置された接点装置である。この接点装置は、一対の固定接触子が、上板部とこの上板部の下側に所定間隔を保って平行に配置される接点台部と上板部及び接点台部間を連接する連結板部とで互いに対向する内方側を開放したC字状接点部を有し、可動接触子が、一対の固定接触子の上板部及び接点台部間にこの該接点台部に対して接離可能に配置され、接点台部の接点部に平面視で短辺がアークの駆動方向となる長方形の凹部を形成し、この凹部内に接点粒がその上面を接点台部の上面に対して突出させて配置され、短辺側に外方に行くに従い高さが低くなるテーパー部が形成されている
また、本発明に係る電磁接触器は、上述した接点装置と、この接点装置の可動接触子を可動する電磁石ユニットとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定接触子の接点台部の前記可動接触子と対向する接点部にアークの移動を妨げる段差部を生じることなく接点粒を配置したので、接点粒にアークが膠着することを確実に防止してアークの遮断性能を向上させながら接点部の消耗を抑制して、接点消耗を防ぎ、長寿命化を図ることができる。
また、上記効果を有する接点装置を使用して電磁接触器を構成するので、アークの膠着を防止して、高電圧・大電流の遮断が可能で、長寿命化を図ることができる電磁接触器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る電磁接触器の一実施形態を示す断面図である。
図2図1のA−A線上の接点装置の断面図である。
図3】固定接触子のC字状接点部を示す斜視図である。
図4図1のB−B線上の断面図である。
図5】アークの発生状態を説明する説明図である。
図6】本発明の第2の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図7】第2の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図8】本発明の第3の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図9】第3の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図10】本発明の第4の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図11】第4の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図12】本発明の第5の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図13】第5の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図14】本発明の第6の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図15】第6の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図16】本発明の第7の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図17】第7の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図18】本発明の第8の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図19】第8の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図20】本発明の第9の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図21】第9の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図22】本発明の第10の実施形態を示す図2と同様の断面図である。
図23】第10の実施形態のC字状接点部を示す斜視図である。
図24】本発明に適用し得る接点装置の変形例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電磁開閉器の一例を示す断面図、図2図1のA−A線上における接点装置の断面図である。図3図1のB−B線上の断面図である。
これら図1図3において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
接点装置100は、図1図3から明らかなように、接点機構101を収納する接点収納ケース102を有する。この接点収納ケース102は、金属製の下端部に外方と突出するフランジ部103を有する金属角筒体104と、この金属角筒体104の上端を閉塞する平板状のセラミック絶縁基板で構成される固定接点支持絶縁基板105と、金属角筒体104の内周側に配置された絶縁筒体140とを備えている。
【0010】
金属角筒体104は、そのフランジ部103が後述する電磁石ユニット200の上部磁気ヨーク210にシール接合されて固定されている。
また、固定接点支持絶縁基板105には、中央部に後述する一対の固定接触子111及び112を挿通する貫通孔106及び107が所定間隔を保って形成されている。
接点機構101は、図1に示すように、接点収納ケース102の固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通されて固定された一対の固定接触子111及び112を備えている。これら固定接触子111及び112のそれぞれは、固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通される上端に外方に突出するフランジ部113を有する支持導体部114と、この支持導体部114に連結されて固定接点支持絶縁基板105の下面側に配設され内方側を開放したC字状接点部115とを備えている。
【0011】
C字状接点部115は、固定接点支持絶縁基板105の下面に沿って外側に延長する上板部116とこの上板部116の外側端部から下方に延長する連結板部117と、この連結板部117の下端側から上板部116と平行に内方側すなわち固定接触子111及び112の対面方向に延長する接点台部118とで内方側を開放したC字状に形成されている。
接点台部118には、後述する可動接触子130の接点部130aと対向する上面位置に、接点粒119が配置されている。この接点粒119は、その上面と接点台部118の上面との間の高さがアークの移動を妨げる段差部を生じないように0.2〜0.4mm程度となる極扁平な円柱状に形成されている。
【0012】
ここで、支持導体部114とC字状接点部115とは、支持導体部114の下端面に突出形成されたピン114aをC字状接点部115の上板部116に形成された貫通孔120内に挿通した状態で例えばろう付け等によって固定されている。なお、支持導体部114及びC字状接点部115の固定は、ろう付け等に限らず、ピン114aを貫通孔120に嵌合させたり、ピン114aに雄ねじを形成し、貫通孔120に雌ねじを形成して両者を螺合させたりしてもよい。
【0013】
そして、固定接触子111及び112のC字状接点部115にそれぞれ、アークの発生を規制する合成樹脂材製の絶縁カバー121が装着されている。この絶縁カバー121は、C字状接点部115の上板部116及び中間板部117の内周面を被覆するものである。
このように、固定接触子111及び112のC字状接点部115に絶縁カバー121を装着することにより、このC字状接点部115の内周面では接点台部118の上面側のみが露出されている。
そして、固定接触子111及び112のC字状接点部115内に両端部を配置するように可動接触子130が配設されている。この可動接触子130は後述する電磁石ユニット200の可動プランジャ215に固定された連結軸131に支持されている。この可動接触子130は、中央部の連結軸131の近傍が下方に突出する凹部132が形成され、この凹部132に連結軸131を挿通する貫通孔133が形成されている。
【0014】
連結軸131は、上端に外方に突出するフランジ部131aが形成されている。この連結軸131に下端側から接触スプリング134に挿通し、次いで可動接触子130の貫通孔133を挿通して、接触スプリング134の上端をフランジ部131aに当接させこの接触スプリング134で所定の付勢力を得るように可動接触子130を例えばCリング135によって位置決めする。
この可動接触子130は、釈放状態で、両端の接点部と固定接触子111及び112のC字状接点部115の接点台部118の接点粒119とが所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子130は、投入位置で、両端の接点部が固定接触子111及び112のC字状接点部115の接点台部118の接点粒119に、接触スプリング134による所定の接触圧で接触するように設定されている。
【0015】
さらに、接点収納ケース102を構成する絶縁筒体140は、図4に示すように、例えば合成樹脂製の上端を開放した有底の角筒状に形成され、この絶縁筒体140の可動接触子130の側面に対向する位置に内方に突出する磁石収納ポケット141及び142が形成されている。この磁石収納ポケット141及び142には、アーク消弧用永久磁石143及び144が挿通されて固定されている。
このアーク消弧用永久磁石143及び144は、厚み方向に互いの対向面が同極例えばN極となるように着磁されている。そして、磁石収納ポケット141及び142の左右方向の外側にそれぞれアーク消弧室145及び146が形成されている。
【0016】
電磁石ユニット200は、図1に示すように、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク201を有し、この磁気ヨーク201の底板部202の中央部に円筒状補助ヨーク203が固定されている。この円筒状補助ヨーク203の外側にプランジャ駆動部としてのスプール204が配置されている。
このスプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
【0017】
そして、磁気ヨーク201の開放端となる上端間に上部磁気ヨーク210が固定されている。この上部磁気ヨーク210は、中央部にスプール204の中央円筒部205に対向する貫通孔210aが形成されている。
そして、スプール204の中央円筒部205内に、底部と磁気ヨーク201の底板部202との間に復帰スプリング214を配設した可動プランジャ215が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ215には、上部磁気ヨーク210から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部216が形成されている。
【0018】
また、上部磁気ヨーク210の上面に、環状に形成された環状永久磁石220が可動プランジャ215の周鍔部216を囲むように固定されている。この環状永久磁石220は外形が長方形に形成され中央部に周鍔部216を囲む貫通孔221を有する。この環状永久磁石220は上下方向すなわち厚み方向に上端側を例えばN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。なお、環状永久磁石220の貫通孔221の形状は周鍔部216の形状に合わせた形状とし、外周面の形状は円形、方形等の任意の形状とすることができる。同様に、環状永久磁石220の外形も長方形状に限らず、円形、六角形等の任意の形状とすることができる。
【0019】
そして、環状永久磁石220の上端面に、環状永久磁石220と同一外形の補助ヨーク225が固定されている。
そして、可動プランジャ215が、図1に示すように、非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ230で覆われ、このキャップ230の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部231が上部磁気ヨーク210の下面にシール接合されている。これによって、接点収納ケース102及びキャップ230が上部磁気ヨーク210の貫通孔210aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、接点収納ケース102及びキャップ230で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF等のガスが封入されている。
【0020】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動プランジャ215が復帰スプリング214によって、上部磁気ヨーク210から離れる上方向に付勢される。
【0021】
これと同時に、環状永久磁石220の磁力による吸引力が補助ヨーク225に作用されて、可動プランジャ215の周鍔部216が吸引される。このため、可動プランジャ215の周鍔部216の上面が補助ヨーク225の段差板部225c下面に当接している。
このため、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている接点機構101の可動接触子130の接点部130aが固定接触子111及び112の接点粒119から上方に所定距離だけ離間している。このため、固定接触子111及び112間の電流路が遮断状態にあり、接点機構101が開極状態となっている。
【0022】
このように、釈放状態では、可動プランジャ215に復帰スプリング214による付勢力と環状永久磁石220による吸引力との双方が作用しているので、可動プランジャ215が外部からの振動や衝撃等によって不用意に下降することがなく、誤動作を確実に防止することができる。
この釈放状態から、電磁石ユニット200の励磁コイル208を励磁すると、この電磁石ユニット200で励磁力を発生させて、可動プランジャ215を復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して下方に押し下げる。
【0023】
このように、可動プランジャ215が下降することにより、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている可動接触子130も下降し、その接点部130aが固定接触子111及び112の接点粒119に接触スプリング134の接触圧で接触する。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
この接点機構101の閉極状態から、負荷への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット200の励磁コイル208の励磁を停止する。
【0024】
これによって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力によって上昇し、周鍔部216が補助ヨーク225に近づくに従って環状永久磁石220の吸引力が増加する。
この可動プランジャ215が上昇することにより、連結軸131を介して連結された可動接触子130が上昇する。これに応じて接触スプリング134で接触圧を与えている間は可動接触子130が固定接触子111及び112に接触している。その後、接触スプリング134の接触圧がなくなった時点で可動接触子130が固定接触子111及び112から上方に離間する開極状態となる。
【0025】
この開極状態となると、固定接触子111及び112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間にアークが発生し、このアークによって電流の通電状態が継続される。
このとき、固定接触子111及び112のC字状接点部115の上板部116及び中間板部117を覆う絶縁カバー121が装着されているので、アークが固定接触子111及び112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間のみに発生させることができる。このため、アークの発生状態を安定させることができ、アークをアーク消弧室145又は146へ引き伸ばして消弧することができ、消弧性能を向上させることができる。
【0026】
また、C字状接点部115の上板部116及び中間板部117が絶縁カバー121で覆われているので、可動接触子130の両端部とC字状接点部115の上板部116及び中間板部117の間の絶縁カバー121によって絶縁距離を確保することができ、可動接触子130の可動方向の高さを短縮することができる。したがって、接点装置100を小型化することができる。
【0027】
一方、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面がN極であり、その外側がS極であるので、このN極から出た磁束が、平面から見て図5(a)に示すように、固定接触子111の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの対向部のアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。同様に、固定接触子112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aのアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。
したがって、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁束がともに固定接触子111の接点粒119及び可動接触子130の接点部130a間と、固定接触子112の接点粒119及び可動接触子130の接点部130a間を可動接触子130の長手方向で互いに逆方向に横切ることになる。
【0028】
このため、固定接触子111の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間では、図5(b)に示すように、電流Iが固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図5(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の接点粒119と可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
このローレンツ力Fによって、固定接触子111の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間に発生したアーク149が、図2に示すように、固定接触子111の接点粒119の側面からアーク消弧室145の内壁まで伸ばされ、この内壁に沿って可動接触子130の上面側に達するように大きく引き伸ばされる。
【0029】
このとき、固定接触子111の接点粒119と接点台118との間の高さがアークの接点粒119から接点台118への移動を妨げる段差部を生じることがないように0.2〜0.4mm程度に設定されているので、開極時に接点粒119及び可動接触子130の接点部130a間に発生したアークが上述したローレンツ力によって接点粒119に留まることなく、直ちに接点台部118の端面に移動し、アークが消弧室145の内壁まで確実に伸長される。
このようにアークが長く伸長されて所定のアーク長に達すると、所定のアーク電圧に達してアークが消弧される。
【0030】
一方、固定接触子112の接点粒119と可動接触子130との間では、図5(b)に示すように、電流Iが可動接触子130側から固定接触子112側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう右方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子112の接点粒119と可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
【0031】
このローレンツ力Fによって、固定接触子112の接点粒119と可動接触子130の接点部130aとの間に発生したアークが、可動接触子130の端面側からアーク消弧室145内に沿って大きく引き伸ばされる。ここでも、固定接触子112に形成された接点粒119と接点台118との間の高さがアークの接点粒119から接点台118への移動を妨げる段差部を生じることがないように0.2〜0.4mm程度に設定されているので、開極時に接点粒119及び可動接触子130の接点部130a間に発生したアークが上述したローレンツ力によって接点粒119に留まることなく、直ちに接点台部118の上面に移動し、アークが消弧室145の内壁まで確実に伸長されて消弧される。
【0032】
一方、電磁接触器10の投入状態で、負荷側から直流電源側に回生電流が流れている状態で、釈放状態とする場合には、前述した図5(b)における電流の方向が逆となることから、ローレンツ力Fがアーク消弧空間146側に作用し、アークがアーク消弧空間146側に引き伸ばされることを除いては同様の消弧機能が発揮される。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144は絶縁筒体140に形成された磁石収納筒体141及び142内に配置されているので、アークが直接アーク消弧用永久磁石143及び144に接触することがない。このため、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁気特性を安定して維持することができ、遮断性能を安定化させることができる。
【0033】
また、絶縁筒体140によって、金属製の角筒体104の内周面を覆って絶縁できるので、電流遮断時のアークの短絡がなく、確実に電流遮断を行うことができる。
さらに、絶縁機能、アーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能及びアーク消弧用永久磁石143及び144のアークからの保護機能を1つの絶縁筒体140で行うことができるので、製造コストを低減させることができる。
このように、上記第1の実施形態によると、固定接触子111及び112の接点台部118の可動接触子130の接点部130aに対向する上面に接点粒119が形成され、この接点粒119の高さがアークの移動を妨げる段差部を生じることないように設定されているので、前述した開極時にアークが接点粒119に膠着することがなく、アークが引き延ばされるに従って、直ちに接点粒119から接点台部118に移動することになる。このため、アークが接点粒119に膠着する場合のように接点粒119やその周囲の接点台部に激しい消耗が生じることを確実に防止することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態について図6及び図7を伴って説明する。
この第2の実施形態では、接点粒119と接点台部との間にエッジ部が形成されないようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図6及び図7に示すように、固定接触子111及び112の接点台部118に形成された極扁平な円柱状の接点粒119の上面端外縁にR面取り部119aを形成したことを除いては上述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態によると、可動接触子130の接点部130aと接触する上面外周縁にR面取り部119aが形成されているので、接点粒119に鋭いエッジ部が存在することがなく、開極時に発生するアークが前述したローレンツ力によって接点粒119から接点台部118により円滑に移動させることができる。このため、アークが接点粒119に膠着することをより確実に防止することができ、アーク消弧性能をより向上させることができる。
【0035】
次に、本発明の第3の実施形態について図8及び図9を伴って説明する。
この第3の実施形態では、接点台部118でのアークの接点粒119から離れる方向への移動をより容易に行うようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図8及び図9に示すように、固定接触子111及び112のC字状接点部118のアークの移動方向すなわち可動接触子130の延長方向と直交する方向の上端面及び側面間にC面取り部125を形成したことを除いては前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0036】
この第3の実施形態によると、固定接触子111及び112のC字状接点部118のアークの移動方向の端部にC面取り部125が形成されているので、アークがアーク消弧室145又は146の内壁側へ引き伸ばされたときに、アークが固定接触子111及び112のC字状接点部118の接点粒119の近傍から直ちにC面取り部125を経て可動接触子130とは反対側の端部に移動することができる。このため、アークの所定のアーク長への伸長を直ちに確実に行うことができ、アークの消弧性能をさらに向上させることができる。
【0037】
次に、本発明の第4の実施形態について図10及び図11を伴って説明する。
この第4の実施形態では、接点台部118に凹部を形成することにより、接点粒119の厚みを確保するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図10及び図11に示すように、固定接触子111及び112の接点粒119の配置位置に接点粒119の上面視での形状と同一の円形断面を有する凹部126を形成し、この凹部126内に第1の実施形態における接点粒119の高さに凹部126の深さを加えた高さの接点粒119を挿入して固定したことを除いては、第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0038】
この第4の実施形態によると、固定接触子111及び112のC字状接点部115の接点台部118に凹部126を形成し、この凹部126内に第1の実施形態の接点粒119の高さに凹部126の深さを加えた高さの接点粒119を挿入して固定している。このため、接点粒119の厚みを前述した第1の実施形態に比較して厚くすることができるので、接点粒119の寿命を長期化することができる。また、接点粒119の接点台部118上の位置決めが凹部126によって行われるので、正確な位置決めを行うことができるとともに、接点粒119の組み付け作業を容易に行うことができる。
なお、上記第4の実施形態においては、接点粒119の上面が、接点台部118の上面より第1の実施形態と同様に突出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1の実施形態より突出高さを低くしたり、接点台部118の上面と面一に形成したりすることもできる。
【0039】
次に、本発明の第5の実施形態について図12及び図13を伴って説明する。
この第5の実施形態は、前述した第2の実施形態と同様に、第4の実施形態の接点粒にエッジ部を形成しないようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、図12及び図13に示すように、上述した第4の実施形態における接点粒119の接点台部118から突出した突出部における上面外周縁にR面取り部119aを形成したことを除いては上記第4の実施形態と同様の構成を有し、図10及び図11との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0040】
この第5の実施形態によると、前述した第2の実施形態と同様に、可動接触子130の接点部130aと接触する上面外周縁にR面取り部119aが形成されているので、接点粒119に鋭いエッジ部が存在することがなく、開極時に発生するアークが前述したローレンツ力によって接点粒119から接点台部118により円滑に移動させることができる。このため、アークが接点粒119に膠着することをより確実に防止することができ、アーク消弧性能をより向上させることができる。
なお、上記第1〜第5の実施形態においては、接点粒119を上面視で円形である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上面視で楕円形や、長円形とすることができる。
【0041】
次に、本発明の第6の実施形態について図14及び図15を伴って説明する。
この第6の実施形態では、固定接触子111及び112のC字状接点部115における接点台部118に形成した凹部126内に挿入固定した接点粒119の形状を外周側がテーパー面119bとなる円錐台形状に形成したことを除いては前述した第4の実施形態と同様の構成を有し、図10及び図11との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第6の実施形態によると、接点粒119の外周側にテーパー面119bが形成されているので、開極時に発生したアークを前述したローレンツ力によってテーバー119bを通って直ちに接点台部118に移動させることができ、アークの所定のアーク長への引き延ばし時間をより速くすることができ、アークの消弧性能をより向上させることができる。
【0042】
次に、本発明の第7の実施形態について図16及び図17を伴って説明する。
この第7の実施形態は、前述した第6の実施形態において、接点粒119の形状を変更したものである。
すなわち、第7の実施形態では、図16及び図17に示すように、接点粒119の平面視での形状を長方形状とした扁平な直方体状に形成し、その長手方向がアークの移動方向すなわち可動接触子130の幅方向となるようにし、且つ短辺を接点台部118のC面取り部115の近傍まで延長させたことを除いては第1の実施形態と同様の構成を有し、図14及び図15との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0043】
この第7の実施形態によると、接点粒119を平面視で長方形状とし、その長手方向をアークの移動方向としたので、開極時に発生するアークが前述したローレンツ力によって引き伸ばされたときに、アークが接点粒119から直接C面取り部125に移動することになり、アークの伸長をより確実に行うことができる。
なお、上記第7の実施形態においては、接点粒119を接点台部118の上面に直接形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第4の実施形態と同様に凹部126内に接点粒119を配置するようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明の第8の実施形態について図18及び図19を伴って説明する。
この第8の実施形態は、前述した第1の実施形態において、接点粒119の形状を変更したものである。
すなわち、第8の実施形態では、接点粒119を平面視で長方形状とした扁平な直方体状に形成し、その長手方向がアークの移動方向すなわち可動接触子130の幅方向となるようにし、且つ長手方向両側の短辺を接点台部118の両側面まで延長させて、両者の端面を面一としたことを除いては第1の実施形態と同様の構成を有し、図2及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。なお、接点粒119の接点台部118の先端に両側に対応する位置に接点台部118のR面取り形状に合わせたR面取りが形成されている。
【0045】
この第8の実施形態によると、接点粒119を平面視で長方形状とし、アーク発生部を含む接点台部118の先端側を覆うようにし、さらに接点粒119の長手方向をアークの移動方向としたので、開極時に発生するアークが前述したローレンツ力によって引き伸ばされたときに、アークが接点粒119上を接点台部118の側端部まで移動し、次いでアークが接点粒119の側端を通ってから接点台部118の側端に移動することになり、アークの伸長をより確実に行うことができる。
なお、上記第8の実施形態においては、接点粒119を接点台部118の上面に直接形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第4の実施形態の凹部126に相当する両端部を開放した溝内に接点粒119を配置するようにしてもよい。この場合には、接点粒119の位置決めを正確に行うことができる。
【0046】
次に、本発明の第9の実施形態について図20及び図21を伴って説明する。
この第9の実施形態は、上記第8の実施形態において接点粒のアーク移動方向の長さを延長したものである。
すなわち、第9の実施形態では、図20及び図21に示すように、上述した第8の実施形態において、接点粒119の長手方向の端部を接点台部118の側端部より外側に延長してアーク移動方向に突出させたことを除いては図18及び図19と同様の構成を有し、図18及び図19との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。なお、接点粒119の4隅にはR面取りが形成されている。
【0047】
この第9の実施形態によると、接点粒119を平面視で長方形状とし、アーク発生部を含む接点台部118の先端側を覆うようにし、さらに接点粒119の長手方向の端部をアークの移動方向で接点台部の側端面より外側に突出させたので、開極時に発生するアークが前述したローレンツ力によって引き伸ばされたときに、アークが接点粒119上を接点台部118の側端面より外側まで移動し、図20に示すように、アークが接点台部118に接することなく伸長される。したがって、接点台部118の消耗を確実に防止することができる。
なお、上記第9の実施形態においては、接点粒119を接点台部118の上面に直接形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第4の実施形態の凹部126に相当する両端部を開放した溝内に接点粒119を配置するようにしてもよい。この場合には、接点粒119の位置決めを正確に行うことができる。
【0048】
次に、本発明の第10の実施形態について図22及び図23を伴って説明する。
この第10の実施形態は、上述した第7の実施形態における接点粒119の形状を変更するとともに、前述した第4の実施形態と同様に凹部内に配置したものである。
すなわち、第10の実施形態では、前述した第7の実施形態における接点粒119の長手方向の両端側に端部に行くに従い薄くなり端部で接点台部118の上面と面一となるテーパー面119cを形成するとともに、厚みを接点台部118に形成した凹部126の深さを加えた厚みとし、この接点粒119を凹部126内に挿入固定したことを除いては第7の実施形態と同様の構成を有し、図10及び図11図16及び図17との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0049】
この第10の実施形態によると、前述した第7の実施形態の接点粒119にアークの移動方向の端部に向かうに従い薄くなるテーパー面119cを形成したので、前述した第7の実施形態に比較して接点粒119上のアークのアーク消弧室145又は146側への移動をより迅速に行わせることができ、アーク消弧性能をより向上させることができる。
なお、上記第1〜第10の実施形態においては、可動接触子130の中央部に凹部132を形成する場合について説明したが、可動接触子130を、図24(a)及び(b)に示すように、凹部132を省略して平板状に形成するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、接点装置100及び電磁石ユニット200について一例を説明したに過ぎず、接点装置100及び電磁石ユニット200の内部構成は任意の構成とすることができる。
また、上記実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で気密室240を構成し、この気密室240内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…電磁接触器、11…外装絶縁容器、100…接点装置、101…接点機構、102…消弧室、104…金属角筒体、105…固定接点支持絶縁基板、111,112…固定接触子、114…支持導体部、115…C字状接点部、116…上板部、117…連結板部、118…接点台部、119…接点粒、119a…R面取り部、119b,119c…テーパー面、121…絶縁カバー、125…C面取り部、126…凹部、130…可動接触子、130a…接点部、131…連結軸、134…接触スプリング、140…絶縁筒体、141,142…磁石収納ポケット、143,144…アーク消弧用永久磁石、145,146…アーク消弧室、147…樹脂成型材、148…高熱伝導率フィラー、149…高熱伝導性板、150…高熱電導率筒体、151…アーク、200…電磁石ユニット、201…磁気ヨーク、203…円筒状補助ヨーク、204…スプール、208…励磁コイル、210…上部磁気ヨーク、214…復帰スプリング、215…可動プランジャ
図1
図2
図3
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図6
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図10
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