(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C光源を使用して2度視野で測定したXYZ表色色度図における色度座標(x,y)において、0.660≦x≦0.690かつ0.300≦y≦0.320となる着色硬化膜の形成に用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0013】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド264及びイソインドリン系顔料を含む。イソインドリン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185等を挙げることができる。中でも、C.I.ピグメントイエロー185が好ましい。
【0014】
(A
1)C.I.ピグメントレッド264と(A
2)イソインドリン系顔料との含有質量比〔(A
1)/(A
2)〕は適宜選択可能であるが、より一層の輝度及び着色力の向上の観点から、質量比〔(A
1)/(A
2)〕=99/1〜50/50であることが好ましく、90/10〜60/40であることがより好ましく、85/15〜70/30であることが更に好ましい。
【0015】
本発明の着色組成物は、更にC.I.ピグメントレッド264及びイソインドリン系顔料以外の他の着色剤を混合して用いることもできる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
【0016】
他の着色剤としては、顔料、染料及び天然色素を挙げることができ、他の着色剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、輝度、コントラスト及び着色力の高い画素を得るという点から、顔料としては、有機顔料が好ましく、また染料としては、有機染料が好ましい。
【0017】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0018】
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254等のC.I.ピグメントレッド264以外の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等のイソインドリン系以外の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
その他、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を挙げることができる。
【0019】
また、上記染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、シアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等が好ましい。より具体的には、特開2010−32999号公報、特開2010−254964号公報、特開2011−138094号公報、国際公開第10/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報等に記載の有機染料を挙げることができる。
本発明において顔料及び染料は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
本発明においては、C.I.ピグメントレッド264、イソインドリン系顔料及び任意に混合する他の顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、これらの顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0021】
また、本発明においては、C.I.ピグメントレッド264、イソインドリン系顔料及び任意に混合する他の着色剤と共に、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、(メタ)アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のうちのいずれか一方又は両方を意味する。
【0022】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、(メタ)アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0023】
このような分散剤の中でも、(メタ)アクリル系分散剤が好ましい。
(メタ)アクリル系分散剤としては、商業的に入手可能な(メタ)アクリル系分散剤の他、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル系分散剤も好ましい。該架橋性官能基としては、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の含酸素飽和ヘテロ環基、エチレン性不飽和基、エピチオ基、(ジチオ)カーボナート基等を挙げることができる。これらの架橋性官能基の中では含酸素飽和ヘテロ環基が好ましく、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基がより好ましい。なお、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル系分散剤は、例えば特開2012−118505号公報に記載の方法により合成することができる。
このような態様により、本発明の所望の効果をより得ることができる。
【0024】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0025】
本発明の着色組成物は通常、赤色画素の形成に用いるが、C.I.ピグメントレッド264及びイソインドリン系顔料と共に他の着色剤を混合して用いることができる。その場合、他の着色剤としてC.I.ピグメントレッド264以外の赤色着色剤を含むことが好ましく、特にC.I.ピグメントレッド177を含むことが好ましい。
【0026】
他の着色剤の含有割合は、着色剤の合計含有量に対して70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値は特に限定されるものではなく、0.01質量%以上であればよい。特に、他の着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を含む場合、C.I.ピグメントレッド177の含有割合の下限値は、着色剤の合計含有量に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
【0027】
本発明の着色組成物は、C光源を使用して2度視野で測定したXYZ表色色度図における色度座標(x,y)において、0.660≦x≦0.690かつ0.300≦y≦0.320となる着色硬化膜の形成に好ましく用いることができる。色度特性のより一層の向上の観点から、色度座標値xの下限値は、好ましくは0.665、更に好ましくは0.668であり、xの上限値は、好ましくは0.688、より好ましくは0.686、更に好ましくは0.682である。また、色度座標値yの下限値は、好ましくは0.302、より好ましくは0.304、更に好ましくは0.308であり、yの上限値は、好ましくは0.318、更に好ましくは0.315である。
また、本発明の着色組成物は、白色LEDを使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x,y)においても、0.660≦x≦0.690かつ0.300≦y≦0.320となる着色硬化膜の形成に好ましく用いることができる。
【0028】
本発明の着色組成物を表示素子の着色硬化膜に用いる場合、(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く着色力に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%であり、特に20〜50質量%が好ましい。本発明の着色組成物は、(A)着色剤の含有割合が着色組成物の固形分中に40質量%以下、更には30質量%以下、特に25質量%以下であっても、高い輝度と高い着色力を有する着色硬化膜を製造することができる。
また本発明の着色組成物を固体撮像素子の着色硬化膜に用いる場合、(A)着色剤の含有割合は、色分離性に優れる画素パターンを形成し、且つ現像残渣を抑制する点から、通常、着色組成物の固形分中に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。他方、上限は、現像残渣の抑制、良好なパターン形成の観点から、通常、70質量%以下である。ここで「固形分」とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0029】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
【0030】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0032】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0033】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0035】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0036】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平9−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0037】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、被膜の残膜率、パターン形状、耐熱性、電気特性、解像度がより一層高められ、また塗布時の乾燥異物の発生を高水準で抑制することができる。
【0038】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0039】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0040】
本発明において、バインダー樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。このような態様とすることで、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性、色度特性をより一層高めることができる。
【0042】
−(C)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0043】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0044】
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0045】
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0046】
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0047】
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)重合性化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0048】
本発明における(C)重合性化合物の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、更に20〜700質量部、更に100〜500質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、アルカリ現像性がより一層高められ、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等の発生を高水準で抑制することができる。
【0049】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0050】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0051】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0052】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0053】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0054】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0055】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。中でも、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0056】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0057】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)、DFI−020、DFI−091(以上、ダイトーケミックス株式会社製)等を使用することもできる。
【0058】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0059】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。このような態様とすることで、硬化性、被膜特性をより一層高めることができる。
【0060】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0061】
このような溶媒のうち、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0062】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0063】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0064】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0065】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、乳酸アルキルエステル類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、他のエーテル類、ケトン類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類、他のエステル類が好ましく、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
【0066】
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。混合して使用する場合は、少なくとも(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とアルコキシカルボン酸エステル類とを混合して使用することが好ましい。
【0067】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0068】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ−スピロ[5・5]ウンデカン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
中でも、本発明の着色組成物は酸化防止剤を含有することが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することがより好ましく、特にペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含有することが好ましい。
【0069】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、(A)〜(C)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。中でも、顔料を溶媒中、分散剤の存在下で、場合により(B)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、(B)〜(C)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法が好ましい。
【0070】
着色硬化膜及びその製造方法
本発明の着色硬化膜は、本発明の着色組成物を用いて形成されたものであり、具体的には、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【0071】
以下、カラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0072】
次いで、緑色又は青色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0073】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の顔料が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0074】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0075】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができる。中でも、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0076】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0077】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0078】
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0079】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0080】
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0081】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
【0082】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の本発明の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0083】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0084】
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0085】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
本発明の着色組成物は、上記カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。
【0086】
このようにして形成された本発明の着色硬化膜を含むカラーフィルタは、輝度及び着色力が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
【0087】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極あるいはIZO電極を形成した基板側のどちらに形成されていても良い。
【0088】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0089】
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0090】
また、本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
また、本発明の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0091】
固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。また、本発明の固体撮像素子は適宜の構造を採ることができる。例えば、1つの実施の形態として、本発明の着色組成物を用いて、CMOS基板などの半導体基板上に、前述と同様の操作により着色画素(着色硬化膜)を形成することにより、特に色分離性に優れた固体撮像素子を作製することができる。
【実施例1】
【0092】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0093】
<バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート38質量部、N−フェニルマレイミド12質量部及びこはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂(A−1)溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂(A−1)は、Mw=10500、Mn=5900、Mw/Mn=1.78であった。
【0094】
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸15質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.5質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート38質量部、N−フェニルマレイミド12質量部及びこはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)12.5質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を3時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合した。その後室温に冷却し、固形分濃度が40質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えることにより、樹脂(A−2)溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂(A−2)は、Mw=10,800、Mn=5,900、Mw/Mn=1.83であった。
【0095】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート29質量部、N−フェニルマレイミド12質量部及びベンジルメタクリレート14質量部の混合溶液、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部の混合溶液を3時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合した。その後室温に冷却し、固形分濃度が40質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えることにより、樹脂(A−3)溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂(A−3)は、Mw=9.700、Mn=5,700、Mw/Mn=1.70であった。
【0096】
<分散剤の合成>
合成例4
1000mLフラスコにテトラヒドロフラン(THF)521.03g、塩化リチウム(3.59質量%濃度THF溶液)48.20g、ジイソプロピルアミン2.11gを加え、−60℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム8.67g(15.36質量%濃度ヘキサン溶液)を加え、15分間熟成した。
次に、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMMA)44.75gを滴下し、滴下後20分反応を継続した。そして、GC(ガスクロマトグラフィー)を測定し、モノマーの消失を確認した。反応液の一部をサンプリングし、GPC(移動相THF、PMMAスタンダード)で分析したところ、分子量(Mw)は3,060、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。
次いで、メチルメタクリレート(MMA)27.80g、n−ブチルメタクリレート(nBMA)39.31g、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(以下、THFMAと略すことがある)28.15gの混合液を60分かけて滴下し、滴下後30分反応を継続した。GCを測定し、モノマーの消失を確認した後、メタノール3.29gを加えて反応を停止した。
得られた共重合体をGPC(移動相DMF、PMMAスタンダード)により分析したところ、分子量(Mw)は9,020、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。また、得られた共重合体は、DMMA−[MMA/nBMA/THFMA]のブロック共重合体であり、組成比(質量%)はDMMA/MMA/nBMA/THFMA=32/20/28/20であることを確認した。
反応液を酢酸エチルで希釈し、三回水洗後、溶媒を留去した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶媒置換後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3(w/w)になるように調整した。DMMAに対して、0.8当量のベンジルクロライド(BzCl)を加え、70℃で7時間反応させることにより、三級アミン構造の四級化を行った。最終的には、固形分濃度40質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=7/3(w/w)の樹脂溶液(X−1)を得た。この樹脂は、架橋性官能基としてテトラヒドロフラニル基を有する分散剤に相当する。
【0097】
<着色剤分散液の調製>
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド264を10.7質量部、C.I.ピグメントイエロー185を2.3質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を13.0質量部(固形分濃度=40質量%)、樹脂(A−1)溶液を10.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.0質量部とプロピレングリコールモノエチルエーテル16.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色顔料分散液(R−1)を調製した。
【0098】
調製例2〜13
調製例1において、着色剤の種類及び量を表1に示すように変更した以外は調製例1と同様にして、赤色顔料分散液(R−2)〜(R−13)を調製した。なお、調製例4及び調製例7〜9においては、表1に記載した着色剤をどのような比率で混合しても、後述するC光源および白色LED発光スペクトルを光源とした色度特性の評価において、色度座標値がx≧0.660かつy≦0.320を満たす硬化膜を作製することが出来なかったため、顔料分散液の調製を断念した。
【0099】
調製例14
着色剤としてC.I.ピグメントレッド264を10.7質量部、C.I.ピグメントイエロー185を2.3質量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー(BYK)社製)を4.0質量部(固形分濃度=60質量%)、樹脂溶液(X−1)を7.0質量部(固形分濃度=40質量%)、樹脂(A−1)溶液を10.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64.0質量部とプロピレングリコールモノエチルエーテル16.0質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色顔料分散液(R−14)を調製した。
【0100】
調製例15
調製例1において、着色剤としてC.I.ピグメントレッド264を8.8質量部及びC.I.ピグメントイエロー185を4.2質量部用いた以外は調製例1と同様にして、赤色顔料分散液(R−15)を調製した。
【0101】
【表1】
【0102】
なお表1において、各成分は下記の通りである。
R264 :C.I.ピグメントレッド264
R254 :C.I.ピグメントレッド254
R242 :C.I.ピグメントレッド242
R177 :C. I.ピグメントレッド177
Y185 :C.I.ピグメントイエロー185
Y139 :C.I.ピグメントイエロー139
Y150 :C.I.ピグメントイエロー150
Y129 :C.I.ピグメントイエロー129
【0103】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
着色組成物の調製
着色剤として赤色顔料分散液(R−1)624質量部、バインダー樹脂として樹脂(A−1)溶液91質量部、重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(東亞合成株式会社製、アロニックスM−402)90質量部、光重合開始剤としてアデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA社製)4.0質量部、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:Irganox1010、BASF社製)1.0質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5質量%溶液9.7質量部、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート321質量部、メトキシブチルアセテート70質量部、3−エトキシプロピオン酸エチル30質量部を混合して、固形分濃度20質量%の赤色着色組成物(S−1)を得た。
【0104】
色度特性の評価
赤色着色組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を600J/m
2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に対して、23℃の0.04%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行った。その後、これらの基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で20分間ポストベークを行うことにより、赤色の硬化膜を作製した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.675のときの色度座標値y及び刺激値(Y)を求めた。また、得られた硬化膜の膜厚を、KLA−Tencor製アルファステップIQを用いて測定した。評価結果を表2に示す。
なお、刺激値(Y)が大きいほど輝度が高く、膜厚が薄いほど着色剤の着色力が大きいと言える。
【0105】
実施例2〜6及び比較例1〜9
実施例1において、赤色顔料分散液の種類を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、赤色着色組成物(S−2)〜(S−15)を調製した。そして、得られた赤色着色組成物(S−2)〜(S−15)について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。但し、比較例2、5、6及び7においては、色度座標値x=0.675の時にy>0.320となり、0.300≦y≦0.320を満たす硬化膜が得られなかった。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例7
実施例1で作製した、赤色着色組成物(S−1)を用いて作製した3枚の赤色の硬化膜について、C光源に代えて、
図1に示すような青色LEDとYAG系蛍光体の混色により得られる白色LED発光スペクトルを光源として用いた以外は実施例1と同様にして、色度座標(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.663のときの色度座標値y及び刺激値(Y)を求めた。また、得られた硬化膜の膜厚を、KLA−Tencor製アルファステップIQを用いて測定した。評価結果を表3に示す。
【0108】
実施例8〜12及び比較例10〜18
実施例2〜6及び比較例1〜9で作製した、赤色着色組成物(S−2)〜(S−15)を用いて作製した3枚の赤色の硬化膜について、実施例7と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。但し、比較例11、14、15及び16においては、色度座標値x=0.663の時にy≦0.320となる硬化膜が得られなかった。
【0109】
【表3】
【0110】
実施例13
実施例1で作製した、赤色着色組成物(S−1)を用いて作製した3枚の赤色の硬化膜について、C光源に代えて、
図2に示すような3波長LED(青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により得られる白色LED)発光スペクトルを光源として用いた以外は実施例1と同様にして、色度座標(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.685のときの色度座標値y及び刺激値(Y)を求めた。また、得られた硬化膜の膜厚を、KLA−Tencor製アルファステップIQを用いて測定した。評価結果を表4に示す。
【0111】
実施例14〜18及び比較例19〜27
実施例2〜6及び比較例1〜9で作製した、赤色着色組成物(S−2)〜(S−15)を用いて作製した3枚の赤色の硬化膜について、実施例13と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。但し、比較例20、23、24及び25においては、色度座標値x=0.685の時にy≦0.315となる硬化膜が得られなかった。
【0112】
【表4】
【0113】
<固体撮像素子用着色硬化膜の作製及び評価>
調製例16
(下地膜形成用組成物の調製)
フラスコ内を窒素置換した後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを0.6質量部溶解したメチル−3−メトキシプロピオネート溶液を200質量部仕込んだ。引き続きtert−ブチルメタクリレートを37.5質量部、グリシジルメタクリレート62.5質量部を仕込んだ後、撹拌し、70℃にて6時間加熱した。冷却後、重合体を含有する樹脂溶液を得た。
次に、この樹脂溶液を33.3質量部(重合体を10部含有)、メチル−3−メトキシプロピオネートを31.9質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを3.4質量部で希釈したのち、トリメリット酸を0.3質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.5質量部、商品名「FC−4432」(住友スリーエム(株)製)0.005質量部を溶解し、下地膜形成用組成物を調製した。
【0114】
実施例19
着色剤としてC.I.ピグメントレッド264を8.8質量部、C.I.ピグメントイエロー185を2.2質量部、分散剤としてBYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)を8.45質量部(固形分濃度=40質量%)、樹脂(A−2)溶液を8.45質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.87質量部とプロピレングリコールモノエチルエーテル4.23質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色顔料分散液(R−16)を調製した。
次に、着色剤として上記で調製した赤色顔料分散液(R−16)455質量部、バインダー樹脂として樹脂(A−3)溶液0.28質量部(固形分濃度=40質量%)、重合性化合物としてカヤラッドDPEA−12(日本化薬株式会社製、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)15.07質量部、光重合開始剤としてアデカアークルズNCI−930(株式会社ADEKA社製)4.07質量部、フッ素系界面活性剤としてフタージェントFTX−218(株式会社ネオス社製)0.02質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度20質量%、且つ顔料濃度50質量%の赤色着色組成物(S−16)を得た。
【0115】
画素パターンの形成及び評価
6インチシリコンウェハー上に、自動塗布現像装置(東京エレクトロン(株)製クリーントラック、商品名「MARK−Vz」)を用いて、前記下地膜形成用組成物をスピンコート法にて塗布した後、230℃で300秒間ベークを行い、膜厚0.6μmの下地膜を形成した。
この下地膜上に赤色着色組成物(S−16)をスピンコート法にて塗布した後、90℃で150秒間プレベークを行って、膜厚0.75μmの塗膜を形成した。その後、得られた基板を室温に冷却し、基板上の塗膜に、フォトマスクを介して、縮小投影露光機((株)ニコン製NSR−2005i10D、レンズ開口数=0.63)を用いて、波長365nm(i線)にて30〜500mJ/cm
2の露光量を10mJ/cm
2間隔で露光した。続いて、自動塗布現象装置内で、0.05%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液により90秒間パドル(液盛り)現像し、超純水によりリンスし、スピン乾燥した後、ホットプレート上にて230℃で300秒間ポストベークを行って、赤色着色パターンを形成した。
上記赤色着色パターンは、固体撮像素子に求められる超薄膜であっても色分離性に優れることが確認された。従って本発明の着色組成物は、色純度が高く、固体撮像素子用に好適なカラーフィルタを作製できると言える。
【0116】
実施例20
着色剤としてC.I.ピグメントレッド264を8.8質量部、C.I.ピグメントイエロー185を2.2質量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー(BYK)社製)を5.63質量部(固形分濃度=60質量%)、樹脂(A−2)溶液を8.45質量部(固形分濃度=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.69質量部とプロピレングリコールモノエチルエーテル4.23質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色顔料分散液(R−17)を調製した。
次に、赤色顔料分散液(R−16)に代えて上記で調製した赤色顔料分散液(R−17)を用いた以外は実施例19と同様にして、固形分濃度20質量%、且つ顔料濃度50質量%の赤色着色組成物(S−17)を得た。そして実施例19と同様にして画素パターンを形成したところ、色分離性に優れることが確認された。従って、色純度が高く、固体撮像素子用に好適なカラーフィルタを作製できると言える。