特許第6281393号(P6281393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000002
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000003
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000004
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000005
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000006
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000007
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000008
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000009
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000010
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000011
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000012
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000013
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000014
  • 特許6281393-車両用灯具及びレンズ体 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281393
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】車両用灯具及びレンズ体
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180208BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180208BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180208BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20180208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180208BHJP
【FI】
   F21S8/12 140
   F21S8/10 170
   F21S8/10 400
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-83771(P2014-83771)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-204228(P2015-204228A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】松野 貴一
(72)【発明者】
【氏名】西村 将太
(72)【発明者】
【氏名】九里 佳祐
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−080306(JP,A)
【文献】 特開2010−205607(JP,A)
【文献】 特開2010−160925(JP,A)
【文献】 特開2009−146665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と前記光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備え、前記配光形成レンズ部を透過して前方に照射される前記光源からの光により所定配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、
前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む筒状の見栄え用発光レンズ部を備え、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、下面と当該下面以外の面とを含み、
前記下面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面に入射する前記光源からの光を拡散反射させる拡散反射面として構成されており、
前記下面以外の面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面以外の面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている車両用灯具。
【請求項2】
前記見栄え用発光レンズ部の内周面は、当該内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が矩形形状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に矩形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む矩形筒状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた矩形筒状の面として構成されている請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が円形状又は楕円形状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に円形又は楕円形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む円形又は楕円形筒状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた円形又は楕円形筒状の面として構成されている請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、当該前端面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、その前方に焦点が設定された複数のレンズ面を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記拡散面及び前記拡散反射面は、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面である請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記配光形成レンズ部と前記見栄え用発光レンズ部は、一体成形されている請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記見栄え用発光レンズ部の外周面の一部が外部から視認されるように、前記見栄え用発光レンズ部の外周面のうち前記一部以外の部分を取り囲んだ状態で配置されたエクステンションをさらに備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
所定配光パターンを形成するように構成されたレンズ体において、
光源の前方に配置される配光形成レンズ部と、
前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む筒状の見栄え用発光レンズ部と、を備え、
前記配光形成レンズ部は、当該配光形成レンズ部を透過して前方に照射される前記光源からの光により所定配光パターンを形成するレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、下面と当該下面以外の面とを含み、
前記下面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面に入射する前記光源からの光を拡散反射させる拡散反射面として構成されており、
前記下面以外の面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面以外の面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されているレンズ体。
【請求項11】
前記見栄え用発光レンズ部の内周面は、当該内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている請求項10に記載のレンズ体。
【請求項12】
前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が矩形形状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に矩形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む矩形筒状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた矩形筒状の面として構成されている請求項10又は11に記載のレンズ体。
【請求項13】
前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が円形状又は楕円形状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に円形又は楕円形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む円形又は楕円形筒状のレンズ部として構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた円形又は楕円形筒状の面として構成されている請求項10又は11に記載のレンズ体。
【請求項14】
前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、当該前端面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている請求項10から13のいずれか1項に記載のレンズ体。
【請求項15】
前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、
前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、その前方に焦点が設定された複数のレンズ面を含む請求項10から13のいずれか1項に記載のレンズ体。
【請求項16】
前記拡散面及び前記拡散反射面は、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面である請求項10から15のいずれか1項に記載のレンズ体。
【請求項17】
前記配光形成レンズ部と前記見栄え用発光レンズ部は、一体成形されている請求項10から16のいずれか1項に記載のレンズ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具及びレンズ体に係り、特に、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具及びこれに用いられるレンズ体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14は、特許文献1に記載の車両用灯具200の概略構成図である。
【0004】
図14に示すように、特許文献1に記載の車両用灯具200は、光源210(半導体発光素子)と光源210の前方に配置された配光形成レンズ部220等を備えている。
【0005】
配光形成レンズ部220は、前方側表面222及び後方側表面224を含み、後方側表面224から配光形成レンズ部220内部に入射し、前方側表面222から出射する光源210からの光により所定配光パターンを形成するレンズ部として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−26185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用灯具200においては、配光形成レンズ部220が光源210から離間した位置に配置されており(すなわち、光源210と配光形成レンズ部220との間に空間が形成されており)、外部から当該空間を通して光源210やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認される結果、見栄えが低下するという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の車両用灯具200においては、光源210からの光のうち配光形成レンズ部220を透過する光より広角方向の光Rayが損失となる結果、光利用効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具において、外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善するとともに、光利用効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、光源と前記光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備え、前記配光形成レンズ部を透過して前方に照射される前記光源からの光により所定配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む筒状の見栄え用発光レンズ部を備え、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、下面と当該下面以外の面とを含み、前記下面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面に入射する前記光源からの光を拡散反射させる拡散反射面として構成されており、前記下面以外の面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面以外の面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている車両用灯具であることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具において、外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善するとともに、光利用効率を高めることができる。
【0012】
外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善することができるのは、見栄え用発光レンズ部が、配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、当該前端部から光源側に筒状に延びて、配光形成レンズ部と光源との間の空間を取り囲んでいることによるものである。
【0013】
光利用効率を高めることができるのは、光源からの光のうち配光形成レンズ部を透過する光より広角方向の光(すなわち、配光形成レンズ部に入射しない従来損失となっていた光)を、見栄え用発光レンズ部が発光しているように視認させるために用いたことによるものである。
【0014】
また、請求項1に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の内周面は、当該内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されている。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部の内周面を拡散面として構成することで、当該見栄え用発光レンズ部の内周面から見栄え用発光レンズ部内部に入射する光源からの光を見栄え用発光レンズ部の外周面の全域(又は略全域)に入射させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が矩形形状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に矩形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む矩形筒状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた矩形筒状の面として構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。これは、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が円形状又は楕円形状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に円形又は楕円形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む円形又は楕円形筒状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた円形又は楕円形筒状の面として構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。これは、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、当該前端面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部の前端面(拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、その前方に焦点が設定された複数のレンズ面を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部の前端面(複数のレンズ面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0025】
また、請求項6に記載の発明によれば、レンズ面から出射する光源からの光を集光させた後、拡散させることができる。また、各々のレンズ面から出射する光が1点に集光するため、レンズ面の数だけ点が並んだ新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、前記拡散面及び前記拡散反射面は、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面であることを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、光源からの光を複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面の作用によりあらゆる方向に拡散させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明において、前記配光形成レンズ部と前記見栄え用発光レンズ部は、一体成形されていることを特徴とする。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、配光形成レンズ部と見栄え用発光レンズ部が一体成形された車両用灯具を提供することができる。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の外周面の一部が外部から視認されるように、前記見栄え用発光レンズ部の外周面のうち前記一部以外の部分を取り囲んだ状態で配置されたエクステンションをさらに備えたことを特徴とする。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、エクステンションが見栄え用発光レンズ部の外周面のうち一部以外の部分を取り囲み、かつ、見栄え用発光レンズ部の外周面の一部が外部から視認される新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0032】
請求項10に記載の発明は、所定配光パターンを形成するように構成されたレンズ体において、光源の前方に配置される配光形成レンズ部と、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む筒状の見栄え用発光レンズ部と、を備え、前記配光形成レンズ部は、当該配光形成レンズ部を透過して前方に照射される前記光源からの光により所定配光パターンを形成するレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、下面と当該下面以外の面とを含み、前記下面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面に入射する前記光源からの光を拡散反射させる拡散反射面として構成されており、前記下面以外の面は、前記見栄え用発光レンズ部の内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射し、当該下面以外の面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されているレンズ体であることを特徴とする。
【0033】
請求項10に記載の発明によれば、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具において、外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善するとともに、光利用効率を高めることができるレンズ体を提供することができる。
【0034】
外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善することができるのは、見栄え用発光レンズ部が、配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、当該前端部から光源側に筒状に延びて、配光形成レンズ部と光源との間の空間を取り囲んでいることによるものである。
【0035】
光利用効率を高めることができるのは、光源からの光のうち配光形成レンズ部を透過する光より広角方向の光(すなわち、配光形成レンズ部に入射しない従来損失となっていた光)を、見栄え用発光レンズ部が発光しているように視認させるために用いたことによるものである。
【0036】
また、請求項10に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えのレンズ体を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0037】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の内周面は、当該内周面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されていることを特徴とする。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部の内周面を拡散面として構成することで、当該見栄え用発光レンズ部の内周面から見栄え用発光レンズ部内部に入射する光源からの光を見栄え用発光レンズ部の外周面の全域(又は略全域)に入射させることができる。
【0039】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が矩形形状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に矩形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む矩形筒状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた矩形筒状の面として構成されていることを特徴とする。
【0040】
請求項12に記載の発明によれば、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えのレンズ体を提供することができる。これは、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、矩形筒状の見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0041】
請求項13に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記配光形成レンズ部は、正面視で外形が円形状又は楕円形状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部は、前記配光形成レンズ部の周囲を取り囲む前端部を含み、かつ、前記前端部から前記光源側に円形又は楕円形筒状に延びて、前記配光形成レンズ部と前記光源との間の空間を取り囲む円形又は楕円形筒状のレンズ部として構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の外周面は、前記下面及び前記下面以外の面で囲まれた円形又は楕円形筒状の面として構成されていることを特徴とする。
【0042】
請求項13に記載の発明によれば、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えのレンズ体を提供することができる。これは、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)の作用により、円形又は楕円形筒状の見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0043】
請求項14に記載の発明は、請求項10から13のいずれか1項に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、当該前端面から出射する前記光源からの光を拡散させる拡散面として構成されていることを特徴とする。
【0044】
請求項14に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えのレンズ体を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部の前端面(拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0045】
請求項15に記載の発明は、請求項12から17のいずれか1項に記載の発明において、前記見栄え用発光レンズ部の後端面は、当該後端面から前記見栄え用発光レンズ部内部に入射した前記光源からの光が平行光線となって前記見栄え用発光レンズ部の前端面に向かって進行して当該前端面から出射するように、その面形状が構成されており、前記見栄え用発光レンズ部の前端面は、その前方に焦点が設定された複数のレンズ面を含むことを特徴とする。
【0046】
請求項15に記載の発明によれば、見栄え用発光レンズ部全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えのレンズ体を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部内部に入射した光が、外周面(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部の前端面(複数のレンズ面)の作用により、見栄え用発光レンズ部全面から拡散光として出射することによるものである。
【0047】
また、請求項15に記載の発明によれば、レンズ面から出射する光源からの光を集光させた後、拡散させることができる。また、各々のレンズ面から出射する光が1点に集光するため、レンズ面の数だけ点が並んだ新規見栄えのレンズ体を提供することができる。
【0048】
請求項16に記載の発明は、請求項10から15のいずれか1項に記載の発明において、前記拡散面及び前記拡散反射面は、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面であるであることを特徴とする。
【0049】
請求項16に記載の発明によれば、光源からの光を複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面の作用によりあらゆる方向に拡散させることができる。
【0050】
請求項17に記載の発明は、請求項10から16のいずれか1項に記載の発明において、前記配光形成レンズ部と前記見栄え用発光レンズ部は、一体成形されていることを特徴とする。
【0051】
請求項17に記載の発明によれば、配光形成レンズ部と見栄え用発光レンズ部が一体成形されたレンズ体を提供することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、光源と光源の前方に配置された配光形成レンズ部とを備えた車両用灯具において、外部から光源やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善するとともに、光利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の正面図、(b)斜視図、(c)縦断面図、(d)縦断面図(光路含む)である。
図2】配光形成レンズ部14の斜視図である。
図3】(a)〜(d)配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターンの例、(e)図3(a)〜図3(d)に示す部分配光パターンが重畳されることで形成されるロービーム用配光パターンの例である。
図4】配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより路面に形成される路面配光パターンの例である。
図5】配光形成レンズ部14(変形例)の正面図である。
図6】(a)本実施形態の車両用灯具10のシミュレーション結果を表す図、(b)比較例の車両用灯具(車両用灯具10から見栄え用発光レンズ部16を省略した車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図である。
図7】本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが拡散面ではなく、平面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図である。
図8】(a)本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが、相対的に粗さが大きいシボ面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図、(b)本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが、相対的に粗さが小さいシボ面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図である。
図9】エクステンションEを追加した車両用灯具10の斜視図である。
図10】見栄え用発光レンズ部16の第1変形例である見栄え用発光レンズ部16Aの縦断面図である。
図11】見栄え用発光レンズ部16の第2変形例である見栄え用発光レンズ部16Bの斜視図、図12は縦断面図である。
図12】見栄え用発光レンズ部16の第2変形例である見栄え用発光レンズ部16Bの縦断面図である。
図13】第2変形例の見栄え用発光レンズ部16Bを用いた車両用灯具10のシミュレーション結果を表す図である。
図14】特許文献1に記載の車両用灯具200の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について、図面を参照しながら説明する。
【0055】
図1(a)は本発明の一実施形態である車両用灯具10の正面図、図1(b)は斜視図、図1(c)は縦断面図、図1(d)は縦断面図(光路含む)である。
【0056】
図1(a)〜図1(d)に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、光源12、光源12の前方に配置された配光形成レンズ部14、見栄え用発光レンズ部16等を備え、配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上にロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターン(本発明の所定配光パターンに相当)を形成する車両用前照灯として構成されている。
【0057】
光源12は、例えば、金属製の基板(図示せず)、当該基板の表面に実装された白色LED光源(又は白色LD光源)等の半導体発光素子を備えている。白色LED光源は、発光面12a(例えば1mm角)を含んでいる。なお、白色LED光源の個数は、1以上であればよい。
【0058】
光源12(発光面12a)から放出される光の指向特性はランバーシアンで、I(θ)=I×cosθで表すことができる。これは、光源12(発光面12a)が放出する光の広がりを表している。但し、I(θ)は光源12(発光面12a)の光軸AX12から角度θ傾いた方向の光度を表し、Iは光軸AX12上の光度を表している。光源12(発光面12a)では、光軸AX12上(θ=0)の光度が最大となる。
【0059】
光源12は、発光面12aを前方に向け、光軸AX12が車両前後方向に延びる基準軸AXに一致した状態で配光形成レンズ部14の光学設計上の基準点F近傍に配置されている(図1(c)参照)。
【0060】
光源12の前方かつ基準軸AX上には、配光形成レンズ部14が配置されている。
【0061】
図2は、配光形成レンズ部14の斜視図である。図3(a)〜図3(d)は、配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターンの例である。図3(e)は、図3(a)〜図3(d)に示す部分配光パターンが重畳されることで形成されるロービーム用配光パターンの例である。図4は、配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより路面に形成される路面配光パターンの例である。
【0062】
配光形成レンズ部14は、当該配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより仮想鉛直スクリーン上にロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターン(例えば、図3(a)〜図3(d)に示す部分配光パターンのいずれか一つ)を形成するレンズ部として構成されている。具体的には、配光形成レンズ部14は、前方側表面14a、後方側表面14b及び後方側表面14bが対向する位置に配置された光学設計上の基準点Fを含み(図1(c)参照)、かつ、正面視で外形が矩形形状のレンズ部(図1(a)参照)として構成されている。もちろん、配光形成レンズ部14は、これ以外の外形、例えば、図5に示すように、正面視で外形が円形状又は楕円形状のレンズ部として構成されていてもよい。配光形成レンズ部14の材料は、ポリカーボネイトであってもよいし、それ以外のアクリル等の透明樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。
【0063】
配光形成レンズ部14は、例えば、次の手順で構成される。
【0064】
まず、前方側表面14aの外形、面形状を設計する。前方側表面14aの外形、面形状は、デザイン優先で設計される。次に、その前方側表面14aの外形、面形状を前提として、後方側表面14bから配光形成レンズ部14内部に入射し、前方側表面14aから出射する光源12からの光RayAが、仮想鉛直スクリーン上にロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターンを形成するように、後方側表面14bの面形状を設計する(例えば、自由曲面として設計する)。以上の手順により、配光形成レンズ部14が構成される。もちろん、配光形成レンズ部14は、これ以外のレンズ部、例えば、一般的な凸レンズ部として構成されていてもよい。
【0065】
光源12と配光形成レンズ部14との間には、見栄え用発光レンズ部16が配置されている。
【0066】
見栄え用発光レンズ部16は、図1(a)〜図1(c)に示すように、配光形成レンズ部14の周囲を取り囲む前端部16eを含み、かつ、当該前端部16eから基準軸AXに沿って光源12側に矩形筒状に延びて、配光形成レンズ部14と光源12との間の空間を取り囲む矩形筒状のレンズ部として構成されている。もちろん、見栄え用発光レンズ部16は、これ以外の筒状のレンズ部、例えば、配光形成レンズ部14の周囲を取り囲む前端部16eを含み、かつ、当該前端部16eから基準軸AXに沿って光源12側に円形又は楕円形筒状に延びて、配光形成レンズ部14と光源12との間の空間を取り囲む円形又は楕円形筒状のレンズ部として構成されていてもよい(配光形成レンズ部14の外形が正面視で円形状又は楕円形状の場合。図5参照)。見栄え用発光レンズ部16の材料は、ポリカーボネイトであってもよいし、それ以外のアクリル等の透明樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。なお、見栄え用発光レンズ部16の軸AX16は、基準軸AXに一致していてもよいし、一致していなくてもよい。配光形成レンズ部14は、その側面14cが見栄え用発光レンズ部16の内周面16a(前端側)に密着した状態(例えば、接着により密着した状態)で当該見栄え用発光レンズ部16に固定されている(図1(c)参照)。なお、配光形成レンズ部14と見栄え用発光レンズ部16は、一体成形されていてもよい。配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16が本発明のレンズ体に相当する。
【0067】
見栄え用発光レンズ部16の主な機能は、第1に、光源12からの光のうち配光形成レンズ部14を透過する光RayAより広角方向の光RayB1、B2及びRayC(すなわち、配光形成レンズ部14に入射しない従来損失となっていた光。図1(d)参照)を見栄え用発光レンズ部16内部に取り込むこと、第2に、見栄え用発光レンズ部16内部に取り込まれた光RayB1、B2及びRayCにより見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認させることである。
【0068】
見栄え用発光レンズ部16の内周面16aは、上面16a1、下面16a2及び側面16a3、16a4で囲まれた矩形筒状の面として構成されている。見栄え用発光レンズ部16の内周面16aは、光源12からの光RayB1、B2が見栄え用発光レンズ部16内部に入射する入射面として機能する。見栄え用発光レンズ部16の内周面16aは、当該内周面16aから見栄え用発光レンズ部16内部に入射する光源12からの光RayB1、B2を拡散させる拡散面として構成されている。具体的には、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面として構成されている。このように、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aを拡散面として構成することで、当該見栄え用発光レンズ部16の内周面16aから見栄え用発光レンズ部16内部に入射する光源12からの光RayB1、B2を見栄え用発光レンズ部16の外周面16bの全域(又は略全域)に入射させることができる。
【0069】
同様に、見栄え用発光レンズ部16の外周面16bは、下面16b2及び下面16b2以外の面(上面16b1、側面16b3、16b4)で囲まれた矩形筒状の面として構成されている。もちろん、見栄え用発光レンズ部16の外周面16bは、下面16b5及び下面16b5以外の面16b6で囲まれた円形又は楕円形筒状の面として構成されていてもよい(配光形成レンズ部14の外形が正面視で円形状又は楕円形状の場合。図5参照)。
【0070】
見栄え用発光レンズ部16の外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)は、内周面16a(上面16a1及び側面16a3、16a4)から見栄え用発光レンズ部16内部に入射した光源12からの光RayB1が出射する出射面として機能する。見栄え用発光レンズ部16の外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4。すなわち、下面16b2以外の面)は、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aから見栄え用発光レンズ部16内部に入射し、当該外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)から出射する光源12からの光RayB1を拡散させる拡散面として構成されている。具体的には、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面として構成されている。
【0071】
一方、見栄え用発光レンズ部16の外周面16b(下面16b2)は、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aから見栄え用発光レンズ部16内部に入射し、当該外周面16b(下面16b2)に入射する光源12からの光RayB2を拡散反射させる拡散反射面として構成されている。具体的には、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面として構成されている。
【0072】
見栄え用発光レンズ部16の後端面16cは、当該後端面16cから見栄え用発光レンズ部16内部に入射した光源12からの光RayCが平行光線となって見栄え用発光レンズ部16の前端面16dに向かって進行して当該前端面16dから出射するように、その面形状が構成されている。
【0073】
一方、見栄え用発光レンズ部16の前端面16dは、当該前端面16dから出射する光源12からの光RayCを拡散させる拡散面として構成されている。具体的には、複数の微小凹凸を含むシボ面又はカット面として構成されている。
【0074】
上記構成の車両用灯具10においては、配光形成レンズ部14を透過して前方に照射される光源12からの光RayAにより仮想鉛直スクリーン上にロービーム用配光パターンの一部を構成する部分配光パターン(本発明の所定配光パターンに相当)が形成される。
【0075】
また、見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部16が立体的に発光しているように視認される)。これは、見栄え用発光レンズ部16内部に入射した光源12からの光RayB1、B2及びRayCが、以下に説明するように、外周面16b(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部16の前端面16d(拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部16全面から拡散光として出射することによるものである。
【0076】
光源12からの光RayB1は、図1(d)に示すように、内周面16a(上面16a1及び側面16a3、16a4)から見栄え用発光レンズ部16内部に入射する。
【0077】
その際、光源12からの光RayB1は、拡散面としての内周面16a(上面16a1及び側面16a3、16a4)の作用により、あらゆる方向に拡散する拡散光となって、外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)の全域(又は略全域)に入射し、さらに、拡散面としての外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)の作用により、あらゆる方向に拡散する拡散光となって当該外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)から出射する。これにより、見栄え用発光レンズ部16の外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)が発光しているように視認される。
【0078】
一方、光源12からの光RayB2は、内周面16a(下面16a2)から見栄え用発光レンズ部16内部に入射する。
【0079】
その際、光源12からの光RayB2は、拡散面としての内周面16a(下面16a2)の作用により、あらゆる方向に拡散する拡散光となって、外周面16b(下面16b2)の全域(又は略全域)に入射し、さらに、拡散反射面としての外周面16b(下面16b2)の作用により、あらゆる方向に拡散する拡散反射光となって内周面16a(下面16a2)、配光形成レンズ部14、見栄え用発光レンズ部16の前端面16d等を透過して外部に出射する。これにより、配光形成レンズ部14等が発光しているように視認される。
【0080】
一方、光源12からの光RayCは、見栄え用発光レンズ部16の後端面16cから見栄え用発光レンズ部16内部に入射し、当該後端面16cの作用により平行光線となって見栄え用発光レンズ部16の前端面16dに向かって進行し、拡散面としての前端面16dの作用により、あらゆる方向に拡散する拡散光となって当該前端面16dから出射する。これにより、見栄え用発光レンズ部16の前端面16dが発光しているように視認される。
【0081】
以上のように、見栄え用発光レンズ部16内部に入射した光源12からの光RayB1、B2及びRayCが、外周面16b(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部16の前端面16d(拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部16全面から拡散光として出射する。その結果、見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部16が立体的に発光しているように視認される)。
【0082】
次に、上記構成の車両用灯具10の効果を確認するために行ったシミュレーション結果について説明する。
【0083】
図6(a)は、本実施形態の車両用灯具10のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、本実施形態の車両用灯具10を観測した図である。図6(a)において、配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16は上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち本実施形態の車両用灯具10からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。図6(b)に描かれたドットは、その算出したセル(すなわち光度が高い領域)を表している。
【0084】
図6(b)は、比較例の車両用灯具(車両用灯具10から見栄え用発光レンズ部16を省略した車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、比較例の車両用灯具を観測した図である。図6(b)において、配光形成レンズ部14は上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち比較例の車両用灯具からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。しかしながら、図6(b)に示すとおり、そのような条件を満たすセル(すなわち光度が高い領域)は存在しなかった。
【0085】
図6(a)と図6(b)とを対比すると、本実施形態の車両用灯具10は、比較例の車両用灯具と比べ、多数の発光点(光線が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル)が広域に分散しており、見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部16が立体的に発光しているように視認される)ことが分かる。
【0086】
図7は、本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが拡散面ではなく、平面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、本実施形態の車両用灯具10を観測した図である。図7において、配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16は上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち本実施形態の車両用灯具10からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。図7に描かれたドットは、その算出したセル(すなわち光度が高い領域)を表している。
【0087】
図6(a)と図7とを対比すると、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが拡散面ではなく、平面として構成されている場合であっても、見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部16が立体的に発光しているように視認される)ことが分かる。また、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが拡散面として構成されている場合の方が、発光面積が大きくなることが分かる。
【0088】
図8(a)は、本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが、相対的に粗さが大きいシボ面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、本実施形態の車両用灯具10を観測した図である。図8(a)において、配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16は上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち本実施形態の車両用灯具10からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。図8(a)に描かれたドットは、その算出したセル(すなわち光度が高い領域)を表している。
【0089】
図8(b)は、本実施形態の車両用灯具10(見栄え用発光レンズ部16の内周面16aが、相対的に粗さが小さいシボ面として構成された車両用灯具)のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、本実施形態の車両用灯具10を観測した図である。図8(b)において、配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16は上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち本実施形態の車両用灯具10からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。図8(b)に描かれたドットは、その算出したセル(すなわち光度が高い領域)を表している。
【0090】
図8(a)と図8(b)とを対比すると、見栄え用発光レンズ部16の内周面16aに形成されるシボ面の粗さが大きいほど、全体的に光が拡散し、発光面積が大きくなることが分かる。
【0091】
車両用灯具10は、表面にアルミ蒸着処理が施され、車両用灯具の内部構造を覆い隠すとともに、灯室空間全体を鏡面色に見せて見栄えを良好なものとする目的で配置されるエクステンションEを備えていてもよい。
【0092】
図9は、エクステンションEを追加した車両用灯具10の斜視図である。
【0093】
エクステンションEは、図9に示すように、見栄え用発光レンズ部16の外周面16bの一部(例えば、図9中、上面16b1及び車両前方に向かって左側の側面16b3)が外部から視認されるように、見栄え用発光レンズ部16の外周面16bのうち一部(例えば、上面16b1及び側面16b3)以外の部分を取り囲んだ状態で配置されている。このようにすれば、エクステンションEが見栄え用発光レンズ部16の外周面16bのうち一部(例えば、上面16b1及び側面16b3)以外の部分を取り囲み、かつ、見栄え用発光レンズ部16の外周面16bの一部(例えば、上面16b1及び側面16b3)が外部から視認される新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源12と光源12の前方に配置された配光形成レンズ部14とを備えた車両用灯具10において、外部から光源12やその周囲に配置された配線等の内部構造(図示せず)が直接視認されないように見栄えを改善するとともに、光利用効率を高めることができる。
【0095】
外部から光源12やその周囲に配置された配線等の内部構造が直接視認されないように見栄えを改善することができるのは、見栄え用発光レンズ部16が、配光形成レンズ部14の周囲を取り囲む前端部16eを含み、かつ、当該前端部16eから光源12側に筒状に延びて、配光形成レンズ部14と光源12との間の空間を取り囲んでいることによるものである。さらに、見栄え用発光レンズ部16の外周面16b(上面16b1及び側面16b3、16b4)及び内周面16aが拡散面として構成されていることによるものである。
【0096】
光利用効率を高めることができるのは、光源12からの光のうち配光形成レンズ部14を透過する光RayAより広角方向の光RayB1、B2及びRayC(すなわち、配光形成レンズ部14に入射しない従来損失となっていた光。図1(d)参照)を、見栄え用発光レンズ部16が発光しているように視認させるために用いたことによるものである。
【0097】
また、本実施形態によれば、見栄え用発光レンズ部16全面が発光しているように視認される(すなわち、見栄え用発光レンズ部16が立体的に発光しているように視認される)新規見栄えの車両用灯具10を提供することができる。これは、見栄え用発光レンズ部16内部に入射した光が、外周面16b(拡散反射面及び拡散面)及び見栄え用発光レンズ部16の前端面16d(拡散面)の作用により、見栄え用発光レンズ部16全面から拡散光として出射することによるものである。
【0098】
次に、変形例について説明する。
【0099】
図10は、見栄え用発光レンズ部16の第1変形例である見栄え用発光レンズ部16Aの縦断面図である。
【0100】
図10に示すように、本変形例の見栄え用発光レンズ部16Aの後端部16fは、上記実施形態の見栄え用発光レンズ部16と比べ、光源12の側方まで延びている。
【0101】
本変形例の見栄え用発光レンズ部16Aによれば、入射面として機能する見栄え用発光レンズ部16Aの内周面16aが基準軸AX方向に延長され、より多くの光RayB1、B2が当該延長された内周面16aから見栄え用発光レンズ部16A内部に入射することとなる。その結果、見栄え用発光レンズ部16Aがより明るく発光しているように視認される。
【0102】
また、本変形例の見栄え用発光レンズ部16Aによれば、見栄え用発光レンズ部16Aの後端面16cは入射面として機能せず、かつ、見栄え用発光レンズ部16の前端面16dは出射面として機能しないため、これら後端面16c及び前端面16dを自由な面形状とすることができる。
【0103】
図11は見栄え用発光レンズ部16の第2変形例である見栄え用発光レンズ部16Bの斜視図、図12は縦断面図である。
【0104】
図11図12に示すように、本変形例の見栄え用発光レンズ部16Bの前端面16dは、その前方に焦点F16d1が設定された複数のレンズ面16d1(例えば、球面又は球状レンズ面)を含んでいる。
【0105】
本変形例の見栄え用発光レンズ部16Bによれば、レンズ面16d1から出射する光源12からの光RayCを集光させた後、拡散させることができる。また、各々のレンズ面16d1から出射する光が1点に集光するため、レンズ面16d1の数だけ点が並んだ新規見栄えの車両用灯具を提供することができる。
【0106】
図13は、第2変形例の見栄え用発光レンズ部16Bを用いた車両用灯具10のシミュレーション結果を表す図で、車両前後方向に延びる基準軸AXを含む水平面に対して上30度、基準軸AXを含む鉛直面に対して右30度の方向から、本変形例の見栄え用発光レンズ部16Bを用いた車両用灯具10を観測した図である。図13において、配光形成レンズ部14及び見栄え用発光レンズ部16Bは上下左右0.2[mm]ピッチで複数のセルに分割されている。シミュレーションでは、複数のセルのうち本変形例の見栄え用発光レンズ部16Bを用いた車両用灯具10からの光線(光線の直径0.1[mm])が透過する本数が予め定められたしきい値より多いセル(すなわち光度が高い領域)を算出した。図13に描かれたドットは、その算出したセル(すなわち光度が高い領域)を表している。
【0107】
図13を参照すると、レンズ面16d1の数だけ点が並んだ新規見栄えを実現することができることが分かる。
【0108】
上記実施形態及び各変形例で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができる。
【0109】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0110】
10…車両用灯具、12…光源、12a…発光面、14…配光形成レンズ部、14a…前方側表面、14b…後方側表面、14c…側面、16、16A、16B…見栄え用発光レンズ部、16a…内周面、16a1…上面、16a2…下面、16a3…側面、16b…外周面、16b1…上面、16b2…下面、16b3…側面、16c…後端面、16d…前端面、16d1…レンズ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14