特許第6281397号(P6281397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281397
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A47J27/00 103J
   A47J27/00 103A
   A47J27/00 103H
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-87106(P2014-87106)
(22)【出願日】2014年4月21日
(65)【公開番号】特開2015-205011(P2015-205011A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】田窪 博典
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−244107(JP,A)
【文献】 特開平07−000278(JP,A)
【文献】 実開平01−168216(JP,U)
【文献】 特開2007−244648(JP,A)
【文献】 特開2009−240447(JP,A)
【文献】 特開平10−225374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J27/00−27/13
A47J27/20−29/06
A47J33/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部側に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収容される内釜収容空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収容空間内に設けられ、上記内の収納溝を形成する保護枠と、この保護枠の内側に設けられたセラミック製の外釜と、上記保護枠の底部側外周に設けられ、上記外釜を介して上記内釜の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内収納溝の上部側に開閉可能に設けられた蓋体とからなる電気炊飯器であって、上記外釜の内周面に誘導発熱部が設けられている一方、該誘導発熱部に対応する上記保護枠の外周に該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられていることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
外釜の側部は内釜の側部付近まで延設され、該内釜の側部付近まで延設された外釜の側部の内周面に誘導発熱部が設けられている一方、該誘導発熱部に対応する上記保護枠の側部外周に該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
外釜の側部が延設された内釜の側部位置は、当該炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、セラミック材料からなる内釜の外周に同じくセラミック材からなる外釜を備えた電気炊飯器に関するものであり、さらに詳しくは内釜には内釜の外周面に位置して、また外釜には外釜の内周面に位置して、それぞれ誘導発熱部が設けられた電磁誘導加熱式の電気炊飯器の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、ご飯の炊き上がりが良好で、美味しいご飯を炊き上げることができる内釜として、例えば土鍋等のセラミック材料からなる内釜を備えた電磁誘導加熱式の電気炊飯器が人気を呼んでいる。
【0003】
このようなセラミック製の内釜を備えた電気炊飯器では、内釜自体が電磁誘導によって発熱しないので、たとえば内釜の底部および底部外周の湾曲部に銀ペースト等の誘導発熱部を設け、この誘導発熱部をワークコイル等の電磁誘導手段により誘導発熱させて内釜を加熱し、炊飯するようになっている。
【0004】
一方、炊飯器本体側には、そのような内釜を出し入れ可能に収容する内釜収容空間が形成され、同内釜収容空間には耐熱性の合成樹脂からなる有底筒状の保護枠が設置され、該有底筒状の保護枠を介して上記セラミック製内釜の収納口が形成されている。そして、保護枠の底部外周には、同収納口内に収納された上記セラミック製の内釜底部の誘導発熱部に対応して同誘導発熱部を誘導発熱させるワークコイル等の電磁誘導手段が設けられている。
【0005】
したがって、同電磁誘導手段が駆動されると、上記保護枠を介して上記セラミック製の内鍋の誘導発熱部が電磁誘導され、同電磁誘導により渦電流が流れて発熱し、上記セラミック製の内釜が底部側から側部側にかけて加熱される(特許文献1を参照)。
【0006】
このような構成の場合、内釜がセラミック材であり、いったん蓄熱されれば蓄熱力(蓄熱量に基づく加熱力)は大きいが、反面外側から内側への伝熱性、底部側から側部側への伝熱性に劣る特徴がある。つまり、同内釜は、内釜の底部外周面および彎曲部外周面に発熱部があるために、底部および彎曲部外周面は相当な高温になるが、内周面側および側部側には熱が伝わりにくい問題がある。
【0007】
このため、以上の構成の場合、内釜の底部および彎曲部外周面の熱は相当量が無駄に周囲に放出されていることになり、熱量(火力/電力量)が無駄になっているだけでなく、外周側保護枠等の耐熱性にも影響を与え、高耐熱構造を要求することとなっている。
【0008】
そこで、このような問題を解決するために、上記保護枠の底部内側に、上記内釜の底部から彎曲部付近までを覆う土竈機能を持ったセラミック製の外釜を設け、上記内釜の誘導発熱部を中心として高温になる底部および彎曲部外周面側の熱を同セラミック製の外釜によって確実に包み込み、上記内釜の底部および彎曲部外周面を十分な高温状態に維持するとともに、同高温の熱を上記内釜の外周面側から内周面側に、また底部および彎曲部側から側部側にかけて可能な限り効率良く伝熱させることによって(壁部内伝導および壁部表面に沿って上昇する空気対流によって)、上記内釜の底部から側部付近までの全体および内周面を可能な限り効率良く加熱できるようにして、炊飯時の沸騰性能(連続沸騰性能)を改善したものも提案されている(たとえば特許文献2の構成を参照)。
【0009】
すなわち、このような構成によると、誘導発熱部を有する内釜底部外周面からの放射熱を土竈構造の外釜内に保留して効率良く貯めこみ、内釜外周面の温度を可及的に高く維持することができる。また、それに応じて内釜内周面側の温度をも可能な限り効率良く上昇させ、かつ長時間にわたって高く維持することができる。
【0010】
また、このようにして外釜との間に蓄えられた内釜底部の高温の熱は、内釜壁部を通して内釜側部に伝導されるとともに、外釜との間の空間部における高温の空気が対流により内釜の外周面に沿って上昇し、同じく内釜側部の温度を上昇させる。
【0011】
これらの結果、伝熱性は低いが、いったん加熱されると蓄熱力が大きいセラミック製の内釜の蓄熱力が有効に生かされ、米および水が入った内釜には底部から側部に亘って大きな熱量が蓄熱され、長時間にわたって大火力での連続沸騰状態を実現することができるようになる。したがって、炊き上げられたお米のアルファー化が促進され、芯部分からふっくらとしながら、しかも、しっかりとした美味しいご飯の炊き上げが実現される。
【0012】
また、外釜が保護枠およびワークコイル側への遮熱プレートの機能を果たすので、保護枠およびワークコイル側の耐熱基準も緩やかなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−244648号公報
【特許文献2】特開2013−244107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように外釜を備えた電気炊飯器(特許文献2)では、上述のように外釜が内釜に対する竈機能を果たし、内釜の誘導発熱部および同誘導発熱部を備えた内釜の底部外周から発生する熱が外部へ逃げるのを防止し、内釜側に可及的有効に作用させ、内釜の温度を可及的に高く維持することができる。 しかし、上記構成の内釜の場合、その誘導発熱部は、できるだけ加熱領域を広くするために内釜の底部および湾曲部の2ヶ所に配設し、それに対応して電磁誘導手段も保護枠の底部および彎曲部の2カ所に配設されているが、内釜の側部には設けられていない。したがって、上述のように、外釜が内釜に対する竈機能を果たし、内釜の誘導発熱部および同誘導発熱部を備えた内釜の底部外周から発生する熱が外部へ逃げるのを防止し、内鍋側に可及的有効に作用させることができるとは言っても、外釜は内釜の底部および彎曲部外周を覆う位置までしか設けられていないこと、また外釜自体は何ら発熱するものではなく、単に内釜の底部および彎曲部外周を覆って誘導発熱部からの熱が逃げないようにしているだけのものであること、内釜は蓄熱力は大きくても伝熱性が悪く、誘導発熱部からの熱が容易には全体に伝わらないこと、などから、内釜側部の加熱量が十分であるかというと、決して十分ではないのが実情である。
【0015】
実際の土製の竈でご飯を炊いた場合、釜内に圧力がかかっていないにも拘わらず、釜内の空間温度は120℃程度に達している。これは竈の場合、炊飯時の火回りが良く、釜の側面からも有効に加熱されるからであり、竈で炊いたご飯が特に美味しいのは、炊飯時にご飯の側部および上部が上記のような高温により均等に加熱されることによる。
【0016】
このため、上記従来の外釜付電気炊飯器の場合には、上記内釜の側部に対応する保護枠側には、別途コードヒータよりなる補助加熱手段が設けられており、同補助加熱手段により不足する加熱量を補うようにしていた。しかし、内釜は、その蓄熱量を大きくしようとすると、必然的に側部の壁厚も厚くなり、コードヒータによる間接加熱では加熱量が足りず、竈のような十分な火力が得られていない。
【0017】
もちろん、上記内釜の側部外周に底部側のものと同様の誘導発熱部を設け、保護枠部にはコードヒータに変えて、ワークコイル等の電磁誘導手段を設けることもできる。このようにすると、内釜側部の加熱量は十分なものとなるが、その温度上昇は局部的なものであり、また内釜の側部は、吸水時における水および飯米の上面部付近、炊き上がり時におけるご飯の上部付近に対応した部分であり、そのままでは火力が強すぎて、逆に焦げ付きを発生させる問題が生じる。
【0018】
したがって、内釜の側部を加熱する誘導発熱部を設けて竈に近いご飯の炊き上げを実現するとしても、同誘導発熱部による発熱がご飯の焦げを発生させないようにすることが求められる。また、それに加えて、上記内釜の底部側誘導発熱部の発熱量を上記特許文献2のもの以上に有効に活用することも考えられなければならない。
【0019】
この出願の発明は、このような技術的課題を解決するためになされたもので、上記のように外周面側に誘導発熱部を備えた内釜を覆う外釜を設けて内釜側の熱の有効な利用を図る一方、内釜を覆う外釜の内周面側に誘導発熱部を設けることにより、外釜でも内釜を加熱できるようにすることによって、適切に内釜側の加熱不足領域を解消し、竈の場合と同様の、焦げ付きのない、ふっくらとした美味しいご飯を炊きあげられるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明
この発明の電気炊飯器は、底部側に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収容される内釜収容空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収容空間内に設けられ、上記内釜の収納溝を形成する保護枠と、この保護枠の内側に設けられたセラミック製の外釜と、上記保護枠の底部側外周に設けられ、上記外釜を介して上記内釜の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部側に開閉可能に設けられた蓋体とからなる電気炊飯器であって、上記外釜の内周面に誘導発熱部が設けられているとともに、該誘導発熱部に対応する上記保護枠の外周に該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられていることを特徴としている。
【0021】
このような構成によると、まずセラミック製の内釜の底部は、同底部側誘導発熱部の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が上記底部側から側部側に壁部を通して徐々に伝導されてゆき、やがて側部側の温度も所定の温度に上昇する。
【0022】
同構成では、それに加えて、内釜が収納される保護枠の内側にセラミック製の外釜が設けられており、上記底部側誘導発熱部により加熱されて次第に温度が上昇する内釜の外周が当該セラミック製の外釜によって覆われることになり、上記底部側誘導発熱部および内釜外周面から外方に放射される熱は当該セラミック製の外釜により遮断され、内釜の外周を包み込む形で内釜と外釜との間に蓄熱され、同蓄熱状態において内釜の外周面を加熱、加温する。
【0023】
また、それに加えて同蓄熱状態において加熱、加温された内釜と外釜との間の高温の空気が対流により内釜の底部外周面から側部外周面に沿って上昇し、さらに内釜外周面の全体を加熱、加温するようになる。
【0024】
これらの結果、内釜の温度は、その底部側から側部側の全体に亘って比較的速やかに上昇し、その熱量を有効に蓄える。したがって、誘導発熱部における発熱量を内釜全体に有効に作用させることができる。
【0025】
しかも、この発明の構成の場合、その場合において、さらに上記外釜の内周面に誘導発熱部が設けられているとともに、該誘導発熱部に対応する上記保護枠の外周に当該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられており、当該誘導発熱部の発熱により上記外釜を内周面側から加熱するようになっている。
【0026】
したがって、上記セラミック製の外釜は、従来のように、単に上記内釜の外周を覆って内釜側からの熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜が内釜の外周を積極的に加熱するようになり、内釜は側部を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この結果、竈で炊いた場合と同様に、内釜内の上部空間の温度を120℃近くに維持させることが可能となり、ご飯の全体を十分に加熱して、連続沸騰させ、芯からふっくらとし、しかも、しっかりとしたご飯に炊き上げることができるようになる。
【0027】
しかも、同内釜の加熱は、例えば内釜の側部等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、外釜側からの狭い隙間を介した間接加熱となり、外釜全体からの放射熱によって内釜が均一に加熱されるので、加熱温度の分布が均一になり、内釜の側部等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
【0028】
また、このように外釜の内周面に誘導発熱部を設けた場合、内釜側に設ける場合に比べて、保護枠側の電磁誘導手段との距離が小さいために、誘導効率、発熱効率が高くなる。したがって、ノイズの発生も少なく、たとえばワークコイルのリッツ線の径を細くし、また巻き数を少なくすることができ、相対的に低コストに実現することができる。
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、外釜の側部は内釜の側部付近まで延設され、該内釜の側部付近まで延設された外釜の側部の内周面に位置して誘導発熱部が設けられている一方、該誘導発熱部に対応する保護枠の側部外周に該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられていることを特徴としている。
【0029】
このような構成によると、セラミック製の外釜は、その内釜の側部に対応する位置まで延設された側部の内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜の側部領域を効果的に加熱するようになり、内釜はその側部領域を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。
【0030】
この結果、内釜内のご飯上部の空間部が、効果的に竈の場合と同様の高温状態に維持されるようになる。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、外釜の側部が延設された内釜の側部位置は、当該炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近であることを特徴としている。
【0031】
このような構成の場合、当該炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近に適切な量の加熱を施すことが可能となることから、焦げ付きを生じさせることなく、美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
以上の結果、この出願の発明によると、共に加熱機能を有する内釜と外釜との組み合わせにより、内釜全体の適切な加熱が可能となり、セラミック製の内釜特有の蓄熱量の大きさを生かし、内釜の底部側および側部側の全体を十分な加熱量で、連続的に加熱することができるようになり、内釜の全体に効果的に火が回る竈の場合と同様の連続沸騰による効果的な炊き上げを実現することができる。
【0033】
その結果、焦げ付きを招来することなく、竈で炊いた場合と同様の、芯までふっくらとしながら、しかも、しっかりとした美味しいご飯を炊き上げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器本体上部の構成を示す平面図である。
図2】本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器本体の内部の構成を示す図1のA−A線切断部での断面図である。
図3】本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器本体の内部の構成を示す図2の左半分部分(前部部分)の拡大断面図である。
図4図2図3に示す電気炊飯器本体内の内鍋部分の構成を示す断面図である。
図5図2図3に示す電気炊飯器本体の炊飯器本体肩部における肩部材、肩ヒータ枠、肩ヒータカバー、シール用摺動パッキン、金属プレート各部分の構成を示す上下分解斜視図である。
図6図2図3に示す電気炊飯器本体の外釜、第2の保護枠ユニット(上)、第1の保護枠ユニット(下)、磁気遮蔽板、第1、第2のワークコイル、フェライトコア、コイル台各部分の構成を示す上下分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図1図6の図面を参照して、本願発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0036】
図1図6には、本願発明の一つの実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯器本体およびその要部の構成がそれぞれ示されている。
<炊飯器本体部分の構成>
この実施の形態にかかる電気炊飯器における炊飯器本体は、まず図1図4に示すように、底部3aに第1の誘導発熱部G1、彎曲部3bに第2の誘導発熱部G2を備え、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、側部内周面に第3の誘導発熱部G3を備え、上記内釜3の底部3aから側部3c部分までを覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して、その上部側に上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠(内ケース)4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた炊飯器本体ケース1と、該炊飯器本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5aの後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。上記内釜3の第1、第2の誘導発熱部G1、G2、上記外釜6の第3の誘導発熱部G3は、たとえば銀ペースト又はアルミ溶射により形成されている。
【0037】
上記炊飯器本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の脚部64,64・・を備えた底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
【0038】
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
【0039】
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
【0040】
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。そして、その外周部には周方向に所定の間隔を置いて上下に延びるフェライトコア収納部42e、42e・・が設けられており、同フェライトコア収納部42e,42e・・を介して図6のようにフェライトコア80,80・・が配設される。
【0041】
なお、この場合において、上記のように第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との離間距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避し、ノイズの発生を防止するためである。
【0042】
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを図2図3のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に上記銀ペースト又はアルミ溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間Sを保った状態で収納されるようになっている。
【0043】
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図2図3に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設され、同延設部の内周面に第3の誘導発熱部G3を設けられた上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近まで十分に覆われるようになっている。この第3の誘導発熱部G3も、銀ペーストあるいはアルミ溶射により形成されている。
【0044】
ところで、この実施の形態の外釜6は、たとえば図6に詳細に示されるように、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンターセンサ嵌装穴10aに対応するセンターセンサのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センターセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンターセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
【0045】
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構63,63・・を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
【0046】
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
【0047】
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
【0048】
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図2図3の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間Sを形成する寸法に設定されている。
【0049】
これらの結果、上記図2図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
【0050】
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
【0051】
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
【0052】
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
【0053】
したがって、上記セラミック製の外釜6は、すでに述べた従来のように、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
【0054】
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
【0055】
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
【0056】
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
【0057】
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば図4に示すような当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構63,63・・を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
【0058】
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図2図3の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する(図3中の矢印を参照)。
【0059】
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
【0060】
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
【0061】
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
【0062】
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようになっている。
【0063】
このパッキン35は、たとえば図5に示すように、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3のように取り付けられる。
いる。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータHが全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータHが発熱すると、たとえば図3に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する図4のような内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
【0064】
なお、図3中における符号30aは肩ヒータカバー30の下部に設けられた外ケース1a側との連結部であり、また符号30bは同肩ヒータカバー30の下部に設けられた上記第3のワークコイルC3の外周を覆う磁気遮蔽板17の取り付け用ボス部である。同ボス部30bには、ビス30cを介して磁気遮蔽板17が取り付けられている。
【0065】
また、符号32aは、上記肩部材8の内周部内側に(下部側に)、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して肩ヒータカバー30、肩ヒータ枠31を連結するビスである。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図6に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
【0066】
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンターセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ−センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ−センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンターセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、その上部外周面(上面および周方向の側面)を構成する合成樹脂製の上板20と、該上板20の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部の内側(下側)にゴム製の第1のパッキン25を介して重合固定された蓋ヒータ(図示省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
【0067】
そして、耐圧力強度を高めるために、中心となる上記下板22本体部分の後端部22aの外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
【0068】
すなわち、上記下板22は、その本体部後端側外周22aの中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
【0069】
そして、これら下板22の後端側外周22aを蓋体取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8後端側の取り付け壁8b部分(図5参照)に対してヒンジユニット11(ヒンジ軸11a)を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。肩部材8の上端面8a部分には、蓋体2の外周部下面の形状に応じた形状の受け面が形成されている。
【0070】
また、蓋体2には、後述する調圧機構、調圧通路に対応した蒸気口51a,51aを有した調圧キャップ51が着脱可能に設けられている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態では、一例として圧力型電気炊飯器に適用した場合について示しており、上記蓋体2内の後部側には、お粘成分を回収しながら後述する蒸気逃し通路50、50a〜50cおよび調圧キャップ51の蒸気口51a,51aを介して蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を複数の段階に調節する調圧ユニット26A、26B(26Bについては、図2の断面では見えないために図示を省略)が設けられている。
【0071】
これらの調圧ユニット26A、26Bは、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路50、50a〜50cと同蒸気逃し通路50、50a〜50cに設けた圧力調整機構により構成されている。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図1中の符号60が操作パネルであり、この操作パネル60は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックス(上板20の前部に形成されたボックス状の収納用凹部)21を備えてなり、炊飯および保温制御手段としてのマイコン制御ユニットを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル60Aが同基板および液晶パネル収納ボックス21内に収納、設置されている。
【0072】
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する所定の形状、所定の大きさの透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、保温スイッチSW8、取消スイッチSW3、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を選択するメニュースイッチSW5(もどる,すすむ)、火かげん選択スイッチSW4、仕上がりスイッチSW6、音声ガイドスイッチSW7、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチSW9の各種操作キーや人検知センサ(人感センサ)MSが設けられている。
<この実施の形態の構成による作用について>
以上に述べたように、この実施の形態における電気炊飯器は、底部3a側に第1の誘導発熱部G1、彎曲部3b側に第2の誘導発熱部G2を有するセラミック製の内釜3と、この内釜3が収容される内釜収容空間を備えた炊飯器本体ケース1と、この炊飯器本体ケース1の上記内釜収容空間内に設けられ、上記内釜3の収納溝5を形成する保護枠4と、この保護枠4の内側に設けられたセラミック製の外釜6と、上記保護枠4の底部外周、彎曲部外周に設けられ、上記外釜6を介して上記内釜3の第1、第2の誘導発熱部G1、G2を誘導発熱させる電磁誘導手段である第1、第2のワークコイルC1、C2と、上記炊飯器本体ケース1の上記内鍋収納溝5の上部側に開閉可能に設けられた蓋体2とからなる電気炊飯器において、上記外釜6の内周面側に第3の誘導発熱部G3を設けるとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3を設けている。
【0073】
このような構成によると、図2図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
【0074】
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態(200℃程度の高温)において加温された高温の空気が対流により隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
【0075】
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
【0076】
しかも、この実施の形態の構成の場合、その場合において、さらに上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
【0077】
したがって、上記セラミック製の外釜6は、すでに述べた従来のように、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いて内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。
【0078】
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
【0079】
さらに、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
【0080】
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
【0081】
この場合、上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば図7に示す当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近に対応するものとされる。そのようした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
1は炊飯器本体ケース、1aは外ケース、1bは底ケース、2は蓋体、3は内釜、3aは底部、3bは彎曲部、3cは側部、3dは開口部、4は保護枠、4Aは第1の保護枠ユニット、4Bは第2の保護枠ユニット、5は内釜収納溝、6はセラミック製の外釜、6aは底部、6bは彎曲部、6cは側部、6dは側部上端、7は磁気遮蔽板、8は肩部材、9はコイル台、C1は第1のワークコイル、C2は第2のワークコイル、C3は第3のワークコイル、G1は第1の誘導発熱部、G2は第2の誘導発熱部、G3は第3の誘導発熱部である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6