(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相手コネクタの嵌合方向に弾性変位可能に設けられた可動コンタクトが、固定コンタクトに設けられた固定接点部に対して接触・離間するように構成されたスイッチ付同軸コネクタにおいて、
前記固定接点部が、前記固定コンタクトに貫通形成された接点形成穴の開口端縁部に設けられたものであって、
前記固定接点部は、前記接点形成穴を挟んだ両側に対向配置されていることを特徴とするスイッチ付同軸コネクタ。
前記固定接点部は、前記可動コンタクトと固定コンタクトとの対向方向に対して直交する方向に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付同軸コネクタ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる回路検査スイッチを構成しているスイッチ付同軸コネクタの全体構造を正面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図2】
図1に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの全体構造を背面上方側から見たときの外観斜視説明図である。
【
図3】
図1及び
図2に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの平面説明図である。
【
図4】
図1乃至
図3に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの正面説明図である。
【
図5】
図1乃至
図4に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの底面説明図である。
【
図6】
図1乃至
図5に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの背面説明図である。
【
図7】
図1乃至
図6に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタの側面説明図である。
【
図8】
図3中の VIII−VIII 線に沿った縦断面説明図である。
【
図9】
図1乃至
図8に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられている可動コンタクトを後方側の上方から見たときの外観斜視説明図である。
【
図10】
図11に示された可動コンタクトの上下を反転して見たときの外観斜視説明図である。
【
図16】
図1乃至
図8に示された本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに用いられている固定コンタクトを前方側の上方から見たときの外観斜視説明図である。
【
図17】
図16に示された固定コンタクトの上下を反転して見たときの外観斜視説明図である。
【
図23】
図22中のXXIII− XXIII線で表した縦断面説明図である。
【
図24】
図18中のXXIV− XXIV線で表した横断面説明図である。
【
図25】本発明の一実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタに対して、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)を含む検査用治具を装着した状態を表した外観斜視説明図である。
【
図26】
図25中のXXVIで表した部位を拡大して表した外観斜視説明図である。
【
図27】
図8に相当する位置の断面であって、相手コネクタ(検査用プラグコネクタ)が装着された状態を表した縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるスイッチ付同軸コネクタを回路検査スイッチとして採用した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
[回路検査スイッチの全体構造について]
まず、
図1〜
図8に示された本発明の第1の実施形態にかかるスイッチ付同軸コネクタ10は、図示を省略した印刷配線基板上に実装されるものであって、当該スイッチ付同軸コネクタ10に対して、相手コネクタとしての検査用プラグコネクタ20(
図25〜
図27参照)が上方側から嵌合され、又は上方側に向かって抜出される構成になされている。すなわち、そのスイッチ付同軸コネクタ10の上方側に配置された検査用プラグコネクタ20が、作業者の手で把持されながら下方側のスイッチ付同軸コネクタ10に向かって適宜の力で押し込まれ、それによって両コネクタ10,20同士が嵌合された装着状態になされる。
【0018】
また、そのような両コネクタ10,20同士の嵌合装着状態から、検査用プラグコネクタ20を把持して上方側に適宜の力で引き上げれば、当該検査用プラグコネクタ20がスイッチ付同軸コネクタ10から上方に離脱して抜出が行われる。なお、検査用プラグコネクタ20の挿抜は、作業者の手で行われることに限られることはなく、機械によって自動的に行うようにしてもよい。以下、この検査用プラグコネクタ20の挿入方向及び抜出方向を、それぞれ「下方向」及び「上方向」とする。
【0019】
上述した回路検査スイッチ装置の組立体における基板実装部分を構成しているスイッチ付同軸コネクタ10は、携帯電話・スマートフォンやタブレット型パソコン等の電子機器に設けられた電子回路基板(図示省略)上に半田付けにより実装されて使用され、その電子機器に設けられた電子回路を、例えば機器本体側とアンテナ側とを分断又は接続するように配置される。
【0020】
[絶縁ハウジングについて]
図27にも示されているように、上述したスイッチ付同軸コネクタ10の本体部を構成している絶縁ハウジング11は、プラスチック等の樹脂材を用いて例えばモールド成形されたものであって、平面略矩形状の板状部材からなるベース枠体部11aと、そのベース枠体部11aの上面中央部分に配置された挿入ガイド部11bと、を一体的に有している。
【0021】
挿入ガイド部11bは、上述したベース枠体部11aの上側表面から略円筒状をなして上方に立ち上がるように形成されている。この挿入ガイド部11bの内周側表面は、略すり鉢状をなすように形成されており、当該挿入ガイド部11bの上端縁部分に形成された円環状外縁部から、当該挿入ガイド部11bの中心部分に相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cの上方開口部に向かって、斜め下方に延在する傾斜ガイド面11dが形成されている。この傾斜ガイド面11dは、前述した検査用プラグコネクタ20に設けられたプローブ20aをプローブ挿入穴11cに向かって案内する機能を有するものであって、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが、プローブ挿入穴11cの真上に配置されていない状態で下方移動された場合であっても、傾斜ガイド面11dの傾斜面上にプローブ20aの先端部が当接されれば、当該プローブ20aの先端部が傾斜ガイド面11dに沿って下方に滑り落ちるように移動され、プローブ挿入穴11cまで円滑に案内されるようになっている。
【0022】
相手挿入穴として設けられたプローブ挿入穴11cは、上述したように挿入ガイド部11bの上端開口部からベース枠体部11aの中心軸に沿って下方に延出しており、絶縁ハウジング11の正面と背面との間を貫通するように設けられたコンタクト挿入通路11eに対して上方側から開口するように設けられている。このプローブ挿入穴11cは、後述する一方の可動コンタクト12の上方位置に上下方向に延在するように設けられており、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが挿入可能な内径を有する中空円筒状の通路構造をなすように形成されている。また、当該プローブ挿入穴11cの上方開口部の周囲には、上述した挿入ガイド部11bが略同心状をなすように配置されている。
【0023】
[コンタクトについて]
一方、
図9〜
図24にも示されているように、絶縁ハウジング11のベース枠体部11aに設けられたコンタクト挿入通路11eの内部には、信号伝送用の可動コンタクト12、及び固定コンタクト13が、上述した検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の挿入・抜去の方向(上下方向)に対して略直交する水平方向に、互いに対向するように挿入されて取り付けられている。以下、これらの可動コンタクト12及び固定コンタクト13同士が対向する方向を、「コンタクト対向方向」と呼び、また、各コンタクト12,13の個々において、相手側のコンタクトに向かっている方向を「前方」、その反対方向を「後方」とする。
【0024】
これらの可動コンタクト12、及び固定コンタクト13は、いわゆるコンタクト対を構成するものであって、絶縁ハウジング11の正面・背面の両端面側からコンタクト挿入通路11eの内部に対面するように挿入されて取り付けられており、それらの両コンタクト12,13同士が互いに弾性的に接触した状態となるように配置されている。このときの両コンタクト12,13同士の接触状態は、後述するように検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合によって解除されて離間状態になされる。
【0025】
ここで、上述した可動コンタクト12は、可撓性を有するように延在する弾性ビーム状部材12aを有している一方、固定コンタクト13は、固定状態で延在する固定ビーム状部材13aを有している。それらの弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aは、後述するように絶縁ハウジング11に、ほぼ固定状態に保持された固定基板12b,13bから、コンタクト対向方向である前方に向かって片持ち状に延出している。これらの弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aの具体的な構造については、後段において詳細に説明する。
【0026】
[固定基板について]
上述した固定基板12b,13bは、略水平に延在する板状部材から形成されており、当該固定基板12b,13bの両側縁部、すなわちコンタクト対向方向と直交する板幅方向の両端部からは、絶縁ハウジング11に対する固定部としての固定延設片12c,13cが、両側外方に向かって略水平に延出している。これらの固定延設片12c,13cは、固定基板12b,13bの両側外方において、後述する弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aに沿うようにして前後方向に略水平に突出するように形成されており、絶縁ハウジング11の壁面に溝状をなすように凹設された固定溝部に対して圧入されている。そして、これら固定延設片12c,13cの絶縁ハウジング11に対する係合力によって、可動コンタクト12及び固定コンタクト13の全体の保持が行われる構成になされている。
【0027】
このように本実施形態においては、固定基部12b,13bを保持する固定延設片12c,13cが、固定基部12b,13bの両側において弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aの長手方向に突出するように形成されていることから、当該固定延設片12c,13cの固定力で固定基部12b,13bが強固に支持され、それによって弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aの後述する弾性変位及び保持性に対する支持力が高められ、弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aの全体が、より安定的に保持されて接点部の機能が良好に維持されるようになっている。
【0028】
また、各固定延設片12c,13cが固定基板12b,13bと連結されている両部材同士の連結境界部分には、コンタクト対向方向に沿って延在する切欠き部12d,13dが、それぞれ形成されている。それらの切欠き部12d,13dは、平面略U字形状をなす細幅の溝形状をなすように形成されていて、弾性ビーム状部材12a側の切欠き部12dは、当該弾性ビーム状部材12aの根本部分を前方側及び後方側から後方側及び前方側に向かって所定の長さだけ切り込むようにして形成されている。また、固定ビーム状部材13a側の切欠き部13dは、当該弾性ビーム状部材13aの後方側の根本部分を後方側から前方側に向かって所定の長さだけ切り込むようにして形成されている。
【0029】
このうち、弾性ビーム状部材12aに設けられた前方側の切欠き部12dは、片持ち状をなす弾性ビーム状部材12aの根本位置を決定している。すなわち、当該弾性ビーム状部材12aは、前方側に設けられた切欠き部12dにおける奥側(後端側)の溝端を起点として、固定基板12bから前方側に向かって片持ち状をなして一体的に延出しており、前方側の切欠き部12dの溝端と、後方側の切欠き部12dの溝端との間部分が、固定基板12bの前後方向における中実肉厚領域になされている。この固定基板12bを構成している中実肉厚領域における前後方向の寸法は、上述した検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の押圧力に抗して可動コンタクト12の全体を良好に保持可能とする剛性を備えるように決定されている。
【0030】
さらに、各固定基板12b,13bにおいては、弾性ビーム状部材12a及び固定ビーム状部材13aが突出している端縁部と反対側の端縁部分、すなわち可動コンタクト12の固定基板12b及び固定コンタクト13の固定基板13bにおける後端縁部分のそれぞれが、下方略直角に折り曲げ形成されており、その略直角下方折り曲げ部分の下端部分から、板状をなす基板接続部12e,13eが、コネクタ対向方向である前方側に向かって略水平に延出している。そして、これらの基板接続部12e,13eの下面が、上述した印刷配線基板(図示省略)上に設けられた信号伝送用の導電路に半田接合されることで実装が行われるようになっている。
【0031】
このとき、上述した各固定基板12b,13bから下方に向かって延出する基板接続部12e,13eにおける下方側部分は、各々、印刷配線基板(図示省略)の導電路に合わせて比較的幅狭な寸法を有するように形成されているが、当該基板接続部12e,13eにおける上方側部分の各々は、絶縁ハウジング11に設けられたコンタクト挿入通路11eの通路幅に合わせて比較的幅広な寸法を備えており、基板接続部12e,13eの下方側部分と上方側部分との間に段付形状が形成されている。そして、それらの基板接続部12e,13eの上方側部分を形成している幅広部分によって、コンタクト挿入通路11eの開口が閉塞され、そのような閉塞構造により、ゴミ等の塵埃がコンタクト挿入通路11eの内方領域に向かって侵入することを防止する構成になされている。
【0032】
[弾性ビーム状部材及び固定ビーム状部材について]
一方、前述した可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12a、及び固定コンタクト13の固定ビーム状部材13aは、互いに近接するように片持ち状をなして突出する帯板状のバネ部材及び固定部材からそれぞれ形成されている。そのうち、固定コンタクト13の固定ビーム状部材13aは、上述した固定基板13bの前端縁部から、相手側の可動コンタクト12に向かって直接的に延出する構成になされている。これに対して、可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aは、固定基板12bの前端縁部から湾曲状延在部12a1が一体的に延出しているとともに、その湾曲状延在部12a1から前方側、つまり相手側の固定コンタクト13側に向かって傾斜状延在部12a2が一体的に延出する構成になされている。
【0033】
ここで、前述したように本実施形態における可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aは、前方側の切欠き部12dにおける奥側(後端側)の溝端を起点として相手側の固定コンタクト13側に片持ち状に延出する構成になされており、その片持ち状部材からなる弾性ビーム状部材12aの延出起点である溝端の位置に対して、当該弾性ビーム状部材12aが、十分な弾性を備える程度のスパン長を有するように構成されている。
【0034】
すなわち、前方側切欠き部12dの溝端から片持ち状に延出している弾性ビーム状部材12aは、前方側の切欠き部12dの溝端から当該弾性ビーム状部材12aの先端部に至るまでの片持ちのスパン長が、上述した湾曲状延在部12a1によって実質的に拡大された構成になされている。より具体的に説明すると、可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aにおいては、上述した固定基板12bの前端部との連結部分、つまり切欠き部12dの奥側(後端側)溝端を起点として片持ち状に延出している根本部分に湾曲状延在部12a1が設けられているとともに、その湾曲状延在部12a1の前方側に一体的に連設された直線状延在部12a2が、相手側の固定コンタクト13側に向かって上方に傾斜しながら直線状に延出する構成になされている。
【0035】
そのうちの湾曲状延在部12a1は、側面略円弧状をなすように折り曲げ形成されており、固定基板12bの前端部から斜め上方に湾曲形状をなして前方側に延出した後に、当該湾曲形状の頂点に達してから、再び斜め下方に連続的な湾曲形状をなして延びて、当該湾曲状延在部12a1の前端部が、直線状延在部12a2に対して一体的に繋げられている。このような弾性ビーム状部材12aの全体は、固定基板12bとの連結部分である湾曲状延在部12a1を根本部分、より具体的には片持ち構造の起点である切欠き部12dの奥側(後端側)溝端又はその近傍を支点とした弾性的な可撓性を有し、前記支点を中心とした上下方向に揺動可能な構成になされている。
【0036】
また、このときの可動コンタクト12は、前述したように絶縁ハウジング11に形成されたコンタクト挿入通路11eの内部に収容されるようにして取り付けられているが、上述した湾曲状延在部12a1の湾曲形状の頂点は、コンタクト挿入通路11eの内壁面に対して近接又は接触するように配置されている。このように、コンタクト挿入通路11eの内壁面と可動コンタクト12との隙間が、湾曲状延在部12a1の湾曲形状の頂点により狭められていれば、コンタクト挿入通路11eを通して外部から侵入しようとするゴミ等の塵埃が、湾曲状延在部12a1で堰き止められることとなり、その結果、後述する接点部の機能が良好に維持される。
【0037】
また、弾性ビーム状部材12aの先端側部分を構成している直線状延在部12a2は、上述したように湾曲状延在部12a1の延出端から前方側上方に向かって略直線状に斜めに延在しているが、当該直線状延在部12a2の延出側の先端部分に可動接点部が設けられている。この可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aに設けられた可動接点部は、後述する固定コンタクト13の固定ビーム状部材13aに設けられた固定接点部13fに対して下方側から接触されるように配置されていて、これらの両接点部が、弾性ビーム状部材12aの弾性付勢力によって、弾性的に接触・離間される構成になされている。
【0038】
このような可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aは、前述したプローブ挿入穴11cの直下位置に延在するように配置されており、当該プローブ挿入穴11cの下端開口部が、弾性ビーム状部材12aの途中部分に上方側から臨む位置関係になされている。そして、スイッチ付同軸コネクタ10の上方位置に検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が配置され、当該検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが、スイッチ付同軸コネクタ10のプローブ挿入穴11cを通してコネクタ内部に挿入されると、特に
図27に示されているように、プローブ挿入穴11cから下方に突出したプローブ20aが、可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aの途中部分に上方側から当接する。その後、さらに検査用プラグコネクタ20が下方に押し下げられると、可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aに設けられた接点部が、プローブ20aの押圧力によって、固定コンタクト13の弾性ビーム状部材13aに設けられた固定接点部から下方に離間されるようになっている。
【0039】
このとき、可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aの途中位置、すなわち検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが当接する位置には、当該検査用プラグコネクタ20のプローブ20aが上方側から接触する接触貫通穴12a3がスリット状をなすように形成されている。この接触貫通穴12a3は、弾性ビーム状部材12aの長手方向に沿って細長状に延在する長穴から形成されており、上述したプローブ挿入穴11cの直下位置から前後方向に延在するように設けられている。
【0040】
このように可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aに接触貫通穴12a3を設けておけば、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20が嵌合されていないときに開放状態にあるプローブ挿入穴(相手挿入穴)11cを通して内部に進入するゴミ等の塵埃が、特に弾性ビーム状部材12aの傾斜面に沿って下方に案内されていき、接触貫通穴12a3を通して下方に落下することにより接点部分の外方側に排出される。その結果、可動コンタクト12や固定コンタクト13の上に塵埃が蓄積することがなくなり、可動コンタクト12と固定コンタクト13との電気的な導通性が塵埃により妨げられるおそれが低減される。
【0041】
また、上述した接触貫通穴12a3の開口縁部には、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20のプローブ20aに接触する傾斜面が設けられており、当該接触貫通穴12a3の開口縁部が、検査用プラグコネクタ20のプローブ20aの先端側部分に形成された湾曲面に対して略接線方向に接触して、当該接触貫通穴12a3の対角線方向の両側からプローブ20aと多点的に当接されるようになっている。
【0042】
このとき、本実施形態における可動コンタクト12の弾性ビーム状部材12aに設けられた接触貫通穴12a3は、上述したプローブ挿入穴(相手挿入穴)11cの直下位置から後方側に延びて、上述した湾曲状延在部12a1の少なくとも一部を含む領域まで延出している。より具体的には、本実施形態における接触貫通穴12a3の後端側(
図8の左端側)部分は、傾斜状延在部12a2が有する湾曲形状の頂点に至るまで延びている。このように本実施形態における可動コンタクト12に設けられた接触貫通穴12a3は、湾曲状延在部12a1における頂部から弾性ビーム状部材12aの長手方向に沿って延出する長穴形状をなすように形成されている。
【0043】
[固定コンタクトについて]
前述した構成を有する可動コンタクト12に対して、固定コンタクト13の固定ビーム状部材13aは、固定基板13bの前端縁部から相手側の可動コンタクト12に向かって直接的に延出する構成になされているため、剛性を有する固定部材となっている。すなわち、当該固定コンタクト13の固定ビーム状部材13aは、特に
図16〜
図24に示されているように、固定基板13bの前端縁部から相手側の可動コンタクト12に向かうコネクタ対向方向の前方側に略水平に延在する構成になされているが、当該固定ビーム状部材13aの全体は、幅広かつ短長に形成されていることによって、揺動等の弾性変位を生じない剛性を備えた構造になされている。
【0044】
このような固定コンタクト13を構成している固定ビーム状部材13aの前端部分には、前後方向に延在する平面略矩形状の接点形成穴13f1が形成されている。この接点形成穴13f1は、固定ビーム状部材13aの板幅方向(前後方向と直交する方向)における略中央部分に、前後方向に長径を有する長穴形状を有するように貫通形成されている。また、その接点形成穴13f1の後端側に連通するようにして、接点補助穴13f2が、固定基部13bに貫通形成されている。そして、そのような接点補助穴13f2の前方側に配置された接点形成穴13f1を形成している開口端縁部には、後述するように一対の固定接点部13f,13fが形成されており、当該固定接点部13f,13fに対して、上述した可動コンタクト12の可動接点部が下方側から接触・離間する構成になされている。
【0045】
上述したように固定コンタクト13に設けられた固定接点部13fは、可動コンタクト12の可動ビーム状部材12aに設けられた可動接点部に対して上方側から接触する配置関係になされており、弾性ビーム状部材12aの弾性付勢力によって弾性的な接触が行われるが、そのときの可動コンタクト12を構成している弾性ビーム状部材12aの可動接点部は、固定コンタクト13を構成している固定ビーム状部材13aの固定接点部13fに対して下方側から掬い上げるような接触関係になされている。
【0046】
ここで、固定コンタクト13に設けられた固定接点部13fは、前述したように接点形成穴13f1の長穴状の開口端縁部に形成されているが、当該接点形成穴13f1の開口端縁部のうち、固定コンタクト13の板幅方向(コンタクト対向方向と直交する方向)において互いに対向する一対の端縁部に固定接点部13fがそれぞれ設けられている。すなわち、固定コンタクト13の板幅方向に接点形成穴13f1を挟んだ両側端縁部に、上述した一対の固定接点部13f,13fが、互いに対向するように配置されている。
【0047】
このような一対の固定接点部13f,13fが形成された接点形成穴13f1の開口端縁部は、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向である下方側に向かって突出された突状変形部分13f3,13f3の先端縁部にそれぞれ形成されている。すなわち、固定ビーム状部材13aの一部をなす領域であって、上述した接点形成穴13f1の開口端縁部を取り囲む所定の領域には、検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の嵌合方向である下方向に対して傾斜する方向に延出する傾斜面部からなる突状変形部分13f3,13f3が、上述した接点形成穴13f1を板幅方向に挟んだ両側に略対称的に一対形成されている。
【0048】
それらの各突状変形部分13f3を構成している傾斜面部は、平面視において略三角形状をなすようにプレス成形されたものであるが、当該一対の傾斜面部からなる突状変形部分13f3,13f3が接点形成穴13f1に向かって延出した端縁部によって、上述した接点形成穴13f1を形成する開口端縁部の一部が形成された構成になされたものであって、接点形成穴13f1の開口端縁部の一部である突状変形部分13f3,13f3の端縁部に、上述した固定接点部13f,13fが形成されている。より詳細には、特に
図24に示されているように、各突状変形部分13f3の延出端縁部における下端縁、すなわち突状変形部分13f3の板厚方向における下方側の頂点部に、固定接点部13fがシャープエッジをなすように形成されている。
【0049】
このような固定接点部13fが形成された突状変形部分13f3の傾斜面部は、上述したように固定コンタクト13の板幅方向(コンタクト対向方向と直交する方向)において略対称的に傾斜するように延在しているが、そのような板幅方向の傾斜に加えて当該突状変形部分13f3は、固定コンタクト13の板幅方向に直交するコンタクト対向方向にも傾斜している。すなわち、その突状変形部分13f3が有するコンタクト対向方向における傾斜は、前方側から後方側に向かって下降する方向に設定されている。このように突状変形部分13f3における傾斜面部は、固定コンタクト13の板幅方向と、それに直交する方向との双方に傾斜する構成になされており、それによって固定接点部13fは、接点形成穴13f1の後端側における角部分、より具体的には、接点形成穴13f1と接点補助穴13f2との境界部分に固定接点部13fが形成されている。
【0050】
一方、前述したように接点補助穴13f2は、接点形成穴13f1の後方側に連通した状態で形成されているが、当該接点補助穴13f2が有する板幅方向(コンタクト対向方向と直交する方向)の内径寸法は、接点形成穴13f1が有する同方向の内径寸法よりも拡大されている。すなわち、その接点補助穴13f2を形成している開口端縁部は、接点形成穴13f1の後端縁部から、固定コンタクト13の板幅方向の両側に向かって拡大するように延出しており、より大きな開口形状を備えた構成になされている。
【0051】
このように本実施形態においては、接点形成穴13f1及び接点補助穴13f2が、固定コンタクト13に貫通形成されていることによって、可動コンタクト12と固定コンタクト13との接触部分に入り込んだゴミ等の塵埃が、それらの接点形成穴13f1及び接点補助穴13f2を通して外方に排出されることとなり、それによって可動コンタクト12と固定コンタクト13との間の電気的な接続性が良好に維持されるようになっている。特に、固定接点部13f,13fの間に接点形成穴13f1が配置されているため、接点部間に大きなゴミ等が紛れ込んでも接触不良が起きることがない。
【0052】
さらに、上述した両コンタクト12,13同士の電気的な接続性は、接点形成穴13f1の開口端縁部に対向配置された一対の固定接点部13f,13fに対して、可動コンタクト12が接触する、いわゆる多点接触構造によって更に高められるようになっている。
【0053】
さらにまた、本実施形態においては、固定コンタクト13を印刷配線基板に接合する半田材が、基板接続部13eに沿って這い上がることで、接点形成穴13f1の開口端縁部に形成された固定接点部13fに近付くように半田材が流動してきても、その半田材は、接点形成穴13f1よりも内径が拡大された接点補助穴13f2の外周部を回り込むようにして流動する。そして、そのように接点補助穴13f2の外周部を回り込んで流動する途中で半田材が硬化し、それによって固定接点部13fに対する半田材の流入が防止され、半田材を介在した電気的な短絡が防止される。
【0054】
[導電性シェルについて]
一方、上述した絶縁ハウジング11の上面側表面には、薄板状の導電性部材からなる導電性シェル14が上方側から覆うようにして装着されている。この導電性シェル14は、絶縁ハウジング11の上面側から挿入ガイド部11bの外周面の一部を覆うように装着されているが、この導電性シェル14が絶縁ハウジング11の上面側表面を覆っている上面基板14aが平面略矩形状をなすように形成されている。
【0055】
その導電性シェル14における略矩形状をなす上面基板14aの中央部分には、上述した絶縁ハウジング11の挿入ガイド部11bを外方側から覆うグランド端子部14bが略中空円筒状をなすようにして一体に設けられている。このグランド端子部14bの外周表面には、円環状をなす固定係止溝14cが凹設されており、その固定係止溝14cに対して、前述した検査用プラグコネクタ(相手コネクタ)20の導電性シェルに設けられた係合突部20bが嵌め込まれ、それによってスイッチ付同軸コネクタ10に検査用プラグコネクタ20が適宜の嵌合力で連結された状態に維持されるようになっている。
【0056】
また、上述した導電性シェル14の上面基板14aにおける略矩形状の四隅部分には、下方に向かって垂れ下がるように延在する基板接続部14dがそれぞれ連設されている。それらの各基板接続部14dは、上述した上面基板14aの端縁から下方に向かって、外方側にやや開くように傾斜して延在しており、上述した上面基板14aの端縁からコネクタ外方側に向かって斜め下方に張り出すように延出するテーパ状の傾斜壁面を有しているとともに、その傾斜壁面の下端部から、コネクタ内方に向かって略水平に突出する水平壁面からなる半田接合片14fが連設されている。
【0057】
それら4体の基板接続部14dの先端部分を形成している半田接合片14fのうち、上述したコンタクト対向方向に隣接する2体の半田接合片14f,14f同士は、一体的に連結されており、各基板接続部14dが、図示を省略した配線基板上のグランド用導電路に半田接合されることによって、グランド接続が行われるとともに、スイッチ付同軸コネクタ10の全体の保持が行われるようになっている。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0059】
例えば、上述した実施形態においては、固定コンタクト13に設けられた接点形成穴13f1に対して、接点補助穴13f2が連通した状態で設けられているが、これらの接点形成穴13f1と接点補助穴13f2とを、連通させることなく別個・独立に設けることも可能である。
【0060】
さらに、本発明は、上述した実施形態のような回路検査スイッチ以外の用途に用いられるスイッチ付同軸コネクタに対しても同様に適用可能である。