特許第6281497号(P6281497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士レビオ株式会社の特許一覧

特許6281497ビタミンDの測定方法および測定用キット
<>
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000012
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000013
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000014
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000015
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000016
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000017
  • 特許6281497-ビタミンDの測定方法および測定用キット 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281497
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ビタミンDの測定方法および測定用キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/82 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   G01N33/82
【請求項の数】12
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-560701(P2014-560701)
(86)(22)【出願日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2014050996
(87)【国際公開番号】WO2014122972
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-21284(P2013-21284)
(32)【優先日】2013年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306008724
【氏名又は名称】富士レビオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】内田 好昭
(72)【発明者】
【氏名】佐久 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】小見 和也
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/052620(WO,A1)
【文献】 特開2005−257271(JP,A)
【文献】 特表2004−515763(JP,A)
【文献】 特表2005−503534(JP,A)
【文献】 特表2009−510415(JP,A)
【文献】 特表2009−540275(JP,A)
【文献】 特表2010−518369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、ビタミンDの測定方法:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤でサンプルを処理すること;および
2)処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
【請求項2】
前記界面活性剤が、胆汁酸もしくはその誘導体またはそれらの塩である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記界面活性剤が、7位にヒドロキシル基を有しないステロイド骨格を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が、デオキシコール酸もしくはタウロデオキシコール酸またはそれらの塩である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
ステロイド骨格を有する界面活性剤以外の変性剤でサンプルを処理することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
ステロイド骨格を有する界面活性剤以外の変性剤が、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
サンプルの処理が混合のみによって行われる、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
以下を含む方法である、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法:
1’)ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を含む反応液でサンプルを処理すること;ならびに
2’)処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
【請求項9】
以下を含む方法である、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法:
1’’)変性剤を含む前処理液でサンプルを処理すること;
2’’)前記1’’)で処理されたサンプルを、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液で処理すること;ならびに
3’’)前記2’’)で処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
【請求項10】
サンプルがヒト由来のサンプルである、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
サンプルが血液関連サンプルである、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
以下を含む、ビタミンDの測定用キット:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤;ならびに
2)ビタミンDに対する親和性物質および/またはビタミンD標品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンDの測定方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
Vitamin D類(以下、単にビタミンDと略称する)は血中で結合タンパク質(DBP:ビタミンD結合タンパク質。Gcグロブリンとも呼ばれる)と強固に結合していることが知られている。したがって、ビタミンDを抗原抗体法で正確に測定するためには、ビタミンDとDBPの解離操作(前処理)が必要とされる。このような前処理としては、変性剤(例、酸、タンパク変性剤、界面活性剤、加水分解酵素)に加えて有機溶媒(例、エタノール、メタノール、DMSO)が使用されている(特許文献1〜7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第03/104820号
【特許文献2】国際公開第07/039194号
【特許文献3】国際公開第02/046746号
【特許文献4】国際公開第04/063704号
【特許文献5】国際公開第08/092917号
【特許文献6】国際公開第02/057795号
【特許文献7】国際公開第07/140962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ビタミンDの測定方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討したところ、ステロイド骨格を有する界面活性剤でビタミンD含有サンプルを処理することにより、ビタミンDを正確に測定できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕以下を含む、ビタミンDの測定方法:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤でサンプルを処理すること;および
2)処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
〔2〕前記界面活性剤が、胆汁酸もしくはその誘導体またはそれらの塩である、〔1〕の方法。
〔3〕前記界面活性剤が、7位にヒドロキシル基を有しないステロイド骨格を有する、〔1〕または〔2〕の方法。
〔4〕前記界面活性剤が、デオキシコール酸もしくはタウロデオキシコール酸またはそれらの塩である、〔1〕〜〔3〕のいずれかの方法。
〔5〕前記界面活性剤と異なる別の変性剤でサンプルを処理することをさらに含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかの方法。
〔6〕別の変性剤が、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤である、〔5〕の方法。
〔7〕サンプルの処理が混合のみによって行われる、〔1〕〜〔6〕のいずれかの方法。
〔8〕以下を含む方法である、〔1〕〜〔7〕のいずれかの方法:
1’)ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を含む反応液でサンプルを処理すること;ならびに
2’)処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
〔9〕以下を含む方法である、〔1〕〜〔7〕のいずれかの方法:
1’’)変性剤を含む前処理液でサンプルを処理すること;
2’’)前記1’’)で処理されたサンプルを、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液で処理すること;ならびに
3’’)前記2’’)で処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
〔10〕サンプルがヒト由来のサンプルである、〔1〕〜〔9〕のいずれかの方法。
〔11〕サンプルが血液関連サンプルである、〔1〕〜〔10〕のいずれかの方法。
〔12〕以下を含む、ビタミンDの測定用キット:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤;ならびに
2)ビタミンDに対する親和性物質および/またはビタミンD標品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法は、ビタミンDの測定に有用である。本発明によれば、迅速かつ簡便にビタミンDを測定できる。
本発明のキットは、例えば、本発明の方法の簡便な実施に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、デオキシコール酸ナトリウムによる血清サンプルの処理により得られた測定値と、Diasorin RIA法による測定値との高い相関性(R=0.8993)を示す図である。
図2図2は、有機溶媒による血清サンプルの処理により得られた測定値と、Diasorin RIA法による測定値との低い相関性(R=0.8327)を示す図である。
図3図3は、デオキシコール酸ナトリウム、SDSおよび抗体を含む反応液による血清サンプルの処理により得られた測定値と、Diasorin RIA法による測定値との高い相関性(R=0.9881)を示す図である。
図4図4は、ヒト血清サンプルをコントロール緩衝液(Tris−HCl)中でゲルろ過クロマトグラフィーにより溶出した場合の、25OHビタミンD含有画分を示す図である。DC Na:デオキシコール酸ナトリウム(以下同様)
図5図5は、ウエスタンブロッティングによるビタミンD結合タンパク質含有画分を示す図である。
図6図6は、ゲルろ過クロマトグラフィーによるデオキシコール酸ナトリウム溶液中でのヒト血清ビタミンDおよび遊離ビタミンDの溶出画分を示す図である。
図7図7は、ビタミンD結合タンパク質および25OHビタミンD3の複合体からの25OHビタミンD3の放出の程度を示す図である。1〜4の実験条件については、表8を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(A.ビタミンDの測定方法)
本発明は、サンプル中のビタミンDの測定方法を提供する。
【0010】
本発明の方法は、以下を含む:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤でサンプルを処理すること;および
2)処理されたサンプルにおいてビタミンDを検出すること。
【0011】
(A−1.工程1)
先ず、ステロイド骨格を有する界面活性剤でサンプルが処理される。
本発明の方法で用いられるサンプルは、以下に示すようなビタミンDまたはその代謝産物を含有する、または含有すると疑われるサンプルである。ビタミンDの代謝産物としては、例えば、ビタミンDにヒドロキシル基が付加された化合物、25OHビタミンD2、25OHビタミンD3、1,25(OH)2ビタミンD2、1,25(OH)2ビタミンD3が挙げられる。本明細書中で用いられる場合、用語「ビタミンD」は、特に指定されないかぎり、ビタミンD2およびビタミンD3、およびビタミンD2およびビタミンD3に類似する薬物、ならびにそれらの代謝産物を包括的に含むものとする。
【0012】
【化1】
【0013】
サンプルの由来は特に限定されず、生物由来の生物学的サンプルであってもよく、または環境サンプルなどであってもよい。生物学的サンプルが由来する生物としては、例えば、哺乳動物(例、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ)、鳥類(例、ニワトリ)等の動物、昆虫、微生物、植物、菌類、魚類が挙げられるが、好ましくは哺乳動物、菌類、魚類であり、より好ましくは哺乳動物であり、さらにより好ましくはヒトである。生物学的サンプルはまた、血液自体または血液に由来するサンプルである血液関連サンプル(例、全血、血清、血漿)、唾液、尿、乳汁、組織または細胞抽出液、あるいはこれらの混合物であってもよいが、血液関連サンプルが好ましい。環境サンプルとしては、土壌、海水、淡水由来のサンプルが挙げられる。
【0014】
本発明の方法で用いられるサンプルは、好ましくは、ビタミンDおよびそれに対する結合能を有する分子の複合体を含むサンプルである。本発明の方法は、サンプル中にビタミンDに対する強い結合能を有する分子(例、タンパク質)が存在していた場合であっても、ビタミンDを正確に測定できるという利点を有する。例えば、ビタミンDは、ヒト血清中に存在するDBPと強固に結合することが知られており、その解離定数はKd=5×10−8であることが報告されているが(特許文献4を参照)、本発明の方法によれば、このような強い結合能を有するタンパク質がサンプル中に存在する場合であっても、サンプル中のビタミンDを正確に測定することができる。したがって、ビタミンDに対する結合能を有するDBP以外の分子(例、ビタミンDに対する結合能を潜在的に有する分子)がサンプル中に存在する場合であっても、本発明の方法によれば、ビタミンDを正確に測定することができると考えられる。ビタミンDに対する結合能を有する他の分子としては、例えば、アルブミン、脂質が挙げられる。具体的には、ビタミンDおよびそれに対する結合能を有する分子の複合体を含むサンプルとしては、例えば、血液関連サンプル(例、全血、血清、血漿)が挙げられる。
【0015】
本発明の方法によれば、ビタミンDに対する結合能を有する分子についてのサンプル中の有無およびその分子の種類、ならびにサンプルの種類を問わず、サンプル中のビタミンDを測定できる。つまり、本発明の方法は、これらの事項に対する情報を事前に確認することなく、または、ビタミンDに対する結合能を有する未知の分子がサンプル中に存在する場合であっても、サンプル中のビタミンDを測定できる。したがって、本発明の方法は、ビタミンDの測定に汎用され得る標準方法として使用できる。
【0016】
本発明の方法では、サンプルは、ステロイド骨格を有する界面活性剤により処理される前に、他の処理に付されてもよい。このような処理としては、遠心分離、抽出、ろ過、沈殿、加熱、凍結、冷蔵、攪拌が挙げられる。
【0017】
ステロイド骨格を有する界面活性剤により処理されるべきサンプルの容量は、ビタミンDの測定が可能な限り特に限定されないが、例えば0.1〜1000μl、好ましくは0.5〜100μl、より好ましくは1〜50μlである。
【0018】
ステロイド骨格を有する界面活性剤は、ステロイド骨格を、独立した環状構造(即ち、他の環と縮合していないステロイド骨格)として有する化合物、またはその塩である。ステロイド骨格を有する界面活性剤において、その5位の立体構造はαであってもβであってもよい。
【0019】
ステロイド骨格を有する界面活性剤は、疎水性部分としてのステロイド骨格、および親水性部分を有する化合物、またはその塩であり得る。親水性部分としては、例えば、アニオン性部分〔例、スルホネート(−SO)、カルボキシレート(−COO)、およびホスホネート(−POO)〕、カチオン性部分(例、1〜4個の炭化水素基で置換されていてもよい4級アンモニウムおよび4級ホスホニウム)、非イオン性親水性部分(例、複数のエーテル)およびそれらを有する基(例、このような親水性部分を有する炭化水素基)が挙げられる。したがって、ステロイド骨格を有する界面活性剤は、親水性部分の種類に応じて、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤であり得る。上述した炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、フェニル、およびナフタレニルが挙げられる。炭化水素基は、好ましくは、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。
【0020】
ステロイド骨格は、親水性部分の他に、1〜6個(好ましくは1、2、3または4個)の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、ステロイド骨格の性質(例、疎水性)を大きく損なうものでない限り特に限定されないが、例えば、炭素原子数1〜10の炭化水素基、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されたヒドロキシル基(例、アルキルオキシ基)、炭素原子数1〜10の炭化水素基−カルボニル−オキシ基(例、アルキル−カルボニル−オキシ基)、オキソ基、ホルミル基、炭素原子数1〜10の炭化水素基−オキシ−カルボニル基(例、アルキルオキシ−カルボニル基)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、およびシアノが挙げられる。
【0021】
本明細書中で用いられる用語「塩」は、任意の塩であり、例えば、無機塩、有機塩および分子内塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、金属塩、ハロゲン化物塩、酸付加塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウム)の塩、アルカリ土類金属(例、マグネシウム、カルシウム)の塩が挙げられる。ハロゲン化物塩におけるハロゲンとしては、例えば、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素が挙げられる。無機塩である酸付加塩としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩が挙げられる。有機塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩、ならびにシュウ酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0022】
好ましくは、ステロイド骨格を有する界面活性剤は、胆汁酸またはその誘導体あるいはそれらの塩である。胆汁酸としては、例えば、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、コール酸、グリココール酸、タウロコール酸、ヒオコール酸、5α−シプリノール、リトコール酸、タウロデオキシコール酸、およびタウロコール酸が挙げられる。胆汁酸の誘導体としては、例えば、CHAPS、BIGCHAP、およびdeoxy−BIGCHAPが挙げられる。
【0023】
より好ましくは、ステロイド骨格を有する界面活性剤は、7位にヒドロキシル基を有しないステロイド骨格を有していてもよい。7位にヒドロキシル基を有しないステロイド骨格を有する界面活性剤としては、例えば、ヒドロキシル基以外の基(例、ヒドロキシル基を除く上述した置換基)を7位に有するステロイド骨格を有する界面活性剤、および7位に置換基を有しない(換言すれば、7位の炭素原子が水素原子と結合している)ステロイド骨格を有する界面活性剤が挙げられる。特に好ましくは、7位にヒドロキシル基を有しないステロイド骨格を有する界面活性剤は、7位に置換基を有しないステロイド骨格を有する界面活性剤である。7位に置換基を有しないステロイド骨格を有する界面活性剤としては、例えば、デオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、リトコール酸、および5α−シプリノール、ならびにそれらの塩が挙げられる。
【0024】
サンプルの処理は、1種または複数(例、2または3種)の上記界面活性剤を用いて行われてもよい。上記界面活性剤の濃度は、ビタミンDの測定に有効な濃度である限り特に限定されず、適宜調整することができるが、例えば、0.001%(w/v)〜10%(w/v)%(w/v)であってもよい。
具体的には、ステロイド骨格を有する界面活性剤によりサンプルを処理する場合におけるこのような界面活性剤の濃度は、後述するような反応液を用いる方法によりサンプルを処理する場合、反応液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、0.001%(w/v)〜5%(w/v)であってもよい。このような場合、ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、好ましくは0.005%(w/v)以上、より好ましくは0.01%(w/v)以上、さらにより好ましくは0.02%(w/v)以上であってもよい。ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度はまた、好ましくは1%(w/v)以下、より好ましくは0.8%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.6%(w/v)以下、特に好ましくは0.5%(w/v)以下であってもよい。複数の界面活性剤を用いる場合、各界面活性剤の濃度もまた、上記のとおりである。
また、ステロイド骨格を有する界面活性剤によりサンプルを処理する場合におけるこのような界面活性剤の濃度は、後述するような前処理液を用いる方法によりサンプルを処理する場合には、前処理液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、0.001%(w/v)〜10%(w/v)であってもよい。このような場合、ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、好ましくは0.005%(w/v)以上、より好ましくは0.01%(w/v)以上、さらにより好ましくは0.02%(w/v)以上であってもよい。ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度はまた、好ましくは1%(w/v)以下、より好ましくは0.8%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.6%(w/v)以下、特に好ましくは0.5%(w/v)以下であってもよい。複数の界面活性剤を用いる場合、各界面活性剤の濃度もまた、上記のとおりである。
さらに、ステロイド骨格を有する界面活性剤によりサンプルを処理する場合におけるこのような界面活性剤の濃度は、後述するような前処理液および希釈液を用いる方法によりサンプルを処理する場合には、前処理液、希釈液およびサンプルの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、0.001%(w/v)〜10%(w/v)であってもよい。このような場合、ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、好ましくは0.005%(w/v)以上、より好ましくは0.01%(w/v)以上、さらにより好ましくは0.02%(w/v)以上であってもよい。ステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度はまた、好ましくは1%(w/v)以下、より好ましくは0.8%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.6%(w/v)以下、特に好ましくは0.5%(w/v)以下であってもよい。複数の界面活性剤を用いる場合、各界面活性剤の濃度もまた、上記のとおりである。
【0025】
一実施形態では、サンプルの処理は、ステロイド骨格を有する界面活性剤に加えて、ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤を併用して行われてもよい。したがって、本発明の方法は、別の変性剤でサンプルを処理することをさらに含んでいてもよい。ステロイド骨格を有する界面活性剤および別の変性剤によるサンプルの処理は、同時または別々に行うことができるが、好ましくは同時に行われる。このような変性剤としては、例えば、界面活性剤(例、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤)、カオトロピック剤、還元剤が挙げられる。変性剤は、1種であってもよいが、複数(例、2または3種)であってもよい。このような変性剤は、変性作用のために有効な濃度で用いられてもよいが、変性作用以外の作用を期待して、変性作用以外の作用に有効な濃度で用いられてもよい。例えば、別の変性剤によりサンプルを処理する場合における別の変性剤の濃度は、ステロイド骨格を有する界面活性剤の上述したような濃度と同様であってもよい。
【0026】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤であるアニオン性界面活性剤としては、例えば、ヘキシル硫酸、オクチル硫酸、デシル硫酸、ドデシル硫酸、テトラデシル硫酸、ヘキサデシル硫酸、ドデシルホスホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、n−ラウロイルサルコシン、およびn−ドデカノイルサルコシン酸、ならびにこれらの塩(例、ナトリウム塩等の上述の塩)が挙げられる。
【0027】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤であるカチオン性界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム化合物および4級ホスホニウム化合物(例、1〜4個の上述したような炭化水素基で置換されたもの)、ならびにこれらの塩(例、ハロゲン化物)が挙げられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、セチルジメチルエチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、およびミリスチルトリメチルアンモニウム、ならびにそれらのハロゲン化物(例、ブロミド)が挙げられる。
【0028】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤である両性界面活性剤としては、例えば、Zwittergent、ASB−14、ASB−14−4、C7Bz0、EMPIGEN BB界面活性剤、3−N(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−n(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホナート酸、N−ドデシルN,N−ジメチル−3アンモニオ−1プロパンスルホン酸、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、および3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホン酸、ならびにそれらの塩(例、分子内塩等の上述した塩)が挙げられる。
【0029】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤である非イオン性界面活性剤としては、例えば、Brij35、Brij56、キラヤ属樹皮由来サポニン、TritonX −405、TritonX−N 101、TritonX−100、TritonX−705−70、TritonX−305、Tween−20、Tween−40、Tween−60、Tween−80、MEGA−8、MEGA−10、NP40が挙げられる。
【0030】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤であるカオトロピック剤としては、例えば、グアニジン、尿素、およびチオ硫酸、ならびにそれらの塩(例、塩酸塩等の酸付加塩およびカリウム塩等の金属塩等の上述した塩)が挙げられる。
【0031】
ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤である還元剤としては、例えば、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、2−メルカプトエチルアミン(2MEA)、2−メルカプトエタノール(2ME)、トリス−2−カルボキシエチルホスフィン塩酸塩(TCEP−HCl)、L−システイン、N−アセチル−L−システイン、アスコルビン酸が挙げられる。
【0032】
好ましい実施形態では、ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の変性剤は、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤(塩を含む)である。
【0033】
別の変性剤において、疎水性部分は、炭化水素鎖から構成される。炭化水素鎖は、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であり、炭化水素鎖中の炭素原子数は通常8〜60個である。炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤は、少なくとも1つのこのような炭化水素鎖を有していればよい。炭化水素鎖中の炭素原子数は、好ましくは10個以上である。炭化水素鎖中の炭素原子数はまた、合成または入手の容易の観点から、40個以下が好ましく、30個以下がより好ましく、20個以下がさらにより好ましい。炭化水素鎖中の炭素原子数は、特に好ましくは10または11個である。
直鎖の炭化水素基としては、直鎖の飽和炭化水素基であるアルキル基、ならびに直鎖の不飽和炭化水素基(例、アルケニル基およびアルキニル基)が挙げられる。炭素原子数8〜60個のアルキル基としては、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルが挙げられる。炭素原子数8〜60個の直鎖の不飽和炭化水素基としては、例えば、上述したアルキル基において、1〜4個(好ましくは1または2個)の不飽和結合(二重結合または三重結合)部分を含むものが挙げられる。
分岐鎖の炭化水素基としては、例えば、上述した直鎖の飽和または不飽和炭化水素基上の水素原子が、1〜4個(好ましくは1または2個)の炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されたものが挙げられる。炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、フェニル、ナフタレニルが挙げられる。
疎水性部分を構成する炭化水素鎖は、好ましくは、直鎖の飽和炭化水素基であり、より好ましくは、10または11個の炭素原子数を有する直鎖の飽和炭化水素基である。
【0034】
別の変性剤において、親水性部分としては、例えば、アニオン性親水性部分およびカチオン性親水性部分が挙げられる。炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤は、1または2種以上の親水性部分を有していてもよく、アニオン性親水性部分およびカチオン性親水性部分の双方を有していてもよい。アニオン性親水性部分としては、例えば、スルホネート基(−SO)、カルボキシレート基(−COO)、およびホスホネート基(−POO)が挙げられる。カチオン性親水性部分としては、例えば、アンモニウム基(N)、およびホスホニウム基(P)が挙げられる。親水性部分は、好ましくは、スルホネート基(−SO)、カルボキシレート基(−COO)、アンモニウム基(N)、またはホスホニウム基(P)であり、より好ましくは、スルホネート基(−SO)、カルボキシレート基(−COO)、またはアンモニウム基(N)であり、さらにより好ましくは、スルホネート基(−SO)、またはカルボキシレート基(−COO)であり、特に好ましくは、スルホネート基(−SO)である。
【0035】
炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤は、炭化水素鎖から構成される疎水性部分および親水性部分に加えて、他の部分(例えば、疎水性部分と親水性部分との間)を含んでいてもよい。このような他の部分としては、例えば、環状基(例、シクロアルキル基、アリール基、複素環基)、および非環状基(例、アミノ基、カルボニル基、カルボニルアミノ基)が挙げられる。
【0036】
具体的には、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤としては、例えば、ヘキシル硫酸、オクチル硫酸、デシル硫酸、ドデシル硫酸、テトラドデシル硫酸、ヘキサデシル硫酸、ドデシルホスホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、N−ラウロイルサルコシン酸、およびドデカノイルサルコシン酸、ならびにそれらの塩が挙げられる。
【0037】
サンプルの処理は、1種または複数(例、2または3種)の別の変性剤を用いて行われてもよい。別の変性剤の濃度は、ビタミンDの測定に有効な濃度である限り特に限定されず、適宜調整することができる。例えば、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤を別の変性剤として用いる場合には、このような界面活性剤の濃度は、例えば、0.001%(w/v)〜10%(w/v)%(w/v)であってもよい。
具体的には、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤によりサンプルを処理する場合におけるこのような界面活性剤の濃度は、後述するような反応液を用いる方法によりサンプルを処理する場合、反応液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、0.005%(w/v)〜5%(w/v)であってもよい。このような場合、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01%(w/v)以上、より好ましくは0.02%(w/v)以上であってもよい。炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤の濃度はまた、好ましくは1%(w/v)以下、より好ましくは0.8%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.6%(w/v)以下、特に好ましくは0.5%(w/v)以下であってもよい。複数の界面活性剤を用いる場合、各界面活性剤の濃度もまた、上記のとおりである。
また、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤によりサンプルを処理する場合におけるこのような界面活性剤の濃度は、後述するような前処理液を用いる方法によりサンプルを処理する場合には、前処理液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、0.001%(w/v)〜10%(w/v)であってもよい。このような場合、炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤の濃度は、好ましくは0.001%(w/v)以上、より好ましくは0.02%(w/v)以上、さらにより好ましくは0.03%(w/v)以上であってもよい。炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤の濃度はまた、好ましくは1%(w/v)以下、より好ましくは0.8%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.6%(w/v)以下、特に好ましくは0.5%(w/v)以下であってもよい。複数の界面活性剤を用いる場合、各界面活性剤の濃度もまた、上記のとおりである。
【0038】
サンプルの処理はまた、他の成分の存在下で行われてもよい。このような成分としては、例えば、ビタミンDに対する親和性物質、アルブミン(例、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン)、ゼラチン、およびスキムミルクが挙げられる。
【0039】
ビタミンDに対する親和性物質とは、ビタミンDに結合する能力を有する物質をいい、例えば、ビタミンDに対する抗体、アプタマーが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれでもよい。抗体はまた、抗体のフラグメント(例、Fab、F(ab’))、組換え抗体(例、scFv)であってもよい。抗体はさらに、ファージディスプレイ等の分子生物学的手法により、および/または既存のタンパク質モチーフを利用してタンパク質工学的手法により作製された抗体様分子(例、affibody、anticalin、DARPins、monobody)であってもよい。
【0040】
サンプルの処理は、例えば、(a)サンプルを、上述したような成分を含む水溶液(例、緩衝液)と混合して混合液を調製すること、および(b)混合液をインキュベートすることを含む。
【0041】
緩衝液としては、例えば、トリス緩衝液(例、Tris−HCl緩衝液、TE緩衝液、TAE緩衝液、TBE緩衝液、トリス緩衝生理食塩水)、リン酸緩衝液(例、リン酸緩衝生理食塩水、)、炭酸緩衝液(例、炭酸−重炭酸ナトリウム緩衝液)、GOOD緩衝液(例、MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、BES、TES、HEPES、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン)が挙げられる。サンプルの処理は、中性条件下あるいは酸性またはアルカリ性条件下で行うことができるが、好ましくは中性条件下で行われる。したがって、サンプルの処理において採用されるpH値は、例えば4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6.0〜8.0である。サンプルの処理におけるpH値の調整は、緩衝液、酸性物質およびアルカリ性物質を利用して行うことができる。
【0042】
サンプルの処理(例、上記(a)(b)の工程)の温度は、ステロイド骨格を有する界面活性剤等の成分がその作用を発揮するのに適切である限り特に限定されないが、例えば15〜60℃、好ましくは20〜50℃、より好ましくは20〜45℃である。(a)における混合液の調製に要する時間は、通常、30秒以下であり、好ましくは20秒以下であり、より好ましくは15秒以下であり、さらにより好ましくは10秒以下である。(b)におけるインキュベート時間は、例えば60分以下、好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下である。測定のための処理時間の短縮の観点から、インキュベート時間は、さらにより好ましくは5分以下であり、特に好ましくは3分以下、2分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、15秒以下、10秒以下または5秒以下であってもよい。したがって、測定のための処理時間の短縮の観点から、サンプルの処理時間(例、上記(a)(b)の合計時間)は、3分以下、2分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下または15秒以下であってもよい。
【0043】
サンプルの処理はまた、混合のみによって行われてもよい。サンプルの処理が「混合のみ」によって行われるとは、サンプルの処理が上記(a)によって行われ、上記(b)が行われないこと(即ち、インキュベーションが不要であること)を意味する。迅速かつ簡便な測定という観点からは、サンプルの処理を混合のみによって行ってもよい。
【0044】
(A−1−1.反応液の使用)
好ましい実施形態では、上記工程1)は、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を含む反応液でサンプルを処理することにより行うことができる。
【0045】
反応液は、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を含む。反応液はまた、ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の界面活性剤(例、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤)、カオトロピック剤、および還元剤、ならびに炭化水素鎖から構成される疎水性部分、および親水性部分を含む界面活性剤等の上述したような他の成分を1種または複数(例、2または3種以上)含んでいてもよい。
【0046】
反応液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、反応液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、反応液とサンプルとの混合液において上述したような濃度(ステロイド骨格を有する界面活性剤でサンプルを処理する場合におけるステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度)を達成できるような濃度である。したがって、反応液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、サンプルおよび反応液の容量に基づいて、上述したような濃度を達成するように適宜設定できる。
【0047】
反応液は、上述したような物質を水溶液(例、上述したような緩衝液)中に含む。反応液は、中性溶液あるいは酸性溶液またはアルカリ性溶液であり得るが、好ましくは中性溶液である。したがって、反応液のpH値は、例えば4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6.0〜8.0である。
【0048】
反応液の容量は、サンプルの容量および種類、ならびにアッセイの目的(例、定性的または定量的測定)等に応じて適宜決定できるが、サンプルの容量に対して、例えば0.1〜100倍、好ましくは0.5〜50倍、より好ましくは1〜10倍である。
【0049】
反応液によるサンプルの処理は、反応液中に含まれるステロイド骨格を有する界面活性剤等の成分の作用を発揮するのに適切な様式で適宜行われる。例えば、反応液によるサンプルの処理は、上述したようなサンプルの処理と同様にして行うことができ、(a1)サンプルを反応液と混合して混合液を調製すること、および(b1)混合液をインキュベートすることを含んでいてもよい。(a1)および(b1)における温度および時間の条件は、それぞれ、上記(a)および(b)において上述したものと同様である。
【0050】
(A−1−2.前処理液および希釈液の使用)
別の好ましい実施形態では、上記工程1)は、i)変性剤を含む前処理液でサンプルを処理すること、およびii)前処理液で処理されたサンプルを、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液で処理することにより行うことができる。
【0051】
(工程i)
前処理液は、変性剤を含む。変性剤としては、例えば、ステロイド骨格を有する界面活性剤、ならびにステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の界面活性剤(例、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤)、カオトロピック剤、および還元剤が挙げられる。前処理液に含まれる変性剤は、1種であってもよいが、複数(例、2または3種以上)であってもよい。前処理液は、変性剤として、希釈液に含まれる界面活性剤と同種の1または2個以上(例、1〜3個)の界面活性剤(例、ステロイド骨格を有する界面活性剤および別の界面活性剤)を含んでいてもよい。前処理液はまた、上述したような他の成分を含んでいてもよい。
【0052】
前処理液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、前処理液とサンプルとの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、前処理液とサンプルとの混合液において上述したような濃度(サンプルをステロイド骨格を有する界面活性剤で処理する場合におけるステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度)を達成できるような濃度である。したがって、前処理液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、サンプルおよび前処理液の容量に基づいて、上述したような濃度を達成するように適宜設定できる。
【0053】
前処理液は、上述したような物質を水溶液(例、上述したような緩衝液)中に含む。前処理液は、中性溶液あるいは酸性溶液またはアルカリ性溶液であり得るが、好ましくは中性溶液である。したがって、前処理液のpH値は、例えば4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6.0〜8.0である。
【0054】
前処理液の容量は、サンプルの容量および種類、ならびにアッセイの目的(例、定性的または定量的測定)等に応じて適宜決定できるが、サンプルの容量に対して、例えば0.5〜100倍、好ましくは1〜10倍、より好ましくは1〜5倍である。
【0055】
前処理液によるサンプルの処理は、前処理液中に含まれる成分の作用を発揮するのに適切な様式で適宜行われる。例えば、前処理液によるサンプルの処理は、上述したようなサンプルの処理と同様にして行うことができ、(a2−1)サンプルを前処理液と混合して第1混合液を調製すること、および(b2−1)第1混合液をインキュベートすることを含んでいてもよい。(a2−1)および(b2−1)における温度および時間の条件は、それぞれ、上記(a)および(b)において上述したものと同様である。前処理液によるサンプルの処理はまた、上述したように混合のみによって行われてもよい。
【0056】
(工程ii)
希釈液は、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む。本発明の方法では、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液を用いることにより、ビタミンDの検出感度を向上させることができる。希釈液はまた、ステロイド骨格を有する界面活性剤と異なる別の界面活性剤(例、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤)、カオトロピック剤、および還元剤等の他の成分を1種または複数(例、2または3種以上)含んでいてもよい。希釈液はまた、上述したような他の成分(例、ビタミンDに対する親和性物質、アルブミン)を含んでいてもよい。
【0057】
希釈液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、前処理液、希釈液およびサンプルの混合液においてその作用が発揮されるような濃度である限り特に限定されないが、例えば、前処理液、希釈液およびサンプルとの混合液において上述したような濃度(サンプルをステロイド骨格を有する界面活性剤で処理する場合におけるステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度)を達成できるような濃度である。したがって、希釈液中のステロイド骨格を有する界面活性剤の濃度は、サンプル、前処理液および希釈液の容量に基づいて、上述したような濃度を達成するように適宜設定できる。
【0058】
希釈液は、上述したような物質を水溶液(例、上述したような緩衝液)中に含む。希釈液は、中性溶液あるいは酸性溶液またはアルカリ性溶液であり得るが、好ましくは中性溶液である。したがって、希釈液のpH値は、例えば4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、好ましくは5.5〜8.5、より好ましくは6.0〜8.0である。
【0059】
希釈液の容量は、サンプルおよび前処理液の容量および種類、ならびにアッセイの目的(例、定性的または定量的測定)等に応じて適宜決定できるが、サンプルおよび前処理液の総容量よりも多い容量において用いられ得る。具体的には、希釈液の容量は、サンプルおよび前処理液の総容量に対して、例えば1〜20倍、好ましくは1〜10倍、より好ましくは1〜5倍である。
【0060】
希釈液によるサンプルの処理は、希釈液中に含まれるステロイド骨格を有する界面活性剤の作用を発揮するのに適切な様式で適宜行われる。例えば、希釈液によるサンプルの処理は、前処理液によるサンプルの処理と同様にして行うことができ、(a2−2)前処理液で処理されたサンプルを希釈液と混合して第2混合液を調製すること、および(b2−2)第2混合液をインキュベートすることを含んでいてもよい。(a2−2)および(b2−2)における温度および時間の条件は、それぞれ、上記(a)および(b)において上述したものと同様である。
【0061】
(A−2.工程2)
上述したとおり処理されたサンプルにおいて、ビタミンDが検出される。ビタミンDの検出は、定性的または定量的に行われる。本工程では、上述した親和性物質が用いられる場合、親和性物質を処理されたサンプルに添加することを含んでいてもよい。
【0062】
ビタミンDの検出は、任意の方法により行うことができ、例えば、ビタミンDに対する親和性物質を利用して行うことができる。ビタミンDの検出はまた、免疫学的手法により行なわれてもよい。このような免疫学的手法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA)(例、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、磁性粒子法、免疫クロマト法、ルミネッセンス免疫測定法、スピン免疫測定法、ラテックス凝集法が挙げられる。ビタミンDの検出を可能とする上記以外の方法としては、例えば、LC−MSが挙げられる。
【0063】
ビタミンDに対する親和性物質として抗体が用いられる場合、2次抗体がさらに用いられてもよい。2次抗体としては、ビタミンDに対する抗体(1次抗体)の1次抗体部分に対する抗体であってもよく、ビタミンDおよび1次抗体の複合体に対する抗体であってもよい。2次抗体等の抗体は、検出用物質に連結されていてもよい。検出用物質としては、例えば、酵素(例、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、親和性物質(例、ストレプトアビジン、ビオチン)、蛍光物質(例、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン)、発光物質(例、ルシフェリン、エクオリン)、放射性物質(例、H、14C、32P、35S、125I)が挙げられる。2次抗体等の抗体は、抗体は、支持体に固定されていてもよい。支持体としては、例えば、粒子(例、磁性粒子)、メンブレン(例、ニトロセルロース膜)、ガラス、プラスチック、金属、プレート(例、マルチウェルプレート)、デバイスが挙げられる。抗体はまた、濾紙等の媒体に含浸された形態で提供されてもよい。
【0064】
(B.ビタミンDの測定用キット)
本発明はまた、ビタミンDの測定用キットを提供する。
【0065】
本発明のキットは、以下を含む:
1)ステロイド骨格を有する界面活性剤;ならびに
2)ビタミンDに対する親和性物質および/またはビタミンD標品。
ビタミンDに対する親和性物質が1次抗体である場合、本発明のキットは、2次抗体をさらに含んでいてもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明のキットは、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を含む反応液を含む。
【0067】
別の好ましい実施形態では、本発明のキットは、以下を含む:
1)変性剤を含む前処理液;
2)ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液;ならびに
3)ビタミンDに対する親和性物質および/またはビタミンD標品。
【0068】
本発明のキットに含まれる上述の構成成分の詳細(例、有効成分および濃度、好ましい例)は、本発明の方法において上述したとおりである。反応液ならびに前処理液および希釈液は、本発明の方法において上述した成分および/または物質をさらに含んでいてもよい。ビタミンD標品は、所定の濃度(単一または複数)のビタミンDを含む水溶液またはビタミンDの粉末であり、コントロールとして有用である。
【0069】
本発明のキットでは、各構成成分が、それぞれ異なる容器(例、チューブ、プレート)に収容された形態で提供されてもよい。あるいは、本発明のキットは、デバイスの形態で提供されてもよい。具体的には、構成成分の全部がデバイス中に収容された形態で提供されてもよい。あるいは、構成成分の一部がデバイス中に収容された形態で提供され、残りのものがデバイス中に収容されない形態(例、異なる容器に収容された形態)で提供されてもよい。この場合、デバイス中に収容されない構成成分は、標的物質の測定の際に、デバイス中に注入されることにより使用されてもよい。デバイスの構造としては、例えば、1)サンプルとステロイド骨格を有する界面活性剤とを混合して混合液を調製するための第1区域、および調製された混合液を、ビタミンDに対する親和性物質と接触させて、ビタミンDを検出するための第2区域を備えるデバイス;2)サンプル、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する親和性物質を混合して、ビタミンDを検出する区域を備えるデバイス;ならびに3)サンプルと上記構成成分(例、反応液、ならびに前処理液および希釈液)との混合を可能にする流路、およびビタミンDを検出するための区域を備えるデバイスが挙げられる。
【0070】
以下、本発明の実施例を記載するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0071】
以下の実施例では、ビタミンDを測定する免疫学的方法として、25OHビタミンD2および25OHビタミンD3(以下、必要に応じて、25OHビタミンD2および25OHビタミンD3を包括して25OHビタミンDと略記する)を認識する1次抗体を用いた。したがって、以下の実施例で測定された値は、25OHビタミンD2および25OHビタミンD3の総量に対応し得る。
【0072】
【化2】
【0073】
実施例1:界面活性剤で処理されたサンプルにおける25OHビタミンDの測定
ヒト血清を、界面活性剤を含む前処理液、および界面活性剤または有機溶媒(エタノール)を含む希釈液を併用して経時的に処理し、次いで、免疫学的方法によりヒト血清中の25OHビタミンDを測定した。
【0074】
方法は、以下のとおりに行った。
1)同一のヒトから採取された同一血清(10μl)に、4倍量(40μl)の各種前処理液〔0.3%(w/v) SDS/0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.6)+0.1%(w/v) 下記界面活性剤〕を加えて、血清と前処理液との第1混合液(50μl)を調製した。第1混合液中の各成分の濃度は、次のとおりである:0.24%(w/v) SDS/0.1M トリス−HCl緩衝液+0.08%(w/v) 下記界面活性剤。
2)第1混合液を、室温(25℃)にて10分間インキュベートした。
3)インキュベートした第1混合液に、3倍量(150μl)の各種希釈液〔0.1%(w/v) BSA/0.1M トリス緩衝液(pH7.6)、0.1%(w/v) 下記界面活性剤または10%(v/v)エタノール〕を加えて、第1混合液と希釈液との第2混合液(200μl)を調製した。第2混合液中の下記界面活性剤の濃度は、0.095%(w/v)であった。
4)第2混合液と抗25OHビタミンD抗体結合磁性粒子液を等量、混合した。
5)上記4)で得られた溶液を、37℃にて10分間インキュベートした。
6)インキュベート後、磁性プレート上にてサンプル中の磁性粒子を集め、磁性粒子を3回洗浄した。
7)洗浄液を除いた磁性粒子に、アルカリホスファターゼ標識抗体(25OHビタミンDおよび抗25OHビタミンD抗体の免疫複合体に対する抗体)溶液を加えた。
8)上記7)で得られた溶液を、37℃にて10分間インキュベートした。
9)インキュベート後、磁性プレート上にて溶液中の磁性粒子を集め、磁性粒子を3回洗浄した。
10)磁性粒子を含む溶液に、発色基質(AMPPD)を加えた。
11)上記10)で得られた溶液を、37℃にて5分間インキュベートした。
12)発光カウントを、ラベルリーダー(ARVO;Perkin Elmer)で測定した。
【0075】
結果は、以下の表1に示すとおりであった。なお、表1では、界面活性剤を含まない前処理液および界面活性剤を含まない希釈液の双方で処理されたヒト血清の発光カウントを100(コントロール)とし、各種条件下で測定された発光カウントを、コントロールに対するパーセントで表示した。
【0076】
【表1】
【0077】
その結果、ステロイド骨格を有する界面活性剤であるCHAPSまたはデオキシコール酸ナトリウム(DC Na)を含む前処理液を用いて測定されたシグナル強度(発光カウント)は、ステロイド骨格を有しない界面活性剤(前処理液)を用いて測定されたものよりも高い傾向が認められた(表1)。また、ステロイド骨格を有する界面活性剤であるCHAPSまたはデオキシコール酸ナトリウム(DC Na)を含む希釈液を用いて測定されたシグナル強度(発光カウント)は、ステロイド骨格を有しない界面活性剤および有機溶媒(希釈液)を用いて測定されたものよりも顕著に高かった(表1)。したがって、ビタミンDの測定において、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む試薬を用いることで、標的物質を高感度に検出できること、特に、ステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液を用いることで、標的物質を高感度に検出できることが示された。
【0078】
実施例2:カオトロピック剤を含む前処理液、およびステロイド骨格を有する界面活性剤を含む希釈液を併用して経時的に処理されたサンプルにおける25OHビタミンDの測定
ヒト血清を、カオトロピック剤を含む前処理液、および界面活性剤または有機溶媒(エタノール)を含む希釈液を併用して経時的に処理し、次いで、免疫学的方法によりヒト血清中の25OHビタミンDを測定した。
【0079】
方法は、以下のとおりに行った。
1)同一のヒトから採取された同一血清(10μl)に、4倍量(40μl)の各種前処理液〔7.5M グアニジン塩酸塩/PB(リン酸緩衝液)(pH7.6)、0.1%(w/v)下記界面活性剤〕を加えて、血清と前処理液との第1混合液(50μl)を調製した。第1混合液中の各成分の濃度は、次のとおりである:6M グアニジン塩酸塩;0.08%(w/v)下記界面活性剤。
2)第1混合液を、室温(25℃)にて10分間インキュベートした。
3)インキュベートした第1混合液に、3倍量(150μl)の各種希釈液〔0.1%(w/v) BSA/0.1M トリス緩衝液(pH7.6)、0.1%(w/v)下記界面活性剤または10%(v/v)エタノール〕を加えて、第1混合液と希釈液との第2混合液(200μl)を調製した。第2混合液中の下記界面活性剤の濃度は、0.095%(w/v)であった。
4)以降の操作は、実施例1の4)〜12)と同じ方法により行った。
【0080】
結果は、以下の表2に示すとおりであった。なお、表2では、カオトロピック剤(グアニジン塩酸塩)を含み、かつ界面活性剤を含まない前処理液、および界面活性剤を含まない希釈液の双方で処理されたヒト血清の発光カウントを100(コントロール)とし、各種条件下で測定された発光カウントを、コントロールに対するパーセントで表示した。
【0081】
【表2】
【0082】
表2に示されるように、カオトロピック剤を含む前処理液を使用した場合であっても、デオキシコール酸ナトリウムを含む希釈液を用いて測定されたシグナル強度(発光カウント)は、有機溶媒または他の界面活性剤(Tween20)を含む希釈液を用いて測定されたものよりも高かった。したがって、本発明の方法は、前処理液の種類に特に制限されることなく、標的物質を高感度に検出できることが確認された。
【0083】
実施例3:前処理液および希釈液を併用する本発明の方法による標的物質の測定値と、既存の方法による測定値との相関係数の比較
本発明の方法による標的物質の測定精度を検証するため、前処理液および希釈液を併用する本発明の方法による標的物質の測定値と、異なる方法論を利用する既存の方法により得られた測定値との相関係数を比較した。
【0084】
3−1)本発明の方法による測定
方法は、以下のとおりに行った。なお、測定サンプルとしては、ヒト血清14サンプル、チャコール処理血清強化サンプルが1サンプルの計15サンプルを用いた。
1)血清(10μl)に、4倍量(40μl)の各種前処理液〔7.5M グアニジン塩酸塩および4mM DTT/0.1M トリス緩衝液(pH7.6) + 0.1%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム、または5%(v/v)エタノールおよび5%(v/v)DMSO〕を加えて、第1混合液を調製した。
2)第1混合液を、室温(25℃)にて10分間インキュベートした。
3)インキュベートした第1混合液に、3倍量(150μl)の希釈液〔0.1%(w/v) BSA/0.1M リン酸緩衝液(pH7.6) + 0.1%(w/v)デオキシコール酸ナトリウムまたは5%(v/v)エタノールおよび0.5%(v/v) DMSO〕を3倍量加えて、第1混合液と希釈液との第2混合液を調製した。
4)以降の操作は、実施例1の4)〜12)と同じ方法により行った。
【0085】
3−2)既存の方法による測定
異なる方法論を利用する既存の方法としては、後述するとおり、放射性物質を用いるDiaSorin−RIAを用いた。DiaSorin−RIAは、市販のキット(25−Hydroxyvitamin D 125I RIA KIT,DiaSorin製)を用いて行った。
【0086】
具体的には、DiaSorin−RIAは、以下I)およびII)のとおり行った。なお、測定サンプルとしては、上記3−1)と同じく、ヒト血清14サンプル、チャコール処理血清強化サンプルが1サンプルの計15サンプルを用いた。
I)前処理操作
a)ガラス試験管を準備する。
b)アセトニトリルを各試験管に500μlずつ分注する。
c)キャリブレーター、コントロール、またはサンプル(血清など)を50μlずつ各試験管に加える。
d)サンプル溶液を10秒間攪拌する。
e)サンプル溶液を、室温にて1200×gで10分間遠心分離する。
f)上清をサンプルとして用いる。
【0087】
II)測定操作
a)上記サンプル25μl、125I 25OHビタミンD50μlおよび抗25OHビタミンD抗体液1mlを混合する。
a)混合液を、室温にて90分インキュベートする。
b)インキュベートした混合液に、ロバ由来抗ヤギ抗体を500μl加える。
c)得られた溶液を、室温にて25分インキュベートする。
d)インキュベートした溶液に、NSB/添加緩衝液を500μl加える。
e)得られた溶液を、室温にて1800×gで20分間遠心分離する。
f)遠心分離した溶液から完全に上清を除く。
g)ガンマシンチレーションカウンターを用いて測定を行う。
【0088】
3−3)結果
デオキシコール酸ナトリウムを含む希釈液を用いる本発明の方法により得られた測定値は、Diasorin RIA法による測定値との相関性が高かった(図1、R=0.8993)。一方、エタノールおよびDMSOを含む希釈液を用いて得られた測定値は、Diasorin RIA法による測定値との相関性が低かった(図1、R=0.8327)。したがって、本発明の方法は、ビタミンDの測定に有用と考えられる。
【0089】
実施例4:界面活性剤による処理時間の検討
25OHビタミンDの高感度測定に必要とされる、界面活性剤による処理時間について検討した。
【0090】
方法は、以下のとおりに行った。
1)同一のヒトから採取された同一血清10μlに、前処理液〔Tris−HCl緩衝液(pH7.6)に、1%(w/v) デオキシコール酸ナトリウム〕を40μl加えて、攪拌による混合により血清と前処理液との第1混合液(50μl)を調製した。第1混合液中の各成分の濃度は、次のとおりである:0.8%(w/v) デオキシコール酸ナトリウム。攪拌による混合に要した時間は、約3秒であった。
2)第1混合液を、室温(25℃)にてインキュベートした(10分、5分または1分)。また、攪拌による混合のみにより調製された第1混合液を、インキュベートすることなく、次の操作に供した(インキュベート時間:0分)。
3)上記2)で得られた溶液に、希釈液〔PBS(pH7.6)に、0.1%(w/v)デオキシコール酸ナトリウムおよび0.1%(w/v) BSA〕を150μl加えて、第1混合液と希釈液との第2混合液(200μl)を調製した。第2混合液中のデオキシコール酸ナトリウムの濃度は、0.28%(w/v)であった。
4)以降の操作は、実施例1の4)〜12)と同じ方法により行った。
【0091】
結果は、以下の表3に示すとおりであった。なお、表3では、0.14%(w/v) デオキシコール酸ナトリウムを含む前処理液による10分のインキュベート時間の条件下で測定された発光カウントを100(コントロール)とし、0分、1分および5分のインキュベート時間の条件下で測定された発光カウントを、コントロールに対する割合で表示した。
【0092】
【表3】
【0093】
その結果、混合のみ(インキュベート時間:0分)でも、10分間のインキュベートした場合とほぼ同程度の相対発光カウントが得られた。このことは、上記工程1)のインキュベート操作は必ずしも必要でなく、血清と前処理液とを混合するだけで、25OHビタミンDが、血清中のDBPから解離することを示す。したがって、本発明の方法により、標的物質の測定に要する時間が短縮できることが示された。
【0094】
参考例1:既存製品を用いた前処理に要する時間
既存製品では、血清サンプルの前処理に必要とされる時間は、その使用説明書によれば、以下のとおりである。既存製品として、DiaSorin−RIA(DiaSorin社製)、DiaSorin−Liaison(DiaSorin社製)を用いた。
【0095】
【表4】
【0096】
実施例5:ステロイド骨格を有する界面活性剤、およびアニオン性、カチオン性または両性界面活性剤を用いたビタミンDの測定
ステロイド骨格を有する界面活性剤(デオキシコール酸ナトリウム)およびビタミンDに対する抗体を含む反応液で血清を処理し、次いで、免疫学的方法により血清中の25OHビタミンDを測定した。また、ステロイド骨格を有する界面活性剤および他の界面活性剤の併用効果も検討した。
【0097】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)100ng/ml強化ウマ血清3.75μlに、反応液〔Tris−HCl緩衝液(pH7.6)、0.03%(w/v)または0.1%(w/v) 下記の界面活性剤、0.04%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム、0.04%(w/v)BSA、抗25OHビタミンD抗体結合粒子液〕146.25μlを加えて、血清と反応液との混合液(150μl)を調製した。混合液中の各成分の濃度は、次のとおりである:約0.03%(w/v)または約0.1%(w/v) 下記の界面活性剤;約0.04%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム;約0.04%(w/v)BSA。
2)混合液を、37℃にて10分間インキュベートした。
3)インキュベート後、磁性プレート上にてサンプル中の磁性粒子を集め、磁性粒子を3回洗浄した。
4)洗浄液を除いた磁性粒子に、MES緩衝液中に懸濁したアルカリホスファターゼ標識抗体(25OHビタミンD−抗25OHビタミンD抗体免疫複合体に対する抗体)を加えた。
5)上記4)で得られた溶液を、37℃にて10分間インキュベートした。
6)インキュベート後、磁性プレート上にてサンプル中の磁性粒子を集め、磁性粒子を3回洗浄した。
7)洗浄液を除いた磁性粒子に、発光基質(AMPPD)液を加えた。
8)磁性粒子および発光基質を含む溶液を、37℃にて5分間インキュベートした。
9)発光カウントを、ラベルリーダー(ARVO;Perkin Elmer)で測定した。
【0098】
結果は、以下の表5に示すとおりであった。なお、表5では、上述した界面活性剤〔0.03%(w/v)または0.1%(w/v)〕を加えない条件下で測定された血清の発光カウントを100(コントロール)とし、ステロイド骨格を有する界面活性剤を加えた条件下で測定された血清の発光カウントを、コントロールに対する割合で表示した。
【0099】
【表5】
【0100】
その結果、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤のいずれもが、ステロイド骨格を有する界面活性剤(デオキシコール酸ナトリウム)との組み合わせにおいて、発光カウントを向上させる傾向が認められた。また、アニオン性界面活性剤であるデオキシコール酸ナトリウム、SDS、n−ラウロイルサルコシン、およびドデカノイルサルコシン酸、ならびにカチオン性界面活性剤であるセチルジメチルエチルアンモニウムブロミドが、発光カウントを向上させた。特に、デオキシコール酸ナトリウムが、発光カウントの顕著な向上を示した。
【0101】
また、ステロイド骨格を有する界面活性剤(デオキシコール酸ナトリウム)およびビタミンDに対する抗体の双方を含む反応液で処理されたサンプルにおいて、ビタミンDの測定に成功した(上記工程1)を参照)。このことは、ステロイド骨格を有する界面活性剤が、血清中に含まれるビタミンD結合性タンパク質からビタミンDを解離させることができるにもかかわらず、抗体によるビタミンDの検出を阻害し得ないことを示す。したがって、本発明によれば、ステロイド骨格を有する界面活性剤、およびビタミンDに対する抗体で別々にサンプルを処理するという煩雑な手法を利用するのではなく、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびビタミンDに対する抗体の双方を含む反応液を用いて、簡便にビタミンDを測定できることが示された。
【0102】
実施例6:ビタミンDの測定に対する、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有するおよび有しない界面活性剤によるサンプル処理の影響の検討
実施例5において、デオキシコール酸ナトリウムは、コール酸ナトリウムおよびCHAPSよりもシグナル強度が顕著に向上することが確認されている(表5)。ここで、デオキシコール酸ナトリウムは、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有しない界面活性剤である一方で、コール酸ナトリウムおよびCHAPSは、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有する界面活性剤である。このことより、ステロイド骨格の7位のヒドロキシル基の有無がシグナル強度に影響を与えている可能性が考えられた。そこで、ビタミンDの測定に対する、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有するおよび有しない界面活性剤によるサンプル処理の影響について検討した。
【0103】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)100ng/ml強化ウマ血清3.75μlに、反応液〔Tris−HCl緩衝液(pH7.6)、0%(w/v)、0.1%(w/v)、0.2%(w/v)または0.4%(w/v)のステロイド骨格を有する下記の界面活性剤、0.04%(w/v)BSA、抗25OHビタミンD抗体結合粒子液〕146.25μlを加えて、血清と反応液との混合液(150μl)を調製した。混合液中の各成分の濃度は、次のとおりである:0%(w/v)、約0.1%(w/v)、約0.2%(w/v)または約0.4%(w/v)のステロイド骨格を有する下記の界面活性剤;約0.04%(w/v)BSA。ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有しない界面活性剤としては、デオキシコール酸ナトリウムおよびタウロデオキシコール酸ナトリウムを用いた。一方、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有する界面活性剤としては、タウロコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、CHAPSを用いた。
2)以降の工程は、実施例5の工程2)〜9)と同じ方法により行った。
【0104】
結果は、以下の表6に示すとおりであった。なお、表6では、上述した界面活性剤〔0.1%(w/v)、0.2%(w/v)、0.4%(w/v)〕を加えない条件下で測定された血清の発光カウントを100(コントロール)とし、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有する、または有しない界面活性剤を加えた条件下で測定された血清の発光カウントを、コントロールに対する割合で表示した。
【0105】
【表6】
【0106】
その結果、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有しないデオキシコール酸ナトリウムおよびタウロデオキシコール酸ナトリウムで処理されたサンプルで測定されたシグナル強度は、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有するコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウムで処理されたサンプルで測定されたものに比し、顕著に向上した。したがって、本実施例および実施例1より、ステロイド骨格を有する界面活性剤はビタミンDの測定に有効であり、ステロイド骨格の7位にヒドロキシル基を有しない界面活性剤は、ビタミンDの測定に特に有用であることが示された。
【0107】
実施例7:ステロイド骨格を有する界面活性剤、SDSおよび抗体を含む反応液を用いたビタミンDの測定
ビタミンDの測定に対する、ステロイド骨格を有する界面活性剤およびSDSを含む反応液を用いて、ヒト血清サンプル中の25OHビタミンDを測定した。
【0108】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)異なる由来のヒト血清(#1〜16)またはチャコール処理ヒト血清(コントロール)3.75μlに、反応液〔Tris−HCl緩衝液(pH7.6)、0.14%(w/v) デオキシコール酸ナトリウム、0.015%(w/v)SDS、0.04%(w/v)BSA、および抗25OHビタミンD抗体結合粒子液〕146.25μlを加えて、血清と反応液との混合液を調製した。
2)以降の工程は、実施例5の工程2)〜9)と同じ方法により行った。また、得られた測定値を、DiaSorin−RIA法による測定値と比較した。DiaSorin−RIA法は、実施例3−2)に記載の方法により行った。
【0109】
結果は、表7および図3に示すとおりであった。なお、表7では、チャコール処理ヒト血清の発光カウントを100(コントロール)とし、測定された血清の発光カウントを、コントロールに対する割合で表示した。
【0110】
【表7】
【0111】
その結果、ステロイド骨格を有する界面活性剤、SDSおよび抗体を含む反応液を用いる本発明の方法により得られた測定値は、Diasorin RIA法による測定値との相関性が高かった(図3、R=0.9881)。したがって、本発明は、ビタミンDの測定に有用と考えられる。
【0112】
実施例8:ステロイド骨格を有する界面活性剤での処理によりビタミンD結合タンパク質およびヒト血清から放出された25OHビタミンDの測定
8−1)ステロイド骨格を有する界面活性剤による画分の処理
コントロール緩衝液(Tris−HCl)で処理したヒト血清をゲルろ過クロマトグラフィーにより溶出させて得られた画分(コントロール画分)を、抗25OHビタミンD抗体による測定に付した。また、コントロール画分をデオキシコール酸ナトリウムで処理し、抗25OHビタミンD抗体による測定に付した。
【0113】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)ヒト血清(50μl)に4倍量(200μl)の0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.8)を加えて、混合液を調製した。なお、混合液は、攪拌による混合のみ(約3秒)により調製した(即ち、インキュベート無し)。
2)ゲルろ過クロマトグラフ(GEヘルスケア:AKTA explorer)およびゲルろ過クロマトグラフィーカラム(superdex200 10/30)を用いて、0.1M Tris−HClにより混合液を溶出(0.25−1カラム容量)することで、分子量依存的な画分を得た。
3)上記2)で得られた画分と、0.4%(w/v)デオキシコール酸Na塩を含む抗25OHビタミンD抗体結合磁性粒子液とを等量、混合した(デオキシコール酸Na存在下の条件)。一方、デオキシコール酸Naの非存在下の条件については、0.4%(w/v)デオキシコール酸Na塩を含まない抗25OHビタミンD抗体結合磁性粒子液と等量、混合した。
4)以降の操作は、実施例1の5)〜12)と同じ方法により行った。
【0114】
その結果、デオキシコール酸で処理しない場合、有意な発光カウントは検出されず、25OHビタミンDを測定できなかった(図4)。一方、デオキシコール酸で処理し、25OHビタミンDを測定した場合、画分#15−#17において強い発光カウントが検出された。
【0115】
8−2)ウエスタンブロッティングによるコントロール画分中のビタミンD結合タンパク質の検出
ビタミンDの検出画分が、ビタミンD結合タンパク質の検出画分と一致するかどうかについて検討した。
【0116】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)コントロール画分(上記8−1で得られた画分)、30μl)に、その1/3倍量 (10μl)のNuPAGE LSDサンプルバッファー(invitrogen)、終濃度1mMのDTTを加えて、混合液を調製した。
2)混合液を、100℃の超純水にて、5分間ボイルした。
3)得られた溶液を4−10%アクリルアミドゲルにアプライした。
4)200Vの電圧を25分間かけ、SDS−PAGEを実施した。
5)得られたゲルを、iBlot(invitrogen)を利用してPVDF膜へ転写した。
6)転写膜を5%スキムミルク溶液中へ入れ、室温で1時間振とうした。
7)溶液をPBStに交換し、転写膜を5分間振とうし、洗浄を行った。
8)上記洗浄操作を、さらに二回繰り返した。その後、溶液を5%スキムミルク溶液に交換した。
9)一次抗体として抗ヒトビタミンD結合タンパク質抗体(Abcam)を1μg/mlになるよう5%スキムミルク溶液に加え、転写膜を4℃で一晩振とうした。
10)溶液をPBStに交換し、転写膜を5分間振とうし、洗浄を行った。
11)上記洗浄操作を、さらに二回繰り返した。その後、溶液を5%スキムミルク溶液に交換した。
12)二次抗体として抗マウスIg抗体−HRPを1000倍希釈になるように5%スキムミルク溶液に加え、室温で1時間振とうした。
13)溶液をPBStに交換し、5分間振とうし、洗浄を行った。
14)上記洗浄操作を、さらに二回繰り返した。その後、PBStを超純水に交換した。
15)転写膜を、超純水にて1回すすいだ。
16)溶液を発光基質(ECL select;GEヘルスケア)に交換した。
17)LAS3000 MINWIN(FUJIFILM)にて転写膜の撮影を実施した。
【0117】
その結果、ビタミンD結合タンパク質が検出された画分#15−17は実施例8−1において25OHビタミンDが検出された画分と一致していた(図5)。したがって、0.1M Tris−HClで処理および溶出した場合、25OHビタミンDはビタミンD結合タンパク質と結合した状態で回収されることが示唆された。
【0118】
8−3)ステロイド骨格を有する界面活性剤によるビタミンD結合タンパク質からのビタミンDの解離
デオキシコール酸での処理により、ヒト血清中の25OHビタミンDが遊離するかどうかについて検討した。
【0119】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)ヒト血清または143ng/ml 25OHビタミンD添加1%BSA−PBS溶液(50μl)に、4倍量(200μl)の0.4%(w/v)デオキシコール酸溶液を加えて、混合液を調製した。なお、混合液は、攪拌による混合のみ(約3秒)により調製した(即ち、インキュベート無し)。
2)ゲルろ過クロマトグラフ(GEヘルスケア:AKTA explorer)およびゲルろ過クロマトグラフィーカラム(superdex200 10/30)を用いて、0.4%デオキシコール酸溶液により溶出することで、分子量依存的な画分を得た。次いで、カラム容量の0.25〜1を回収した。
3)上記処理を行ったサンプルとデオキシコール酸を含まない抗25OHビタミンD抗体結合磁性粒子液を等量、混合した。
4)以降の操作は、実施例1の5)〜12)と同じ方法により行った。
【0120】
その結果、実施例8−1)のビタミンD結合タンパクが検出された画分#15−17よりも分子量の小さい画分#22−28から25OHビタミンDが検出された(図6)。デオキシコール酸で溶出した際に25OHビタミンDが検出された画分#22−28は、フリーの25OHビタミンDが溶出された画分#22−28と同じであったことから(図6)、デオキシコール酸での処理により、ヒト血清中の25OHビタミンDが遊離することが示唆された。
【0121】
8−4)ステロイド骨格を有する界面活性剤での処理による、ビタミンD結合タンパク質および血清からの25OHビタミンDの放出
25OHビタミンDが、ステロイド骨格を有する界面活性剤での処理により、ビタミンD結合タンパク質および25OHビタミンD3の複合体から放出されるかどうかについて検討した。
【0122】
具体的には、方法は、以下のとおりであった。
1)表8に示されるとおり、サンプルを調製した。具体的には、精製ビタミンD結合タンパク質(Abcam) 1.64mg/ml(+または−) 17.2μlに25OHビタミンD3(Tronto chemical reagent) 1mg/ml(+または−)を2.82μl加えてサンプルを調製し、次いで得られたサンプルを10minインキュベートした。
2)上記サンプル3.75μlに、表8に示される溶液(pH7.6 Tris−HCl緩衝液、0.138%(w/v) デオキシコール酸ナトリウム塩+0.038% BSA+抗25OHビタミンD抗体結合粒子液)146.25μlを加えて、混合液を調製した。
3)以降の操作は、実施例1の5)〜12)と同じ方法により行った。
【0123】
【表8】
【0124】
その結果、市販の精製ビタミンD結合タンパク質および25OHビタミンD3を用いてビタミンD結合タンパク質および25OHビタミンD3の複合体が形成された場合、25OHビタミンD3は検出できなかった(図7および表8の番号2を参照)。一方、デオキシコール酸で処理した場合、25OHビタミンD3を測定できた(図7および表8の番号3を参照)。この場合の測定カウントは、番号1の測定カウントの88%であった(図7および表8)。
【0125】
以上より、ステロイド骨格を有する界面活性剤での処理により、ビタミンD結合タンパク質および25OHビタミンDの複合体から25OHビタミンDが放出されること、および放出された25OHビタミンDを高感度に測定できることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の方法およびキットは、ビタミンDの測定に有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7