(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する教示治具、ロボット、教示システムおよび教示方法を詳細に説明する。ここで、教示システムは、以下に示す搬送システムに、教示治具を適用したシステムである。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「平行」や、「垂直」、「鉛直」、「正面」、「中心」、「対称」といった表現を用いる場合があるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
まず、実施形態に係る搬送システム1の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、搬送システム1の概要を示す上面模式図である。なお、
図1には、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸、搬送室50の長辺に沿った向きをX軸、搬送室50の短辺に沿った向きをY軸とする3次元の直交座標系を示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0013】
図1に示すように、搬送システム1は、搬送室50と、ロボット10と、カセット200とを備える。搬送室50は、いわゆるEFEM(Equipment Front End Module)であり、清浄なダウンフローの気流を内部に流す局所クリーン化された筐体である。
【0014】
また、搬送室50は、たとえば、同図のX軸方向を長辺とする矩形状であり、正面側の側壁である正面側壁51には、複数のカセット200が並べて設置される。なお、背面側の側壁である背面側壁52や、短辺(同図のY軸に沿う辺)、短辺の内側にも、基板100の処理室が設けられる場合があるが、同図では、かかる処理室の記載を省略している。
【0015】
ここで、カセット200を設置するために正面側壁51に設けられる開口の位置や大きさ、間隔といった寸法は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。また、上記したカセット200における各種寸法についても、SEMI規格に準拠している。
【0016】
ロボット10は、搬送室50内に設置されており、本体部10a、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13を有するいわゆる3リンクの水平多関節ロボットである。また、同図では、ハンド13で保持される基板100の中心に相当する位置である基準位置13Cと、ハンド13の向きを示すハンド中心線13CLとを併せて示している。なお、ロボット10およびハンド13の構成の詳細については、
図2および
図3を用いて後述する。
【0017】
カセット200は、いわゆるFOUP(Front-Opening Unified Pod)であり、基板100を多段に収納する機器である。基板100は、
図1に示す収納位置200Cに中心がくるように収納される。なお、同図には、カセット200における搬送室50側の面である前面に垂直な線のうち、上記した収納位置200Cを通る線を、収納中心線200CLとして示している。
【0018】
また、
図1に示すように、カセット200は、搬送室50における正面側壁51に並べて配置される。なお、同図では、カセット200a,200b,200c,200d,200eの5つのカセット200を搬送室50に配置する場合を示している。
【0019】
このように、奇数個のカセット200が配置される場合、各カセット200へのアクセスの効率化の観点から、ロボット10は、真ん中のカセット200(
図1では、カセット200c)の正面に配置される。
【0020】
そして、搬送室50の奥行き(同図のY軸に沿う幅)を小さくするために、ロボット10は、同図のY軸に沿う向きについて、正面側壁51寄りに設置される。このようにすることで、第1アーム11をはじめとする各リンクの長さを背面側壁52に接触しない範囲内で可能な限り長くすることができる。
【0021】
なお、同図には、ロボット10の最小旋回範囲11aを参考のため示しているが、かかる最小旋回範囲11aぎりぎりまで背面側壁52を寄せることで、搬送室50のフットプリントを小さくすることができる。
【0022】
ところで、従来、カセット200に対する基板100の搬送をロボット10に行わせる場合、ハンド13を正面側壁51、すなわち、カセット200の前面に対して垂直にした姿勢で、基板100をカセット200に対して搬送することが一般的に行われている。
【0023】
また、ハンド13を、カセット200の前面に対して斜めにした姿勢で基板100をカセット200に対して搬送することも行われているが、基板100を収納位置200Cに載置する際には、ハンド13を、カセット200の前面に対して垂直にすることが一般的である。
【0024】
しかしながら、
図1に示した場合における両端のカセット200a,200eのように、ロボット10から遠い位置にあるカセット200の場合、第1アーム11および第2アーム12を伸びきった姿勢としたとしても、ハンド13を、正面側壁51に対して垂直にすることはできない。
【0025】
このため、仮に、ハンド13を、正面側壁51に対して垂直にして、これらのカセット200a,200eへアクセスしようとするならば、第1アーム11などの各リンクのリンク長を長くしたり、リンク数を増やしたりする必要がある。しかし、リンク長を長くしたり、リンク数を増やしたりすると、ロボット10の製造コスト等のコストが増加し、好ましくない。
【0026】
そこで、本実施形態に係る搬送システム1は、両端のカセット200a,200eに対しては、ハンド中心線13CLを収納中心線200CLよりもロボット10側に傾けた状態で、収納位置200Cまでロボット10に基板100を搬送させることとした。
【0027】
なお、
図1では、収納位置200Cと、ハンド13の基準位置13Cとが重なった状態、すなわち、基板100が収納位置200Cに搬送された状態を示している。かかる搬送を、以下では、「斜め搬送」という場合がある。ここで、かかる斜め搬送において、ハンド中心線13CLと、収納中心線200CLとのなす角度を、以下では、「傾斜角α」ということとする。
【0028】
一方、搬送システム1は、残りのカセット200b,200c,200dに対しては、ハンド中心線13CLを収納中心線200CLに重ねた状態で、収納位置200Cまでロボット10に基板100を搬送させることとした。なお、
図1では、参考のため、カセット200bに対するハンド13の姿勢を破線で示している。かかる搬送を、以下では、「垂直搬送」という場合がある。
【0029】
このように、搬送システム1は、「斜め搬送」と「垂直搬送」とをカセット200ごとに切り替えることで、コストを増加させることなく効率的に基板100を搬送することができる。なお、
図1では、両端のカセット200a,200eそれぞれと、ロボット10との距離が同等である場合を示したが、かかる距離が異なる場合には、両端のカセット200のうち遠いほうについて、上記した斜め搬送を行うこととすればよい。
【0030】
たとえば、
図1に示したカセット200a,200b,200c,200dの4つのカセット200を搬送室50に配置し、一方の端から2番目のカセット200cの正面にロボットを配置した場合、他方の端にあるカセット200aに対して斜め搬送を行うこととすればよい。
【0031】
また、たとえば、
図1に示したカセット200b,200c,200dの3つのカセット200を搬送室50に配置し、真ん中のカセット200cの正面にロボットを配置した場合、両端のカセット200b,200dに対して斜め搬送を行うこととすればよい。
【0032】
なお、斜め搬送の対象とするカセット200は、両端のカセット200に限らず、ロボット10からの距離に応じて適宜、決定することとすればよい。すなわち、両端以外のカセット200についても斜め搬送の対象とすることができる。
【0033】
たとえば、
図1に示したカセット200b,200c,200dに対して斜め搬送を行うこととしてもよい。なお、カセット200の数が
図1に示した数と異なる場合も同様である。また、このように、カセット200の数がいくつの場合であっても、共通の短辺長さの搬送室50を用いることができ、また、共通のロボット10を用いることができる。
【0034】
ところで、上記した傾斜角αは、ロボット10やカセット200のレイアウトに基づいて理想的な値を予め算出することができる。しかしながら、設計誤差や配置誤差がある場合には、傾斜角αが理想的な値からずれてしまう。
【0035】
このため、本実施形態に係る搬送システム1では、ロボット10に対して動作の教示を行う段階で、かかるずれを補正するための教示治具を用いることとした。かかる教示治具の詳細については、
図6A等を用いて後述することとする。
【0036】
次に、ロボット10の構成について
図2を用いて説明する。
図2は、ロボット10の斜視図である。同図に示すように、ロボット10は、本体部10aと、昇降軸10bと、第1アーム11と、第2アーム12と、ハンド13とを備える。なお、
図2には、2つのハンド13を備えるロボット10を例示しているが、ハンド13は1つとしてもよい。
【0037】
本体部10aは、搬送室50(
図1参照)の床面等に固定され、昇降軸10bを昇降させる昇降機構(図示せず)を内蔵する。昇降軸10bは、第1アーム11の基端部を第1軸A1まわりに旋回可能に支持するとともに、第1軸A1に沿って昇降する。なお、昇降軸10b自体を第1軸A1まわりに回転させることとしてもよい。
【0038】
第1アーム11は、第2アーム12の基端部を第2軸A2まわりに旋回可能に先端部で支持する。第2アーム12は、2つのハンド13の基端部を第3軸A3まわりにそれぞれ独立して旋回可能に先端部で支持する。つまり、ハンド13は、同軸配置される回転機構(図示せず)によって、それぞれ独立して旋回する。
【0039】
このように、ロボット10は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の3リンクの水平多関節ロボットである。また、ロボット10は、上記したように、昇降機構を有しているので、カセット200内に多段配置される基板100に対してそれぞれアクセスすることができる。
【0040】
さらに、ロボット10は、たとえば、カセット200と異なる高さに配置される処理室(図示せず)や、基板100の向きを整えるアライナ(図示せず)にアクセスすることもできる。
【0041】
次に、ハンド13について
図3を用いてさらに詳細に説明する。
図3は、ハンド13の上面模式図である。なお、
図3以降では、説明をわかりやすくするために、1つのハンド13のみを示すこととする。
【0042】
図3に示すように、ハンド13は、基部13aと、フォーク部13bとを備える。基部13aの基端側は、第3軸A3まわりに旋回可能に第2アーム12(
図2参照)によって支持される。フォーク部13bは、基部13aの先端側に設けられ、先端側が二股にわかれている。
【0043】
そして、二股にわかれたフォーク部13bの各先端側には、カセット200における基板100の収納状態の検査に用いられるセンサ13cが設けられる。ここで、センサ13cは、たとえば、光学センサであり、一方が投光部13ca、他方が受光部13cbである。受光部13cbは、投光部13caが発した光を検出する。センサ13cは、かかる光が基板100によって遮られるか否かを検知する。
【0044】
また、
図3に示すように、ハンド13によって保持される基板100の中心に対応する位置は、ハンド13の基準位置13Cである。そして、たとえば、第3軸A3と基準位置13Cとを結ぶ線が、ハンド13の向きを示すハンド中心線13CLである。
【0045】
なお、ハンド中心線13CLは、ハンド13の向きを示すものであれば足りる。たとえば、第3軸A3のかわりに設定されるハンド13上の任意の位置と、ハンド13上の任意の基準位置13Cとを結ぶ線をハンド中心線13CLとすることとしてもよい。
【0046】
ここで、ハンド13は、基板100や、後述する第1治具110(
図6A参照)を把持する把持機構を備えるものとする。また、ハンド13は、把持機構のかわりに吸着機構などの保持機構を備えることとしてもよい。
【0047】
次に、カセット200の排除領域について
図4を用いて説明する。
図4は、カセット200の排除領域201を示す上面模式図である。なお、排除領域201の形状や大きさは、上記したSEMI規格で定められているため、ここでの説明を省略する。また、
図4には、
図1に示した収納位置200C、収納中心線200CLおよび収納された基板100、カセット200における搬送室50(
図1参照)側の面である前面200Fを併せて示している。
【0048】
図4に示すように、排除領域201は、収納中心線200CLについて線対称の形状を有している。かかる排除領域201は、基板100を保持する多段の支持具が配置される領域に対応しており、排除領域201に対するハンド13(
図3参照)の侵入は、SEMI規格によって禁じられている。
【0049】
つまり、基板100をカセット200に対して斜め搬送する場合、ハンド13が排除領域201に侵入することなく基板100を収納位置200Cまで搬送するように、ロボット10に対する教示を行うことになる。
【0050】
次に、ロボット10(
図2参照)の動作制御を行うロボットコントローラ20について
図5を用いて説明する。
図5は、ロボットコントローラ20のブロック図である。同図には、ロボットコントローラ20に接続されるいわゆるペンダント等の端末装置である入力装置30を併せて示している。なお、以下では、ロボットコントローラ20および入力装置30をまとめてロボットコントローラ20という場合もある。
【0051】
図5に示すように、ロボットコントローラ20は、制御部21と、記憶部22とを備える。制御部21は、生成部21aと、切替部21bと、動作制御部21cとを備える。また、記憶部22は、教示情報22aを記憶する。
【0052】
ここで、ロボットコントローラ20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0053】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部21の生成部21a、切替部21bおよび動作制御部21cとして機能する。
【0054】
また、制御部21の生成部21a、切替部21bおよび動作制御部21cの少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0055】
また、記憶部22は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、教示情報22aを記憶することができる。なお、ロボットコントローラ20は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0056】
また、入力装置30は、入力部31と、受付部32とを備える。なお、入力装置30も、ロボットコントローラ20と同様に、コンピュータや各種の回路にて構成することができる。
【0057】
ロボットコントローラ20の制御部21は、ロボット10の教示情報22aを生成するとともに、かかる教示情報22aに基づいてロボット10の動作制御を行う。
【0058】
生成部21aは、入力装置30の入力部31から入力された情報に基づき、ハンド13の移動軌跡をはじめとするロボット10の動作を規定する教示情報22aを生成する。ここで、入力装置30の入力部31は、上記した傾斜角αや、傾斜角αに対する補正値を受け付けるタッチパネルディスプレイやテンキーといった入力デバイスである。また、かかる入力部21は、後述する余裕角β(
図9B等参照)の入力も受け付ける。
【0059】
なお、生成部21aは、ロボット10に対する収納位置200Cの教示結果に基づき、後述する中間位置P1(
図9B参照)、待機位置P2(
図9C参照)を自動的に生成するが、この点については、
図9A〜9Cを用いて後述することとする。
【0060】
切替部21bは、入力装置30の受付部32が受け付けた情報に基づき、ハンド13(
図3参照)上に設定される座標系の切り替えを行う。ここで、入力装置30の受付部32は、座標系の切り替えを受け付けるタッチパネルディスプレイや切替ボタンといった入力デバイスである。なお、かかる座標系の切り替えの詳細については、
図11を用いて後述する。
【0061】
動作制御部21cは、生成部21aによって生成され、記憶部22に記憶された教示情報22aに基づいてロボット10における各軸に対応するアクチュエータ(図示せず)に指示することで、ロボット10に基板100の搬送を行わせる。また、動作制御部21cは、アクチュエータにおけるエンコーダ値を用いてフィードバック制御を行うなどしてロボット10の動作精度を向上させる。
【0062】
教示情報22aは、ロボット10へ動作を教示するティーチング段階で生成部21aによって生成され、ハンド13の移動軌跡をはじめとするロボット10の動作を規定するプログラムである「ジョブ」を含んだ情報である。なお、大まかな教示情報22aを、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータで生成して記憶部22に記憶させておき、かかる教示情報22aを修正していくこととしてもよい。
【0063】
この場合、大まかな教示情報22aを、ロボット10、搬送室50、カセット200の位置関係に基づいて生成しておく。そして、かかる教示情報22aに基づいてロボット10を動作させつつ、入力装置30を用いて操作者がロボット10の動作に修正を加えることで、上記した生成部21aが、最終的な教示情報22aを生成することになる。
【0064】
ところで、上記したように、ロボット10に対して動作軌跡を教示する場合、所望する傾斜角αで斜め搬送を行うように教示する。しかし、実際には、搬送室50やロボット10等の設置誤差等によって、斜め搬送におけるハンド13のカセット200に対する角度が、所望する傾斜角αからずれることがある。
【0065】
そこで、本実施形態に係る搬送システム1では、かかるずれを正確に検出することができるように、教示治具を用いることとした。かかる教示治具は、ロボット10のハンド13によって基板100のかわりに搬送される第1治具110と、カセット200のかわりに搬送室50に設置される第2治具120とを含む。
【0066】
以下では、第1治具110については
図6A〜
図6Cを、第2治具120については
図7A〜
図7Cを、それぞれ用いて詳細に説明することとする。
【0067】
まず、第1治具110について
図6A〜
図6Cを用いて説明する。
図6Aは、第1治具110の上面模式図である。また、
図6Bは、第1治具110の変形例その1を示す図であり、
図6Cは、第1治具110の変形例その2を示す図である。
【0068】
図6Aに示すように、第1治具110は、基板100を模した形状を有しており、ノッチ110Aの中心と、第1治具110の中心110Cとを通る中心線110CL上に、第1目印111を有する。第1目印111は、目視可能な大きさや形状、色であることが好ましい。なお、第1目印111をセンサで検出する場合には、センサが検出可能な大きさや形状、色であればよい。なお、ノッチ110Aは、基板100の向きを合わせるために用いられる切り欠き形状である。
【0069】
ここで、ハンド13(
図3参照)は、ノッチ110Aが基部13a側で、ハンド中心線13CLと、第1治具110の中心線110CLとが重なるように、第1治具110を保持して搬送する。つまり、上記した第1目印111は、ハンド中心線13CL上にある。したがって、第1目印111は、ハンド13の向きを示すことになる。
【0070】
なお、
図6Aでは、第1目印111が、ノッチ110Aとは反対側の外周部にある場合を示したが、
図6Aに示したように外縁に達している必要はない。すなわち、後述する第2治具210の第2目印214(
図7B参照)と対比可能であれば、外縁に達している必要はなく、さらには、内周側にあってもよい。
【0071】
また、第1目印111は、
図6Aに示した線分状に限らず、点状や、三角形等のマークであってもよい。さらに、第1目印111は、ノッチ110Aまで達する線状であってもよい。なお、
図6Aに示した中心110Cを、第1目印111と同様に目視可能な目印としてもよい。
【0072】
図6Bには、第1治具110の変形例その1である第1治具110aを示している。このように、第1目印111を、中心110C(
図6A参照)を通る放射線状とし、所定の角度ごとに複数設けることとしてもよい。なお、
図6Bには、第1目印111を30度ごとに設ける場合を示したが、かかる角度は任意の角度とすることができる。また、
図6Aに示した第1目印111に対応する位置の線を、他の線と異なる太さや色としてもよい。
【0073】
図6Cには、第1治具110の変形例その2である第1治具110bを示している。このように、第1目印111を、
図6Aに示したノッチ110Aのかわりに設けることとしてもよい。なお、
図6Cでは、第1治具110bにおける中心線110CL上の外周部に2つの第1目印111を設ける場合を示したが、両者を結ぶ線や破線としてもよい。
【0074】
すなわち、第1治具110がハンド13に保持された状態でハンド13の向きを示すものであり、後述する第2治具210の第2目印214(
図7B参照)と対比可能であれば、その形状や位置は任意のものとすることができる。
【0075】
また、
図6Aや
図6Bに示したノッチ110Aは、いわゆるオリフラであってもよく、
図6Cに示すように省略することとしてもよい。また、本実施形態では、第1治具110をハンド13が保持して搬送する場合について説明するが、第1治具110を、ハンド13に固定することとしてもよい。
【0076】
次に、第2治具210について
図7A〜
図7Cを用いて説明する。
図7Aは、第2治具210の斜視図であり、
図7Bは、第2治具210の上面模式図である。また、
図7Cは、第2治具210の変形例を示す図である。
【0077】
ここで、第2治具210は、上記した斜め搬送を行うカセット200のかわりに搬送室50(
図1参照)に設置される。なお、以下では、第2治具210が、
図1に示したカセット200eのかわりに設けられる場合について説明することとする。
【0078】
図7Aに示すように、第2治具210は、一対の側壁211と、各側壁211を結ぶ底壁212とを備える。なお、同図に示すように、第2治具210の上方は開放されている。これは、ロボット10の教示を行う操作者が、第1治具110や第2治具210を目視しやすいようにするためである。
【0079】
また、各側壁211の内面(収納中心線200CL側の面)は、
図4に示した排除領域201を模した形状である。このようにすることで、排除領域201にハンド13が侵入しない移動軌跡を教示することが容易となる。
【0080】
底壁212には、第2目印214を有する、たとえば、基板100と同径の円弧状の領域213が設けられる。このように、領域213を基板100と同径の円弧状とすることで、基板100の外縁と、領域213との位置合わせを行いやすい。ここで、領域213は、底壁212に固定されるプレート等の部品でもよいし、底壁212に設けられる模様であってもよい。なお、領域213を底壁212に対して脱着可能な部品とすることで、対応するカセット200の位置に応じて第2目印214の位置を変更することが容易となる。
【0081】
かかる領域213および第2目印214について
図7Bを用いてさらに詳細に説明する。なお、
図7Bには、
図6Aに示した第1治具110が、所望の傾斜角αで収納位置200Cまでハンド13によって搬送された状態を示している。
【0082】
図7Bに示すように、第2治具210の第2目印214は、所望の傾斜角αで搬送された第1治具110の第1目印111と対向する位置に設けられる。つまり、第2目印214は、第1目印111と対比するために第2治具210における所定の位置に設けられることから、第2目印214は、第2治具210の向き、すなわち、カセット200の向きを示すことになる。
【0083】
ここで、
図7Bに示すように、領域213が第1治具110の外縁に沿う位置に設けられる。このようにすることで、基板100が収納位置200Cに達したことを容易に判別しやすい。なお、領域213の一部が第1治具110に隠れる位置に領域213を設けることとしてもよく、領域213を第1治具110の外縁から外側に離れた位置に設けることとしてもよい。
【0084】
図7Bに示した位置に第2目印214を設けることで、ハンド13が所望の傾斜角αで収納位置200Cに達したことを正確かつ容易に確認することが可能となる。すなわち、第1治具110の中心線110CLと、収納中心線200CLとのなす角が傾斜角αとなっているか否かを正確かつ容易に確認することができる。
【0085】
図7Cには、第2治具210の変形例である第2治具210aを示している。同図に示すように、領域213には、上記した第2目印214を収納中心線200CLについて対称な位置に2つ設けている。このようにすることで、たとえば、
図1に示したカセット200aにおける教示にも第2治具210aを用いることができる。
【0086】
また、
図7Cでは、これらの第2目印214に加えて第3目印215が設けられている。ここで、第3目印215は、収納中心線200CLと重なる位置に設けられる。このように、第3目印215を設けることで、ハンド13の基準位置13Cが、収納中心線200CL上にあるか否かの確認が容易となる。
【0087】
なお、
図7Cに示すように、領域213には、たとえば、分度器のような目盛り216を設けることとしてもよい。このようにすることで、所望する傾斜角αからのずれ角を確認することができる。そして、かかるずれ角を、たとえば、
図5に示した入力部31から入力することで、ずれ角の補正を容易に行うことができる。
【0088】
なお、
図7Cでは、第2目印214および第3目印215と、目盛り216とを別符号で示したが、第2目印214および第3目印215を目盛り216の一部として構成することとしてもよい。たとえば、等間隔の目盛り216のうちいずれかを第2目印214や第3目印215とすることとすればよい。
【0089】
また、
図7Cに示すように、収納中心線200CLに沿って複数の領域213を設けることとしてもよい。このようにすることで、収納位置200Cに近づいてくる、または、遠ざかっていくハンド13の移動軌跡を容易に確認することができる。なお、
図7Cには、領域213を3つ設ける場合を示しているが、領域213の個数は1つ以上の任意の数とすることができる。
【0090】
次に、上記した斜め搬送の対象となるカセット200(たとえば、カセット200e)に対する教示手順について
図8Aおよび
図8Bを用いて説明する。
図8Aは、斜め搬送の対象となるカセット200に対する教示手順その1を示す図であり、
図8Bは、同じくその2を示す図である。なお、以下では、操作者が
図5に示した入力装置30を用いてハンド13の位置を微調整しながら、教示の対象となるカセット200の教示を行う場合について説明する。
【0091】
また、
図8Aおよび
図8Bでは、第1治具110はハンド13に保持されており、第2治具210は教示の対象となるカセット200のかわりに搬送室50に設置されているものとする。
【0092】
図8Aに示すように、第1治具110は、第1治具110の中心線110CLがハンド中心線13CLと重なるように、ハンド13によって保持される。操作者は、ハンド13の基準位置13Cがカセット200の収納中心線200CL上にくるようにX軸方向の位置を微調整する。そして、ハンド13の第2治具210に対する角度を保ったまま、Y軸の負方向に沿った向き801へハンド13を移動させる。
【0093】
そして、
図8Bに示すように、領域213の内周側に第1治具110の外縁が達する位置までハンド13を移動させることで、ハンド13の基準位置13Cと、収納位置200Cとが一致する。すなわち、ハンド13は、収納位置200Cに達したことになる。
【0094】
ここで、
図8Bに示すように、第1治具110の第1目印111と、第2治具210の第2目印214とにずれがある場合には、ハンド13と第2治具210とが理想的な位置関係からずれていることをあらわしている。
【0095】
この場合、操作者は、ハンド13を、基準位置13Cまわりに、第1目印111と、第2目印214とが対向するまで、同図に示す向き802へ回転させる。このようにすることで、第2治具210に対するハンド13の角度は、所望の傾斜角α(
図7B参照)となる。
【0096】
そして、この状態で、操作者は、入力装置30を介してハンド13の現在の位置および姿勢を、ロボットコントローラ20に記憶させる。このようにすることで、斜め搬送の対象となるカセット200の収納位置200Cを、ロボット10に教示することができる。
【0097】
なお、ハンド13を第3軸A3まわりではなく、基準位置13Cまわりに回転させることで、ハンド13と、カセット200(排除領域201含む)とが干渉しにくくなるので、教示作業を容易に行うことができる。
【0098】
次に、
図5に示したロボットコントローラ20の生成部21aが、ロボット10に対する収納位置200Cの教示結果に基づき、中間位置P1および待機位置P2を生成する処理の詳細について
図9A〜
図9Cを用いて説明する。
【0099】
図9Aは、収納位置200Cの教示が完了した状態を示す図である。また、
図9Bは、収納位置200Cに基づいて生成される中間位置P1を示す図であり、
図9Cは、同じく待機位置P2を示す図である。なお、
図9A〜
図9Cでは、教示対象となるカセット200がカセット200e(
図1参照)である場合について説明する。
【0100】
図9Aに示すように、収納位置200Cの教示が完了した状態では、ハンド13の基準位置13Cは、カセット200eの収納位置200Cに一致している。また、ハンド13のハンド中心線13CLと、カセット200eの収納中心線200CLとのなす角度は、傾斜角αである。
【0101】
図9Bに示すように、生成部21aは、
図9Aのハンド13の位置および姿勢に基づき、中間位置P1を生成する。具体的には、
図9Bに示すように、生成部21aは、収納位置200Cを、Y軸の正方向へあらかじめ定められたシフト量Y1だけシフトした位置を、中間位置P1とする。
【0102】
また、生成部21aは、ハンド13の傾斜角αに対してあらかじめ定められた余裕角βを加えた姿勢を、中間位置P1におけるハンド13の姿勢として生成する。すなわち、中間位置P1におけるハンド中心線13CLと収納中心線200CLとのなす角度は、「傾斜角α+余裕角β」である。
【0103】
ここで、余裕角βは、中間位置P1において、ロボット10の第1アーム11と、第2アーム12とが伸びきった姿勢とならない、すなわち、
図2に示した第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3が一直線上とならない角度である。
【0104】
ここで、余裕角βを傾斜角αに加えると、ハンド13は、ロボット10側に傾くことになる。中間位置P1においてハンド13がこのような姿勢をとることで、
図9Bにおける搬送室50の右上部分を避けた動作が可能になる。たとえば、搬送室50の右上部分に障害物や処理室が設けられる場合、余裕角βを、これらの設置領域を避けることが可能な値とすればよい。
【0105】
なお、教示が完了したロボット10が実際に動作する際には、収納位置200Cと中間位置P1との間で、ハンド13は、基準位置13Cまわりに余裕角βだけ回転しながら、基準位置13CをY軸に沿ってY1だけ移動する。
【0106】
このように、ハンド13を動作させるために、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13は協調動作する。なお、かかる協調動作は、ロボットコントローラ20の動作制御部21cからの指示に基づいて行われる。
【0107】
なお、搬送室50のY軸方向の奥行きが広く、ロボット10のアーム長に余裕がある場合や、上記した障害物等の設置領域を考慮する必要がない場合には、
図9Bに示した中間位置P1の生成を省略することとしてもよい。
【0108】
図9Cに示すように、生成部21aは、
図9Aのハンド13の位置および姿勢に基づき、待機位置P2を生成する。具体的には、
図9Cに示すように、生成部21aは、収納位置200Cを、X軸の負方向へあらかじめ定められたシフト量X2だけシフトし、Y軸の正方向へあらかじめ定められたシフト量Y2だけシフトした位置を、待機位置P2とする。
【0109】
また、生成部21aは、
図9Bに示した中間位置P1におけるハンド13の姿勢と同じ姿勢を、待機位置P2におけるハンド13の姿勢として生成する。すなわち、待機位置P2におけるハンド中心線13CLと収納中心線200CLとのなす角度は、中間位置P1と同じく「傾斜角α+余裕角β」である。
【0110】
ここで、待機位置P2とは、基板100を保持したハンド13を、基板100を搬送室50の内壁などの障害物と干渉させることなく旋回させることができる位置のことを指す。なお、教示が完了したロボット10が実際に動作する際には、中間位置P1と待機位置P2との間で、ハンド13は、搬送室50に対するハンド中心線13CLの向きを保ったまま移動する。
【0111】
ところで、生成部21aは、上記した中間位置P1および待機位置P2を生成する際に、これらの位置が所定の条件を満たした場合には、エラーやワーニングなどの報知を行う。具体的には、中間位置P1や待機位置P2において、
図2に示したロボット10の第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3の回転角を算出し、これらの回転角が所定の回転許容範囲にあるか否かを判定する。
【0112】
そして、第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3の回転角のうちいずれかが、上記した回転許容範囲にない場合には、エラーやワーニングなどの報知を行うとともに、中間位置P1や待機位置P2の生成を中止する。
【0113】
このように、中間位置P1や待機位置P2の生成が中止された場合には、操作者は、
図9Bや
図9Cに示したY1、X2、Y2といったシフト量を変更した値を、入力装置30の入力部31などから再入力する。そして、生成部21aは、再入力された値に基づいて中間位置P1や待機位置P2を再生成することになる。
【0114】
なお、上記したエラーやワーニングなどの報知は、入力装置30の上記したタッチパネルディスプレイに表示することとしてもよいし、音声や光の点滅などを行う図示しない警告デバイスによって行うこととしてもよい。かかる警告デバイスは、入力装置30上に設けることとしてもよいし、操作者の作業エリア等に設けることとしてもよい。
【0115】
次に、
図5に示したロボットコントローラ20の生成部21aが、ロボット10に対する収納位置200Cの教示結果に基づき、マッピング位置P3を生成する処理の詳細について
図10を用いて説明する。
【0116】
図10は、収納位置200Cに基づいて生成されるマッピング位置P3を示す図である。なお、
図10では、教示対象となるカセット200がカセット200e(
図1参照)である場合について説明する。また、
図10では、
図4に示した排除領域201を併せて示している。
【0117】
図10に示すように、生成部21aは、
図9Aに示したハンド13の位置および姿勢に基づき、マッピング位置P3を生成する。具体的には、
図10に示すように、生成部21aは、ハンド13を収納位置200Cまわりに角度aだけ回転させ、収納位置200Cからシフト量Rだけハンド13を引いた位置を、マッピング位置P3とする。
【0118】
ここで、角度aは、ロボット10の第1アーム11と、第2アーム12とが伸びきった姿勢とならない、すなわち、
図2に示した第1軸A1、第2軸A2および第3軸A3が一直線上とならない角度である。なお、角度aを、
図9Aに示した傾斜角αと同じにしてもよい。
【0119】
シフト量Rは、ハンド13が、収納位置200Cに収納された基板100に干渉せず、かつ、
図3に示したセンサ13cが基板100を検知可能な位置となるように調整された値である。
【0120】
ここで、仮に、角度aおよびシフト量Rを適用すると、ハンド13が排除領域201に干渉する場合には、ハンド13を第3軸A3まわりに反時計回りに角度bだけ回転させる。これにより、排除領域201と干渉せず、かつ、基板100の検知が可能なマッピング位置P3を自動的に生成することができる。なお、
図10には、参考のため、角度bだけ回転させたハンド中心線13CLをハンド中心線13CLbとして示している。
【0121】
次に、
図5に示したロボットコントローラ20の切替部21bが、ハンド13(
図3参照)上に設定される座標系を切り替える処理の詳細について
図11を用いて説明する。
図11は、第1直交座標系および第2直交座標系を示す図である。なお、以下では、傾斜角αでハンド13をカセット200にアクセスさせる教示を行う場合における座標系の切り替えについて説明する。
【0122】
教示作業において、ハンド13を手動操作で移動させる場合、通常は、
図11に示すように、ハンド13の基準位置13Cを原点とするXY座標系(第1直交座標系)が用いられる。しかし、
図11に示したように、ハンド中心線13CLを、収納中心線200CLに対して傾斜角αだけ傾ける場合、第1直交座標系を用いると、同図に示すXYZ座標系のX軸方向へハンド13を動かす場合、第1直交座標系のX軸方向への移動指示と、Y軸方向への移動指示とを併せて行う必要がある。
【0123】
このように、2つの方向への指示を行うことは、操作者にとって難しい操作となり、教示作業を円滑に行うことが困難となる。そこで、本実施形態に係るロボットコントローラ20では、第1直交座標系と、第2直交座標系とを切り替え可能とした。
【0124】
第2直交座標系は、
図11に示すように、第1直交座標系を、ハンド13の基準位置13Cまわりに旋回角αが0になるまで回転させたXαYα座標系である。このように、第2直交座標系を用いることで、同図に示すXYZ座標系のX軸方向へハンド13を動かす場合、第2直交座標系のXα軸方向への移動指示のみで足りるので、操作が簡単になる。なお、XYZ座標系のY軸方向へハンド13を動かす場合も、第2直交座標系のYα軸方向への移動指示のみで足りるので、同様に操作が簡単になる。
【0125】
このように、ロボットコントローラ20では、必要に応じて第1直交座標系と第2直交座標系とを切り替えることができるので、教示作業を効率的に行うことができる。また、かかる座標系の切り替えは、
図5に示した入力装置30を用いて行うことができるので、ハンド13の位置を確認しながらの教示作業も容易に行うことができる。
【0126】
次に、搬送システム1が実行する搬送手順について
図12を用いて説明する。
図12は、搬送システム1が実行する搬送手順を示すフローチャートである。ロボットコントローラ20の動作制御部21cは、カセット200が斜め搬送を行うカセット200であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0127】
そして、斜め搬送を行うカセット200の場合には(ステップS101,Yes)、ハンド中心線13CLを収納中心線200CLよりもロボット10側に傾けた状態で基板100を収納位置200Cまで搬送し(ステップS102)、処理を終了する。
【0128】
一方、斜め搬送を行うカセット200ではない場合、すなわち、垂直搬送を行うカセット200である場合には(ステップS101,No)、ハンド中心線13CLを収納中心線200CLに重ねた状態で基板100を収納位置200Cまで搬送し(ステップS103)、処理を終了する。
【0129】
次に、搬送システム1が実行する教示手順について
図13を用いて説明する。
図13は、教示手順を示すフローチャートである。切替部21bは、入力装置30の受付部32に対する操作に基づき、ハンド座標系を第2直交座標系(
図11のXαYα座標系参照)へ切り替える(ステップS201)。
【0130】
そして、入力装置30は、ハンド13をシフトさせる手動操作を受け付ける(ステップS202)。そして、第1治具110が収納位置200Cに到達したか否かの入力を受け付け(ステップS203)、第1治具110が収納位置200Cに到達した旨の入力を受け付けた場合には(ステップS203,Yes)、第1目印111と、第2目印214とにずれがないか否かの入力を受け付ける(ステップS204)。なお、ステップS203の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS203,No)、ステップS202以降の処理を繰り返す。
【0131】
そして、第1目印111と、第2目印214にずれがない旨の入力を受け付けた場合には(ステップS204,Yes)、収納位置200Cの教示データを記憶し(ステップS206)、処理を終了する。一方、ステップS204の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS204,No)、ハンド13を基準位置13Cまわりに回転させる手動操作を受け付け(ステップS205)、ステップS204以降の処理を繰り返す。
【0132】
次に、搬送システム1が実行する中間位置P1および待機位置P2の生成手順について
図14を用いて説明する。
図14は、中間位置P1および待機位置P2の生成手順を示すフローチャートである。
【0133】
生成部21aは、搬送システム1のレイアウトに基づいて中間位置P1があるか否かを判定し(ステップ301)、中間位置P1がある場合には(ステップS301,Yes)、シフト量(0,Y1)を用いて収納位置200Cから中間位置P1を生成する(ステップS302)。また、生成部21aは、傾斜角αおよび余裕角βを用いてハンド13の中間位置P1における姿勢を生成する(ステップS303)。
【0134】
なお、ステップS301の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS301,No)、ステップS302およびステップS303の処理を行うことなく、ステップS304以降の処理を実行する。
【0135】
つづいて、生成部21aは、シフト量(X2,Y2)を用いて収納位置200Cから待機位置P2を生成する(ステップS304)。また、生成部21aは、傾斜角αおよび余裕角βを用いて待機位置P2における姿勢を生成し(ステップS305)、処理を終了する。
【0136】
なお、中間位置P1や待機位置P2におけるロボット10の姿勢が、所定の許容範囲内にない場合には、生成部21aは、エラーやワーニングなどの警告を行い、中間位置P1や待機位置P2の生成を中止する。この点については、
図9Cの説明において既に説明したので、ここでの説明を省略する。
【0137】
上述してきたように、本実施形態に係る搬送システム1は、ロボット10と、搬送室50と、カセット200と、ロボットコントローラ20とを備える。ロボット10は、基板100を搬送するハンド13を有する。搬送室50には、ロボット10が内部に配置される。カセット200は、平面視において、搬送室50の正面側壁51に並べて配置される基板収納用の機器である。ロボットコントローラ10は、教示情報22aに基づいてロボット10の動作を制御する。
【0138】
ここで、平面視において、ハンド13の回転軸である第3軸A3と、ハンド13で搬送される基板100の中心である基準位置13Cとを結んだ線をハンド中心線13CLとする。また、カセット200における搬送室50側の面である前面200Fに垂直な線のうちカセット200に収納された基板100の中心を示す収納位置200Cを通る線を収納中心線200CLとする。
【0139】
ロボットコントローラ20は、動作制御部21cを備える。動作制御部21cは、両端のカセット200a,200eのうち少なくとも一方に対してはハンド中心線13CLを収納中心線200CLよりもロボット10側に傾けた状態で、残りのカセット200b,200c,200dに対してはハンド中心線13CLを収納中心線200CLに重ねた状態で、それぞれ、収納位置200Cまでロボット10に基板100を搬送させる。
【0140】
したがって、本実施形態に係る搬送システム1は、収納位置200Cまで基板100を斜め搬送するので、ロボット10のリンク長を長くしたり、リンク数を増やしたりする必要がない。つまり、本実施形態に係る搬送システム1によれば、コストを増加させることなく効率的な搬送を行うことができる。
【0141】
また、上述してきたように、本実施形態に係る教示治具は、第1治具110と、第2治具210とを備える。第1治具110は、基板100を搬送するロボット10のハンド13によって基板100のかわりに搬送され、基板100を模した形状であって、ハンド13の向きを示す第1目印111を有する。第2治具210は、ロボット10がハンド13を斜めにした状態で基板100を搬送する基板収納用のカセット200aまたは200eのかわりに搬送室50の正面側壁51に設けられ、カセット200の向きを示す第2目印214を有する。
【0142】
そして、第2目印214は、カセット200における基板100の収納位置200Cへハンド13が所望の傾斜角αだけ傾いた状態で第1治具110を搬送した際に、第1目印111と対比可能な位置に設けられる。
【0143】
したがって、本実施形態に係る教示治具によれば、斜め搬送を行う場合のハンド13の位置や姿勢を効率的に教示することができる。また、上記した搬送システム1、第1治具110および第2治具を教示システムとして用いることもできる。
【0144】
なお、上記した実施形態では、搬送室50の短辺の長さが短く、ロボット10を正面側壁51に寄せて配置する場合を示した。しかしながら、これに限らず、ロボット10の最小旋回範囲11aに、正面側壁51および背面側壁52が干渉しない程度に短辺の長さが長い搬送室50に対しても搬送システム1を適用することができる。
【0145】
また、上記した実施形態では、第2治具210を両端のカセット200のかわりに配置し、かかるカセット200に対する斜め搬送をロボット10に教示する場合について示した。しかしながら、斜め搬送の対象とするカセット200は両端のカセット200には限られない。
【0146】
また、上記した実施形態では、第1治具110における第1目印111がハンド中心線13CL上となるように、第1治具110をハンド13が保持する場合を示した。しかしながら、これに限らず、第1目印111および基準位置13Cを結ぶ線と、ハンド中心線13CLとがなす角度を所定の角度としてもよい。この場合、第2治具210における第2目印214についてもかかる所定の角度だけずらした位置に設けることとすればよい。このようにすることで、所望の傾斜角αの場合に、第1目印111と、第2目印214とを対向させることができる。
【0147】
なお、ロボット10の設置位置からの距離が異なる複数のカセット200に対して斜め搬送の教示を行う場合には、ロボット10、搬送室50およびカセット200のレイアウトに応じて定まる傾斜角αを、カセット200ごとに適用することとすればよい。また、斜め搬送を行うカセット200のかわりに配置される第2治具210では、カセット200ごとに定まる傾斜角αに応じた位置に、第2目印214を配置することとすればよい。
【0148】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。