特許第6281599号(P6281599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281599
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】擬似固相保護基およびヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/04 20060101AFI20180208BHJP
   C07B 51/00 20060101ALN20180208BHJP
   C07C 69/34 20060101ALN20180208BHJP
   C07H 19/073 20060101ALN20180208BHJP
   C07F 9/09 20060101ALN20180208BHJP
【FI】
   C07H21/04 ZCSP
   !C07B51/00 B
   !C07C69/34
   !C07H19/073
   !C07F9/09 U
【請求項の数】7
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2016-111013(P2016-111013)
(22)【出願日】2016年6月2日
(62)【分割の表示】特願2013-515204(P2013-515204)の分割
【原出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2016-179993(P2016-179993A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】特願2011-110872(P2011-110872)
(32)【優先日】2011年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】平井 邦博
(72)【発明者】
【氏名】片山 智
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/070859(WO,A1)
【文献】 特開2009−135237(JP,A)
【文献】 NIERENGARTEN, Jean-Francois et al.,Amphiphilic cyclic fullerene bisadducts: synthesis and Langmuir films at the air-water interface,Tetrahedron Letters,1998年,Vol.39, No.32,p.5747-5750
【文献】 NIERENGARTEN, Jean-Francois et al.,A new iterative approach for the synthesis of oligo(phenyleneethynediyl) derivatives and its application for the preparation of fullerene-oligo(phenyleneethynediyl) conjugates as active photovoltaic materials,Helvetica Chimica Acta,2004年,Vol.87, No.11,p.2948-2966
【文献】 FUKUTO, Masafumi et al.,Internal segregation and side chain ordering in hairy-rod polypeptide monolayers at the gas/water interface: An X-ray scattering study,Journal of Chemical Physics,2003年,Vol.119, No.12,p.6253-6270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 21/04
C07B 51/00
C07C 69/34
C07F 9/09
C07H 19/073
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II):
【化1】

[式中、
mは、0以上の任意の整数を示し、
m+1個のBaseは、独立してそれぞれ核酸塩基または修飾核酸塩基を示し、
前記核酸塩基は、ピリミジン塩基またはプリン塩基であり、
前記修飾核酸塩基は、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、シアノ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されている前記核酸塩基であり、
前記核酸塩基または前記修飾核酸塩基のアミノ基は、ピバロイル基、ピバロイロキシメチル基、トリフルオロアセチル基、フェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジニル基、または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基で保護されていてもよく、
前記核酸塩基または前記修飾核酸塩基のカルボニル基は、フェノール、2,5−ジクロロフェノール、3−クロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2−ホルミルフェノール、2−ナフトール、4−メトキシフェノール、4−クロロフェノール、2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、4−アセチルアミノフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−ピバロイロキシベンジルアルコール、4−ニトロフェネチルアルコール、2−(メチルスルフォニル)エタノール、2−(フェニルスルフォニル)エタノール、2−シアノエタノール、2−(トリメチルシリル)エタノール、ジメチルカルバミン酸クロライド、ジエチルカルバミン酸クロライド、エチルフェニルカルバミン酸クロライド、1−ピロリジンカルボン酸クロライド、4−モルホリンカルボン酸クロライド、またはジフェニルカルバミン酸クロライドと反応することによって保護されていてもよく、
Qは、水素原子、トリチル基、9−(9−フェニル)キサンテニル基、9−フェニルチオキサンテニル基、ジ(C1−6アルコキシ)トリチル基またはモノ(C1−18アルコキシ)トリチル基を示し、
Xは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、シアノエトキシメチル基、フェニルカルバモイル基、1,1−ジオキソチオモルホリン−4−チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル基、若しくは1−(4−クロロフェニル)−4−エトキシピペリジン−4−イル基で保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のX’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、シアノエトキシメチル基、フェニルカルバモイル基、1,1−ジオキソチオモルホリン−4−チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル基、若しくは1−(4−クロロフェニル)−4−エトキシピペリジン−4−イル基で保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のRは、独立してそれぞれ酸素原子もしくは硫黄原子を示し、
m個のWGは、独立してそれぞれシアノ基またはニトロ基を示し、
Lは、式(a1):
【化2】

(式中、は、Yとの結合位置を示し;
**は、ヌクレオチドの3’位水酸基との結合位置を示し;
は、置換されていてもよい2価のC1−22炭化水素基を示し;かつ
は、単結合を示すか、または**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、置換されていてもよいC1−22アルキレン基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子もしくは置換されていてもよいC1−22アルキル基を示すか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC1−22アルキレン結合を形成していてもよい。)で表される基を示す。)で示される基を示し、
Yは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)を示し、ならびに
Zは、式(a2):
【化3】

[式中、は、Yとの結合位置を示し;
は、水素原子を示すか、あるいはRが、下記式(a3)で表される基である場合には、Rと一緒になって単結合または−O−を示して、環Bと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10〜40のアルキル基を示し;
kは、1〜4の整数を示し;
環Aは、k個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよく;
は、水素原子を示し;
かつRは、水素原子、または式(a3):
【化4】

(式中、は、結合位置を示し;
jは、0〜4の整数を示し;
j個のRは、独立してそれぞれ炭素数10〜40のアルキル基を示し;
は、水素原子を示すか、またはRと一緒になって単結合または−O−を示して、環Aと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;かつ
環Bは、j個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で表される基を示す。]で表される基を示す。]
で示されるヌクレオチド。
【請求項2】
mが0である、請求項1に記載のヌクレオチド。
【請求項3】
一般式(II)中のLが、スクシニル基である、請求項1または2に記載のヌクレオチド。
【請求項4】
一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
およびRが、共に水素原子である、請求項1または2に記載のヌクレオチド。
【請求項5】
一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
および/またはRが、炭素数12〜30のアルキル基である、請求項1または2に記載のヌクレオチド。
【請求項6】
一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
Y−Zが、3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
ジ(4−ドコシルオキシフェニル)メチルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
フェニル(2,3,4−トリ(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基、
ジ[4−(12−ドコシルオキシドデシルオキシ)フェニル]メチルアミノ基、
3,5−ジ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、および
3,4,5−トリ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基
からなる群より選択される基である、請求項1または2に記載のヌクレオチド。
【請求項7】
Qが、モノメトキシトリチル基、またはジメトキシトリチル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のオリゴヌクレオチドの製造方法に関する。更に、特定の擬似固相保護基、および特定のヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドの合成方法には、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、ホスホロアミダイト法などがあり、現在ではホスホロアミダイト法を用いた固相合成(固相法)が最も汎用されている(非特許文献1)。固相法はプロセス最適化がなされ自動化も進んでおり、スピード面で有利であるが、設備制約上スケールアップに制限があり、試薬・原料を過剰に使用し、途中段階での反応の進行状況の確認、中間体構造解析等も困難という欠点がある。
一方、液相法によるオリゴヌクレオチドの合成方法も検討されてきたが、操作が煩雑であり収率も低いため、多重合度のオリゴヌクレオチドを大量かつ迅速に合成することは困難であった。
【0003】
近年、液相法と固相法のそれぞれの欠点を解消しようとする試みとして、モノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)を保護基として用いるオリゴヌクレオチド製法が開示されている(非特許文献2〜4)。しかしながら20量体までのDNAの合成例が示されているものの、各反応での晶析単離操作が必須であることや、MPEG分子自身が単分子ではないために反応の進行状況等を確認することが困難であった。
【0004】
一方、疎水性基結合ヌクレオシドを用いたオリゴヌクレオチドの合成方法が開示されている(特許文献1)。当該方法により21量体のオリゴヌクレオチドの合成が達成できたと報告されているが、5’−保護基の脱保護、カップリング、酸化の各工程で晶析単離操作が毎回実施されており、工程が著しく多く煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−275254号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. L. Beaucage, D. E. Bergstorm, G. D. Glick, R. A. Jones, Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry; John Wiley & Sons (2000)
【非特許文献2】Nucleic Acid Res., 1990, Vol.18, No.11, 3155-3159
【非特許文献3】Nucleic Acid Res., 1993, Vol.21, No.5, 1213-1217
【非特許文献4】Bioconjugate Chem., 1997, Vol.8, No.6, 793-797
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、特に、特許文献1に記載の疎水性基結合ヌクレオシドを用いたオリゴヌクレオチドの合成方法では、脱保護工程において遊離保護基(すなわち、カチオン)の捕捉剤として使用されているメタノールは次工程のカップリング反応の阻害物質となるゆえに、完全除去する必要があり、その目的のために晶析単離工程、共沸除去工程などの煩雑な操作が必須であることが分かった。
また、特許文献1に例示されているメタノール以外のカチオン捕捉剤が使用された場合には、脱保護剤として使用される酸の中和工程において5’−水酸基が再保護化などの副反応が起こることが判明し、酸を中和でなく、晶析単離により除去する必要があることも判明した。
すなわち、本発明の課題は、疎水性基結合ヌクレオシドを用いたオリゴヌクレオチドの合成方法において、必須工程ともいうべき晶析単離工程を含む多工程を省略した、工業的に有利な製造方法を提供することである。
更に具体的には、3’末端の水酸基が擬似固相保護基で保護され、5’末端の水酸基が一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチドを原料として、(1)一時保護基で保護された5’末端水酸基の脱保護工程、(2)3’位がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド添加による5’末端への伸長工程、および(3)ホスファイトトリエステル部位の酸化工程または硫化工程、を各工程ごとに晶析単離を要せず、連続的に液中で行うことにより、効率的かつ高収率で、n+p個重合オリゴヌクレオチド(n及びpは、独立して、1以上の任意の整数を示す。)を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、一時保護基で保護された5’位水酸基の脱保護反応中または脱保護反応後に特定のカチオン捕捉剤を添加し、脱保護反応終了後に有機塩基により中和処理を施し、更に酸化剤または硫化剤で酸化処理または硫化処理を施すことにより、上記課題が解決できることを見出した。
本発明は以下を含む。
[1]以下の工程(1)〜(3)を含有する、オリゴヌクレオチドの製造方法。
(1)非極性溶媒中において、3’位水酸基が擬似固相保護基で保護され、かつ5’位水酸基が酸性条件下で除去可能な一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチド(nは、1以上の任意の整数を示す。)、酸、ならびにピロール誘導体およびインドール誘導体から選択される少なくとも一種のカチオン捕捉剤を反応させて5’位水酸基の一時保護基を除去した後、有機塩基により中和する工程、
(2)工程(1)の中和後の反応液に、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が酸性条件下で除去可能な一時保護基で保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(pは、1以上の任意の整数を示す。)を添加して、工程(1)で得られた5’位水酸基の一時保護基が除去されたn個重合オリゴヌクレオチドと、その5’位水酸基を介してホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程、ならびに
(3)工程(2)の反応液に、酸化剤または硫化剤を添加して、工程(2)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチドのホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合またはチオホスフェートトリエステル結合へと変換する工程。
[2]pが1である、上記[1]に記載の方法。
[3]更に、下記工程(4)を含有する、上記[1]または[2]に記載の方法。
(4)工程(3)で得られた反応液に極性溶媒を添加して、n+p個重合オリゴヌクレオチドを沈殿させて、固液分離により取得する工程。
[4]更に、下記工程(5)を含有する、上記[3]に記載の方法。
(5)工程(4)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチドの保護基を全て除去する工程。
[5]酸性条件下で除去可能な一時保護基が、ジメトキシトリチル基、またはモノメトキシトリチル基である、上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]非極性溶媒が、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族系溶媒、非極性エーテル系溶媒、およびこれらの組合せからなる群より選択される溶媒である、上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7]非極性溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、ノナン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、およびこれらの組合せからなる群より選択される溶媒である、上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の方法。
[8]極性溶媒が、アルコール系溶媒、またはニトリル系溶媒である、上記[3]〜[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9]極性溶媒が、メタノール、またはアセトニトリルである、上記[3]〜[7]のいずれか一つに記載の方法。
[10]ピロール誘導体またはインドール誘導体が、ピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、インドール、4−メチルインドール、5−メチルインドール、6−メチルインドール、7−メチルインドール、5,6−ジメチルインドール、および6,7−ジメチルインドールからなる群より選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[9]のいずれか一つに記載の方法。
[11]酸化剤が、ヨウ素、(1S)−(+)−(10−カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2−ブタノンペルオキシド、1,1−ジヒドロペルオキシシクロドデカン、ビス(トリメチルシリル)ペルオキシド、またはm−クロロ過安息香酸である、上記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の方法。
[12]硫化剤が、3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン、フェニルアセチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、3−アミノ−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン、または硫黄である、上記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の方法。
[13]酸が、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、酢酸またはp−トルエンスルホン酸である、上記[1]〜[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14]有機塩基が、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、N−フェニルイミダゾール、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−クロロベンズイミダゾール、2−ブロモベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−フェニルベンズイミダゾール、および5−ニトロベンズイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種である、上記[1]〜[13]のいずれか一つに記載の方法。
[15]脱保護ステップにおいて、ピロール誘導体、およびインドール誘導体から選択される少なくとも一種のカチオン捕捉剤を含有することを特徴とする、連続的改良ホスホロアミダイト法によるオリゴヌクレオチドの製造方法。
[16]一般式(I):
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、
Lは、式(a1):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、は、Yとの結合位置を示し;
**は、保護される基との結合位置を示し;
は、置換されていてもよい2価のC1−22炭化水素基を示し;かつ
は、単結合を示すか、または**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、置換されていてもよいC1−22アルキレン基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子もしくは置換されていてもよいC1−22アルキル基を示すか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC1−22アルキレン結合を形成していてもよい。)で表される基を示す。)で示される基を示し、
Yは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)を示し、ならびに
Zは、式(a2):
【0013】
【化3】
【0014】
[式中、は、Yとの結合位置を示し;
は、水素原子であるか、あるいはRが、下記式(a3)で表される基である場合には、Rと一緒になって単結合または−O−を示して、環Bと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
kは、1〜4の整数を示し;
環Aは、k個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよく;
は、水素原子を示し;ならびに
は、水素原子、または式(a3):
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、は、結合位置を示し;
jは、0〜4の整数を示し;
j個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
は、水素原子を示すか、またはRと一緒になって単結合または−O−を示して、環Aと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;かつ
環Bは、j個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で表される基を示す。]で表される基を示す。]
で示される、擬似固相保護基。
[17]一般式(II):
【0017】
【化5】
【0018】
[式中、
mは、0以上の任意の整数を示し、
m+1個のBaseは、独立してそれぞれ保護されていてもよい核酸塩基を示し、
Qは、水素原子、または酸性条件下で除去可能な一時保護基を示し、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、または保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のX’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、または保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のRは、独立してそれぞれ酸素原子もしくは硫黄原子を示し、
m個のWGは、独立してそれぞれ電子吸引性基を示し、
Lは、式(a1):
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、は、Yとの結合位置を示し;
**は、ヌクレオチド3’水酸基との結合位置を示し;
は、置換されていてもよい2価のC1−22炭化水素基を示し;かつ
は、単結合を示すか、または**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、置換されていてもよいC1−22アルキレン基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子もしくは置換されていてもよいC1−22アルキル基を示すか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC1−22アルキレン結合を形成していてもよい。)で表される基を示す。)で示される基を示し、
Yは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)を示し、ならびに
Zは、式(a2):
【0021】
【化7】
【0022】
[式中、は、Yとの結合位置を示し;
は、水素原子を示すか、あるいはRが、下記式(a3)で表される基である場合には、Rと一緒になって単結合または−O−を示して、環Bと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
kは、1〜4の整数を示し;
環Aは、k個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよく;
は、水素原子を示し;かつRは、水素原子、または式(a3):
【0023】
【化8】
【0024】
(式中、は、結合位置を示し;
jは、0〜4の整数を示し;
j個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
は、水素原子を示すか、またはRと一緒になって単結合または−O−を示して、環Aと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;かつ
環Bは、j個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で表される基を示す。]で表される基を示す。]
で示されるヌクレオチド。
[18]mが0である、上記[17]に記載のヌクレオチド。
[19]一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
および/またはRが、炭素原子数10〜40のアルキル基である、上記[17]または[18]に記載のヌクレオチド。
[20]一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
およびRが、共に水素原子であり、かつRが、炭素原子数10〜40のアルキル基である、上記[17]または[18]に記載のヌクレオチド。
[21]一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
および/またはRが、炭素原子数12〜30のアルキル基である、上記[17]または[18]に記載のヌクレオチド。
[22]一般式(II)中のLが、スクシニル基であり、かつ
Y−Zが、3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
ジ(4−ドコシルオキシフェニル)メチルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
フェニル(2,3,4−トリ(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基、
ジ[4−(12−ドコシルオキシドデシルオキシ)フェニル]メチルアミノ基、
3,5−ジ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、および
3,4,5−トリ[3’,4’,5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基
からなる群より選択される基である、上記[17]または[18]に記載のヌクレオチド。
[23]Qが、モノメトキシトリチル基、またはジメトキシトリチル基である、上記[17]〜[22]のいずれか一つに記載のヌクレオチド。
【発明の効果】
【0025】
一時保護基で保護された5’末端水酸基の脱保護反応中または脱保護反応後に特定のカチオン捕捉剤を添加すること、脱保護反応終了後に中和処理を施すこと、および酸化工程または硫化工程で特定の酸化剤または硫化剤を使用することにより、3’末端水酸基が擬似固相保護基で保護され、かつ5’末端水酸基が一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチドを原料として、(1)一時保護基で保護された5’末端水酸基の脱保護工程、(2)3’位がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド添加による5’末端への伸長工程、および(3)ホスファイトトリエステル部位の酸化工程または硫化工程、をこの順序で連続的に液中で行うことにより、効率的かつ高収率で、n+p個重合オリゴヌクレオチドを製造する方法を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、脱保護工程で特定のカチオン捕捉剤を添加すること、脱保護反応終了後に中和処理を施すこと、および酸化工程または硫化工程で特定の酸化剤または硫化剤を使用することにより、3’末端水酸基を擬似固相保護基で保護され、かつ5’末端水酸基を一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチドを原料として、(1)一時保護基で保護された5’末端水酸基の脱保護工程、(2)3’位がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド添加による5’末端への伸長工程、および(3)ホスファイトトリエステル部位の酸化工程または硫化工程、をこの順序で連続的に液中で行うことにより、効率的かつ高収率で、n+p個重合オリゴヌクレオチドを製造する方法である。
【0027】
文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、例えば、記載された発明に関連して使用されうる刊行物に記載されている、構築物および方法論を記載および開示する目的で、参照として本明細書に組み入れられる。
【0028】
本明細書において、オリゴヌクレオチドの構成単位となる「ヌクレオシド」とは、核酸塩基が糖(例えば、リボース)の1’位にN−グリコシド化により結合された化合物を意味する。
【0029】
本明細書において、「核酸塩基」とは、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシル基、ウラシル基、チミニル基等のピリミジン塩基、アデニル基、グアニル基等のプリン塩基を挙げることができる。また、「保護されていてもよい核酸塩基」とは、例えば、アミノ基を有する核酸塩基であるアデニル基、グアニル基、またはシトシル基において、アミノ基が保護されていてもよいことを意味し、核酸塩基のアミノ基が5’位の脱保護条件に耐え得る保護基により保護されている核酸塩基が好ましい。かかる「アミノ基の保護基」としては、特に限定されず、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILLY&SONS)出版(1999年)等に記載されている保護基を挙げることができる。かかる「アミノ基の保護基」の具体例としては、例えば、ピバロイル基、ピバロイロキシメチル基、トリフルオロアセチル基、フェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらの中でも、フェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、及びジメチルホルムアミジニル基が好ましい。また、核酸塩基のカルボニル基が保護されていてもよく、例えば、フェノール、2,5−ジクロロフェノール、3−クロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2−ホルミルフェノール、2−ナフトール、4−メトキシフェノール、4−クロロフェノール、2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、4−アセチルアミノフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−ピバロイロキシベンジルアルコール、4−ニトロフェネチルアルコール、2−(メチルスルフォニル)エタノール、2−(フェニルスルフォニル)エタノール、2−シアノエタノール、2−(トリメチルシリル)エタノール、ジメチルカルバミン酸クロライド、ジエチルカルバミン酸クロライド、エチルフェニルカルバミン酸クロライド、1−ピロリジンカルボン酸クロライド、4−モルホリンカルボン酸クロライド、ジフェニルカルバミン酸クロライド等を反応させて、カルボニル基を保護することが出来る。ここで、カルボニル基の保護基については、特に導入しなくてもよい場合がある。また、該「核酸塩基」には、上記した基の他に、核酸塩基が任意の置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ等)により任意の位置に1〜3個置換されている修飾核酸塩基(例えば、8−ブロモアデニル基、8−ブロモグアニル基、5−ブロモシトシル基、5−ヨードシトシル基、5−ブロモウラシル基、5−ヨードウラシル基、5−フルオロウラシル基、5−メチルシトシル基、8−オキソグアニル基、ヒポキサンチニル基等)も包含される。
【0030】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。
【0031】
本明細書中、「アルキル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1以上のアルキル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1−10アルキル基であり、より好ましくはC1−6アルキル基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられ、特にメチル、エチルが好ましい。
【0032】
本明細書中、「アラルキル(基)」としては、C7−20アラルキル基が挙げられ、好ましくはC7−16アラルキル基(C6−10アリール−C1−6アルキル基)である。好適な具体例としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、ナフチルメチル、1−ナフチルエチル、1−ナフチルプロピル等が挙げられ、特にベンジルが好ましい。
【0033】
本明細書中、「アルコキシ(基)」としては、炭素数1以上のアルコキシ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1−10アルコシ基であり、より好ましくはC1−6アルコキシ基である。炭素数範囲の限定がない場合の好適な具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられ、特にメトキシ、エトキシが好ましい。
【0034】
本明細書中、「アシル(基)」としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のC1−6アルカノイル基、C7−13アロイル基等が挙げられる。具体的には、例えば、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニル等が挙げられ、これらはそれぞれ置換されていてもよい。
【0035】
本明細書中、「アルケニル(基)」としては、直鎖状または分岐鎖状のC2−6アルケニル基等が好ましく、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられる。中でも、C−Cアルケニル基が好ましい。
【0036】
本明細書中、「アルキニル(基)」としては、C2−6アルキニル基等が好ましく、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等が挙げられる。中でも、C−Cアルキニル基が好ましい。
【0037】
本明細書中、「シクロアルキル(基)」は、環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC−Cシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシルが特に好ましい。
【0038】
本明細書中、「アリール(基)」は、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−アンスリル等のC6−14アリール基等が挙げられる。中でもC6−10アリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0039】
本明細書中、「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価基およびそれらから誘導される2価基である。
【0040】
本明細書中、「炭化水素基を有する有機基」とは、前記「炭化水素基」を有する基を意味し、「炭化水素基を有する有機基」中の「炭化水素基」以外の部位は任意に設定することができる。例えば、リンカーとして−O−、−S−、−COO−、−OCONH−、および−CONH−等の部位を有していてもよい。
【0041】
〔擬似固相保護基〕
本発明に使用される、擬似固相保護基とは、該基が反応基質に結合することにより非極性溶媒に可溶化し、液相中の反応が可能であると共に、極性溶媒の添加により沈殿し、固液分離が可能となる、反応性と後処理の簡便性を兼ね備えた保護基であって、5’末端水酸基の保護基を除去し得る酸性条件で安定な基でありさえすれば、特に限定されない。擬似固相保護基としては、例えば、非特許文献2〜4、特許文献1等に開示された基が挙げられるが、中でも下記一般式(I)で表される擬似固相保護基は、目的とするオリゴヌクレオチド製造方法において高収率が達成できるという観点で好ましい擬似固相保護基である。
【0042】
一般式(I):
【0043】
【化9】
【0044】
[式中、
Lは、式(a1):
【0045】
【化10】
【0046】
(式中、は、Yとの結合位置を示し;
**は、保護される基との結合位置を示し;
は、置換されていてもよい2価のC1−22炭化水素基を有する基を示し;かつ
は、単結合を示すか、または**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、置換されていてもよいC1−22アルキレン基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子もしくは置換されていてもよいC1−22アルキル基を示すか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC1−22アルキレン結合を形成していてもよい。)で表される基(リンカー)を示す。)で示される基を示し、
Yは、単結合、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)を示し、ならびに
Zは、式(a2):
【0047】
【化11】
【0048】
[式中、は、Yとの結合位置を示し;
は、水素原子を示すか、あるいはRが、下記式(a3)で表される基である場合には、Rと一緒になって単結合または−O−を示して、環Bと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
kは、1〜4の整数を示し;
環Aは、k個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよく;
は、水素原子を示し;ならびに
は、水素原子、または式(a3):
【0049】
【化12】
【0050】
(式中、は、結合位置を示し;
jは、0〜4の整数を示し;
j個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
は、水素原子を示すか、またはRと一緒になって単結合または−O−を示して、環Aと共にフルオレニル基またはキサンテニル基を形成していてもよく;かつ
環Bは、j個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で表される基、または式(a2’):
【0051】
【化13】
【0052】
(式中、は、結合位置を示し;
k’個のR’は、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し;
k’は、1〜4の整数を示し;
環Cは、k’個のOR’に加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で示される基を示す。]で示される基を示す。]で表される基である。
【0053】
上記式(I)で表される擬似固相保護基により保護される基としては、例えば、水酸基、アミノ基が挙げられ、中でもヌクレオシドまたはヌクレオチドの3’水酸基が好ましい。
上記式(a1)で表されるリンカーLの好ましい態様としては、式(a1)中、Lが、エチレン基、またはCH−O−1,4−フェニレン−O−CHを示し;かつ
が、単結合を示すか、または**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、C1−6アルキレン基を示し、RおよびRは、独立してそれぞれ水素原子、もしくは置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、またはRおよびRが一緒になって、置換されていてもよいC1−6アルキレン結合を形成していてもよい。)で表される基である、基である。
【0054】
上記式(a1)で表されるリンカーLの別の好ましい態様としては、式(a1)中、Lが、エチレン基を示し;かつ
が、単結合を示す、基である。
【0055】
上記式(a1)で表されるリンカーLの別の好ましい態様としては、式(a1)中、Lが、エチレン基を示し;かつ
中のN(R)−R−N(R)部分が、ピペラジニレン基を示す、基である。
【0056】
上記式(a1)で表されるリンカーLの更に別の好ましい態様としては、式(a1)中、Lが、エチレン基を示し;かつ
が、**C(=O)N(R)−R−N(R***(式中、**は、Lとの結合位置を示し、***は、C=Oとの結合位置を示し、Rは、ペンチレン基、またはヘキシレン基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子もしくはメチル基を示す。)で表される基である、基である。
【0057】
上記リンカーLの特に好ましい例は、入手が容易で安価なスクシニル基である。
【0058】
Yの好ましい態様としては、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)である。
Rとして好ましくは、水素原子、C1−6アルキル基またはC7−16アラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル、エチルまたはベンジルであり、特に好ましくは水素原子である。
【0059】
Zの好ましい態様としては、式(a2)で表される基である。
上記式(a2)で表されるZの好ましい態様としては、式(a2)中、RおよびRは、共に水素原子を示し;
は、水素原子を示し、
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基(例えば、C10−40アルキル基)を示し;かつ
kは、1〜3の整数を示す、基である。
【0060】
上記式(a2)で表されるZの別の好ましい態様としては、式(a2)中、
kは、1〜3の整数を示し;
およびRは、共に水素原子を示し;
は、水素原子を示し;
k個のRは、独立してそれぞれ炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1〜3個有するベンジル基、または炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1〜3個有するシクロヘキシル基を示し;かつ
環Aが、k個のORに加えて、更にハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい、基である。
【0061】
上記式(a2)で表されるZの別の好ましい態様としては、式(a2)中、
は、水素原子を示し;
は、上記式(a3)(式中、は結合位置を示し;jは、0〜3の整数を示し;j個のRは、独立してそれぞれC10−40アルキル基を示し;
およびRは、共に水素原子を示す。)で表される基である、基である。
【0062】
上記式(a2)で表されるZの更に別の好ましい態様としては、式(a2)中、
は、水素原子を示し;
は、上記式(a3)(式中、は結合位置を示し;jは、0〜3の整数を示し;j個のRは、独立してそれぞれC10−40アルキル基を示し;
は、環AのRと一緒になって単結合または−O−を形成し、それにより環Aと環Bは一緒になってフルオレニル基またはキサンテニル基を示す。)で表される基である、基である。
【0063】
上記一般式(I)で表される擬似固相保護基としては、5’末端水酸基の保護基を除去し得る酸性条件下では切断されにくく、塩基性条件下で切断される基が好ましい。
【0064】
かかる擬似固相保護基の代表的な例としては、例えば、上記一般式(I)中のLが、上記式(a1)で表される基(好ましくは、スクシニル基等)であり、かつ
Y−Zが、以下の基であるものが挙げられる。
3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルオキシ基、
3,5−ジ[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、
3,4,5−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
3,5−ジ(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、
ジ(4−ドコシルオキシフェニル)メチルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、
4−メトキシ−2−[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]ベンジルアミノ基、
2,4−ジ(ドデシルオキシ)ベンジルアミノ基、
フェニル(2,3,4−トリ(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基、
ジ[4−(12−ドコシルオキシドデシルオキシ)フェニル]メチルアミノ基、
3,5−ジ[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、または
3,4,5−トリ[3’,4',5’−トリ(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基。
【0065】
〔擬似固相保護基により3’位水酸基が保護され、かつ5’位水酸基が一時保護基で保護されたヌクレオチド〕
本発明に使用される、擬似固相保護基をヌクレオチドの3’位水酸基に結合させることにより、擬似固相合成に適したヌクレオチドを製造することができる。
中でも目的とするオリゴヌクレオチド製造方法において高収率が達成できるという観点で好ましいヌクレオチドとしては、下記一般式(II)で表される化合物(以下、本発明化合物と称することもある。)が挙げられる。
【0066】
一般式(II):
【0067】
【化14】
【0068】
[式中、
mは、0以上の任意の整数を示し、
m+1個のBaseは、独立してそれぞれ保護されていてもよい核酸塩基を示し、
Qは、水素原子または酸性条件下で除去可能な一時保護基を示し、
Xは、水素原子、ハロゲン原子または保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のX’は、独立してそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、または保護されていてもよい水酸基を示し、
m個のRは、独立してそれぞれ酸素原子もしくは硫黄原子を示し、
m個のWGは、独立してそれぞれ電子吸引性基を示し、
Yは、単結合、酸素原子またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)を示し、かつ
L、およびZは、式(a1)の**が、ヌクレオチド3’水酸基との結合位置を示すことを除いて、前記と同義である。]
【0069】
本発明化合物のうち、一般式(II)中のYが酸素原子またはNR(Rは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を示す。)であるものは、新規化合物である。
【0070】
本発明化合物は、5’位の水酸基の酸素原子を介して、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基で保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(pは、1以上の任意の整数を示す。)と結合し、m+1+p個重合オリゴヌクレオチド(pは、1以上の任意の整数を示す。)を形成する。
mが0の時、本発明化合物は、「ヌクレオシド」と解し、オリゴヌクレオチド合成における3’位末端の出発化合物である。また、本発明化合物には、広義には5’位水酸基が未保護(Qが水素原子)のものも包含される。
【0071】
mは、0以上の任意の整数を示し、好ましくは、0である。mの上限は、特に限定されるものではないが、49以下が好ましく、29以下がより好ましく、19以下が更に好ましい。
本発明化合物であるヌクレオチドを構成するリボース残基の2位の基X及びm個のX’は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または保護されていてもよい水酸基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
「保護されていてもよい水酸基」の保護基としては、特に限定されず、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILLY&SONS)出版(1999年)等に記載されている任意の保護基を挙げることができる。具体的には、メチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、シアノエトキシメチル基、フェニルカルバモイル基、1,1−ジオキソチオモルホリン−4−チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(Tom)基、1−(4−クロロフェニル)−4−エトキシピペリジン−4−イル(Cpep)基等を挙げることができる。これらの中でも、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、またはtert−ブチルジメチルシリル基であることが好ましく、経済性及び入手の容易さの観点から、tert−ブチルジメチルシリル基であることが特に好ましい。
【0072】
本発明化合物の5’位水酸基の保護基として用いることができる一時保護基Qとしては、酸性条件下で脱保護可能であり、水酸基の保護基として用いられるものであれば、特に限定はされないが、トリチル基、9−(9−フェニル)キサンテニル基、9−フェニルチオキサンテニル基、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1−フェニルメチル基(ジメトキシトリチル基)等のジ(C1−6アルコキシ)トリチル基、1−(4−メトキシフェニル)−1,1−ジフェニルメチル基(モノメトキシトリチル基)等のモノ(C1−18アルコキシ)トリチル基等を挙げることができる。これらの中でも、脱保護のしやすさ、入手の容易さの観点から、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基であることが好ましく、より好ましくは、ジメトキシトリチル基である。
m個のRは、独立してそれぞれ酸素原子もしくは硫黄原子を示し、好ましくは酸素原子である。
m個のWGは、独立してそれぞれ電子吸引性基を示す。当該電子吸引性基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、好ましくはシアノ基である。
【0073】
本明細書中、RまたはRとして示される「炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基」とは、その分子構造中に炭素数が10以上の脂肪族炭化水素基を有する1価の有機基である。
【0074】
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」における「脂肪族炭化水素基」とは、直鎖または分岐状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であり、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数10〜40の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数12〜30の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」における「脂肪族炭化水素基」の部位は、特に限定されず、末端に存在しても(1価基)、それ以外の部位に存在してもよい(例えば2価基)。
【0075】
「脂肪族炭化水素基」としては、炭素数10以上の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基等の1価基およびそれらから誘導される2価基が挙げられ、中でも炭素数10〜40のアルキル基が好ましく、炭素数12〜30のアルキル基が特に好ましい。「脂肪族炭化水素基」の具体例としては、例えば、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、リノリル基、アラキル基、ベヘニル基、イソステアリル基等の1価基およびそれらから誘導される2価基が挙げられる。
【0076】
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」中の「脂肪族炭化水素基」以外の部位は任意に設定することができる。例えば、リンカーとして−O−、−S−、−COO−、−OCONH−、および−CONH−、並びに、炭化水素基(1価基または2価基)等の部位を有していてもよい。かかる「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価基およびそれらから誘導される2価基が用いられる。「脂肪族炭化水素基」以外の部位の「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「シクロアルキル基」、「アリール基」、または「アラルキル基」としては、例えば、前記したのと同様のものを挙げることができる。当該「炭化水素基」は、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子)、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、オキソ基等から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0077】
本明細書中、一般式(II)中のYを構成するRは、水素原子、アルキル基またはアラルキル基であり、好ましくは、水素原子、C1−6アルキル基またはC7−16アラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル、エチルまたはベンジルであり、特に好ましくは水素原子である。
【0078】
上記一般式(II)中のZを構成する「R(基)」および/または「R(基)」として示される「脂肪族炭化水素基を有する有機基」は、分岐等によって複数の「脂肪族炭化水素基」が存在してもよい。「脂肪族炭化水素基を有する有機基」中に「脂肪族炭化水素基」が複数存在する場合には、その各々は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0079】
上記一般式(II)中のZを構成する「R(基)」および/または「R(基)」として示される「脂肪族炭化水素基を有する有機基」における、炭素数合計の下限は10以上が好ましく、12以上がより好ましく、14以上が更に好ましく、18以上が更に一層好ましく、30以上が殊更好ましい。一方、「R(基)」および/または「R(基)」として示される「脂肪族炭化水素基を有する有機基」における、炭素数合計の上限は、200以下が好ましく、150以下がより好ましく、120以下が更に好ましく、100以下が更に一層好ましく、80以下が殊更好ましく、60以下が特に好ましい。当該炭素数が大きいほど、オリゴヌクレオチドが長鎖となった場合でも本発明化合物の極性溶媒における結晶性が良好となる。
【0080】
一般式(II)中のY−Zの好ましい態様は、前記一般式(I)におけるY−Zの好ましい態様と同様である。
【0081】
一般式(II)で表される本発明化合物の好ましい態様としては、一般式(II)中、mが0であり、
Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、またはグアニル基であり;
Qが、ジ(C1−6アルコキシ)トリチル基、またはモノ(C1−6アルコキシ)トリチル基であり;
Xが、水素原子、ハロゲン原子、または保護されていてもよい水酸基であり;かつ
L−Y−Zが、前記一般式(I)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である、
化合物である。
【0082】
上記一般式(II)で表される本発明化合物の別の好ましい態様としては、一般式(II)中、mが0であり、
Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、またはグアニル基であり;
Qが、ジメトキシトリチル基、またはモノメトキシトリチル基であり;
Xが、水素原子、ハロゲン原子、または保護されていてもよい水酸基であり;かつ
L−Y−Zが、前記一般式(I)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である、
化合物である。
【0083】
上記一般式(II)で表される本発明化合物の更に別の好ましい態様としては、一般式(II)中、mが0であり、
Baseが、それぞれ保護されていてもよい、シトシル基、ウラシル基、チミニル基、アデニル基、またはグアニル基であり;
Qが、ジメトキシトリチル基であり;
Xが、水素原子、フッ素原子、メトキシ基、アセトキシ基、またはtert−ブチルジメチルシリロキシ基であり;かつ
L−Y−Zが、前記一般式(I)において好ましい態様として示された各基の組合せと同様である、
化合物である。
【0084】
〔擬似固相保護基の前駆体(Z−Y−H)(アルコールまたはアミン)の製造方法〕
前記擬似固相保護基の前駆体の製造方法としては、特に限定されないが、自体公知の方法(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.2001,74,733−738、特開2000−44493号公報、国際公開第2006/104166号パンフレット、国際公開第2007/034812号パンフレット、国際公開第2007/122847号パンフレット、国際公開第2010/113939号パンフレット等参照)またはこれらに準ずる方法に従って原料化合物から製造することができる。
なお、原料化合物として使用する化合物、例えば、一般式(II)中のZを構成するR、Rに対応するハロゲン化物等は、市販品として入手可能であるか、あるいは、自体公知の方法またはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
【0085】
mが0である一般式(II)(以下、「一般式(IIa)」と称する)で表される本発明化合物の製造方法としては、特に限定されないが、自体公知の方法またはこれらに準ずる方法(Richard T.Pon et al.,Nucleic Acids Research 2004,32,623−631.)に従って、上記擬似固相保護基の前駆体から製造することができる。
なお、擬似固相保護基の前駆体(Z−Y−H)は、上記したとおり、自体公知の方法またはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。また、原料化合物が反応に影響を及ぼす置換基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基)を有する場合には、原料化合物を予め公知の方法に従い、適当な保護基で保護した後に反応を行うことが一般的である。かかる保護基は、反応後に、酸処理、アルカリ処理、接触還元等の公知の方法に従い除去することができる。
上記一般式(IIa)のLがスクシニル基である化合物の一般的な製造方法を以下に示す。
【0086】
【化15】
【0087】
(式中の各記号は前記と同義である。)
5’位水酸基が保護基Qにより保護されたヌクレオシド(a)を、塩基存在下、コハク酸無水物と反応させることにより、3’位水酸基にコハク酸が導入された化合物(b)を得る。化合物(b)を縮合剤存在下、Z−Y−Hと脱水縮合させることにより、一般式(IIa)で表される化合物を得ることができる。
【0088】
上記ヌクレオシド(a)から化合物(b)の変換工程は、反応に不活性な溶媒中で行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、あるいはそれらの混合溶媒が好ましい。中でもジクロロメタン、またはクロロホルムが特に好ましい。
【0089】
塩基としては、特に限定されないが、例えば、後述するような有機塩基が挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。
【0090】
上記脱水縮合工程は、反応に不活性な溶媒中で行うのが有利である。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、或いはそれらの混合溶媒が好ましい。中でもジクロロメタン、クロロホルムが特に好ましい。
【0091】
化合物(b)とZ−Y−Hとの縮合反応に使用する縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドおよびその塩酸塩(EDC・HCl)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBop)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−3−オキシド ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)等が挙げられる。中でもHBTU、HCTU、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドおよびその塩酸塩(EDC・HCl)が好ましい。
【0092】
縮合剤の使用量は、化合物(b)1モルに対して、1〜10モル使用することができ、好ましくは1〜5モルである。また、Z−Y−Hの使用量は、化合物(b)1モルに対して1〜10モル使用することができ、好ましくは1〜5モルである。反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、−10℃〜50℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。反応時間は、30分〜70時間である。
【0093】
上記一般式(IIa)中のLがスクシニル基以外の化合物についても、上記製造方法におけるコハク酸無水物に代えて、対応する酸無水物、対応するジカルボン酸ハライド、対応するジカルボン酸の活性エステル等を用いて、同様の反応を行うことにより製造することができる。
mが1以上である一般式(II)で示される化合物は、出発原料として、一般式(IIa)で示される化合物を用いて、下記の本発明の製造方法に従い、5’末端伸長プロセスを繰り返すことにより製造することができる。
【0094】
〔本発明の製造方法〕
次に、本発明にかかるオリゴヌクレオチドの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)について説明する。具体的には、適宜保護されたn個重合オリゴヌクレオチドから、適宜保護されたn+p個重合オリゴヌクレオチドへの製造方法について説明していくが、例えば、n=1の場合には、n個重合オリゴヌクレオチドは、「ヌクレオシド」と解し、p=1の場合には、p個重合オリゴヌクレオチドは、「ヌクレオシド」と解し、n+p個重合オリゴヌクレオチドは、「ジヌクレオチド」と解すべきものである。
本発明は、以下の工程(1)〜(3)を含有するオリゴヌクレオチドの製造方法、である。
(1)非極性溶媒中において、3’位水酸基が擬似固相保護基で保護され、かつ5’位水酸基が酸性条件下で除去可能な一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチド(nは、1以上の任意の整数を示す。)、酸、ならびにピロール誘導体およびインドール誘導体から選択される少なくとも一種のカチオン捕捉剤を反応させて5’位水酸基の一時保護基を除去した後、有機塩基により中和する工程、
(2)工程(1)の中和後の反応液に、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が酸性条件下で除去可能な一時保護基で保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(pは、1以上の任意の整数を示す。)を添加し、工程(1)で得られた5’位水酸基の一時保護基が除去されたn個重合オリゴヌクレオチドと、その5’位水酸基を介してホスファイトトリエステル結合により縮合させる工程、ならびに
(3)工程(2)の反応液に、酸化剤、または硫化剤を添加して、工程(2)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチドのホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合またはチオホスフェートトリエステル結合へと変換する工程。
nの上限は、特に限定されるものではないが、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。
pの上限は、特に限定されるものではないが、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、5以下が更に一層好ましく、3以下が特に好ましい。
【0095】
更に、下記工程(4)を含有させることにより、簡便かつ効果的に過剰原料や副生物を除去して、n+p個重合オリゴヌクレオチドを精製することができる。
(4)工程(3)で得られた反応液に極性溶媒を添加して、n+p個重合オリゴヌクレオチドを沈殿させて、固液分離により取得する工程。
なお、本発明の工程(4)は、液相法にも、固相法にも存在し得ない、擬似固相保護基に特有の工程である。
【0096】
原料の当量管理と反応制御することによって副生物の発生量を制御できる状況であれば、工程(1)〜工程(3)の基本単位として繰り返し、工程(4)を含有させることが好ましい。
また、副生物発生を厳格に管理・制御でき、高純度のオリゴヌクレオチドに導けるという観点で、工程(1)〜工程(4)を基本単位として繰り返すことが好ましい。
【0097】
本発明の製造方法には、更に、工程(5)を含有させることにより、オリゴヌクレオチドを単離・製造することができる。
(5)工程(4)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチドの保護基を全て除去する工程。
【0098】
以下に、各工程について詳細に説明する。
【0099】
工程(1)(脱保護工程)
本工程は、非極性溶媒中において、3’位水酸基が擬似固相保護基で保護され、かつ5’位水酸基が酸性条件下で除去可能な一時保護基で保護されたn個重合オリゴヌクレオチド(i)(式中、mは、0以上の任意の整数を示し、m=0の場合は、ヌクレオシドを示す。)の5’末端水酸基の一時保護基Q(Qは前記と同義である。)を、酸の添加により除去した後に、有機塩基の添加により中和する工程(脱保護工程)である。
【0100】
【化16】
【0101】
(式中、m個のRは、酸素原子もしくは硫黄原子を示し、m個のWGは、電子吸引性基(例えば、シアノ基)を示し、m個のX’は、それぞれ独立してXと同義であり、他の記号は、前記と同義である。)
【0102】
本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。当該溶媒における溶解度が高い程、優れた反応性が期待できるため、本発明の化合物の溶解度の高い非極性溶媒を選択することが好ましい。具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶媒;ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等の非極性エーテル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、上記非極性溶媒に、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピペリドン等のアミド系溶媒等の極性溶媒を、n個重合オリゴヌクレオチドが溶解し得る限り、適宜の割合で混合して用いてもよい。中でも、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、ノナン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、または、これらの組合せ等が好ましく、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエンが特に好ましい。
【0103】
本工程におけるn個重合オリゴヌクレオチド(i)の溶媒中の濃度は、溶解していれば特に限定されないが、好ましくは1〜30重量%である。
【0104】
本脱保護工程、それに続く縮合工程、および酸化工程を液中で連続して行うためには、本工程において、n個重合オリゴヌクレオチド(i)の5’位水酸基の一時保護基Qの除去反応中、または除去反応後に、カチオン捕捉剤を使用することが必須である。
【0105】
カチオン捕捉剤としては、除去された保護基Qによる再保護(原料戻り)や脱保護された官能基への副反応が進行しなければ、特に限定されないが、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,3−ジメチルピロール、2,4−ジメチルピロール等のピロール誘導体;インドール、4−メチルインドール、5−メチルインドール、6−メチルインドール、7−メチルインドール、5,6−ジメチルインドール、6,7−ジメチルインドール等のインドール誘導体を使用することができる。良好なカチオン捕捉効果が得られるという観点で、ピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、インドール、4−メチルインドール、5−メチルインドール、6−メチルインドール、7−メチルインドール、5,6−ジメチルインドール、6,7−ジメチルインドールが好ましく、ピロール、3−メチルピロール、インドールがより好ましく、ピロール、インドールが更に好ましく、ピロールが特に好ましい。
【0106】
本工程におけるカチオン捕捉剤の使用量は、n個重合オリゴヌクレオチド(i)1モルに対し、1〜50モル使用することができ、好ましくは5〜20モルである。
【0107】
本工程に使用する酸としては、良好な脱保護が達成できさえすれば特に限定されないが、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等を使用することが好ましい。良好な反応を達成できるという観点で、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸がより好ましく、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が更に好ましく、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が更に一層好ましく、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。これら酸は、上記非極性溶媒で希釈しても構わない。また、前記酸を使用する際には、特定の塩基を組み合わせて、酸性度を適宜調整して使用しても構わない。
【0108】
本工程における酸の使用量は、n個重合オリゴヌクレオチド(i)1モルに対し、1〜100モル使用することができ、好ましくは1〜40モルである。
【0109】
本工程の反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、−10℃〜50℃が好ましく、0℃〜40℃がより好ましい。反応時間は、使用するn個重合オリゴヌクレオチドの種類、酸の種類、溶媒の種類、反応温度等により異なるが、5分〜5時間である。
【0110】
脱保護剤として使用される酸は次工程の縮合工程中に存在すると、5’位水酸基が一時保護基Qにより保護され、かつ3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)の保護基Qの脱保護を誘発するため、除去または中和処理が必要である。本発明では、反応液中で連続的に縮合工程を行うため、有機塩基により中和を行う。
中和に使用する有機塩基としては、前出の酸を中和することができ、得られた塩が縮合剤として機能しうるものであれば特に限定されないが、反応が良好に進行するという観点で、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、N−フェニルイミダゾール、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、1,10−フェナントロリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−クロロベンズイミダゾール、2−ブロモベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−フェニルベンズイミダゾール、5−ニトロベンズイミダゾールが好ましく、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、N−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、1,10−フェナントロリンがより好ましく、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、N−フェニルイミダゾールが更に好ましく、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾールが更に一層好ましく、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ベンズイミダゾールが特に好ましい。
【0111】
本工程における有機塩基の使用量は、酸1モルに対し、1〜10モル使用することができ、好ましくは1〜3モルである。
【0112】
本工程において、特に好ましい酸と有機塩基との組合せは、トリフルオロ酢酸とピリジン、トリフルオロ酢酸と2,4,6−トリメチルピリジンまたはトリフルオロメタンスルホン酸とベンズイミダゾールである。
【0113】
工程(2)(縮合工程)
本工程は、前記工程(1)で得られたn個重合オリゴヌクレオチドの5’位水酸基の脱保護体(ii)と、5’位水酸基が一時保護基Qにより保護され、かつ3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)(式中、qは、0以上の任意の整数を示し、q=0の場合は、ヌクレオシドを示す。)とを縮合させる工程である。
5’位水酸基が一時保護基Qにより保護され、かつ3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)としては、pが1である場合(すなわち、5’位水酸基が一時保護基Qにより保護され、かつ3’位水酸基がホスホロアミダイト化されたヌクレオシド)が好ましい。
qの上限は、特に限定されるものではないが、49以下が好ましく、29以下がより好ましく、19以下が更に好ましく、4以下が更に一層好ましく、2以下が特に好ましい。
【0114】
【化17】
【0115】
[式中、X’は、Xと同義であり、R、R10は、それぞれ独立して、アルキル基を示すか、または隣接する窒素原子と一緒になって形成する、5または6員の飽和環状アミノ基を示す。かかる飽和環状アミノ基は、窒素原子の他に環構成原子として酸素原子または硫黄原子を1個有していてもよい。他の記号は前記と同義である。]
【0116】
本工程は、前記工程(1)で得られたn個重合オリゴヌクレオチドの5’位水酸基の脱保護体(ii)を単離することなく、工程(1)後の反応液に、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基Qにより保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)を直接添加するだけで行うことができる。本縮合工程は、工程(1)の脱保護反応の際に添加した酸と、中和反応の際に添加した有機塩基が塩形成した塩(例えば、ピリジン・トリフルオロ酢酸塩)が縮合剤として作用することから、工程(1)および(2)を液中で連続して行うことは、単離操作の省略のみならず、反応効率を向上させるという利点も有する。本縮合反応の進行が遅い場合には、付加的に別途縮合剤(例えば、ピリジン・トリフルオロ酢酸塩、テトラゾール、5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール、4,5−ジシアノイミダゾール等)を添加することにより反応効率を更に向上させることもできる。
【0117】
また、本工程においては、反応液の酸性度が高くなると、一時保護基Qが脱離する副反応が生じることがあるので、反応液の酸性化を抑える目的でN−メチルイミダゾールを添加することが好ましい。
【0118】
酸性度の調整のために添加するN−メチルイミダゾールの使用量は、中和の際に使用する有機塩基1モルに対し、0.1〜1モル使用することができ、好ましくは0.5モルである。
【0119】
本工程に使用される、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基Qにより保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)としては、下記式:
【0120】
【化18】
【0121】
(式中の記号は、前記と同義である。)で表される基が結合したp個重合オリゴヌクレオチドを挙げることができる。かかるp個重合オリゴヌクレオチドの核酸塩基としては、前記と同義の基が挙げられる。
【0122】
本工程に使用される、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基Qにより保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)は、5’位水酸基が一時保護基Qにより保護され、かつ3’位水酸基が保護されていないp個重合オリゴヌクレオチドに下記一般式(c)、(d)で表されるホスホロアミダイト化試薬を反応させる公知の方法(M.H.Caruthers et al.,Method in Enzymology 1987,154,287−313;S.L.Beaucage and M.H.Caruthers,Tetrahedron Letters 1981,22,1859−1862.)に従い、製造することができる。
【0123】
【化19】
【0124】
(式(c)、(d)中、R11は、ハロゲン原子を示し、他の記号は、前記と同義である。)
【0125】
本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。具体的には、前記工程(1)と同様の非極性溶媒が挙げられる。また、上記非極性溶媒に、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を、5’位水酸基の一時保護基が除去されたn個重合オリゴヌクレオチド(ii)が溶解し得る限り、適宜の割合で混合して用いてもよい。
この場合、極性溶媒としては、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、及びこれらの組合せが好ましく、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピペリドン、及びこれらの組合せがより好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
極性溶媒は、3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基Qにより保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)、縮合剤等の溶液として添加してもよい。
【0126】
3’位水酸基がホスホロアミダイト化され、かつ5’位水酸基が一時保護基Qにより保護されたp個重合オリゴヌクレオチド(iii)の使用量は、工程(1)で得られた5’位水酸基の一時保護基が除去されたn個重合オリゴヌクレオチド(ii)1モルに対し、1〜10モル使用することができ、好ましくは1〜5モルである。
【0127】
反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、0℃〜100℃が好ましく、20℃〜50℃がより好ましい。反応時間は、縮合させるn個重合オリゴヌクレオチドの種類、反応温度等によって異なるが、5分〜24時間である。
【0128】
工程(3)(酸化工程、または硫化工程)
工程(2)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチド(iv)に酸化剤または硫化剤を反応させることにより、該n+p個重合オリゴヌクレオチド(iv)のホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合またはチオホスフェートトリエステル結合へと変換する工程である。
【0129】
【化20】
【0130】
(式中の記号は、前記と同義である。)
【0131】
本工程は、工程(2)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチド(iv)を単離することなく、工程(2)後の反応液に、酸化剤または硫化剤を、直接添加するだけで行うことができる。
【0132】
本工程に使用する「酸化剤」としては、他の部位を酸化することなく、ホスファイトトリエステル結合を、ホスフェートトリエステル結合に酸化する能力がありさえすれば、特に限定されないが、ヨウ素、(1S)−(+)−(10−カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、2−ブタノンペルオキシド、1,1−ジヒドロペルオキシシクロドデカン、ビス(トリメチルシリル)ペルオキシド、m−クロロ過安息香酸を使用することが好ましい。良好な酸化反応が達成できるという観点で、ヨウ素、(1S)−(+)−(10−カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2−ブタノンペルオキシド、1,1−ジヒドロペルオキシシクロドデカンがより好ましく、ヨウ素、(1S)−(+)−(10−カンファニルスルフォニル)オキサジリジン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2−ブタノンペルオキシドが更に好ましく、ヨウ素、tert−ブチルヒドロペルオキシドが更に一層好ましく、ヨウ素が特に好ましい。かかる酸化剤は、0.05〜2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。かかる希釈溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、ピリジン、THF、ジクロロメタン、水、またはこれら任意の混合溶媒を挙げることができる。中でも、例えば、ヨウ素/水/ピリジン―THFあるいはヨウ素/ピリジン―酢酸、過酸化剤(TBHP)/ジクロロメタンまたはtert−ブチルヒドロペルオキシド/ノナンを用いるのが好ましい。
【0133】
本工程に使用する「硫化剤」としては、ホスファイトトリエステル結合を、チオホスフェートトリエステル結合に変換しうる能力がありさえすれば、特に限定されないが、3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(DDTT)、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド(Beaucage試薬)、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン、フェニルアセチルジスルフィド(PADS)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、3−アミノ−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(ADTT)、硫黄を使用することが好ましい。良好な反応が進行しうるという観点で、3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン(DDTT)、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド(Beaucage試薬)、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン、フェニルアセチルジスルフィド(PADS)がより好ましく、3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシドが更に好ましく、3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオンが特に好ましい。かかる硫化剤は、0.05〜2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することができる。かかる希釈溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、ピリジン又はこれら任意の混合溶媒が挙げられる。
【0134】
酸化剤または硫化剤の使用量は、工程(2)で得られたn+p個重合オリゴヌクレオチド(iv)1モルに対し、1〜50モル使用することができ、好ましくは1〜5モルである。
【0135】
反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、0℃〜100℃が好ましく、20℃〜50℃がより好ましい。反応時間は、n+p個重合オリゴヌクレオチド(iv)の種類、使用する酸化剤または硫化剤の種類、反応温度等によって異なるが、1分〜3時間である。
【0136】
工程(4)(沈殿化および固液分離工程)
本工程は、工程(3)で得られたホスフェートトリエステル結合またはチオホスフェートトリエステル結合を有するn+p個重合オリゴヌクレオチド(v)を含む反応液に極性溶媒を添加することにより該n+p個重合オリゴヌクレオチド(v)を沈殿させて、固液分離により取得する工程である。
【0137】
本工程における目的物n+p個重合オリゴヌクレオチド(v)を沈殿させるための極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピペリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水等、ならびにこれら2種以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒が好ましく、メタノールまたはアセトニトリルがより好適に使用される。本発明における極性溶媒としては、特に実用的観点からメタノールが好ましい。
極性溶媒は、目的物の極性溶媒中へのロスを最小限とするために水を含んでいてもよい。特に、極性溶媒としてアセトニトリルを用いた場合には、目的物が極性溶媒へ溶解してロスが増加する傾向にあり、僅かに水を含むアセトニトリルを用いることでそのロスを最小限にすることができる。
この場合、極性溶媒中の水の含量は、1〜10%(v/v)が好ましく、3〜8%(v/v)がより好ましい。水含量が低すぎる場合は、目的物の極性溶媒中へのロスが増える場合があり、水含量が高すぎる場合は、過剰のモノマー等不要物の極性溶媒中への除去が不十分となる傾向がある。
【0138】
酸化剤としてヨウ素を使用した場合の沈殿化の際には、沈殿化溶媒であるメタノールにチオ硫酸ナトリウム(ハイポ)を飽和させた溶液を使用することにより、ヨウ素による着色を除去することができ、5’位水酸基が保護されたn+p個重合オリゴヌクレオチド(v)を純度良く単離することが可能である。
【0139】
硫化剤を使用した場合の沈殿化の際には、沈殿化溶媒であるメタノールに3価のリン試薬(例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン等)、ハイポ等の還元剤を飽和させた溶液を使用することにより、5’位水酸基が保護されたn+p個重合オリゴヌクレオチド(v)を純度良く単離することが可能である。
【0140】
本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法は、上記工程(1)〜(4)を所望の回数繰返すことで高純度かつ高収率で目的のオリゴヌクレオチドを得ることができる。
【0141】
工程(5)(脱保護・オリゴヌクレオチド単離工程)
本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法においては、工程(4)の後に、保護基の種類・性質に応じて、脱保護を行い、オリゴヌクレオチドを単離することができる。脱保護の方法としては、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILLY&SONS)出版(1999年)等に記載されている脱保護方法に従い、オリゴヌクレオチドの全ての保護基を除去する工程を行うことができる。具体的には、本願発明における擬似固相保護基、ならびに核酸塩基の保護基であるフェノキシアセチル基、アセチル基等、リン酸骨格を保護しているシアノエチル基等は、アンモニア水、アンモニア水/エタノール溶液、またはアンモニア水とメチルアミン水溶液の混合液で処理することにより、全て除去することができる。また、ヌクレオチド5’水酸基の保護基は、工程(1)で使用される酸またはそれらを適宜希釈した溶液で処理することにより除去することができる。
保護基を有しない、オリゴヌクレオチドは酵素により容易に分解されやすいため、空気清浄度管理下でオリゴヌクレオチドを単離することが好ましい。
【0142】
上記各工程における反応の進行の確認は、いずれも一般的な液相有機合成反応と同様の方法を適用できる。すなわち、薄層シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を用いて反応を追跡することができる。
【0143】
工程(4)、あるいは工程(5)より得られたオリゴヌクレオチドは、更に有機合成反応を施すことにより、所望のオリゴヌクレオチド誘導体へと導くこともできる。
本発明によって製造されたオリゴヌクレオチドは、各種人体用または動物用の医薬品(RNA、DNA、オリゴ核酸医薬、等)、機能性食品、特定保健食品、食品、化成品、生体用や工業用の高分子材料、等の各種用途に使用することができる。
【実施例】
【0144】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。また、本明細書において、略号で表示する場合、各表示は、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものである。
【0145】
参考例1:3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアミンの合成
【0146】
【化21】
【0147】
(1)3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルクロリドの合成
アルゴン雰囲気下、3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアルコール(10.0g,11.0mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、N,N−ジメチルホルムアミド(84.0μL,1.10mmol)、塩化チオニル(1.20mL,16.4mmol)を加えて30℃で90分間攪拌した。反応終了後の反応液を減圧濃縮し、アセトニトリルを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥し、表題の化合物(10.0g,98.2%)を白色固体として得た。
(2)3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアジドの合成
3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルクロリド(4.02g,4.31mmol)をクロロホルム(40mL)とN,N−ジメチルホルムアミド(120mL)の混合溶媒に溶解させ、アジ化ナトリウム(418mg,6.42mmol)を加えて80℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、精製水(150mL)で洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過し、減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(3.92g,97.4%)を白色固体として得た。
(3)3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアミンの合成
アルゴン雰囲気下、3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアジド(3.00g,3.21mmol)を脱水テトラヒドロフラン(35mL)に溶解させ、氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(162mg,4.30mmol)を添加し、反応液を室温で2時間攪拌した。反応終了後の反応液に精製水(2mL)と4.0mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を滴下して未反応の水素化リチウムアルミニウムを分解させた後、反応液をセライト濾過した。濾液を減圧濃縮後、アセトニトリルを添加することで析出した固体を濾過し、減圧乾燥させて表題の化合物(3.09g)を白色固体として定量的に得た。
TLC:Rf=0.80(ジクロロメタン:ヘキサン=1:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,9H,J=7.0Hz,C,−octadecyloxy),1.27−1.46(m,96H,−C−octadecyloxy),1.70−1.82(m,6H,−C−octadecyloxy),3.76(s,2H,HN−C−benzyl),3.92(t,2H,J=6.6Hz,−O−C−octadecyloxy),3.97(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−octadecyloxy),6.50(s,2H,−benzyl)
【0148】
参考例2:3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールの合成
【0149】
【化22】
【0150】
(1)メチル[3,5−ビス(ドコシルオキシ)]ベンゾエートの合成
炭酸カリウム(19.9g,144mmol)を、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)中に懸濁させ、1−ブロモドコサン(15.6g,46.7mmol)、メチル(3,5−ジヒドロキシ)ベンゾエート(3.60g,21.4mmol)を加えて90℃で終夜攪拌した。反応終了後、反応液を精製水(800mL)中に注ぎ込み1時間攪拌した後、析出した固体を濾過した。得られた固体をジクロロメタン(800mL)に再度溶解させて不溶物を濾過し、濾液を減圧濃縮後、アセトンを加えて再度固体を析出させた。濾過して得られた固体をメタノール中でスラリー洗浄し、濾過後に得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(13.9g,96.5%)を白色固体として得た。
(2)3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールの合成
アルゴン雰囲気下、メチル[3,5−ビス(ドコシルオキシ)]ベンゾエート(2.03g,2.59mmol)を脱水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(148mg,3.93mmol)を加えて40℃で1時間攪拌した。酢酸エチルを滴下して未反応の水素化リチウムアルミニウムを分解させた後、ジエチルエーテルを加えて、塩酸水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、濃縮液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(1.73g,88.0%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.80(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.80(m,84H,−C−docosyloxy),3.93(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),4.62(d,2H,J=6.1Hz,HO−C−benzyl),6.38(s,1H,−benzyl),6.50(s,2H,−benzyl)
【0151】
参考例3:3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミンの合成
【0152】
【化23】
【0153】
3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールから参考例1の方法に従って表題の化合物を合成した。
TLC:Rf=0.50(ジクロロメタン:ヘキサン=1:4)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.79(m,84H,−C−docosyloxy),3.79(s,2H,HN−C−benzyl),3.93(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),6.34(s,1H,−benzyl),6.44(s,2H,−benzyl)
【0154】
参考例4:2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールの合成
【0155】
【化24】
【0156】
(1)2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンズアルデヒドの合成
アルゴン雰囲気下、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(3.00g,21.7mmol)、炭酸カリウム(30.0g,217mmol)、1−ブロモドコサン(17.3g,44.5mmol)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中に加え、70℃で終夜攪拌した。反応終了後の反応液を精製水(1L)中に注ぎ込み、1時間攪拌を行った後、析出した固体を濾過した。得られた固体をメタノール中でスラリー洗浄し、濾過して得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(16.3g,99.3%)を白色固体として得た。
(2)2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールの合成
アルゴン雰囲気下、2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンズアルデヒド(2.99g,3.96mmol)を脱水テトラヒドロフラン(60mL)とメタノール(6.0mL)の混合溶媒に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(375mg,9.91mmol)を加えて40℃で2時間攪拌した。反応終了後、精製水(2.0mL)を滴下して未反応の水素化ホウ素ナトリウムを分解させた後、セライト濾過した。濾液を減圧濃縮し、メタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(2.77g,92.9%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.80(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.80(m,84H,−C−docosyloxy),2.23(t,1H,J=6.5Hz,HO−benzyl),3.94(t,2H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),3.98(t,2H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),4.61(d,2H,J=6.5Hz,HO−C−benzyl),6.42(d,1H,J=8.2Hz,−benzyl),6.45(s,1H,−benzyl),7.12(d,1H,J=8.2Hz,−benzyl)
【0157】
参考例5:2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミンの合成
【0158】
【化25】
【0159】
2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコールから参考例1の方法に従って表題の化合物を合成した。
TLC:Rf=0.40(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.81(m,84H,−C−docosyloxy),3.75(s,2H,HN−C−benzyl),3.91−3.97(m,4H,−O−C−docosyloxy),6.39(d,1H,J=8.2Hz,−benzyl),6.44(s,1H,−benzyl),7.07(d,1H,J=8.2Hz,−benzyl)
【0160】
参考例6:2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアミンの合成
【0161】
【化26】
【0162】
(1)2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
アルゴン雰囲気下、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(1.61g,7.00mmol)、1−ブロモオクタデカン(7.32g,22.0mmol)、炭酸カリウム(4.35g,31.5mmol)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中に加え、80℃で終夜攪拌した。反応終了後、反応液に精製水(200mL)を添加し、1時間攪拌した後に、析出した固体を濾過した。得られた固体をメタノール中でスラリー洗浄し、濾過後に減圧乾燥させて表題の化合物(6.31g,91.1%)を白色固体として得た。
(2)2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアルコールの合成
2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾフェノン(3.00g,3.04mmol)を、クロロホルム(30mL)とメタノール(10mL)の混合溶媒に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(360mg,9.51mmol)を添加し、45℃で2時間攪拌した。反応終了後、0.1mol/L塩酸水を滴下することで未反応の水素化ホウ素ナトリウムを分解させた後、1.0mol/L塩酸水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過後に減圧乾燥させて表題の化合物(2.98g,99.0%)を白色固体として得た。
(3)N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアミンの合成
アルゴン雰囲気下、2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアルコール(2.44g,2.46mmol)、9−フルオレニルメチルカーバメート(1.06g,4.41mmol)を脱水トルエン(40mL)中に50℃で溶解させた後、メタンスルホン酸(51.4μL,740μmol)を加えて100℃で終夜攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、メタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(3.37g,98.1%)を白色固体として得た。
(4)2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアミンの合成
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアミン(3.37g,2.89mmol)を、クロロホルム(30mL)とアセトニトリル(15mL)の混合溶媒に溶解させた後、20%ピペリジン[1−メチル−2−ピロリドン溶液](28.6mL,57.9mmol)を添加し、室温で30分間攪拌した。反応終了後の反応液を減圧濃縮し、メタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥することで表題の化合物(2.80g,97.9%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.60(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,9H,J=7.0Hz,C−octadecyloxy),1.26−1.81(m,102H,−C−octadecyloxy),3.77−3.86(m,2H,−O−C−octadecyloxy),3.91−3.95(m,4H,−O−C−octadecyloxy),5.40(s,1H,HN−C−benzhydryl),6.58(d,1H,J=8.7Hz,−benzhydryl),6.88(d,1H,J=8.7Hz,−benzhydryl),7.20−7.37(m,5H,−benzhydryl)
【0163】
参考例7:3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアルコールの合成
【0164】
【化27】
【0165】
(1)メチル{3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]}ベンゾエートの合成
アルゴン雰囲気下、没食子酸メチル(182mg,1.00mmol)、3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルクロリド(2.81g,3.01mmol)、炭酸カリウム(1.39g,10.1mmol)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中に加え、70℃で終夜攪拌した。反応液を室温まで冷却させた後、精製水(50mL)を添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体をアセトニトリル中でスラリー洗浄後に濾過し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−ヘキサン)で精製し、表題の化合物(2.31g,80.5%)を白色固体として得た。
(2)3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアルコールの合成
メチル{3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]}ベンゾエート(1.01g,350μmol)を脱水シクロペンチルメチルエーテル(20mL)に溶解させ、氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(31.8mg,840μmol)を加えて室温で2時間攪拌した。反応終了後、0.1mol/L塩酸水を滴下することで未反応の水素化リチウムアルミニウムを分解させた後、1.0mol/L塩酸水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過した。得られた濾液を減圧濃縮後、メタノールを添加することで析出した固体を濾過後に減圧乾燥させて表題の化合物(940mg,94.6%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.80(ジクロロメタン:ヘキサン=2:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,27H,J=7.0Hz,C−octadecyloxy),1.26−1.75(m,306H,−C−octadecyloxy),3.77(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−octadecyloxy),3.87(t,10H,J=6.6Hz,−O−C−octadecyloxy),3.92(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−octadecyloxy),4.57(d,2H,J=6.0Hz,HO−C−benzyl),4.97(s,2H,HO−benzyl−O−C−phenyl),5.01(s,4H,HO−benzyl−O−C−phenyl),6.61(s,4H,HO−benzyl−O−benzyl),6.63(s,2H,HO−benzyl−O−benzyl),6.66(s,2H,HO−benzyl−O−benzyl).
【0166】
参考例8:4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドロールの合成
【0167】
【化28】
【0168】
(1)4,4’−ジドコシルオキシ−ベンゾフェノンの合成
4,4’−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン(8.2g,38.3mmol)、1−ブロモドコサン(31.3g,80.4mmol)にDMF(300mL)、炭酸カリウム(15.9g,115mmol)を加え80℃で6.5時間攪拌した。モノアルキル化体の消失を確認した後反応液を氷冷し、攪拌がしっかりとされている状態で1N塩酸(300mL)と水(150mL)をゆっくりと加えた。スラリーをろ過し、得られた結晶を水およびメタノールで洗浄し表題の化合物(28.3g,34.1mmol,89%)を得た。
H−NMR(CDCl/300MHz)δ=0.88(6H,t,J=6.6Hz,OC2245 C22−),1.1−1.6(76H,br,OC2245 C3−21−),1.81(4H,m,OC2245C2−),2.04(1H,s,−O),4.03(4H,t,J=6.5Hz,OC2245C1−),6.94(4H,d,J=8.8Hz,Ph C3,3’,5,5’−),7.77(4H,d,J=8.7Hz,Ph C2,2’,6,6’−
【0169】
(2)4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドロールの合成
4,4’−ジドコシルオキシ−ベンゾフェノン(28.3g,34.1mmol)にTHF(300mL),メタノール(15mL)を加え60℃に加熱した。水素化ホウ素ナトリウム(6.10g,161mmol)をゆっくりと加え、その温度のまま4時間攪拌した後反応液を氷冷し、1N塩酸(80mL)を滴下した。THFを留去し、水(450mL)を加えた後1N塩酸をpHが5〜7になるまで加えスラリーをろ過し、得られた結晶を水およびメタノールで洗浄して、表題の化合物(28.5g,34.1mmol,99%)を得た。
H−NMR(CDCl/300MHz)δ0.88(6H,t,J=6.6Hz,OC2245 C22−),1.1−1.6(76H,br,OC2245 C3−21−),1.73(4H,m,OC2245C2−),2.04(1H,s,−O),3.93(4H,t,J=6.6Hz,OC2245 C1−),5.76(1H,s,HO−CPh),6.85(4H,d,J=8.7Hz,Ph C3,3’,5,5’−),7.25(4H,d,J=8.6Hz,Ph C2,2’,6,6’−
【0170】
参考例9:4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドリルアミンの合成
【0171】
【化29】
【0172】
(1)N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−ビス(4−ドコシルオキシフェニル)メチルアミンの合成
4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドロール(713mg,856μmol)にトルエン(15ml)、9−フルオレニルメチルカーバメート(246mg,1.03mmol)、メタンスルホン酸(8.3μl,128μmol)を加え、100℃で3時間攪拌した。4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドロールの消失を確認した後、室温に戻した後、2.5%重曹水(10ml)を加えて攪拌した。分層して有機層を水(10ml×2)でさらに洗浄した。有機層を減圧留去し、残渣をメタノール(10ml)で洗浄して、表題の化合物(540mg,512μmol,収率60%)を得た。
H−NMR (CDCl/300MHz)δ0.88(9H,t,J=6.6,C2142−C),1.10−1.50(82H,br,Alkyl−),1.77(4H,m,−O−CH−C−C2041),3.93(4H,d,J=6.6,−O−C−C2143),4.21(1H,br,s,fluorene C9−),4.43(2H,br,d,J=6.6,fluorene−C−O),5.23(1H,br,s,Fmoc−N− or Fmoc−NH−C),5.85(1H,br,s,Fmoc−N− or Fmoc−NH−C),6.84(4H,d,J=8.7,Ph C3,5−H),7.11(4H,d,J=8.7,Ph C2,6−H),7.25−7.35(2H,br,m,fluorene C2,7−),7.39(2H,br,t,J=6.9,fluorene C3,6−),7.59(2H,br,s,fluorene C1,8−),7.75(2H,br,d,J=6.6,fluorene C4,5−H)
(2)4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドリルアミンの合成
ジクロロメタン(10ml)にDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン,200μl)を加え、そこに、参考例9(1)で得られた化合物(500mg,474μmol)を加え室温で5時間攪拌した。1N塩酸(1.3ml)を滴下し、攪拌した後、溶媒を留去し残渣をアセトニトリル(10ml)で洗浄して、表題の化合物(340mg,408μmol,収率86%)を得た。
H−NMR(CDCl/300MHz)δ0.88(6H,t,J=6.6Hz,OC2245 C22−),1.1−1.6(78H,br,OC2245C3−21−,−N),1.75(4H,m,OC2245C2−),3.92(4H,t,J=6.6Hz,OC2245 C1−),5.12(1H,s,HN−CPh),6.83(4H,d,J=8.6Hz,Ph C3,3’,5,5’−),7.24(4H,d,J=8.6Hz,Ph C2,2’,6,6’−
【0173】
実施例1(ヌクレオシドの合成):5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0174】
【化30】
【0175】
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートの合成
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン(5.00g,9.18mmol)、コハク酸無水物(1.38g,13.8mmol)、トリエチルアミン(3.85mL,27.5mmol)をジクロロメタン(95mL)に溶解して室温で8時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで反応の完結を確認した後、2.0M リン酸−トリエチルアミン バッファー(pH 7.50)で3回分液洗浄した後、有機層を減圧留去し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(7.02g,98%)を無色の泡状固体として得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアルコール(3.06g,3.35mmol)を、ジクロロメタン(35mL)に溶解し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(3.00g,4.02mmol)、2−(1Hベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオホスフェート[HBTU](1.98g,5.23mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(925μL,5.23mmol)、ジメチルアミノピリジン(639mg,5.23mmol)を加えて攪拌し、薄層クロマトグラフィーにて反応の完結を確認した後、メタノールを加えて濃縮し、吸引濾過し5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)]ベンジルスクシネート(4.77g,収率93%)を白色固体として得た。
Rf=0.78(CHCl/MeOH,10:1).
H−NMR(400MHz):δ=0.88(t,9H,Ar−C),1.29(br,s,90H,(C15),1.36(s,3H,N−C),1.77(m,6H,Ar−OCH),2.45(m,2H,2’−),2,67(m,4H,succinyl−C),3.48(m,2H,5’−),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.95(m,6H,Ar−OC),4.12(m,1H,4’−),5.01(s,2H,Ar−C−succinyl),5.50(m,1H,3’−),6.42(t,1H,1’−),6.53(s,2H,Ar−),6.84−7.26(m,13H,DMTr−Ar−),7.60(s,1H,N).
【0176】
実施例2(ジヌクレオチドの液中連続合成1):5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0177】
【化31】
【0178】
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(511mg,332μmol)をジクロロメタン(5.11mL)に溶解し、ピロール(230μL,3.32mmol)、トリフルオロ酢酸(296μL,3.98mmol)を加えて室温で15分間攪拌し、反応の完結は薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応混合液をピリジン(322μL,3.98mmol)で中和した後、N−メチルイミダゾール(158μL,1.99mmol)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト(494mg,664μmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で60分間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより反応の完結を確認した。更に、0.2M ヨウ素 ピリジン/THF/HO溶液(3.32mL)を加えて室温で10分間攪拌した。チオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を反応容器に投入し、0℃で10分間攪拌した後、キリヤマ漏斗を用いた吸引濾過後、乾燥して5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(597mg,99.2%)を白色固体として得た。
H−NMR(400MHz):δ=0.88(t,9H,J=7.04Hz,Ar−C),1.26(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.40(s,3H,N−C),1.77(m,6H,Ar−OCH),2.30(m,2H,2’),2.40(m,2H,2’),2.68(m,4H,succinyl−C),2.75(m,2H,5’),3.39(m,2H,5’),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.94(m,6H,Ar−OC),4.11(m,1H,4’),4.25(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),5.00(s,2H,Ar−C−succinyl),5.18(m,1H,3’),5.27(m,1H,3’),6.24(m,1H、1’),6.42(m,1H、1’),6.53(s,2H,Ar−),6.83−7.38(m,13H,DMTr−Ar−),7.38(m,1H,N),7.53(m,1H,N
H−NMR(400MHz):δ=0.88(t,9H,J=7.04HZ,Ar−C),1.26(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.40(s,3H,N−C),1.77(m,6H,Ar−OCH),2.30(m,2H,2’),2.68(m,2H,2’ and m,4H,succinyl−C),2.75(m,2H,5’),3.53(m,2H,5’),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.94(m,6H,Ar−OC),4.11(m,1H,4’),4.25(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),5.01(s,2H,Ar−C−succinyl),5.18(m,1H,3’),5.31(m,1H,3’),6.24(m,1H、1’),6.42(m,1H,1’),6.53(s,2H,Ar−),6.83−7.38(m,13H,DMTr−Ar−),7.38(m,1H,N),7.53(m,1H,N
【0179】
実施例3(ホスホロチオエート2量体の液中連続合成):5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホロチオニル デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0180】
【化32】
【0181】
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(200mg,130μmol)をジクロロメタン(3.00mL)に溶解し、ピロール(89.8μL,1.30mmol)、トリフルオロ酢酸(116μL,1.56mmol)を加えて室温で15分間攪拌し、反応の完結を薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応混合液をピリジン(126μL,1.56mmol)で中和した後、N−メチルイミダゾール(61.8μL,0.779mmol)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト(194mg,260μmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で60分間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより反応の完結を確認した。更に、0.05M 3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−5−チオン ピリジン/アセトニトリル溶液(7.79mL)を加えて室温で30分間攪拌した。チオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を反応容器に投入し、キリヤマ漏斗を用いた吸引濾過後、乾燥して5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホロチオニル デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(247mg,99.5%)を白色固体として得た。
H−NMR(400MHz):δ=0.88(t,9H,J=6.8Hz,Ar−C),1.28(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.46(s,3H,N−C),1.73(m,6H,Ar−OCH),2.28(m,2H,2’),2.41(m,2H,2’),2.68(m,2H,5’ and m,4H,succinyl−C),3.44(m,2H,5’),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.95(m,6H,Ar−OC),4.10(m,1H,4’),4.31(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),5.01(s,2H,Ar−C−succinyl),5.26(m,1H,3’),5.32(m,1H,3’),6.27(m,1H、1’),6.38(m,1H、1’),6.53(s,2H,Ar−),6.84−7.29(m,13H,DMTr−Ar−),7.29(m,1H,N),7.56(m,1H,N
H−NMR(400MHz):δ=0.88(t,9H,Ar−C),1.28(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.46(s,3H,N−C),1.73(m,6H,Ar−OCH),2.41(m,2H,2’),2.68(m,2H,2’ and m,4H,succinyl−C),2.77(m,2H,5’),3.44(m,2H,5’),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.95(m,6H,Ar−OC),4.17(m,1H,4’),4.31(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),5.01(s,2H,Ar−C−succinyl),5.33(m,1H,3’ and m,1H,3’),6.27(m,1H、1’),6.38(m,1H、1’),6.53(s,2H,Ar−),6.84−7.29(m,13H,DMTr−Ar−),7.29(m,1H,N),7.56(m,1H,N
【0182】
実施例4(ジヌクレオチドの液中連続合成2):5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)ウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0183】
【化33】
【0184】
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(200mg,130μmol)をジクロロメタン(3.00mL)に溶解し、ピロール(89.8μL,1.30mmol)、トリフルオロ酢酸(116μL,1.56mmol)を加えて室温で15分間攪拌し、反応の完結を薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応混合液をピリジン(126μL,1.56mmol)で中和した後、N−メチルイミダゾール(61.8μL,0.779mmol)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)ウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト(224mg,260μmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で60分間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより反応の完結を確認した。更に、0.2M ヨウ素 ピリジン/THF/HO溶液(1.33mL)を加えて室温で10分間攪拌した。チオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を反応容器に投入し、キリヤマ漏斗を用いた吸引濾過後、乾燥して5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)ウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(257mg,98.3%)を白色固体として得た。
H−NMR(400MHz):δ=0.13(t,6H,J=3.8Hz,−OSi(Me)tBu),0.88(t,9H,J=6.4,−OSi(MetBu and t,9H,J=6.36,Ar−C),1.28(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.75(m,6H,Ar−OCH),2.26(m,2H,2’),2.38(m,1H,2’),2.66(m,4H,succinyl−C),2.73(m,2H,5’),3.47(m,2H,5’),3.79(s,6H,DMTr−OC),3.94(m,6H,Ar−OC),4.25(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),4.51(m,1H,4’),4.93(m,1H,3’),5.00(s,2H,Ar−C−succinyl),5.20(m,1H,3’),5.25(m,1H,N−H),5.97(m,1H、1’),6.21(m,1H、1’),6.53(s,2H,Ar−),6.85−7.28(m,13H,DMTr−Ar−),7.29(m,1H,N),7.83(m,1H,N
H−NMR(400MHz):δ=0.13(t,6H,J=3.8Hz,−OSi(Me)tBu),0.88(t,9H,J=6.4,−OSi(MetBu and t,9H,J=6.36,Ar−C),1.28(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.75(m,6H,Ar−OCH),2.38(m,1H,2’),2.58(m,2H,2’),2.68(m,4H,succinyl−C),2.73(m,2H,5’),3.62(m,2H,5’),3.80(s,6H,DMTr−OC),3.94(m,6H,Ar−OC),4.25(m,4H,cyanoethyl−C and m,1H,4’),4.51(m,1H,4’),4.93(m,1H,3’),5.01(s,2H,Ar−C−succinyl),5.25(m,1H,N−H),5.30(m,1H,3’),5.97(m,1H、1’),6.21(m,1H、1’),6.53(s,2H,Ar−),6.85−7.28(m,13H,DMTr−Ar−),7.29(m,1H,N),7.83(m,1H,N
【0185】
実施例5(20量体オリゴヌクレオチドの液中連続合成):デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシシチジニル−[3’→5’] −デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’] −デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシチミジンの合成
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−イソブチリル−デオキシグアノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−イソブチリル−デオキシグアノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−イソブチリル−デオキシグアノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシアデノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシアデノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−イソブチリル−デオキシグアノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシシチジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−デオキシアデノシン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン 3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
実施例2と同様の操作を19回繰り返して、上記化合物(2.55g)を得た。
(2)脱保護および精製工程
実施例5の(1)で合成された化合物(100mg,10.3μmol)と30%アンモニア水:エタノール=3:1溶液(5.00mL)をオートクレーブに入れて80℃で2時間加熱した後、凍結乾燥した。凍結乾燥品を0.1M酢酸アンモニウム水溶液で希釈し、C−18カートリッジ精製を行い得られた溶出液を凍結乾燥し、目的物である デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシシチジニル−[3’→5’] −デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシグアニジル−[3’→5’]−デオキシシチジニル−[3’→5’] −デオキシアデニリル−[3’→5’] −デオキシチミジニル−[3’→5’] −デオキシチミジンを得た。
HPLC(shodex ODP(4.6φ×150mm)、flow rate 1.0mL/min、MeCN、HO gradient:0−15min;2 to 98%、15 to 25min;98%、λ=254nm):Rt=5.61min(96.3%);
MALDI−TOF/MS:6043.66[M−H]-
【0186】
試験例1(カチオン捕捉剤の検討)
試験化合物として、5’位水酸基を4,4’−ジメトキシトリチル(以下、DMTrと略称することもある。)で保護した、実施例1の化合物(以下、DMTr保護化合物と略称することもある。)を使用し、DMTrカチオン捕捉候補物質の試験・評価を行った。
DMTr保護化合物(50.0mg,32.5μmol)をジクロロメタン(350μL)に溶解させて原料溶液とし、表1に記載のカチオン捕捉剤候補物質(162μmol)を添加し、トリフルオロ酢酸(29.2μL,394μmol)を加えて、下記TLC測定条件で、反応液のDMTr保護化合物のスポットがUVと呈色反応の両者で消失確認できるまで、室温で約30分間攪拌した。
更に、ピリジン(31.8μL,394μmol)で中和後の反応液に対して、下記TLC測定条件により、下記評価基準で評価を行った。
○(効果あり):DMTr保護化合物のスポットが、UVと呈色反応の両者で確認されなかった場合
×(効果なし):DMTr保護化合物のスポットが、UVと呈色反応のいずれか、または、両者で確認された場合
結果を表1に示す。
〔薄層クロマトグラフィー(TLC)測定条件〕
TLC板(2cm×5cm角、メルク社製)に対して、TLCスポッティングキャピラリーチューブ5μL(Hirschmann Laborgeraete社製)を用いて、反応液を原点付近にスポットし、展開液(ジクロロメタン/メタノール=10/1)により展開し、UV(254nm)と、呈色反応(リンモリブデン酸−エタノール溶液に浸漬後、ホットプレート(約300℃)で10秒以上)で目視確認した。
(DMTr保護化合物Rf値=0.70,DMTr脱保護化合物Rf値=0.40)
【0187】
【表1】
【0188】
カチオン捕捉剤として汎用されるジメチルスルフィド、アニソール、チオアニソール、クレゾール、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、スクシンイミド、またはフタルイミドを使用した場合には、中和後に、再び5’末端水酸基が保護基Qにより保護されることから、カチオン捕捉剤として十分に機能しないことが分かった。また、慣用のカチオン捕捉剤であるトリアルキルシラン(例、トリイソプロピルシラン、トリエチルシラン等)を使用した場合には、5’末端水酸基が中和後にトリアルキルシリル化されるため、次の縮合工程に使用することができないことが分かった。更にメタノールをカチオン捕捉剤として使用した場合には、カチオンを不可逆的に捕捉するものの、次工程の縮合反応を妨げるため、適用できないことも分かった。
一方、中和反応後もDMTrカチオンの無害化状態を保持できる捕捉剤として、ピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール等のピロール誘導体、インドール等のインドール誘導体が有効であることが分かった。
【0189】
試験例2(カチオン捕捉剤としてメタノールを用いた場合)
試験化合物として、5’位水酸基の保護基が4,4’−ジメトキシトリチルである実施例1の化合物を使用し、試験例1でDMTrカチオンスカベンジャーとして有効性が確認されたメタノールについて、脱保護・縮合の液中連続合成が可能であるか否かについて以下に示す方法で検討した。
【0190】
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルス]クシネート(100mg,65.0μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、メタノール(13.2μL,325μmol)、トリフルオロ酢酸(57.9μL,779μmol)を加えて室温で15分間攪拌し、反応の完結をHPLCにより確認した。反応混合液をピリジン(63.0μL,779μmol)で中和した後、N−メチルイミダゾール(30.9μL,390μmol)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト(96.8mg,130μmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で60分間攪拌後の反応系をHPLCにより分析した。脱保護反応後の反応系と縮合反応後の反応系のHPLCピーク面積値を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
上記結果より、メタノールはDMTrカチオンの無害化を中和後も維持し続けたが、同一系内で縮合反応を連続して行っても、縮合反応はほとんど進行しないことが明らかとなった。
【0193】
試験例3(カチオン捕捉剤としてトリエチルシランを用いた場合)
試験化合物として、5’位水酸基の保護基が4,4’−ジメトキシトリチルである実施例1の化合物を使用し、DMTrカチオンスカベンジャーとしてトリエチルシランを用い、脱保護反応を以下に示す方法で検討した。
【0194】
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(100mg,65.0μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、トリエチルシラン(51.7μL,325μmol)、トリフルオロ酢酸(57.9μL,779μmol)を加えて室温で15分間攪拌し、反応の完結を薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応混合液をピリジン(63.0μL,779μmol)で中和した後、メタノール溶液を反応容器に投入し、キリヤマ漏斗を用いた吸引濾過後、乾燥した。乾燥して得られた固体のH−NMR(下記)を測定した結果、5’位水酸基がトリエチルシリル化された5’−O−(トリエチルシリル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートと5’−OH−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートが1’位のプロトン強度比で5’位トリエチルシリル体:5’位OH体=0.26:1.00の混合物として得られた。
H−NMR(400MHz):δ=0.68(dd,6H,Si(CCH),0.86(t,9H,Ar−C), 0.99(t,9H,(CH),1.26(br,s,90H,(C15),1.30(s,3H,N−C),1.75(m,6H,Ar−OCH),2.12(m,2H,2’−),2.68(m,6H,succinyl−C),3.88(m,2H,5’−),3.98(m,6H,Ar−OC),4.07(m,1H,4’−),5.02(s,2H,Ar−C−succinyl),5.28(m,1H,3’−),6.37(t,1H,1’−),6.54(s,2H,Ar−),7.62(s,1H,N
【0195】
上記結果より、トリエチルシランは脱保護反応中でのDMTrカチオン無害化には有効であるが、中和後には脱保護体の一部の5’位水酸基をトリエチルシリル化し、連続する縮合工程に悪影響を与えるため、DMTrカチオンスカベンジャーとしては不適当であることが明らかとなった。
【0196】
試験例4(液中連続反応後の沈殿化、単離を行う工程を変更した場合)
試験化合物として、5’−OH−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートを使用し、縮合、酸化、および脱保護反応の順に同一系内で連続して行う検討を以下の方法で行った。
【0197】
アルゴン雰囲気下、5’−OH−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(79.3mg,52.3μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト(77.9mg,105μmol)と1H−テトラゾール(36.6mg,523μmol)のアセトニトリル溶液を加えた。室温で60分間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより反応の完結を確認した。更に、反応液に0.2M ヨウ素 ピリジン/THF/HO溶液(1.1mL)を加えて室温で10分間攪拌した後、TFA(46.6μL,628μmol)を投入し、反応の追跡をHPLC分析により行った。縮合反応後、TFAの投入前と投入後30分間室温で攪拌させた反応系のHPLCピーク面積値を表3に示す。
【0198】
【表3】
【0199】
上記結果より、ヨウ素/ピリジンを酸化剤として用いた液中連続合成法を縮合反応から開始した場合、縮合反応後の反応系を2%TFAの状態にしても5’位水酸基のDMTr基が脱保護されないことが明らかとなった。このことから、本発明におけるオリゴヌクレオチドの液中連続合成においては、5’位水酸基の一時保護基であるDMTr基の除去(脱保護)、縮合、および酸化の順に行い、酸化後にハイポを飽和させたメタノール等の添加による沈殿化、および固液分離する単離操作を行うのが良いことが分かった。
【0200】
実施例6:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−N−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
【0201】
【化34】
【0202】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(1.45g,1.94mmol)、3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアミン(1.02g,1.10mmol)を脱水ジクロロメタン(15mL)に溶解させ、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](2.53g,6.60mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.17mL,6.60mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮液にメタノールを添加後、濾過して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール,1%v/vトリエチルアミン)で精製し表題の化合物(1.22g,72.4%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.50(ジクロロメタン:メタノール=4:1)
H−NMR(400MHz):δ0.89(t,9H,J=7.0Hz,C(octadecyloxy)),1.25−1.79(m,102H,−C−(octadecyloxy)),1.35(s,3H,N−C−thymidine),2.45(m,2H,2’−thymidine),2.51(m,2H,succinyl),2.70(m,2H,succinyl),3.46(m,2H,5’−thymidine),3.79(s,6H,CO−DMTr),3.79−3.95(m,6H,Bn−O−C−),4.15(m,1H,4’−thymidine),4.32(d,2H,J=5.5Hz,−NH−C−benzyl),5.47(m,1H,3’−thymidine),5.72(d,2H,J=5.5Hz,−NH−C−benzyl),6.41(m,1H,1’−Thymidine),6.45(s,2H,−benzyl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,DMTr),7.24−7.38(m,9H,DMTr),7.61(s,1H,N−thymidine),7.95(br・s,N−N−thymidine)
【0203】
実施例7:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0204】
【化35】
【0205】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(837mg,1.12mmol)、3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコール(500mg,660μmol)を脱水ジクロロメタン(10mL)と脱水ジエチルエーテル(10mL)の混合溶媒に溶解させた後、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](3.00g,7.82mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.40mL,7.82mmol)を加えて30℃で4時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過した。濾液を減圧濃縮し、メタノールを添加することで析出した固体を濾過後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、1%v/vトリエチルアミン)で精製することで表題の化合物(702mg,76.9%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.60(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0, C−docosyloxy),1.25−1.76(m,84H,−C−docosyloxy),1.35(s,3H,N−C−thymidine),2.45(m,2H,2’−thymidine),2.67(m,4H,succinyl),3.46(m,2H,5’−thymidine),3.79(s,6H,CO−DMTr),3.90(t,4H,J=6.6Hz,Bn−O−C−),4.11(m,1H,4’−thymidine),5.03(s,2H,NH−C−benzyl),5.47(m,1H,3’−thymidine),6.38(m,1H,3’−thymidine),6.85(s,2H,−benzyl),6.83(d,4H,J=9.0,DMTr),7.24−7.38(m,9H,DMTr),7.60(m,1H,N−thymidine),7.97(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0206】
実施例8:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−N−[3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
【0207】
【化36】
【0208】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(223mg,299μmol)、3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミン(133mg,175μmol)を脱水ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](375mg,954μmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(170μL,954μmol)を加えて室温で2時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過し、減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体を減圧乾燥させて表題の化合物(205mg,84.6%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.40(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0,C−docosyloxy),1.25−1.75(m,84H,−C−docosyloxy),1.35(s,3H,N−C−thymidine),2.45(m,2H,2’−thymidine),2.52(m,2H,succinyl),2.69(m,2H,succinyl),3.46(m,2H,5’−thymidine),3.79(s,6H,CO−DMTr),3.89(t,4H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),4.14(m,1H,4’−thymidine),4.34(d,2H,J=5.6Hz,−NH−C−benzyl),5.47(m,1H,3’−thymidine),5.74(t,1H,J=5.6Hz,−N−CH−benzyl),6.35(m,1H,1’−thymidine),6.38(s,2H,−benzyl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,−DMTr),7.24−7.38(m,9H,−DMTr),7.61(s,1H,N−thymidine),7.93(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0209】
実施例9:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−[2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0210】
【化37】
【0211】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(1.69g,2.24mmol)、2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアルコール(990mg,1.32mmol)を脱水ジクロロメタン(15mL)に溶解し、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](2.77g,7.20mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.28mL,7.20mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過し、減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過後、乾燥させて表題の化合物(1.68g,92.0%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.70(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.75(m,84H,−C−docosyloxy),1.35(s,3H,N−C−thymidine),2.44(m,2H,2’−thymidine),2.64(m,4H,succinyl),3.45(m,2H,5’−thymidine),3.79(s,6H,C−DMTr),3.92(m,4H,−O−C−docosyloxy),4.10(m,1H,4’−thymidine),5.11(s,2H,−O−C−benzyl),5.47(m,1H,3’−thymidine),6.39(m,1H,1’−thymidine),6.42(s,2H,−benzyl),6.83(d,4H,J=8.9Hz,−DMTr),7.17−7.39(m,9H,−DMTr),7.60(s,1H,N−thymidine),7.97(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0212】
実施例10:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
【0213】
【化38】
【0214】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(1.70g,2.28mmol)、2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミン(1.01g,1.32mmol)を脱水ジクロロメタン(15mL)に溶解させ、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](2.73g,7.20mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.28mL,7.20mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過した。減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過し、減圧乾燥させて表題の化合物(1.75g,96.0%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.60(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.74(m,84H,−C−docosyloxy),1.34(s,3H,N−C−thymidine),2.45(m,2H,2’−thymidine),2.46(m,2H,succinyl),2.66(m,2H,succinyl),3.45(m,2H,5’−thymidine),3.79(s,6H,CO−DMTr),3.89(t,2H,J=6.6Hz,−O−C−docosyloxy),3.94(t,2H,J=6.6Hz,−O−CH−docosyloxy),4.11(m,1H,4’−thymidine),4.35(d,2H,J=5.7Hz,−NH−C−benzyl),5.47(m,1H,3’−thymidine),5.93(t,1H,J=5.7Hz,−N−CH−benzyl),6.38(m,1H,1’−thymidine),6.42(s,2H,−benzyl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,−DMTr),7.11−7.38(m,9H,−DMTr),7.60(s,1H,N−thymidine),7.96(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0215】
実施例11:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−N−[4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドリル]スクシナメートの合成
【0216】
【化39】
【0217】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(2.02g,2.71mmol)および4,4’−ビス(ドコシルオキシ)ベンズヒドリルアミン(1.25g,1.50mmol)を脱水ジクロロメタン(15mL)に溶解し、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](3.40g,8.93mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.56mL,9.00mmol)を加えて40℃で終夜攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、反応液を減圧濃縮し、濃縮液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール,1%v/vトリエチルアミン)で精製し、表題の化合物(1.65g,75.3%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.70(ジクロロメタン:メタノール=10:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−docosyloxy),1.25−1.76(m,84H,−C−docosyloxy),1.36(s,3H,N−C−thymidine),2.42(m,2H,2’−thymidine),2.55(m,2H,succinyl),2.70(m,2H,succinyl),3.45(m,2H,5’−thymidine),3.78(s,6H,CO−DMTr),3.89(dt,4H,J=6.7,13.6Hz,−O−C−docosyloxy),4.11(m,1H,4’−thymidine),5.48(m,1H,3’−thymidine),6.03(d,1H,J=7.8Hz,−NH−C−benzhydryl),6.10(d,1H,J=7.8Hz,−N−CH−benzhydryl),6.39(m,1H,1’−thymidine),6.81(m,4H,−benzhydryl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,−DMTr),7.08−7.39(m,9H+4H,−DMTr+−benzhydryl),7.59(s,1H,N−thymidine),7.89(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0218】
実施例12:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリル]スクシナメートの合成
【0219】
【化40】
【0220】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(1.29g,1.70mmol)、2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリルアミン(1.01g,1.02mmol)を脱水ジクロロメタン(15mL)に溶解し、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](2.31g,6.09mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.07mL,6.06mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過した。減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過し、減圧乾燥させて表題の化合物(1.14g,68.8%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.50(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz) spectra of diastereomer 1:δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−octadecyloxy),1.16−1.80(m,3H+102H,N−C−thymidine+−CH−octadecyloxy),2.42−2.80(m,1H+4H,2’−thymidine+succinyl), 3.26(m,2H,2’−thymidine),3.45(m,2H,5’−thymidine),3.78(s,6H,CO−DMTr),3.94(m,6H,−O−C−octadecyloxy),4.12(m,1H,4’−thymidine),5.50(m,1H,3’−thymidine),6.25(d,1H,J=8.6Hz,−NH−C−benzhydryl),6.41(m,1H,1’−thymidine),6.59(d,1H,J=8.6Hz,−benzhydryl),6.74(d,1H,J=8.6Hz,−N−CH−benzhydryl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,−DMTr),6.90(d,1H,J=8.6Hz,−benzhydryl),7.11−7.39(m,9H+5H,−DMTr+−benzhydryl),7.60(s,1H,N−thymidine),8.00(br・s,1H,N−N−thymidine)
H−NMR(400MHz) spectra of diastereomer 2:δ0.88(t,6H,J=7.0Hz,C−octadecyloxy),1.16−1.80(m,3H+102H,N−C−thymidine+−C−octadecyloxy),2.42−2.80(m,1H+4H,2’−thymidine+succinyl), 3.26(m,2H,2’−thymidine),3.45(m,2H,5’−thymidine),3.78(s,6H,CO−DMTr),3.94(m,6H,−O−C−octadecyloxy),4.12(m,1H,4’−thymidine),5.50(m,1H,3’−thymidine),6.26(d,1H,J=8.6Hz,−NH−C−benzhydryl),6.41(m,1H,1’−thymidine),6.61(d,1H,J=8.6Hz,−benzhydryl),6.76(d,1H,J=8.6Hz,−N−CH−benzhydryl),6.83(d,4H,J=9.0Hz,−DMTr),6.92(d,1H,J=8.6Hz,−benzhydryl),7.11−7.39(m,9H+5H,−DMTr+−benzhydryl),7.60(s,1H,N−thymidine),8.00(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0221】
実施例13:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−イル−{3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジル}スクシネートの合成
【0222】
【化41】
【0223】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−O−スクシネートのトリエチルアミン塩(408mg,548μmol)、3,4,5−トリス[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアルコール(904mg,318μmol)を脱水ジクロロメタン(10mL)に溶解し、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](1.09g,2.87mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(507μL,2.85mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後に濾過した。減圧濃縮した濾液にメタノールを添加することで析出した固体を濾過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=99/2,1%v/vトリエチルアミン)で精製して表題の化合物(207mg,65.2%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.50(ジクロロメタン:メタノール=19:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,27H,J=6.9, C−octadecyloxy),1.25−1.75(m,306H,−C−octadecyloxy),1.35(s,3H,N−C−thymidine),2.47(m,2H,2’−thymidine),2.66(m,4H,succinyl),3.47(m,2H,5’−thymidine),3.74(t,4H,J=6.3Hz,−benzyl−O−C−octadecyloxy),3.78(s,6H,CO−DMTr),3.86(t,10H,J=6.3Hz,−benzyl−O−C−octadecyloxy),3.92(t,4H,J=6.3Hz,−benzyl−O−C−octadecyloxy),4.15(m,1H,4’−thymidine),4.99(m,2H+6H,−O−C−benzyl−O−CH−benzyl+−O−CH−benzyl−O−C−benzyl),5.48(m,1H,3’−thymidine),6.42(m,1H,3’−thymidine),6.61(s,6H,−O−benzyl−O−benzyl),6.66(s,2H,−O−benzyl−O−benzyl),6.82(d,4H,J=8.9Hz,DMTr),7.23−7.38(m,9H,DMTr),7.60(m,1H,N−thymidine),7.93(br・s,1H,N−N−thymidine)
【0224】
実施例14:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0225】
【化42】
【0226】
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−O−スクシネートの合成
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン(1.98g,3.57mmol)、コハク酸無水物(631mg,6.30mmol)、トリエチルアミン(1.49mL,10.7mmol)をジクロロメタン(30mL)に溶解して室温で3時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで反応の完結を確認した後、2.0Mリン酸−トリエチルアミンバッファー(pH7.50)で3回分液洗浄した後、有機層を減圧留去し、表題の化合物のトリエチルアミン塩(2.80g)を無色の泡状固体として定量的に得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
実施例14−(1)で合成した化合物(1.40g,1.84mmol)、3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアルコール(989mg,1.08mmol)を脱水ジクロロメタン(40mL)に溶解させ、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート[HBTU](2.46g,6.48mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.13mL,6.48mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認した後、反応液にメタノールを添加後、濾過して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル,1%v/vトリエチルアミン)で精製し表題の化合物(1.41g,84.0%)を白色固体として得た。
TLC:Rf=0.72(ジクロロメタン:メタノール=9:1)
H−NMR(400MHz):δ0.88(t,9H,J=6.6Hz,C(octadecyloxy)),1.18−1.80(m,102H,−C−(octadecyloxy)),2.70(m,4H,succinyl),3.42−3.50(m,1H,5’−thymidine),3.46(s,3H,2'−OMe),3.56−3.62(m,1H,5’−thymidine),3.79(s,6H,CO−DMTr),3.90−4.00(m,6H,Bn−O−C−),4.08(m,1H,2’−H),4.24(m,1H,4’−H),5.01(s,2H,−O−C−benzyl),5.28−5.33(m,2H,3’−H and N−H),6.02(m,1H,1’−H),6.53(s,2H,−benzyl),6.84(m,4H,DMTr),7.24−7.38(m,9H,DMTr),7.86(d,1H,J=8.20Hz,N−H),8.10(br・s,N−N
【0227】
実施例15:デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
【0228】
【化43】
【0229】
を用いた5’−d[CATT]−3’の合成
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例6で合成した化合物(302mg,195μmol)をジクロロメタン(4.5mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(72.2μL,975μmol)、ピロール(66.9μL,975μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(78.9μL,975μmol)、N−メチルイミダゾール(38.7μL,488μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト)(435mg,585μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(5.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムの飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(385mg)を白色固体として定量的に得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例15−(1)で合成した化合物(383mg,200μmol)をジクロロメタン(4.5mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(72.2μL,975μmol)、ピロール(66.9μL,975μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(78.9μL,975μmol)、N−メチルイミダゾール(38.7μL,488μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させたdA−CE ホスホロアミダイト試薬(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト)(514mg,600μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(5.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(479mg,99.8%)を白色固体として得た。
(3)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例15−(2)で合成した化合物(476mg,198μmol)をジクロロメタン(4.5mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(72.2μL,975μmol)、ピロール(66.9μL,975μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(78.9μL,975μmol)、N−メチルイミダゾール(38.7μL,488μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させたdC−CE ホスホロアミダイト試薬(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト)(500mg,600μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(5.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(522mg,91.9%)を白色固体として得た。
(4)デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
実施例15−(3)で合成した化合物と、28%アンモニア水溶液:エタノール=3:1の溶液(4.0mL)をオートクレーブにいれて65℃で16時間加熱した後、反応液を遠心エバポレーターで減圧濃縮した。C−18逆相カートリッジカラムに吸着させた後、0.1mol/L酢酸アンモニウム水溶液で洗浄し、2%トリフルオロ酢酸水溶液により、5’末端の水酸基に結合したジメトキトリチル基を脱保護し、20%アセトニトリル水溶液で溶出して表題の化合物を得た。
m/z(MALDI TOF):Anal.Calc.for C39511223:1148.2.Found 1147.0(M−H)
【0230】
実施例16:デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
【0231】
【化44】
【0232】
を用いた5’−d[CATT]−3’の合成
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
実施例7で合成した化合物(202mg,146μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(53.5μL,723μmol)、ピロール(50.0μL,723μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(58.4μL,723μmol)、N−メチルイミダゾール(28.6μL,361μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(208mg,289μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(226mg,89.0%)を白色固体として得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
実施例16−(1)で合成した化合物(225mg,129μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(47.8μL,645μmol)、ピロール(44.6μL,645μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(52.1μL,645μmol)、N−メチルイミダゾール(25.6μL,323μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdA−CE ホスホロアミダイト試薬(334mg,387μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(288mg)を定量的に白色固体として得た。
(3)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]−ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,5−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
実施例16−(2)で合成した化合物(287mg,129μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(47.8μl,645μmol)、ピロール(44.6μl,645μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(52.1μL,645μmol)、N−メチルイミダゾール(25.6μL,323μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdC−CE ホスホロアミダイト試薬(325mg,387μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(316mg,91.2%)を白色固体として得た。
(4)デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
実施例16−(3)で合成した化合物と、28%アンモニア水溶液:エタノール=3:1の溶液(4.0mL)をオートクレーブにいれて65℃で16時間加熱した後、反応液を遠心エバポレーターで減圧濃縮した。濃縮液をC−18逆相カートリッジカラムに吸着させた後、0.1mol/L酢酸アンモニウム水溶液で洗浄し、2%トリフルオロ酢酸水溶液により、5’末端の水酸基に結合したジメトキトリチル基を脱保護し、20%アセトニトリル水溶液で溶出して表題の化合物を得た。
m/z(MALDI TOF):Anal.Calc.for C39511223:1148.2.Found 1147.0(M−H)
【0233】
実施例17:デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
【0234】
【化45】
【0235】
を用いた5’−d[CATT]−3’の合成
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例10で合成した化合物(197mg,143μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(53.5μL,720μmol)、ピロール(50.0μL,720μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(58.4μL,720μmol)、N−メチルイミダゾール(28.6μL,360μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(201mg,289μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(248mg,99.9%)を白色固体として得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例17−(1)で合成した化合物(235mg,135μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(53.5μL,720μmol)、ピロール(50.0μL,720μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(58.4μL,720μmol)、N−メチルイミダゾール(28.6μL,360μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdA−CE ホスホロアミダイト試薬(347mg,405μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(276mg,91.9%)を白色固体として得た。
(3)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,4−ビス(ドコシルオキシ)ベンジル]スクシナメートの合成
実施例17−(2)で合成した化合物(253mg,94.2μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(34.9μL,471μmol)、ピロール(32.6μL,471μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(38.1μL,471μmol)、N−メチルイミダゾール(18.7μL,235μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdC−CE ホスホロアミダイト試薬(236mg,282μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(252mg,99.5%)を白色固体として得た。
(4)デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
実施例17−(3)で合成した化合物と、28%アンモニア水溶液:エタノール=3:1の溶液(4.0mL)をオートクレーブにいれて65℃で16時間加熱した後、反応液を遠心エバポレーターで減圧濃縮した。濃縮液をC−18逆相カートリッジカラムに吸着させた後、0.1mol/L酢酸アンモニウム水溶液で洗浄し、2%トリフルオロ酢酸水溶液により、5’末端の水酸基に結合したジメトキトリチル基を脱保護し、20%アセトニトリル水溶液で溶出して表題の化合物を得た。
m/z(MALDI TOF):Anal.Calc.for C39511223:1148.24.Found 1149.63(M+H)
【0236】
実施例18:デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
【0237】
【化46】
【0238】
を用いた5’−d[CATT]−3’の合成
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリル]スクシナメートの合成
実施例12で合成した化合物(401mg,246μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(91.0μL,1.23mmol)、ピロール(85.0μL,1.23mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(99.5μL,1.23mmol)、N−メチルイミダゾール(48.8μl,615μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(373mg,492μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(4.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(491mg,95.7%)を白色固体として得た。
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリル]スクシナメートの合成
実施例18−(1)で合成した化合物(228mg,115μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(42.6μL,575μmol)、ピロール(39.8μL,575μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(46.5μL,575μmol)、N−メチルイミダゾール(22.9μL,288μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdA−CE ホスホロアミダイト試薬(296mg,345μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(269mg,94.1%)を白色固体として得た。
(3)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−N−ベンゾイル−2’−デオキシシチジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−N−[2,3,4−トリス(オクタデシルオキシ)ベンズヒドリル]スクシナメートの合成
実施例18−(2)で合成した化合物(254mg,102μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(37.8μL,510μmol)、ピロール(35.3μL,510μmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(41.2μL,510μmol)、N−メチルイミダゾール(20.2μL,255μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdC−CE ホスホロアミダイト試薬(254mg,306μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.1mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(293mg,97.3%)を白色固体として得た。
(4)デオキシシチジニル−[3’→5’]−デオキシアデニリル−[3’→5’]−デオキシチミジニル−[3’→5’]−デオキシチミジン(5’−d[CATT]−3’)の合成
実施例18−(3)で合成した化合物と、28%アンモニア水溶液:エタノール=3:1の溶液(4.0mL)をオートクレーブにいれて65℃で16時間加熱した後、反応液を遠心エバポレーターで減圧濃縮した。濃縮液をC−18逆相カートリッジカラムに吸着させた後、0.1mol/L酢酸アンモニウム水溶液で洗浄し、2%トリフルオロ酢酸水溶液により、5’末端の水酸基に結合したジメトキトリチル基を脱保護し、20%アセトニトリル水溶液で溶出して表題の化合物を得た。
m/z(MALDI TOF):Anal.Calc.for C39511223:1148.24.Found 1146.8(M−H)
【0239】
実施例19:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−フルオロウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0240】
【化47】
【0241】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(214mg,138μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.38mmol)、ピロール(90.0μL,1.38mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(105μL,1.38mmol)、N−メチルイミダゾール(51.6μL,690μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させた2’−F−U−CE ホスホロアミダイト試薬(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−フルオロウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト)(390mg,520μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(243mg,93.2%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C108163FN20P:1900.16.Found 1919.19(M+NH
【0242】
実施例20:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0243】
【化48】
【0244】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(202mg,129μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.38mmol)、ピロール(90.0μL,1.38mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(105μL,1.38mmol)、N−メチルイミダゾール(51.6μL,690μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させた2’−OMe−U−CE ホスホロアミダイト試薬(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト)(402mg,528μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(237mg,95.7%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C10916622P:1929.48.Found 1947.21(M+NH
【0245】
実施例21:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−フルオロウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0246】
【化49】
【0247】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(197mg,127μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.38mmol)、ピロール(90.0μL,1.38mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(105μL,1.38mmol)、N−メチルイミダゾール(51.6μL,690μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させた2’−F−U−CE ホスホロアミダイト試薬(404mg,539μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(228mg,94.7%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C108163FN21P:1917.44.Found 1935.18(M+NH
【0248】
実施例22:5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−メトキシウリジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
【0249】
【化50】
【0250】
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(214mg,138μmol)をアルゴン雰囲気下ジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.38mmol)、ピロール(90.0μL,1.38mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(105μL,1.38mmol)、N−メチルイミダゾール(51.6μL,690μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させた2’−OMe−U−CE ホスホロアミダイト試薬(396mg,520μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(3.9mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(246mg,94.0%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C10916621P:1912.18.Found 1931.21(M+NH
【0251】
実施例23:中和塩基として2,4,6−トリメチルピリジンを用いたワンポット反応
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(200mg,130μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.30mmol)、ピロール(90.0μL,1.30mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、2,4,6−トリメチルピリジン(171μL,1.30mmol)、N−メチルイミダゾール(48.6μL,650μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(193mg,260μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.6mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(241mg,96.9%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C10916620P:1896.19.Found 1915.23(M+NH
【0252】
実施例24:脱保護試薬としてトリフルオロメタンスルホン酸を用い、中和試薬としてベンズイミダゾールを用いたワンポット反応
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(200mg,130μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸(5.75μL,65.0μmol)、ピロール(90.0μL,1.30mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ベンズイミダゾール(7.68mg,65.0μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.0mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(193mg,260μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.6mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和したメタノール溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(248mg,98.6%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C10916620P:1896.19.Found 1915.23(M+NH
【0253】
実施例25 析出溶媒として90%アセトニトリル水溶液を用いたワンポット反応
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−[O−(2−シアノエチル)]ホスホリル−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネートの合成
アルゴン雰囲気下、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−デオキシチミジン−3’−イル−[3,4,5−トリス(オクタデシルオキシ)ベンジル]スクシネート(200mg,130μmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(96.3μL,1.30mmol)、ピロール(90.0μL,1.30mmol)を加えて5分間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにより脱保護反応の終了を確認し、ピリジン(105μL,1.30mmol)、N−メチルイミダゾール(51.6μL,650μmol)を加えて10分間撹拌した。中和後の反応液に0.25mol/L 5−(ベンジルチオ)−1H−テトラゾール/アセトニトリル溶液(1.5mL)で溶解させたdT−CE ホスホロアミダイト試薬(193mg,260μmol)を加えて10分間撹拌した後、0.2mol/L ヨウ素 ピリジン/テトラヒドロフラン/水=49/49/2溶液(2.6mL)を加えて10分間撹拌した。反応終了後の反応液にチオ硫酸ナトリウムを飽和した90%アセトニトリル水溶液を添加し、生じた固体を濾過後乾燥し、表題の化合物(248mg,99.6%)を白色固体として得た。
m/z(ESI−MS):Anal.Calc.for C10916620P:1896.19.Found 1915.22(M+NH
【産業上の利用可能性】
【0254】
一時保護基で保護された5’末端水酸基の脱保護工程において特定のカチオン捕捉剤を添加すること、脱保護反応終了後に中和処理を施すこと、および酸化工程または硫化工程で特定の酸化剤または硫化剤を使用することにより、3’末端の水酸基を擬似固相保護基で保護され、かつ5’末端の水酸基を一時保護基により保護されたn個重合オリゴヌクレオチドを原料して、(1)5’末端の水酸基の一時保護基の脱保護工程、(2)3’末端の水酸基がホスホロアミダイト化されたp個重合オリゴヌクレオチド添加による5’末端伸長工程、および(3)ホスファイトトリエステル部位の酸化(または硫化)工程、を含有させることによって、効率的かつ高収率なn+p個重合オリゴヌクレオチドの製造方法、更にはRNA、DNA、核酸医薬等を提供できるようになった。また、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法を利用した、オリゴヌクレオチド自動合成プログラム、オリゴヌクレオチド自動合成装置も展開できるようになった。
【0255】
「“ゲノムケミストリー” 関根光雄・齋藤烈編、講談社サイエンティフィック、1−3(2003)」によれば、通常のホスホロアミダイト法は、以下を基本単位とすることが知られている。
STEP1:脱保護ステップ(鎖伸長生成物の5’水酸基の保護基の除去)、
STEP2:縮合ステップ(種々の官能基を保護したヌクレオシド−3’−ホスホロアミダイトと保護ヌクレオチドとを縮合するステップ)、
STEP3:キャッピングステップ(未反応の5’−水酸基をキャッピングするステップ)、および
STEP4:酸化ステップ(酸化してヌクレオシドホスフェートトリエステル体を得るステップ)。
【0256】
「連続的改良ホスホロアミダイト法」を「(STEP1)脱保護ステップ、(STEP2)縮合ステップ、(STEP4)酸化ステップを基本単位とし、STEP1、2の後で単離精製工程を経ることなく、STEP1、2、4を液中で連続的に実施する方法」と定義するならば、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法を、以下のように表すこともできる。
〔1〕脱保護ステップにおいて、ピロール誘導体およびインドール誘導体から選択される少なくとも一種のカチオン捕捉剤を含有することを特徴とする、連続的改良ホスホロアミダイト法によるオリゴヌクレオチドの製造方法。
〔2〕更に、脱保護ステップの後、縮合ステップに先立ち、有機塩基を含有することを特徴とする、〔1〕記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
〔3〕更に、酸化ステップにおいて、酸化剤または硫化剤を使用することを特徴とする、〔1〕または〔2〕のいずれか記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
〔4〕更に、酸化ステップの後、酸化体または硫化体を極性溶媒下で晶析単離することを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
〔5〕更に、全保護基を脱保護することを特徴とする、〔4〕記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【0257】
このように、ピロール誘導体およびインドール誘導体から選択される少なくとも一種のカチオン捕捉剤を共存させることにより、STEP1、2の後で単離精製工程を経ることなく、キャッピングステップも不要な、連続的改良ホスホロアミダイト法を提供できるようになったことは大変意義深い。
【0258】
本出願は、日本で出願された特願2011−110872を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。