(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281630
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】加圧タンク、粉体の輸送管への送込み装置およびその送込み方法
(51)【国際特許分類】
B65G 53/46 20060101AFI20180208BHJP
B65G 53/06 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
B65G53/46
B65G53/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-507255(P2016-507255)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014068989
(87)【国際公開番号】WO2015136724
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-51760(P2014-51760)
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100185535
【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 敦
(72)【発明者】
【氏名】青木 之典
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/139106(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第03528301(DE,A1)
【文献】
特開2006−104826(JP,A)
【文献】
特開昭53−071484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/00−53/28;53/32−53/66
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送管を用いて圧縮空気を介し粉体をプラグ輸送するに当り、所定量の粉体を前記輸送管に間歇的に送り込む装置に用いられる加圧タンクであって、
圧力容器構造を成し、上方には開口を有する漏斗状の上部仕切り部材および下方には開口を有する漏斗状の下部仕切り部材を有する第1加圧室と、
前記第1加圧室の上部仕切り部材の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇して前記上部仕切り部材の開口を閉鎖可能な第1逆止弁と、
前記第1加圧室の下部仕切り部材の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇して前記下部仕切り部材の開口を閉鎖可能な第2逆止弁と、
前記第2逆止弁を上方に付勢する弾性体と、
を具備したことを特徴とする加圧タンク。
【請求項2】
前記弾性体は、前記第2逆止弁を吊り上げることで支え前記第2逆止弁の重量を打ち消すばね力をもったコイルばねであることを特徴とする、請求項1の加圧タンク。
【請求項3】
請求項1または請求項2の加圧タンクを用いて所定量の粉体を前記輸送管に間歇的に送り込む装置であって、
輸送すべき粉体を貯蔵しかつ粉体排出口が下端に有り、切出ゲートを有するホッパと、
前記ホッパの粉体排出口と前記第1加圧室の上部仕切り部材の開口とを連通接続する中空室と、
一端が前記第1加圧室の下部外面に前記第1加圧室の下部仕切り部材の開口を包囲して気密に装着され他端が前記輸送管の基端に連通接続された第2加圧室と、
前記第1逆止弁の下面と圧縮空気源との間を第1導管を介して接続・遮断する第1開閉弁と、
前記第2逆止弁の下面と前記圧縮空気源との間を第2導管を介して接続・遮断する第2開閉弁と、
前記第1導管内の圧縮空気を排出可能な第3開閉弁と、
前記加圧タンクの前記第1加圧室内における粉体の有無を検知する検知手段と、
この検知手段の検知結果に基づき、前記切出ゲートおよび前記第1〜第3開閉弁が相互に連動して開閉するようにこれらを制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする粉体の輸送管への送込み装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粉体の輸送管への送込み装置を用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法であって、
(1)前記検知手段の「粉体無し」の検知により、前記制御装置により、第1開閉弁を閉じるとともに第3開閉弁を開いて前記加圧タンクの前記第1加圧室から圧縮空気を排出させ、
(2)前記切出ゲートを開き、前記ホッパ内の粉体を前記中空室へ送り出し、既に開かれている前記第2開閉弁からの圧縮空気が前記第2逆止弁および前記第2加圧室内に供給され、これにより、前記第2逆止弁が上昇して前記第1加圧室の下部の開口が閉じられるとともに、輸送管内の既存の粉体が圧縮空気によってプラグ輸送され、かつ、前記第1逆止弁の自重およびホッパから流入してきた粉体の自重によって前記第1逆止弁を下降させて前記第1加圧室の前記上部仕切り部材の開口を開放して、中空室内の粉体を第1加圧室に投入させ、前記検知手段の「粉体無し」の検知から一定時間経過後に前記第2開閉弁を閉じ、前記第2逆止弁および第2加圧室への圧縮空気の供給を止め、
(3)粉体の前記第1加圧室内への流入による前記検知手段の「粉体有り」の検知により、前記制御装置により、前記切出ゲートを閉じ、前記第3開閉弁を閉じるとともに第1開閉弁を開き、前記第1逆止弁および前記第1加圧室内に圧縮空気を供給させ、前記第1逆止弁を上昇させて前記第1加圧室の前記上部仕切り部材の開口を閉じるとともに、前記第1加圧室の圧力と粉体の自重とによって前記第2逆止弁が下降して第1加圧室の下部仕切り部材の開口が開かれ、
(4)前記下部仕切り部材の開口が開かれた直後に前記第2開閉弁を開いて前記第2逆止弁に圧縮空気を供給させ、前記第2逆止弁は上昇せず前記第2逆止弁から流出した空気により前記第1加圧室の前記下部仕切部材の開口を通過する粉体が流動化し、前記第1加圧室内の粉体を前記第2加圧室を介して前記輸送管内に送り込むことを特徴とする粉体の輸送管への送込み方法。
【請求項5】
請求項3に記載の粉体の輸送管への送込み装置を複数用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法であって、前記切出ゲートおよび第1〜第3開閉弁の動作時点を、用いる粉体の輸送管への送込み装置の数(N)で除した時間(1/N)ずつずらすことを特徴とする粉体の輸送管への送込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送管を用いて圧縮空気を介し粉体をプラグ輸送するに当り、所定量の粉体を前記輸送管に間歇的に送り込む装置に用いる加圧タンク、この加圧タンクを用いた粉体の輸送管への送込み装置およびその送込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、輸送管に間歇的に送り込む装置の一つとして、圧力容器構造を成し、上部壁に投入口をまた下部壁に排出口をそれぞれ有するタンク本体と、前記投入口の真下に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその投入口を閉鎖可能な第1逆止弁と、前記排出口の真下に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその排出口を閉鎖可能な第2逆止弁と、で構成された加圧タンクと、輸送すべき粉体を貯蔵しかつ前記投入口に臨む粉体排出口を下端に有するホッパと、このホッパの粉体排出口と前記タンク本体の投入口とを連通接続するシュート手段と、一端が前記タンク本体の下部外面に前記タンク本体の排出口を包囲して気密に装着され他端が前記輸送管の基端に連通接続された弁箱と、からなる装置を発明した。(特許第4893993号公報参照)
【0003】
しかし、このように構成された粉体の輸送管への送込み装置では、第2逆止弁の作動に、ある程度(例えば50KPa以上)の加圧タンクと輸送管との差圧が必要である。なぜ差圧が必要なのかというと第2逆止弁は排気口を塞ぎ上部の粉体を支えるという働きのため、ある程度の強度をもちそれに相応しい重量もあるからである。この第2逆止弁の動作にある程度の差圧が必要であるという条件のため、輸送条件(加圧のタイミング、送る粉体の量)によっては、加圧タンクの排気が完了する前に第二逆止弁が開いてしまうことがある。すると、輸送管から加圧タンクへ空気や輸送物(粉体)が逆流してしまい、粉体の輸送に使用されるはずの圧縮空気が粉体の輸送に使われず無駄になってしまうという問題があった。
【0004】
また、粉体を複数台の加圧タンクで1本の輸送管に送り込む場合、一方の加圧タンクから、別の加圧タンクへ空気や輸送物が逆流するという問題がある。
この問題を解決するには、複数の加圧タンクを一斉に加圧するという対策が可能だが、輸送中の粉体プラグが密集し、運動量の変動が大きくなり、輸送管の揺れや騒音が増すという問題がある。また、圧縮空気の消費量の変動も大きくなり、それを緩和する対策が必要となりコストもかかるという問題がある。さらに、一部の加圧タンクを休止させると、輸送管の圧力が第二逆止弁の作動に充分な圧力に達するまでは、休止中の加圧タンクへ空気や輸送物が逆流するので、休止する加圧タンクを輸送管から切り離すための装置や処置が必要となるためコストアップにつながる。
【発明の開示】
【0005】
本発明は上記の問題を解消するためになされたもので、その目的は、粉体を輸送管に間歇的に送り込むときに、輸送管の残圧が加圧タンク側へ漏れることが無い加圧タンクおよび複数の加圧タンクを使用しても輸送管から加圧タンクへ空気や輸送物が逆流することが無い粉体の輸送管への送込み装置およびその送込み方法を提供することにある。
【0006】
本発明の第1の態様では、加圧タンクは、輸送管を用いて圧縮空気を介し粉体をプラグ輸送するに当り、所定量の粉体を輸送管に間歇的に送り込む装置に用いられる加圧タンクであって、圧力容器構造を成し、上方には開口を有する漏斗状の上部仕切り部材および下方には開口を有する漏斗状の下部仕切り部材を有する第1加圧室と、第1加圧室の上部仕切り部材の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその上部仕切り部材の開口を閉鎖可能な第1逆止弁と、第1加圧室の下部仕切り部材の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその下部仕切り部材の開口を閉鎖可能な第2逆止弁と、第2逆止弁を上方に付勢する弾性体と、を具備しているという技術的手段を用いる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、弾性体によって第2逆止弁を上方に付勢しているため、第2逆止弁は僅かな差圧で確実に作動させる事が出来る。よって、輸送管の残圧が加圧タンク側へ漏れることが無くなり、圧縮空気を無駄に消費する問題を解決することができる。
【0008】
本発明の第2に態様では、第1の態様の加圧タンクにおいて、弾性体は、第2逆止弁を吊り上げることで支え第2逆止弁の重量を打ち消すばね力をもったコイルばねであるという技術的手段を用いる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、コイルばねが第2逆止弁の重量を打ち消しているのでより僅かな差圧によって第2逆止弁はより確実に動作させることができる。
【0010】
本発明の第3の態様では、第1または第2の態様の加圧タンクを用いて所定量の粉体を前記輸送管に間歇的に送り込む装置であって、輸送すべき粉体を貯蔵しかつ粉体排出口が下端に有り、切出ゲートを有するホッパと、前記ホッパの粉体排出口と前記第1加圧室の上部仕切り部材の開口とを連通接続する中空室と、一端が前記第1加圧室の下部外面に前記第1加圧室の下部仕切り部材の開口を包囲して気密に装着され他端が前記輸送管の基端に連通接続された第2加圧室と、前記第1逆止弁の下面と圧縮空気源との間を第1導管を介して接続・遮断する第1開閉弁と、前記第2逆止弁の下面と前記圧縮空気源との間を第2導管を介して接続・遮断する第2開閉弁と、前記第1導管内の圧縮空気を排出可能な第3開閉弁と、前記加圧タンクの前記第1加圧室内における粉体の有無を検知する検知手段と、この検知手段の検知結果に基づき、前記切出ゲートおよび前記第1〜第3開閉弁が相互に連動して開閉するようにこれらを制御する制御装置と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、弾性体によって第2逆止弁を上方に付勢しているため、第2逆止弁は僅かな差圧で確実に作動させる事ができる装置となる。よって、輸送管の残圧が加圧タンク側へ漏れることが無くなり、圧縮空気を無駄に消費せずに粉体を輸送管に間歇的に送り込むことができる。
【0012】
本発明の第4の態様では、第3の態様の粉体の輸送管への送込み装置を用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法であって、(1)前記検知手段の「粉体無し」の検知により、前記制御装置により、第1開閉弁を閉じるとともに第3開閉弁を開いて前記加圧タンクの前記第1加圧室から圧縮空気を排出させ、(2)前記切出ゲートを開き、前記ホッパ内の粉体を前記中空室へ送り出し、既に開かれている前記第2開閉弁からの圧縮空気が前記第2逆止弁および前記第2加圧室内に供給され、これにより、前記第2逆止弁が上昇して前記第1加圧室の下部の開口が閉じられるとともに、輸送管内の既存の粉体が圧縮空気によってプラグ輸送され、かつ、前記第1逆止弁の自重およびホッパから流入してきた粉体の自重によって前記第1逆止弁を下降させて前記第1加圧室の前記上部仕切り部材の開口を開放して、中空室内の粉体を第1加圧室に投入させ、前記検知手段の「粉体無し」の検知から一定時間経過後に前記第2開閉弁を閉じ、前記第2逆止弁および第2加圧室への圧縮空気の供給を止め、(3)粉体の前記第1加圧室内への流入による前記検知手段の「粉体有り」の検知により、前記制御装置により、前記切出ゲートを閉じ、前記第3開閉弁を閉じるとともに第1開閉弁を開き、前記第1逆止弁および前記第1加圧室内に圧縮空気を供給させ、前記第1逆止弁を上昇させて前記第1加圧室の前記上部仕切り部材の開口を閉じるとともに、前記第1加圧室の圧力と粉体の自重とによって前記第2逆止弁が下降して第1加圧室の下部仕切り部材の開口が開かれ、(4)前記下部仕切り部材の開口が開かれた直後に前記第2開閉弁を開いて前記第2逆止弁に圧縮空気を供給させ、前記第2逆止弁は上昇せず前記第2逆止弁から流出した空気により前記第1加圧室の前記下部仕切部材の開口を通過する粉体が流動化し、前記第1加圧室内の粉体を前記第2加圧室を介して前記輸送管内に送り込むという技術的手段を用いる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、弾性体によって第2逆止弁を上方に付勢しているため、第2逆止弁は僅かな差圧で確実に作動させる事ができる方法となる。よって、輸送管の残圧が加圧タンク側へ漏れることが無くなり、圧縮空気を無駄に消費せずに粉体を輸送管に間歇的に送り込むことができる。
【0014】
本発明の第5の態様では、第3の態様の粉体の輸送管への送込み装置を複数用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法であって、前記切出ゲートおよび前記第1〜第3開閉弁の動作時点を、用いる粉体の輸送管への送込み装置の数(N)で除した時間(1/N)ずつずらすという技術的手段を用いる。
【0015】
本発明の第5の態様によれば、第2逆止弁を上方に付勢する事で僅かな差圧で確実に作動させる事が出来る。そのため、粉体を複数の送込み装置で1本の輸送管に送り込む場合でも、輸送管から加圧タンクへ空気や輸送物(粉体)が逆流することが無くなるので、それぞれの加圧タンクの工程(送込み装置の動作のタイミング)を順次ずらすことができる。そして、送込み装置の動作のタイミングを順次ずらすことで、圧縮空気の消費ピークを分散する事ができ、圧縮空気供給系統の負担を軽減できる。
また、輸送管への送込みのピークも分散するので、小さなプラグ流となり輸送時の騒音や輸送管の揺れも低減できるという効果もある。
【0016】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、粉体を輸送管に間歇的に送り込むときに、輸送管の残圧が加圧タンク側へ漏れることが無い加圧タンク、この加圧タンクを用いた粉体の輸送管への送込み装置およびその送込み方法、並びに、複数の加圧タンクを使用しても輸送管から加圧タンクへ空気や輸送物が逆流することが無い粉体の輸送管への送込み方法を提供することができる。
【0017】
この出願は、日本国で2014年3月14日に出願された特願2014−051760号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の加圧タンクを使用した粉体の輸送管への送込み装置を示す模式図である。
【
図2】本発明による3台の送込み装置を用いた場合の送込み方法を表す全体図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した粉体の輸送管への送込み装置Bについて
図1に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、輸送管7を用いて圧縮空気を介し粉体をプラグ輸送するに当り、所定量の粉体を輸送管7に間歇的に送り込む装置に用いられる加圧タンクAは、圧力容器構造を成し、上方には開口を有する漏斗状の上部仕切り部材3および下方には開口を有する漏斗状の下部仕切り部材4を有する第1加圧室6と、第1加圧室6の上部仕切り部材3の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその上部仕切り部材3の開口を閉鎖可能な第1逆止弁9と、前記第1加圧室の下部仕切り部材4の開口の下方に上下動自在に配設されかつ圧縮空気によって上昇してその前記下部仕切り部材4の開口を閉鎖可能な第2逆止弁10と、第2逆止弁10を上方に付勢する弾性体24とを備える。本実施の形態では弾性体としてコイルばね24を用い、コイルばね24で第2逆止弁10を吊り上げているが、弾性体の構成はこれに限らない。各種ばねや伸縮性のある紐等で吊り下げても、各種ばねや伸縮性のある柱或いはブロック等で下から支持してもよい。また、上部仕切り部材3および下部仕切り部材4の開口は、漏斗状の中央部に成形すると、製作も容易になり、かつ、粉体の偏りも避けられるので、好ましい。
【0021】
そして、粉体の輸送管への送込み装置Bは、輸送すべき粉体を貯蔵しかつ切出ゲート25が下端の粉体排出口に至る経路に有るホッパ1と、ホッパ1の粉体排出口と加圧タンクAの第1加圧室6の上部仕切り部材3の開口とを連通接続する中空室5と、一端が第1加圧室6の下部外面に第1加圧室1の下部仕切り部材4の開口を包囲して気密に装着され、他端が輸送管7の基端に連通接続された第2加圧室8と、第1逆止弁9の下面と圧縮空気源11との間を第1導管12を介して接続・遮断する第1開閉弁13と、第2逆止弁10の下面と圧縮空気源11との間を第2導管14を介して接続・遮断する第2開閉弁15と、第1導管12内の圧縮空気を排出可能な第3開閉弁16と、加圧タンクAの第1加圧室6内における粉体の有無を検知する検知手段17と、この検知手段17の検知結果に基づき、切出ゲート25および第1〜第3開閉弁13・15・16が相互に連動して開閉するようにこれらを制御する制御装置18とを備える。第1〜第3開放弁13・15・16としては、電磁弁を用いてもよいし、空圧式、機械式等その他の駆動力を利用する弁を用いてもよい。
【0022】
ここで、第1・第2逆止弁9・10は、圧縮空気の供給によってある程度上昇したのち、または供給された圧縮空気によって上昇しなくなったのち、供給された圧縮空気が下部周囲に流出する構造になっている。すなわち、第1・第2逆止弁9・10を上昇させる力を掛けたまま、第1・第2逆止弁9・10の下方の第1・第2加圧室6・8にも圧縮空気を送り込んでいる。
また、第3開閉弁16は、集塵機(図示せず)に連通接続させたダクト21に連通接続してある。また、加圧タンクAの中空室5は、導管22を介してホッパ1の上部に連通接続してあって中空室5内とホッパ1の上部内は同圧になっている。また、輸送管7の先端は粉体貯蔵タンク23に連通接続してある。なお、図中26は流量調整弁である。
なお、コイルばね24は、第2逆止弁10を支えその重量を打ち消している。流量調整弁26は圧縮空気源11から送込み装置B全体への空気量を調整するものである。
【実施例1】
【0023】
以下、実施例として、本発明の加圧タンクを使用した粉体の輸送管への送込み装置の動作および機能について、
図1を用いて説明する。
(排気工程)
検知手段17の「粉体無し」の検知により、制御装置18により、第1開閉弁13を閉じるとともに第3開閉弁16を開いて加圧タンクAの第1加圧室6から圧縮空気を排出させる。
【0024】
(投入工程)
次に、切出ゲート25を開き、ホッパ1内の粉体を粉体排出口方向へ送り出す。粉体は自重滑降によって加圧タンクAの中空室5に流入する。
この間、第2開閉弁15が開かれていて第2逆止弁10および第2加圧室8内に圧縮空気が供給されている。排気工程において、第1加圧室6は減圧されているので、開かれている第2開閉弁15からの圧縮空気によって、相対的に第2加圧室8が高圧となり、この差圧により、コイルばね24で支えられた第2逆止弁10が上昇して第1加圧室6の下部仕切り部材4の開口を閉じるとともに、輸送管7内の既存の粉体が圧縮空気によってプラグ輸送されている。
【0025】
また、排気工程において第1加圧室6は減圧されているので、第1逆止弁9の自重およびホッパ1から流入されてきた粉体の自重によって第1逆止弁9は下降して第1加圧室6の上部仕切り部材3の開口が開放される。よって、中空室5内の粉体が、第1加圧室6に投入される。
【0026】
さらに、制御装置18により、検知手段17の「粉体無し」の検知から一定時間経過後に第2開閉弁15を閉じ、前記第2逆止弁および第2加圧室への圧縮空気の供給を止める。なお、第2開放弁15を閉じても、輸送管7内にはプラグ状の粉体が滞留しているため、第2加圧室はすぐに粉体貯蔵タンク23と同圧になる程に減圧はしない。この一定時間とは、以下に説明する時間である。第1開閉弁13が開かれた時点と、検知手段17が「粉体無し」を検知する時点とを検出する。これら2時点の間の時間は、第1加圧室6内の粉体が輸送管7に送り込まれるまでの時間である。次の粉体を第1加圧室6から輸送管7内に送り込むまでの時間、換言すると、2個のプラグ状粉体が間隔(空間)を生成するための時間を一定時間とする。一定時間は、この2時点間の時間に、輸送管7の内容積と第1加圧室6の容積の比(最小約3:1)から定まる係数を掛けたものとすることができる。すなわち、輸送管7の内容積に占めるプラグ状粉体の割合によって、係数を定めて一定時間とすることができる。しかしながら、このように計算をする必要は必ずしもなく、任意の時間を設定して行うこともできる。
1サイクルの時間や、加圧のタイミングによっては、この第2逆止弁および第2加圧室への圧縮空気の供給は止まらないこともある。
【0027】
(押出工程)
こうして、粉体の第1加圧室6内への投入によって、検知手段の「粉体有り」の検知を受けると、制御装置18の作動により、第3開閉弁16を閉じるとともに第1開閉弁13を開き、第1逆止弁9および第1加圧室6内に圧縮空気を供給させる。また、切出ゲート25を閉じる。
これにより、第1逆止弁9を上昇させて第1加圧室6の前記上部開口を閉じるとともに第1加圧室6内が加圧される。そして、第1加圧室6と下方の第2加圧室8および輸送管7内との圧力が同一になった時、第1加圧室6の圧力と粉体の自重とによって第2逆止弁10が押されて下降して第1加圧室6の下部仕切り部材4の開口が開かれる。その直後に第2開閉弁15を開いて第2逆止弁10に圧縮空気を供給する。
このとき、第2逆止弁10に圧縮空気を供給しているが、第2逆止弁10は上昇せず、第1加圧室6の下部仕切部材4の開口を通過する粉体が第2逆止弁10から流出した空気により流動化する。その流動化した粉体は、前記第2加圧室8から輸送管7内に一気に送り込まれる。この粉体の流動化によって流動性が良くなり、粉体を抵抗なく輸送管7へ送り込むことができる。
そして、第1加圧室6内の粉体が少なくなってくるか、輸送管7内への送込みが完了すると、検知手段17が「粉体無し」を検知して、その後、上述の作動が繰り返される。
【0028】
上述の動作が繰り返されてホッパ1内の粉体は、定量的にして間歇的に輸送管7内に送り込まれることとなる。そして、輸送管7内に送り込まれた粉体は粉体貯蔵タンク23にプラグ輸送される。
【0029】
なお、上記の実施例では、ホッパ1の粉体排出口と第1加圧室6の上部仕切り部材3の開口とは、中空室5を介して連通接続してあるが、粉体が砂などのように比較的飛散しないものなら、中空室5を省略してホッパ1の粉体排出口を第1加圧室6の上部仕切り部材3の開口部に直接臨ませるようにしてもよい。
【0030】
また、検知手段17は、第1加圧室6内に粉体があるか否かを検知できれば何でもよく、例えば、静電容量式のレベルセンサーや振動式のレベルセンサーを用いることができる。
【0031】
また、上記のように排気工程、投入工程、押出工程と分けているが、本発明の説明のため、便宜上分けたものである。輸送管7内の粉体のプラグ輸送は、投入工程に記載されるように第2開閉弁15からの圧縮空気の供給によって行われ、常時行われることもある。
【実施例2】
【0032】
次に、粉体の輸送管への送込み装置を3台用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法について、
図2を用いて説明する。
【0033】
なお、使用する送込み装置は実施例1で説明したものと同じである。相違する点は、輸送管が複数接続しており、図示はしていないが、検知手段17、切出ゲート25、第1〜第3開閉弁13・15・16は、すべて1つの制御装置18に接続されている。
【0034】
ここで、複数の送込み装置を用いた場合の、粉体の送込み方法は、前記切出ゲート25および前記第1〜第3開閉弁13・15・16の動作時点を、用いる粉体の輸送管への送込み装置の数(N)で除した時間(1/N)ずつずらすことである。
【0035】
動作時点を1/Nずつずらすとは、排気工程、投入工程、押出工程を1サイクルとし、使用する送込み装置の台数(N)で除したタイミングで1サイクルを行うことである。例えば実施例2では、3台の送込み装置を使用しており、1サイクルが12秒掛かっていたとすると、12/3=4秒ずつタイミングをずらしてそれぞれの送込み装置を動作させることになる。
【0036】
例えば
図2に図示されるように、No.1の送込み装置は投入工程であり、No.2の送込み装置は押出工程であり、No.3の送込み装置は排気工程である。1サイクルの時間や、加圧のタイミングなどによっては、この
図2に示すように装置ごとに工程が分かれることもあるが、その限りではない。しかしながら、仮に押出工程が長いような場合でも、本発明の加圧タンクを用いることで、第2逆止弁10が確実に動作するので輸送条件(加圧のタイミング)に関わらず、輸送管から加圧タンクへ空気や輸送物(粉体)が逆流することはない。なお、送込み装置を3台用いて粉体を間歇的に輸送管へ送り込む方法について説明したが、送込み装置の台数は3台には限定されず、任意の台数でよい。
【0037】
以下、本明細書および図面で用いた主な符号をまとめて記す。
1 ホッパ
3 上部仕切り部材
4 下部仕切り部材
5 中空室
6 第1加圧室
7 輸送管
8 第2加圧室
9 第1逆止弁
10 第2逆止弁
11 圧縮空気源
12 第1導管
13 第1開閉弁
14 第2導管
15 第2開閉弁
16 第3開閉弁
17 検知手段
18 制御装置
22 導管
23 粉体貯蔵タンク
24 弾性体(コイルばね)
25 切出ゲート
26 流量調整弁
A 加圧タンク
B 粉体の輸送管への送込み装置(送込み装置)