(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る距離測定装置が取り付けられた配管を示す平面図である。
図2は、本実施形態に係る距離測定装置が取り付けられた配管を示す正面図である。配管100は、例えば火力発電所のボイラとタービンとを繋ぐ円筒状の管である。配管100は、高温且つ高圧の蒸気を搬送するため、例えば高クロム鋼により形成されている。
図1及び
図2に示すように、配管100は、第1部材101と、第2部材102と、第1部材101及び第2部材102を連結する溶接部103とを含む。溶接部103は、母材としての第1部材101及び第2部材102が溶接されることによって形成されている。
【0018】
溶接部103には熱影響部が形成されるので、クリープが生じやすい。溶接部103に生じるクリープによって、配管100の表面に歪みが生じる。すなわち、第1部材101の表面における1点と第2部材102の表面における1点との間の距離が変化する。配管100の寿命は、配管100の表面に生じる歪みに基づいて推定することができる。
【0019】
本実施形態に係る距離測定装置1は、第1部材101の表面における1点と第2部材102の表面における1点との間の距離を測定するための装置である。距離測定装置1は、例えば、配管100の鉛直方向上側に配置される。
図1及び
図2に示すように、距離測定装置1は、ターゲット部材9と、距離計10と、台座3とを備える。以下の説明において、XYZ直交座標系が用いられる。X軸は、配管100の軸方向に沿う軸である。Z軸は、鉛直方向に沿う軸である。Y軸は、X軸及びZ軸の両方に対して直交する軸である。X軸方向のうち、第1部材101から見て第2部材102がある方向は+X方向と記載され、+X方向とは反対方向は−X方向と記載される。また、鉛直方向の上方は+Z方向と記載され、下方は−Z方向と記載される。
【0020】
ターゲット部材9は、第1部材101における基準位置を規定するための部材である。ターゲット部材9は、例えば金属で形成された板状部材であって、第1部材101の表面にスポット溶接で固定されている。ターゲット部材9は、距離計10から出射されるレーザを反射するための平坦面である反射面91を有する。
【0021】
図3は、本実施形態に係る距離計及び台座を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係る距離計及び台座を示す平面図である。
図5は、
図4におけるA−A断面図である。
図6は、本実施形態に係る距離計を示す平面図である。
図7は、本実施形態に係る距離計を示す正面図である。
図8は、本実施形態に係る台座を示す平面図である。
図9は、本実施形態に係る台座を示す正面図である。
【0022】
距離計10は、例えば位相差測定方式のレーザ距離計である。
図3に示すように本体部8と、接合部2とを備える。本体部8は、例えばコンピュータと、ターゲット部材9に向けてレーザを出射するレーザ発振器と、ターゲット部材9で反射したレーザを受信するレーザ受信器と、を備える。本体部8のコンピュータは、レーザ発振器が出射した光の位相とレーザ受信器が受信した光の位相との差に基づいて、本体部8からターゲット部材9までの距離を演算することができる。また、本体部8は接合部2に固定されている。
図4以降の図は、距離計10のうち本体部8を省略して示している。
【0023】
このように距離計10は精密機器を含むため、高温になる配管100の近くに常時設置することは困難である。このため、距離計10は、所定期間毎に配管100に取り付けられる。すなわち、配管100の表面に生じる歪みが定期的に測定される。配管100の寿命を推定するためには、現在の歪み測定時において距離計10が固定された位置と、前回の歪み測定時において距離計10が固定された位置との間の誤差が10μm以下であることが望ましい。
【0024】
接合部2は、距離計10を台座3に対して着脱可能に連結するための部材である。接合部2は、例えば金属であって板状に形成されている。
図6及び
図7に示すように、接合部2は、スペーサ20と、ボルト孔26と、ボルト孔27と、第1凹部21と、第2凹部22と、第3凹部23と、第1ピン24と、第2ピン25と、第1ボールプランジャ28と、第2ボールプランジャ29とを含む。接合部2は、ボルト孔26及びボルト孔27を貫通するボルトによって本体部8と連結される。ボルトの頭部は、ボルト孔26及びボルト孔27に収納されるので、接合部2の底面側には突出しない。スペーサ20は、接合部2の底面の四隅に配置されており、台座3に接する。
【0025】
第1凹部21、第2凹部22及び第3凹部23は、Z方向に沿う丸穴である。
図6に示す第1凹部21の内径D21、第2凹部22の内径D22及び第3凹部23の内径D23は、互いに等しい。第1凹部21は、第2凹部22及び第3凹部23に対して+X方向側に配置されている。第2凹部22のX方向の位置は、第3凹部23のX方向の位置と同じである。Y方向において、第1凹部21は、第2凹部22と第3凹部23との間に配置されている。具体的には、第1凹部21から第2凹部22までのY方向の距離は、第1凹部21から第3凹部23までのY方向の距離に等しい。
【0026】
第1ピン24及び第2ピン25は、例えば略四角柱状の部材であって、接合部2から−Z方向に突出している。
図6に示す第1ピン24の対角距離D24及び第2ピン25の対角距離D25は、互いに等しく、且つ内径D21、内径D22及び内径D23より小さい。
図6に示すように、第1ピン24は、接合部2に設けられた第1ピン孔241に嵌まっており、Z方向に位置決めされている。第2ピン25は、接合部2に設けられた第2ピン孔251に嵌まっており、Z方向に位置決めされている。第1ピン24のX方向の位置は、第2ピン25のX方向の位置と同じである。第1ピン24から第2ピン25までのY方向の距離D2は、第2凹部22から第3凹部23までのY方向の距離D1より大きい。
【0027】
図5に示すように、第1ボールプランジャ28は、スプリング284に支持されたボール283を備える部材である。ボール283は、荷重を受けるとスプリング284からの反力を受けながら第1ボールプランジャ28の内部に向かって沈む。
図6に示すように、第1ボールプランジャ28は、接合部2に設けられた側孔281を貫通している。側孔281は、X方向に沿う孔であって、接合部2の側面と第1凹部21とを繋いでいる。側孔281の内周面にはネジ山が形成されている。第1ボールプランジャ28の外周面に形成されたネジ山が側孔281のネジ山に噛み合っている。第1ボールプランジャ28は、ナット285及び緩み止めナット286によって位置決めされている。第1ボールプランジャ28の先端にあるボール283は、第1凹部21の内部に位置している。
【0028】
第2ボールプランジャ29は、例えば第1ボールプランジャ28と同じ部材であって、第1ボールプランジャ28とは異なる位置に配置される。
図6に示すように、第2ボールプランジャ29は、接合部2に設けられた側孔291を貫通している。側孔291は、Y方向に沿う孔であって、接合部2の側面と第2凹部22とを繋いでいる。側孔291の内周面にはネジ山が形成されている。第2ボールプランジャ29の外周面に形成されたネジ山が側孔291のネジ山に噛み合っている。第2ボールプランジャ29は、ナット295及び緩み止めナット296によって位置決めされている。第2ボールプランジャ29の先端にあるボール293は、第2凹部22の内部に位置している。
【0029】
台座3は、
図1及び
図2に示すように配管100の第2部材102に固定されている。台座3は、例えば金属であって板状に形成されている。例えば、台座3の−Z方向側の表面は第2部材102の形状に沿う形状を有しており、台座3はスポット溶接によって第2部材102に固定される。
図8及び
図9に示すように、台座3は、第1柱31と、第2柱32と、第3柱33と、第1穴34と、第2穴35とを含む。
【0030】
第1柱31は、側面に第1平面311を有する略円柱状の部材である。第1平面311は、X方向に対して直交する平坦面である。第2柱32は、側面に第2平面321を有する略円柱状の部材である。第2平面321は、Y方向に対して直交する平坦面である。第3柱33は円柱状の部材である。第1柱31、第2柱32及び第3柱33の長手方向は、それぞれZ方向に沿っている。
図8に示す第1柱31の最大の外径D31、第2柱32の最大の外径D32及び第3柱33の外径D33は、互いに等しい。第1柱31、第2柱32及び第3柱33の位置は、接合部2の第1凹部21、第2凹部22及び第3凹部23の位置に対応している。第1柱31は、第2柱32及び第3柱33に対して+X方向側に配置されている。第2柱32のX方向の位置は、第3柱33のX方向の位置と同じである。Y方向において、第1柱31は、第2柱32と第3柱33との間に配置されている。具体的には、第1柱31から第2柱32までのY方向の距離は、第1柱31から第3柱33までのY方向の距離に等しい。
【0031】
第1穴34及び第2穴35は、Z方向に沿う丸穴である。
図8に示す第1穴34の内径D34及び第2穴35の内径D35は、互いに等しく、且つ外径D31、外径D32及び外径D33より小さい。第1穴34及び第2穴35の位置は、接合部2の第1ピン24及び第2ピン25の位置に対応している。
図8に示すように、第1ピン24のX方向の位置は、第2ピン25のX方向の位置と同じである。第1穴34から第2穴35までのY方向の距離D4は、第2柱32から第3柱33までのY方向の距離D3より大きい。距離D3は
図6に示す距離D1に等しく、距離D4は
図6に示す距離D2に等しい。
【0032】
接合部2が台座3に取り付けられると、
図4及び
図5に示すように、第1柱31が第1凹部21に嵌まり、第2柱32が第2凹部22に嵌まり、第3柱33が第3凹部23に嵌まり、第1ピン24が第1穴34に嵌まり、第2ピン25が第2穴35に嵌まる。
【0033】
図6に示す内径D21は
図8に示す外径D31より大きく、内径D21と外径D31との差は、外径D31の10%の長さ以下である。
図6に示す内径D22は
図8に示す外径D32より大きく、内径D22と外径D32との差は、外径D32の10%の長さ以下である。
図6に示す内径D23は
図8に示す外径D33より大きく、内径D23と外径D33との差は、外径D33の10%の長さ以下である。すなわち、第1凹部21の内周面と第1柱31の外周面との間の隙間は、第1柱31の最大の外径31の10%の長さ以下である。第2凹部22の内周面と第2柱32の外周面との間の隙間は、第2柱32の最大の外径D32の10%の長さ以下である。第3凹部23の内周面と第3柱33の外周面との間の隙間は、第3柱33の最大の外径D33の10%の長さ以下である。
【0034】
図6に示す対角距離D24は
図8に示す内径D34より小さく、対角距離D24と内径D34との差は、対角距離D24の10%の長さ以下である。
図6に示す対角距離D25は
図8に示す内径D35より小さく、対角距離D25と内径D35との差は、対角距離D25の10%の長さ以下である。すなわち、第1穴34の内周面と第1ピン24の角との間の隙間は、第1ピン24の対角距離D24の10%の長さ以下である。第2穴35の内周面と第2ピン25の角との間の隙間は、第2ピン25の対角距離D25の10%の長さ以下である。
【0035】
第1柱31が第1凹部21に嵌まると、第1ボールプランジャ28のボール283は、第1柱31の第1平面311に接する。第1平面311がボール283で押されるので、第1柱31の外周面が第1凹部21の内周面に押し付けられる。これにより、接合部2がX方向に位置決めされる。また、第1ボールプランジャ28がナット285及び緩み止めナット286によって位置決めされているので、ボール283が第1平面311を押す力は一定である。ただし、ナット285及び緩み止めナット286を外すことで、ボール283が第1平面311を押す力の調整が可能となる。
【0036】
第2柱32が第2凹部22に嵌まると、第2ボールプランジャ29のボール293は、第2柱32の第2平面321に接する。第2平面321がボール293で押されるので、第2柱32の外周面が第2凹部22の内周面に押し付けられる。これにより、接合部2がY方向に位置決めされる。また、第2ボールプランジャ29がナット295及び緩み止めナット296によって位置決めされているので、ボール293が第2平面321を押す力は一定である。ただし、ナット295及び緩み止めナット296を外すことで、ボール293が第2平面321を押す力の調整が可能となる。
【0037】
また、
図5に示すように、台座3の表面から第1ボールプランジャ28が第1柱31と接触する位置までのZ方向の距離L1(台座3の表面からボール283の中心までのZ方向の距離)は、台座3の表面から第1柱31の先端までのZ方向の距離L2の半分以下である。同様に、台座3の表面から第2ボールプランジャ29が第2柱32と接触する位置までのZ方向の距離(台座3の表面からボール293の中心までのZ方向の距離)は、台座3の表面から第2柱32の先端までのZ方向の距離の半分以下である。
【0038】
歪み測定が終了すると、台座3から外すために距離計10に外力が加えられる。距離計10に所定の大きさ以上の外力が加えられると、ボール283及びボール293が移動する。このため、第1柱31が第1凹部21の内周面から離れ、第2柱32が第2凹部22の内周面から離れる。これにより、距離計10を台座3から取り外すことが可能である。
【0039】
なお、距離測定装置1が適用される対象は、必ずしも火力発電所に設けられた配管100に限られない。距離測定装置1は、例えば工場等の配管に対して用いられてもよい。また、距離測定装置1は、配管だけでなく、溶接で接合された板状部材等の部材にも適用することができる。
【0040】
なお、距離測定装置1は、必ずしも配管100の鉛直方向上側に配置されなくてもよく、後述する変形例2に示すように配管100の鉛直方向下側に配置されてもよい。また、配管100に取り付けられる距離測定装置1の数は、複数であってもよい。例えば、距離測定装置1が、配管100の鉛直方向上側及び鉛直方向下側の両方に取り付けられてもよい。
【0041】
なお、距離計10は、必ずしもレーザ方式の距離計でなくてもよい。例えば、距離計10は、超音波方式の距離計であってもよいし、静電容量方式の距離計であってもよい。距離計10は、ターゲット部材9までの距離が測定できればよく、距離計10の測定方式は特に限定されない。
【0042】
なお、第1ボールプランジャ28は、必ずしもナット285及び緩み止めナット286によって位置決めされなくてもよい。同様に、第2ボールプランジャ29は、必ずしもナット295及び緩み止めナット296によって位置決めされなくてもよい。例えば、第1ボールプランジャ28及び第2ボールプランジャ29は、スポット溶接によって位置決めされていてもよいし、外周面に施された緩み止め加工によって位置決めされてもよい。
【0043】
なお、第1ピン24及び第2ピン25は、四角柱状でなくてもよい。例えば、第1ピン24及び第2ピン25は、四角柱でない多角柱であってもよいし、円柱状であってもよい。例えば第1ピン24及び第2ピン25が円柱状である場合、外径は
図6に示す対角距離D24及び対角距離D25に等しい大きさである。
【0044】
(変形例1)
図10は、変形例1に係る距離測定装置における、
図4のA−A断面図に相当する断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0045】
図10に示すように、変形例1に係る台座3Aは、第1柱31Aと、第2柱32Aとを備える。第1柱31Aは、上述した第1平面311とは異なる第1平面311Aを有する。第1平面311が第1柱31Aの先端からボール283の−Z方向側に亘る平坦面であるのに対して、第1平面311Aはボール283に対応する位置にのみ設けられた平坦面である。例えば、第1平面311AのZ方向の長さは、ボール283の直径に略等しい。これにより、第1柱31Aの外周面と第1平面311Aとの間の段差にボール283が引っ掛かるので、接合部2が台座3から外れにくくなる。同様に、第2柱32Aは、ボール293(
図6参照)に対応する位置にのみ設けられた平坦面である第2平面を有する。これにより、接合部2が台座3から外れにくくなる。
【0046】
(変形例2)
図11は、変形例2に係る距離測定装置が取り付けられた配管を示す正面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0047】
変形例2に係る距離測定装置1Bは、配管100の鉛直方向下側(−Z方向側)に配置される。すなわち、ターゲット部材9及び台座3は、上述した実施形態とは逆向きで配管100に固定される。距離計10は、−Z方向側から台座3に取り付けられる。第1ボールプランジャ28が第1平面311を押す力、及び第2ボールプランジャ29が第2平面321を押す力が調節されることで、距離計10は台座3から落下しなくなる。
【0048】
(比較例)
図12は、比較例に係る距離計及び台座を示す平面図である。
図13は、
図12におけるB−B断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
図12及び
図13に示すように、比較例に係る台座3Xにおいて、第1柱31X及び第2柱32Xは側面に平坦面を備えない。すなわち、第1柱31X及び第2柱32Xが円柱状である。第1ボールプランジャ28のボール283は、曲面である第1柱31Xの側面に接する。第2ボールプランジャ29のボール293は、曲面である第2柱32Xの側面に接する。
【0050】
図13に示すように、比較例に係る接合部2Xにおいて、第1ボールプランジャ28及び第2ボールプランジャ29が、上述した実施形態よりも+Z方向に配置されている。台座3Xの表面から第1ボールプランジャ28が第1柱31Xと接触する位置までのZ方向の距離L1X(台座3Xの表面からボール283の中心までのZ方向の距離)は、台座3Xの表面から第1柱31Xの先端までのZ方向の距離L2Xの半分より大きい。同様に、台座3Xの表面から第2ボールプランジャ29が第2柱32と接触する位置までのZ方向の距離(台座3Xの表面からボール293の中心までのZ方向の距離)は、台座3Xの表面から第2柱32Xの先端までのZ方向の距離の半分より大きい。また、例えばスペーサ20Xの厚み(Z方向の長さ)は、上述した実施形態に係るスペーサ20の厚みより大きい。
【0051】
図14は、比較例に係る距離測定装置に対する実験結果を示す図である。
図14は、
図12に示す位置P1X、位置P2X、位置P3X及び位置P4Xで計測された台座3Xと接合部2Xとの間の隙間の所定値に対する誤差を示している。
図14に示す数値の単位はmmである。台座3Xと接合部2Xとの間の隙間の所定値は、スペーサ20Xの厚みである。
図14に示す荷重(N)は、第1ボールプランジャ28が第1柱31Xを押す力であり、第2ボールプランジャ29が第2柱32Xを押す力である。また、
図14に示す上向きは、台座3Xが
図2に示すように配管の鉛直方向上側に配置された場合を示す。
図14に示す下向きは、台座3Xが
図11に示すように配管の鉛直方向下側に配置された場合を示す。
図14の「落下」は、接合部2Xが台座3Xから外れたことを示す。
【0052】
図14に示すように、台座3Xが下向きに配置された場合、荷重が4.2(N)以下であれば接合部2Xが台座3Xから外れる。また、荷重が4.9(N)であっても、台座3Xと接合部2Xとの間の隙間が0.03mmよりも大きくなっている。また、台座3Xが上向きに配置された場合であっても、荷重が4.2(N)以上であると、台座3Xと接合部2Xとの間の隙間が大きくなる傾向にある。このため、接合部2Xにガタツキが生じやすいので、距離計10の位置決め精度を向上させることが難しい。
【0053】
図15は、本実施形態に係る距離測定装置に対する実験結果を示す図である。具体的には、
図15は、上述した実施形態の変形例1に係る台座3Aを用いた時の実験結果を示す。
図15は、
図4に示す位置P1、位置P2、位置P3及び位置P4で計測された台座3と接合部2との間の隙間の所定値に対する誤差を示している。
図15に示す数値の単位はmmである。台座3と接合部2との間の隙間の所定値は、スペーサ20の厚みである。
図15に示す荷重(N)は、第1ボールプランジャ28が第1柱31を押す力であり、第2ボールプランジャ29が第2柱32を押す力である。
【0054】
図15に示すように、台座3が上向きに配置された場合、台座3と接合部2との間の隙間は0.03mm未満となった。台座3が下向きに配置された場合であっても、台座3と接合部2との間の隙間は、概ね0.03mm未満となった。ただし、荷重が4.9(N)である場合には接合部2が台座3から容易に取り外せなくなるため、荷重は4.2(N)以下であることが好ましい。
【0055】
図14及び
図15に示すように、本実施形態は、比較例に比べて台座と接合部との間の隙間を抑制することができる。このため、本実施形態は、比較例に比べて距離計の位置決め精度を向上させることができる。
【0056】
以上で説明したように、本実施形態に係る距離測定装置1は、第1部材101に固定されたターゲット部材9と、溶接部103を介して第1部材102に連結された第2部材102に固定された台座3と、台座3に重ねて取り付けられ、ターゲット部材9までの距離を測定する距離計10とを備える。台座3は、距離計10の接合部2に設けられた第1凹部21に嵌まる第1柱31と、距離計10の接合部2に設けられた第2凹部22に嵌まる第2柱32と、を備える。距離計10の接合部2は、第1柱31の長手方向であるZ方向に対して直交するX方向に第1柱31を押す第1ボールプランジャ28と、Z方向及びX方向に対して直交するY方向に第2柱32を押す第2ボールプランジャ29と、を備える。
【0057】
これにより、第1ボールプランジャ28により第1柱31が第1凹部21に押し付けられるので、距離計10がX方向に位置決めされる。第2ボールプランジャ29により第2柱32が第2凹部22に押し付けられるので、距離計10がY方向に位置決めされる。また、第1ボールプランジャ28が第1柱31を押す力、及び第2ボールプランジャ29が第2柱32を押す力は一定である。このため、台座3に対する距離計10の着脱が繰り返された場合でも、距離計10の位置決め精度のバラツキが抑制される。すなわち、現在の歪み測定時において距離計10が固定された位置と、前回の歪み測定時において距離計10が固定された位置との間に誤差が生じにくい。したがって、距離測定装置1は、配管100に対する余寿命診断の精度を従来よりも向上させることができる。
【0058】
また、距離測定装置1において、第1柱31は、X方向に対して直交する平坦面である第1平面311を外周面に有する。第1ボールプランジャ28は、第1平面311に接する。第2柱32は、Y方向に対して直交する平坦面である第2平面321を外周面に有する。第2ボールプランジャ29は、第2平面321に接する。これにより、第1ボールプランジャ28が第1柱31を押す力、及び第2ボールプランジャ29が第2柱32を押す力が一定になりやすい。このため、距離計10の位置決め精度が向上する。
【0059】
また、距離測定装置1において、台座3の表面から第1ボールプランジャ28が第1柱31と接触する位置までのZ方向の距離L1(
図5参照)は、台座3の表面から第1柱31の先端までのZ方向の距離L2(
図5参照)の半分以下である。台座3の表面から第2ボールプランジャ29が第2柱32と接触する位置までのZ方向の距離は、台座3の表面から第2柱32の先端までのZ方向の距離の半分以下である。これにより、第1柱31及び第2柱32に生じる曲げモーメントが抑制されるので、第1柱31及び第2柱32の撓みが小さくなる。このため、距離計10の位置決め精度が向上する。
【0060】
また、距離測定装置1において、第1凹部21は円柱状である。第1柱31の少なくとも一部は円柱状である。第1凹部21の内径D21と第1柱31の外径D31との差は、第1柱31の外径D31の10%の長さ以下である。第2凹部22は円柱状である。第2柱32の少なくとも一部は円柱状である。第2凹部22の内径D22と第2柱32の外径D32との差は、第2柱32の外径D32の10%の長さ以下である。これにより、距離計10にガタツキが生じにくくなる。このため、距離計10の位置決め精度が向上する。
【0061】
また、距離測定装置1において、距離計10は、台座3に設けられた第1穴34に嵌まる第1ピン24と、台座3に設けられた第2穴35に嵌まる第2ピン25と、を備える。これにより、第1柱31及び第2柱32に加えて、第1ピン24及び第2ピン25により距離計10がX方向及びY方向に位置決めされる。このため、距離計10の位置決め精度が向上する。
【0062】
また、距離測定装置1において、第1穴34は円柱状である。第1ピン24は四角柱状である。第1穴34の内径D34と第1ピン24の対角距離D24との差は、第1ピン24の対角距離D24の10%の長さ以下である。第2穴35は円柱状である。第2ピン25は四角柱状であって、第2穴35の内径D35と第2ピン25の対角距離D25との差は、第2ピン25の対角距離D25の10%の長さ以下である。これにより、距離計10にガタツキが生じにくくなる。このため、距離計10の位置決め精度が向上する。
【0063】
また、距離測定装置1において、X方向は、第1部材101及び第2部材102の長手方向である。台座3は、距離計10に設けられた第3凹部23に嵌まる第3柱33を備える。第3柱33のX方向の位置は、第2柱32のX方向の位置に等しい。第2ピン25のX方向の位置は、第1ピン24のX方向の位置に等しい。Y方向における第1ピン24から第2ピン25までの距離D2(
図6参照)は、Y方向における第2柱32から第3柱33までの距離D1(
図6参照)より大きい。これにより、距離計10の位置決め精度が向上する。
距離測定装置は、第1部材の表面に固定されたターゲット部材と、溶接部を介して第1部材に連結された第2部材に固定された台座と、台座に重ねて取り付けられ、ターゲット部材までの距離を測定する距離計と、を備える。台座は、距離計に設けられた第1凹部に嵌まる第1柱と、距離計に設けられた第2凹部に嵌まる第2柱と、を備える。距離計は、台座から見て距離計のある方向であるZ方向に対して直交するX方向に第1柱を押す第1ボールプランジャと、Z方向及びX方向に対して直交するY方向に第2柱を押す第2ボールプランジャと、を備える。