特許第6281676号(P6281676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281676
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20180208BHJP
【FI】
   F24F1/00 321
   F24F1/00 391C
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-33437(P2013-33437)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-163558(P2014-163558A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 祐二
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 和也
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−022198(JP,A)
【文献】 特開平09−042705(JP,A)
【文献】 実開昭62−171725(JP,U)
【文献】 特開2004−092950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、
吸込口から吹出口に至る気流の通路内に前記熱交換器を収容する構造体と、
前記構造体の左右両側で前記構造体の外壁面に交差する回転軸回りに回転可能に配置されて、前記通路から隔てられた送風機を有する補助筐体と、
前記送風機と前記熱交換器とを区画し、移動自在に前記補助筐体を支持する壁体、および、前記補助筐体の背後で前記補助筐体の外周に沿って前記壁体から外方に立ち上がって広がる周壁を有する1対のサイドパネルと、
前記熱交換器の後端より下方の空間に連続して前記周壁の背後に区画される空間に配置されて、前記熱交換器に接続される冷媒配管と
を備えることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機において、前記サイドパネルは、前記周壁の外方端から後方に向かって広がって、前記構造体の外壁面を形成する外壁と、前記周壁から後方に向かって広がって、前記構造体の天板に接続される天板と、前記天板よりも下方で前記周壁から後方に向かって広がって、前記構造体の底板に接続される底板とを有することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機において、前記熱交換器に関連して配置されるクロスフローファンと、前記送風機に組み込まれて前記補助筐体に収容される遠心ファンとを備え、前記遠心ファンの回転軸は、前記クロスフローファンの回転軸を含む垂直仮想平面よりも前方に配置されることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は室内機の吹出口から熱交換器により熱交換された冷気または暖気を吹き出す。特許文献1に記載の空気調和機では吹出口の両側に隣接して補助吹出口が形成される。補助吹出口は筐体の正面で開口する。吸込口には集塵フィルタが設置される。集塵フィルタの空気抵抗が高くても、遠心ファンは吸込口から十分な風量の空気を吸引することができる。集塵フィルタを通過した気流は補助吹出口から吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164271号公報
【特許文献2】特開2000−297792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1では遠心ファンは筐体内に組み込まれる。クロスフローファンの回転軸と遠心ファンの回転軸とは同軸で相互に連結される。したがって、遠心ファンの配置は制約される。しかも、筐体内で他の部品との衝突が考慮されることから、遠心ファンの大きさも制約を受けてしまう。特に、筐体のサイドパネルから冷媒の接続配管を引き出そうとすれば、遠心ファンの小型化は避けられない。従来技術では、サイドパネルの外側に補助筐体を取り付け、補助筐体の動作に応じて室温空気を循環させるといった発想は見受けられない。
【0005】
本発明のいくつかの態様によれば、補助筐体を用いて室温空気を吹き出す際に、適度に補助筐体の大きさを確保しつつ、サイドパネルの外側から冷媒配管を引き出すことができる空気調和機は提供されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、熱交換器と、吸込口から吹出口に至る気流の通路内に前記熱交換器を収容する構造体と、前記構造体の左右両側で前記構造体の外壁面に交差する回転軸回りに回転可能に配置されて、前記通路から隔てられた送風機を有する補助筐体と、前記送風機と前記熱交換器とを区画し、移動自在に前記補助筐体を支持する壁体、および、前記補助筐体の背後で前記補助筐体の外周に沿って前記壁体から外方に立ち上がって広がる周壁を有する1対のサイドパネルと、前記熱交換器の後端より下方の空間に連続して前記周壁の背後に区画される空間に配置されて、前記熱交換器に接続される冷媒配管とを備える空気調和機に関する。
【0007】
こうした空気調和機では熱交換器の働きで冷気または暖気の気流が生成される。補助吹出口から室温空気の気流が吹き出される。補助吹出口から吹き出された室温空気の気流と、熱交換器で生成された冷気または暖気の気流とは温度差を有する。温度に応じて空気の比重は変化することから、比重の違いに応じて室温空気の気流は冷気や暖気の気流の向きや動きを制御することができる。冷気や暖気を室内で望まれる場所に送り込むことができる。こうして室内の温度環境を効率的に整えることができる。
【0008】
空気調和機が壁面に据え付けられる際に補助筐体は壁面から離れる方向に変位して配置される。熱交換器が壁面に接近して据え付けられても、冷媒配管は補助筐体の背後を通過して壁面に沿って空気調和機の片側から引き出されることができる。しかも、補助筐体はサイドパネルの外側に配置されることから、背後に空間を確保しつつも補助筐体には十分な大きさが確保されることができる。補助筐体の大きさは室温空気の気流の増量に寄与することができる。
【0009】
熱交換器と壁面との距離が短縮されれば短縮されるほど、熱交換器の重量によって生じ壁面に作用するモーメントは縮小されることができる。その結果、据え付け構造の剛性はできる限り抑制されることができる。これに対して、補助筐体が熱交換器に対して前方に変位していない場合には、熱交換器が壁面に接近して据え付けられると、補助筐体の背後に十分な大きさの空間が確保されることができない。空気調和機の下面から冷媒配管を引き出さなければならない。据え付け後の見栄えは悪化してしまう。それでも空気調和機の片側から冷媒配管を引き出そうとすれば、熱交換器は壁面から離れてしまう。熱交換器の重量によって生じ壁面に作用するモーメントは増大してしまう。
【0010】
前記サイドパネルは、前記周壁の外方端から後方に向かって広がって、前記構造体の外壁面を形成する外壁と、前記周壁から後方に向かって広がって、前記構造体の天板に接続される天板と、前記天板よりも下方で前記周壁から後方に向かって広がって、前記構造体の底板に接続される底板とを有することができる。こうして補助筐体の背後の空間と熱交換器の後端よりも下方の空間とは連続する。これらを仕切る壁は省略されることができる。冷媒配管はサイドパネルの外側に引き出されることができる。冷媒配管の引き出し作業の複雑化は回避されることができる。
【0011】
空気調和機は、前記熱交換器に関連して配置されるクロスフローファンと、前記送風機に組み込まれて前記補助筐体に収容される遠心ファンとを備えることができる。このとき、前記遠心ファンの回転軸は、前記クロスフローファンの回転軸を含む垂直仮想平面よりも前方に配置されればよい。こうして回転軸がずらされると、補助筐体の変位は簡単に実現されることができる。すなわち、背後に空間を確保しつつも遠心ファンには十分な大きさが確保されることができる。したがって、冷媒配管は確実に補助筐体の背後を通過して壁面に沿って空気調和機の片側から引き出されることができる。
【0012】
空気調和機は、前記構造体に取り付けられて空気調和機の外観を構成するフロントパネルをさらに備えることができる。このとき、前記補助筐体の前端は前記フロントパネルの面に合わせ込まれればよい。補助筐体は熱交換器に対して相対的に前方に変位するものの、良好な見栄えは確保されることができる。
【0013】
空気調和機では前記サイドパネルは前記熱交換器の両側で前記構造体に取り付けられることができる。冷媒配管は左右どちら側からも引き出されることができる。その結果、空気調和機の据え付け場所の自由度は広がる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように開示の空気調和機によれば、補助筐体を用いて室温空気を吹き出す際に、適度に補助筐体の大きさを確保しつつ、サイドパネルの外側から冷媒配管を引き出すことができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す概念図である。
図2】一実施形態に係る室内機の外観を概略的に示す斜視図である。
図3】構造体の構成を概略的に示す斜視図である。
図4】第1送風ファンの構成を概略的に示す室内機の垂直断面図である。
図5】第1サイドパネルおよび第2サイドパネルの構造を概略的に示す斜視図である。
図6】ファンユニットの分解斜視図である。
図7】ラックおよび駆動ギアを概略的に示す送風路ユニットの斜視図である。
図8】風向板の駆動ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図9】主本体の主要部品を概略的に示す分解斜視図である。
図10】室内機の背面を概略的に示す斜視図である。
図11】斜め後方から観察される第1サイドパネルの斜視図である。
図12】第1サイドパネルの内側を概略的に示す平面図である。
図13】第2サイドパネルの内側を概略的に示す平面図である。
図14】冷房運転時に気流の一具体例を示す概念図である。
図15】暖房運転時に気流の一具体例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る空気調和機11の構成を概略的に示す。空気調和機11は室内機12および室外機13を備える。室内機12は例えば建物内の室内空間に設置される。その他、室内機12は室内空間に相当する環境空間に設置されればよい。室内機12には室内熱交換器14が組み込まれる。室外機13には圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18が組み込まれる。室内熱交換器14、圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18は冷凍回路19を形成する。
【0018】
冷凍回路19は第1循環経路21を備える。第1循環経路21は四方弁18の第1口18aおよび第2口18bを相互に結ぶ。第1循環経路21には、圧縮機15が設けられている。圧縮機15の吸入管15aは四方弁18の第1口18aに冷媒配管を介して接続される。第1口18aからガス冷媒は圧縮機15の吸入管15aに供給される。圧縮機15は低圧のガス冷媒を所定の圧力まで圧縮する。圧縮機15の吐出管15bは四方弁18の第2口18bに冷媒配管を介して接続される。圧縮機15の吐出管15bからガス冷媒は四方弁18の第2口18bに供給される。第1循環経路21は例えば銅管などの冷媒配管で形成される。
【0019】
冷凍回路19は第2循環経路22をさらに備える。第2循環経路22は四方弁18の第3口18cおよび第4口18dを相互に結ぶ。第2循環経路22には、第3口18c側から順番に室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14が組み込まれる。室外熱交換器16は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーの交換を実現する。室内熱交換器14は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーの交換を実現する。第2循環経路22は例えば銅管などの冷媒配管で形成されればよい。
【0020】
室外機13には送風ファン23が組み込まれる。送風ファン23は室外熱交換器16に通風する。送風ファン23は例えば羽根車の回転に応じて気流を生成する。気流は室外熱交換器16を通り抜ける。通り抜ける気流の流量は羽根車の毎分回転数に応じて調整される。気流の流量に応じて室外熱交換器16では冷媒と空気との間で交換される熱エネルギー量が調整される。
【0021】
室内機12は本体ユニット25および1対のファンユニット26を備える。本体ユニット25には室内熱交換器14および第1送風ファン27が組み込まれる。第1送風ファン27は室内熱交換器14に通風する。第1送風ファン27は羽根車の回転に応じて気流を生成する。第1送風ファン27の働きで本体ユニット25には室内空気が吸い込まれる。室内空気は室内熱交換器14を通り抜け冷媒と熱交換する。熱交換された冷気または暖気の気流は本体ユニット25から吹き出される。通り抜ける気流の流量は羽根車の毎分回転数に応じて調整される。気流の流量に応じて室内熱交換器14では冷媒と空気との間で交換される熱エネルギー量を調整することができる。ファンユニット26は室内空気を吸い込んで当該室内空気を吹き出す。ファンユニット26では熱交換されずに室内空気は室温のまま吹き出される。
【0022】
冷凍回路19で冷房運転が実施される場合には、四方弁18は第2口18bおよび第3口18cを相互に接続し第1口18aおよび第4口18dを相互に接続する。したがって、圧縮機15の吐出管15bから高温高圧の冷媒が室外熱交換器16に供給される。冷媒は室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14を順番に流通する。室外熱交換器16では冷媒から外気に放熱する。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室内熱交換器14で周囲の空気から吸熱する。冷気が生成される。冷気は第1送風ファン27の働きで室内空間に流される。
【0023】
冷凍回路19で暖房運転が実施される場合には、四方弁18は第2口18bおよび第4口18dを相互に接続し第1口18aおよび第3口18cを相互に接続する。圧縮機15から高温高圧の冷媒が室内熱交換器14に供給される。冷媒は室内熱交換器14、膨張弁17および室外熱交換器16を順番に流通する。室内熱交換機14では冷媒から周囲の空気に放熱する。暖気が生成される。暖気は第1送風ファン27の働きで室内空間に流される。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室外熱交換器16で周囲の空気から吸熱する。その後、冷媒は圧縮機15に戻る。
【0024】
図2は一実施形態に係る室内機12の外観を概略的に示す。室内機12の本体ユニット25は構造体28を備える。構造体28にはアウターパネル29が覆い被さる。構造体28の下面には第1吹出口31が形成される。第1吹出口31は下向きに開口する。構造体28は例えば室内の壁面に固定されることができる。第1吹出口31は、設置時に水平方向となる向きに延びて設けられており、室内熱交換器14で生成される冷気または暖気の気流を吹き出す。
【0025】
第1吹出口31には前後1対の上下風向板32a、32bが配置される。上下風向板32a、32bはそれぞれ水平軸線33a、33b回りに回転することができる。本実施形態では上下風向板32a、32bの後端が回動軸となるものの、これに限られるものではない。回転に応じて上下風向板32a、32bは第1吹出口31を開閉することができる。
【0026】
図3に示されるように、構造体28には第1吸込口34が形成される。第1吸込口34は構造体28の正面および上面で開口する。アウターパネル29は構造体28の正面で第1吸込口34に覆い被さることができる。第1吸込口34は室内熱交換器14に向かって室内の空気を導入する。
【0027】
水平方向に延びる第1吸込口34および第1吹出口31の両側には個別にファンユニット26が取り付けられる。ファンユニット26は構造体28の外壁面の外側に配置される。ファンユニット26はそれぞれ補助筐体すなわちファン筐体35に収容される。ファン筐体35は構造体28に対して移動自在に構造体28の外壁面に支持される。ここでは、ファン筐体35は、構造体28の外壁面に交差する回転軸回りで回転することができる。本実施形態ではファン筐体35の回転軸は水平軸線36に重なる。水平軸線33a、33b、36は相互に平行に延びる。構造体28の外壁面は相互に平行に広がる。したがって、構造体28の両端に設けられた外壁面は水平軸線33a、33b、36に直交する。
【0028】
ファン筐体35には第2吸込口37が形成される。第2吸込口37は、構造体28の外壁面の垂直方向から室内空気を取り込む。第2吸込口37は吸込口カバー38で覆われる。吸込口カバー38はファン筐体35に取り付けられる。吸込口カバー38の輪郭は水平軸線36に同軸の仮想円筒面39の内側で当該仮想円筒面39に沿って区画される。すなわち、吸込口カバー38は円形の輪郭を有する。吸込口カバー38には複数の開口41が形成される。開口41は第2吸込口37の内外の空間を相互に接続する。
【0029】
ファン筐体35には第2吹出口42が形成される。第2吹出口42は、第2吸込口37からファン筐体35に取り込まれた室内空気を吹き出す。第2吹出口42から気流は外壁面に沿った方向に吹き出す。ファン筐体35が水平軸線36回りで回転運動すると、第2吹出口42は重力方向に上下に変位することができる。第2吹出口42から吹き出される気流の向きは変更されることができる。ここでは、重力方向に第2吹出口42を下降させるファン筐体35の回転の向きに従って順方向側を「下流」といい、逆方向側を「上流」という。第2吹出口42には風向板43(以下「ファンユニット風向板43」という)が取り付けられる。ファンユニット風向板43は、第2吹出口42から吹き出される気流の向きを水平方向に偏向させることができる。2つの第2吹出口42の総開口面積は第1吹出口31の開口面積よりも小さい。
【0030】
なお、ファン筐体35の姿勢を変化させる構造はこれに限られるものではない。例えば、第2吹出口42に上下方向に風向を変更する風向板を設け、構造体28の外壁面でファン筐体35の背面側で垂直方向に延びる軸回りにファン筐体35を揺動自在に支持し、水平方向に第2吹出口42の向きを変えるようにしてもよい。また、第2吹出口42に左右方向に風向を変更する風向板を設け、構造体28の外壁面に設けたガイドレールによってファン筐体35を上下に移動するようにしてもよい。
【0031】
構造体28は補助構造体44を備える。補助構造体44はファン筐体35の周囲で外壁面に形成される。補助構造体44は外壁面からファン筐体35よりも外側に突き出る。補助構造体44の縁は前述の仮想円筒面39の外側で吸込口カバー38に沿って仕切られる。
【0032】
図4に示されるように、構造体28には第1送風ファン27が回転自在に支持される。第1送風ファン27には例えばクロスフローファンが用いられることができる。第1送風ファン27は水平軸線36に平行な回転軸45回りで回転することができる。第1送風ファン27の回転軸45は設置時に水平方向に延びる。こうして第1送風ファン27は第1吹出口31に平行に配置される。第1送風ファン27の周囲には室内熱交換器14が配置される。
【0033】
構造体28には第1送風ファン駆動源46が固定される。第1送風ファン駆動源46には例えば電動モータが用いられることができる。第1送風ファン駆動源46の駆動軸はその軸心回りで回転する。駆動軸は第1送風ファン27の回転軸45に同軸に配置されることができる。第1送風ファン駆動源46の駆動軸は第1送風ファン27の回転軸に結合されることができる。こうして第1送風ファン駆動源46の駆動力は第1送風ファン27に伝達される。第1送風ファン駆動源46は第1送風ファン27を駆動する。第1送風ファン27の回転に応じて気流は室内熱交換器14を通過する。その結果、冷気または暖気の気流が生成される。冷気または暖気の気流は第1吹出口31から吹き出される。
【0034】
図5に示されるように、構造体28は主本体51、フロントパネル52並びに第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bを備える。主本体51に第1吹出口31が形成される。第1吹出口31の両側で主本体51に第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bが取り付けられる。第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bは構造体28の外殻を構成する。第1サイドパネル53aと第2サイドパネル53bは、左右対称の同様の部品で構成されているため、以下、同様の部品については符号を統一して説明する。第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bはそれぞれ壁体54を有する。それぞれの壁体54は主本体51の両側で互いに平行となるように設けられている。壁体54の外壁面54aは構造体28の外壁面に相当する。ここでは、外壁面54aは水平軸線36に直交すればよい。壁体54は第1吹出口31の両側で第1吹出口31に対して不動に固定される。第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bにそれぞれ補助構造体44が一体化される。こうした部材は硬質の樹脂材料から一体成型に基づき形成されることができる。同様に、第2サイドパネル53bおよび補助構造体44は1部材を構成することができる。本実施形態では第1サイドパネル53aおよび補助構造体44や第2サイドパネル53bおよび補助構造体44は1部材で構成されるものの、それらは別部材で構成されてもよい。
【0035】
第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bの構造体28への取り付けにあたってねじ55が用いられる。ねじ55は第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bを貫通して主本体51にねじ込まれる。ねじ55のねじ込みにあたって仮想平面56が規定される。仮想平面56は第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bを相互に接続するように形成される。ねじ55の軸心は仮想平面56に直交する。仮想平面56は構造体28の正面を向く。ここでは、仮想平面56は、水平軸線36に平行で、かつ、室内機12の設置時に室内の壁面に対して平行であって、第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bの前面側に位置する。仮想平面56は第1送風ファン27の回転軸45に平行に広がる。
【0036】
主本体51はねじ用のボス57を有する。第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bはねじ挿入片58を有する。ねじ挿入片58は少なくとも一部に例えば均一な板厚を有する板片を有する。ねじ挿入片58の板片はボス57に重ねられる。ねじ55はねじ挿入片58を貫通してボス57にねじ込まれる。
【0037】
主本体51の前面には第1電装品ユニット61および第2電装品ユニット62が取り付けられる。第1電装品ユニット61には第1制御基板が収容される。第2電装品ユニット62には第2制御基板が収容される。主本体51にフロントパネル52が固定されると、第1電装品ユニット61および第2電装品ユニット62はフロントパネル52で覆われる。
【0038】
図6に示されるように、個々のファンユニット26は第1化粧筐体71aおよび第2化粧筐体71bを備える。ファン筐体35は第1化粧筐体71aおよび第2化粧筐体71bで構成される。第1化粧筐体71aおよび第2化粧筐体71bが相互に結合されることで、第2吹出口42が形成される。第1化粧筐体71aには第2吸込口37が区画される。第1化粧筐体71aおよび第2化粧筐体71bで区画される内部空間には送風路ユニット72、第2送風ファンとしての遠心ファン73、取り付け板74、第2送風ファン駆動源75および保護部材76が収容される。
【0039】
ファンユニット26は送風路ユニット72を備える。送風路ユニット72は第1部材72aおよび第2部材72bで構成される。送風路ユニット72の第1部材72aは第2化粧筐体71bに結合される。こうして送風路ユニット72はファン筐体35に一体化される。送風路ユニット72の第1部材72aには円筒部77が形成される。円筒部77は内面に水平軸線36に同軸の円筒面77aを形成する。送風路ユニット72は、第2吸込口37に通じる開口78と、第2吹出口42まで延びる送風路79とを形成する。
【0040】
ファンユニット26は遠心ファン73を備える。遠心ファン73は送風路ユニット72内に収容される。遠心ファン73には例えばシロッコファンが用いられることができる。遠心ファン73の回転軸は壁体54の外壁面54aに交差する。ここでは、遠心ファン73の回転軸は外壁面54aに直交する。遠心ファン73の回転軸は水平軸線36に重なることができる。遠心ファン73が回転すると、遠心ファン73の回転軸に沿って開口78から室内空気は取り込まれる。遠心ファン73は全周にわたって遠心方向に室内空気を押し出す。こうして押し出された室内空気は送風路79を伝って第2吹出口42から吹き出す。
【0041】
ファンユニット26は取り付け板74を備える。取り付け板74は、後述されるように、送風路ユニット72の第1部材72aに連結される。第1化粧筐体71a、第2化粧筐体71bおよび取り付け板74でファンユニット26の外観は構成される。取り付け板74は壁体54の外壁面54aに重ねられる。取り付け板74は壁体54にねじ止めされる。ねじ81は壁体54の内壁面(外壁面の裏側)から壁体54を貫通して取り付け板74にねじ込まれる。個々のねじ81は水平軸線36に平行な軸心を有することができる。こうしてファンユニット26は第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bにそれぞれ固定される。
【0042】
ファンユニット26は第2送風ファン駆動源75を備える。第2送風ファン駆動源75は取り付け板74に支持される。取り付け板74は壁体54の外壁面54aに重ねられることから、第2送風ファン駆動源75は第1吹出口31の両側で壁体54の外壁面54aに固定される。第2送風ファン駆動源75は例えば電動モータで構成されることができる。第2送風ファン駆動源75の駆動軸82に遠心ファン73が固定される。
【0043】
ファンユニット26は保護部材76を備える。保護部材76は取り付け板74に固定される。保護部材76はいわゆるドーム形に形成されることができる。保護部材76は第2送風ファン駆動源75に覆い被さる。第2送風ファン駆動源75の駆動軸82は保護部材76を貫通して、第2送風ファン駆動源75が取り付けられる側から保護部材76の遠心ファン73が取り付けられる側に突き出る。保護部材76の外側で第2ファン駆動源75の駆動軸82には遠心ファン73が装着される。保護部材76は円筒部77の開口を塞ぐ。
【0044】
ファンユニット26は複数のローラー83を備える。ローラー83は水平軸線36から等距離に配置される。ローラー83は円柱体を有する。円柱体は保護部材76に回転自在に支持される。円柱体の軸心は水平軸線36に平行に延びる。ローラー83は円柱体の軸心回りで回転することができる。円柱体は例えばPOM(ポリアセタール樹脂)とった樹脂材料から形成されることができる。円柱体は送風路ユニット72の円筒面77aに内接する。こうして送風路ユニット72はローラー83群を介して水平軸線36回りで回転自在に保護部材76に連結される。
【0045】
図7に示されるように、送風路ユニット72の円筒部77にはラック84が形成される。ラック84は水平軸線36に沿った方向にローラー83からずれた位置で円筒面77a上に配置されて水平軸線36に同心に延びる。ラック84には駆動ギア85が噛み合う。駆動ギア85の回転軸は水平軸線36に平行に設定される。駆動ギア85の回転に応じて水平軸線36回りで円筒部77が保護部材76に対して回転することができる。すなわち、送風路ユニット72は回転することができる。ラック84および駆動ギア85は動力伝達手段を構成する。
【0046】
取り付け板74にはファン筐体駆動源86が取り付けられる。ファン筐体駆動源86は例えば電動モータで構成されることができる。ファン筐体駆動源86の駆動軸は駆動ギア85に連結される。駆動軸の軸心は駆動ギア85の回転軸に重なる。こうして駆動ギア85の回転はファン筐体駆動源86の動力に基づき引き起こされる。ファン筐体駆動源86はファン筐体35の回転を引き起こす駆動力を生成する。前述のように取り付け板74が壁体54の外壁面54aに重ねられると、ファン筐体駆動源86は壁体54を貫通して壁体54の内側に配置される。こうしてファン筐体駆動源86は壁体の内壁面に固定される。その他、ファン筐体駆動源86は壁体54の内壁面にねじ止めされてもよい。この場合には、ファン筐体駆動源86の駆動軸が壁体54を貫通すればよい。ファン筐体駆動源86の固定にあたって用いられるねじは壁体54の内壁面(外壁面の裏側)から壁体54を貫通して取り付け板74にねじ込まれてもよい。こうした共締めに応じて取り付け板74はより強固に固定されることができる。
【0047】
図8に示されるように、ファンユニット26はファンユニット風向板43の駆動ユニット87を備える。ファンユニット風向板43は送風路ユニット72の第1部材72aに固定される回転軸88回りで姿勢を変化させることができる。回転軸88は、水平軸線36に直交する仮想平面内であって水平軸線36に同心の仮想円に接する接線に重なる。駆動ユニット87はファン筐体35に収容されて送風路79の上側で送風路ユニット72に固定される。
【0048】
駆動ユニット87はリンク部材89を備える。リンク部材89はファンユニット風向板43に連結される。連結にあたって送風路ユニット72にはリンクケース91が固定される。リンクケース91はファンユニット風向板43の回転軸88回りで回転自在にファンユニット風向板43の上端を保持する。ファンユニット風向板43の上端にはファンユニット風向板43の回転軸88から偏心してファンユニット風向板43の回転軸88に平行に延びる偏心軸92が接続される。リンクケース91には偏心軸92の案内路93が形成される。偏心軸92の案内路93はファンユニット風向板43の回転時にファンユニット風向板43の回転軸88に同心の円弧に沿って偏心軸92の移動を案内する。
【0049】
駆動ユニット87は左右風向板駆動源94を備える。左右風向板駆動源94は例えば電動モータで構成されることができる。左右風向板駆動源94は送風路ユニット72に固定される。左右風向板駆動源94はファンユニット風向板43の回転軸88に平行に延びる駆動軸94aを有する。駆動軸94aの上端は回転自在にリンクケース91で保持される。駆動軸94aの上端には駆動軸94aの軸心95から偏心して駆動軸94aの軸心95に平行に延びる偏心軸96が接続される。リンクケース91には偏心軸96の案内路97が形成される。偏心軸96の案内路97は駆動軸94aの軸心95に同心の円弧に沿って偏心軸96の移動を案内する。
【0050】
リンク部材89は回転自在に偏心軸92、96を保持する。左右風向板駆動源94の回転に応じて偏心軸96が案内路97内で移動すると、偏心軸96の移動はリンク部材89の移動を引き起こす。移動にあたってリンク部材89はその姿勢を維持する。偏心軸96の動きは同一の経路に沿って偏心軸92の動きを生み出す。こうしてファンユニット風向板43の姿勢は同期で変化することができる。駆動ユニット87はファンユニット風向板43の姿勢変化を引き起こす駆動力を生成する。
【0051】
図9に示されるように、主本体51は熱交換器ユニット101を備える。熱交換器ユニット101は室内熱交換器14および熱交換器ホルダ102で構成される。室内熱交換器14の水平方向両端に1対の熱交換器ホルダ102が結合される。熱交換器ホルダ102は例えば樹脂成型によって形成される。熱交換器ホルダ102は例えば壁面に固定される据え付け板に連結される。こうして室内熱交換器14は設置時に例えば室内の壁面に連結される。熱交換器ホルダ102同士は樹脂製の連結板103で相互に接続されることができる。
【0052】
主本体51はメインフレーム104を備える。メインフレーム104は熱交換器ユニット101の一端から他端にわたって配置されており、メインフレーム104は室内熱交換器14に結合される。結合にあたってメインフレーム104は熱交換器ホルダ102に固定される。熱交換器ホルダ102は、比較的に大きい重量を有する室内熱交換器14を支持することから、比較的に高い剛性の構造を有する。ボス57はメインフレーム104に例えば樹脂の一体成型によって形成される。ボス57には仮想平面56に平行に広がる(または仮想平面56に接する)受け面105が形成される。この受け面105に第1サイドパネル53aまたは第2サイドパネル53bのねじ挿入片58の板片が重ねられる。こうして室内熱交換器14に対して第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bの相対位置(および相対的な姿勢)は決定されることができる。受け面105にはねじ穴が穿たれる。ねじ穴にねじ55はねじ込まれる。こうして第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bはメインフレーム104に取り付けられる。
【0053】
なお、本実施形態では第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bはメインフレーム104に取り付けられているが、例えば、熱交換器ホルダ102に取り付けられる構造であっても、製造ラインの作業の簡素化という効果を実現できる。
【0054】
主本体51は吹出口フレーム107を備える。吹出口フレーム107は室内熱交換器14に結合される。結合にあたって吹出口フレーム107は熱交換器ホルダ102に固定される。こうして吹出口フレーム107の固定は安定化する。吹出口フレーム107に第1吹出口31が形成される。第1送風ファン27や第1送風ファン駆動源46は吹出口フレーム107に支持される。
【0055】
第1電装品ユニット61および第2電装品ユニット62はそれぞれメインフレーム104に支持される。第1電装品ユニット61内の第1制御基板および第2電装品ユニット62内の第2制御基板には、第1送風ファン駆動源46の電源および制御回路、第2送風ファン駆動源75の電源および制御回路、ファン筐体駆動源86の電源および制御回路、左右風向板駆動源94の電源および制御回路、その他の電気部品が接続される。接続は第1制御基板および第2制御基板に適宜に振り分けられる。接続にあたって例えば配線が用いられることができる。
【0056】
図10に示されるように、室内熱交換器14には冷媒配管108が接続される。冷媒配管108は室内熱交換器14の片側から引き出されて室内熱交換器14の背後図4に示されるように、室内熱交換器14の後端の下方であって第1送風ファン27の背後)に収容される。ここでは、冷媒配管108は室内熱交換器14から延びて第1サイドパネル53aのファン筐体35を迂回しつつ第1送風ファン27の背後に至る。このとき、第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bにはファン筐体35の背後に空間109が区画される。第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bは空間109の外壁111を形成する。外壁111は室内機12の側壁を提供する。ファン筐体35の背後の空間109と第1送風ファン27の背後の空間112とは連続する。外壁111は、室内機12が室内の壁面に据え付けられた際に壁面に沿って第1サイドパネル53aおよび第2サイドパネル53bの後端を形成する縁111aを形成する。外壁111の縁111aには、冷媒配管108を引き出す際に切り欠かれる切り欠き予定域113が形成される。室内機12の背後で壁面内に配管構造が形成されずに冷媒配管108が室内機12の片側から壁面に沿って引き出される場合には、切り欠き予定域113が切り欠かれて、冷媒配管108は形成された切り欠きを通過する。
【0057】
図11に示されるように、第1サイドパネル53aはファン筐体35の背後でファン筐体35の外周を覆う周壁114を備える。周壁114は壁体54から外側に向かって立ち上がる。周壁114の外端には外壁111が接続される。外壁111は周壁114の外端から後方に広がる。外壁111を含む仮想平面は壁体54の外壁面54a(または内壁面54b)を含む仮想平面に平行に広がる。こうして外壁111は壁体54から連続してファン筐体35の背後に広がる。室内機12が室内の壁面に据え付けられると、周壁114と壁面との間に空間109が形成される。
【0058】
図12に示されるように、第1サイドパネル53aの周壁114はファン筐体35の輪郭に沿って外周を覆う。すなわち、ファン筐体35は、設置時に壁面との間に空間109を形成するように前方に変位する。室内機12が室内の壁面に据え付けられる際にファン筐体35は壁面から離れる方向に変位して配置される。ファン筐体35の変位に応じて周壁114と外壁111の縁111aとの間に確実に切り欠き予定域113は収まることができる。したがって、室内熱交換器14が壁面に接近して据え付けられても、冷媒配管108はファン筐体35の背後を通過して室内の壁面に沿って室内機12の片側から引き出されることができる。しかも、ファン筐体35は第1サイドパネル53aの外側に配置されることから、背後に空間109を確保しつつもファン筐体35には十分な大きさが確保されることができる。ファン筐体35の大きさは室温空気の気流の増量に寄与することができる。
【0059】
図13に示されるように、第2サイドパネル53bの周壁114はファン筐体35の輪郭に沿って外周を覆う。すなわち、ファン筐体35は、設置時に壁面との間に空間109を形成するように前方に変位する。室内機12が室内の壁面に据え付けられる際にファン筐体35は壁面から離れる方向に変位して配置される。ファン筐体35の変位に応じて周壁114と外壁111の縁111aとの間に確実に切り欠き予定域113は収まることができる。したがって、室内熱交換器14が壁面に接近して据え付けられても、冷媒配管108はファン筐体35の背後を通過して室内の壁面に沿って室内機12の片側から引き出されることができる。しかも、ファン筐体35は第2サイドパネル53bの外側に配置されることから、背後に空間109を確保しつつもファン筐体35には十分な大きさが確保されることができる。ファン筐体35の大きさは室温空気の気流の増量に寄与することができる。
【0060】
室内熱交換器14と壁面との距離が短縮されれば短縮されるほど、室内熱交換器14の重量によって生じ壁面に作用するモーメントは縮小されることができる。その結果、熱交換器ホルダ102を含む据え付け構造の剛性はできる限り抑制されることができる。これに対して、ファン筐体35が室内熱交換器14に対して前方に変位していない場合には、室内熱交換器14が壁面に接近して据え付けられると、ファン筐体35の背後に十分な大きさの空間が確保されることができない。室内機12の下面から冷媒配管108を引き出さなければならない。据え付け後の見栄えは悪化してしまう。それでも室内機12の片側から冷媒配管108を引き出そうとすれば、室内熱交換器14は壁面から離れてしまう。室内熱交換器14の重量によって生じ壁面に作用するモーメントは増大してしまう。
【0061】
次に空気調和機11の動作を説明する。例えば冷房運転が設定されると、四方弁18は第2口18bおよび第3口18cを相互に接続し第1口18aおよび第4口18dを相互に接続する。圧縮機15の動作に応じて冷媒が冷凍回路19を循環する。その結果、室内熱交換機14で冷気が生成される。冷気の温度は少なくとも室内空気の温度よりも低い。室温センサで検出される室温に応じて圧縮機15の動作は制御される。その他、例えば人感センサで在室者の不存在が所定の期間にわたって検出されると、圧縮機15は停止されてもよい。
【0062】
第1送風ファン27が回転すると、例えば図14に示されるように、冷気の気流121が第1吹出口31から吹き出る。このとき、上下風向板32a、32bの姿勢は適宜に制御される。上下風向板32a、32bの向きに応じて気流121の吹き出しは制御されることができる。ここでは、上下風向板32a、32bが床面に対してほぼ平行な姿勢に保持されることで、第1吹出口31から水平方向に冷気の気流121が吹き出すように上下風向板32a、32bは制御される。
【0063】
遠心ファン73が回転すると、ファンユニット26ではファン筐体35内の空間に第2吸込口37から室内空気が吸い込まれる。室内空気(以下「室温空気」という)の温度は室温に等しい。吸い込まれた室温空気の気流はファンユニット26の第2吹出口42から吹き出す。このとき、ファン筐体35の姿勢は水平軸線36回りで適宜に制御される。例えば図14に示されるように、ファン筐体35の姿勢は水平姿勢から前下がり(下流方向)に変化することができる。ファン筐体35は水平方向よりも下向きに第2吹出口42からの気流122の吹き出しを誘導することができる。室温空気の気流122は第2吹出口42から下向きに吹き出す。
【0064】
一般に、室内機12は室内で比較的に高い位置に設置される。冷気の気流121が水平方向に誘導されれば、冷気は高い位置から床面に向かって下降していく。室内では徐々に冷気が蓄積されていく。このとき、ファンユニット26は在室者Mに直接に室温空気の気流122を向けることができる。ファンユニット26は冷房運転時にいわゆる扇風機の代わりとして機能することができる。室温空気の気流122には冷気の混入は防止されることができ、その結果、在室者Mは心地よい涼感を得ることができる。在室者Mは、室内の温度低下に基づく涼感に加え、気流122により生じる気化熱に基づく涼感を得ることができる。
【0065】
例えば暖房運転が設定されると、四方弁18は第2口18bおよび第4口18dを相互に接続し第1口18aおよび第3口18cを相互に接続する。圧縮機15の動作に応じて冷媒が冷凍回路19を循環する。その結果、室内熱交換機14で暖気が生成される。暖気の温度は少なくとも室内空気の温度よりも高い。室温センサで検出される室温に応じて圧縮機15の動作は制御される。例えば人感センサで在室者の不存在が所定の期間にわたって検出されると、圧縮機15は停止されてもよい。
【0066】
図15に示されるように、暖房運転では第1送風ファン27の回転に応じて暖気の気流123が第1吹出口31から吹き出す。このとき、上下風向板32a、32bの姿勢は下向きに確立されることができる。上下風向板32a、32bは下向きに床面に向かって第1吹出口31からの気流123の吹き出しを誘導する。暖気の気流123は第1吹出口31から下向きに吹き出す。
【0067】
遠心ファン73の回転に応じて第2吹出口42から室温空気は吹き出す。ここでは、ファン筐体35の姿勢は上下風向板32a、32bよりもやや上向き(上流方向)に設定される。ファンユニット26のファン筐体35は、第1吹出口31よりも高い位置から、上下風向板32a、32bと同様な下向きに室温空気の気流122を吹き出す姿勢を確立する。ファンユニット26の気流122は暖気の気流123の上方空間に室温空気の層を形成する。第2吹出口42から吹き出す室温空気の気流122は暖気の気流に衝突して暖気の気流123の向きおよび動きを制することができる。ファンユニット26の気流122は床面との間に暖気を挟み込むことができる。こうして暖気の上昇は抑制される。室内で望まれる場所に暖気は送り込まれる。在室者Mは足下で暖を感じ続けることができる。室温が設定温度より低いものの特定の温度に達することから、室温空気の気流122に基づき在室者Mが肌寒さを感じることは回避されることができる。室内の温度環境は効率的に整えられる。
【0068】
こうした空気調和機11では本体ユニット25の第1吹出口31から冷気または暖気の気流121、123が吹き出される。ファンユニット26の第2吹出口42から室温空気の気流122が吹き出される。室温空気の気流122と冷気または暖気の気流121、123とは温度差を有する。温度に応じて空気の比重は変化することから、比重の違いに応じて室温空気の気流122は冷気や暖気の気流121、123の向きや動きを制御することができる。冷気や暖気は室内で望まれる場所に送り込まれることができる。こうして室内の温度環境は効率的に整えられることができる。
【0069】
室内機12では、ファン筐体35の背後の空間109と室内熱交換器14の後端よりも下方の空間112とは連続する。両者109、112は仕切られていない。両者109、112を仕切る壁は省略される。壁の加工を伴わずに冷媒配管108は第1サイドパネル53aまたは第2サイドパネル53bの外側に引き出されることができる。冷媒配管108の引き出し作業の複雑化は回避されることができる。
【0070】
室内機12では、図4から明らかなように、遠心ファン73の回転軸(水平軸線36に重なる)は、第1送風ファン27すなわちクロスフローファンの回転軸45を含む垂直仮想平面よりも前方に配置されればよい。こうして遠心ファン73の回転軸がずらされると、ファン筐体35の変位は簡単に実現されることができる。すなわち、背後に空間を確保しつつも遠心ファンには十分な大きさが確保されることができる。したがって、冷媒配管108は確実にファン筐体35の背後を通過して壁面に沿って室内機12の片側から引き出されることができる。
【0071】
また、図2からも明らかなように、ファン筐体35の前端はフロントパネル29の面に合わせ込まれる。したがって、ファン筐体35は室内熱交換器14に対して相対的に前方に変位するものの、室内機12では良好な見栄えは確保されることができる。
【0072】
しかも、室内機12では、第1サイドパネル53aでも第2サイドパネル53bでもファン筐体35の背後に空間109が確保される。冷媒配管108は左右どちら側からも引き出されることができる。その結果、室内機12の据え付け場所の自由度は広がる。
【符号の説明】
【0073】
12 空気調和機(室内機)、14 熱交換器(室内熱交換器)、27 第1送風ファンすなわちクロスフローファン、29 フロントパネル、35 補助筐体(ファン筐体)、42 補助吹出口(第2吹出口)、45 回転軸、53a 第1サイドパネル、53b 第2サイドパネル、54 壁体、54a 外壁面、54b 内壁面、73 遠心ファン、104 フレーム(メインフレーム)、108 冷媒配管、109 空間、111 外壁。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図13
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図15