(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281746
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】サブタンク式油水分離自動回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 17/00 20060101AFI20180208BHJP
C02F 1/40 20060101ALI20180208BHJP
B01D 17/025 20060101ALI20180208BHJP
B01D 17/028 20060101ALI20180208BHJP
B01D 17/032 20060101ALI20180208BHJP
B01D 17/04 20060101ALI20180208BHJP
C02F 1/24 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
B01D17/00 503B
C02F1/40 B
B01D17/025 502D
B01D17/028 E
B01D17/032 501Z
B01D17/032 501A
B01D17/032 502B
B01D17/04 503B
C02F1/24 D
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-46221(P2014-46221)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-167935(P2015-167935A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】303006813
【氏名又は名称】ウィズ・ラボ有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514060156
【氏名又は名称】有限会社ティ・エム・ディ
(74)【代理人】
【識別番号】100080104
【弁理士】
【氏名又は名称】仁科 勝史
(72)【発明者】
【氏名】野中 茂
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 義隆
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5147662(JP,B2)
【文献】
特開2007−014926(JP,A)
【文献】
実開昭50−093830(JP,U)
【文献】
特開平05−329476(JP,A)
【文献】
実公昭54−003420(JP,Y1)
【文献】
特開2002−320801(JP,A)
【文献】
特開2000−135404(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0000846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/40
C02F1/24
B01D17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を含有する廃水である油水を溜めるグリストラップ槽と、該油水に所定高温で所定時間を掛けて油を浮上させて油と水とに分離させる浮上分離機本体と、前記グリストラップ槽と前記浮上分離機本体との間に該浮上分離機本体に送る油水に対し事前の浮上油水分離を行うサブタンクとを備えたサブタンク式油水分離自動回収装置であって、
前記グリストラップ槽と前記サブタンク間には、
該グリストラップ槽内に設けた第1スキマーにより吸い上げられた該グリストラップ槽の上部の油水を、サブタンクの下部に設けた第2流入口に送る第1流入パイプと、
該サブタンクの上部に設けられた油水戻り口から該グリストラップ槽に油水を戻す戻しパイプとを設け、
前記サブタンクは、
該サブタンクの下部で前記第2流入口より上方に、油水通過孔が設けられた水平隔壁板と、ヒータが設けられ、該サブタンク下部の第2流入口から流入した油水が、前記水平隔壁板により攪拌を阻止され、前記ヒータで所定高温に温められながら上昇し、事前の浮上油水分離を行うものとされ、
該サブタンクと前記浮上分離機本体との間には、
該サブタンク内に設けられた第2スキマーにより吸い上げられた油水を、前記浮上分離機本体の下部に設けられた第3流入口へ送る第2流入パイプが設けられ、
前記浮上分離機本体は、
該浮上分離機本体の第3流入口の上方に所定高温を掛けるヒータが設けられると共に、前記浮上分離機本体の上部に、浮上分離油の油排出口が設けられ、該浮上分離機本体の中間部若しくは下方部に、分離水の排水口が設けられ、
前記浮上分離機本体で、所定高温で所定時間を掛けて油を分離させて浮上させ、一定容量となったところで、該浮上分離油を前記油排出口より油回収手段に掻き出すと共に分離された水を前記排水口より放水手段へ送り出すことを特徴とするサブタンク式油水分離自動回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブタンク式油水分離自動回収装置に関するもので、詳しくは、油を含有する廃水を溜めるグリストラップ槽と、該油水を浮上させて油と水とに分離させ、分離させた水を排水する浮上分離機本体との間に、該浮上分離機本体に送る油水に対し事前の浮上油水分離を行うサブタンクとを備えたサブタンク式油水分離自動回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、従来より油を含有する廃水をグリストラップ槽より油水分離タンク(浮上分離機本体)に送り、廃水を油と水とに分離させる装置は存在した。特許文献1に開示される油水分離回収装置は、いわゆる比重分離方式の装置で、所定時間、備え付けのヒータで設定した高温で加熱しながら、油水分離タンク(浮上分離機本体)の上部に分離して浮上堆積した油分を油水分離タンク外に排出回収しようとするものであった。
【0003】
特許文献1に開示された油水分離回収装置では、油水を分離させるための設定高温は、分離のための適温とされる摂氏40度程度であり、該装置には設定温度に加熱するためのヒータが設置されている。ところが、浮上分離させる廃水である油水をグリストラップ槽から直接受け取るものであるため、ヒータには常に新しい油水が供給される。
【0004】
通常グリスラップ槽内の水温(油水の温度)は摂氏17度から摂氏23度程であり、油水分離タンク内でヒータで加熱する設定温度と比べて低いため、新しい油水が供給される度に冷やされ、油水分離タンクで適正なる油水分離温度を確保することができず、油水分離タンクでの加熱と時間だけでは確実な油水分離が不可能であった。
【0005】
更に、特許文献1に開示された油水分離回収装置内の分離されたとされる排出される水には、油分が多く含まることとなる。即ち、その排水には、スカムやスラッジという下水処理や工場廃水処理などの過程で生じる、腐敗しやすい有機物を含み臭気の強い沈殿物が多く含まれることになる。そのため油水分離装置の排水パイプの清掃装置が必要不可欠なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5147662号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するため、ヒータの内蔵されたサブタンクを設け、そのサブタンクの作動により、サブタンク内の油水を一定温度まで上昇させ、該設定温度によりサブタンク内の油水の油と水への1次分離を行った後、より多くの油を含む油水のみを一定温度に保持した状態で浮上分離機本体に送り込み、浮上分離機本体内で油と水への分離を確実に行い、結果、排水される水に含まれるスカムやスラッジを減少させ、排水管の清掃等の負担を軽減させるサブタンク式油水分離自動回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、サブタンク式油水分離自動回収装置に次の手段を採用する。
第1に、油を含有する廃水である油水を溜めるグリストラップ槽と、該油水に所定高温で所定時間を掛けて油を浮上させて油と水とに分離させる浮上分離機本体と、前記グリストラップ槽と前記浮上分離機本体との間に該浮上分離機本体に送る油水に対し事前の浮上油水分離を行うサブタンクとを備えたサブタンク式油水分離自動回収装置である。
【0009】
第2に、前記グリストラップ槽と前記サブタンク間には、該グリストラップ槽内に設けた第1スキマーにより吸い上げられた該グリストラップ槽の上部の油水を、サブタンクの下部に設けた第2流入口に送る第1流入パイプと、該サブタンクの上部に設けられた油水戻り口から該グリストラップ槽に油水を戻す戻しパイプとを設ける。
【0010】
第3に、前記サブタンクは、該サブタンクの下部で前記第2流入口より上方に、
油水通過孔が設けられた水平隔壁板と、ヒータが設けられ、該サブタンク下部の第2流入口から流入した油水が、前記水平隔壁板により攪拌を阻止され、前記ヒータで所定高温に温められながら上昇し、事前の浮上油水分離を行うものとされる。
【0011】
第4に、該サブタンクと前記浮上分離機本体との間には、該サブタンク内に設けられた第2スキマーにより吸い上げられた油水を、前記浮上分離機本体の下部に設けられた第3流入口へ送る第2流入パイプが設けられる。
【0012】
第5に、前記浮上分離機本体は、該浮上分離機本体の第3流入口の上方に所定高温を掛けるヒータが設けられると共に、前記浮上分離機本体の上部に、浮上分離油の油排出口
が設けられ、
該浮上分離機本体の中間部若しくは下方部に、分離水の排水口が設けられ、前記浮上分離機本体で、所定高温で所定時間を掛けて油を分離させて浮上させ、一定容量となったところで、該浮上分離油を前記油排出口より油回収手段に掻き出すと共に分離された水を前記排水口より放水手段へ送り出す。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、次のような効果を発揮する。
第1に、加熱のためのヒータの設置されたサブタンクを設けてあるので、浮上分離機本体へ送る油水を、事前に、そのヒータで一定温度にまで加熱してから送ることが可能となった。従って、グリスラップ槽内の低い温度の油水が浮上分離機本体に送られるのとは異なり、浮上分離機本体内での処理対象油水の温度低下を招くことなく、油水分離を適正な一定温度で行うことができ、確実で効率の良いサブタンク式油水分離自動回収装置となった。
【0014】
第2に、加熱のためのヒータの設置されたサブタンクを設けてあるので、浮上分離機本体へ送る油水を、事前に、ヒータで一定温度にまで加熱してサブタンク内の油水の油と水への1次分離を行った後、サブタンク内のより油分の多い油水のみを浮上分離機本体に送ることができるので、効率の良い油水分離を行うことが可能となった。
【0015】
第3に、サブタンクとグリストラップ槽との間で油水の送り戻しが可能となったため、浮上分離機本体に処理対象油水を送る前にサブタンク内で数回の事前の1次分離(サブタンク内の油水の油と水への分離)を行うことができることとなった。これにより、より油分の多い処理対象油水を浮上分離機本体に送ることができ、処理効率が極めて高い装置となった。その上、油水に含まれる汚泥は数回の浮上油水分離に伴いサブタンク内に溜まり、沈殿する汚泥はサブタンク内に留まり浮上分離機までは運ばれないため、浮上分離機本体の清掃の負担を軽減させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施例に係るサブタンク式油水分離自動回収装置の全体構成を示す説明図
【
図3】サブタンク内の水平隔壁板と加熱ヒータとの関係を示す平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施例に係るサブタンク式油水分離自動回収装置の全体構成を示す説明図である。
【0018】
本実施例に係るサブタンク式油水分離自動回収装置は、油を含有する廃水である油水を溜めるグリストラップ槽1と、該油水に約摂氏40度という所定高温で所定時間を掛けて油を浮上させて油と水とに分離させる浮上分離機本体3と、グリストラップ槽1と浮上分離機本体3との間に該浮上分離機本体3に送る油水に対し事前の1次分離を行うサブタンク2とを備える。
【0019】
グリストラップ槽1は廃水受槽10とトラップ槽11と最終槽12とを有する。廃水受槽10は、工場等からの油を含有する廃水である油水を受け取る槽であり、第1流入口17には、ゴミ取り網15が設置されており、ゴミ取り網15により粗いゴミを除去した後の油水が、廃水受槽10に入る。
【0020】
グリストラップ槽1における廃水受槽10の隣にはトラップ槽11が設けられている。トラップ槽11は、グリストラップ槽1に送られてきた油水分離の対象となる油水を、浮上機分離本体3側に配置されたサブタンク2に送るための貯留槽である。廃水受槽10とトラップ槽11とは、仕切板13により仕切られているが、処理対象の油水は、廃水受槽10から仕切板13の下方よりトラップ槽11に流入するように構成されている。
【0021】
トラップ槽11に貯留されている油水は、摂氏17度から23度程度であり、油水分離には適する温度ではないが、自然の比重分離により若干の油水分離があり、分離した油分は比重により上方に集まる。尚、トラップ槽11の上方には、トラップ槽11内上部に溜まった油分の多い油水を回収する第1スキマー16が配置されている。
【0022】
尚、グリストラップ槽1のトラップ槽11の隣には最終槽12が設けられている。最終槽12とトラップ槽11は仕切板14で仕切られている。最終槽12は、浮上分離機本体3で処理された後の油分が除かれて送られてくる分離水である適正排水を下水道などに放流する前段階として貯留するための槽である。最終槽12より油が除去された水のみが下水道などに放流される。
【0023】
グリストラップ槽1とサブタンク2との間には、第1流入パイプ18が設けられる。第1流入パイプ18は、一方でトラップ槽11内に設置された第1スキマー16と連結され、他方でサブタンク2の下端部近くに設けられた第2流入口20と連結されている。
【0024】
第1流入パイプ18の経路中にはダイアフラムポンプP1及びその下流に逆止弁B1が設置されている。このダイアフラムポンプP1を作動させると、ダイアフラムポンプP1の脈動により第1スキマー16が上下運動をおこし、トラップ槽11内の上部に滞留している油水を第1スキマー16が吸い込み、更に、ダイアフラムポンプP1の脈動により吸い込まれた油水は、第1流入パイプ18を経てサブタンク2下部に設けられた第2流入口20へと送られ、サブタンク2内に取り込まれる。
【0025】
尚、グリストラップ槽1のトラップ槽11とサブタンク2との間には、サブタンク2の上部に形成された油水戻り口24からグリストラップ槽1のトラップ槽11に油水を戻す戻しパイプ28が設けられている。
【0026】
サブタンク2は、グリストラップ槽1のトラップ槽11から処理対象油水を浮上分離機本体3に送る前に、事前に油水の1次分離を行うためのタンクである。サブタンク2は、
図2の断面説明図に示されるように、水平隔壁板21とヒータ22,23と第2スキマー26とが設けられ、サブタンク2の下部には,第2流入口20が形成され、サブタンク2の上部には、油水戻り口24が形成されている。
【0027】
水平隔壁板21の主たる役割は、油水の攪拌を抑制して、油と水分が細かく混ざり合ってエマルジョン化(乳濁化)するのを防止するためのものである。攪拌を防止しながら第2流入口20より送られてきた油水を上方へ導くための多数の油水通過孔Hを穿設した板状のもので、実施例では16個の油水通過孔Hを穿設したアルミ板を用いている。
【0028】
水平隔壁板21は、
図2に示されるようにサブタンク2の下方部に位置して設置されているが、第2流入口20の位置よりは上方に設置されている。第2流入口20より送られてきた処理対象油水が攪拌してしまったり、一旦1次分離され上方に滞留している分離油分が、サブタンク2の下部の第2流入口20から流入した未処理の油水により攪拌されることを阻止する。
【0029】
水平隔壁板21の上下にはヒータ22,23が設置されている。第2流入口20より送られてきた油水は,摂氏17度から23度程度と低温である。この油水を油分と水分とに分離するためには、分離に適する摂氏40度程度に温める必要がある。
【0030】
第2流入口20から流入し、一旦水平隔壁板21に衝突し、対流している油水を温めることが水平隔壁板21の下方に設置されたヒータ22の主たる役割であり、水平隔壁板21の油水通過孔Hを通過してきた油水を温めるのが、水平隔壁板21の上方のヒータ23の主たる役割である。
【0031】
ヒータ22、23で所定高温である摂氏40度程度に温められながら、上昇した処理対象油水は、一定時間の経過により、事前の1次分離が行われる。分離した油分27は、
図2に示されるようにサブタンク2の上方部に浮上油として溜まる。
【0032】
サブタンク2上部には、油水戻り口24が形成されており、油水戻り口24には油水調整板25が装備されている。油水調整板25は、サブタンク2内の油水の水位を決定するもので、油水調整板25の設定より、サブタンク2内の油水が上昇すると、余分の油水は、油水戻り口24から戻しパイプ28を経てトラップ槽11へ戻るようにされている。
【0033】
従って、サブタンク2内では、浮上して上部に溜まった分離した油分27は、比重が小さく軽いため油水調整板25の設定位置より上部に溜まり、余分な油水、通常、分離した油分27よりは低濃度の油分しか有しない油水をトラップ槽11に戻すことになる。
【0034】
戻された油水は、新たにトラップ槽11に流入してきた油水と共に、自然分離が行われ、上部に溜まった油分の多い油水が第1スキマー16により再度サブタンク2へと送られる。この送り戻しの作動回数を長く多くすることで、サブタンク2内の上方部に1次分離により分離した油分27が多く溜まる。浮上分離機本体3に送られる前に2から4回程度繰り返されることが好ましい。
【0035】
サブタンク2と浮上分離機本体3の間には、サブタンク2で事前の1次分離が行われた後の分離した油分27を多く含む油水が送るための第2流入パイプ29が設けられている。第2流入パイプ29は、一方でサブタンク2内の上方に設置された第2スキマー26と連結され、他方で浮上分離機本体3の下端部近くに設けられた第3流入口30と連結されている。
【0036】
第2流入パイプ29の経路中にはダイアフラムポンプP2及びその下流に逆止弁B2が設置されている。このダイアフラムポンプP2を作動させると、ダイアフラムポンプP2の脈動により第2スキマー26が上下運動をおこし、サブタンク2内の上方部に滞留している分離した油分27を含む油水を第2スキマー26が吸い込み、更に、ダイアフラムポンプP2の脈動により吸い込まれた油水は、第2流入パイプ29を経て、浮上分離機本体3下部に設けられた第3流入口30より浮上分離機本体3内に送り込まれる。
【0037】
浮上分離機本体3は、通常に用いられる浮上分離機装置で良いが、浮上分離機本体3内の下部(実施例では下端部付近)には、第3流入口30が形成され、第3流入口30の上方の中間部には、図示されていないが、サブタンク2と同様の水平隔壁板、更に、油水を所定高温である摂氏40度とするためのヒータが設けられている。
【0038】
浮上分離機本体3では、ダイアフラムポンプP2が作動していないときに、所定高温(摂氏40度)で所定時間を掛けて油を分離させて浮上する。分離した油分が一定容量となるまで油水分離を行う。浮上分離機本体3内の下部に水分、上部に油分が溜まる。即ち、分離した油分は浮上分離機本体3内上方部に集まる。尚、油水は、油排出口32の下端より2cmから4cm低い位置に水位している。
【0039】
浮上分離機本体3には、中間部若しくは下方部(実施例では下方部)に処理水の排水口が設けられており、上部には、油排出口32、水位調整ボックス31が設けられている。
【0040】
水位調整ボックス31は、浮上分離機本体3内の水位を決定する装置であり、油排出口32の位置に合わせて設定した水位より上方に分離した油分を集積させるための装置である。油水分離処理が行われた処理水は、浮上分離機本体3の下方部に存在する排出口より、上方の水位調整ボックス31までサイフォン管35を通って移動し、水位調整ボックス31で設定された水位を超えた時点で、処理水戻しパイプ34へと排水される。これにより浮上分離機本体3内の水位は一定に保たれる。
【0041】
処理水戻しパイプ34は、グリストラップ槽1の最終槽12と接続されており、処理水は最終槽12に戻される。その後、最終槽12の放水口19から下水道や河川等に放水される。
【0042】
他方、浮上分離機本体3の油排出口32より上方部に浮上して集まった分離した油分は浮上分離機本体3内に設置された図示されていない油分排出板により、油排出口32から掻き出される。浮上分離機本体3の外部でこの油排出口32位置には油回収手段である油回収箱33が設置されており、掻き出された油分は該油回収箱33に収集される。
【0043】
このようにして油水分離自動回収は一連の回収作業を完了するが、浮上分離機3本体での作動回数1回に対して、サブタンク2での1次分離を2回から4回行うことが効率的で好ましい。実施例では、サブタンク2での作動と浮上分離機本体3での作動は、別々のタイマーにより作動し、24時間タイマーによりそれぞれの作動をコントロールしている。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・グリストラップ槽
2・・・・・サブタンク
3・・・・・浮上分離機本体
10・・・・廃水受槽
11・・・・トラップ槽
12・・・・最終槽
13、14・仕切板
15・・・・ゴミ取り網
16・・・・第1スキマー
17・・・・第1流入口
18・・・・第1流入パイプ
19・・・・放水口
20・・・・第2流入口
21・・・・水平隔壁板
22、23・ヒータ
24・・・・油水戻り口
25・・・・油水調整板
26・・・・第2スキマー
27・・・・分離した油分
28・・・・戻しパイプ
29・・・・第2流入パイプ
30・・・・第3流入口
31・・・・水位調整ボックス
32・・・・油排出口
33・・・・油回収箱
34・・・・処理水戻しパイプ
35・・・・サイフォン管
P1、P2・ダイアフラムポンプ
B1、B2・逆止弁
H・・・・・油水通過孔