特許第6281752号(P6281752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6281752押出し成形メッシュを備えるクッションおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281752
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】押出し成形メッシュを備えるクッションおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/045 20120101AFI20180208BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   D04H3/045
   B32B3/24 Z
【請求項の数】67
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-501187(P2016-501187)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-511337(P2016-511337A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014023265
(87)【国際公開番号】WO2014150439
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】13/834,828
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597098947
【氏名又は名称】オルバニー インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ロバート,エイ.
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−508832(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/100166(WO,A1)
【文献】 特表2016−517363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00〜18/04
D21B1/00〜D21J7/00
B32B1/00〜43/00
D03D1/00〜27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなるクッションであり、次の構成および特徴を備えるクッション
第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層。
・前記第1の層の一面上にある、平行なストランドからなる第2の層であり、その第2の層のストランドは、第2の方向に走り、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える層。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項2】
前記第1、第2、および第3の層のストランドは、押出し成形された高分子の細長い部材であり、押出しによって交差し交わり網状の構造物を形成している、請求項1のクッション
【請求項3】
前記第3の層のストランド数は、前記第1の層のストランド数よりも少ないか、あるいは逆の関係である、請求項1のクッション
【請求項4】
前記第2の層のストランドは、前記第1および第3の層のストランドに直交するか、あるいは、その第1および第3の層の90°よりも小さな角度で位置する、請求項1のクッション
【請求項5】
次の構成および条件をさらに備える、請求項1のクッション
・前記第2の層のものと同じ方向の平行なストランドからなり、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える第4の層。
・前記第1の層のものと同じ方向の平行なストランドからなる第5の層。
・前記第5の層のストランドは、前記第1あるいは第3の層のストランドと同様、厚さ方向における直角な面に整列されている。
【請求項6】
前記ゴム弾性高分子物質ストランドの材料は、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタン、ならびに、それらの共重合体を含むグループから選択したものである、請求項1のクッション
【請求項7】
前記第1、第3、および第5の層におけるストランドは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそれらのコポリマー(共重合体)を含むグループから選択したものである、請求項5のクッション
【請求項8】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項1のクッション
【請求項9】
前記複合押出し成形メッシュと、その複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に取り付けられた、織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列の1あるいは2以上の層を備える、請求項1のクッション
【請求項10】
前記織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列および/または前記押出し成形メッシュの上および/または下の層に取り付けられた、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層をさらに備える、請求項9のクッション
【請求項11】
前記複合押出し成形メッシュに取り付けられた、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を備える、請求項1のクッション
【請求項12】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなるクッションの形成方法であり、次の各工程および特徴を備える、クッションの形成方法。
第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層の一面上にある、平行なストランドからなる第2の層であり、その第2の層のストランドは、第2の方向に走り、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える層を共押出し成形する工程。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層を共押出し成形する工程。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項13】
前記第1、第2、および第3の層のストランドは、押出し成形された高分子の細長い部材であり、押出しによって交差し交わり網状の構造物を形成している、請求項12の方法。
【請求項14】
前記第3の層のストランド数は、前記第1の層のストランド数よりも少ないか、あるいは逆の関係である、請求項12の方法。
【請求項15】
前記第2の層のストランドは、前記第1および第3の層のストランドに直交するか、あるいは、その第1および第3の層の90°よりも小さな角度で位置する、請求項12の方法。
【請求項16】
次の工程および特徴をさらに備える、請求項12の方法。
・前記第2の層のものと同じ方向の平行なストランドからなり、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える第4の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層のものと同じ方向の平行なストランドからなる第5の層を押出し成形する工程。
・前記第5の層のストランドは、前記第1あるいは第3の層のストランドと同様、厚さ方向における直角な面に整列されている。
【請求項17】
前記ゴム弾性高分子物質ストランドの材料は、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタン、ならびに、それらの共重合体を含むグループから選択したものである、請求項12の方法。
【請求項18】
前記第1、第3、および第5の層におけるストランドは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそれらのコポリマー(共重合体)を含むグループから選択したものである、請求項12の方法。
【請求項19】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項15の方法。
【請求項20】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に対し、織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項12の方法。
【請求項21】
前記織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列および/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に対し、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項20の方法。
【請求項22】
前記複合押出し成形メッシュに対し、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項12の方法。
【請求項23】
次のいずれかのものである、請求項1のクッション
すなわち、前記クッションは、競技シューズ、普通の靴、長靴(ブーツ)、床カーペット、カーペットクッション、あるいはスポーツフロア、自動車部品、コンポジット、フローリング、下張り床(サブフロア)、圧縮クッション、弾道衣服、または、ランナー、レーサー、スケーター、バレーボール選手のためのひざ/ひじクッション、クリケットの向こうずね/ひざクッション、フットボールの腰クッション、さらには、スタジアム、競技場、アリーナにおける壁クッション、靴インサート、競技シューズのヒール/ソール、そしてまた、ベッド、乗物の座席、あるいは枕のクッション層のいずれかである
【請求項24】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなるクッションであり、次の構成および特徴を備えるクッション
第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層。
・前記第1の層の一面上にある、弾性的な材料からなる第2の層。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項25】
前記弾性的な材料は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートであり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものである、請求項24のクッション
【請求項26】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、所定のパターンで分布させた、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)を備える、請求項25のクッション
【請求項27】
前記貫通孔あるいは空所(空隙)は、同じ大きさかあるいは異なる大きさである、請求項26のクッション
【請求項28】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、ポリウレタン、ゴム、あるいはシリコン樹脂から構成される、請求項25のクッション
【請求項29】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形から選ばれる、円形あるいは非円形の形状である、請求項26のクッション
【請求項30】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けたもの、または、構造物を共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けられたものである、請求項26のクッション
【請求項31】
前記複合押出し成形メッシュに取り付けられた、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を備える、請求項24のクッション。
【請求項32】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に取り付けられた、織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列の1あるいは2以上の層を備える、請求項24のクッション。
【請求項33】
前記織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列および/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に取り付けられた、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層をさらに備える、請求項32のクッション。
【請求項34】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなるクッションを形成する方法であり、次の各工程および特徴を備える、クッションの形成方法。
第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層の一面上に、弾性的な材料からなる第2の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層を押出し成形する工程。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項35】
前記弾性的な材料は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートであり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものである、請求項34の方法。
【請求項36】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、所定のパターンで分布させた、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)を備える、請求項35の方法。
【請求項37】
前記貫通孔あるいは空所(空隙)は、同じ大きさかあるいは異なる大きさである、請求項36の方法。
【請求項38】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、ポリウレタン、ゴム、あるいはシリコン樹脂から構成される、請求項35の方法。
【請求項39】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形から選ばれる、円形あるいは非円形の形状である、請求項36の方法。
【請求項40】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けられるか、または、前記メッシュを共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けられる、請求項36の方法。
【請求項41】
前記複合押出し成形メッシュに対し、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項34の方法。
【請求項42】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に対し、織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項34の方法。
【請求項43】
前記織りファブリック、被膜、LD(長さ方向)あるいはTD(横断方向)糸配列および/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に対し、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項42の方法。
【請求項44】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項1のクッション
【請求項45】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項1のクッション
【請求項46】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項12の方法。
【請求項47】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項12の方法。
【請求項48】
前記フィルムあるいはシートは、0.10から少なくとも50mmの厚さをもつ、請求項34の方法。
【請求項49】
前記フィルムあるいはシートは、0.10から少なくとも50mmの厚さをもつ、請求項24のクッション
【請求項50】
前記円形のストランドの径は、0.1mm〜150mmの範囲である、請求項8のクッション
【請求項51】
前記円形のストランドの径は、0.1mm〜150mmの範囲である、請求項19の方法。
【請求項52】
前記複合押出し成形メッシュは、90°向きを変えて、前記より非弾性的な材料が第2の方向、そして前記弾性的なストランドあるいは弾性的な材料が第1の方向に位置する、請求項44クッション
【請求項53】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュが積層されている、請求項45クッション
【請求項54】
前記複合押出し成形メッシュは、90°向きを変えて、前記より非弾性的な材料が第2の方向、そして前記弾性的なストランドあるいは弾性的な材料が第1の方向に位置する、請求項46の方法。
【請求項55】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュを積層する、請求項47の方法。
【請求項56】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項24のクッション
【請求項57】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項34の方法。
【請求項58】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項24のクッション
【請求項59】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項24のクッション
【請求項60】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項34の方法。
【請求項61】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項34の方法。
【請求項62】
前記複合押出し成形メッシュは、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し、積層されている、請求項52クッション
【請求項63】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュを積層する、請求項54の方法。
【請求項64】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項1のクッション。
【請求項65】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項12の方法。
【請求項66】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項24のクッション。
【請求項67】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項34の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、競技シューズ、普通の靴、長靴(ブーツ)、床カーペット、カーペットクッション、スポーツフロアなど、いろいろな用途のある、圧縮性/弾力性の構造物に関する。構造物自体は、最終製品にもなるし、あるいは、他の構造物の部品にもなる。限定されるわけではないが、考えられる用途として、自動車部品および他のコンポジット、フローリング、特に競技場あるいは他のスポーツアリーナにおける下張り床(サブフロア)、圧縮クッション、防弾チョッキやハリケーン窓プロテクターのような弾道衣服、野球捕手の胸当てのようなスポーツ用品クッション、ランナー、レーサー、スケーター、バレーボール選手のためのひざ/ひじクッション、クリケットの向こうずね/ひざクッション、フットボールの腰クッション、スタジアム、競技場、アリーナにおける壁クッション、靴インサート(医用)、たとえばランニングシューズなどの競技シューズのヒール/ソール、ベッド、乗物の座席、枕のクッション層、さらには、厚さ方向の圧縮性や弾力性が求められる他の最終用途がある。
【背景技術】
【0002】
関連する技術において、米国特許第6,391,420号は、一方向性の弾性をもつ、押出し成形複合網製品を示す。その‘420特許が示す構造物は、たとえば、一方の方向のポリプロピレンのような非弾性的な材料と、他方の方向のスチレンブロック共重合体のような弾性的な材料とを用いる不織製品である。
【0003】
米国出願第2007/0202314号、PCT出願WO2007/067949、および米国出願第2007/0194490号は、「非交差の(crossless)」構造物を基材として用いた例である。それらの層の少なくともいくつかをこの発明の構造物と置き換えると、厚さ方向に圧縮およびスプリングバックし、結果として、全体的に改良された構造物になる。
【0004】
この発明は、また、靴インサートあるいは医用インサートとして用いることもできる。それらは、一般に、成形した固体の樹脂である。この発明による構造物の層を結合することにより、それのクッション効果を改良することができる。スポーツ靴のヒール/ソール、それらは一般に粘弾性のある固体の高分子材料であるが、たとえば「エアチャンネルあるいはポケット」を中に成形することにより、「クッション性」を改良しようとする試みがなされている。しかし、成形した材料の剛性では、クッション効果が制限される。形のある構造物の中にこの発明の構造物を層として組み込むことにより、「樹脂」がなく可動であるから、ランニング/競技シューズのクッション効果を実質的に改良することができる。そして、もし「樹脂」がポリウレタンフォームあるいはシリコンフォームであるなら、それをメッシュ構造物に含浸するか、あるいはカプセルに包むようにさえすることができる。
【0005】
したがって、「クッション製造」分野の現状を進歩させ、負荷を受けたときに大きな厚さ方向のリカバリーを伴うすぐれた弾力性があるクッションを提供することができるであろう。
【発明の概要】
【0006】
この発明は、ユニークな構造物を利用する「緩衝クッション」であり、その構造物は、構造物の表面に垂直の荷重を受けたときに大きな厚さ方向のリカバリー(弾力性)を伴う非常に弾力的な作用を生じる。ここでの構造物は、少なくとも一つの方向に弾力性の構成要素を利用する。それによって、垂直の荷重(つまり、圧力)を受けて構造物全体が自らの中に「つぶれる」(圧縮して小さくなる)ことができる。それは、この構成要素の弾性、ならびに、圧力に順応する構造物の形態(ジオメトリー)および荷重(圧力)を取り除いた際の「スプリングバック」に主として基づく。そのようにして、このユニークな作用をする。
【0007】
この発明の目的は、メモリーフォーム、ゲル、スプリングシステムなどを超える、改良されたリカバリー特性をもつ構造物を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、たとえば、靴および足のサポートを改良するために、クッション上に滑らかで均一な表面を形成することである。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、カーペット/スポーツフロア/床材料のサポートを改良した、「平ら」なストランド構造物を形成することである。
【0010】
この発明のさらに他の目的は、材料の直線的な圧縮に対立するものとして、構造物内部における弾性的な構成要素の「フル」リカバリーを利用することにより、リカバリー/ダンパー特性のすぐれた保持力を生じることである。これが達成されるのは、構造物が弾性的な構成要素の部分間にサポートを与え、それが材料の「オーバーストレス」を避け、それを「生かし」続けて長い有用な寿命をもたらすからである。
【0011】
この発明のさらに他の目的は、すぐれた圧縮リカバリー対重量比を与え、軽重量の構造物によってすぐれたダンパー能力を得ることができるようにすることである。
【0012】
この発明のさらに他の目的は、緩衝構造物にすぐれた「通気性(呼吸性)」を与え、圧縮段階の間に発汗作用をし、他の湿気を蒸発させおよび/または除去するようにすることである。
【0013】
この発明、ならびに、その作用効果およびそれを用いることで得る具体的な目的をより良く理解するため、一緒にある説明を参照されたい。その説明には、限定するわけではないが、この発明の好ましい実施例を示している。
【0014】
この発明の一実施例は、競技シューズ、ランニングシューズ、普通の靴、ブーツ(長靴)などに用いる、超弾力性のクッションである。別の実施例は、床カーペット、スポーツフロア、床カバーなどに用いる、超弾力性の「カーペットクッション」である。
【0015】
そこで、開示するものは、圧縮性で弾力性のクッションである。そのクッションは、押出し成形の複合ゴム弾性高分子物質の網あるいはメッシュである。その複合メッシュあるいは網は、二つの別のポリマー流れによって送り込まれる押出しダイで製造することができる。複合押出し成形メッシュあるいは網は、一方向の比較的に非弾性的な(非伸縮性の)ストランド材料の少なくとも二つの層と、横断する方向に共押出し成形する弾性的な(伸縮性の)ストランド材料の少なくとも一つの層とを備える構造物である。二つのタイプの材料が処理およびレオロジーの観点から両立する限り、ストランド層を形成する材料の組合せについては、どのようなものをも用いることができる。たとえば、二つの材料の流れのストランドは、接合接着強度が良好でなければならない。網あるいは押出し成形メッシュは、好ましくは、縦方向のポリアミドのような比較的に非弾性的な材料と、横方向のポリウレタンのような弾性的な材料とを備える。
【0016】
どの層のストランドあるいは部材/構成要素についても、たとえば、断面が円形あるいは非円形の形状にすることができる。それらには、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む。
【0017】
最終的な構造物は、この発明の複合押出し成形メッシュを取り付けた1あるいは2以上の織り層を含むことができる。この構造物には、また、当業者に知られた方法によって、たとえば、スパンボンド(spunbond)あるいは溶融ブロー(meltblown)、縦方向あるいは横方向の糸配列、またはらせんリンクファブリックなどの1あるいは2以上のバット(綿、batt)、不織材料の層を取り付けることもできる。
【0018】
この発明の他の実施例は、複合押出し成形メッシュあるいは網の形成方法であり、比較的に非弾性的な(非伸縮性の)ストランド材料の少なくとも二つの層を一方向に押出し成形する工程と、非弾性的なストランドの二つの層間の横切る方向に、弾性的な(伸縮性の)ストランド材料の少なくとも一つの層を共押出し成形する工程とを含む。ネットあるいはメッシュは、好ましくは、一方向のポリアミドのような比較的に非弾性的な材料と、もう一方のポリウレタンのような弾性的な材料とによって製造することができる。
【0019】
この発明の別の実施例は、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュであり、二つのタイプの層を備える。第1は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートの1あるいは2以上の層であり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦および横方向に伸張性、曲げ性、および弾力性である。第2は、その押出し成形フィルムあるいはシートのどちらかの側(表面)に共押出し成形した、比較的に非弾性的な部材/構成要素の2あるいは3以上の層である。
【0020】
この発明のさらに別の実施例は、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュの形成方法である。その方法は、二つの工程を含む。第1は、弾性的なフィルムあるいはシートの1あるいは2以上の層を押出し成形する工程であり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦および横方向に伸張性、曲げ性、および弾力性である。第2は、その押出し成形フィルムあるいはシートの上面および下面に、比較的に非弾性的な部材/構成要素の2あるいは3以上の層を共押出し成形する工程である。ここにおける開示および実施例において、この発明の複合押出し成形メッシュあるいは網は、最終的な製品にするか、あるいは、その構造物を他の構造物の構成要素にするかのいずれにもすることができる。そのメッシュ構造物は、次に示すグループの中の製品中に含まれるか、その中の製品となることができる。すなわち、そのグループとは、履物、靴、競技シューズ、長靴、フローリング、カーペット、カーペットクッション、スポーツフロア、自動車部品、コンポジット、サブフロア、競技場のサブフロア、スポーツアリーナのサブフロア、圧縮クッション、弾道衣服、防弾チョッキ、ハリケーン窓プロテクター、パッド、スポーツ用品クッション、野球捕手の胸当て、ひざ/ひじクッション、腰クッション、壁クッション、靴インサートおよび医用支持具、競技シューズのヒール/ソール、ベッドおよび乗物座席のクッション層のグループである。
【0021】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1(A)】この発明の一実施例による超弾力性クッションの適用例である。
図1(B)】この発明の一実施例による超弾力性クッションの適用例である。
図2】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解プロフィールである。
図3】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
図4】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
図5】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
図6】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
図7】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
図8】この発明の一実施例による、圧縮性の複合押出し成形メッシュのプロフィール図である。
図9】この発明の一実施例による、圧縮性の複合押出し成形メッシュのプロフィール図である。
【詳細な説明】
【0023】
この発明のために、用語「横断方向」は横方向と同じ意味であり、しばしば単に「TD」という。「長さ方向」も縦方向と同様であり、しばしば単に「LD」という。しかし、用語「横断」は、また、前に言及したストランド/部材/構成要素の方向と反対方向に伸びるストランド/部材/構成要素を指してもしばしば用いる。その意味は、個々の例の関係から明らかであろう。
【0024】
この発明の一実施例は、「緩衝」クッションであり、独特の構造物を利用しており、垂直の荷重を受けたときに、大きな厚さ方向のリカバリー(弾力性)によって、すぐれた弾力的な作用を生じる。
【0025】
この発明の一実施例を、図2に示す。それは、たとえば、スポーツシューズ、ランニングシューズ、普通の靴、ブーツなどのシューズに用いる、複合押出し成形メッシュ10である。図2には、第1あるいは最下の層(1)をもつ、シュークッション用の複合押出し成形メッシュ10である。その最下の層は、長さ方向(縦方向)に配列された平行なアレイの押出し成形した機能性ストランド14を備える。ストランド12をもつ第2あるいは中央の層(2)は、第1の層(1)に対し直交あるいは90°に共押出し成形される。ストランド12は、上に述べたとおり、ゴム弾性高分子物質特性をもつ。機能性ストランド14を備える第3あるいは一番上の層(3)もまた、層(2)に対して直交する平行なアレイの形態に共押出し成形される。層(3)におけるストランド14は、層(1)におけるストランド14の間のスペース内部に位置あるいは整列される。層(1)および(3)におけるストランド14は、比較的に非弾性的な(非伸縮性の)材料で構成される。すべての層におけるストランドは、共押出し成形ポリマーの細長の部材であり、押出し成形中にクロスし交わり、図2に示すような網状の構造物を形成する。用語「複合」は、二つの異なる材料を用いることをいう。すなわち、一方は、一方の方向における比較的に非弾性的な(非伸縮性の)材料であり、他方は、もう一方の方向における弾性的な材料である。一つの好ましい実施例において、非弾性的な材料はポリアミドであり、弾性的な材料はポリウレタンである。全三層の部材は、同じ形および大きさにすることができるし、あるいは、異なる形および大きさにすることができる。
【0026】
さて、図3に戻ると、非圧縮状態あるいは緩めた状態、またはリカバリー状態の、複合押出し成形メッシュ10を示す。複合押出し成形メッシュ10の面に垂直な圧縮荷重を加えると、ストランド12が伸びることにより、層(1)および(3)からのストランド14を互いに向かうように動かし、図4に示すように、同じ平面において、互いの間に「組み合う」。荷重を取り除くと、ストランド12の弾性作用に起因して、それらは層(1)および(3)のストランド14を互いから離すように動かし、あるいは「スプリングバック」し、図3に当初示すように、クッションをその必要な厚さおよび開放性に戻す。したがって、そのような構造物は、少なくとも弾性ストランドの全くの厚さまでの圧縮性および弾力性がある。
【0027】
別の実施例において、ストランド14は上のものと同じ位置で、対応する配置/間隔であるが、ストランド12は押出し成形され、ストランド14に対して90°よりも小さな角度、好ましくは45°の角度に方向付けされている。
【0028】
一つの典型的な実施例によれば、2層を越える機能性のLDストランドおよび1層を越えるTDストランドを含むことができる。3層のLDストランドおよび間に位置する2層のTDストランドを備える場合、3層のLDストランドの中の2つは、たとえば、互いに(互いの間に)組み合うような間隔をもたせることが必要である。たとえば、一番上および中央のLD層は、中央の層が一番上のLDの2つの隣接するストランド間のスペースに合うように置かれるべきである。そして、下のLD層のストランドは、一番上あるいは中央のいずれかのLD層と垂直方向性が合うように積み重ねる。さらに、TDストランドの2層は、ゴム弾性高分子物質にするか、あるいは、1層だけをゴム弾性高分子物質とし、他方の層を機能性ストランド層とし、たとえば、荷重下に大きな空隙容積を得るようにする。
【0029】
そしてまた、圧縮/弾性の大きさは、必要なストランドの弾性、大きさ(寸法)、ストランド層の数、および勿論、構造物自体の全体によって制御する。この発明の構造物は、そこに取り付ける他のストランドアレイ(MDおよび/またはCD)、あるいは織りファブリックの積層物の一部にすることもできる。
【0030】
一実施例による、この発明は、図2〜6に示すように、複合押出し成形メッシュあるいは網構造物10の形成方法である。構造物10は、完全に押出し成形された、複合網であり、すぐれた圧縮性およびリカバリー特性をもつ。図2に示すように、硬質のあるいは堅い非弾性的な材料14が、互い違いの配列をもって、上層(3)および下層(1)を占め、そして、ゴム弾性高分子物質材料12が中央の層(2)を占める。押出し成形処理のために、上および中央の層(3,2)、そして、中央および下の層(2,1)が互いに結合される。メッシュ構造物は、シリンダーあるいはチューブの形態で押出し成形し、その後で、縦に切断し、平らにして連続的なシートを形成することができる。比較的に非弾性的なストランド(LD)は、メッシュ構造物にLD負荷をかけることにより、第2の処理工程で選択により配向あるいは延伸(たとえば、引っ張り特性を改良するために、モノフィラメント糸を処理すると同様)することができる。
【0031】
ゴム弾性高分子物質材料12と堅い(非圧縮性で非弾性的)ストランドとは、互いに直交することが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。留意すべきは、この構造物が厚さ方向に非圧縮状態にあるとき、構造物が図3に示すようになり、中央層(2)のストランド12が直線状あるいは非圧縮状態になり、上下のストランド14が中央層(2)のいずれかの側に位置することである。しかし、この構造物に厚さ方向の構造物表面に垂直な荷重が加わり、構造物が圧縮されるとき、その構造物は図4に示すようになり、中央層(2)のストランド12が、層(1)および(3)のストランド14の周囲に自らを適合させ、層(1)のストランド14が層(3)からのすぐ隣りのストランド14に組み合う。3層の押出し成形による複合網製品を形成することの一つの利点は、今までの織りテキスタイル構造物あるいは個別に結合したヤーンアレイに比べて、製造コストが安価なことである。
【0032】
非円形の場合、堅い(あるいは、比較的に非弾性的)ストランド14の径は、ゴム弾性高分子物質ストランド12の径あるいは寸法と等しくすることができることに留意されたい。しかし、堅いストランドの径あるいは寸法は、いくつかの例において、ゴム弾性高分子物質ストランドの径あるいは寸法よりも大きくすることができるし、それと逆の関係にすることができる。円形のストランドの径(直径)は、0.1mm〜150mmの範囲にすることができるが、好ましい範囲は0.2mm〜70mmである。
【0033】
ストランド配列(1)および(3)は、材料、形態、形などについて、互いに同じにすることができるし、あるいは、異なるようにすることができることに留意されたい。一つだけ必要なことは、層(3)のストランドが、層(1)の隣接するストランド間に合う間隔になっていること、あるいはその逆であることである。ストランドの形は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含み、そして、長軸の寸法は250mmまでの大きさにすることができる。
【0034】
また、層(1)と層(3)のストランドの数の間に一対一の関係が必要ではないことに留意されたい。しかし、層(3)のストランドの数が層(1)のストランドの数の一部分であるか、その逆になるかである。たとえば、層(3)が層(1)のストランドの半分だけ包含し、プレスファブリックに用いるとき、層(3)のストランドの間に付加的な空隙を作り出す。ストランド間隔(中心から中心まで)は、LD(堅い)とTD(ゴム弾性高分子物質の)の両方のストランドについて等しくすることができる。しかし、ストランド間隔は、目的の構造物の必要な空気あるいは水の透過性、開放領域、および空隙容積に基づいて変えることができる。最大のストランド密度は、ストランド直径の2倍に等しいストランド間隔に基づくことができ、そして、最小のストランド密度は、ストランド直径の3倍以上に等しいストランド間隔に基づくことができる。ストランド直径の3倍に等しい間隔をもつ、複合押出し成形メッシュ10を、たとえば、図5〜6に示す。
【0035】
3層の複合押出し成形メッシュあるいは網の中央の層(2)を占める、ゴム弾性高分子物質ストランド材料として、数個の材料を用いることができる。それらの例には、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタンを含む。同様に、堅いあるいは非弾性的なストランド材料14として数個の材料を用いることができる。それらの例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそのような樹脂のコポリマー(共重合体)を含む。ゴム弾性高分子物質および堅いストランドとしてどれが選ばれようとも、それらの材料は、押出し成形処理の結果として、一緒に結合されることになる。ポリマー材料の知識がある者は、ポリマーは添加剤によって定式化し、2つの異なるポリマー間の結合を促進する。網の押出し成形の間に結合を形成することが必要なことは明白であり、適切な材料の選択が一番である。
【0036】
ストランドの結合点(MDストランドとCDストランドとが交差し、互いに接触する所)には、大きな結合強度が必要である。そのことは、押出し成形網あるいはメッシュを、第2の処理工程で配向あるいは延伸(モノフィラメント押出し成形処理と同様)するとすれば、特に重要である。この処理工程において、網の接合/結合点を通して、そして網ストランドからすべての方向に、大きな力が伝達し分配される。接合/結合点でのストランドとストランドとの良好な結合なしでは、製品は破れ、製品として機能しなくなってしまう。
【0037】
すべてがゴム弾性高分子物質の網に比べて、この発明の複合ゴム弾性高分子物質メッシュには、多くの利点がある。たとえば、製品は、一方向に一つのまとまった特性をもち、相対する方向には、他のまとまった特性をもつように設計されている。特に、大きな曲げ強度および寸法安定性を得るようにするため、一方の方向には、ポリプロピレンのような比較的に非弾性的なポリマーを用い、同時に、他方の方向には良好なゴム弾性高分子物質材料を用いることにより、メッシュ/網のゴム弾性高分子(圧縮およびリカバリー)特性を確保している。
【0038】
一実施例によれば、この発明の構造物は、「緩衝」クッションであり、ユニークな構造物を利用し、垂直方向の圧力荷重を受けたとき、厚さ方向の(構造物の面に垂直)リカバリーが大きなキャリパーあるいは厚さを伴って、すぐれた弾性作用を示す。この構造物100は、図8に示すように、比較的に非弾性的なストランド122,114につれだって共押出し成形した弾性的な媒体116を利用する。そのような配置あるいは構成によって、構造物全体が自らの中に「つぶれる」(圧縮して小さくなる)ことができる。それは、この媒体116の弾性、圧力(構造物の表面に対して垂直に加わる荷重)に順応する構造物、および圧力を取り除いた際に実質的に元の形態および厚さにリカバリーすることに基づく。そのようにして、ユニークな作用をする。この場合における用語「複合」は、二つの異なる材料を用いることをいう。一つは、一方向における比較的に非弾性的な材料であり、もう一つは、もう一方における弾性的な材料(すなわち、弾性的な媒体116)である。構造物100は、1あるいは2層以上の、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートを含む。その押出し成形フィルムあるいはシートは、弾性的、弾力性、かつ厚さ方向に圧縮性があり、しかも、伸張性があり、曲げられ、さらに、長さ(縦)および横断(横)の両方向に弾力性がある。また、構造物100は、複数の実質的に平行な機能性の縦ストランドの1あるいは2以上の層を含む。それらの層は、押出し成形フィルムあるいはシートの上および下の面に共押出し成形されている。
【0039】
この発明の典型的な実施例により形成した、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュの構成図を図8に示す。図に示すように、複合押出し成形メッシュ100は、長さ(縦)方向に方向付けした平行なアレイの、比較的に非弾性的な堅い機能性ストランド114を備える第1あるいは一番上の(1)層112と、前に述べた弾性特性をもつ、押出し成形フィルムあるいはシート116の、第2あるいは中央の(2)層116と、層116の他方の側(表面)上に平行なアレイの形態に共押出し成形された、比較的に非弾性的で堅い機能性ストランド122を備える第3あるいは一番下の(3)層120をもつ。3層のすべてを単一の構造物として一緒に共押出し成形することができるし、あるいは、一番上、中央、一番下の層を交互に続いて押出し成形し、互いに取り付けることができる。層120のストランド122は、上に述べたように、一番上の(1)層112の隣接するストランド114間のスペース内に位置あるいは整列している。フィルムあるいはシート116は、0.10から少なくとも50mmまでの厚さであり、好ましくは、0.5mm〜25mmの厚さである。
【0040】
弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものとして定めることができる。この実施例には、そのような押出し成形フィルムあるいはシートが必要である。弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、選択により、たとえば、図9に示すように孔開けすることができ、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)115を所定の対称パターンあるいはランダムな対称でないパターンに分布させることができる。弾性的な(伸縮性の)押出し成形フィルムあるいはシートは、たとえば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)のようないろいろな伸縮性の材料で構成することができる。好ましい伸縮性の材料として(限定するわけではないが)、ポリウレタン、ゴム、シリコン樹脂、またはインヴィスタ販売のゴムライクラ(登録商標)あるいはルービリゾル販売のエステイン(登録商標)などのポリマーがある。フィルムあるいはシート116は、0.10から少なくとも50mmまで、好ましくは0.5mm〜25mmの厚さをもつ。フィルムあるいはシートに形成する貫通孔は、適切な大きさの円形あるいは非円形の形状にすることができる。非円形の形状として、限定するわけではないが、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形がある。孔開けについていえば、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けることができ、また、構造物を共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けることができる。フィルムの各面における開口は、同じか、あるいは、異なる断面区域(面積)をもつことができる。
【0041】
この発明の一実施例によれば、構造物20は、複合押出し成形メッシュ10の上および/または下の表面に取り付けた、1あるいは2層以上の織りファブリック22を含むことができる。一例を図7に示し、層22は、縦糸18と横糸16とから織ったものである。それらの糸16,18は、たとえば、モノフィラメント、マルチフィラメント、または、天然あるいは合成の織物繊維の紡績糸など、今までの織物糸のいずれでも良い。そのような糸の代表は、ポリアミドおよびポリエステル製のモノフィラメントである。ファブリック22は、公知の手法により、どのような織りにも、単純あるいは複雑、単一あるいは多層に織ることができる。
【0042】
一実施例によると、押出し成形メッシュは、たとえば、針縫い(ニードルパンチ)、または接着剤あるいは熱融解の使用によって、織り層22および/または共押出し成形構造物自体の上および/または下の面に取り付けた、織物繊維の不織材料24の1あるいは2以上の層を構造的に一体に備えることができる。複合押出し成形メッシュに取り付けた不織材料24は、今までの織物繊維のどれによっても作り上げることができる。そのような織物繊維の代表例は、ポリエステル、ポリアミドその他の同様のもののステープルである。
【0043】
別の実施例によると、繊維状の綿(batt)あるいはスパンボンドウェブのような不織の織物繊維の、1あるいは2以上の層を、たとえば、複合押出し成形メッシュ10自体の外表面に付着することができる。複合押出し成形メッシュ10に対する追加の層の支持については、針縫い、接着、あるいは熱融解によっても行うことができる。簡単にするため、ここでの実施例のファブリックは、2層だけの不織繊維層をもつ。しかし、当業者であれば、最終的な構造物が必要とする、特定の厚さ、密度、および空隙容積を得るために、層24としての不織繊維層を妥当な数に作り上げることができる。
【0044】
複合押出し成形メッシュは、必要ならば、滑らかな表面を生じるように処理すること、そして、発泡体(フォーム)で被覆し、あるいは事実、圧縮性および弾力性ももつ樹脂あるいは発泡体を含浸させることができる。1あるいは2層以上の被膜、ヤーンアレイを含む他の形態を、複合押出し成形メッシュに対して積層することができる。圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュを含む構造物は、最終用途において、構造物表面に加わる垂直な荷重を受け、あるいは取り除かれたときに必要とされる特性、すなわち、構造物が元に戻り、あるいは「スプリングバック」するような充分な大きさの圧縮性、充分な弾力性、および強度をもつように構成されなければならない。たとえば、靴の底部における支持クッションの構成要素として用いる場合、足踏み(ステッピング)によって、クッションは適切な割合および適切な大きさの圧縮を起こし、足に対していくらかの支持およびクッションを与え、そして、足を持ち上げることにより、クッションは元の厚さまで「リバウンド(回復)する」。構造物の圧縮と回復によって、少なくとも次の利点がある。
1)メモリーフォーム、ゲル、スプリングシステムなどを超える、改良されたリカバリー特性。
2)たとえば、靴およびフロアの改良された支持を生み出す、滑らかで均一な表面特性。
3)メッシュ構造物の「フル」リカバリーによる、リカバリー/ダンパー特性のすぐれた保持力。
4)軽量な構造物による大きなダンパー(減衰)能力を生み出す、重量比に対するすぐれた圧縮リカバリー。
5)圧縮ごとに、発汗および他の湿気を蒸発および/または除去する、緩衝構造物のすぐれた「呼吸性」。
【0045】
複合メッシュあるいは網のどの実施例においても、2層の非弾性的ストランドを示すが、使用上機能する構造物については、非弾性的(LD)引っ張りストランドの層は単一必要であり、他の面のもう一方の層を弾性的なものにすることができる。
【0046】
さらには、複合(異なるエラストマーあるいは同じもの)メッシュあるいは網のどの実施例でも、たとえば、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックなどのLD荷重(引っ張り力)支持構造物に対しメッシュを積層する限り、3層のすべてを弾性的なものにすることができる。一実施例によると、前の実施例のどれでも、90°向きを変えて、比較的に非弾性的な機能性LDストランドがTD方向、そして弾性的なTDストランドあるいは弾性的な材料がLD方向に位置するようにすることができる。その場合には、メッシュあるいは網を、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックなどのLD荷重(引っ張り力)支持構造物に対して積層することが必要である。
【0047】
当業者は、ここに示した内容を考慮して、この発明について、いろいろな変更を行うことができることは自明である。しかし、そのような変更は、特許請求の範囲に定めた考え方の範囲を超えることはない。
図1(A)】
図1(B)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9