(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281753
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】押出し成形メッシュを備える工業用ファブリックおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 3/045 20120101AFI20180208BHJP
B32B 3/24 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
D04H3/045
B32B3/24 Z
【請求項の数】73
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-501213(P2016-501213)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-517363(P2016-517363A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014023355
(87)【国際公開番号】WO2014150476
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】13/834,638
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597098947
【氏名又は名称】オルバニー インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ロバート,エイ.
【審査官】
平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−508832(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/100161(WO,A1)
【文献】
特開2000−303378(JP,A)
【文献】
特表2016−511337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00〜18/04
D21B1/00〜D21J7/00
B32B1/00〜43/00
D03D1/00〜27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなる工業用ファブリックであり、次の構成および特徴を備える工業用ファブリック。
・第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層。
・前記第1の層の一面上にある、平行なストランドからなる第2の層であり、その第2の層のストランドは、第2の方向に走り、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える層。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項2】
前記第1、第2、および第3の層のストランドは、押出し成形された高分子の細長い部材であり、押出しによって交差し交わり網状の構造物を形成している、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項3】
前記第3の層のストランド数は、前記第1の層のストランド数よりも少ないか、あるいは逆の関係である、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項4】
前記第2の層のストランドは、前記第1および第3の層のストランドに直交するか、あるいは、その第1および第3の層の90°よりも小さな角度で位置する、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項5】
次の構成および条件をさらに備える、請求項1の工業用ファブリック。
・前記第2の層のものと同じ方向の平行なストランドからなり、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える第4の層。
・前記第1の層のものと同じ方向の平行なストランドからなる第5の層。
・前記第5の層のストランドは、前記第1あるいは第3の層のストランドと同様、厚さ方向における直角な面に整列されている。
【請求項6】
前記ゴム弾性高分子物質ストランドの材料は、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタン、ならびに、それらの共重合体を含むグループから選択したものである、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項7】
前記第1、第3、および第5の層におけるストランドは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそれらのコポリマー(共重合体)を含むグループから選択したものである、請求項5の工業用ファブリック。
【請求項8】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項9】
前記複合押出し成形メッシュと、その複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に取り付けられた、織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックの1あるいは2以上の層を備える、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項10】
前記織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックおよび/または前記押出し成形メッシュの上および/または下の層に取り付けられた、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層をさらに備える、請求項9の工業用ファブリック。
【請求項11】
前記複合押出し成形メッシュに取り付けられた、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を備える、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項12】
前記構造物は、前記複合押出し成形メッシュの複数のストライプをらせん状の巻きによって構成される、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項13】
前記複合押出しメッシュの隣接するストライプは、接合用接着剤(グリュー)、接着剤、熱融着/溶接によって接合されている、請求項12の工業用ファブリック。
【請求項14】
前記工業用ファブリックは、次に述べる工業用ファブリックのグループの中のいずれか一つである、請求項1の工業用ファブリック。
すなわち、前記工業用ファブリックのグループは、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、トランスファーベルトベース、ならびに、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)のような処理による不織製品の製造に用いるベルト、さらには、波形の段ボールの製造に用いるベルト、テキスタイル仕上げ処理ベルト、あるいは皮なめしベルトあるいはスリーブのような工学ファブリック/ベルトから構成される。
【請求項15】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなる工業用ファブリックの形成方法であり、次の各工程および特徴を備える、工業用ファブリックの形成方法。
・第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層の一面上にある、平行なストランドからなる第2の層であり、その第2の層のストランドは、第2の方向に走り、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える層を共押出し成形する工程。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層を共押出し成形する工程。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項16】
前記第1、第2、および第3の層のストランドは、押出し成形された高分子の細長い部材であり、押出しによって交差し交わり網状の構造物を形成している、請求項15の方法。
【請求項17】
前記第3の層のストランド数は、前記第1の層のストランド数よりも少ないか、あるいは逆の関係である、請求項15の方法。
【請求項18】
前記第2の層のストランドは、前記第1および第3の層のストランドに直交するか、あるいは、その第1および第3の層の90°よりも小さな角度で位置する、請求項15の方法。
【請求項19】
次の工程および特徴をさらに備える、請求項15の方法。
・前記第2の層のものと同じ方向の平行なストランドからなり、ゴム弾性高分子物質ストランドを備える第4の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層のものと同じ方向の平行なストランドからなる第5の層を押出し成形する工程。
・前記第5の層のストランドは、前記第1あるいは第3の層のストランドと同様、厚さ方向における直角な面に整列されている。
【請求項20】
前記ゴム弾性高分子物質ストランドの材料は、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタン、ならびに、それらの共重合体を含むグループから選択したものである、請求項15の方法。
【請求項21】
前記第1、第3、および第5の層におけるストランドは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそれらのコポリマー(共重合体)を含むグループから選択したものである、請求項19の方法。
【請求項22】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項15の方法。
【請求項23】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に対し、織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックの1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項15の方法。
【請求項24】
前記織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックおよび/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に対し、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項23の方法。
【請求項25】
前記複合押出し成形メッシュに対し、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項15の方法。
【請求項26】
前記構造物は、前記複合押出し成形メッシュの複数のストライプをらせん状の巻きによって構成される、請求項15の方法。
【請求項27】
前記複合押出しメッシュの隣接するストライプは、接合用接着剤(グリュー)、接着剤、熱融着/溶接によって接合される、請求項26の方法。
【請求項28】
前記工業用ファブリックは、次に述べる工業用ファブリックのグループの中のいずれか一つである、請求項15の方法。
すなわち、前記工業用ファブリックのグループは、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、トランスファーベルトベース、ならびに、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)のような処理による不織製品の製造に用いるベルト、さらには、波形の段ボールの製造に用いるベルト、テキスタイル仕上げ処理ベルト、あるいは皮なめしベルトあるいはスリーブのような工学ファブリック/ベルトから構成される。
【請求項29】
複押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなる工業用ファブリックであり、次の構成および特徴を備える工業用ファブリック。
・第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層。
・前記第1の層の一面上にある、弾性的な材料からなる第2の層。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項30】
前記弾性的な材料は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートであり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものである、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項31】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、所定のパターンで分布させた、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)を備える、請求項30の工業用ファブリック。
【請求項32】
前記貫通孔あるいは空所(空隙)は、同じ大きさかあるいは異なる大きさである、請求項31の工業用ファブリック。
【請求項33】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、ポリウレタン、ゴム、あるいはシリコン樹脂から構成される、請求項30の工業用ファブリック。
【請求項34】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形から選ばれる、円形あるいは非円形の形状である、請求項31の工業用ファブリック。
【請求項35】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けたもの、または、構造物を共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けられたものである、請求項31の工業用ファブリック。
【請求項36】
前記工業用ファブリックは、次に述べる工業用ファブリックのグループの中のいずれか一つである、請求項29の工業用ファブリック。
すなわち、前記工業用ファブリックのグループは、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、トランスファーベルトベース、ならびに、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、およびハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)のような処理による不織製品の製造に用いるベルト、さらには、波形の段ボールの製造に用いるベルト、テキスタイル仕上げ処理ベルト、あるいは皮なめしベルトあるいはスリーブのような工学ファブリック/ベルトから構成される。
【請求項37】
前記複合押出し成形メッシュに取り付けられた、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を備える、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項38】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に取り付けられた、織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックの1あるいは2以上の層を備える、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項39】
前記織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックおよび/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に取り付けられた、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層をさらに備える、請求項38の工業用ファブリック。
【請求項40】
押出し成形による平行なストランドからなる層をもつ、複合押出し成形メッシュからなる工業用ファブリックを形成する方法であり、次の各工程および特徴を備える、工業用ファブリックの形成方法。
・第1の方向に走る平行なストランドからなる第1の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層の一面上に、弾性的な材料からなる第2の層を押出し成形する工程。
・前記第1の層上、前記第2の層の反対側にある、平行なストランドからなる第3の層であり、その第3の層のストランドは、前記第1の層のストランドと同じ方向に走る層を押出し成形する工程。
・前記第1、第2、および第3の層は同時に共押出し成形されたものであり、前記第1の層のストランドは、前記第3の層のストランド間のスペース内に位置あるいは整列されている。
・前記第1、第2、および第3の層は、必要な厚さをもつ構造物を形作っている。
・圧縮性の荷重を受けるとき、前記第2の層が伸びることにより、前記第1および第3の層のストランド同士が同じ面で組み合うようになっている。
・その圧縮性の荷重が解放されるとき、前記第2の層の弾力性によって、前記第1および第3の層が、前記構造物を前記必要な厚さに戻すように戻す。
【請求項41】
前記弾性的な材料は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートであり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものである、請求項40の方法。
【請求項42】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、所定のパターンで分布させた、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)を備える、請求項41の方法。
【請求項43】
前記貫通孔あるいは空所(空隙)は、同じ大きさかあるいは異なる大きさである、請求項42の方法。
【請求項44】
前記弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、ポリウレタン、ゴム、あるいはシリコン樹脂から構成される、請求項41の方法。
【請求項45】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形から選ばれる、円形あるいは非円形の形状である、請求項42の方法。
【請求項46】
前記複数の貫通孔あるいは空所(空隙)は、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けられるか、または、前記メッシュを共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けられる、請求項42の方法。
【請求項47】
前記複合押出し成形メッシュに対し、スパンボンド不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項40の方法。
【請求項48】
前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の面に対し、織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックの1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項40の方法。
【請求項49】
前記織りファブリック、被膜、MDあるいはCD糸配列、またはらせんリンクファブリックおよび/または前記複合押出し成形メッシュの上および/または下の層に対し、不織物あるいはバット材料(綿材料)の1あるいは2以上の層を取り付ける工程をさらに備える、請求項48の方法。
【請求項50】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項51】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項52】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項15の方法。
【請求項53】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項15の方法。
【請求項54】
前記フィルムあるいはシートは、0.10〜5.0mmの厚さである、請求項41の方法。
【請求項55】
前記フィルムあるいはシートは、0.10〜5.0mmの厚さである、請求項30の工業用ファブリック。
【請求項56】
前記円形のストランドの径は、0.1mm〜3.0mmの範囲である、請求項8の工業用ファブリック。
【請求項57】
前記円形のストランドの径は、0.1mm〜3.0mmの範囲である、請求項22の方法。
【請求項58】
前記複合押出し成形メッシュは、90°向きを変えて、前記より非弾性的な材料が第2の方向、そして前記弾性的なストランドあるいは弾性的な材料が第1の方向に位置する、請求項50の工業用ファブリック。
【請求項59】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュが積層されている、請求項51の押出し成形メッシュ。
【請求項60】
前記複合押出し成形メッシュは、90°向きを変えて、前記より非弾性的な材料が第2の方向、そして前記弾性的なストランドあるいは弾性的な材料が第1の方向に位置する、請求項52の方法。
【請求項61】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュを積層する、請求項53の方法。
【請求項62】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項63】
前記ストランドの断面は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む、円形あるいは非円形から選択した形状である、請求項40の方法。
【請求項64】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項65】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項66】
前記第1および/または第3の層は、前記第2の層の材料よりも非弾性的な材料から構成される、請求項40の方法。
【請求項67】
前記第1および/または第3の層は、弾性的な材料から構成される、請求項40の方法。
【請求項68】
前記複合押出し成形メッシュは、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し、積層されている、請求項58の工業用ファブリック。
【請求項69】
非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックを含む、縦方向荷重支持構造物に対し前記複合押出し成形メッシュを積層する、請求項60の方法。
【請求項70】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項1の工業用ファブリック。
【請求項71】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項15の方法。
【請求項72】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項29の工業用ファブリック。
【請求項73】
前記第1、第2、および第3の層は、前記押出しにより一緒に結合される層である、請求項40の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製紙機械布や工学ファブリックなどの工業用ファブリックに用いる構造物に関する。具体的にいうと、その構造物は、押出し成形の複合ゴム弾性高分子物質の網あるいはメッシュであり、ゴム弾性高分子物質のストランドあるいは構成要素および比較的に非弾性的なストランドとの両方をもつ。そのような構造物は、垂直方向の負荷を受けたときの圧縮性と、その負荷を取り除いた際のすぐれたリカバリー(弾力性あるいはスプリングバック)との両方が非常に大きい。
【背景技術】
【0002】
工業用ファブリックは、連続したループ形状の無端の構造物を意味し、たとえば、製紙機械に用いるシュープレス、カレンダー、あるいはトランスファーベルトのような処理ベルトだけでなく、成形、プレスあるいは乾燥のファブリック(製紙機械クロージングあるいはPMC)に用いる。工業用ファブリックは、また、テキスタイル仕上げ処理に用いるファブリックをも意味する。工業用ファブリックは、さらにまた、大きな圧縮性および弾力性が求められる無端の他のベルトをも含む。
【0003】
ここでの議論の多くは、一般に製紙処理に関係するが、この発明の適用がそれに限定されるというわけではない。
【0004】
この点、製紙処理の間、たとえば、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分において移動する成形ファブリック上に繊維状のスラリー、つまりセルロース繊維の水性分散液を堆積することによって形作る。スラリーからは成形ファブリックを通して多量の水が排水され、成形ファブリックの表面上にセルロースを含む繊維状のウェブを残す。
【0005】
新しく作られたセルロースを含む繊維状のウェブは、成形部分からプレス部分へと移る。プレス部分には、一連のプレスニップがある。セルロースを含む繊維状のウェブは、プレスファブリック、あるいは、しばしばはそのようなプレスファブリックの2つの間に支持されたプレスニップを通って行く。プレスニップにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、圧縮力を受けて水を搾り出し、さらに、ウェブ中のセルロース繊維を互いに付着し、セルロースを含む繊維状のウェブを紙シートに変える。一枚あるいは複数枚のプレスファブリックが水を受け入れ、理想的には、水を紙シートに戻すことがない。
【0006】
紙シートは、最後に乾燥部分に移る。乾燥部分には、少なくとも一連続の回転乾燥ドラムあるいはシリンダがあり、それらのドラムあるいはシリンダの内部はスチームで加熱される。新しく作られた紙シートは、乾燥ファブリックによって連続したドラムのそれぞれの周りを順次曲がりくねるようにして進む。乾燥ファブリックは、紙シートをドラム表面に密着させるように保持する。加熱ドラムは、蒸発によって紙シートの水分量を低減し、好ましいレベルにする。
【0007】
成形、プレス、乾燥のファブリックは、すべて製紙機械上で無端ループの形態であり、コンベヤのように働く。さらに、紙の製造は、かなりの速度で進行する連続的なプロセスであることを認識されたい。すなわち、パルプは、成形部分の成形ファブリック上に連続的に堆積し、また同時に、新しく作られた紙シートは、乾燥部分から出た後、ロールに連続的に巻き取られる。
【0008】
ベースファブリックは、上に述べたファブリックの重要な部分を形成するのであるが、多くの異なる形態である。たとえば、それらは無端あるいは平織りのいずれかであり、その後に1あるいは2以上の縦方向(MD)および横方向(CD)の糸の層を用いる織り縫合で無端形態になされる。また、そのようなファブリックは、MD糸から形成されるピン縫合といわれるものを用いて、製紙機械に据え付けることができる。さらに、ベースファブリックについては、一つのベースファブリックを別のベースファブリックが形作る無端のループ内部に置くことによって積層し、それらを当業者に公知のいろいろな方法で一緒に結合あるいは積層することができる。たとえば、両方のベースファブリックにステープル綿を針で縫うことによりそれらを互いに結合する。
【0009】
製紙機械クロージング(PMC)、特に、製紙機械のプレス部分で用いるプレスファブリックにおいて、ファブリックは、糸と、一般に少なくともシート接触面に針縫いしたステープル綿とから形成される1または2以上の「ベース構造物」を備える。プレスファブリックは、初期の厚さ、質量、および結果として生じる空隙容積(この質量と厚さに基づいて算出される容積)であり、水運搬容量に相当する容積をもつ。プレスファブリックは、また、重要な接触領域をもつ。
【0010】
プレスファブリックは、それが1または2以上のプレスニップを通過するとき、垂直方向の負荷(用いられているファブリック面に対して垂直)を受ける。ファブリックは、それ自体が圧縮性であり、圧縮性の構成要素を含むので、圧縮状態での空隙容積、さらに表面接触領域をもつ。圧縮性の大きさを変えるため、および弾力(弾性あるいは回復力)を加えるため、いろいろな試みがなされているが、プレスファブリックは、時間の経過および無数のニップサイクルに応じて、次第に薄くなる。ついには、それらのファブリックは、たとえば水運搬容量、模様付け、あるいはプレス振動の不足などのいろいろな理由によって、取り除かざるをえない。それらが使用寿命の終わりに達したとき、それらを取り除き、新しいファブリックと取り替えなければならない。
【0011】
新しいファブリックは、また、密度が理想的でなくなり、水運搬能力が最適条件よりも劣化した時点で損傷(破壊)となる。したがって、理想的なプレスファブリックは、最初からそれが製紙機械から取り除かれるまで、一定のあるいは変化のない性能(たとえば、水運搬能力)を示すものである。
【0012】
プレスファブリックの特性、特には圧縮性および弾性を追求しようとするいろいろな試みがなされている。一つの試みは、構造物に「弾性」糸を導き入れようとするものである。これの一例を、PCT出願の公開WO2004/072368A1が示している。しかし、このアプローチには欠点がある。圧縮性が、糸の弾性部分(厚さ方向)だけであり、したがって、そのように限定される。太い糸を用いることができるが、結局、性能の減少をもたらす。また、太い糸は重いし、好ましくないシートの模様付けを生じるおそれがある。糸がシース/コアの被覆型であると、コアからシースが層剥離する危険性が常にある。最終的に、圧縮性の大きさは、最大で糸の径の一部分に限定される。
【0013】
他の例について、米国出願の公開2007/0163741A1が示し、そこでは、縫合プレスファブリックの裏側に圧縮性のシース/コア糸の配列を取り付けて一体にしている。そこのシースはゴム弾性のある高分子物質であり、振動低減作用をするという。さらに、糸コアだけで200〜2000デニールで、全部の直径が0.30〜1.2mmの大きさである。そのような糸の大きさは、重さおよび模様付けの点から使用が制限されることであろう。
【0014】
さらに他の例について、米国特許4,350,731が示し、そこでは、被覆糸を用いることによって、圧縮性のプレスファブリック構造物を作るようにしている。圧縮性およびリカバリー(弾性)の程度は、またゴム弾性のある高分子物質の被覆シース層だけに起因する。
【0015】
このタイプの弾性があり、圧縮性の構造物の別の例について、GB2197886が示している。この特許は、あるやり方で機能性(引っ張り)負荷支持糸と圧縮性糸とを交互に配置し、密な準−単層ベース構造物を提供することを示し、垂直方向の負荷を受けたとき、「ナックル」を生じないで、準−非交差のベース構造を提供する長い浮き織りを伴うことを示す。
【0016】
ファブリックに「弾性の」(厚さあるいは半径方向)糸を組み入れることによって、ある程度の弾力、あるいは垂直荷重が取り除かれたときの、それらのファブリックのばねのような戻り(スプリングバック)を得ることができる。しかし、繰り返すが、それらの糸を用いると、圧縮性およびスプリングバックは、高々その糸の径のある部分に限られる。
【0017】
上に述べたように、この限られた弾力のために、プレスファブリックは、新しく、理想的なものが求められるとき、水処理のために比較的に大きな空隙容積をもつ。それらはコンパクトであり、一定の期間最適な性能を発揮する。しかし、それらは弾力が限られるため、圧縮され続け、ついには、取り除いて交換することが求められる。
【0018】
ある特別な案は、「非交差」として類別され、MDおよびCDの糸が互いに織り交ざることがなく、しかし、互いに直交するように積み重なり、別の面に位置する構成である。
【0019】
そのような構造物を作り出すために、いろいろな技術が使用されている。そのような構造物の一例について、米国特許4,781,967が示す。そのような構造物は、積み重ねた糸の配列が圧縮することなく、他の層に対して動かないので、比較的に非圧縮性であるとされる。言い換えると、その構造物の面に垂直方向の負荷がかかるとき、厚さの変化はほとんどなく、糸の永久的な変形があるだけである。層の全体の糸として、ゴム弾性のある高分子物質(糸の厚さ方向)を使用すると、その構造物の圧縮性はその糸の径のある部分に限られる。
【0020】
別の平面において互いに90°に方向づけた機能性のMDおよびCD糸の層をもつ、多層の非交差の構造物についての別の例を、米国特許4,555,440が示す。繰り返すが、この構造物は、垂直荷重が加わり、あるいは取り除かれるとき、厚さ方向の変化がほんの少ししかないため、非圧縮性と見なされる。一つの実施例は、圧縮性で弾力のある糸の一層によって、別の非圧縮性の構造物に対し、ある程度のこの特性を加えることを教える。
【0021】
関連する技術において、米国特許6,391,420は、二つの異なる材料から構成される複合網製品を示す。たとえば、
図1(A)は、そのような網に荷重が加わらないときの網の姿を示す。この例において、水平なストランドはゴム弾性の高分子物質の材料から作られ、それに対し、垂直なストランドは堅いあるいは曲がらない材料から作られている。この複合網に水平方向の荷重が加わると、その網は、ゴム弾性の高分子物質の材料の低いモジュラスあるいは剛性によって、たやすく伸びる。言い換えると、ゴム弾性の高分子物質のストランドが伸び、そのゴム弾性のものと堅いストランドとの間の接合によって、垂直なストランドが、たとえば、
図1(B)に示すように、荷重が加わらない状態における直角パターンから斜めになる。
【0022】
したがって、‘420特許は、この二つの層の構造物の中で平面内の伸び特性あるいは一方向の弾力性だけに焦点を当てているということができる。
【発明の概要】
【0023】
したがって、この発明の主な目的は、今までのものよりも実質的により圧縮性で弾力性がある、押出し成形のメッシュあるいは網を提供すること、および、平面内の伸び特性だけでなく、構造物の厚さ方向の特性にも取り組んだ技術を提供することにある。
【0024】
この発明の一実施例は、超−弾力性のメッシュあるいは網であり、厚さ方向の高い圧縮性および回復力(リカバリー、弾力性)のあるメッシュ/網の表面に、垂直に荷重が加わった際にすぐれた弾力作用を示す独特な構造物を利用する。この構造物は、少なくとも一方向における弾力性のある構成要素を利用し、それにより、垂直荷重(つまり、圧力)を受けたときに、この構成要素の弾性および圧力下に従う構造物の形態に主に基づいて構造物そのもの全体が「つぶれ」、そして、その荷重(圧力)が取り除かれたときに「スプリングバック」するという、独特の作用をする。
【0025】
この発明の一実施例は、押出し成形の複合ゴム弾性の高分子物質メッシュあるいは網であり、たとえば、製紙機械クロージング(PMC)、テキスタイル仕上げ処理ベルト、および大きな圧縮性および弾力性が求められる他のベルトなどの工業用処理ベルトにおけるベース支持構造の少なくとも一層として用いる。複合メッシュあるいは網は、二つの別のポリマー流れによって送り込まれる押出しダイで製造することができる。複合押出し成形メッシュあるいは網は、一方向の比較的に非弾性的な(非伸縮性の)ストランド材料の少なくとも二つの層と、横断する方向に共押出し成形する弾性的な(伸縮性の)ストランド材料の少なくとも一つの層とを備える構造物である。二つのタイプの材料が処理およびレオロジーの観点から両立する限り、ストランド層を形成する材料の組合せについては、どのようなものをも用いることができる。たとえば、二つの材料の流れのストランドは、接合接着強度が良好でなければならない。網あるいは押出し成形メッシュは、好ましくは、縦方向(「MD」)のポリアミドのような比較的に非弾性的な材料と、横方向(「CD」)のポリウレタンのような弾性的な材料とを備える。便宜上、ここで用いる「MD」および「CD」は、工業用処理機械上の構造物/ファブリック/ベルトに用いるメッシュあるいは網のストランドの方向を指して言う。どの層のストランドあるいは部材/構成要素についても、たとえば、断面が円形あるいは非円形の形状にすることができる。それらには、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含む。
【0026】
最終的な構造物は、この発明の複合押出し成形メッシュを取り付けた1あるいは2以上の織り層を含むことができる。この構造物には、また、シート側あるいは機械コンタクト側に当業者に知られた方法によって、たとえば、スパンボンド(spunbond)あるいは溶融ブロー(meltblown)、縦方向あるいは横方向の糸配列、またはらせんリンクファブリックなどの1あるいは2以上のバット(綿、batt)、不織材料の層を取り付けることもできる。ここで用いる「シート側」とは、そのメッシュ/網を含むファブリック/ベルトを工業用処理機械で用いるとき、たとえば紙などの製造し運搬する製品に面する側(表面)を意味する。「機械(コンタクト)側」は、「シート側」とは反対の側/表面であり、ファブリック/ベルトを工業用処理機械で用いるとき、たとえば支持ロール等の機械の構成要素に接触する側である。
【0027】
この発明の他の実施例は、複合押出し成形メッシュあるいは網の形成方法であり、比較的に非弾性的な(非伸縮性の)ストランド材料の少なくとも二つの層を一方向に押出し成形する工程と、弾性的な(伸縮性の)ストランド材料の少なくとも一つの層を反対方向に共押出し成形する工程とを含む。ネットあるいはメッシュは、好ましくは、縦方向(「MD」)のポリアミドのような比較的に非弾性的な材料と、横方向(「CD」)のポリウレタンのような弾性的な材料とによって製造することができる。
【0028】
この発明の別の実施例は、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュであり、二つのタイプの層を備える。第1は、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートの1あるいは2以上の層であり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦および横方向に(MDおよびCDそれぞれに)伸張性、曲げ性、および弾力性である。第2は、その押出し成形フィルムあるいはシートのどちらかの側(表面)に共押出し成形した、比較的に非弾性的な部材/構成要素の2あるいは3以上の層である。
【0029】
この発明のさらに別の実施例は、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュの形成方法である。その方法は、二つの工程を含む。第1は、弾性的なフィルムあるいはシートの1あるいは2以上の層を押出し成形する工程であり、その押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦および横方向に(MDおよびCDそれぞれに)伸張性、曲げ性、および弾力性である。第2は、その押出し成形フィルムあるいはシートの上面および下面に、比較的に非弾性的な部材/構成要素の2あるいは3以上の層を共押出し成形する工程である。
【0030】
この発明の複合押出し成形メッシュあるいは網は、最終的な工業用処理ファブリック/ベルトの多くのものを形成することができるし、あるいはそれらの多くのものに含ませることができる。たとえば、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、トランスファーベルトベースなどの製紙機械クロージング、または、たとえば、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、あるいはハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)などの処理による不織製品の製造に用いるファブリック、さらには、たとえば、テキスタイル仕上げ処理ベルト、あるいは波形のボール紙、あるいは皮なめしベルトあるいはスリーブなどの工学ファブリックあるいはベルトがある。
【0031】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1(A)】荷重が加わらないときの今までの網の姿を示す。
【
図1(B)】水平方向の荷重が加わったときの今までの網の姿を示す。
【
図2】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解プロフィールである。
【
図3】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
【
図4】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
【
図5】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
【
図6】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
【
図7】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュの図解断面図である。
【
図8】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュのプロフィール図である。
【
図9】この発明の一実施例による複合押出し成形メッシュのプロフィール図である。
【0033】
この発明のために、用語「横方向」および「横断方向」は同じ意味であり、しばしば単に「CD」という。「長さ方向」および「縦方向」も同様であり、しばしば単に「MD」という。しかし、用語「横断」は、また、前に言及したストランド/部材/構成要素の方向と反対方向に伸びるストランド/部材/構成要素を指してもしばしば用いる。その意味は、個々の例の関係から明らかであろう。
【0034】
最初にプレスファブリックについて説明するが、前に述べたように、この発明が他のタイプのファブリックあるいはベルトにも適用することができる。そうして図に戻って詳しく見ると、この発明の一実施例は、
図2に示す、第1あるいは最下の層(1)をもつ複合押出し成形メッシュ10である。その最下の層は、縦方向あるいは走行方向に配列された平行なアレイの押出し成形した機能性ストランド14を備える。ストランド12をもつ第2あるいは中央の層(2)は、第1の層(1)に対し直交あるいは90°に共押出し成形される。ストランド12は、上に述べたとおり、ゴム弾性高分子物質特性をもつ。機能性ストランド14を備える第3あるいは一番上の層(3)もまた、層(2)に対して直交する平行なアレイの形態に共押出し成形される。層(3)におけるストランド14は、層(1)におけるストランド14の間のスペース内部に位置あるいは整列される。層(1)および(3)におけるストランド14は、比較的に非弾性的な(非伸縮性の)材料で構成される。すべての層におけるストランドは、共押出し成形ポリマーの細長の部材であり、押出し成形中にクロスし交わり、
図2に示すような網状の構造物を形成する。用語「複合」は、MDおよびCDにおいて、二つの異なる材料を用いることをいう。すなわち、一方は、MDにおける比較的に非弾性的な(非伸縮性の)材料であり、他方は、CDにおける弾性的な材料である。一つの好ましい実施例において、非弾性的な材料はポリアミドであり、弾性的な材料はポリウレタンである。全三層の部材は、同じ形および大きさにすることができるし、あるいは、異なる形および大きさにすることができる。
【0035】
さて、
図3に戻ると、非圧縮状態あるいは緩めた状態、またはリカバリー状態の、複合押出し成形メッシュ10を示す。複合押出し成形メッシュ10の面に垂直な圧縮荷重を加えると、ストランド12が伸びることにより、層(1)および(3)からのストランド14を互いに向かうように動かし、
図4に示すように、同じ平面において、互いの間に「組み合う」。荷重を取り除くと、ストランド12の弾性作用に起因して、それらは層(1)および(3)のストランド14を互いから離すように動かし、あるいは「スプリングバック」し、
図3に当初示すように、ファブリックをその必要な厚さおよび開放性に戻す。したがって、そのような構造物は、少なくとも弾性ストランドの全くの厚さまでの圧縮性および弾力性がある。
【0036】
複合押出し成形メッシュをプレスファブリックに用いるとき、これらの特性が次のような影響を及ぼすので、重要である。一つは、全体の接触領域だけでなく、荷重下において圧力分布の均一性への影響である。また一つは、ファブリックが必要なニップ中の空隙容積まで容易に圧縮するので、迅速な始動への影響である。さらに一つは、構造物が抑制「スプリング」として働くので、振動の抑制への影響である。そして、さらに一つは、後の中間ニップ脱水の拡大段階における、迅速な厚さのリカバリーによって、再び濡れることを最小限にする影響である。
【0037】
別の実施例において、ストランド14は上のものと同じ位置で、対応する配置/間隔であるが、ストランド12は共押出し成形され、ストランド14に対して90°よりも小さな角度、好ましくは45°の角度に方向付けされている。
【0038】
一つの典型的な実施例によれば、2層を越える機能性のMDストランドおよび1層を越えるCDストランドを含むことができる。3層のMDストランドおよび間に位置する2層のCDストランドを備える場合、3層のMDストランドの中の2つは、たとえば、互いに(互いの間に)組み合うような間隔をもたせることが必要である。たとえば、一番上および中央のMD層は、中央の層が一番上のMDの2つの隣接するストランド間のスペースに合うように置かれるべきである。そして、下のMD層のストランドは、一番上あるいは中央のいずれかのMD層と垂直方向性が合うように積み重ねる。さらに、CDストランドの2層は、ゴム弾性高分子物質にするか、あるいは、1層だけをゴム弾性高分子物質とし、他方の層を機能性ストランド層とし、CD安定性を助力するか、あるいは荷重下に大きな空隙容積を得るようにする。
【0039】
そしてまた、圧縮/弾性の大きさは、必要なストランドの弾性、大きさ(寸法)、ストランド層の数、および勿論、構造物自体の全体によって制御する。この発明の構造物は、そこに取り付ける他のストランドアレイ(MDおよび/またはCD)、らせんリンクファブリック、あるいは織りベースファブリックの積層物の一部にすることもできる。
【0040】
乾燥ファブリックの場合、図に示す3層の実施例が特に有利である。ファブリック構造物は、たとえば乾燥缶のロール回りを通るとき、乾燥ファブリックのストランドは、異なる層のストランドが互いのストランド間のスペースに少なくとも部分的に組み合って、乾燥缶の表面に対する紙シートの接触領域を増進し、したがって、熱伝達を良くする。これは、MD張力の一時的な増加に起因して生じる。その一時的な増加は、乾燥ファブリックがロール回りを通るときに生じ、ファブリックに対して垂直に加わる荷重に起因するものではない。そのような乾燥ファブリック構造において、MDストランドは、PETのようなポリエステルから押出し成形することができ、そして、CDストランドは、たとえば、熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
【0041】
一実施例による、この発明は、
図2〜6に示すように、複合押出し成形メッシュあるいは網構造物10の形成方法である。構造物10は、完全に押出し成形された、複合網であり、すぐれた圧縮性およびリカバリー特性をもつ。
図2に示すように、硬質のあるいは堅い非弾性的な材料14が、互い違いの配列をもって、上層(3)および下層(1)を占め、そして、ゴム弾性高分子物質材料12が中央の層(2)を占める。押出し成形処理のために、上および中央の層(3,2)、そして、中央および下の層(2,1)が互いに結合される。メッシュ構造物は、シリンダーあるいはチューブの形態で押出し成形し、その後で、縦に切断し、平らにして連続的なシートを形成することができる。比較的に非弾性的なストランド(MD)は、メッシュ構造物全体にMD負荷をかけることにより、第2の処理工程で選択により配向あるいは延伸(たとえば、引っ張り特性を改良するために、モノフィラメント糸を処理すると同様)することができる。
【0042】
ゴム弾性高分子物質材料12と堅い(非圧縮性で非弾性的)ストランドとは、互いに直交することが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。留意すべきは、この構造物が厚さ方向に非圧縮状態にあるとき、構造物が
図3に示すようになり、中央層(2)のストランド12が直線状あるいは非圧縮状態になり、上下のストランド14が中央層(2)のいずれかの側に位置することである。しかし、この構造物に厚さ方向の構造物表面に垂直な荷重が加わり、構造物が圧縮されるとき、その構造物は
図4に示すようになり、中央層(2)のストランド12が、層(1)および(3)のストランド14の周囲に自らを適合させ、層(1)のストランド14が層(3)からのすぐ隣りのストランド14に組み合う。3層の押出し成形による複合網製品を形成することの一つの利点は、今までの織りテキスタイル構造物あるいは個別に結合したヤーンアレイに比べて、製造コストが安価なことである。
【0043】
非円形の場合、堅い(あるいは、比較的に非弾性的)ストランド14の径は、ゴム弾性高分子物質ストランド12の径あるいは寸法と等しくすることができることに留意されたい。しかし、堅いストランドの径あるいは寸法は、いくつかの例において、ゴム弾性高分子物質ストランドの径あるいは寸法よりも大きくすることができるし、それと逆の関係にすることができる。円形のストランドの径(直径)は、0.1mm〜3.0mmの範囲にすることができるが、好ましい範囲は0.2mm〜0.5mmである。
【0044】
ストランド配列(1)および(3)は、材料、形態、形などについて、互いに同じにすることができるし、あるいは、異なるようにすることができることに留意されたい。一つだけ必要なことは、層(3)のストランドが、層(1)の隣接するストランド間に合う間隔になっていること、あるいはその逆であることである。ストランドの形は、正方形、長方形、楕円形あるいは卵形、三角形、星形、溝付きあるいは多角形の形を含み、そして、長軸の寸法は3.0mmまでの大きさにすることができる。
【0045】
また、層(1)と層(3)のストランドの数の間に一対一の関係が必要ではないことに留意されたい。しかし、層(3)のストランドの数が層(1)のストランドの数の一部分であるか、その逆になるかである。たとえば、層(3)が層(1)のストランドの半分だけ包含し、プレスファブリックに用いるとき、層(3)のストランドの間に付加的な空隙容量/水運搬/排水能力に用いるスペース(間隔)がある。ストランド間隔(中心から中心まで)は、MD(堅い)とCD(ゴム弾性高分子物質の)の両方のストランドについて等しくすることができる。しかし、ストランド間隔は、目的の構造物の必要な空気あるいは水の透過性、開放領域、および空隙容積に基づいて変えることができる。最大のストランド密度は、ストランド直径の2倍に等しいストランド間隔に基づくことができ、そして、最小のストランド密度は、ストランド直径の3倍以上に等しいストランド間隔に基づくことができる。ストランド直径の3倍に等しい間隔をもつ、複合押出し成形メッシュ10を、たとえば、
図5〜6に示す。
【0046】
3層の複合押出し成形メッシュあるいは網の中央の層(2)を占める、ゴム弾性高分子物質ストランド材料として、数個の材料を用いることができる。それらの例には、スチレンブロック共重合体、ゴム弾性高分子コポリエステル、ゴム弾性高分子コポリアミド、ゴム弾性高分子ポリオレフィンおよび熱可塑性ポリウレタンを含む。同様に、堅いストランドあるいは非弾性的材料14として数個の材料を用いることができる。それらの例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエステル、ポリアミド、硬質ポリウレタン、およびそのような樹脂のコポリマー(共重合体)を含む。ゴム弾性高分子物質および堅いストランドとしてどれが選ばれようとも、それらの材料は、押出し成形処理の結果として、一緒に結合されることになる。ポリマー材料の知識がある者は、ポリマーは添加剤によって定式化し、2つの異なるポリマー間の結合を促進する。網の押出し成形の間に結合を形成することが重要なことは明白であり、適切な材料の選択が一番である。
【0047】
ストランドの結合点(MDストランドとCDストランドとが交差し、互いに接触する所)には、大きな結合強度が必要である。そのことは、押出し成形複合網あるいはメッシュを、第2の処理工程で配向あるいは延伸(モノフィラメント押出し成形処理と同様)するとすれば、特に重要である。この処理工程において、網の接合/結合点を通して、そして網ストランドからすべての方向に、大きな力が伝達し分配される。接合/結合点でのストランドとストランドとの良好な結合なしでは、製品は破れ、製品として機能しなくなってしまう。
【0048】
すべてがゴム弾性高分子物質の網に比べて、この発明の複合ゴム弾性高分子物質メッシュには、多くの利点がある。たとえば、製品は、一方向に一つのまとまった特性をもち、相対する方向には、他のまとまった特性をもつように設計されている。特に、大きな曲げ強度および寸法安定性を得るようにするため、一方の方向(MD)には、ポリプロピレンのような比較的に非弾性的なポリマーを用い、同時に、横断(CD)方向には良好なゴム弾性高分子物質材料を用いることにより、メッシュ/網のゴム弾性高分子(圧縮およびリカバリー)特性を確保している。
【0049】
一実施例によれば、この発明の構造物は、弾力性の複合押出し成形メッシュであり、ユニークな構造物を利用し、垂直方向の圧力荷重を受けたとき、厚さ方向の(構造物の面に垂直)リカバリーが大きなキャリパーあるいは厚さを伴って、すぐれた弾性作用を示す。この構造物100は、
図8に示すように、比較的に非弾性的なストランド122,114につれだって共押出し成形した弾性的な媒体116を利用する。そのような配置あるいは構成によって、構造物全体が自らの中に「つぶれる」(圧縮して小さくなる)ことができる。それは、この媒体116の弾性、圧力(構造物の表面に対して垂直に加わる荷重)に順応する構造物、および圧力を取り除いた際に実質的に元の形態および厚さにリカバリーすることに基づく。そのようにして、ユニークな作用をする。この場合における用語「複合」は、MDおよびCDにおいて2つの異なる材料を用いることをいう。一つは、MDにおける比較的に非弾性的な材料であり、もう一つは、CDにおける弾性的な材料(すなわち、弾性的な媒体116)である。構造物100は、1あるいは2層以上の、弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートを含む。その押出し成形フィルムあるいはシートは、弾性的、弾力性、かつ厚さ方向に圧縮性があり、しかも、伸張性があり、曲げられ、さらに、縦およびCDの両方向に弾力性がある。また、構造物100は、複数の実質的に平行な機能性MDストランドの1あるいは2以上の層を含む。それらの層は、押出し成形フィルムあるいはシートの上および下の面に共押出し成形されている。
【0050】
この発明の典型的な実施例により形成した、圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュの構成図を
図8に示す。図に示すように、複合押出し成形メッシュ100は、MD方向に方向付けした平行なアレイの、比較的に非弾性的な堅い機能性ストランド114を備える第1あるいは一番上の(1)層112と、前に述べた弾性特性をもつ、押出し成形フィルムあるいはシート116の、第2あるいは中央の(2)層116と、層116の他方の側(表面)上に平行なアレイの形態に共押出し成形された機能性ストランド122を備える第3あるいは一番下の(3)層120をもつ。3層のすべてを単一の構造物として一緒に共押出し成形することができるし、あるいは、一番上、中央、一番下の層を交互に続いて押出し成形し、互いに取り付けることができる。層120のストランド122は、上に述べたように、一番上の(1)層112の隣接するストランド114間のスペース内に位置あるいは整列している。フィルムあるいはシート116は、0.10〜5.0mmの厚さであり、好ましくは、0.5mm〜2.0mmの厚さである。
【0051】
弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、厚さ方向に弾性的、弾力性、および圧縮性であり、しかも、縦方向に伸張性、曲げ性、および弾力性があるものとして定めることができる。この実施例には、そのような押出し成形フィルムあるいはシートが必要である。弾性的な押出し成形フィルムあるいはシートは、選択により、たとえば、
図9に示すように孔開けすることができ、複数の貫通孔あるいは空所(空隙)115を所定の対称パターンあるいはランダムな対称でないパターンに分布させることができる。弾性的な(伸縮性の)押出し成形フィルムあるいはシートは、たとえば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)のようないろいろな伸縮性の材料で構成することができる。好ましい伸縮性の材料として(限定するわけではないが)、ポリウレタン、ゴム、シリコン樹脂、またはインヴィスタ販売のゴムライクラ(登録商標)あるいはルービリゾル販売のエステイン(登録商標)などのポリマーがある。フィルムあるいはシート116は、0.10〜5.0mm、好ましくは0.5〜2mmの厚さをもつ。フィルムあるいはシートに形成する貫通孔は、適切な大きさの円形あるいは非円形の形状にすることができる。非円形の形状として、限定するわけではないが、正方形、長方形、三角形、楕円形、台形、六角形、およびその他の多角形がある。孔開けについていえば、押出し成形の際にフィルムあるいはシートに開けることができ、また、構造物を共押出し成形した後で機械的にあるいは熱的に開けることができる。フィルムの各面における開口は、同じか、あるいは、異なる断面区域(面積)をもつことができる。
【0052】
この発明の一実施例によれば、プレスファブリック20のようなファブリックは、複合押出し成形メッシュ10の上および/または下の表面に取り付けた、1あるいは2以上の織りファブリック22を含むことができる。一例を
図7に示し、ファブリック22は、縦糸18と横糸16とから織ったものである。それらの糸16,18は、たとえば、モノフィラメント、マルチフィラメント、または、天然あるいは合成の織物繊維の紡績糸など、今までの織物糸のいずれでも良い。そのような糸の代表は、ポリアミドおよびポリエステル製のモノフィラメントである。ファブリック22は、公知の手法により、どのような織りにも、単純あるいは複雑、単一あるいは多層に作ることができる。
【0053】
一実施例によると、押出し成形メッシュは、たとえば、針縫い(ニードルパンチ)、または接着剤あるいは熱融解の使用によって、織り層22および/または共押出し成形構造物自体の上および/または下の面に取り付けた、織物繊維の不織材料24の1あるいは2以上の層を構造的に一体に備えることができる。複合押出し成形メッシュに取り付けた不織材料24は、今までの織物繊維のどれによっても作り上げることができる。そのような織物繊維の代表例は、ポリエステル、ポリアミドその他の同様のもののステープルである。
【0054】
別の実施例によると、繊維状の綿(batt)あるいはスパンボンドウェブのような不織の織物繊維の、1あるいは2以上の層を、たとえば、複合押出し成形メッシュ10自体の外表面に付着することができる。複合押出し成形メッシュ10に対する追加の層の支持については、針縫い、接着、あるいは熱融解によっても行うことができる。簡単にするため、ここでの実施例のファブリックは、2層だけの不織繊維層をもつ。しかし、当業者であれば、最終的なファブリックが必要とする、特定の厚さ、密度、水透過性、および空隙容積を得るために、層24としての不織繊維層を妥当な数に作り上げることができる。
【0055】
上に述べた実施例の複合押出し成形メッシュ10は、プレスファブリックの全体の幅についてであるが、この発明のメッシュは、米国特許6,240,608に示す方法にしたがって形成することができる。その‘698特許の全ての内容を、参照によってここに組み入れる。この特許が示すように、メッシュ10の小さなストライプ(テープ状の片)を形作り、複合押出し成形メッシュの必要な長さが得られるまで、それを2つの平行なロール周りに巻くことにより、複合押出し成形メッシュを構成することができる。そのような構造物における複合押出し成形メッシュ10の隣接するストライプは、たとえば、接合用接着剤(グリュー)、接着剤、熱融着/溶接などの当業者に知られた方法を用いることによって、隣接する端を接合することができる。
【0056】
複合押出し成形メッシュは、必要ならば、滑らかな表面を生じるように処理すること、そして、発泡体(フォーム)で被覆し、あるいは事実、圧縮性および弾力性ももつ樹脂あるいは発泡体を含浸させることができる。1あるいは2層以上の被膜、ヤーンアレイ(MDおよび/またはCD)、あるいはらせんリンクファブリックを含む他の形態を、複合押出し成形メッシュに対して積層することができる。圧縮性で弾力性の複合押出し成形メッシュを含む構造物は、最終用途において、構造物表面に加わる垂直な荷重を受け、あるいは取り除かれたときに必要とされる特性、すなわち、構造物が元に戻り、あるいは「スプリングバック」するような充分な大きさの圧縮性、充分な弾力性、および強度をもつように構成されなければならない。
【0057】
この発明の複合押出し成形メッシュは、最終的な工業用処理ファブリック/ベルトの多くのものを形成することができるし、あるいはそれらの多くのものに含ませることができる。たとえば、成形ファブリック、プレスファブリック、乾燥ファブリック、シュープレスベルトベース、カレンダーベルトベース、トランスファーベルトベースなどの製紙機械クロージング、または、たとえば、エアレイド(airlaid)、溶融ブロー(meltblowing)、スパンボンド(spunbonding)、あるいはハイドロエンタングリング(hydroentangling、湿式処理)などの処理による不織製品の製造に用いるファブリック、さらには、波形のボール紙の製造に用いるベルト、テキスタイル仕上げ処理ベルト、あるいは、皮なめしベルトあるいはスリーブなどの工学ファブリックあるいはベルトがある。
【0058】
複合メッシュあるいは網のどの実施例においても、2層の非弾性的ストランドを示すが、使用上機能する構造物については、非弾性的(MD)荷重支持(引っ張り力)ストランド
の層は単一必要であり、他の面のもう一方の層を弾性的なものにすることができる。
【0059】
さらには、複合(異なるエラストマーあるいは同じもの)メッシュあるいは網のどの実施例でも、たとえば、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックなどのMD荷重(引っ張り力)支持構造物に対しメッシュを積層する限り、3層のすべてを弾性的なものにすることができる。一実施例によると、前の実施例のどれでも、90°向きを変えて、比較的に非弾性的な機能性MDストランドがCD方向、そして弾性的なCDストランドあるいは弾性的な材料がMD方向に位置するようにすることができる。その場合には、メッシュあるいは網を、非弾性的なポリエステルあるいはポリアミド製の織りファブリックなどのMD荷重(引っ張り力)支持構造物に対して積層することが必要である。
【0060】
当業者は、ここに示した内容を考慮して、この発明について、いろいろな変更を行うことができることは自明である。しかし、そのような変更は、特許請求の範囲に定めた考え方の範囲を超えることはない。