特許第6281757号(P6281757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社シービービズの特許一覧

<>
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000002
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000003
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000004
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000005
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000006
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000007
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000008
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000009
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000010
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000011
  • 特許6281757-運搬容易な帯付ゴミ袋 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6281757
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】運搬容易な帯付ゴミ袋
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20180208BHJP
   B65D 33/28 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B65F1/00 P
   B65D33/28
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-101335(P2017-101335)
(22)【出願日】2017年5月23日
【審査請求日】2017年6月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517135040
【氏名又は名称】合同会社シービービズ
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】宮元 武壽
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−025201(JP,U)
【文献】 特開平11−170403(JP,A)
【文献】 特開2017−007741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0018570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00
B65D 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂材料からなる有底の袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁には、長手部材(2)が前記袋本体(1)の表裏面にそれぞれ2つ以上設けられた止着部(21・21)において接合されており、これら止着部(21・21)の間に結束部(2A)がそれぞれ形成される一方、
前記袋本体(1)の開口部(11)側の両側の側縁部(12)において、この側縁部(12)と前記長手部材(2)の端部(22・22)とが重畳的に接合されて一体化されているとともに、
当該側縁部(12)近傍の両側に可断部(13)がそれぞれ形成されており、かつ、この可断部(13)において前記重畳接合部が袋本体(1)から分離されることによって、長手部材(2)に把手ループ(2B)が両端部にそれぞれ形成可能であり、
前記袋本体(1)にゴミが収容された状態で、対向する結束部(2A)同士が結束されて開口部(11)が閉塞可能であるとともに、対向する把手ループ(2B)を把持して吊支可能であることを特徴とする運搬容易な帯付ゴミ袋。
【請求項2】
熱可塑性樹脂材料からなる有底の袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁には、長手部材(2)が前記袋本体(1)の表裏面にそれぞれ2つ以上設けられた止着部(21・21)において接合されており、これら止着部(21・21)の間に結束部(2A)がそれぞれ形成される一方、
前記袋本体(1)の開口部(11)側の側縁部(12)近傍の両側に切欠部(14)がそれぞれ形成され、かつ、同位置において前記長手部材(2)の端部(22・22)同士が接合されることによって、長手部材(2)に把手ループ(2B)が両端部にそれぞれ形成可能であり、
前記袋本体(1)にゴミが収容された状態で、対向する結束部(2A)同士が結束されて開口部(11)が閉塞可能であるとともに、対向する把手ループ(2B)を把持して吊支可能であることを特徴とする運搬容易な帯付ゴミ袋。
【請求項3】
少なくとも長手部材(2)の止着部(21)が、袋本体(1)の表面に対して曲線状境界で熱融着されていることを特徴とする請求項1または2記載の運搬容易な帯付ゴミ袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ袋の改良、更に詳しくは、袋の開口部を確実に閉塞することができ、かつ、運搬を容易にすることができる帯付ゴミ袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のゴミ袋は、開口部の縁部付近において切込みや舌片が形成されており、ゴミ袋がゴミで一杯になった場合に、それらを結束する(縛る)ことによって開口部を閉塞できるものが知られている。
【0003】
しかしながら、このようにして開口部を縛ったゴミ袋は、縛った部分を持って運搬する必要があるため、持手部分の大きさに余裕が無くて持ちにくい上に、ゴミの自重によって負荷がかかってしまい、この部分がちぎれたり袋が破れてしまうという問題がある。
【0004】
また、別の結束手段として、ゴミ袋の開口部付近に結束用の帯ヒモを設けたものが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
しかしながら、帯ヒモを結束するためには、開口部近傍の胴体を絞ってまとめる必要があるため、収容可能なゴミの容量が制限されてしまうという問題がある。
【0006】
また、この帯ヒモは結束にのみ使用されるため、ゴミ袋を運搬する際には、開口部付近を掴んで持つか、帯ヒモ自体を持つしかなく、手が汚れてしまったり、結束した帯ヒモが解けてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平7−906号公報
【特許文献2】実開平4−19501号公報
【特許文献3】実開昭58−144501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のゴミ袋に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、袋の開口部を確実に閉塞することができ、かつ、運搬を容易にすることができる帯付ゴミ袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる有底の袋体であって、
袋本体1の開口部11近傍の周縁には、長手部材2が前記袋本体1の表裏面にそれぞれ2つ以上設けられた止着部21・21において接合されており、これら止着部21・21の間に結束部2Aがそれぞれ形成される一方、
前記袋本体1の開口部11側の両側の側縁部12において、この側縁部12と前記長手部材2の端部22・22とが重畳的に接合されて一体化されているとともに、
当該側縁部12近傍の両側に可断部13がそれぞれ形成されており、かつ、この可断部13において前記重畳接合部が袋本体1から分離されることによって、長手部材2に把手ループ2Bが両端部にそれぞれ形成可能であり、
前記袋本体1にゴミが収容された状態で、対向する結束部2A同士が結束されて開口部11を閉塞可能にするとともに、対向する把手ループ2Bを把持して吊支可能にするという技術的手段を採用したことによって、運搬容易な帯付ゴミ袋を完成させた。
【0011】
また、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる有底の袋体であって、
袋本体1の開口部11近傍の周縁には、長手部材2が前記袋本体1の表裏面にそれぞれ2つ以上設けられた止着部21・21において接合されており、これら止着部21・21の間に結束部2Aがそれぞれ形成される一方、
前記袋本体1の開口部11側の側縁部12近傍の両側に切欠部14がそれぞれ形成され、かつ、同位置において前記長手部材2の端部22・22同士が接合されることによって、長手部材2に把手ループ2Bが両端部にそれぞれ形成可能であり、
前記袋本体1にゴミが収容された状態で、対向する結束部2A同士が結束されて開口部11を閉塞可能にするとともに、対向する把手ループ2Bを把持して吊支可能にするという技術的手段を採用することができる。
【0012】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、少なくとも長手部材2の止着部21を、袋本体1の表面に対して曲線状境界で熱融着するという技術的手段を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる袋本体の開口部側の側縁部近傍の両側に可断部あるいは切欠部をそれぞれ形成し、袋本体の開口部近傍の周縁には、長手部材を前記袋本体の表裏面にそれぞれ2つ以上設けられた止着部において接合して、これら止着部の間に結束部をそれぞれ形成する一方、前記長手部材の端部に把手ループを両端部にそれぞれ形成したことによって、
前記袋本体にゴミが収容された状態で、対向する結束部同士を結束して開口部を閉塞できるとともに、対向する把手ループを把持して吊支することができる。
【0014】
したがって、本発明の帯付ゴミ袋によれば、同一の帯材料から開口部の結束手段と袋体の運搬手段とを独立的に成形することができることから、結束部によって袋の開口部を確実に閉塞することができ、かつ、把手ループによって運搬を容易にすることができる。
【0015】
また、可断部または切欠部の成形と、材料の熱融着とを巧みに組み合わせただけの簡素な工程で製造できることから、製造スピードの向上および製造コストの軽減を実現することができ、産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋を表わす全体斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす上面図である。
図3】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす上面図である。
図4】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす上面図である。
図6】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の変形例の製造工程を表わす上面図である。
図7】本発明の第1実施形態の帯付ゴミ袋の変形例の製造工程を表わす上面図である。
図8】本発明の第2実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす断面図である。
図9】本発明の第2実施形態の帯付ゴミ袋の製造工程を表わす断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の帯付ゴミ袋を表わす全体斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態の帯付ゴミ袋の変形例の製造工程を表わす上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは袋本体であり、符号2で指示するものは長手部材である。
【0018】
<帯付ゴミ袋の構成>
まず、本実施形態の帯付ゴミ袋の構成について以下に説明する。本実施形態の帯付ゴミ袋は、熱可塑性樹脂材料からなる有底の袋体であって、使用材料としては、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンなどを採用することができ、薄手のシート状からなる。
【0019】
そして、袋本体1の開口部11近傍の周縁には、長手部材2が複数の止着部21・21において接合されており、これら止着部21・21の間(内側)に結束部2Aがそれぞれ形成されている(図1参照)。本実施形態では、止着部21の接合位置をそれぞれ側縁部12寄りに設け、また、使用時の負荷軽減のために略V字状に成形する。なお、この結束部2Aはループ状に形成されているが、このループを切断してヒモ状にして使用することもできる。
【0020】
また、前記袋本体1の開口部11側の側縁部12において、この側縁部12と前記長手部材2の端部22・22とが重畳的に接合されて一体化されている。
【0021】
更にまた、当該側縁部12近傍に可断部13が形成されている。本実施形態では、この可断部13をミシン目状に形成して、使用時に切断しやすいようにする。
【0022】
そして、この可断部13において前記重畳接合部が袋本体1から分離されることによって、長手部材2に把手ループ2Bを形成することができる。
【0023】
このような構成にしたことにより、前記袋本体1にゴミが収容された状態で、対向する結束部2A同士を結束して開口部11を閉塞可能であるとともに、対向する把手ループ2Bを把持して吊支することが可能である。
【0024】
<帯付ゴミ袋の製造方法>
次に、本実施形態の帯付ゴミ袋の製造方法について以下に説明する。まず、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の開口部11側の側縁部12近傍に可断部13を形成する(図2参照)。本実施形態では、この可断部13をミシン目状に形成する。
【0025】
そして、当該基材シート10の進行方向に並行して、熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材2・2を挿入して、この基材シート10の表面に配設する(図3参照)。
【0026】
次いで、前記長手部材2の一部を複数の止着部21・21においてそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して結束部2Aを成形する(図4および図5参照)。この際、基材シート10の表裏同士が熱融着しないように当て板Pを挿入する。
【0027】
また、前記長手部材2の端部22および側縁部12近傍のシート重畳部全てを当該側縁部12に沿って一体に熱融着して長手部材2に把手ループ2Bを形成する。この際、前記可断部13の基端部も同時に熱融着されても切断に影響はないが、適宜、基端部を除いて熱融着することもできる。
【0028】
然る後、前記側縁部12を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、図6に示すように、少なくとも長手部材2の止着部21を、袋本体1の表面に対して曲線状境界で熱融着することもでき、この曲線状境界は略円弧状が好ましく、熱融着部分は、境界を曲線状にすれば、線状や面状にすることもできる。こうすることにより、使用時に長手部材が引っ張られる際に、熱融着部分に局部的な負荷が集中することがないので、剥離や破れを効果的に防止することができる。
【0030】
また、本実施形態では、連続的に送り出される基材シート10における1製造単位(袋1枚分)について図示して説明したが、より効率的に袋体を製造することができるように、図7に示すように、左右対称的に袋2枚分を同時成形することもできる。
【0031】
『第2実施形態』
<帯付ゴミ袋の構成>
次に、本発明の第2実施形態を図8から図11に基づいて説明する。本実施形態では、前記袋本体1の開口部11側の側縁部12近傍に切欠部14が形成され、かつ、同位置において前記長手部材2の端部22・22同士が接合されることによって、長手部材2に把手ループ2Bが形成可能である点が第1実施形態と異なる特徴である。
【0032】
本実施形態においても、前記袋本体1にゴミが収容された状態で、対向する結束部2A同士が結束されて開口部11が閉塞可能であるとともに、対向する把手ループ2Bを把持して吊支することができる。
【0033】
<帯付ゴミ袋の製造方法>
本実施形態における製造方法は、まず、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の開口部11側の側縁部12近傍を切断して切欠部14を形成する(図8参照)。
【0034】
そして、第1実施形態と同様に、当該基材シート10の進行方向に並行して、熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材2・2を挿入して、この基材シート10の表面に配設し、前記長手部材2の一部を複数の止着部21・21においてそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して結束部2Aを成形する。
【0035】
この際、図9に示すように、止着部21・21を中央付近にも配設することもでき、4箇所のループ状の結束部2Aを形成することによって、対向する結束部2A同士を2対で結束することができる。
【0036】
こうすることによって、容量の大きなゴミ袋の場合であって、大きな開口部を確実に閉塞することができる。なお、かかる止着部21の構造は第1実施形態においても採用することができるし、また、このループを切断してヒモ状にして使用することも当然に可能である。
【0037】
次いで、前記長手部材2の端部22同士を当該側縁部12に沿って一体に熱融着して長手部材2に把手ループ2Bを形成する。この端部22同士の熱融着は、前記切欠部14による欠損位置において行われる。このように切欠部14があるため、袋本体1の強度に影響しないように、切欠部14は最小限の形状に成形することが好ましい。
【0038】
然る後、前記側縁部12を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することができる(図10参照)。
【0039】
また、本実施形態においても、長手部材2の止着部21を、袋本体1の表面に対して曲線状境界で熱融着することもできる(図11参照)。図示しないが、左右対称的に袋2枚分を同時成形することもできる。
【0040】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、止着部21の数量や接合位置、形状は適宜変更することができる。
【0041】
また、可断部13はミシン目に限らず、素材を薄くするなど切断が誘導されるものであれば良く、更にまた、可断部13および切欠部14の形状も変形することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0042】
1 袋本体
10 基材シート
11 開口部
12 側縁部
13 可断部
14 切欠部
15 接合部
2 長手部材
21 止着部
22 端部
2A 結束部
2B 把手ループ
P 当て板
【要約】
【課題】 袋の開口部を確実に閉塞することができ、かつ、運搬を容易にすることができる帯付ゴミ袋およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 袋本体1の開口部11近傍の周縁には、長手部材2が複数の止着部21・21において接合されており、これら止着部21・21の間に結束部2Aがそれぞれ形成される一方、前記袋本体1の開口部11側の側縁部12において、この側縁部12と前記長手部材2の端部22・22とが重畳的に接合されて一体化されているとともに、
当該側縁部12近傍に可断部13が形成されており、かつ、この可断部13において前記重畳接合部が袋本体1から分離されることによって、長手部材2に把手ループ2Bを形成可能にするという技術的手段を採用した。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11