特許第6281807号(P6281807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6281807チャネル利用状況取得装置、チャネル利用状況取得方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281807
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】チャネル利用状況取得装置、チャネル利用状況取得方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/23 20150101AFI20180208BHJP
   H04B 17/318 20150101ALI20180208BHJP
【FI】
   H04B17/23
   H04B17/318
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-180910(P2013-180910)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-50622(P2015-50622A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年5月24日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「M2M型動的無線通信ネットワーク構築技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】有吉 正行
(72)【発明者】
【氏名】小林 聖
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−201834(JP,A)
【文献】 特開2011−076068(JP,A)
【文献】 特開2001−244901(JP,A)
【文献】 特開2007−150836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/00−17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する取得部と、
周波数領域に対応する非負値行列であり、特定の通信システムの複数の周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける受付部と、
前記取得部が取得したスペクトログラムに対応する非負値行列であるスペクトログラム行列を、非負値行列因子分解により、前記周波数行列と、時間領域に対応する非負値行列である時間行列とに分解する分解部と、
前記分解部によって分解された前記時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得部と、を備えたチャネル利用状況取得装置。
【請求項2】
前記チャネル利用状況取得部は、前記時間行列の各要素の値と閾値と比較することによって、各周波数チャネルが使用されているかどうかに関する利用状況を取得する、請求項1記載のチャネル利用状況取得装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記受信部が受信信号を受信する時間及び場所の少なくとも一方に応じた周波数行列を受け付ける、請求項1または請求項2記載のチャネル利用状況推定装置。
【請求項4】
受信信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する取得ステップと、
周波数領域に対応する非負値行列であり、特定の通信システムの複数の周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける受付ステップと、
前記取得ステップで取得したスペクトログラムに対応する非負値行列であるスペクトログラム行列を、非負値行列因子分解により、前記周波数行列と、時間領域に対応する非負値行列である時間行列とに分解する分解ステップと、
前記分解ステップで分解された前記時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得ステップと、を備えたチャネル利用状況取得方法。
【請求項5】
コンピュータを、
受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得する取得部、
周波数領域に対応する非負値行列であり、特定の通信システムの複数の周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける受付部、
前記取得部が取得したスペクトログラムに対応する非負値行列であるスペクトログラム行列を、非負値行列因子分解により、前記周波数行列と、時間領域に対応する非負値行列である時間行列とに分解する分解部、
前記分解部によって分解された前記時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンドパスフィルタを用いて受信信号の通過帯域を制限し、そのバンドパスフィルタを通過した受信信号について受信信号強度を測定し、その測定した受信信号強度を用いて、バンドパスフィルタに応じた周波数帯域のキャリアセンスを行うことが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−118559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのようなバンドパスフィルタを用いた場合には、隣接する周波数帯域からの漏れ込みがあるため、周波数帯域の利用状況を適切に把握することは難しかった。
一般的に言えば、複数の周波数チャネルが隣接している場合や、複数の周波数チャネルの少なくとも一部の周波数帯域が重複している場合についても、各周波数チャネルの利用状況を適切に取得したいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記事情に応じてなされたものであり、各周波数チャネルの利用状況を適切に取得できるチャネル利用状況取得装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるチャネル利用状況取得装置は、受信信号を受信する受信部と、受信部が受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する取得部と、周波数領域に対応する非負値行列であり、各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける受付部と、取得部が取得したスペクトログラムに対応する非負値行列であるスペクトログラム行列を、非負値行列因子分解により、周波数行列と、時間領域に対応する非負値行列である時間行列とに分解する分解部と、分解部によって分解された時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得部と、を備えたものである。
このような構成により、受信された受信信号に対応するスペクトログラムを、周波数チャネルごとに分離することができる。その結果、その分離後の時間行列を用いて、周波数チャネルごとの利用状況を適切に取得することができる。
【0007】
また、本発明によるチャネル利用状況取得装置では、チャネル利用状況取得部は、時間行列の各要素の値と閾値と比較することによって、各周波数チャネルが使用されているかどうかに関する利用状況を取得してもよい。
このような構成により、例えば、各周波数チャネルが使用されているかどうかを判断したり、各周波数チャネルの占有率を取得したりすることができる。
【0008】
また、本発明によるチャネル利用状況取得装置では、受付部は、受信部が受信信号を受信する時間及び場所の少なくとも一方に応じた周波数行列を受け付けてもよい。
このような構成により、例えば、時間や場所に応じて通信システムや周波数チャネル等が変化する場合であっても、その変化に応じた周波数行列を用いて非負値行列因子分解を行うことができ、時間や場所に応じた適切な周波数チャネルの利用状況の取得が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるチャネル利用状況取得装置等によれば、複数の周波数チャネルが隣接している場合や、複数の周波数チャネルの少なくとも一部の周波数帯域が重複している場合についても、各周波数チャネルの利用状況を適切に取得することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1によるチャネル利用状況取得装置の構成を示すブロック図
図2】同実施の形態による受信部の構成を示すブロック図
図3】同実施の形態によるチャネル利用状況取得装置の動作を示すフローチャート
図4A】同実施の形態におけるスペクトログラムの一例を示す図
図4B】同実施の形態における周波数行列に含まれる各ベクトルの一例を示す図
図4C】同実施の形態における時間行列に含まれる各ベクトルの一例を示す図
図4D】バンドパスフィルタで分離した各周波数チャネルの無線信号の一例を示す図
図5】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
図6】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるチャネル利用状況取得装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0012】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1によるチャネル利用状況取得装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態によるチャネル利用状況取得装置は、受信信号のスペクトログラムに対応する非負値行列を、周波数チャネルに対応する非負値行列と、時間領域に対応する非負値行列とに分解し、その分解後の時間領域の非負値行列を用いて、各チャネルの利用状況を取得するものである。
【0013】
図1は、本実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1は、受信部11と、取得部12と、受付部13と、分解部14と、チャネル利用状況取得部15と、出力部16とを備える。このチャネル利用状況取得装置1は、例えば、ステーションやモバイルノード等の端末装置であってもよく、1以上の端末装置と無線通信を行うアクセスポイント等の無線基地局であってもよく、無線通信を行うその他の装置であってもよく、有線の通信を行う装置、例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やPLC(Power Line Communication)の通信を行う装置であってもよい。また、チャネル利用状況取得装置1は、自律分散型無線ネットワークにおいて無線通信を行う装置であってもよく、または、そうでなくてもよい。また、その無線ネットワークは、他の無線システムと混在する環境であってもよい。すなわち、多数の無線通信機器が、同一周波数帯を共用していてもよい。なお、チャネル利用状況取得装置1は、周波数チャネルの利用状況を取得するものであるため、複数のチャネルを介した通信を行うものであることが好適である。
【0014】
受信部11は、受信信号を受信する。受信信号は、無線の通信により送受信される無線信号であってもよく、または、有線の通信により送受信される有線信号であってもよい。本実施の形態では、受信信号が無線信号である場合について主に説明する。なお、受信信号が無線信号である場合に、受信部11は、複数の無線信号源からの無線信号を受信してもよい。その無線信号は、無線により伝搬するどのような信号であってもよい。その無線信号は、例えば、無線LANの無線信号であってもよく、Bluetooth(登録商標)の無線信号であってもよく、ノイズ源からの無線信号であってもよく、その他の方式による無線信号であってもよい。また、その有線信号は、有線によって通信されるどのような信号であってもよい。その有線信号は、例えば、ADSLやPLCの信号であってもよく、その他の方式による有線信号であってもよい。また、その無線信号や有線信号の周波数は問わない。その無線信号の周波数は、例えば、ISM帯であってもよく、その他の周波数であってもよい。無線信号を受信する受信部11は、例えば、図2で示されるように、低雑音増幅部21と、周波数変換部22と、局部発振部23と、フィルタ部24と、AD変換部25とを備えてもよい。低雑音増幅部21は、アンテナを介してアナログ受信信号を受信し、その受信した信号を増幅する。周波数変換部22は、局部発振部23によって生成された信号を用いて、増幅された受信信号を周波数変換し、AD変換部25で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。局部発振部23は、その周波数変換部22での周波数変換のための信号を生成する。フィルタ部24は、あらかじめ決められた周波数帯域のみを通過させるフィルタである。その周波数帯域は、例えば、分解部14における分解の対象としたいスペクトログラム行列(後述する)に対応した周波数帯域に設定されてもよい。フィルタ部24は、例えば、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、バンドパスフィルタであってもよい。AD変換部25は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。なお、そのAD変換後のデジタル信号も、受信信号と呼ぶものとする。
【0015】
取得部12は、受信部11が受信した受信信号に関するスペクトログラムを取得する。そのスペクトログラムは、周波数領域と時間領域とにおいて、受信された受信信号に関する電力を示すものである。したがって、そのスペクトログラムは、周波数電力スペクトログラムであるということもできる。取得部12は、例えば、受信された受信信号を所定の時間ごとにフーリエ変換することによって、スペクトログラムを取得してもよい。そのフーリエ変換は、例えば、離散フーリエ変換(DFT)であってもよく、高速フーリエ変換(FFT)であってもよい。また、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0016】
受付部13は、周波数領域に対応する非負値行列であり、各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける。その周波数チャネルは、特定の通信システムに応じたものである。例えば、無線LANシステムに応じた周波数チャネルであってもよく、ZigBee(登録商標)に応じた周波数チャネルであってもよい。例えば、その特定の通信システムや、周波数チャネルの個数等の構成、また各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルが時間や場所に応じて変化する場合には、受付部13は、その時間や場所に応じた周波数行列を受け付けてもよい。すなわち、受付部13は、時間及び場所の少なくとも一方に応じた周波数行列を受け付けてもよい。なお、その時間は、受信部11が受信信号を受信する時間である。また、その場所は、受信部11が受信信号を受信する場所である。時間や場所に応じた周波数行列とは、その時間や場所に対応する通信システムの周波数チャネルに応じた周波数行列であってもよく、その時間や場所に対応する周波数チャネルの構成に応じた周波数行列であってもよく、その時間や場所に対応する各周波数チャネルの周波数スペクトルに応じた周波数行列であってもよい。具体的には、時間や場所に応じて、その時間や場所に応じた周波数行列がビーコン等の情報によって送信されている場合には、受付部13は、そのビーコン等を受信することによって、その時間や場所に応じた周波数行列を受信してもよい。また、時間及び場所の少なくとも一方と、周波数行列とを対応付けて有する情報である対応情報が図示しない記録媒体で記憶されていてもよい。そして、受付部13は、図示しない時計部や、図示しない位置取得部によって、現在の時間や現在の位置を取得し、その現在の時間や位置に対応情報によって対応付けられている周波数行列を記録媒体から読み出すことによって受け付けてもよい。その位置取得部は、例えば、GPSを用いて位置を取得してもよく、無線基地局等を用いて位置を取得してもよく、その他の方式によって位置を取得してもよい。チャネル利用状況取得装置1は、その対応情報の記憶された記録媒体を有していてもよく、そうでなくてもよい。なお、周波数行列の詳細については後述する。また、受付部13は、周波数行列そのものを受け付けてもよく、実質的に周波数行列と同じであると考えられる情報を受け付けてもよい。後者の場合には、受付部13は、例えば、周波数行列の各要素を受け付けてもよく、周波数行列を構成するベクトル(基底ベクトル)を受け付けてもよい。
【0017】
受付部13は、例えば、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された周波数行列を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された周波数行列を受け付けてもよい。なお、受付部13は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、受付部13は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0018】
分解部14は、スペクトログラム行列Yを、非負値行列因子分解(NMF:Non−negative Matrix Factorization)により、周波数行列Hと、時間行列Uとに分解する。ここで、スペクトログラム行列Yは、取得部12が取得したスペクトログラムに対応する非負値行列である。スペクトログラム行列Yの(i,j)成分をYijとすると、Yijは、例えば、周波数がiであり、時間がjである場合の受信信号の電力値である。ここで、iは、1≦i≦Mの整数であり、jは、1≦j≦Nの整数である。なお、スペクトログラム行列Yは、M×Nの行列であるとしている。M、Nは、正の整数である。また、スペクトログラム行列Yは非負値行列であるため、すべての(i、j)についてYij≧0となる。また、iが1ずつ増えることにより、周波数が増加してもよく、減少してもよく、またはそれらのいずれでなくてもよい。また、jが1ずつ増えることにより、時間が増加してもよく、減少してもよく、またはそれらのいずれでなくてもよい。
【0019】
また、周波数行列Hは、周波数領域に対応する非負値行列であり、受付部13が受け付けたものである。周波数行列Hは、M×Kの行列である。Kは、基底数であり、任意の正の整数であるが、K≦min(M,N)であることが好適である。通常、基底数Kは、周波数チャネルの利用状況の取得対象となる周波数チャネル数となるが、そうでなくてもよい。なお、周波数チャネル数は、例えば、無線システムの仕様や、国等によって許可される帯域、無線通信を行う装置の実装仕様等によって決まるものである。例えば、そのような複数の周波数チャネルのうち、利用状況を取得したい周波数チャネルのみを基底ベクトルとしてもよい。したがって、その周波数チャネルの利用状況の取得対象となる周波数チャネル数(以下、単に「周波数チャネル数」と呼ぶことがある)は、すべての周波数チャネルの数であってもよく、一部の周波数チャネルの数であってもよい。また、K個の基底ベクトルは、それぞれ対応する周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応している。例えば、各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルパターンが既知である場合は、その周波数スペクトルパターンに応じた値を基底ベクトルの各要素の値としてもよく、各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルの近似的な形状が既知である場合は、その近似的なスペクトルパターンに応じた値を基底ベクトルの各要素の値としてもよく、各周波数チャネルが使用する周波数帯域が既知である場合は、基底ベクトルのその周波数帯域に対応する要素をあらかじめ決められた正値とし、それ以外の要素を0としてもよい。なお、そのあらかじめ決められた正値は、1であってもよく、その他の値であってもよい。また、基底ベクトルに応じた周波数帯域とは、その基底ベクトルに対応する周波数チャネルの周波数帯域(例えば、A1(MHz)からA2(MHz)等)である。その周波数帯域は、例えば、周波数チャネルの中心周波数を中心とする帯域幅に応じた周波数帯域であってもよい。基底ベクトルの各要素の値がスペクトログラム行列Yの中で見られる各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルパターンと近似しているほど、非負値行列因子分解による周波数行列Hと時間行列Uの分離性能が向上する。周波数行列Hは非負値行列であるため、周波数行列Hの(i,k)成分をHikとすると、すべての(i,k)についてHik≧0となる。ここで、kは、1≦k≦Kの整数である。また、時間行列Uは、時間領域に対応する非負値行列である。時間行列Uは、K×Nの行列である。時間行列Uは非負値行列であるため、時間行列Uの(k,j)成分をUkjとすると、すべての(k,j)についてUkj≧0となる。なお、分解部14は、次式のように、スペクトログラム行列Yを、周波数行列Hと、時間行列Uとに分解する。なお、行列Hのことを基底行列と呼び、行列Uのことを係数行列と呼ぶことがある。
【数1】
【0020】
ここで、分解部14は、2個の行列Y、HUの間の距離d(Y,HU)が、上述のように、Uの各成分が非負値となる制約下で最小となる最適化問題の解として、Uを算出する。なお、Hは、受付部13で受け付けられたものを用いる。そして、分解部14は、Hについては非負行列因子分解において更新せず、固定されたものを用いることとする。その距離d(Y,HU)は、例えば、Frobeniusノルム規準(二乗誤差規準)の距離であってもよく、一般化KL(Kullback−Leibler)ダイバージェンス規準(Iダイバージェンス規準)の距離であってもよく、板倉・斉藤距離であってもよい。なお、選択した距離のモデルに対応した乗法的更新式による効率的な解法を用いることによって、分解部14は、時間行列Uを算出することができる。非負値行列因子分解により行列Uを導出する方法についてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0021】
ここで、乗法的更新によって周波数行列H及び時間行列Uを算出する方法について、距離d(Y,HU)をFrobeniusノルム規準の乖離度とするLee&Seungの乗法的更新式を用いる場合について説明する。なお、Lee&Seungの乗法的更新式の詳細については、次の文献を参照されたい。
文献:D.D.Lee、H.S.Seung、「Algorithms for Non−negative Matrix Factorization」、Advances in Neural Information Processing Systems 13(Proceedings of the 2000 Conference)、MIT Press、2001年
【0022】
分解部14は、M行N列のスペクトログラム行列Yに対して、K行N列の時間行列Uと、受付部13で受け付けられたM行K列の周波数行列Hとを用意する。ここで、Kは、取得する個々の受信信号の特徴スペクトルとなる基底ベクトルの数であり、前述のように、通常、周波数チャネル数となる。なお、行列Uの各要素の初期値はどのようなものであってもよい。各要素の値はそれぞれ、例えば、[0,1)の一様乱数値であってもよい。ここで、[0,1)は、0以上1未満の意味である。
【0023】
次に、分解部14は、行列Uの各要素の値を次の乗法的更新式で更新する。なお、分解部14は、あらかじめ決められている終了条件が満たされるまで、この更新を繰り返して行う。その終了条件は、例えば、あらかじめ決められた回数だけ更新を行ったことであってもよく、更新時にUkjに掛けられる係数が、1に近い値(例えば、1−εから1+εまでの範囲内の値でもよい。ただし、εは微小な値である)となったことであってもよい。
【数2】
【0024】
ここで、周波数行列Hは、H=[h,h,…,h]のように、K個の基底ベクトルh,h,…,hを並べたものである。その各基底ベクトルは、前述のように、各周波数チャネルにおける周波数スペクトルパターンに対応している。したがって、その周波数スペクトルに応じた基底ベクトルh,h,…,hを構成し、その基底ベクトルを並べた周波数行列Hを構成することによって、周波数行列Hを得ることができる。そのため、受付部13が受け付ける周波数行列Hは、そのようにして構成されたものであってもよい。この場合には、周波数チャネル数が基底数となる。なお、その基底ベクトルの次元は、スペクトログラム行列Yの行数と一致しており、また、その基底ベクトルに対応する周波数帯域幅は、スペクトログラム行列Yに対応する周波数帯域幅と一致している必要がある。
【0025】
また、時間行列Uは、U=[u,u,…,uのように、K個の係数ベクトルu,u,…,uを並べたものである。また、係数ベクトルuは、それに対応するk番目の周波数チャネルにおける周波数スペクトルパターンの時間変動を表す係数の時間変動パターン(以下、「周波数チャネルの時間変動パターン」と呼ぶことがある)となっている。ここで、k番目の周波数チャネルとは、基底ベクトルhに対応する周波数チャネルのことである。したがって、分解された時間行列Uによって、各周波数チャネルの時間変動パターンを知ることができる。また、本実施の形態では、周波数行列が行列Hであり、時間行列が行列Uである場合について説明するが、スペクトログラム行列Yの設定によっては、その逆となることは言うまでもない。
【0026】
なお、周波数行列Hは、無線通信システムごとに異なりうる。例えば、無線LANシステムの周波数行列Hと、ZigBee(登録商標)の周波数行列Hとは異なっている。したがって、受付部13は、所望の無線通信システムや、時間、場所に応じた周波数行列Hを受け付けることが好適である。また、その周波数行列Hに応じて、基底数Kが変化しうる。したがって、その分解部14は、受付部13で受け付けられた周波数行列Hの基底数Kに合うように、スペクトログラム行列を分解するようにしてもよい。
【0027】
チャネル利用状況取得部15は、分解部14によって分解された時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得する。前述のように、時間行列Uの各係数ベクトルuは、k番目の周波数チャネルの時間変動パターンであるため、その係数ベクトルuによって、k番目の周波数チャネルの利用状況を取得することができる。その利用状況の取得は、例えば、(1)k番目の周波数チャネルが使用されているかどうかの判断であってもよく、(2)k番目の周波数チャネルの占有率の取得であってもよく、(3)k番目の周波数チャネルの受信電力の取得であってもよく、その他の利用状況に関する取得であってもよい。すなわち、利用状況は、例えば、時間領域における利用に関する情報であってもよく、通信に利用されている受信信号に関する情報であってもよい。次に(1)〜(3)の各取得について説明する。その(1)、(2)の場合などには、チャネル利用状況取得部15は、後述するように、時間行列の各要素の値と閾値と比較することによって、各周波数チャネルが使用されているかどうかに関する利用状況を取得してもよい。その閾値は、各周波数チャネルが使用されているかどうかを適切に判断できる値に設定されることが好適である。なお、以下の説明では、係数ベクトルuに対する処理について説明するが、その処理を1からKまでの各kについて行うことによって、各周波数チャネルにおける利用状況の取得が可能となる。
【0028】
(1)周波数チャネルが使用されているかどうかの判断
チャネル利用状況取得部15は、係数ベクトルuの各要素の値と、あらかじめ決められた閾値とを比較する。そして、閾値よりも高い値の要素に対応する時間帯については、k番目の周波数チャネルが使用されていると判断してもよい。その閾値を用いた判断結果は、
例えば、k番目の周波数チャネルが使用されている期間を示す情報、例えば「時刻B1から時刻B2」等であってもよく、単にk番目の周波数チャネルが使用中であるかどうかを示す情報であってもよい。後者の場合には、例えば、チャネル利用状況取得部15は、k番目の周波数チャネルにおいて、あらかじめ決められた期間内に少なくとも使用中である期間があったときに使用中であると判断してもよく、あらかじめ決められた期間において、閾値を超える時間の使用があったときに使用中であると判断してもよい。そのあらかじめ決められた期間は、例えば、係数ベクトルuの最新の時点から、あらかじめ決められた時間だけ以前の時点までの期間であってもよい。この推定によって、例えば、各周波数チャネルが使用されているかどうかや、使用されている時期について知ることができる。
【0029】
(2)周波数チャネルの占有率の取得
チャネル利用状況取得部15は、上記(1)の場合と同様に、係数ベクトルuの各要素の値と、あらかじめ決められた閾値とを比較することによって、k番目の周波数チャネルが使用されている期間を特定する。そして、k番目の周波数チャネルについて、次式のように占有率を取得してもよい。
占有率=観測期間において使用中である期間/観測期間
この占有率の推定により、各チャネルがどの程度使用されているのかを知ることができる。なお、チャネル利用状況取得部15は、占有率以外のビジー/アイドルの割合を示す情報を取得してもよい。例えば、チャネル利用状況取得部15は、アイドル率を取得してもよく、単位時間あたりのビジーの期間(使用されている期間)や、アイドルの期間(使用されていない期間)を取得してもよい。
【0030】
(3)周波数チャネルの受信電力の取得
チャネル利用状況取得部15は、係数ベクトルuの各要素の値を取得することにより、k番目の周波数チャネルを伝搬している受信信号の受信電力を取得することができる。すなわち、チャネル利用状況取得部15は、k番目の周波数チャネルにおいて、どれぐらいの強度の受信信号が使用されているのかを取得できることになる。また、チャネル利用状況取得部15は、係数ベクトルuの各要素の値と、あらかじめ決められた閾値とを比較し、閾値より大きい値を有する要素についてのみ、受信電力を取得してもよい。ノイズに応じた受信電力を取得しないようにするためである。また、チャネル利用状況取得部15は、その取得した受信電力について、平均値や中間値、最大値等を算出してもよい。その平均値等によって、例えば、k番目の周波数チャネルにおける無線通信を行っている無線通信装置が、チャネル利用状況取得装置1の近くに存在するのか、または、遠くに存在するのかを判断することも可能となる。なお、無線通信の受信電力の平均等が大きいほど、その無線通信を行っている装置は、チャネル利用状況取得装置1の近くに存在すると判断できる。
【0031】
出力部16は、チャネル利用状況取得部15が取得した周波数チャネルの利用状況を出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部16は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部16は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0032】
次に、チャネル利用状況取得装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受信部11は、受信信号を受信する。なお、取得対象のスペクトログラムの時間領域の長さが決まっている場合には、受信部11は、その長さに応じた受信を行ってもよい。また、この受信された受信信号は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。例えば、AD変換部25によるAD変換後の受信信号が、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0033】
(ステップS102)取得部12は、受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得する。なお、取得されたスペクトログラムは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0034】
(ステップS103)受付部13は、周波数行列Hを受け付けたかどうか判断する。そして、周波数行列Hを受け付けた場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、受け付けるまでステップS103の処理を繰り返す。例えば、受付部13は、スペクトログラムが取得された後に、ユーザによって入力された周波数行列Hを受け付けてもよく、あらかじめ決められている図示しない記録媒体で記憶されている周波数行列Hを読み出してもよい。また、受付部13は、例えば、現在の時間や現在の位置に応じた周波数行列Hを受け付けてもよい。
【0035】
(ステップS104)分解部14は、非負値行列因子分解により、スペクトログラム行列Yを、周波数行列Hと時間行列Uとに分解する。なお、分解部14は、この分解において、時間行列Uの算出のみを行い、周波数行列HはステップS103で受け付けられたものを用いる。
【0036】
(ステップS105)チャネル利用状況取得部15は、各周波数チャネルの利用状況を取得する。
【0037】
(ステップS106)出力部16は、チャネル利用状況取得部15が取得した各周波数チャネルの利用状況を出力する。そして、各周波数チャネルの利用状況を取得する一連の処理は終了となる。
なお、図3のフローチャートにおいて、ステップS101〜S106の処理は、例えば、定期的に繰り返し行われてもよい。
【0038】
次に、本実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例において、チャネル利用状況取得装置1は、無線LANシステムにおける無線信号を受信するものとする。また、基底数Kは、IEEE802.11g無線LANの周波数チャネルCH01(2.412GHz)〜CH13(2.472GHz)のチャネル数に応じて「13」に設定されていたとする。また、受付部13は、周波数チャネルCH01〜CH13のそれぞれに対応する基底ベクトルを有する周波数行列Hを受け付けるものとする。
【0039】
まず、受信部11は、あらかじめ決められている周波数帯域幅(95.75MHz幅)、期間の無線信号を受信し、その受信した無線信号、すなわち、AD変換部25によるAD変換後の無線信号を取得部12に渡す(ステップS101)。すると、取得部12は、フーリエ変換を行うことによって、図4Aで示されるスペクトログラムを取得し、図示しない記録媒体に蓄積する(ステップS102)。図4Aのスペクトログラムは、周波数チャネルCH01,CH04,CH07,CH10,CH13に割り当てられた5組の無線LANアクセスポイント・ステーション間でFTPを用いた際に観測されたスペクトログラムに対応している。
【0040】
図4Bは、周波数チャネルCH01〜CH13ごとの基底ベクトルを示す図である。図4Bでは、基底ベクトルの各要素の値を周波数領域のグラフとして示している。各基底ベクトルは、無線LANの周波数チャネルCH01〜CH13のそれぞれの中心周波数を中心とする帯域幅20MHzに対応した矩形のパターンとなっている。例えば、周波数チャネルCH01の基底ベクトルは、周波数チャネルCH01に対応する帯域の要素のみが1となっており、それ以外の要素が0となっているベクトルである。なお、周波数チャネルCH01〜CH13ごとの基底ベクトルは、あらかじめ図示しない記録媒体で記憶されているものとする。
【0041】
取得部12によってスペクトログラムが取得されると、分解部14は、受付部13に周波数行列Hを受け付ける旨の指示を出す。すると、受付部13は、図示しない記録媒体で記憶されている13個の基底ベクトルを読み出し、分解部14に渡す(ステップS103)。13個の基底ベクトルを受け取ると、分解部14は、取得部12によって取得されたスペクトログラムに対応するスペクトログラム行列を構成し、非負値行列因子分解によって、そのスペクトログラム行列を、周波数行列Hと時間行列Uとに分解し、時間行列Uをチャネル利用状況取得部15に渡す(ステップS104)。図4Cは、その時間行列に含まれる、周波数チャネルCH01〜CH13ごとの係数ベクトルを示す図である。図4Cでは、係数ベクトルの各要素の値を時間領域のグラフとして示している。図4Cで示されるように、周波数チャネルCH01,CH04,CH07,CH10,CH13の各受信信号を適切に分離できていることが分かる。
【0042】
チャネル利用状況取得部15は、周波数チャネルごとの係数ベクトルの各要素の値と、あらかじめ決められた閾値とを比較することにより、周波数チャネルCH01,CH04,CH07,CH10,CH13が使用されていると判断し、その判断結果を出力部16に渡す(ステップS105)。すると、出力部16は、その判断結果を図示しないディスプレイに表示する(ステップS106)。その結果として、ユーザは、使用されている周波数チャネルを知ることができ、無線LANの今後使用するチャネルをそれら以外のチャネルに設定することなどができる。
【0043】
なお、図4Dは、図4Aで示されるスペクトログラムに応じた観測信号をバンドパスフィルタによって各周波数チャネルに分離した結果である。図4Dでは、帯域の重なる隣接チャネルへの大きな漏れ込みが見られる。したがって、バンドパスフィルタからの透過電力と閾値のみを用いて周波数チャネルの利用状況を取得することは困難である。また、周波数選択性フェージングがある場合には、隣接チャネルへの漏れ込みが不均一になるため、バンドパスフィルタを用いたチャネルの利用状況の推定はさらに困難になる。図4C図4Dとを比較することにより、周波数帯域の少なくとも一部が重複している複数の周波数チャネルについてより精度の高い利用状況を取得するためには、非負値行列因子分解による分解結果を用いた方が、バンドパスフィルタによる分離結果を用いるよりもよいことが分かる。
【0044】
また、図4Bで示されるように、一つの周波数チャネルに対応する周波数スペクトルは、通常、1個の矩形パターンを有しているが、そうでなくてもよい。例えば、スペクトル分割された受信信号の周波数チャネルに対応する基底ベクトルは、その分割数に応じた個数の矩形パターンを有していてもよい。そのスペクトル分割された受信信号は、例えば、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による無線信号であってもよい。また、例えば、各周波数チャネルに対応する基底ベクトルは、周波数チャネルに応じた周波数スペクトルを近似する矩形以外のパターンであってもよい。
【0045】
以上のように、本実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1によれば、非負値行列因子分解を行うことによって、隣接する周波数チャネルからの漏れ込みがあったり、周波数帯域の少なくとも一部が重なっていたりする場合でも、その漏れ込み等の影響を抑えて各周波数チャネルを適切に分離することができる。その結果、各周波数チャネルについて、適切な利用状況の把握が可能となる。具体的には、係数ベクトルの各要素の値と閾値とを比較することによって、各周波数チャネルの利用状況を取得することも可能となる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、チャネル利用状況取得装置1がスタンドアロンである場合について主に説明したが、チャネル利用状況取得装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、受付部13や出力部16は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0048】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0051】
また、上記実施の形態において、チャネル利用状況取得装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態におけるチャネル利用状況取得装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、受信された受信信号に関するスペクトログラムを取得する取得部、周波数領域に対応する非負値行列であり、各周波数チャネルに応じた周波数スペクトルに対応する基底ベクトルを有する行列である周波数行列を受け付ける受付部、取得部が取得したスペクトログラムに対応する非負値行列であるスペクトログラム行列を、非負値行列因子分解により、周波数行列と、時間領域に対応する非負値行列である時間行列とに分解する分解部、分解部によって分解された時間行列を用いて各周波数チャネルの利用状況を取得するチャネル利用状況取得部として機能させるためのプログラムである。
【0053】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
【0054】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0055】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0056】
図5は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0057】
図5において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0058】
図6は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図6において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0059】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0060】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態によるチャネル利用状況取得装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0061】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上より、本発明によるチャネル利用状況取得装置等によれば、各周波数チャネルの利用状況を適切に取得できるという効果が得られ、例えば、各周波数チャネルが使用されているかどうかを判断する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 チャネル利用状況取得装置
11 受信部
12 取得部
13 受付部
14 分解部
15 チャネル利用状況取得部
16 出力部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6