特許第6281821号(P6281821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281821
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】鉄道用ツーブロックまくらぎ
(51)【国際特許分類】
   E01B 3/44 20060101AFI20180208BHJP
   E01B 3/46 20060101ALI20180208BHJP
   E01B 3/48 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   E01B3/44
   E01B3/46
   E01B3/48
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-131722(P2014-131722)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-8487(P2016-8487A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
(73)【特許権者】
【識別番号】514163033
【氏名又は名称】御船 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰生
(72)【発明者】
【氏名】御船 直人
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−120044(JP,A)
【文献】 特開平06−158603(JP,A)
【文献】 特開平10−131103(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0075486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 3/44− 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて設けた左右1対の合成樹脂製のブロックに電気絶縁性を有する充填材を充填し、前記1対のブロックを鋼製の繋ぎ材で繋ぐ鉄道用ツーブロックまくらぎにおいて、前記合成樹脂製の各ブロックが、タイプレートの底面に溶着した第1の鋼製のアンカー材と、前記各ブロックの底面に取付けられる鋼板に溶着した第2および第3の鋼製のアンカー材を成形時に埋設したものであり、しかも前記第1・2・3のアンカー材が前記各ブロックに埋設された繋ぎ材部分と位置的に離間していることを特徴とする鉄道用ツーブロックまくらぎ。
【請求項2】
各合成樹脂製のブロックが、底面に鋼板を取付け、前記鋼板底面に弾性材を貼着したものであることを特徴とする請求項1の鉄道用ツーブロックまくらぎ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道線路に使用されるまくらぎに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6で示すように鉄道線路のバラスト軌道に使用されるまくらぎとして、間隔をおいて設けた二つの鉄筋コンクリート製ブロックa、aを鋼製の繋ぎ材bで繋いだ、いわゆるツーブロックまくらぎが使用されていた。
【0003】
しかも各レールc、cを軌道パットd、dに載置するとともに図示を省略した締結金具で各レールcを締結するとともに前記締結金具の下部を各鉄筋コンクリート製ブロックaに埋設し、さらに前記繋ぎ材bに連結していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】なし。
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】なし。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例は、コンクリートブロック自体の電気絶縁性が小さくなく、前記ブロック中に鉄筋が配設されており、しかも鋼製の繋ぎ材で前記二つのコンクリートブロックを繋ぎ、またレールを締結する締結金具の下部を前記ブロック中に埋設し、さらに前記繋ぎ材bに連結しており、電気絶縁が小さく、信号回路を構成するために左右のレールを絶縁することが難しかった。
【0007】
また二つのブロックがコンクリート製のため、堅く、列車通過の際のバラストとの間に強い衝撃があった。
【0008】
さらに鉄筋入りのコンクリートまくらぎは重量が大きく、設置等の作業性が悪かった。
【0009】
本発明は前記従来例の欠点を解消することを課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の手段は、間隔をおいて設けた左右1対の合成樹脂製のブロックに電気絶縁性を有する充填材を充填し、前記1対のブロックを鋼製の繋ぎ材で繋ぎ、前記合成樹脂製の各ブロックが、タイプレートの底面に溶着した第1の鋼製のアンカー材と、前記各ブロックの底面に取付けられる鋼板に溶着した第2および第3の鋼製のアンカー材を成形時に埋設したものであり、しかも前記第1・2・3のアンカー材が前記各ブロックに埋設された繋ぎ材部分と位置的に離間していることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第の手段は、第1の手段において、各合成樹脂製のブロックが、底面に鋼板を取付け、前記鋼板底面に弾性材を貼着したものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
第1の本発明によれば、電気絶縁物からなる1対のブロックにそれぞれ電気絶縁性を有する充填材を充填するので、繋ぎ材との間はそれぞれ絶縁離隔をとることができ、容易に左右レールを絶縁して信号回路を構成することができる。
【0013】
しかも鉄筋入りのコンクリートまくらぎに比べて遥かに軽量で作業性が良く、安価に製造でき、しかも強度が高い。
【0014】
特に、タイプレートおよび底部の鋼板が確実に取付けられ、しかも各ブロック内に埋設される各種のアンカー材と繋ぎ材部分とが位置的に離間しているので、電気絶縁になんら支障がない。
【0015】
の本発明によれば、第1の本発明において、左右ブロックの底面に位置する鋼板のさらに底面に緩衝手段を有し、まくらぎ底面とバラストとの間に弾性を持たせることができ、列車通過の際のバラストとの衝撃を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の全体正面図である。
図2】本発明の一方のブロックおよびこれらの附属部材および繋ぎ材の中間を省略した分解斜視図である。
図3】本発明の要部を示すA−A拡大断面図である。
図4】同上のB−B拡大断面図である。
図5】同上のC−C拡大断面図である。
図6】従来例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
間隔をおいて左右1対の合成樹脂製のブロック1、1を設ける。上記各ブロック1は電気絶縁性を有する。本合成樹脂製のブロック1、1は発泡性を有していても有していなくてもよい。具体例として発泡性ウレタン樹脂、EPDMなどである。
【0018】
各ブロック1中に電気絶縁性を有する軽量の充填材2、2、2・・・として、例えばガラス繊維を充填する。
【0019】
前記1対のブロック1、1を繋ぎ材3で繋ぐ。このとき繋ぎ材3の各端である繋ぎ材部分30を各ブロック1の長手方向において略3/4位置まで埋設する。この繋ぎ材3は本例では鋼製のアングルであるが、T型鋼材、鋼製のチャンネル材、H型の鋼材であってもよい。
【0020】
図中、符号11はレール、12はレール締結金具であり、いずれも周知のものである。
【0021】
なお本図ではタイプレート4として図示の形状のものを示したが、これも従来より周知のものであり、これら部材の詳細な説明を省略する。なおタイプレート4は平らな鋼板であってもよい。
【0022】
図1・2・4で示すようにタイプレート4の裏面には鋼製の第1のアンカー材5、5、5、5を溶接して取付け、また各ブロック1の裏面に当接する鋼板6の長手方向の端方には鋼製の第2・第3のアンカー材7、7、8、8を溶接して取付ける。
【0023】
各アンカー材5・5・5・5、7・7、8・8はクランク状で、各ブロック1への埋設時にそれぞれ対峙して離間する。その理由は各アンカー材5・7・8を位置的に繋ぎ材3に近づけることなく、接触しないようにするためである。なお各アンカー材は、鋼製丸棒を曲げたものであっても良い。
【0024】
繋ぎ材部分30、第1〜3の各アンカー材5、7、8は各ブロック1と同時成型するもので、それぞれ強固に結合され、タイプレート4は各ブロック1上面に、また鋼板6は各ブロック1下面に確実に固定する。
【0025】
鋼板6に弾性材9(例えばSBRゴムや弾性を有する各種合成樹脂)を貼着する。
【0026】
各ブロック1本体が合成樹脂であること。その内部の充填材2が電気絶縁性を有すること。各第1〜3のアンカー材が繋ぎ材と位置的に離間していること。により電気絶縁性が極めて良好であり、容易に左右レールを絶縁して信号回路を構成できるのは勿論、上記構成により既述の列車通過時のバラストとの間の強い衝撃の回避、軽量による作業性の良好が可能となるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 ブロック
2 充填材
3 繋ぎ材
4 タイプレート
5 第1のアンカー材
6 鋼板
7 第2のアンカー材
8 第3のアンカー材
9 弾性材
30 繋ぎ材部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6