(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のチャック装置では、次のような問題がある。
第1の問題は、ワークの重さが異なると、最適なチャックが困難になるということである。
例えば、軽いワークと重いワークとを貼り合わせる工程においては、軽いワークをチャックするために保持力を弱く設定したチャック装置と、重いワークをチャックするために保持力を強く設定したチャック装置を準備する。これにより、それぞれのワークに適したチャック装置を用いて、それぞれのワークを最適な保持力でチャックすることができる。
しかし、1つのチャック装置で軽いワークと重いワークの両方をチャックすることができれば、作業効率や設備コストの面で好ましい。
しかしながら、1つのチャック装置で軽いワークと重いワークの両方をチャックしようとすると、チャック装置の保持力を重いワークに合わせる必要があるため、軽いワークに対しては、過剰の力でチャックすることになる。
すなわち、
図16に示した静電チャック装置においては、重いワークWに合わせて、高電圧を吸着電極112に供給することになり、その高電圧がアーキングの原因になる。また、軽いワークWを高電圧で吸着すると、異常帯電を起こし、ワークWのデチャックが困難になる。
一方、
図17及び
図18に示した粘着チャック装置においても、同様であり、粘着パッド210,210’の粘着力を重いワークWに合わせることで、軽いワークWのデチャックが困難になるという問題がある。
【0005】
第2の問題は、ワークの形状が異なると、最適なチャックが困難になるということである。
すなわち、ある形状のワークに対しては、十分な接触面積を確保することができるチャック装置であっても、ワークの形状が異なると、十分な接触面積を確保することができなくなり、そのワークを最適な保持力でチャックすることが困難になる。
【0006】
第3の問題は、デチャック構造が、ワークにダメージを与えるおそれのある構造になっているということである。
すなわち、従来の静電チャック装置や粘着チャック装置においては、作業終了後、残留吸着力や粘着力が、ワークに働くため、ワークをリフトピンやエアパージを用いてデチャックする構造になっている。しかし、静電チャック装置や粘着チャック装置においては、ワークの全面が静電吸着層や粘着パッドに吸着、粘着しているので、このワークをデチャックするには、相当の力を、リフトピンやエアパージを通じてワークに加える必要がある。このように、ワークに過剰の力を加えてデチャックしようとすると、ワークを傷つけるだけでなく、チャック装置自体をも傷つけてしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、ワークの重さや形状に拘わらず、ワークを最適な保持力でチャックすることができると共に、ワークにダメージを与えることなくデチャックすることができるチャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ベースと、このベースの表面に貼り付けられ且つその表面に当接されたワークを保持するためのチャック層とを備えるチャック装置であって、ベースを、同心円状に配列された複数の可動部材で構成し、複数のアクチュエータによって、複数の可動部材を円心軸に沿ってそれぞれ独立に上下動可能にし、チャック層を、隣の可動部材表面に渡らないようにして、各可動部材の表面に全面的に又は部分的に貼り付け、チ
ャック層を、複数の可動部材のうち1つの可動部材にのみ貼り付けずに、当該可動部材をデチャック用の可動部材とした構成とする。
かかる構成により、重いワークをチャックする場合には、複数のアクチュエータによって、複数の可動部材の全てを上昇させ、全ての可動部材の表面高さを同一にする。これにより、可動部材表面のチャック層の全面が、同一高さになる。
かかる状態で、チャック装置を逆さにし、ワークを下向きのチャック層の表面に当接させると、ワーク全面がチャック層に接触することになる。
したがって、ワークが重い場合にあっても、ワーク全面がチャック層に接触するので、ワークがチャック層によって最適な保持力でチャックされ、落下することはない。
一方、軽いワークをチャックする場合には、複数の可動部材のうち一部の可動部材を上昇させ、これらの可動部材の表面高さを同一にする。
かかる状態で、チャック装置を逆さにし、ワークを下向きのチャック層の表面に当接させると、ワークの面の一部が、上昇した可動部材の表面に位置するチャック層に接触することになる。
したがって、ワークとチャック層との接触面積が小さくなるので、ワークが軽い場合にあっても、ワークに対して過剰の保持力は働かず、ワークがチャック層によって最適な保持力でチャックされることとなる。
【0009】
また、平坦な形状のワークをチャックする場合には、複数の可動部材を全て上昇させておく。これにより、ワーク全面をチャック層に接触させることができ、平坦な形状のワークを最適な保持力でチャックすることができる。
そして、形状の異なるワークをチャックする場合には、各ワークの形状に合わせて、複数の可動部材の高さを異ならしめる。これにより、ワークとチャック層との十分な接触面積を確保することができ、形状の異なるワークに対しても最適な保持力でチャックすることができる。
【0010】
さらに、ワークをデチャックする場合には、複数の可動部材のうち、中心又は外周に近い可動部材を上下動させることにより、ワークとチャック層との間に隙間を形成する。これにより、作業終了後、リフトピンやエアパージによって、ワークを軽く押すだけで、ワークを、傷つけることなく、デチャックすることができる。
【0011】
また、複数の可動部材の全てを上昇させて、全ての可動部材の表面高さを同一にすることにより、ワークとチャック層との接触面積を最大にすることができる。
また、複数の可動部材のうち一部の可動部材を上昇させることにより、ワークとチャック層との接触面積を調整することができる。
また、チャック層を一部の可動部材の表面に部分的に貼り付けておくことにより、ワークとチャック層との接触面積をより細かく調整することができる。
さらに、作業終了後、チャック層が貼り付けられていない可動部材のみを上昇させることで、ワークをデチャックすることができる。このとき、可動部材の表面が平坦であり、リフトピン等と比べて、ワークとの接触面積が広い。このため、この可動部材を上昇させることで、ワークを傷つけることなく、デチャックすることができる。
【0012】
請求項2の発明は、ベースと、このベースの表面に貼り付けられ且つその表面に当接されたワークを保持するためのチャック層とを備えるチャック装置であって、ベースを、同心円状に配列された複数の可動部材で構成し、複数のアクチュエータによって、複数の可動部材を円心軸に沿ってそれぞれ独立に上下動可能にし、1
枚のチャック層を、ベースの表面全面に渡って貼り付けた構成とする。
かかる構成により、複数の可動部材を上下動させることで、チャック層全体を可動部材の高さに対応した形状に撓ませることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請
求項1又は請求項2に記載のチャック装置において、チャック層は、所定の電圧が印加可能な吸着電極とこの吸着電極を被覆した誘電体とを有し、当該誘電体表面に載置されたワークを吸着電極への通電時に生じる静電気力で吸着可能な静電吸着層である構成とした。
かかる構成により、静電吸着層の吸着電極に通電することで、ワークのうち、この静電吸着層に接触している部分のみを静電気力によって吸着することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請
求項1又は請求項2に記載のチャック装置において、チャック層は、表面に載置されたワークをその自己粘着力によって保持可能な粘着パッドである構成とした。
かかる構成により、ワークのうち粘着パッドに接触している部分のみを粘着パッドに粘着させることができる。
【0015】
請求項5の発明は、ベースと、このベースの表面に貼り付けられ且つその表面に当接されたワークを保持するためのチャック層とを備えるチャック装置であって、ベースを、同心円状に配列された複数の可動部材で構成し、複数のアクチュエータによって、複数の可動部材を円心軸に沿ってそれぞれ独立に上下動可能にし、チャック層を、隣の可動部材表面に渡らないようにして、各可動部材の表面に全面的に又は部分的に貼り付け、複
数の可動部材のうち一部の可動部材の表面に貼り付けられているチャック層を、所定の電圧が印加可能な吸着電極とこの吸着電極を被覆した誘電体とを有し、当該誘電体表面に載置されたワークを吸着電極への通電時に生じる静電気力で吸着可能な静電吸着層で形成し、他の可動部材の表面に貼り付けられているチャック層を、表面に載置されたワークをその自己粘着力によって保持可能な粘着パッドで形成した構成とする。
かかる構成により、ワークのうち静電吸着層に接触している部分のみを静電気力によって吸着することができ、粘着パッドに接触している部分のみを粘着パッドに粘着させることができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載のチャック装置において、
チャック層を、複数の可動部材のうち1つの可動部材にのみ貼り付けずに、当該可動部材をデチャック用の可動部材とした構成とする。
【発明の効果】
【0017】
以上詳しく説明したように、この発明のチャック装置によれば、複数の可動部材の一部を上下動させることにより、ワークとチャック層との接触面積を、ワークの重さや形状に合わせて変化、調整することができるので、ワークの重さや形状に拘わらず、ワークを最適な保持力でチャックすることができるという優れた効果がある。
また、作業終了後、所定の可動部材を上下動させて、ワークとチャック層との間に部分的な隙間を形成することができるので、ワークを傷つけることなく、容易にデチャックすることができるという優れた効果もある。
さらに、リフトピンやエアパージ等を用いることなく、ワークを安全にデチャックすることができるので、部品点数の削減を図ることができ、この結果、製品のコストダウンを図ることができるという効果がある。
【0018】
また、
請求項2の発明に係るチャック装置によれば、チャック層全体を可動部材の高さに対応した形状に撓ませることができるので、チャック層が、ワークの形状に沿って密着し、ワークをより最適な保持力でチャックすることができるという効果がある。
【0019】
さらに、
請求項1〜請求項6の発明に係るチャック装置によれば、ワークを、静電吸着層の静電気力や粘着パッドの粘着力によって、全面的に又は部分的に保持することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は、この発明の第1実施例に係るチャック装置を示す概略平面図であり、
図2は、第1実施例のチャック装置の概略断面図である。
図1に示すように、この実施例のチャック装置は、ベース1とチャック層2とを備えている。
【0023】
ベース1は、アルミニュウム等で形成された基材であり、同心軸Oを中心に、同心円状に配列された4つの可動部材11〜14で構成されている。
具体的には、最内の可動部材11が平面視において円形状に形成され、可動部材11の外側の3つの可動部材12〜14がリング状に形成されている。これらの可動部材11〜14は、
図2に示すように、独立に同心軸Oに沿って上下動可能に組み付けられており、4つのアクチュエータ31〜34によって上下(
図2の上下方向)に駆動されるようになっている。
詳しくは、アクチュエータ31がアーム31aによって可動部材11を支持し、アクチュエータ32がアーム32aによって可動部材12を支持し、アクチュエータ33がアーム33aによって可動部材13を支持し、アクチュエータ34がアーム34aによって可動部材14を支持しており、アクチュエータ31〜34が、アーム31a〜34aを上下動することによって、可動部材11〜14を上下に駆動する。
なお、アクチュエータ31〜34は、実施例の理解を容易にするため、模式的に表されているが、これらはシリンダ等の周知のアクチュエータであるので、その詳細な記載は省略する。
【0024】
チャック層2は、その表面に当接されたワークを保持するための層体であり、ベース1の表面に貼り付けられている。
この実施例では、チャック層2を、静電吸着層21と粘着パッド22,24とで構成した。具体的には、円形の静電吸着層21を、可動部材11の表面全面に貼り付け、リング状の粘着パッド22,24を、可動部材12,14の表面全面にそれぞれ貼り付けた。そして、可動部材13の表面全面には、非粘着パッド23を貼り付けた。
【0025】
静電吸着層21は、
吸着電極25と、吸着電極25を被覆した誘電体26とで成り、スイッチ28をオンすることで、電源27の電圧を
吸着電極25に印加することができる。
また、粘着パッド22,24は、その自己粘着力によってワークを保持可能なパッドであり、例えばシリコンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴム等を素材としたパッドである。
なお、チャック装置の初期状態では、可動部材11〜14の高さが同一に設定され、静電吸着層21,パッド22〜24の表面が面一になるように設定されている。
【0026】
次に、この実施例のチャック装置が示す作用及び効果について説明する。
図3は、ワークを全面保持した状態を示す概略断面図であり、
図4は、ワークを部分的に保持した状態を示す概略断面図である。
重いワークWをチャックする場合には、
図3に示すように、ワークWを、面一状態になっている静電吸着層21及びパッド22〜24上に載置する。すると、ワークWの裏面全面が、静電吸着層21及びパッド22〜24に当接した状態になる。この状態で、スイッチ28をオンにして、電源27の電圧を静電吸着層21の
吸着電極25に印加すると、ワークWの中央部が静電気力によって静電吸着層21に吸着される。これと並行して、ワークWの外側部分が粘着パッド22,24によって粘着され、ワークWのほぼ全面がチャック層2によって保持された状態になる。このため、ワークWは、このチャック装置が持つ最大保持力によってチャックされることになる。
したがって、チャック装置を逆さにして、重いワークWを下向きの静電吸着層21及びパッド22〜24に当接させると、ワークWは、落下することなく、チャック層2による最適な保持力でチャックされることとなる。
【0027】
軽いワークWをチャックする場合には、
図4に示すように、可動部材14のみをアクチュエータ34によって上昇させる。これにより、ワークWを、チャック装置に載置させると、ワークWが可動部材14の粘着パッド24にのみ接触することとなり、ワークWとチャック層2との接触面積が小さくなる。
したがって、チャック装置を逆さして、軽いワークWを下向きの粘着パッド24に当接させると、ワークWは、過剰な力を受けることなく、ワークWによって最適な保持力でチャックされることとなる。
【0028】
図5は、ワークWを静電吸着層21でのみ保持した状態を示す概略断面図であり、
図6は、ワークWを粘着パッド22,24でのみ保持した状態を示す概略断面図である。
ワークWのサイズが小さい場合には、
図5に示すように、可動部材11のみをアクチュエータ31によって上昇させ、静電吸着層21の
吸着電極25を通電状態にすることで、小サイズのワークWを最適な保持力でチャックすることができる。
また、ワークWを、粘着パッド22,24でのみ保持する場合には、
図6に示すように、可動部材12,14をアクチュエータ32,34によって上昇させることにより、ワークWを粘着パッド22,24による最適な粘着力でチャックすることができる。
【0029】
図7は、形状の異なるワークWを保持する方法を示す概略断面図である。
図7の(a)に示すように、上面に凸部Waを有するワークWを下面Wb側で保持する場合には、ワークWとチャック層2との間に、十分な接触面積を確保することができる。
しかし、
図7の(b)に示すように、凸部Waがある上面側でワークWを保持しようとすると、ワークWとチャック層2との間に十分な接触面積を確保することができない。
したがって、このような場合には、
図7の(c)に示すように、可動部材12〜14をアクチュエータ32〜34によって上昇させる。これにより、凹部を可動部材11の上に形成することができるので、凸部Waをこの凹部内に嵌めるようにして、ワークWをチャック層2に当接させることにより、ワークWと静電吸着層21及びパッド22〜24との間に十分な接触面積を確保することができる。
つまり、可動部材11〜14の高さを異ならしめることにより、チャック層2の形状をワークWの形状に対応した形状に変化させることができるので、形状の異なるワークWであっても、1つのチャック装置によって、最適な保持力でチャックすることができる。
【0030】
図8は、デチャック状態を示す概略断面図である。
ワークWを全面保持した状態のチャック装置(
図3参照)において、ワークWをデチャックする場合には、
図8に示すように、スイッチ28をオフにして、
吸着電極25への通電を停止すると共に、可動部材13をアクチュエータ33によって上昇させる。
これにより、ワークWは、非粘着パッド23を有した可動部材13によって、静電吸着層21及びパッド22,24から引き剥がされた状態になる。
このとき、可動部材13の表面は、平坦なリング状をなしているので、先の尖ったリフトピン等と比べて、ワークWとの接触面積が広い、このため、この可動部材13が、その上昇時に、ワークWを傷つけることはない。
【0031】
(実施例2)
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図9、この発明の第2実施例に係るチャック装置を示す概略断面図である。
図9に示すように、この実施例のチャック装置は、粘着パッド21’を可動部材11の表面に貼り付けることにより、チャック層2を全て粘着パッド21’,22,24で構成した。
かかる構成により、チャック装置の構造を単純化することができ、この結果、製品のコストダウンを図ることができる。
その他の構成,作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
なお、この実施例では、チャック層2を全て粘着パッドで構成したが、チャック層2を全て静電吸着層21で構成することもできることは勿論である。
【0032】
(実施例3)
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図10は、この発明の第3実施例に係るチャック装置を示す概略断面図である。
図10に示すように、この実施例のチャック装置では、粘着パッド21’を可動部材11の表面に貼り付けることにより、チャック層2の全てを粘着パッド21’,22,24で構成するだけでなく、粘着パッド22,24を可動部材12,14の表面に部分的に貼り付けた。
具体的には、複数の円形の粘着パッド22を可動部材12の表面に一定間隔で貼り付けると共に、複数の円形の粘着パッド24を可動部材14の表面に一定間隔で貼り付けた。
すなわち、この実施例のチャック装置では、小面積の粘着パッド22,24が、可動部材12,14に複数貼り付けられており、これにより、ワークWとチャック層2との接触面積をより細かく調整することができる。
また、この実施例では、複数の粘着パッド22,24をエンボス状にベース1の表面に貼り付けることにより、ワークWとの接触面積を小さくして、チャック時に受けるワークWのダメージを小さくしている。
その他の構成,作用及び効果は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
なお、この実施例では、粘着パッド21’を可動部材11の表面に貼り付けたが、粘着パッド21’の代わりに、静電吸着層21を可動部材11に貼り付けた構成のチャック装置も、この実施例のチャック装置とほぼ同様の作用及び効果を奏する。
【0033】
(変形例)
図11は、チャック装置のチャック層2に関する変形例を示す概略平面図である。
上記第1〜第3実施例では、可動部材11〜14のうち、1つの可動部材13をデチャック用の部材としたチャック装置を例示したが、この発明では、
図11に示すように、デチャック用の部材を有しないチャック装置も提示することができる。
【0034】
例えば、
図11の(a)に示すように、各粘着パッド21’,22,23’,24を各可動部材11〜14の表面全面に貼り付けて、チャック装置を構成することができる。
なお、この変形例において、静電吸着層を各可動部材11〜14の表面全面に貼り付けて、チャック装置を構成することもできる。
【0035】
また、
図11の(b)に示すように、複数の円形の粘着パッド21’,22,23’,24を、各可動部材11〜14の表面に部分的に貼り付けて、チャック装置を構成することもできる。
【0036】
さらに、
図11の(c)に示すように、静電吸着層21を可動部材11の表面全面に貼り付けると共に、粘着パッド22,23’,24を可動部材12〜14の表面全面に貼り付けて、チャック装置を構成することもできる。
【0037】
また、
図11の(d)に示すように、静電吸着層21を可動部材11の表面全面に貼り付けると共に、複数の円形の粘着パッド22,23’,24を各可動部材12〜14表面に、一定間隔で貼り付けることにより、チャック装置を構成することができる。
【0038】
(実施例4)
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図12は、この発明の第4実施例に係るチャック装置を示す概略断面図であり、
図13は、保持力の調整状態を示す概略断面図である。
【0039】
図12に示すように、この実施例のチャック装置は、チャック層としての1枚の粘着パッド2’を、ベース1の表面全面に渡って貼り付けた構成をとっている。
具体的には、1枚の粘着パッド2’を、可動部材11〜14の表面全面に渡って貼り付けた。
これにより、
図13に示すように、可動部材11〜14を上下動させることで、ワークWに対する保持力を調整することができる。
また、可動部材11〜14を上下動させることで、粘着パッド2’全体をワークWの形状に対応させて撓ませることができるので、ワークWの表面に凹凸がある場合においても、ワークWの形状に対応した最適な保持力でワークWをチャックすることができる。
【0040】
図14は、デチャック状態を示す概略断面図である。
この実施例のチャック装置によれば、
図14の(a)に示すように、可動部材12〜14を上昇させ、可動部材14を最も高く位置させることで、ワークWの中央部と粘着パッド2’との間に隙間G1を形成することができる。また、
図14の(b)に示すように、可動部材12〜14を下降させ、可動部材11を最も高く位置させることで、ワークWの外周部と粘着パッド2’との間に隙間G2を形成することができる。これにより、リフトピンやエアパージを用いて、ワークWを軽く押し上げることにより、ワークWを、傷つけることなく、安全且つ容易にデチャックすることができる。
その他の構成,作用及び効果は、上記第1〜第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
また、この実施例では、チャック層として、1枚の粘着パッド2’を適用したが、チャック層として、1枚の静電吸着層21を可動部材11〜14全面に貼り付けた構成のチャック装置も、この実施例のチャック装置とほぼ同様の作用及び効果を奏する。
【0041】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記第1〜第3実施例では、チャック層2を構成する静電吸着層21及びパッド21’,22,23’,24が、隣の可動部材の表面に渡らないように、各可動部材11〜14の表面に、全面的に又は部分的に貼り付けたチャック装置を例示した。
しかし、
図15に示すように、チャック層2を構成する粘着パッド22,24が、隣の可動部材の表面に渡るように貼り付けたチャック装置も、この発明の範囲に含まれることは勿論である。