【文献】
CATT,Considerations on UL RS enhancement for CoMP transmission,3GPP TSG-RAN WG1#67, R1-113735,「http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/」,2011年11月 8日
【文献】
CATT,DL Reference Signal Enhancement for CoMP Transmission,3GPP TSG-RAN WG1#66b, R1-112960,「http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_66b/Docs/」,2011年10月 4日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端末個別のシグナリングに含まれるパラメータにより決定されるベース系列グループが取りうる範囲は、前記セルに割り当てられたベース系列グループが取りうる範囲と重ならない、
請求項1に記載の無線通信端末。
前記端末個別のシグナリングに含まれるパラメータはセルの配置に合わせて選択され、前記パラメータを用いて決定されるベース系列グループは、前記セルに割り当てられたベース系列グループとは重ならない、
請求項1に記載の無線通信端末。
前記端末個別のシグナリングに含まれるパラメータにより決定されるベース系列グループが取りうる範囲は、前記セルに割り当てられたベース系列グループが取りうる範囲と重ならない、
請求項10に記載の通信方法。
前記端末個別のシグナリングに含まれるパラメータはセルの配置に合わせて選択され、前記パラメータを用いて決定されるベース系列グループは、前記セルに割り当てられたベース系列グループとは重ならない、
請求項10に記載の通信方法。
新たに端末個別のシグナリングを受信した場合、前記制御工程では、前記新たに受信した端末個別のシグナリングに基づいて、前記決定されたベース系列グループを更新する、
請求項10に記載の通信方法。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project Radio Access Network)にて策定されたLTE(Long Term Evolution)Rel.8(Release 8)では、上り回線の通信方式としてPAPR(peak-to-average power ratio)が小さく、端末装置(UEとも記す)の電力利用効率が高いSC−FDMA(single-carrier frequency-division multiple-access)が採用されている(非特許文献1、2、3を参照)。
【0003】
LTEの上り回線では、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel:物理上り共用チャネル)のデータ信号およびPUCCH(Physical Uplink Control Channel:物理上り制御チャネル)の制御信号のいずれも、送信はサブフレーム単位で行われる(非特許文献1を参照)。
【0004】
各サブフレームは2つの時間スロットからなり、それぞれの時間スロットには複数のSC−FDMAシンボルと、基準信号の1つであるDMRS(demodulation reference signal(復調用基準信号、DRSとも略される))が時間多重される。通常サイクリックプレフィクス(Normal cyclic prefix)が適用されたPUSCHのサブフレーム構成の例を
図1に示す。
【0005】
基地局では、PUSCHのデータ信号を受信するとDMRSを用いてチャネル推定を行う。その後チャネル推定結果を用いて、SC−FDMAシンボルの復調および復号を行う。なお、LTE−A(LTE-Advanced)Rel.10(Release 10)ではSC−FDMAの拡張版であるDFTS−OFDM(discrete-Fourier-transform spread orthogonal frequency division multiplexing)も可能となった。これは
図1のように得られたPUSCHのデータ信号を2つのスペクトルに分割し、異なる周波数にマッピングすることでスケジューリングの自由度を拡大する方法であり、PUSCHの構成自体はSC−FDMAと変わらない。
【0006】
一方、PUCCHの制御信号には複数のフォーマットがあり、それぞれPUSCHとは異なるサブフレーム構成を有する(非特許文献1を参照)。いずれのフォーマットもサブフレームは2つのスロットからなり、各スロットは複数のSC−FDMAシンボルと複数のDMRSから構成されている。PUCCHの制御信号は、PUSCHのデータ信号と同様に、DMRSを用いたチャネル推定結果をもとに復調が行われる。
【0007】
PUSCH、PUCCHで送信された情報を正しく復号するためには、DMRSによる高精度なチャネル推定が不可欠である。LTE−AのRel.10では、同一セルに接続する異なるUEのDMRSに異なる巡回シフト(CS:Cyclic shift、位相回転と同等)または直交符号(OCC:Orthogonal cover Code(直交カバー符号とも言う))を割り当てて送信させることで、これらのDMRSを直交多重および直交分離することができる。
【0008】
一方、異なるセルに接続する異なるUEが送信したDMRSは分離することができない。したがってセル間の干渉を抑えて高精度なチャネル推定を行うためには、異なるセルでは相関の小さい異なる信号系列を用いることが必要である。
【0009】
そこで、LTE−AのRel.8−10では、互いに相関が小さい30組の相異なるベース系列グループを規定し、これらをセルごとに割り当てている。また、干渉の大小が不均一に生じるのを避けるため、時間スロットごとに使用する系列グループを変えていく系列グループホッピングが導入されている。
【0010】
なお、ベース系列グループとは、複数の系列長の複数の基本系列(base sequence)で構成されるグループを示す。また、系列グループとは、1つのベース系列グループ中の全基本系列について、各基本系列を巡回シフトさせて得られる複数の信号系列を集合させたグループを示す。よって、セルにベース系列グループを割り当てるということは、それに対応する系列グループをセルに割り当てるということと同意である。
【0011】
図2には、各セルに割り当てられる系列グループの特徴を説明する図を示す。
【0012】
例えば、セル固有の識別ID(セルID番号)がN
cell IDのセルにおいては、第n
sスロットで、次式で与えられる番号の系列グループが割り当てられる。
【0013】
【数1】
ここで、f
gh(n
s)は、N
cell ID/30の小数点以下を切り捨てた整数値を初期値とするPN(pseudo-random)系列より定まる系列グループで表わされるホッピングパターンである。N
cell IDは、0〜503の整数で与えられる。
【0014】
オフセットf
ssは次式で定まる整数であり、セルごとに与えられる。
【0015】
【数2】
ただし、Δ
ssは、セル固有のパラメータとしてUEに通知される、0〜29いずれかの整数である。なお、系列グループホッピングはセル単位またはUE単位でOFFにする(すなわち、f
gh(n
s)=0とする)ことも可能である。
【0016】
以上のことから、次のことが分かる。
【0017】
1.システムを構成する多数のセルは、504個の異なるN
cell IDに応じて、30個の系列グループを異なるセルで繰り返し使用している。
【0018】
2.N
cell IDが連続する30個のセル間では系列ホッピングパターン(f
gh(n
s))が同一であり、N
cell IDが30以上離れたセル間では系列グループのホッピングパターンが異なる。ホッピングパターン(f
gh(n
s))が同一のセル群はセルクラスタを構成する。
【0019】
3.1つのセルクラスタ内では、原則としてセルごとにオフセットf
ssが異なる。つまり、共通の系列グループホッピングパターンに対し、セル固有の系列オフセットf
ssを与えて用いることに等しい。
【0020】
図3に系列グループホッピングの一例を示す。
図3には、N
cell ID=0〜29のセルクラスタで用いられる系列グループのホッピングパターンを示している。また、簡単にするため、すべてのセルでΔ
ss=0としている。
【0021】
図3に示されるように、1つのセルクラスタ内では、ホッピングパターンが共通であるが、N
cell IDの値に応じて異なる系列オフセットが与えられている。したがってセルクラスタ内では、異なるセル間で常に異なる系列グループが用いられる。また、異なるセルクラスタ同士では、ホッピングパターンそのものが異なる。したがって、異なるセルクラスタのセル同士では、系列グループが重複して干渉が大きくなることがあっても、それが複数スロットにわたって連続することはない。
【0022】
なお、このようにセルごとに割り当てられたベース系列グループは、DMRSの他、基準信号の1つである上りリンクのSRS(sounding reference signal:サウンディング基準信号)、ならびに、PUCCHの変調などにも用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本実施の形態の通信システムは、多数の地点に分散配置される複数のRP10と、各地を自由に移動する複数の端末装置20とを含んで構成される。複数のRP10は、各マクロセルがUEの移動範囲のほぼ全域を覆うように、多数の地点に配置される。各マクロセルには、504通りのセルID(N
cell ID=0〜503)が付与され、30個ずつ連なったマクロセルがグループ化されて複数のセルクラスタを構成する。なお本実施の形態は、マクロセルだけでなく配置されたRP10それぞれに対して異なるセルIDを付与するCoMPシナリオ3の場合でも、全く同様にして適用できる。
【0037】
また、本実施の形態の通信システムは、1つの端末装置20の周辺にのみ注目すれば、マクロセル内の1つまたは複数のRP10と、端末装置20とから構成される。ここで、RP10が複数ある場合には、複数のRP10は光ファイバなど低遅延大容量のインターフェースで接続される。RP10はマクロセルの範囲をカバーするマクロ基地局であっても、ピコセルの範囲をカバーするピコ基地局であってもよい。また、RP10は、ネットワークに接続され上り回線の受信に用いられる受信機であってもよい。端末装置20とPUSCHの送受信を行うRP10とは、事前のハンドオーバ処理および事前の制御処理によって互いに決定される。
【0038】
[RP10(基地局)の構成]
図7は、本発明の実施の形態のRP10の主要部を示す機能ブロック図である。
【0039】
本実施の形態のRP10は、
図7に示すように、アンテナ101と、アンテナ101を介して無線信号を受信する無線受信部104と、受信信号からDMRSを抽出する基準信号抽出部12と、抽出されたDMRSを用いてデータ信号から受信データを取り出す受信信号処理部13とを備えている。さらに、RP10は、送信データを無線送信用の信号に変換してアンテナ101経由で無線送信する送信処理部11を備えている。
【0040】
基準信号抽出部12は、端末装置20がセルに割り当てられている系列グループのDMRSを送信している場合には、この信号系列のDMRSを無線信号から抽出する。また、基準信号抽出部12は、端末装置20がセルに割り当てられたものとは別の系列グループのDMRSを送信している場合には、この別の系列グループに従ったDMRSを無線信号から抽出する。この別の系列グループの割り当て方法については、後に詳述する。
【0041】
受信信号処理部13は、抽出されたDMRSからチャネル推定を行い、このチャネル推定結果を使用して端末装置20から受信される信号から受信データを取り出す。
【0042】
図8は、本発明の実施の形態のRP10の詳細を示すブロック図である。
【0043】
RP10は、具体的には、
図8に示すように、アンテナ101と、無線送信部102と、スケジューリング情報生成部103と、無線受信部104と、CP除去部105と、FFT部106と、デマッピング部107と、分離部108と、等化部109、RP間IF(PR間インターフェース)110と、チャネル推定部111と、制御部112と、IDFT部113と、復調部114と、デスクランブル部115と、復号部116と、判定部117と、再送制御部118とを備える。RP10は、端末から送信されたPUSCHのデータ信号およびPUCCHの制御信号を受信する。
【0044】
これらのうち、CP除去部105、FFT部106、デマッピング部107および分離部108が、
図7の基準信号抽出部12として機能する。また、CP除去部105、FFT部106、デマッピング部107および分離部108、等化部109、RP間IF110、チャネル推定部111、制御部112、IDFT部113、復調部114、デスクランブル部115、復号部116、判定部117および再送制御部118が、
図7の受信信号処理部13として機能する。また、スケジューリング情報生成部103および無線送信部102が、
図7の送信処理部11として機能する。
【0045】
続いて、各部の詳細について説明する。
【0046】
制御部112は、DMRSに用いられたベース系列の情報と、データのスクランブリングに用いられたスクランブル系列の情報とを、それぞれチャネル推定部111とデスクランブル部115とに送る。具体的には、制御部112は以下の処理を行う。
【0047】
制御部112は、端末装置20が送信したPUSCHのデータ信号に多重されたDMRSに用いられたベース系列を生成し、チャネル推定部111に送る。
【0048】
端末装置20で用いられるベース系列が、セルに割り当てられたものであるか、端末個別のシグナリングで割り当てられたものであるかについては、あらかじめネットワークで決定され、端末装置20に通知されている。ネットワークとは、全RP10と通信システムを制御する複数の制御装置とが有線接続されるネットワーク全体を示す。この通知は当該RP10が行っても良いし、ネットワークに接続する他のRP10が行っても良い。また、この通知は端末個別のRRC(Radio Resource Control)制御情報として通知しても良いし、MAC(Media Access Control)ヘッダに含めて通知しても良い。あるいは、この通知は下り回線で送信される制御信号(PDCCH)で通知しても良い。なお、端末装置20には、個別にベース系列を割り当てる場合にのみ通知が行われ、通知が行われない場合には、セルに割り当てられたベース系列が用いられるようにしてもよい。
【0049】
端末個別のシグナリングにより割り当てられるベース系列が、当該RP10が決定および通知した系列であった場合、当該RP10は、この情報をRP間IF110経由で他のRP10に通知する。一方、他のRP10が決定および通知した系列であった場合、当該RP10は、この情報をRP間IF110経由で他のRP10から受信する。よって、制御部112は、端末装置20で用いられるベース系列を知ることができる。
【0050】
また、制御部112は、データのスクランブリングに用いられたスクランブル系列を生成し、デスクランブル部に送る。用いるスクランブル系列が、セルに割り当てられたものであるか、端末個別のシグナリングで割り当てられたものであるかについては、あらかじめネットワークで決定され、端末装置20に通知されている。この決定および通知は当該RP10が行っても良いし、ネットワークに接続する他のRP10が行っても良い。また、この通知は端末個別のRRC(Radio Resource Control)制御情報として通知しても良いし、MACヘッダに含めても良い。あるいは下り回線で送信される制御信号(PDCCH)で通知しても良い。なお、特に通知がない場合には、端末装置20はセルに割り当てられたスクランブル系列を用いる。
【0051】
端末個別にシグナリングされるスクランブル系列が、当該RP10が端末装置20に決定および通知した系列であった場合、当該RP10は、その情報をRP間IF110経由で他のRP10に通知する。一方、他のRP10が端末装置20に決定および通知したスクランブル系列であった場合、当該RP10は、その情報をRP間IF110経由で他のRP10から受信する。よって、制御部112は、データのスクランブリングに用いられたスクランブル系列を知ることができる。
【0052】
スケジューリング情報生成部103は、無線送信部102およびアンテナ101を介して、端末装置20にPUSCHの帯域幅および周波数ポジションを制御信号(PDCCH)に含めて指示する。帯域幅および周波数ポジションの決定のことを周波数マッピングと呼ぶ。周波数マッピングの指示は当該RP10が行っても良いし、ネットワークに接続する他のRP10が行っても良い。
【0053】
スケジューリング情報生成部103は、周波数マッピングの情報が、当該RP10が端末装置20に決定および通知した情報であった場合、その情報をRP間IF110経由で他のRP10に通知する。一方、他のRP10が端末装置20に決定および通知した情報であった場合、スケジューリング情報生成部103は、その情報をRP間IF110経由で他のRP10から受信する。
【0054】
スケジューリング情報生成部103は、上記の周波数マッピングの情報をデマッピング部107に送る。
【0055】
無線受信部104は、端末から送信されたPUSCHのデータ信号をアンテナ経由で受信し、ダウンコンバートおよびA/D変換等の受信処理を行う。
【0056】
CP除去部105は、PUSCHのDMRSおよびデータ信号に付加されているCP(Cyclic Prefix)を除去し、除去後の信号をFFT部106へと送る。
【0057】
FFT部106は、PUSCHのDMRSおよびデータ信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)を適用し、周波数領域の信号へと変換したのち、変換後の信号をデマッピング部107へ送る。
【0058】
デマッピング部107は、入力された周波数領域PUSCHをスケジューリング情報に従ってデマッピングする。
【0059】
分離部108は、デマッピング部107から入力されたPUSCHの信号から時間多重されているDMRSとデータ信号とを分離し、これらをチャネル推定部111と等化部109とにそれぞれ送る。
【0060】
チャネル推定部111は、制御部112から入力されたベース系列情報と分離部108から入力された受信DMRSを用いて、チャネル推定を行う。そして、チャネル推定部111は、チャネル推定結果を等化部109へ送る。
【0062】
すなわち、等化部109は、チャネル推定部111から入力されたチャネル推定結果を用いて、分離部108から入力されたデータ信号を等化する。これは受信に参加するRP10それぞれが単独で行っても良いし、複数のRP10で得られたチャネル推定結果とデータ信号とをRP間IF110経由で送受信し、受信に参加するRP10のうち単一RP10が行っても良い。
【0063】
受信に参加するRP10各々が単独で等化を行う場合、等化部109は、分離部108の出力をRP間IF110経由で送受信し、受信に参加するRP10のいずれかのRP10に結果を集約する。一方、複数のRP10で得られたチャネル推定結果とデータ信号とをRP間IF110経由で送受信し、受信に参加するRP10のうち単一RP10が等化を行う場合、等化部109は、集約された複数のチャネル推定結果と複数の受信データ信号とを用いて等化を行う。
【0064】
上記いずれの場合でも、受信に参加するRP10のうち単一のRP10の等化部109は等化出力を得る。等化部109は、等化出力された信号をIDFT部113へ出力する。
【0065】
IDFT部113は、等化された周波数領域データ信号を時間領域のデータシンボル系列へと変換し、このデータシンボル系列を復調部114へ送る。
【0066】
復調部114は、入力信号に対してデータ復調を行い、ビット系列を得てデスクランブル部115へ出力する。
【0067】
デスクランブル部115は、制御部112から入力されたスクランブル系列の情報をもとに、復調部114からの入力ビット系列に対してデスクランブルを行う。そして、デスクランブル後のビット系列を復号部116へ出力する。
【0068】
復号部116は、入力ビット系列に対して誤り訂正復号を行い、復号後のビット系列を判定部117へ出力する。
【0069】
判定部117は、入力されたビット系列に対し、誤り検出を行う。誤り検出は、ビット系列に付加されたCRCビットを用いて行われる。CRCビットの判定結果が誤りなしならば、判定部117は、受信データを取り出して、再送制御部118にACK(Acknowledgement)を通知する。一方、CRCビットの判定結果が誤りありならば、判定部117は再送制御部118にNACK(Negative Acknowledgement)を通知する。
【0070】
再送制御部118は、誤りが検出されたビット系列のデータ信号について再送制御を行う。
【0071】
[端末装置20の構成]
図9は、本発明の実施の形態の端末装置20の主要部を示す機能ブロック図である。
【0072】
本実施の形態の端末装置20は、
図9に示すように、アンテナ201と、DMRSの生成に使用する系列グループを決定する系列決定部22と、決定された系列グループを使用してDMRSを生成するDMRS生成部203と、送信データと生成されたDMRSとから無線送信用の信号を生成して無線送信を行う送信処理部23とを備えている。さらに、端末装置20は、RP10から送られてくる無線信号を受信して受信データを取り出す受信処理部24を備えている。
【0073】
系列決定部22は、セルに割り当てられた系列グループの使用を指示されているときには、この系列グループを、DMRSを生成する系列グループとして決定する。一方、系列決定部22は、セルに割り当てられたものとは別の系列グループの使用を指示されているときには、この別の系列グループを、DMRSを生成する系列グループとして決定する。この別の系列グループの決定方法、および、何れを使用するかの指示については、後に詳述する。
【0074】
DMRS生成部203は、系列決定部22で決定された系列グループのDMRSを生成して送信処理部23へ送る。
【0075】
送信処理部23は、送信データと生成されたDMRSとをリソースブロックにマッピングして送信信号を生成し、この送信信号をアンテナ201を介して無線送信する。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態の端末装置20の詳細を示すブロック図である。
【0077】
端末装置20は、具体的には、
図10に示すように、アンテナ201と、制御部202と、DMRS生成部203と、符号化部204と、スクランブル部205と、変調部206と、多重部207と、DFT部208と、マッピング部209と、IFFT部210と、CP付加部211と、無線送信部212と、無線受信部213と、スケジューリング情報抽出部214とを備えている。端末装置20は、RP10に対してPUSCHのデータ信号およびPUCCHの制御信号を送信する。
【0078】
このうち、制御部202が、
図9の系列決定部22として機能する。また、制御部202は、セルに割り当てられた系列グループからDMRSで使用する信号系列を決定する機能部(標準系列決定部に相当)も備えている。また、符号化部204、スクランブル部205、変調部206、多重部207、DFT部208、マッピング部209、IFFT部210、CP付加部211および無線送信部212が、
図9の送信処理部23として機能する。また、無線受信部213およびスケジューリング情報抽出部214が、
図9の受信処理部24として機能する。
【0080】
制御部202は、DMRSに用いるベース系列の情報とデータのスクランブリングに用いるスクランブル系列の情報とを、それぞれDMRS生成部203と、スクランブル部205に出力する。具体的には、制御部202は以下の処理を行う。
【0081】
制御部202は、PUSCHに多重するDMRSに用いるベース系列を、DMRS生成部203へ出力する。用いるベース系列がセルに割り当てられたものであるか、端末個別のシグナリングで割り当てられたものであるかについては、あらかじめネットワークから端末装置20に対して通知されている。なお、特に通知されない場合は、端末装置20はセルに割り当てられたベース系列を用いるようにしてもよい。
【0082】
制御部202は、データのスクランブリングに用いるスクランブル系列を生成し、スクランブル部205に出力する。用いるスクランブル系列がセルに割り当てられたものであるか、端末個別のシグナリングで割り当てられたものであるかについては、あらかじめネットワークから端末装置20に対して通知される。通知がない場合、制御部202はセルに割り当てられたスクランブル系列を生成する。
【0083】
符号化部204は、上位構成から入力された送信データのビット系列に対してCRCビットを付加し、誤り訂正符号化を行い、符号語ビット系列をスクランブル部205へと出力する。
【0084】
スクランブル部205は、符号語ビット系列に対して制御部202より入力されたスクランブル系列を用いてスクランブリングを行う。そして、スクランブル部205は、スクランブリング後の結果を変調部206へ送る。
【0085】
変調部206は、入力されたビット系列に対してデータ変調を行い、変調後のデータ信号を多重部207へ送る。
【0086】
スケジューリング情報抽出部214は、先ず、アンテナ201および無線受信部213を介して下り回線の制御信号(PDCCH)を受信して、ネットワークから指示されたPUSCHの帯域幅および周波数ポジションを得る。これら帯域幅および周波数ポジションを周波数マッピング情報と呼ぶ。そして、スケジューリング情報抽出部214は、得られた周波数マッピング情報を、マッピング部209およびDMRS生成部203へ送る。
【0087】
DMRS生成部203は、制御部202より入力されたベース系列を用いて、スケジューリング情報抽出部214より入力されたPUSCHの帯域幅に対応する系列長のDMRSを生成し、多重部207へと入力する。
【0088】
多重部207は、変調部206より入力されたデータ信号とDMRS生成部より入力されたDMRSを時間多重してサブフレームを構成し、このサブフレームの信号をDFT部208へ送る。
【0089】
DFT部208は、入力信号に対してDFT(Discrete Fourier Transform)を適用し、周波数領域信号を得る。DFT部208は、この周波数領域信号をマッピング部209へ送る。
【0090】
マッピング部209は、入力された周波数領域信号を、スケジューリング情報抽出部214より入力された周波数マッピング情報に従ってマッピングし、マッピング後の信号をIFFT部210へ送る。
【0091】
IFFT部210では入力信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を適用し、時間領域信号を得てCP付加部211へ出力する。
【0092】
CP付加部211では入力されたデータ信号およびDMRSに対してCP(Cyclic Prefix)を付加し、無線送信部212へ出力する。
【0093】
無線送信部212は、D/A変換およびアップコンバート等の送信処理を行い、PUSCHの信号をアンテナ201経由でRP10へと送信する。
【0094】
[DMRS伝送関連動作]
次に、DMRSの伝送に関連する処理フローをステップ1〜5で説明する。
【0095】
(ステップ1)ネットワークはPUSCHの送受信よりも前に、DMRSに用いるベース系列がセルに割り当てられたものであるか、端末個別のシグナリングで割り当てられたものであるかを端末装置20に通知する。この通知は、制御部202に伝えられる。
【0096】
(ステップ2)セルに割り当てられたベース系列グループを用いることが指示された場合、制御部202は、式(1)で与えられるベース系列グループの採用を決定する。そして、DMRS生成部203は、制御部202からの指示を受けて、この系列グループのDMRSを生成する。なお、ネットワークから特に指示が無い場合には、式(1)で与えられるベース系列グループを用いてDMRSを生成する。
【0097】
一方で端末個別のシグナリングによるベース系列を用いることが通知された場合、制御部202は、次式(3)で与えられるベース系列グループの採用を決定する。そして、DMRS生成部203は、制御部202からの指示を受けて、この系列グループのDMRSを生成する。
【0098】
【数3】
ここで、f
ss~(n
s)はn
s(0〜19)の値で変化する系列オフセット量であり、次のような特徴を持つ。
【0099】
【数4】
Xは、変数xが取り得る値の集合の要素総数、Prは括弧内の式を満たす確率を表わす。n
sは、系列グループの割り当てが繰り返し行われる1巡回期間(n
s=0〜19)中の各時間スロットを表わす。以下、数式中のチルダ記号付きの変数および関数は、アルファベット記号に続いて横に「~」を付して表わす。
【0100】
ここで、F(n
s)は系列オフセットの時間変動成分(変動オフセットに相当)を表わす。端末個別のシグナリングにより割り当てられる系列番号u~は、30を法として、セルに割り当てられる系列番号uに、変動オフセットの時間変動成分F(n
s)を加算した値となる(式(1)、(3)を参照)。従って、セルに割り当てられる系列番号uと、端末個別のシグナリングにより割り当てられる系列番号u~とが重複するセルは、F(n
s)の値によって決まる。
【0101】
式(4)の連立方程式の1段目の式は、30を法としてF(n
s)がゼロとならないという条件を示している。言い換えれば、この式は、端末個別のシグナリングにより割り当てられる系列番号u~が、端末装置20が存在するセルに割り当てられている系列番号uと、常に重複しない、という条件を表わしている。
【0102】
式(4)の連立方程式の2段目の式は、系列オフセットの時間変動成分F(n
s)が、1巡回期間(n
s=0〜19)中、X個の異なる値x(=x
1、x
2、x
3・・・)を取るとして、F(n
s)が各値となる確率が1/Xとなることを示している。言い換えれば、この式は、F(n
s)の値として各値(x=x
1、x
2、x
3・・・)が均等に現れるという条件を表わしている。
【0103】
なお、F(n
s)の値xは、連続で同じ値とならなければ、同じ値が2回又は3回程度現れるようにしてもよい。すなわち、1つのセルにおいて、セルに割り当てられる系列番号uと、端末装置20に割り当てられる系列番号u~とが、1巡回期間中に2回または3回程度、非連続に重複するようにしてもよい。この条件は、Pr[F(n
s)=x] ≦ 3/Xと表わすことができる。
【0104】
また、系列オフセットの時間変動成分F(n
s)は、1巡回期間(n
s=0〜19)にそれぞれ異なる値をとると非常に好ましい。言い換えれば、同一セルクラスタの各セルに割り当てられた系列番号uと、端末個別のシグナリングにより割り当てられた系列番号u~とが重複するセルが、全時間スロットn
sで異なると非常に好ましい。この場合、xの取り得る値の集合の要素個数は、X=20となる。
【0105】
なお、系列番号u,u~が重複するセルは、1巡回期間(n
s=0〜19)中の5割以上で異なる程度に分散していれば十分であり、この条件は、X ≧ 0.5×20と表わすことができる。
【0106】
図11には、式(3),(4)で与えられるベース系列グループとセルに割り当てられた系列グループとの干渉の様子を示す。
【0107】
図11では、N
cell ID=0〜5なる6つのマクロセルが存在し、N
cell ID=0のマクロセル内で式(3),(4)で与えられるベース系列グループが用いられている。なお、
図11の例では式(2)のΔ
ssの値はいずれのセルでも0としているが、D
ssは任意の値に設定されていても構わない。これらのマクロセルは同一のセルクラスタに属しており、系列グループホッピングのパターンは共通である。
【0108】
図11において、式(3),(4)で与えられるベース系列グループの使用地点Puから延びる矢印は、このベース系列グループと、矢印が指し示すセルに割り当てられたベース系列グループ(セル固有ベース系列グループと呼ぶ)とが重複することを表している。例えば時間スロットn
s=0において、式(3),(4)で与えられるベース系列グループはN
cell ID=3のマクロセルのセル固有ベース系列グループと重複する。そのため、このマクロセルで送受信されているDMRSとの干渉の影響が大きくなる。ところが時間スロットn
s=1においては系列オフセットf
ss~(n
s)の値が変わり、式(3),(4)で与えられるベース系列グループは、N
cell ID=1のマクロセルに割り当てられたベース系列グループと重複する。このとき前回重複となったN
cell ID=3のマクロセルとは異なるベース系列グループとなるので、N
cell ID=3のマクロセルで送受信されるDMRSとの干渉は低減される。同様に、時間スロットn
sが2、3、・・・と変化するごとに、重複となるセルが、N
cell ID=4のマクロセル、N
cell ID=2のマクロセル、・・・と変化していく。
【0109】
(ステップ3)端末装置20は生成したDMRSと、別に生成したデータ信号とを時間多重してサブフレームを構成し、RP10から指示された周波数マッピング情報に従ってPUSCHの信号をマッピングする。その後、この信号をRP10に送信する。
【0110】
(ステップ4)RP10では、PUSCHの受信信号からDMRSとデータ信号とを分離する。その後、RP10では、DMRSを用いてチャネル推定を行う。
【0111】
(ステップ5)RP10は、チャネル推定結果をもとにデータ信号の等化を行う。この等化には、受信に参加した複数のRP10で独立に等化する方法と、受信に参加した複数のRP10からの受信信号を集約し、一括して等化する方法がある。各RP10が独立に等化する場合、等化結果はいずれかのRP10に集約され、集約されたRP10が受信データの復調および復号処理を行う。一方で受信に参加した複数のRP10で一括して等化する場合、チャネル推定結果と受信データ信号をいずれかのRP10に集約し、集約されたRP10が等化および合成を行う。その後、このRP10が受信データの復調および復号を行う。
【0112】
以上のように、実施の形態1の通信システム、端末装置20およびRP10によれば、端末装置20に、セルに割り当てられた系列グループと異なる系列グループを使用させることができる。よって、1つのマクロセルで端末装置20が使用できる系列グループを多く確保することができる。
【0113】
さらに、端末個別のシグナリングで割り当てられた系列グループは、端末装置20が存在するマクロセルに割り当てられている系列グループと常に異なる。従って、同一のマクロセルでセル固有系列グループを使用している他の端末装置20と、DMRSが干渉することがない。
【0114】
さらに、端末個別のシグナリングで割り当てられた系列グループは、別のマクロセルに割り当てられた系列グループと重複することになるが、この重複は同一のマクロセルで連続して生じることがない。さらに、重複するマクロセルは同一のセルクラスタ内で時間スロットごとに分散するようになっている。よって、比較的に近傍のセルにおいて、DMRSの干渉が連続して続くことがない。従って、各セルのRP10において、DMRSの干渉によりチャネル推定の精度が大きく劣化することがない。
【0115】
さらに、実施の形態1においては、セル固有に割り当てられる系列グループの式に、時間的に変動するオフセット成分F(n
s)を付加して、端末装置20に個別のシグナリングで割り当てられる系列グループが決定される。よって、このF(n
s)が規則的なものであれば、端末装置20で使用する系列グループのホッピングパターンと、他のセルクラスタのホッピングパターンとが同一または類似となることがない。よって、比較的に遠方の他のセルクラスタの各セルにおいて、系列グループが重複するセルが1つのセルに偏ることがない。すなわち、他のセルクラスタのセルにおいて、系列グループが連続的に重複となるセルが生じたとしても、このような重複が長い期間に渡って生じることはない。従って、他のセルクラスタの各RP10においても、DMRSの干渉によりチャネル推定の精度が大きく劣化することがない。
【0116】
また、実施の形態1においては、1つのマクロセルで端末装置20が使用できる系列グループを多く確保するのに、既存のベース系列グループを再利用することができ、新たなベース系列グループ、または、新たなホッピングパターンを定義する必要がない。また、端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループは、セル固有に割り当てられる系列グループの決定式に、1つのパラメータF(n
s)を追加するだけで決定できる。よって、これらの系列グループを決定するための回路規模が増大しない。
【0117】
(実施の形態2)
実施の形態2の通信システムでは、端末個別のシグナリングで行われるベース系列グループの割当てパターンのみが実施の形態1と異なる。従って、異なる点のみ詳細に説明する。
【0118】
実施の形態2において端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループは、次式(5)の系列オフセットf
ss~(n
s)により特徴付けられる。端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループの番号u~は、式(3)により決定される。
【0119】
【数5】
ただし、λおよびzはいずれも0でない整数である。
【0120】
図12には、λ=1かつz=1の場合のベース系列グループの割当てパターンを示す。
【0121】
ここでは、
図11の場合と同様、N
cell ID=0のマクロセルで一部の端末装置20が式(5)により決定されるベース系列グループを用いるものとする。この場合、この端末装置20に割り当てられたベース系列グループは、時間スロットn
s=0においてはN
cell ID=1のマクロセルに割り当てられたベース系列グループと重複する。また、時間スロットn
s=1においてはN
cell ID=2のマクロセルに割り当てられたベース系列グループと重複する。同様に時間スロットn
s=2〜19にかけて、端末装置20に割り当てられたベース系列グループは、N
cell ID=3〜20のマクロセルに割り当てられたベース系列グループと1回ずつ順に重複する。一方、端末装置20に割り当てられたベース系列グループは、N
cell ID=0およびN
cell ID=21〜29のセルに割り当てられたベース系列グループとは、1回も重複しない。
【0122】
式(5)に基づく端末装置20へのベース系列グループの割り当てが、N
cell ID=1のマクロセルで行われた場合について注目する。この場合、その系列グループは、時間スロットn
s=0においてN
cell ID=2のセルに割り当てられたベース系列グループと重複し、時間スロットn
s=1においてはN
cell ID=3のセルに割り当てられたベース系列グループと重複することになる。以下n
s=19まで同様にして、複数のセルで1回ずつ系列グループの重複が生じる。
【0123】
ここで、N
cell ID=0のマクロセルとN
cell ID=1のマクロセルで端末個別のシグナリングにより割り当てられた系列グループ同士を比較する。すると、これらの系列グループ同士は、各時間スロットn
sにおいて常に異なる系列グループとなる。このように、同一のセルクラスタに属する異なるセルに接続する端末装置20に個別に割り当てられたベース系列グループ同士では、常に重複が生じないことが分かる。
【0124】
図13には、パラメータzを変化させた場合のベース系列グループの割当てパターンを示す。
図14には、パラメータλを変化させた場合のベース系列グループの割当てパターンを示す。
図13と
図14においては、矢印線に重なる各セルのベース系列グループと、端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループとが、各時間スロットで重複することを示している。
【0125】
パラメータλおよびzを変化させると、
図13および
図14に示すように、端末個別のシグナリングによるベース系列グループの割当パターンが変化する。パラメータzを変えると、
図13に示すように、ベース系列グループが重複となるセルおよび時間スロットn
sがパラメータzに比例する数でずれるように変化する。パラメータλを変えると、
図14に示すように、ベース系列グループの重複回数が2回のセルが生じる等の変化も生じえる。
【0126】
以上のように、実施の形態2の通信システム、端末装置20およびRP10によれば、系列オフセットに簡易な一次関数の時間変動成分を付加するだけで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0127】
さらに、実施の形態2においては、パラメータzとパラメータλとを適宜選定することにより、同一セルクラスタに属する複数のセルでそれぞれ端末個別のシグナリングで割り当てられた系列グループ同士が、常に重複しないようにもできる。よって、これらの割り当てが行われた複数セルにそれぞれ存在する複数の端末装置20間でもDMRSの干渉が生じない。また、セルごとにパラメータzとパラメータλとを適宜選定することで、上記の系列グループ同士が所定の割合でのみ重複するように設定することもできる。
【0128】
なお、実施の形態2では、系列オフセットf
ssに、時間スロットn
sの一次関数を加算する構成を例にとって示したが、式(4)の条件を満たしていれば、系列オフセットf
ssに時間スロットn
sの二次関数等の多項式、或いは、様々な関数を加算する構成を適用してもよい。
【0129】
また、実施の形態2では、時間変動成分を含んだ系列オフセットf
ss~(n
s)を、演算処理により求める構成を例にとって説明したが、このような系列オフセットf
ss~(n
s)を、例えばデータテーブルとして記憶部に記憶しておき、制御部202が記憶部から読み出して求める構成を採用してもよい。
【0130】
系列オフセットf
ss~(n
s)を記憶したデータテーブルの一例を、以下に示す。
【0132】
このように時間変動成分を含んだ系列オフセットf
ss~(n
s)を記憶する構成を採用することで、単純な関数では表わせない時間変動成分を含んだ系列オフセットでも容易に表わすことができる。また、系列オフセットを演算により求める必要がなくなるので、必要な演算回路を削減できる。
【0133】
(実施の形態3)
実施の形態3の通信システムでは、端末個別のシグナリングによるベース系列グループの割当てパターンを、DMRSのOCC多重伝送方式に対応させたものであり、その他の構成は実施の形態1と同様である。従って、異なる点のみ詳細に説明する。
【0134】
PUSCHでは、サブフレーム内に存在する2つのDMRSに対して、直交符号(OCC)として[+1,+1]または[+1,−1]を乗じることで、異なる2つの端末装置20が同一系列のDMRSを符号多重して伝送することができる。ただし、この伝送方式では、サブフレームの2つの時間スロットで、各端末装置20が同一系列のDMRSを使用する必要がある。
【0135】
ちなみに、LTE−AのRel.10では、ベース系列グループのホッピングを端末固有のRRC制御信号により停止する機構が設けられ、ポッピングを停止することでOCC多重を用いたDMRS伝送を採用できる。
【0136】
図15には、実施の形態3における端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループの説明図を示す。
【0137】
実施の形態3における端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループは、
図15に示すように、奇数の時間スロット(n
s mod 2=1)と偶数の時間スロット(n
s mod 2=0)とで、異なる式の系列オフセットを加算してベース系列グループが割り当てられる構成が採用される。その結果、実施の形態3では、奇数の時間スロット(n
s mod 2=1)と偶数の時間スロット(n
s mod 2=0)とで、同じ系列番号が割り当てられるようにする。
【0138】
このような割り当ては、具体的には、次のように実現することができる。すなわち、奇数の時間スロットと、偶数の時間スロットとで、次式(6)の系列オフセットを加算して系列番号を得る構成を採用できる。
【0140】
この具体例において、λ=1およびz=1とした場合のベース系列グループホッピングパターンが、
図15に示されている。
図15に示すように、サブフレーム内の2つの時間スロットでベース系列グループが同じになることが分かる。
【0141】
実施の形態3の通信システムによれば、端末個別のシグナリングで割り当てたベース系列グループを用いて、2つの端末装置20でOCC多重を用いたDMRSの伝送を行うことができる。
【0142】
また、セルに割り当てられたベース系列グループはスロット単位で系列が変化する。そのため、端末個別のシグナリングで割り当てられた系列グループは、セルに割り当てられた系列グループと、同一のマクロセルで連続して重複することはない。したがって、実施の形態3のベース系列グループの割り当て方法でも、端末個別のシグナリングで系列グループが割り当てられた端末装置20のDMRSが、セル固有系列グループが割り当てられた端末装置20のDMRSに与える干渉を、実施の形態1および実施の形態2と同等に抑えることができる。
【0143】
なお、実施の形態3においても、時間変動成分を含んだ系列オフセットf
ss~(n
s)を、データテーブルとして記憶部に記憶しておき、記憶部から読み出して求める構成を採用することができる。
【0144】
実施の形態3における系列オフセットf
ss~(n
s)を記憶したデータテーブルの一例を、以下に示す。
【0146】
このように時間変動成分を含んだ系列オフセットf
ss~(n
s)を記憶する構成を採用することで、連続する2つの時間スロットで同一となる系列オフセットを容易に表わすことができる。さらに、単純な関数では表わせない時間変動成分を含む系列オフセットでも容易に表わすことができる。また、系列オフセットを演算により求める必要がなくなるので、必要な演算回路を削減できる。
【0147】
なお、実施の形態3においては、次の制御パラメータに応じて、端末個別に割り当てられるベース系列グループのホッピングを時間スロットごとに変化するパターンとするか、サブフレームごとに変化するパターンとするかを切り替えてもよい。
【0148】
LTE−AのRel.10においては、OCCによるDMRS多重を行うことを目的とした上位レイヤのシグナリングが既に規定されている。このシグナリングとしては、RRC制御情報で端末個別に通知される“dmrs−WithOCC−Activated”、または、“groupHoppingDisabled”の制御パラメータがある。
【0149】
従って、実施の形態3においては、端末固有のシグナリングによりベース系列グループの割り当てを行う場合に、”dmrs−WithOCC−Activated”または“groupHoppingDisabled”いずれかの制御パラメータを使用できる。そして、”dmrs−WithOCC−Activated”または“groupHoppingDisabled”いずれかの制御パラメータが“True”であるときには、端末装置20は、式(6)または表1などの系列オフセットを用いてサブフレームごとに変化するホッピングパターンを採用して、OCC多重したDMRSを生成する。一方、”dmrs−WithOCC−Activated”または“groupHoppingDisabled”いずれかの制御パラメータが“False”であるときには、端末装置20は、実施の形態2に示した系列オフセットを用いて時間スロットごとに変化するホッピングパターンを採用してDMRSを生成する。
【0150】
このような構成により、新たなシグナリングを追加せずに、端末固有のシグナリングで割り当てられるベース系列グループを使用する端末同士で、OCC多重したDMRSの伝送を行うことができる。
【0151】
(実施の形態4)
実施の形態4の通信システム、端末装置20およびRP10は、端末個別のシグナリングで行われるベース系列グループの割当てパターンを、ネットワークが決定し、端末装置20へ通知する構成としたものであり、その他の構成は、実施の形態2と同様である。以下、異なる点について詳細に説明する。
【0152】
[通信システムの概要]
実施の形態4の通信システムは、実施の形態1と同様、マクロセル内の1つまたは複数のRP10と、端末装置20とを含んで構成される。実施の形態4の通信システムでは、端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループを表わす式(5)または式(6)のパラメータ「λ、z」を、予めネットワークが決定する。
【0153】
[RP10の構成]
RP10の制御部112は、パラメータ「λ、z」を、チャネル推定部111へ出力する。パラメータ「λ、z」はあらかじめネットワークで決定され、RP間IF110経由でRP10に通知されている。パラメータ「λ、z」の決定は、当該RP10が行ってもよい。当該RP10が決定した場合、その情報をRP間IF110経由で他のRP10に通知する。一方、他のRP10が決定した場合、当該RP10は、その情報をRP間IF110経由で他のRP10から受信する。
【0154】
[端末装置20の構成]
端末装置20の制御部202は、パラメータ「λ、z」を、DMRS生成部203へと入力する。パラメータ「λ、z」は予めネットワークで決定され、端末装置20に通知される。この通知は、端末個別のRRC制御情報として通知されても良いし、MACヘッダに含めても良い。あるいは下り回線で送信される制御信号(PDCCH)で通知されても良い。なお、特に通知されない場合は、パラメータ「λ、z」は共に「0」とする(セルに割り当てられたベース系列グループを用いることに相当)。
【0155】
[DMRS伝送関連動作]
実施の形態4の通信システムでは、ネットワークから端末装置20に対して新しいパラメータ「λ、z」が通知された場合、端末装置20の制御部202は式(5)(または式(6))のパラメータ「λ、z」を上書きする。また、ネットワークは端末装置20に対して新しいパラメータ「λ、z」を通知した場合、受信に参加する各RP10の制御部112にパラメータ「λ、z」を通知し、RP10の制御部112は式(5)(または式(6))のパラメータ「λ、z」を上書きする。
【0156】
RP10及び端末装置20により行われる、その他のDMRSの伝送に関連する処理フローは、実施の形態1と同様である。
【0157】
実施の形態4の通信システム、RP10および端末装置20によれば、ネットワークがセルの配置に合わせてパラメータ「λ、z」を適切に選ぶことによって、セルの配置に適した系列グループの設定を行うことができる。具体的には、ネットワークは、干渉の影響が大きくなる近傍の他セルに対して系列グループの重複が生じないように、端末装置20で端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループが決定されるように、制御することができる。
【0158】
なお、ネットワークまたはRP10は、パラメータ「λ、z」として取りうる全ての値および組み合わせを表わせるパラメータ情報を通知する構成とせず、パラメータ「λ、z」の一部の組み合わせのみを表わせるビット長の小さいパラメータ情報を通知する構成としてもよい。この構成により、パラメータ「λ、z」の通知に要する伝送ビット数を削減できる。
【0159】
また、既成の制御データの9ビット又はそれ以上の領域を、端末固有のシグナリングを行う通知領域として定義して、この通知領域の情報により、端末装置20がDMRSの生成に使用するベース系列グループを決定する構成としてもよい。具体的には、上記の通知領域にセルIDを示す値(例えば9ビットなら0〜503)が示されている場合には、端末装置20は、式(1),(2)におけるN
cell IDを通知領域の情報に対応する値で書き換えたベース系列グループを使用してDMRSを生成する。また、上記の通知領域に、セルIDを示さない値が示されている場合には、式(3)(例えば式(5)(6))で与えられるベース系列グループを用いてDMRSを生成する。このように構成してもよい。なお、このような構成でも、上記通知領域の情報が通知されない場合には、端末装置20は、セルに割り当てられたベース系列グループを用いてDMRSを生成するようにできる。
【0160】
この構成により、通知情報の値に応じて、端末装置20がDMRSの生成用に使用するベース系列グループを、選択することが可能となる。すなわち、使用するベース系列グループを、接続セルに割り当てられているベース系列グループ、接続していない他セルに割り当てられているベース系列グループ、および、端末個別に割り当てられるベース系列グループの中から選択することができる。
【0161】
さらに、上記の通知領域のセルID以外を示す値に、パラメータ「λ、z」を対応づけておき、セルID以外の値によってパラメータ「λ、z」を端末装置20に通知する構成を採用してもよい。具体的には、通知領域のセルID以外を示す値(例えば9ビットならば504〜511)と、8種類のパラメータ「λ、z」の組み合わせを対応づけておき、この値が通知された場合に、端末装置20の制御部202は式(5)(または式(6))のパラメータ「λ、z」を上書きする。そして、端末装置20、上書き後の式(5)(または式(6))により決定される系列グループを用いてDMRSを生成および送信する。
【0162】
この構成により、新たな通知ビットを追加することなく、ネットワークがセル配置に適したパラメータ「λ、z」を選択して、端末装置20へ通知することができる。
【0163】
なお、上記構成では、通知領域を9ビット以上と説明したが、通知領域を9ビット未満とすることもできる。端末個別のシグナリングにより割り当てられるベース系列グループとして、他セルのセル固有ベース系列グループを割り当てる場合、干渉の影響を抑えるために、近傍セルと同じベース系列グループを割り当てることは避けるべきである。特に、同一セルクラスタ内の他セルのベース系列グループを端末個別に割り当てることは、干渉の影響が大きくなる場合がある。したがって、実際に端末固有のベース系列グループとして用いることができる他セルに割り当てられたベース系列グループ数は、全てのセルIDの数「504」よりも少ない。そのため、割当可能なセル固有ベース系列グループのセルIDを9よりも少ない通知ビット数で通知することができる。例えば、接続セルのセルIDに対するオフセットを、9よりも少ない通知ビット数で通知して、他セルのセルIDを通知することができる。
【0164】
この構成により、通知情報のビット数を削減することができる。
【0165】
(実施の形態5)
以下、端末個別のシグナリングにより割り当てられるベース系列グループの決定方法について、その他の例を説明する。
【0166】
実施の形態1〜実施の形態4では、系列オフセットf
ss~を時間スロットn
sの関数とした。それに対して、実施の形態5では、系列オフセットf
ssは固定値とし、PNホッピングパターンf
gh~を時間スロットn
sの関数とする。具体的には、実施の形態5では、系列番号u~を式(7)により決定する。
【数7】
【0167】
ここで、Yは変数yが取りうる値の総数である。なお、式(7)において系列番号u~が接続するセルに割り当てられたベース系列グループと重複した場合は、系列番号u~に異なる値を代入する。また、f
gh~(n
s)は関数ではなく、データテーブルとして記憶部に記憶された値として与えてもよい。
【0168】
このベース系列グループの決定方法によれば、式(1),(2)で与えられるベース系列グループの決定式を大幅に変更することなく、すべてのセルクラスタと異なる新しいホッピングパターンで系列グループをホッピングさせることができる。
【0169】
なお、実施の形態1〜実施の形態4で示した時間変動成分を含む系列オフセットf
ss~(n
s)と、上記の時間スロットn
sの関数で与えられるホッピングパターンf
gh~(n
s)との加算により、系列番号u~を決定する構成としてもよい。また、共に時間スロットn
sの関数となるPNホッピングパターンおよび系列オフセットの両者が、データテーブルにより与えられる構成としてもよい。
【0170】
(実施の形態6)
実施の形態6は、他セルとの干渉による影響が余り大きくならない場合に、接続セル内で端末装置20が使用できるベース系列グループの数を多く確保するという課題を解決するものである。
【0171】
図16には、実施の形態6における端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループを説明する図を示す。
【0172】
実施の形態6では、セル固有ベース系列グループを決定する式(1)、(2)を利用し、この中のN
cell IDの値を、新規パラメータKの値(定数値)に変更して、端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループを決定する。新規パラメータKの値は、同一セルクラスタの接続セル以外のセルのN
cell IDとする。
【0173】
図16の例は、接続セル(N
cell ID=0)に端末装置20が存在している場合に、新規パラメータKを、同一セルクラスタの他セル(N
cell ID=3)のセルIDの値「K=3」とした場合である。
【0174】
この場合、端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループは、他セル(N
cell ID=3)のセル固有ベース系列グループと同一となるが、同一セルクラスタのその他のセルのセル固有ベース系列グループとは一回も重複することがない。
【0175】
実施の形態6の通信システムによれば、新規パラメータKを用いてベース系列グループを端末個別のシグナリングで割り当てることで、1つのセルで使用できるベース系列グループの数を多く確保することができる。他セル(N
cell ID=3)に接続している他の端末装置20が少ない場合など、他セルとの干渉による影響が大きくならない場合に有用である。
【0176】
なお、新規パラメータKは、ネットワークが決定してRP10から端末装置20へ通知される構成としてもよい。
【0177】
(実施の形態7)
実施の形態7は、他のセルクラスタのセルとの干渉による影響が余り大きくならない場合に、接続セル内で端末装置20が使用できるベース系列グループの数を多く確保するという課題を解決するものである。
【0178】
図17には、実施の形態7における端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループを説明する図を示す。
【0179】
実施の形態7では、セル固有ベース系列グループを決定する式(1)、(2)を利用し、この中のN
cell IDの値を、新規パラメータKの値(定数値)に変更して、端末個別のシグナリングで割り当てられる系列グループを決定する。新規パラメータKの値は、他のセルクラスタのセルのN
cell IDとする。
【0180】
図17の例は、接続セル(N
cell ID=0)に端末装置20が存在している場合に、新規パラメータKを、他のセルクラスタのセル(N
cell ID=30)のセルIDの値「K=30」とした場合である。
【0181】
この場合、端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループは、他のセルクラスタにおける1つのセルのセル固有ベース系列グループと常に重複するが、同一セルクラスタの各セルのセル固有ベース系列グループとはランダムに重複する。
【0182】
実施の形態7の通信システムによれば、新規パラメータKを用いてベース系列グループを端末個別のシグナリングで割り当てることで、1つのセルで使用できるベース系列グループの数を多く確保することができる。他のセルクラスタの特定のセルが非常に遠方である場合など、他のセルクラスタの特定のセルと干渉による影響が殆ど生じないことが分かっている場合に有用である。
【0183】
なお、新規パラメータKは、ネットワークが決定してRP10から端末装置20へ通知される構成としてもよい。
【0184】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0185】
なお、上記各実施の形態では、端末個別のシグナリングで割り当てられるベース系列グループの具体例を説明した。しかし、本発明は、各実施の形態で例示した数式又はデータテーブルに当てはまらなくても、次の1〜3の条件を満たす全ての系列グループの割り当てパターンを含むものである。
【0186】
1.端末装置の接続セルに割り当てられたベース系列グループとは常に異なるベース系列グループであること
2.他のセルクラスタに属するセルに割り当てられたベース系列グループとは、系列グループのホッピングパターンそのものが異なること
3.同一セルクラスタの他のセルに割り当てられたベース系列グループとの重複が、単一のセルに偏重しないこと
【0187】
また、上記実施の形態では、基準信号としてDMRSを対象とした場合について説明したが、基準信号としてSRSまたは他の基準信号を対象とすることもできる。また、上記実施の形態で説明したアンテナは、アンテナポートに置き換え可能である。
【0188】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
【0189】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0190】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)または、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0191】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0192】
2012年1月30日出願の特願2012−016414の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。