特許第6281838号(P6281838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281838
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】水中検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20180208BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   G01B11/24 K
   G01V8/10 S
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-247370(P2013-247370)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105855(P2015-105855A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147729
【氏名又は名称】株式会社石井鐵工所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏治
(72)【発明者】
【氏名】磯部 永舟
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−071200(JP,U)
【文献】 特開2005−275723(JP,A)
【文献】 特開平07−072285(JP,A)
【文献】 特開2006−313083(JP,A)
【文献】 特表平10−504860(JP,A)
【文献】 米国特許第07218235(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30
G01N21/84−21/958
G01V 1/00− 1/40
3/00− 7/16
8/10− 8/16
8/20
9/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の入った水泳用プールの底面上を線状に照射するレーザースリット光の発光手段を水泳用プール水中に設け、該発光手段により水泳用プール底面上に照射されたスリット光の光線の乱れを検知して水泳用プール水中の底面上に存在する異物を検出することを特徴とする水中検出装置において、前記発光手段に加えて、さらに上記発光手段により照射されたスリット光を走査してその走査領域を撮影するCCDカメラを有する受光手段と、前記発光手段及び前記CCDカメラによる水泳用プール底面の照射領域を順次移動させる移動手段と、リモコン・ラジコン対応の送受信機水泳用プール水中に設け、前記送受信機に前記水泳用プールの検査員に異物の検出を知らせる警報装置を装備し、さらに前記送受信機によって前記発光手段と前記受光手段及び前記移動手段を操作し制御する信号を送受信する機器制御部と、前記CCDカメラで撮影された水泳用プールの底面上に存在する異物の形状や寸法のデータ処理を行う影像処理制御部と、該異物の水泳用プール底面に対応する位置座標を特定する位置検出部を備えたことを特徴とする水中検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水の入ったプールの底面上にガラス片や金属片、土砂などの異物がある場合に、見落とすことなく確実に発見することができる水中使用の水中検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水泳用プールの水中底面上に異物がある場合、その発見は人による目視によって行っているため、見落しすることがあった。
【0003】
特許文献1の特開平05−187834号公報「形状測定装置」の発明は、レーザースリット光の光色が変化した場合でも良好な測定を可能とするように、被測定物からの反射光をそれぞれ異なる光波透過領域を有する複数のフィルターを直列に配置し、所定波長領域のみの反射光を前記受光手段に入射し得るように形成したものである。
【0004】
特許文献2の実開平06−86866号公報「倣い機能付溶接ロボット」の考案には、アークセンサーを用いることなく、レーザースリット光装置とCCDカメラからなる撮像手段と制御手段などを用いて、倣い機能を有する溶接ロボットの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−187834号公報
【特許文献2】実開平06−86866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水泳用プールの水中底面上に、金属片やガラス片など固形の異物がある場合、その発見は人の目視によるため、暗くて見難い場合や異物に透光性があって視認し難い場合には見落しすることがあった。この固形の異物は、発見が遅れたり見逃されたりした場合には、プール供用中の利用者の手足に怪我などの危害を及ぼすことがあった。
【0007】
特許文献1の「形状測定装置」の発明は、溶接箇所の形状を測定する装置であるが、水中底部にある異物の検出を行うものではない。
【0008】
特許文献2の「倣い機能付溶接ロボット」の考案は、溶接アークの状態を判定して溶接トーチを倣い移動させるものであるが、水中底部にある異物を検出するものではない。
【0009】
この発明は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、目的とするところは、水の入ったプールの底面上にガラス片や金属片、土砂などの異物がある場合に、見落とすことなく確実に発見することができる水中使用の水中検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係る水中検出装置は、水の入った水泳用プールの底面上を線状に照射するレーザースリット光の発光手段を水泳用プール水中に設け、該発光手段により水泳用プール底面上に照射されたスリット光の光線の乱れを検知して水泳用プール水中の底面上に存在する異物を検出することを特徴とする水中検出装置において、前記発光手段に加えて、さらに上記発光手段により照射されたスリット光を走査してその走査領域を撮影するCCDカメラを有する受光手段と、前記発光手段及び前記CCDカメラによる水泳用プール底面の照射領域を順次移動させる移動手段と、リモコン・ラジコン対応の送受信機を水泳用プール水中に設け、前記送受信機に前記水泳用プールの検査員に異物の検出を知らせる警報装置を装備し、さらに前記送受信機によって前記発光手段と前記受光手段及び前記移動手段を操作し制御する信号を送受信する機器制御部と、前記CCDカメラで撮影された水泳用プールの底面上に存在する異物の形状や寸法のデータ処理を行う影像処理制御部と、該異物の水泳用プール底面に対応する位置座標を特定する位置検出部を備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る水中検出装置は、水の入った水泳用プールの底面上を線状に照射するレーザースリット光の発光手段を水泳用プール水中に設け、該発光手段により水泳用プール底面上に照射されたスリット光の光線の乱れを検知して水泳用プール水中の底面上に存在する異物を検出することを特徴とする水中検出装置において、前記発光手段に加えて、さらに上記発光手段により照射されたスリット光を走査してその走査領域を撮影するCCDカメラを有する受光手段と、前記発光手段及び前記CCDカメラによる水泳用プール底面の照射領域を順次移動させる移動手段と、リモコン・ラジコン対応の送受信機を水泳用プール水中に設け、前記送受信機に前記水泳用プールの検査員に異物の検出を知らせる警報装置を装備し、さらに前記送受信機によって前記発光手段と前記受光手段及び前記移動手段を操作し制御する信号を送受信する機器制御部と、前記CCDカメラで撮影された水泳用プールの底面上に存在する異物の形状や寸法のデータ処理を行う影像処理制御部と、該異物の水泳用プール底面に対応する位置座標を特定する位置検出部を備えたので、水の入った水泳用プールの底面上に存在する肉眼では見難いガラス片や金属片などの異物の存在に対して、レーザースリット光の屈折による乱れを見逃すことなく検知することができるため、肉眼で見難い異物の発見除去を確実に実施し、水泳用プール供用中の利用者の手足などに違和感や危険を及ぼすことなく、清潔と安全性を保持することができる。水の入った水泳用プールの底面上に存在する肉眼では見難いガラス片や金属片などの異物を、確実に検出しかつ位置を特定して記録することができる。 送受信機にパトライト(登録商標)や警鐘音を装備することによって、水泳用プールの検査員に異物の検出を知らせて、直ちに異物の除去対応を行わせることが可能となる。 水泳用プール底面に対応させた異物検出のデータに基づいて、プールの底面上に存在する異物除去の対応作業を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る水中検出装置の実施形態例で、レーザースリット光を照射する状況を示す説明図である。
図2図1のA部を拡大して示す説明図である。
図3】本発明に係る水中検出装置の実施形態例を示す説明図である。
図4】異物検出の機能を示すブロック図である。
図5】異物検出の操作を示すフローチャートである。
図6】異物位置の特定座標である。
図7】異物検出後の対応作業を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る水中検出装置の実施形態例について図1から図7に基づいて説明する。本発明は下記の実施形態にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記の実施形態に変更(例えば構成要素の省略または付加、構成要素の形状の変更等)を加えることが出来るのはもちろんである。なお、図は概略を示すもので、一部のみを描き詳細構造は省略した。
【0016】
図1は、本発明に係る水中検出装置の第1の実施形態例で、プール水中の発光手段5から線状のレーザースリット光25を照射し、プール水中の受光手段6で受光撮影域26内のレーザースリット光25の反射光を受光する状況を示す。
発光手段5により照射された線状のレーザースリット光25で、プール水中の底面3を走査する。
このレーザースリット光25は、矢印Lに示すように図の四角の範囲を走査する。
受光撮影域26から反射されるレーザースリット光25の光線の乱れを水中の受光手段6で検知して、プールの底面3上に存在する異物9を確認する。
【0017】
図2は、図1のA部を拡大して示す説明図である。
レーザースリット光25は数ミリメートル幅程度の細い直線帯状の光線で、矢印Lのように走査することにより、レーザースリット光25に照射されたガラス片や金属片などの異物9の部分は、直線帯状の光線が屈折して乱光線25Aとなる。
【0018】
プール水中でほとんど視認が不可能であったガラス片やプラスチック片などのほぼ透明な異物9は、レーザースリット光25の屈折現象によって界面で乱れるため、この乱光線25Aを検出することによって異物9の認証が確実となる。
また、金属片、小石、土砂などの見難い固形の異物9は、レーザースリット光25が分断されることによって認証することができる。
このように、レーザースリット光25が乱れる乱光線25Aによって、肉眼では見難い異物9を確実に検出することができるため、見落としが生じない。
よって、プール供用時に適宜、異物の発見除去を確実に実施することにより、利用者の手足などに違和感や危険を及ぼすことなく、清潔と安全性を保持することができる。
【0019】
図3は、本発明に係る水中検出装置の実施形態例を示す説明図である。
1は水の入った水泳用のプールで、2は側壁、3は底面である。
4はプール水中で使用する水中検出装置で、プールの底面3の上に設置する。
この水中検出装置4は、底面3を線状に照射する発光手段5と、この発光手段5により照射された全部の照射領域を撮影するCCDカメラを有する受光手段6と、プール1の底面3を移動させる移動手段7を備える。
また、リモコン・ラジコン対応の送受信機8を装備し、この送受信機8によって、発光手段5と受光手段6及び移動手段7を操作し制御する信号を、プール外部の機器制御部(図示せず)との間で送受信する。この送受信機8にはパトライト(登録商標)や警鐘音を装備することによって、検査員に異物の検出を知らせて、直ちに異物の除去対応を行わせるようにしてもよい。
【0020】
15は発光照射装置で、発光手段5から線状のレーザースリット光25を発光し、矢印Lのように図の四角の範囲を走査し、移動手段7によって移動する。16は受光撮影装置(CCDカメラ搭載)で、受光手段6によって受光撮影域26内のレーザースリット光25をCCDカメラで撮影する。17は移動装置で、移動手段7及び送受信機8と連携して、水中検出装置4をプール底面3上の(x-y)方向に移動する。
【0021】
水中検出装置4を用いてプール1水中の底面3上を走査しながら移動させることにより、シート底面3の上面に存在するガラス片、プラスチック片や、金属片、小石、土砂などの異物9を確実に検出することができる。
【0022】
図4は、異物検出の機能を示すブロック図である。
水中検出装置4は、発光手段5、受光手段6、及び移動手段7などで形成する。
機器制御部10によって、水中検出装置4の発光手段5、受光手段6、及び移動手段7を操作し制御する。
影像処理制御部11で、受光手段6のCCDカメラで撮影された異物の形状や寸法などのデータ処理制御を行う。
位置検出部12でプール底面上面の異物の位置座標を特定する。
異物検出のデータに基づいて、プールの底面上に存在する異物除去の対応作業を実施する。
【0023】
図5は、プール水中でプール底面上の異物検出の操作を示すフローチャートである。
下記のステップに従って、プール水中でレーザースリット光をプール底面に当てて、その反射光の乱れで人の肉眼で検出し難い異物の有無を検証し、その位置を特定する。
ステップ1:レーザースリット光を発光し、プール底面上を照射し走査する。
ステップ2:上記照射範囲からの反射光によって、底面上の異物の有無を検証する。
ステップ3:プール底面にわたって、水中検出装置を移動する。
ステップ4:ステップ1〜3の発光、受光、走査、移動を遠隔操作で制御する。
ステップ5:影像・データを処理、制御する。
ステップ6:プール底面における異物の位置座標を特定する。
【0024】
図6は異物の位置座標で、異物が存在するプール底面上面の位置を特定する。
プール底面に対応する、X軸(a,b,c,・・・)とY軸(1,2,3,・・・)の平面座標上に、異物A、異物B・・・の位置をプロットする。
【0025】
図7は異物検出除去作業を示すフローチャートで、次の作業手順に従ってプール水中の異物の位置を特定し、その除作業を実施する。
作業手順1:水中検出装置によって異物の位置座標を特定する。
作業手順2:異物の位置座標をプール底面に対応させる。
作業手順3:プール底面位置の異物を除去する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
上記水中検出装置は、水泳用のプールの他に、塵芥など異物が混入、堆積する貯水槽や貯液槽にも適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1プール
2側壁
3底面
4水中検出装置
5発光手段
6受光手段
7移動手段
8送受信機
9異物

15発光照射装置
16受光撮影装置
17移動装置

25レーザースリット光
26受光撮影域


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7