特許第6281840号(P6281840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281840
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20180208BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20180208BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180208BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20180208BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H01L25/04 C
   H02M7/48 Z
   H05K7/20 N
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-533653(P2013-533653)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2012073017
(87)【国際公開番号】WO2013039026
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年2月10日
【審判番号】不服2017-663(P2017-663/J1)
【審判請求日】2017年1月17日
(31)【優先権主張番号】特願2011-201922(P2011-201922)
(32)【優先日】2011年9月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117499
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】横山 和也
(72)【発明者】
【氏名】中條 晃伸
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 森川 幸俊
【審判官】 関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−114121(JP,A)
【文献】 特開2002−46482(JP,A)
【文献】 特開2009−121758(JP,A)
【文献】 特開2010−144976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29,23/34-23/36,23/373-23/427,23/44,23/467-23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有する電力変換装置が搭載された作業機械であって、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記第1の直線流路、前記第2の直線流路、及び前記湾曲流路の流路断面は、厚さ方向の寸法が幅方向の寸法より小さい扁平な形状を有し、
前記第2の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積が、前記第1の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積より大きく、
前記パワーモジュールからの発熱がある状態で、前記冷却板の等温線が、平面視において前記第2の直線流路と交差しており、前記第1の直線流路内においては、前記等温線が冷却媒体の流れ方向に沿って延びるように、前記流路に対して前記パワーモジュールが配置されている、作業機械。
【請求項2】
前記第1の直線流路の幅と、前記第2の直線流路の幅とが等しく、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の全域が前記パワーモジュールと重なっており、前記第1の直線流路内の、前記第2の直線流路側に位置する一部の領域が前記パワーモジュールと重なり、前記第2の直線流路とは反対側に位置する一部の領域は前記パワーモジュールと重なっておらず、
前記流路は、前記第1の直線流路内の、前記第2の流路側に位置する経路から前記湾曲流路に流入し、前記第2の直線流路内の、前記第1の直線流路とは反対側に位置する経路に向かう経路の流速が、他の経路の流速よりも速くなる形状を有し、
前記パワーモジュールからの発熱がある状態で、前記第1の直線流路内で、前記第2の直線流路とは反対側に位置する領域の前記冷却板部分の温度が、前記第2の直線流路側に位置する領域の前記冷却板の温度より低くなるように前記流路に対して前記パワーモジュールが配置されている請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第2の直線流路の、前記第1の直線流路側に位置する経路を流れる相対的に流速が遅い冷却媒体の冷却能力の低下が、前記第1の直線流路の、前記第2の直線流路側に位置する経路を流れる冷却媒体によって補償されるように、前記第1の直線流路と前記第2の直線流路との間隔が設定されている請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記第1の直線流路は、幅方向に関して外側流路と内側流路とに分離されており、前記外側流路及び内側流路は、前記湾曲流路内において、前記第2の直線流路に至る前に1本の流路に合流する請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記流路の、前記パワーモジュールが取り付けられた側の内面に、冷却媒体の流れの方向に沿う尾根状の凸部が形成されている請求項1乃至のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第1の直線流路の断面積と、前記第2の直線流路の断面積とは、同一である請求項1乃至のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有する電力変換装置が搭載された作業機械であって、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記湾曲流路の最小曲率半径を有する部分の曲率中心を通過し、前記第1の向きと平行な仮想直線を基準として、前記パワーモジュールは、前記第1の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の方に偏った位置に取り付けられており、
前記湾曲流路は、前記第1の直線流路の下流端から離れるに従って、一旦、前記第2の直線流路から遠ざかる方向に湾曲し、その後、前記第2の直線流路に繋がり、 前記湾曲流路のうち第2の直線流路に繋がる一部の領域は、前記第1の直線流路のうち前記第1の直線流路に繋がる領域と同一の方向に湾曲しており、
前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路が、幅方向に関して全域において前記パワーモジュールと重なっている作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機能を備えた電力変換装置を搭載した作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンと電動機を搭載したハイブリッド型作業機械の開発が進められている。ハイブリッド型作業機械において、内部磁石埋込型(IPM)モータ等の同期電動機の駆動に、直流電力を交流電力に変換するインバータ(電力変換装置)が用いられる。また、蓄電器の充放電の制御に、DC−DCコンバータが用いられる。インバータやDC−DCコンバータ等の電力変換装置を冷却するために、U字状に湾曲した冷却用配管が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187526号公報
【特許文献2】特開2010−11671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却用配管を湾曲させると、その内部の流れに剥離が生じる。流れに剥離が生じると、その部分の冷却能力が低下する。このため、冷却能力に、場所によるばらつきが生じ、場所によって十分な冷却能力が得られない場合がある。冷却能力の部分的な低下は、電力変換装置に用いられている半導体素子等の故障の原因になる。特に、作業機械は、高温の過酷な環境下で使用される場合があるため、十分な冷却能力を確保しておくことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によると、
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有する電力変換装置が搭載された作業機械であって、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記第1の直線流路、前記第2の直線流路、及び前記湾曲流路の流路断面は、厚さ方向の寸法が幅方向の寸法より小さい扁平な形状を有し、
前記第2の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積が、前記第1の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積より大きい作業機械が提供される。
【0006】
本発明の他の観点によると、
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有する電力変換装置が搭載された作業機械であって、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記湾曲流路の最小曲率半径を有する部分の曲率中心を通過し、前記第1の向きと平行な仮想直線を基準として、前記パワーモジュールは、前記第1の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の方に偏った位置に取り付けられており、
前記湾曲流路は、前記第1の直線流路の下流端から離れるに従って、一旦、前記第2の直線流路から遠ざかる方向に湾曲し、その後、前記第2の直線流路に繋がり、
前記湾曲流路のうち第2の直線流路に繋がる一部の領域は、前記第1の直線流路のうち前記第1の直線流路に繋がる領域と同一の方向に湾曲しており、
前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路が、幅方向に関して全域において前記パワーモジュールと重なっている作業機械。
【発明の効果】
【0007】
パワーモジュールの局所的な温度上昇を抑制することができる。これにより、電力変換装置の信頼性を高めることができる。これにより、作業機械を継続的に運転することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、実施例1による電力変換装置の平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ図1Aの一点鎖線1B−1B、1C−1Cにおける断面図である。
図2図2は、実施例1による電力変換装置の冷却板の温度分布、及び流路内の流速のシミュレーション結果を示す図である。
図3図3は、比較例による電力変換装置の冷却板の温度分布、及び流路内の流速のシミュレーション結果を示す図である。
図4図4A及び図4Bは、実施例2による電力変換装置の断面図である。
図5図5Aは、実施例3による電力変換装置の平面図であり、図5Bは、図5Aの一点鎖線5B−5Bにおける断面図である。
図6図6A及び図6Bは、実施例4による電力変換装置の平面図である。
図7図7は、実施例5による電力変換装置の平面図である。
図8図8A及び図8Bは、それぞれ実施例6及びその変形例による電力変換装置の断面図である。
図9図9は、実施例7による作業機械の平面図である。
図10図10は、実施例7による作業機械の側面図である。
図11図11は、実施例8による作業機械の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
図1Aに、実施例1による電力変換装置の平面図を示す。冷却板20の表面に、パワーモジュール50が固定され、冷却板20に熱的に結合している。パワーモジュール50は、例えばインバータ回路、コンバータ回路等の電子部品であり、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体素子を含む。
【0010】
冷却板20の内部に、冷却用流路21が形成されている。冷却用流路21は、冷却媒体導入管23に接続され、第1の方向(図1Aにおいて右方向)に延びる第1の直線流路21Bを含む。第1の直線流路21Bの側方(図1Aにおいて上方)に、第2の直線流路21Dが形成されている。湾曲流路21Cが、第1の直線流路21Bの下流端から第2の直線流路21Dの上流端に連続する。第1の直線流路21Bを流れてきた冷却媒体が、湾曲流路21Cで進行方向を変えて、第2の直線流路21Dに流れ込む。第2の直線流路21Dの下流端21Eが、冷却媒体排出管24に接続されている。
【0011】
第1の直線流路21Bの上流端21Aの近傍は、下流に向かって幅が広くなるテーパ状とされている。テーパ状の部分以外の第1の直線流路21Bの幅Wは一定である。第2の直線流路21Dの下流端21Eの近傍は、上流に向かって幅が広くなるテーパ状とされている。テーパ状の部分以外の第2の直線流路21Dの幅は、第1の直線流路21Bの幅Wと等しい。また、湾曲流路21Cの幅も、第1の直線流路21Bの幅Wと等しい。
【0012】
テーパ状の部分は、流路断面が急激に変化したときに、乱れた流れが安定になるまでの助走路として機能する。助走路の長さは、等価管直径の10倍程度とすることが好ましい。等価管直径Deは、
De=4A/Wp
と定義される。ここで、Aは、第1の直線流路21Bの断面積、Wpは、第1の直線流路21Bの濡れ縁長さ(流路断面における壁面の長さ)である。
【0013】
第2の直線流路21Dとパワーモジュール50とが重なる領域A2の面積が、第1の直線流路21Bとパワーモジュール50とが重なる領域A1の面積より大きい。湾曲流路21Cの曲率中心CCを通過し、第1の方向に平行な仮想直線を基準として、パワーモジュール50は、第2の直線流路21Dの側に偏って配置されている。すなわち、曲率中心CCを通過し、第1の方向に平行な仮想直線ILに対して、パワーモジュール50の中心線50Cが、第2の直線流路21D側にずれている。第2の直線流路21Dは、その幅方向に関して全域がパワーモジュール50と重なっている。これに対し、第1の直線流路21Bは、その幅方向に関して、一部分のみしかパワーモジュール50と重なっていない。より具体的には、第1の直線流路21Bの外側の経路は、パワーモジュール50と重なっていない。
【0014】
図1B及び図1Cに、それぞれ図1Aの一点鎖線1B−1B、1C−1Cにおける断面図を示す。パワーモジュール50は、金属製のベース板51と、その上に取り付けられた半導体素子52とを含む。半導体素子52は、例えば、IGBT等である。半導体素子52は、樹脂53で封止されている。パワーモジュール50は、ベース板51が冷却板20に対向する姿勢で、冷却板20に固定されている。図1Bでは、1つのパワーモジュール50に2つの半導体素子52が組み込まれた事例を示したが、半導体素子を3個以上組み込んでもよい。三相交流電動機を駆動するパワーモジュール50には、6個の半導体素子が組み込まれている。
【0015】
冷却板20の内部に、冷却用流路21が形成されている。図1Bに示した断面には、第1の直線流路21Bと第2の直線流路21Dとが現れており、図1Cに示した断面には、湾曲流路21Cが現れている。冷却用流路21の断面は、冷却板20の厚さ方向に関する寸法が最も小さい扁平な形状を有する。すなわち、冷却用流路21の厚さ方向の寸法Hは、幅方向の寸法Wよりも小さい。パワーモジュール50の中心線50Cが、曲率中心CCに対して、第2の直線流路21D側にずれている。
【0016】
冷却用流路21の上面(パワーモジュール50が取り付けられた表面に近い方の面)に、冷却媒体の流れの方向に沿う尾根状の凸部21Fが形成されている。凸部21Fが形成されていることにより、冷却媒体と冷却板20とが接触する領域の面積が大きくなる。これにより、冷却板20から冷却媒体への熱伝達効率を高めることができる。
【0017】
冷却用流路21は、アルミニウムの鋳造により形成することができる。直線状の管路を湾曲させて流路を形成する場合には、曲率半径が管路の直径によって制限される。流路の形成に鋳造を適用することにより、湾曲流路21Cの曲率半径を自由に設定することができる。
【0018】
図2に、実施例1による電力変換装置の冷却板20の温度分布、及び冷却用流路21内の流速のシミュレーション結果を示す。相対的に流速の遅い領域VL、中程度の流速の領域VM、及び流速の速い領域VHを、ハッチの間隔を変えて示す。また、温度間隔2℃ごとに、等温線T1〜T10を破線で示す。等温線T1の温度が最も低く、等温線T10の温度が最も高い。
【0019】
第1の直線流路21B内の内側の経路から湾曲流路21Cに流入し、第2の直線流路21D内の外側の経路に向かう経路の流速が相対的に速いことがわかる。また、第1の直線流路21B内の外側の経路から湾曲流路21C内の外側の経路に繋がる経路の流速、及び第2の直線流路21D内の内側の経路の流速が、相対的に遅いことがわかる。流速の遅い領域で、冷却能力が相対的に低く、流速の速い領域では、冷却能力が相対的に高い。
【0020】
図3に、比較例による電力変換装置の冷却板20の温度分布、及び冷却用流路21内の流速のシミュレーション結果を示す。比較例の冷却用流路21の形状は、実施例1のものと同等である。比較例では、パワーモジュール50が、第1の直線流路21Bと重なる領域の面積と、第2の直線流路21Dと重なる領域の面積とが等しい。曲率中心CCが、パワーモジュール50の中心線50C上に位置する。パワーモジュール50は、第1の直線流路21Bの幅方向の全域において、第1の直線流路21Bと重なっている。
【0021】
流速の分布は、図2に示した実施例1の場合とほぼ同様の傾向を示している。温度間隔2℃ごとに、等温線T1〜T15を破線で示す。等温線T1の温度が最も低く、等温線T15の温度が最も高い。
【0022】
図2図3とを比較すると、比較例による電力変換装置の等温線の密度が、実施例1による電力変換装置の等温線の密度よりも高いことがわかる。すなわち、比較例の方が、温度のばらつきが大きい。
【0023】
特に、比較例においては、第1の直線流路21B内の外側の経路に対応する領域の温度が高いことがわかる。これは、流速が遅いために、この部分の冷却能力が低いことに起因する。
【0024】
実施例1では、図2に示したように、第1の直線流路21B内の外側の経路上には、パワーモジュール50が配置されていない。このため、第1の直線流路21B内の外側の経路に対応する領域の温度の著しい上昇を抑制することができる。第2の直線流路21D内の内側の経路の流速も遅いが、この部分は、第1の直線流路21Bに近い。このため、第2の直線流路21D内の内側の経路を流れる冷却媒体による冷却能力の低下が、第1の直線流路21B内の内側の経路を流れる冷却媒体によって補償される。これに対し、図3に示した比較例においては、第1の直線流路21B内の外側の経路よりもさらに外側には、流路が存在しないため、この部分の冷却能力の低下が補償されない。これにより、第1の直線流路21B内の外側の経路に対応部分の温度が著しく上昇していると考えられる。
【0025】
上述のように、実施例1の構成を採用することにより、パワーモジュール50の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0026】
パワーモジュール50の、第1の直線流路21Bと重なっている縁の近傍の局所的な温度上昇を抑制するために、パワーモジュール50の縁から、第1の直線流路21Bの外側の縁までの距離を、第1の直線流路21Bの幅Wの1/4以上にすることが好ましい。また、第1の直線流路21Bとパワーモジュール50とが重ならないようにしてもよい。この場合には、パワーモジュール50の縁が、第1の直線流路21Bと第2の直線流路21Dとの間に配置される。
【0027】
また、実施例1では、厚さ方向に扁平な冷却用流路21が形成されている。このため、断面がほぼ円形の冷却管路をU字状に湾曲させて形成した冷却構造に比べて、パワーモジュール50と冷却用流路21とが重なる領域を広くすることができる。例えば、平面視において、パワーモジュール50のうち、60%以上の領域が、冷却用流路21に重なる構成とすることができる。実施例1においては、両者が重なっている領域の面積が、パワーモジュール50の面積の60%以上である。これに対し、冷却管路を湾曲させて流路を作製する場合には、曲率半径が管路の直径によって制限される。このため、パワーモジュール50のうち冷却管路と重なる領域を、パワーモジュール全域の40%以上にすることは困難である。
【0028】
[実施例2]
図4A及び図4Bに、実施例2による電力変換装置の断面図を示す。以下、図1A図1Cに示した実施例1による電力変換装置との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。実施例2による電力変換装置の平面図は、図1Aに示した実施例1の平面図と同一である。
【0029】
図4A及び図4Bは、それぞれ図1Aの一点鎖線1B−1B、1C−1Cにおける断面図を示す。実施例2では、図1B及び図1Cに示した凸部21Fが形成されておらず、冷却用流路21の底面及び上面が、いずれも平坦である。実施例1と同様に、パワーモジュール50の中心線50Cが、曲率中心CCに対して、第2の直線流路21D側にずれている。
【0030】
実施例2においても、冷却用流路21とパワーモジュール50との、平面視における相対的な位置関係が、実施例1の関係と同一である。このため、実施例1と同様に、パワーモジュール50の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0031】
[実施例3]
図5Aに、実施例3による電力変換装置の平面図を示す。以下、図1A図1Cに示した実施例1による電力変換装置との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0032】
実施例3では、第1の直線流路21Bが、幅方向に関して内側流路21Baと、それよりも外側に配置された外側流路21Bbとに分離されている。内側流路21Baの幅W1と、外側流路21Bbの幅W2との合計は、第2の直線流路21Dの幅Wと同一である。
【0033】
内側流路21Baと外側流路21Bbとに対応して、湾曲流路21Cも、内側流路21Caと外側流路21Cbとに分離されている。内側流路21Ca、外側流路21Cbの幅は、それぞれ内側流路21Ba、外側流路21Bbの幅と同一である。内側流路21Caと外側流路21Cbとは、下流に向かって徐々に近づき、第2の直線流路21Dの上流端に至るまでに1本の流路に合流する。
【0034】
パワーモジュール50は、第1の直線流路21Bのうち、内側流路21Baと重なるが、外側流路21Bbとは重ならない。なお、外側流路21Bb内の内側の経路に対応する部分が、パワーモジュール50と重なるようにしてもよい。この場合にも、外側流路21Bb内の外側の経路に対応する部分は、パワーモジュール50と重ならない。
【0035】
パワーモジュール50は、ネジ55により、冷却板20に固定されている。一部のネジ55は、内側流路21Baと外側流路21Bbとの間に配置される。
【0036】
図5Bに、図5Aの一点鎖線5B−5Bにおける断面図を示す。冷却板20内に、第1の直線流路21B及び第2の直線流路21Dが形成されている。第1の直線流路21Bは、内側流路21Baと外側流路21Bbとに分離されている。一部のネジ55が、内側流路21Baと外側流路21Bbとの間に配置されている。ネジ55は、第1の直線流路21Bの上面よりも深い位置まで到達している。
【0037】
冷却用流路21の上面は、図1B図1Cに示したように、凸部21Fが形成された形状としてもよいし、図4A図4Bに示したように、平坦にしてもよい。
【0038】
実施例3においても、パワーモジュール50が、第1の直線流路21Bの一部分にのみ重なっており、第1の直線流路21Bの外側の経路は、パワーモジュール50と重なっていない。このため、実施例1と同様に、パワーモジュール50の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0039】
パワーモジュール50から、冷却用流路21を流れる冷却媒体までの熱抵抗を小さくするために、冷却用流路21と、パワーモジュール50との間に介在する冷却板20を、なるべく薄くすることが好ましい。薄くされた部分には、ネジ55を取り付けることが困難である。実施例3では、第1の直線流路21Bを、内側流路21Baと外側流路21Bbとに分離することにより、ネジ55を挿入するための厚い部分を確保することができる。
【0040】
内側流路21Baと外側流路21Bbとの間隔は、ネジ55を挿入して固定するために十分な間隔にする必要がある。ただし、冷却媒体の流れを妨げないようにするために、両者の間隔を100mm以下にすることが好ましい。また、実施例1と同様に、パワーモジュール50の縁から、第1の直線流路21Bの外側流路21Bbの外側の縁までの距離を、幅Wの1/4以上とすることが好ましい。
【0041】
[実施例4]
図6Aに、実施例4による電力変換装置の平面図を示す。以下、図1A図1Cに示した実施例1による電力変換装置との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0042】
実施例1では、湾曲流路21Cが1つのみ配置されていたが、実施例4では、湾曲流路が複数個配置されている。すなわち、冷却用流路21が、直線流路と湾曲流路とが交互に連続する蛇行形状を有する。この場合、最も上流側の直線流路21Bを、実施例1の第1の直線流路21Bに対応付けて考えればよい。パワーモジュール50は、冷却用流路21の幅方向に関して、最も上流側の直線流路21Bの一部分のみと重なり、最も上流側の直線流路21B内の外側の経路は、パワーモジュール50と重なっていない。最も上流の直線流路以外の直線流路は、その幅方向に関して全域がパワーモジュール50と重なっている。
【0043】
中央の湾曲流路21Cの曲率中心CCを通過し、直線流路21Bの長手方向に平行な仮想直線ILに対して、パワーモジュール50の中心線50Cが、実施例1の場合と同様に、下流側の直線流路の側にずれている。
【0044】
実施例4においても、パワーモジュール50の縁よりも外側に、最も上流側の直線流路21B内の外側の経路が存在する。このため、実施例1と同様に、パワーモジュール50の局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0045】
図6Bに示すように、パワーモジュール50の縁が、最も上流側の直線流路21Bと、その隣の直線流路21D(実施例1の第2の直線流路21Dに相当)との間に配置されるように、パワーモジュール50を冷却板20に取り付けてもよい。この場合も、図6Aの実施例4の場合と同様に、中央の湾曲流路21Cの曲率中心CCを通過し、直線流路21Bの長手方向に平行な仮想直線ILに対して、パワーモジュール50の中心線50Cが、下流側の直線流路の側にずれている。
【0046】
[実施例5]
図7に、実施例5による電力変換装置の平面図を示す。以下、図1A図1Cに示した実施例1による電力変換装置との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0047】
実施例5においても、冷却用流路21は、第1の直線流路21B、湾曲流路21C、及び第2の直線流路21Dを含む。第1の直線流路21Bは、第1の向き(図7において上向き)に冷却媒体を流す。第2の直線流路21Dは、第1の直線流路21Bの側方に配置され、第1の向きとは反対向き(図7において下向き)に冷却媒体を流す。湾曲流路21Cは、第1の直線流路21Bの下流端を、第2の直線流路21Dの上流端に接続する。湾曲流路21Cは、第1の直線流路21Bの下流端から離れるに従って、一旦、第2の直線流路21Dから遠ざかる方向に湾曲し、その後、第2の直線流路21Dに繋がる。
【0048】
湾曲流路21Cの最小曲率半径を有する部分の曲率中心CCを通過し、第1の向きと平行な仮想直線ILを基準として、パワーモジュール50は、第1の直線流路21Bの幅方向に関して、第2の直線流路21Dの方に偏った位置に取り付けられている。実施例5においては、第1の直線流路21B及び第2の直線流路21Dの双方が、幅方向に関して、全域においてパワーモジュール50と重なっている。
【0049】
湾曲流路21Cの曲率中心CCを通過し、直線流路21Bの長手方向に平行な仮想直線ILと、パワーモジュール50の中心線50Cとは、実施例1の場合と同様に、相互にずれている。
【0050】
湾曲流路21Cが、一旦、外側に向かって湾曲しているため、第1の直線流路21B内の外側の経路の流速が、図2に示した例に比べて遅くならない。このため、パワーモジュール50の温度の面内分布のばらつきを抑制することができる。
【0051】
[実施例6]
図8Aに、実施例6による電力変換装置の断面図を示す。冷却板20及びパワーモジュール50は、実施例1〜実施例5のいずれかによる電力変換装置と同一の構成を有する。冷却板20内に冷却用流路21が形成されている。図8に示した断面には、湾曲流路21Cが現れている。冷却媒体排出管24が、冷却用流路21に接続されている。冷却媒体導入管23(図1A)は、図8の断面には現れない。
【0052】
冷却板20及びパワーモジュール50が、筐体60内に収容されている。筐体60は、下部容器61と上蓋62とを含む。冷却板20は、下部容器61の底面に固定されている。上蓋62は、下部容器61の開口部を塞いでいる。冷却媒体導入管23及び冷却媒体排出管24が、下部容器61の側面を貫通して、筐体60の外側まで導出されている。
【0053】
なお、図8Bに示すように、冷却板20と下部容器61とを一体的に鋳造してもよい。
【0054】
[実施例7]
図9に、実施例7による作業機械の例としてショベルの平面図を示す。下部走行体71に、旋回軸受け73を介して、上部旋回体70が取り付けられている。上部旋回体70に、エンジン74、メインポンプ75、旋回用電動モータ76、油タンク77、冷却ファン78、座席79、蓄電モジュール80、電動発電機83、電動発電機用インバータ90、
旋回用インバータ91、及び蓄電器用コンバータ92が搭載されている。エンジン74は、燃料の燃焼により動力を発生する。エンジン74、メインポンプ75、及び電動発電機83が、トルク伝達機構81を介して相互にトルクの送受を行う。メインポンプ75は、ブーム82等の油圧シリンダに圧油を供給する。
【0055】
電動発電機83は、エンジン74の動力によって駆動され、発電を行う(発電運転)。発電された電力は、蓄電モジュール80に供給され、蓄電モジュール80が充電される。また、電動発電機83は、蓄電モジュール80からの電力によって駆動され、エンジン74をアシストするための動力を発生する(アシスト運転)。油タンク77は、油圧回路の油を貯蔵する。冷却ファン78は、油圧回路の油温の上昇を抑制する。操作者は、座席79に着座して、ハイブリッド型ショベルを操作する。
【0056】
電動発電機用インバータ90、旋回用インバータ91、及び蓄電器用コンバータ92には、実施例1〜実施例6のいずれかによる電力変換装置が用いられる。
【0057】
図10に、実施例7によるショベルの部分破断側面図を示す。下部走行体71に、旋回軸受け73を介して上部旋回体70が搭載されている。上部旋回体70は、旋回フレーム70A、カバー70B、及びキャビン70Cを含む。旋回フレーム70Aは、キャビン70C、及び種々の部品の支持構造体として機能する。カバー70Bは、旋回フレーム70Aに搭載された種々の部品、例えば蓄電モジュール80、蓄電器用コンバータ92等を覆う。キャビン70C内に座席79(図9)が収容されている。
【0058】
旋回用電動モータ76(図9)が、その駆動対象である旋回フレーム70Aを、下部走行体71に対して、時計回り、または反時計周りに旋回させる。上部旋回体70に、ブーム82が取り付けられている。ブーム82は、油圧駆動されるブームシリンダ107により、上部旋回体70に対して上下方向に揺動する。ブーム82の先端に、アーム85が取り付けられている。アーム85は、油圧駆動されるアームシリンダ108により、ブーム82に対して前後方向に揺動する。アーム85の先端にバケット86が取り付けられている。バケット86は、油圧駆動されるバケットシリンダ109により、アーム85に対して上下方向に揺動する。
【0059】
蓄電モジュール80が、蓄電モジュール用マウント95及びダンパ(防振装置)96を介して、旋回フレーム70Aに搭載されている。蓄電器用コンバータ92は、コンバータ用マウント97及びダンパ98を介して、旋回フレーム70Aに搭載されている。カバー70Bが蓄電モジュール80を覆う。蓄電モジュール80から供給される電力によって、旋回用電動モータ76(図9)が駆動される。また、旋回用電動モータ76は、運動エネルギを電気エネルギに変換することによって回生電力を発生する。発生した回生電力によって、蓄電モジュール80が充電される。
【0060】
実施例1〜実施例6のいずれかによる電力変換装置を用いているため、電動発電機用インバータ90、旋回用インバータ91、及び蓄電器用コンバータ92内のパワーモジュールの局所的な温度上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0061】
[実施例8]
図11に、実施例8による作業機械の例として荷役作業車両(フォークリフト)の部分破断側面図を示す。実施例8による荷役作業車両は、フォーク111、車輪112、インストルメントパネル113、ハンドル114、レバー115、及び座席116を含む。車台に、走行モータ用インバータ120及び蓄電器用コンバータ121が、ダンパ等を介して搭載されている。走行モータ用インバータ120及び蓄電器用コンバータ121には、実施例1〜実施例6のいずれかの電力変換装置が用いられる。走行モータ用インバータ120は、走行用モータに電力を供給する。蓄電器用コンバータ121は、蓄電器の充放電を行う。
【0062】
運転者が、座席116に搭乗し、ハンドル114、複数のレバー115、アクセルペダル、ブレーキペダル、その他の各種スイッチを操作する。これらの操作により、フォーク111の昇降、荷役作業車両の前進と後退、右折と左折等の動作が行われる。これらの動作を組み合わせることにより、荷物の積み降ろし、搬送等を行うことができる。
【0063】
実施例1〜実施例6のいずれかによる電力変換装置を用いているため、走行モータ用インバータ120及び蓄電器用コンバータ121内のパワーモジュールの温度の局所的な上昇を抑制し、信頼性を高めることができる。
【0064】
上記実施例1〜6による電力変換装置に含まれるパワーモジュール50(例えば図1A図1C)が、三相交流電動機の1相(U相、V相、W相のうちの1つ)のみの制御を行う場合、U相、V相、W相に対応して3個の電力変換装置を準備すればよい。この場合、実施例1〜6に示したパワーモジュール50と冷却板20とからなる電力変換装置を、複数個(例えば3個)、横方向(冷却板20の面内方向)に配置することにより、三相交流電動機の三相分の電力変換装置を構成することができる。また、実施例1〜6に示したパワーモジュール50と冷却板20とからなる電力変換装置を、複数個(例えば3個)、縦方向(冷却板20の厚さ方向)に積み重ねた構成としてもよい。
【0065】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0066】
上述の実施例1〜実施例8に基づき、下記の付記に記載された発明を開示する。
【0067】
(付記1)
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有し、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記第2の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積が、前記第1の直線流路と前記パワーモジュールとが重なる領域の面積より大きい電力変換装置。
【0068】
(付記2)
前記第1の直線流路の幅と、前記第2の直線流路の幅とが等しく、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の全域が前記パワーモジュールと重なっているが、前記第1の直線流路は、幅方向に関して少なくとも一部分は前記パワーモジュールと重なっていない付記2に記載の電力変換装置。
【0069】
(付記3)
前記第1の直線流路は、幅方向に関して外側流路と内側流路とに分離されており、前記外側流路及び内側流路は、前記湾曲流路内において、前記第2の直線流路に至る前に1本の流路に合流する付記1または2に記載の電力変換装置。
【0070】
(付記4)
前記流路の、前記パワーモジュールが取り付けられた側の内面に、冷却媒体の流れの方向に沿う尾根状の凸部が形成されている付記1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【0071】
(付記5)
前記第1の直線流路の断面積と、前記第2の直線流路の断面積とは、同一である付記1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【0072】
(付記6)
平面視において、前記パワーモジュールのうち、前記流路と重なっている領域が、前記パワーモジュールの全域の60%以上である付記1乃至5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【0073】
(付記7)
冷却媒体を流す流路を含む冷却板と、
前記冷却板に取り付けられて、該冷却板に熱的に結合するパワーモジュールと
を有し、
前記流路は、第1の向きに冷却媒体を流す第1の直線流路と、前記第1の直線流路の側方に配置され、前記第1の向きとは反対向きの第2の向きに冷却媒体を流す第2の直線流路と、前記第1の直線流路及び前記第2の直線流路に連続し、前記第1の直線流路を流れてきた冷却媒体の進行方向を変えて、前記第2の直線流路に流入させる湾曲流路とを含み、
前記湾曲流路の最小曲率半径を有する部分の曲率中心を通過し、前記第1の向きと平行な仮想直線を基準として、前記パワーモジュールは、前記第1の直線流路の幅方向に関して、前記第2の直線流路の方に偏った位置に取り付けられている電力変換装置。
【0074】
(付記8)
前記湾曲流路は、前記第1の直線流路の下流端から離れるに従って、一旦、前記第2の直線流路から遠ざかる方向に湾曲し、その後、前記第2の直線流路に繋がる付記7に記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0075】
20 冷却板
21 流路
21A 上流端
21B 第1の直線流路(最も上流側の直線流路)
21Ba 内側流路
21Bb 外側流路
21C 湾曲流路
21D 第2の直線流路
21E 下流端
21F 凸部
21G 最も下流側の直線流路
23 冷却媒体導入管
24 冷却媒体排出管
50 パワーモジュール
51 ベース板
52 半導体素子
53 封止樹脂
55 ネジ
60 筐体
61 下部容器
62 上蓋
70 上部旋回体
70A 旋回フレーム
70B カバー
70C キャビン
71 下部走行体
73 旋回軸受け
74 エンジン
75 メインポンプ
76 旋回用電動モータ
77 油タンク
78 冷却ファン
79 座席
80 蓄電モジュール
81 トルク伝達機構
82 ブーム
83 電動発電機
85 アーム
86 バケット
90 電動発電機用インバータ
91 旋回用インバータ
92 蓄電器用コンバータ
95 蓄電モジュール用マウント
96 ダンパ(防振装置)
97 コンバータ用マウント
98 ダンパ
107 ブームシリンダ
108 アームシリンダ
109 バケットシリンダ
111 フォーク
112 車輪
113 インストルメントパネル
114 ハンドル
115 レバー
116 座席
120 走行モータ用インバータ
121 蓄電器用コンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11