特許第6281846号(P6281846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281846
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/93 20060101AFI20180208BHJP
   B60R 21/00 20060101ALN20180208BHJP
【FI】
   G01S13/93 220
   !B60R21/00 624B
   !B60R21/00 624D
   !B60R21/00 624E
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-142894(P2015-142894)
(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-26376(P2017-26376A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年6月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】小太刀 崇
(72)【発明者】
【氏名】清水 正晴
(72)【発明者】
【氏名】荻原 一輝
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】入江 清
(72)【発明者】
【氏名】奥村 悠
(72)【発明者】
【氏名】永野 雅邦
(72)【発明者】
【氏名】大和 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴之
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−022280(JP,A)
【文献】 特開2010−175487(JP,A)
【文献】 特表2014−526034(JP,A)
【文献】 特開2006−292537(JP,A)
【文献】 特開2003−132447(JP,A)
【文献】 特開昭63−033688(JP,A)
【文献】 特開2010−230410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0078600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 − G01S 7/42
G01S 13/00 − G01S 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物までの距離を検出する距離センサと、前記距離センサを制御する制御手段とを備え、陸上を移動する陸上用移動体に用いられる情報処理装置であって、
前記陸上用移動体は、
第1の使用目的に応じた第1の使用形態と、前記第1の使用形態を可逆的に変形して構成されるとともに、前記第1の使用目的とは異なる第2の使用目的に応じた第2の使用形態とを有する本体を備え、
前記制御手段は、
前記第1の使用形態に変形した前記本体の移動を制御する第1の制御系と、
前記第2の使用形態に変形した前記本体の移動を制御する第2の制御系と、
前記距離センサの第1の検出範囲を用いることによって、前記陸上用移動体の移動を制御する標準の機能を実行する標準機能実行部と、
前記第1の検出範囲とは異なる前記距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、前記標準の機能と異なる特殊な機能を実行する特殊機能実行部とを備え
前記特殊機能実行部は、前記距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、前記第1の制御系および前記第2の制御系の切り替えを実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された情報処理装置において、
前記距離センサは、
所定の距離よりも遠くにある対象物を検出する前記第1の検出範囲と、
前記所定の距離よりも近くにある対象物を検出する前記第2の検出範囲とを有し、
前記特殊機能実行部は、前記距離センサの前記第2の検出範囲にて対象物を検出したことを契機として前記第1の制御系および前記第2の制御系の切り替えを実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された情報処理装置において、
前記特殊機能実行部は、前記距離センサの前記第2の検出範囲にて対象物を検出していた時間が所定の時間よりも長いことを契機として前記制御手段の動作態様の切り替えを実行することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物までの距離を検出する距離センサを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物までの距離を検出する距離センサを備えた情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された障害物検知装置(情報処理装置)は、車両に設けられた2個以上の距離センサを備え、これらの距離センサにて検出された障害物までの距離に基づいて障害物の高さを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−105915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された障害物検知装置は、障害物の高さを判別する機能を実行するためにのみ距離センサを利用しているので、新たな機能を実行するために新たな部品を設けなければならないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、部品点数を削減することができ、製造コストを低減させることができる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、対象物までの距離を検出する距離センサと、距離センサを制御する制御手段とを備え、陸上を移動する陸上用移動体に用いられる情報処理装置であって、陸上用移動体は、第1の使用目的に応じた第1の使用形態と、第1の使用形態を可逆的に変形して構成されるとともに、第1の使用目的とは異なる第2の使用目的に応じた第2の使用形態とを有する本体を備え、制御手段は、第1の使用形態に変形した本体の移動を制御する第1の制御系と、第2の使用形態に変形した本体の移動を制御する第2の制御系と、距離センサの第1の検出範囲を用いることによって、陸上用移動体の移動を制御する標準の機能を実行する標準機能実行部と、第1の検出範囲とは異なる距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、標準の機能と異なる特殊な機能を実行する特殊機能実行部とを備え、特殊機能実行部は、距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、第1の制御系および第2の制御系の切り替えを実行することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、特殊機能実行部は、陸上用移動体の移動を制御する標準の機能を実行するために情報処理装置に設けられた距離センサを利用することによって、新たな部品を設けることなく特殊な機能を実行することができるので、情報処理装置の部品点数を削減することができ、ひいては情報処理装置の製造コストを低減させることができる。
【0009】
また、特殊機能実行部は、距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、第1の制御系および第2の制御系の切り替えを実行することができるので、情報処理装置の部品点数を削減することができ、ひいては情報処理装置の製造コストを低減させることができる。


【0010】
本発明では、距離センサは、所定の距離よりも遠くにある対象物を検出する第1の検出範囲と、所定の距離よりも近くにある対象物を検出する第2の検出範囲とを有し、特殊機能実行部は、距離センサの第2の検出範囲にて対象物を検出したことを契機として第1の制御系および第2の制御系の切り替えを実行することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、特殊機能実行部は、距離センサにて検出された対象物までの距離に基づいて第1の制御系および第2の制御系を切り替えることができる。したがって、特殊機能実行部は、例えば、距離センサにて検出された対象物の方向や大きさなどに基づいて第1の制御系および第2の制御系を切り替える場合と比較して、その構成を簡素にすることができる。

【0012】
本発明では、特殊機能実行部は、距離センサの第2の検出範囲にて対象物を検出していた時間が所定の時間よりも長いことを契機として制御手段の動作態様の切り替えを実行することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、特殊機能実行部は、距離センサの第2の検出範囲にて対象物を検出していた時間に基づいて制御手段の動作態様の切り替えを実行することができる。したがって、特殊機能実行部は、例えば、距離センサの第2の検出範囲にて対象物を検出した回数などに基づいて制御手段の動作態様の切り替えを実行する場合と比較して、その構成を簡素にすることができ、誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る陸上用移動体を側面側から見た模式図
図2】陸上用移動体を上面側から見た模式図
図3】陸上用移動体を使用している状態を示す図
図4】手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を側面側から見た模式図
図5】手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を上面側から見た模式図
図6】手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を使用している状態を示す図
図7】制御手段の機能ブロック図
図8】距離センサの検出範囲を示す図
図9】ジョイスティックの拡大図
図10】距離センサにて検出された対象物の方向に基づいて制御手段の動作態様を切り替える場合の距離センサの検出範囲を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る陸上用移動体を側面側から見た模式図である。図2は、陸上用移動体を上面側から見た模式図である。
陸上用移動体1は、図1および図2に示すように、陸上を移動する本体2と、この本体2の移動を制御する制御手段3とを備えている。
なお、図1および図2では、陸上用移動体1の前進方向を紙面左方向とし、この方向を+X軸方向とし、鉛直上方向を+Z軸方向とし、X軸およびZ軸に直交する軸をY軸として説明する。以下の図面においても同様である。
【0016】
この陸上用移動体1は、本体2に使用者を乗せて走行することを第1の使用目的とし、この第1の使用目的に応じた第1の使用形態としての搭乗モードと、本体2に荷物を載せて使用者が手を添えて走行することを第2の使用目的とし、この第2の使用目的に応じた第2の使用形態としての手押し荷車モードとの間を可逆的に変形させることができるように構成されている。
したがって、本実施形態では、本体2は、第1の使用目的に応じた第1の使用形態と、第1の使用形態を可逆的に変形して構成されるとともに、第1の使用目的とは異なる第2の使用目的に応じた第2の使用形態とを有している。
【0017】
まず、搭乗モードに変形した陸上用移動体1を示す図1および図2を参照して陸上用移動体1の構成について説明する。
本体2は、左右一対の駆動輪21と、左右一対の補助輪22と、駆動輪21および補助輪22の鉛直上方に設けられたベースフレーム23と、使用者や荷物などを搭載すべくベースフレーム23に取り付けられた搭載部24と、ベースフレーム23の鉛直上方に設けられたハンドル25とを備えている。この陸上用移動体1の本体2は、駆動輪21を回転させることによって陸上を移動する。
【0018】
左右一対の駆動輪21のそれぞれは、フレーム21Aを介してベースフレーム23に連結し、フレーム21Aに対してY軸回りに回転自在となっている。フレーム21Aのそれぞれは、駆動輪21をY軸回りに回転させるモータ21Bを備えている。
左右一対の補助輪22のそれぞれは、フレーム22Aを介してベースフレーム23に連結し、フレーム22Aに対してY軸およびZ軸回りに回転自在となっている。
【0019】
ベースフレーム23は、+X軸方向側に取り付けられた距離センサ23Aを備え、この距離センサ23Aは、対象物までの距離を検出する。前述した制御手段3は、このベースフレーム23の内部に収納されている。
搭載部24は、その上面に使用者や荷物などを搭載することができるように、その上面を水平面とするようにベースフレーム23に取り付けられている。
【0020】
ハンドル25は、その上面の−Y軸方向側に設けられたジョイスティック25Aを備え、ハンドルフレーム25Bを介してベースフレーム23に連結している。
ジョイスティック25Aは、本体2の移動を操作するための操作入力を受け付ける操作手段として機能する。このジョイスティック25Aの機能については後に詳述する。
なお、本実施形態では、陸上用移動体1は、操作手段としてジョイスティック25Aを採用しているが、プッシュボタンなどの他の操作手段を採用してもよい。
【0021】
ハンドルフレーム25Bは、ロック(図示略)を開錠することによって、ベースフレーム23を中心としてY軸回りに回転させることができ、ロックを施錠することによって、所定の回転位置でベースフレーム23に固定することができるように構成されている。
【0022】
図3は、陸上用移動体を使用している状態を示す図である。
陸上用移動体1は、図3に示すように、本体2に使用者を乗せて走行することができる。具体的には、使用者は、本体2の搭載部24に腰をかけて座った状態でハンドル25を握り、ジョイスティック25Aを操作することによって、陸上用移動体1を走行させることができる。
【0023】
図4は、手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を側面側から見た模式図である。図5は、手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を上面側から見た模式図である。
陸上用移動体1は、図4および図5に示すように、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を下降させた位置でベースフレーム23に固定することによって(図4矢印参照)、手押し荷車モードに変形することができる。換言すれば、陸上用移動体1は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を上昇させた位置でベースフレーム23に固定することによって(図1および図2参照)、搭乗モードに変形することができる。
【0024】
図6は、手押し荷車モードに変形した陸上用移動体を使用している状態を示す図である。
陸上用移動体1は、図6に示すように、搭乗モードのときの使用者の位置とジョイスティック25Aを挟んで反対側の位置から本体2に荷物Pを載せて使用者が手を添えて走行することができる。具体的には、使用者は、本体2の搭載部24に荷物Pを載せて、駆動輪21の+X軸方向側に立ち、本体2に手を添えた状態でハンドル25を握り、ジョイスティック25Aを操作することによって、陸上用移動体1を走行させることができる。
【0025】
図7は、制御手段の機能ブロック図である。
制御手段3は、図7に示すように、搭乗モードに変形した本体2の移動を制御する搭乗モード制御系31(第1の制御系)と、手押し荷車モードに変形した本体2の移動を制御する手押し荷車モード制御系32(第2の制御系)と、搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替える制御系切替部33とを備えている。
また、制御手段3は、搭乗モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力に応じて操作する搭乗モード操作系34(第1の操作系)と、手押し荷車モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力に応じて操作する手押し荷車モード操作系35(第2の操作系)と、搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替える操作系切替部36とを備えている。
【0026】
搭乗モード制御系31は、搭乗モード操作系34から出力された指令値に基づいて、モータ21Bを駆動して左右一対の駆動輪21を回転させることによって、搭乗モードに変形した本体2の移動を制御する。具体的には、搭乗モード制御系31は、左右一対の駆動輪21を同方向に回転させることによって、本体2を前進または後退させる。また、搭乗モード制御系31は、左右一対の駆動輪21を逆方向に回転させることによって、本体2を右旋回または左旋回させる。
【0027】
この搭乗モード制御系31は、約10km/hの最大速度(搭乗モード操作系34から出力された指令値が最大となったときの速度)を有している。
また、搭乗モード制御系31は、距離センサ23Aを用いることによって、本体2の+X軸方向側に存在する障害物を検知する処理を実行する。そして、障害物を検知した場合には、搭乗モード制御系31は、搭乗モード操作系34から出力された指令値に関わらず、左右一対の駆動輪21にブレーキをかけて本体2の移動速度を減速、または本体2の移動を停止する。
【0028】
図8は、距離センサの検出範囲を示す図である。
距離センサ23Aは、図8に示すように、+X軸方向を中心として約270度の検出範囲ARに存在する対象物を検出することができる。具体的には、距離センサ23Aは、対象物の存在する方向と、対象物までの距離を検出することができる。
ここで、搭乗モード制御系31は、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、所定の距離よりも遠くにある対象物を検出する第1の検出範囲AR1(駆動輪21を含まないように設定された検出範囲)を用いることによって、本体2の+X軸方向側に存在する障害物を検知する処理を実行する。
【0029】
したがって、本実施形態では、搭乗モード制御系31は、距離センサ23Aの第1の検出範囲AR1を用いることによって、標準の機能(障害物の検知)を実行する標準機能実行部としても機能する。
また、本実施形態では、ベースフレーム23は、対象物までの距離を検出する距離センサ23Aと、距離センサ23Aを制御する制御手段3とを備えた情報処理装置として機能する。
なお、本実施形態では、標準機能実行部は、標準の機能として障害物の検知を実行しているが、これ以外の機能を実行するようにしてもよい。要するに、標準機能実行部は、距離センサの第1の検出範囲を用いることによって、標準の機能を実行すればよい。
【0030】
手押し荷車モード制御系32は、手押し荷車モード操作系35から出力された指令に基づいて、モータ21Bを駆動して左右一対の駆動輪21を回転させることによって、手押し荷車モードに変形した本体2の移動を制御する。具体的には、手押し荷車モード制御系32は、左右一対の駆動輪21を同方向に回転させることによって、本体2を前進または後退させる。また、手押し荷車モード制御系32は、左右一対の駆動輪21を逆方向に回転させることによって、本体2を右旋回または左旋回させる。
この手押し荷車モード制御系32は、約4km/hの最大速度(手押し荷車モード操作系35から出力された指令値が最大となったときの速度)を有している。手押し荷車モード制御系32の最大速度は、ゆっくりと人が歩く速度と略同程度の速度に設定されており、搭乗モード制御系31の最大速度よりも小さい。
なお、手押し荷車モード制御系32は、搭乗モード制御系31とは異なり、障害物を検知する処理を実行しない。
【0031】
制御系切替部33は、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、所定の距離よりも近くにある対象物を検出する第2の検出範囲AR2(駆動輪21を含むように設定された検出範囲)を用いることによって、搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替える。具体的には、制御系切替部33は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出していた時間が所定の時間(例えば、3秒)よりも長いことを契機として搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替える。
なお、本実施形態では、距離センサ23Aの第1の検出範囲AR1と、第2の検出範囲AR2とは隣り合っているが、これらの間にマージンをとるようにしてもよい。
【0032】
このように、本実施形態では、制御系切替部33は、第1の検出範囲AR1とは異なる距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2を用いることによって、制御手段3の動作態様の切り替えを実行する。
なお、本実施形態では、制御系切替部33は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出していた時間が所定の時間よりも長いことを契機として搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替えているが、例えば、対象物を検出した回数などを契機として搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替えてもよい。
【0033】
搭乗モード操作系34は、ジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力を指令値に変換して搭乗モード制御系31に入力することによって、搭乗モードに変形した本体2の移動を操作する。
手押し荷車モード操作系35は、ジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力を反転させた反転操作入力を指令値に変換して手押し荷車モード制御系32に入力することによって、手押し荷車モードに変形した本体2の移動を操作する。
【0034】
図9は、ジョイスティックの拡大図である。具体的には、図9(A)は、搭乗モード操作系34にて本体2の移動を操作するときのジョイスティック25Aを示す図であり、図9(B)は、手押し荷車モード操作系35にて本体2の移動を操作するときのジョイスティック25Aを示す図である。
搭乗モード操作系34は、図9(A)に示すように、ジョイスティック25Aを+X軸方向側に倒したときに本体2を前進(RF)させる。搭乗モード操作系34は、ジョイスティック25Aを−X軸方向側に倒したときに本体2を後退(RB)させる。搭乗モード操作系34は、ジョイスティック25Aを−Y軸方向側に倒したときに本体2を右旋回(RR)させる。搭乗モード操作系34は、ジョイスティック25Aを+Y軸方向側に倒したときに本体2を左旋回(RL)させる。
【0035】
これに対して、手押し荷車モード操作系35は、図9(B)に示すように、ジョイスティック25Aを−X軸方向側に倒したときに本体2を前進(CF)させる。手押し荷車モード操作系35は、ジョイスティック25Aを+X軸方向側に倒したときに本体2を後退(CB)させる。手押し荷車モード操作系35は、ジョイスティック25Aを+Y軸方向側に倒したときに本体2を右旋回(CR)させる。手押し荷車モード操作系35は、ジョイスティック25Aを−Y軸方向側に倒したときに本体2を左旋回(CL)させる。
【0036】
ここで、手押し荷車モード操作系35では、ジョイスティック25Aを−Y軸方向側に倒したときに左右一対の駆動輪21を回転させる方向は、搭乗モード操作系34に対して反転している。また、手押し荷車モード操作系35では、ジョイスティック25Aを+Y軸方向側に倒したときに左右一対の駆動輪21を回転させる方向は、搭乗モード操作系34に対して反転している。
このように、搭乗モード操作系34は、搭乗モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力に応じて操作し、手押し荷車モード操作系35は、手押し荷車モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力の左右を反転させた反転操作入力に応じて操作する。
【0037】
操作系切替部36は、制御系切替部33にて制御手段3の動作態様を搭乗モード制御系31に切り替えたことを契機として搭乗モード操作系34に切り替える。また、操作系切替部36は、制御系切替部33にて制御手段3の動作態様を手押し荷車モード制御系32に切り替えたことを契機として手押し荷車モード操作系35に切り替える。
換言すれば、操作系切替部36は、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、所定の距離よりも近くにある対象物を検出する第2の検出範囲AR2(駆動輪21を含まないように設定された検出範囲)を用いることによって、搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替える。具体的には、操作系切替部36は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出していた時間が所定の時間(例えば、3秒)よりも長いことを契機として搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替える。
【0038】
このように、本実施形態では、操作系切替部36は、第1の検出範囲AR1とは異なる距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2を用いることによって、制御手段3の動作態様の切り替えを実行する。
なお、本実施形態では、操作系切替部36は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出していた時間が所定の時間よりも長いことを契機として搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替えているが、例えば、対象物を検出した回数などを契機として搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替えてもよい。
【0039】
したがって、使用者は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を下降させた位置でベースフレーム23に固定することによって、陸上用移動体1を手押し荷車モードに変形させた後、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2に手をかざすことによって、手押し荷車モード制御系32および手押し荷車モード操作系35に切り替えることができる。
また、使用者は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を上昇させた位置でベースフレーム23に固定することによって、陸上用移動体1を搭乗モードに変形させた後、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2に手をかざすことによって、搭乗モード制御系31および搭乗モード操作系34に切り替えることができる。
なお、使用者は、本体2に取り付けられたLED(図示略)を参照することによって、現在の制御手段3の動作態様を確認することができる。
【0040】
したがって、本実施形態では、制御系切替部33および操作系切替部36は、第1の検出範囲AR1とは異なる距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2を用いることによって、標準の機能(障害物の検知)と異なる特殊な機能(制御手段3の動作態様の切り替え)を実行する特殊機能実行部としても機能する。
なお、本実施形態では、特殊機能実行部は、特殊な機能として制御手段の動作態様の切り替えを実行しているが、これ以外の機能を実行するようにしてもよい。例えば、特殊機能実行部は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2を用いることによって、本体2の使用態様(搭乗モードまたは手押し荷車モード)を判別する機能を実行するようにしてもよい。要するに、特殊機能実行部は、第1の検出範囲とは異なる距離センサの第2の検出範囲を用いることによって、標準の機能と異なる特殊な機能を実行すればよい。
【0041】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)陸上用移動体1は、互いに使用目的の異なる搭乗モードおよび手押し荷車モードを有する本体2を備え、搭乗モードおよび手押し荷車モードは、可逆的に変形可能に構成されているので、多様な環境に適応することができ、利便性を向上させることができる。また、制御系切替部33は、搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32を切り替えるので、搭乗モードに変形したときに搭乗モード制御系31に切り替えることによって、本体2の移動を適切に制御することができ、手押し荷車モードに変形したときに手押し荷車モード制御系32に切り替えることによって、本体2の移動を適切に制御することができる。
(2)陸上用移動体1の最大速度は、本体2に荷物Pを載せて使用者が手を添えて走行する手押し荷車モードでは、本体2に使用者を乗せて走行する搭乗モードよりも小さくなっているので、陸上用移動体1の安全性を向上させることができる。
【0042】
(3)操作系切替部36は、搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35を切り替えるので、搭乗モードに変形したときに搭乗モード操作系34に切り替えることによって、本体2の移動を使用者が適切に操作することができ、手押し荷車モードに変形したときに手押し荷車モード操作系35に切り替えることによって、本体2の移動を使用者が適切に操作することができる。
(4)搭乗モード操作系34は、搭乗モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力に応じて操作し、手押し荷車モード操作系35は、手押し荷車モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力を反転させた反転操作入力に応じて操作するので、使用者は、本体2に使用者を乗せて走行する搭乗モードと、搭乗モードのときの使用者の位置とジョイスティック25Aを挟んで反対側の位置から本体2に荷物Pを載せて使用者が手を添えて走行する手押し荷車モードとを適切に操作することができる。
【0043】
(5)制御系切替部33および操作系切替部36は、障害物の検知を実行するために本体2に設けられた距離センサ23Aを利用することによって、新たなスイッチ等を本体2に設けることなく制御手段3の動作態様の切り替えを実行することができる。具体的には、制御系切替部33は、搭乗モード制御系31および手押し荷車モード制御系32の切り替えを実行することができ、操作系切替部36は、搭乗モード操作系34および手押し荷車モード操作系35の切り替えを実行することができるので、陸上用移動体1の部品点数を削減することができ、ひいては陸上用移動体1の製造コストを低減させることができる。
【0044】
(6)制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aにて検出された対象物までの距離に基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行することができる。したがって、制御系切替部33および操作系切替部36は、例えば、距離センサ23Aにて検出された対象物の方向や大きさなどに基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行する場合と比較して、その構成を簡素にすることができる。
(7)制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出していた時間に基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行することができる。したがって、制御系切替部33および操作系切替部36は、例えば、距離センサ23Aの第2の検出範囲AR2にて対象物を検出した回数などに基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行する場合と比較して、その構成を簡素にすることができ、誤動作を抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、陸上用移動体1は、本体2に使用者を乗せて走行することを第1の使用目的とし、この第1の使用目的に応じた第1の使用形態としての搭乗モードと、本体2に荷物Pを載せて使用者が手を添えて走行することを第2の使用目的とし、この第2の使用目的に応じた第2の使用形態としての手押し荷車モードとを有していた。これに対して、陸上用移動体は、本体に使用者を乗せて使用者が地面を蹴ることによって走行することを使用目的とし、この使用目的に応じた使用形態を有していてもよく、本体を使用者が牽引することによって走行することを使用目的とし、この使用目的に応じた使用形態を有していてもよい。要するに、本体は、第1の使用目的に応じた第1の使用形態と、第1の使用形態を可逆的に変形して構成されるとともに、第1の使用目的とは異なる第2の使用目的に応じた第2の使用形態とを有していればよい。
【0046】
前記実施形態では、手押し荷車モード制御系32の最大速度は、搭乗モード制御系31の最大速度よりも小さく設定されていたが、このように設定されていなくてもよい。要するに、第1の制御系は、第1の使用形態に変形した本体の移動を制御することができればよく、第2の制御系は、第2の使用形態に変形した本体の移動を制御することができればよい。
前記実施形態では、搭乗モード操作系34は、搭乗モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力に応じて操作し、手押し荷車モード操作系35は、手押し荷車モードに変形した本体2の移動をジョイスティック25Aにて受け付けた操作入力の左右を反転させた反転操作入力に応じて操作していたが、反転操作入力に応じて操作しなくてもよい。要するに、第1の操作系は、第1の使用形態に変形した本体の移動を操作手段にて受け付けた操作入力に応じて操作することができればよく、第2の操作系は、第2の使用形態に変形した本体の移動を操作手段にて受け付けた操作入力に応じて操作することができればよい。
【0047】
前記実施形態では、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aにて検出された対象物までの距離に基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行していたが、例えば、距離センサ23Aにて検出された対象物の方向や大きさなどに基づいて制御手段3の動作態様の切り替えを実行してもよい。
【0048】
図10は、距離センサにて検出された対象物の方向に基づいて制御手段の動作態様を切り替える場合の距離センサの検出範囲を示す図である。
前述の距離センサ23Aは、図10に示すように、+X軸方向を中心として約270度の検出範囲ARに存在する対象物を検出することができる。具体的には、距離センサ23Aは、対象物の存在する方向と、対象物までの距離を検出することができる。
ここで、搭乗モード制御系31は、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、+X軸方向側の対象物を検出する検出範囲ARFを用いることによって、本体2の+X軸方向側に存在する障害物を検知する処理を実行する。
【0049】
そして、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、−Y軸方向側の対象物を検出する検出範囲ARRを用いることによって、制御手段3の動作態様を搭乗モード制御系31および搭乗モード操作系34に切り替え、距離センサ23Aの検出範囲ARのうち、+Y軸方向側の対象物を検出する検出範囲ARLを用いることによって、制御手段3の動作態様を手押し荷車モード制御系32および手押し荷車モード操作系35に切り替える。
【0050】
具体的には、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aの検出範囲ARRにて対象物を検出していた時間が所定の時間(例えば、3秒)よりも長いことを契機として制御手段3の動作態様を搭乗モード制御系31および搭乗モード操作系34に切り替え、距離センサ23Aの検出範囲ARLにて対象物を検出していた時間が所定の時間(例えば、3秒)よりも長いことを契機として制御手段3の動作態様を手押し荷車モード制御系32および手押し荷車モード操作系35に切り替える。
【0051】
これによれば、使用者は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を下降させた位置でベースフレーム23に固定することによって、陸上用移動体1を手押し荷車モードに変形させた後、距離センサ23Aの検出範囲ARLに手をかざすことによって、手押し荷車モード制御系32および手押し荷車モード操作系35に切り替えることができる。
また、使用者は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を上昇させた位置でベースフレーム23に固定することによって、陸上用移動体1を搭乗モードに変形させた後、距離センサ23Aの第2の検出範囲ARRに手をかざすことによって、搭乗モード制御系31および搭乗モード操作系34に切り替えることができる。
【0052】
なお、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aに使用者が手をかざすことに依拠することなく、本体2の使用態様(搭乗モードまたは手押し荷車モード)を判別することによって、自動的に制御手段3の動作態様の切り替えを実行してもよい。
例えば、制御系切替部33および操作系切替部36は、本体2の使用態様を判別するモード判別手段を備え、このモード判別手段を用いることによって、自動的に制御手段3の動作態様の切り替えを実行してもよい。
【0053】
具体的には、制御系切替部33および操作系切替部36は、例えば、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を下降させた位置でベースフレーム23に固定することによって(手押し荷車モードに変形した場合に)、図10に示した距離センサ23Aの検出範囲ARL(または検出範囲ARR)に近接し、距離センサ23Aに対象物として検出される邪魔板をモード判別手段として採用することができる。この邪魔板は、ハンドルフレーム25Bを回転させてハンドル25を上昇させた位置でベースフレーム23に固定することによって(搭乗モードに変形した場合に)、距離センサ23Aの検出範囲ARL(または検出範囲ARR)から離間し、距離センサ23Aに対象物として検出されなくなる。なお、この邪魔板は、ハンドルフレーム25Bに設けられている。
【0054】
そして、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aの検出範囲ARL(または検出範囲ARR)にて邪魔板を検出した場合に手押し荷車モード制御系32および手押し荷車モード操作系35に切り替え、距離センサ23Aの検出範囲ARL(または検出範囲ARR)にて邪魔板を検出していない場合に搭乗モード制御系31および搭乗モード操作系34に切り替える。
これによれば、制御系切替部33および操作系切替部36は、距離センサ23Aに使用者が手をかざすことに依拠することなく、本体2の使用態様(搭乗モードまたは手押し荷車モード)を判別することによって、自動的に制御手段3の動作態様の切り替えを実行することができる。
【0055】
前記実施形態では、情報処理装置は、陸上用移動体1に採用していたが、陸上用移動体とは異なるシステムに情報処理装置を採用していてもよい。要するに、情報処理装置は、対象物までの距離を検出する距離センサと、距離センサを制御する制御手段とを備え、距離センサの所定の検出範囲を用いることによって、所定の機能を実行するシステムであれば、どのようなシステムに採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明は、対象物までの距離を検出する距離センサを備えた情報処理装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 陸上用移動体
2 本体
3 制御手段
21 駆動輪
21A フレーム
21B モータ
22 補助輪
22A フレーム
23 ベースフレーム(情報処理装置)
23A 距離センサ
24 搭載部
25 ハンドル
25A ジョイスティック(操作手段)
25B ハンドルフレーム
31 搭乗モード制御系(第1の制御系および標準機能実行部)
32 手押し荷車モード制御系(第2の制御系)
33 制御系切替部(特殊機能実行部)
34 搭乗モード操作系(第1の操作系)
35 手押し荷車モード操作系(第2の操作系)
36 操作系切替部(特殊機能実行部)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10