【実施例】
【0011】
図1は本発明の製造方法による端面電極を有するプリント配線板の端面電極となるスルーホール内の一部導体を分割時に切断されるエリアとして除去したスルーホールの部分拡大平面図で、
図2は
図1のa−a線における断面図である。
図1、2において、1は絶縁基材、2は第一銅導体、3は第二銅導体、4はスルーホール、5はめっき層(導通めっき)、7は分割時に切断されるエリア、21はランド、30は端面電極となるスルーホール内の導通めっき部である。
【0012】
図1、
図2に示すようなランド21、スルーホール4構造を持つ本発明に係るプリント配線板の分割時に切断されるエリア7に沿って、切断することにより側面に端面電極(
図1、符号30の部分が端面電極を構成)を備えるプリント配線板が提供される。
本発明では、ランド21及びスルーホール4の切断部における導通めっき(導体を構成)が、切断に際して影響する範囲幅分だけ、予め除去されていることを特徴とする。
このような形態を採用することにより、端面電極形成時の切断加工によって生じる表層のランドやスルーホール内の導通めっきにおけるバリ、導体剥がれ、クラック等の欠陥を防止可能とするものである。
以下に、
図1、
図2のようなスルーホール形態をもたらす製造方法について
図3−1〜
図3−3及び
図4の各図面を使用して説明する。
【0013】
[端面電極を有するプリント配線板の製造方法]
図3−1〜
図3−3及び
図4を用いて本発明による両面基板を用いた端面電極を有するプリント配線板の製造方法を説明する。なお、用いる両面基板に限らず、多層基板に適用する事が可能である。以下、サブトラクティブ法を用いて説明するが、セミアディティブ法、アディティブ法でも適用可能である。さらに、図示はしないが最終の外層回路を形成後には、レジスト形成、金めっき等の処理が行われる。
【0014】
ここで、
図3−1〜
図3−3は、本発明による両面基板を用いたプリント配線板の製造方法を示すプリント配線板断面による説明図である。また、
図4は、
図3−1〜
図3−3に示す各製造工程に対応したスルーホール周りの様子を示す部分拡大平面図である。
図3−1〜
図3−3において、11は配線板の製造に用いた両面積層基板、1は絶縁基材、2は第一銅導体、3は第二銅導体、4はスルーホール、5は導通めっき、6は充填樹脂、6aは端面電極形成の分割時に切断されるエリアの充填樹脂、7は分割時の切断されるエリア、8はエッチングレジスト、9は露光用マスク、10は露光用マスクの露光しない部分、スルーホール部12である。21はランド、30は端面電極となるスルーホール4内の導通めっき部である。
【0015】
[製造工程フロー]
以下に、図を用いて本発明に係る製造工程フローを説明する。
(a)第一銅導体2及び第二銅導体3により絶縁基材1を挟み込んだ両面積層基板11を準備する(
図3−1(a)参照)。
【0016】
(b)両面積層基板11に、ドリルなどの加工装置によりスルーホール4を形成する(
図3−1(b)、
図4(b)参照)。
【0017】
(c)両面積層基板11の両面の第一、第二銅導体2、3上、及びスルーホール4側面に導通めっき5を設ける(
図3−1(c)、
図4(c)参照)。
【0018】
(d)側面に導通めっき5を設けたスルーホール4に、樹脂6を充填し、物理研磨を用いて充填した樹脂6と導通めっき5を平坦化する(
図3−1(d)、
図4(d)参照)。
【0019】
(e)分割時に切断されるエリアの樹脂6aをレーザー加工により除去し、切断されるエリア7を形成する(
図3−2(e)、
図4(e)参照)。
【0020】
(f)エッチングレジスト8を、両面積層基板11の両面に塗布する(
図3-2(f)、
図4(f)参照)。
【0021】
(g)分割時に切断されるエリア7にはエッチングレジスト8が残らず、他のエリアにはエッチングレジストが残るように露光用マスク9を設定して露光・現像を行い、エッチングレジスト8を硬化処理する(
図3−2(g)参照)。
【0022】
(h)分割時に切断されるエリア7の銅導体及びスルーホール内に形成しためっき層(導通めっき)をエッチングにより除去する(
図3−2(h)、
図4(h)参照)。
【0023】
(i)エッチングレジストを剥離し、同時にスルーホール内の充填樹脂6を溶解除去する(
図3−3(i)、
図4(i)参照)。
【0024】
(j)再度エッチングレジスト8を、両面積層基板11の両面に塗布する(
図3−3(j)参照)。
【0025】
(k)回路部とする所、及びスルーホール部12にはエッチングレジスト8が残るように露光用マスク9を設定して露光・現像を行い、エッチングレジスト8を硬化処理する。(
図3−3(k)参照)。10は露光用マスクの露光しない部分である。
【0026】
(l)スルーホール部12を保護しながらエッチングにより銅導体に回路形成を行う(
図3−3(l)参照)。
【0027】
(m)エッチングレジストを剥離し、端面電極が可能なスルーホールを作製する。
【0028】
さらに、(n)既知の方法によりレジスト形成、金めっき等を実施して、又は積層により絶縁層を追加(
図3には図示せず)して、プリント配線回路が作製される。
【0029】
上記製造方法により製造される本発明に係るプリント配線板に用いられる各材料を以下に示す。
絶縁基材1には市販のコア材、プリプレグに加え、シート状、フィルム状、または半硬化の液状の樹脂を使用する。その樹脂成分に指定は無く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等を単体または複数樹脂を混合したものを使用する。
また、各種添加剤や充填剤を調合したり、補強材としてガラス等の無機繊維、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、各種天然繊維等の有機繊維も絶縁基材に含めても良い。
【0030】
その絶縁基材1の厚みに指定は無く、0.030mm〜100mmとすることが可能であるが、スルーホール内の部分エッチングを考慮すると16mm以下が最適である。
【0031】
スルーホール内を保護する樹脂6には、市販の液状樹脂が使用出来る。
その樹脂成分に指定は無く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂等を単体または複数樹脂の混合で使用する事が出来る。
ただし使用するエッチングのためのレジストの現像液への耐薬品性を有し、同時に、使用するレジストの剥離液への溶解性も有する樹脂を使用する。
【0032】
また、樹脂の硬化特性については熱硬化タイプ、UV硬化タイプ及びその他条件での硬化が選択出来るが、いずれの硬化方法でも硬化したのちに、上記耐薬液性及び溶解性を有する事が必要となる。
樹脂の塗布方法に指定は無く、印刷法、ローラーコーティング法等、使用する樹脂に最適な塗布方法を選択すれば良い。
【0033】
スルーホール内の導体めっき厚及び表層導体厚に指定は無く、スルーホールの接続信頼性及び必要な回路幅がエッチング可能な導体厚を選択すれば良い。
【0034】
レーザー加工には炭酸ガスレーザー、UVレーザー、エキシマレーザーが使用出来るが、レーザー光を受ける導体の損傷を防止する為には炭酸ガスレーザーが最適である。
【0035】
分割時に切断されるエリアとしては、基板の切断ラインから30〜50μm程度内側に入った距離を設定するが、切断位置精度とレーザー加工精度によって適切な距離を決めることが可能である。