【実施例】
【0036】
[例1]
72wt%のcBN、8wt%のAl、3.2wt%のAl
2O
3、6.4wt%のTiC及び10.4wt%の化学量論未満のTiNをミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料のニアネットボディを製造した。粉末混合物をパン乾燥し、その後、82%エタノール/18%水の溶液とブレンドし、そして有機バインダPEG300、PEG1500及びPEG4000を乾燥粉末の20体積%に対応する量まで添加した。スラリー粘度を噴霧乾燥工程の前に注意深く制御した。顆粒化粉末は良好な流動性を有し、そして50トンDorsetプレスを用いて行った単軸プレス加工工程の間にダイを容易に充填することができ、そしてプレス加工圧力は約30kNであった。グリーンを単一工程プロセスで脱バインダ及び予備焼結し、そして脱バインダ工程を水素流下で500℃までのゆっくりとした上昇の間に行い、次いで、900℃まで真空下に上げ、15分間維持することにより予備焼結した。
【0037】
予備焼結工程の間に、Alは溶融し、分配され、硬質グリーンは約2.61g/m
3±0.03g/cm
3の密度を有し、相対密度で72%±1%に対応するものであった。硬質グリーン中に観察される相をX-線ディフラクトグラムである
図1に示した。
図1は900℃に予備焼結した例1に記載の組成物を用いた硬質グリーンの回折パターンを示す。このディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008度を用いて2θで10〜70度の間でデータを回収したが、図中では、2θで25〜69度の範囲のみを示している。バックグランド及びCuKa2−ピークをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を指数化し、図面中の数は以下の相:1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365、2=Al、アルミニウム、PDF番号00−004−0787、3=α−Al
2O
3、コランダム、PDF番号00−046−1212、4=TiN0.96、Osbornite、PDF番号01−087−0627、5=TiC、Khamrabaeuite、PDF番号00−032−1383に対応する。
【0038】
グリーンは予備焼結後に有意な強度を示し、7つの硬質グリーンをダイの中に入れた。グラファイト粉末をその周囲に注ぎ、グラファイトを圧密化して、硬質グリーンが内部に埋め込まれた大きな円筒物を形成した。グラファイト円筒物をMgOカップに入れ、その後、1500〜1600℃で5GPaの圧力下で30分間焼結した。
【0039】
HPHT前のグラファイト中の硬質グリーンの装填パターンの記載をHPHT前の
図2a及び2bに示す。
図2aはプレス加工したグラファイト粉末(B)中に埋め込まれた7つの硬質グリーン(A)の位置を示している。
図2bにおいて、模式図はプレス加工したグラファイト粉末(B)中に埋め込まれた側面からの同一のグリーン(A)を示しており、高密度グラファイトは圧密体の上及び底に配置されている。圧密体は、底に硬質グラファイトを有するMgOカップ中に入れられ、グラファイトホイルはMgOカップの内径を覆っている。セルの異なる部品の寸法をインチで図面右側に示している。
【0040】
HPHTの間に、最終の緻密化が起こった。インサートをブラストし、寸法を表1に示すとおりに測定し、焼結されたインサートの1つを
図3に示す。
【0041】
下記の表1は硬質グリーンの寸法、ならびに、5つのHPHT焼結ニアネット物品を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1中のデータはHPHT焼結プロセスの間の緻密化及び若干の歪みを示す。平均して、HPHT焼結体の高さは外径の約2倍でグリーン状態から収縮しており、真円度の歪みは初期値の約4倍に増加した。HPHTの後に、焼結密度は3.617g/cm
3であり、理論密度の100%に対応し、XRDにより検出された相は
図4に示すとおりcBN、TiB
2、Al
2O
3、AlN、TiC及びTiN0.96であった。
図4は例1に記載のとおりのHPHT後の最終の焼結インサートの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008度を用いて2θで10〜70度の間でデータを回収したが、図中では、2θで25〜69度の範囲のみを示している。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディファクトグラムの反射を指数化し、図中の数は下記の相に対応する。
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365
2=TiB
2、PDF番号01−075−0967
3=α−Al
2O
3、コランダム、PDF番号00−046−1212
4=AlN、PDF番号00−025−1133
5=TiC、Khamrabaevite、PDF番号00−032−1383
6=TiN0.96、Osbornite、PDF番号01−087−0627。反射の位置は、しかしながら、より低い2θに向けて若干シフトし、若干、より大きい単位セル寸法を示している。
【0044】
これらの全密度焼結ニアネットボディの1つをCTにおいて調査した。20-画像(
図5)において、2D−画像(
図5)において、ボディが均質であり、欠陥>50muを含まないインサートを示している。これらのスキャンのために使用されるCT−装置は、以下の設定を用いた、Ge Sensig and Inspection Technologiesからのv/tome/xs240であった。
【0045】
【表2】
【0046】
CTスキャンを完了した後に、GE Sensing and Inspection Technologiesからのdatos×2.0を用いて投射を再構築し、その後、Volume Graphics StudioMax2.1により分析した。
【0047】
[例2]
例1で記載したのと同一の粉末から、切削工具幾何学形状SNMNにおけるボディを厚さ=8.016mm及び内接円(IC)=15.712mmで約60%の相対密度にプレス加工し、その後、例1に記載されるのと同様にして予備焼結した。予備焼結後に、ボディをグラファイト粉末中にプレス加工し、MgO容器中に入れ、下方及び上方に高密度グラファイトがあり、そしてトップにMgOリッドを有し、
図6に示すとおりである。
【0048】
例1と同一の条件を用いたHPHTの後に、インサートを
図7に示すとおりの形状を有するように加工でき、焼結密度は3.592g/cm
3であった。その密度は理論密度の99.5%に対応する。
【0049】
硬度は3044±18HV3であり、XRDにおいて、例2に記載のとおりに同一の相が検知された。
【0050】
図7はブラストされた後の例2に記載のとおりのHPHT後の2つのニアネットSNMAインサートであって、頂部及び底部が研削されているインサートを示す。
【0051】
これらの完全に緻密な焼結されたニアネットボディの1つをCTで調査した。2D−画像において(
図8)、インサートは示されており、このボディは均質で欠陥>50muを含まない。例1に記載されるように、CTスキャンを回収し、再構築しそして分析した。
【0052】
[例3(従来技術−BZN7100)]
72wt%のcBN、8wt%のAl、3.2wt%のAl
2O
3、6.4wt%のTiC及び10.4wt%の化学量論未満のTiNを有機ミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料からなる粉末混合物を製造した。スラリーをパン乾燥し、その後、粉末をグラファイト容器中に充填し、そして1500〜1600℃、5GPaで30分間HPHT−処理し、固体焼結PCBNディスクを形成した。
【0053】
RNMN幾何学形状のPCBN−ディスクピースから所望の幾何学形状にEDM−切削しそして研削して、PCBNスケルトンを残した。それは使用されず又は容易にリサイクルされなかった。
【0054】
このピースに対して、例1及び2からのピースと同一の調査をCTで行った。結果を
図9に示し、従来技術で製造されたインサートは>50ミクロンのより重質の含有物(白色スポット)の可視欠陥を明らかに有する。例1に記載されるように、CTスキャンを回収し、再構築しそして分析した。
【0055】
図9は例3(従来技術)に記載されるように製造された完全に密の焼結体の2D CT−投影を示している。CT−画像はボディが均質でなく、>50ミクロンよりも大きい重質含有分(白色スポット)を含むことを示す。
【0056】
[例4]
89wt%のcBN、11wt%のAlをミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料のニアネットボディを製造した。粉末混合物をパン乾燥し、その後、82%エタノールとブレンドし、そして有機バインダPEG300、PEG1500及びPEG4000を乾燥粉末の22体積%に対応する量まで添加した。スラリー粘度を噴霧乾燥工程の前に注意深く制御した。顆粒化粉末は良好な流動性を有し、そして30トンDorsetプレスで行った単軸プレス加工工程の間にダイを容易に充填することができた。グリーンを最大の許容される力を用いてプレス加工し、SNMN幾何学形状を形成した。グリーンを単一工程プロセスで脱バインダ及び予備焼結し、そして脱バインダ工程を水素流下で500℃までのゆっくりとした上昇の間に行い、次いで、900℃まで真空下に上げ、15分間維持することにより予備焼結した。冷却時に、硬質グリーンの正方形物は硬く強固であり、クラック及び歪みを含まず、約14.60mmのIC及び約7.70mmの厚さの寸法であり、2.1〜2.3g/cm
3の密度であり、それは65%±1%の相対密度に対応する。予備焼結後に、硬質グリーンは
図26で低いほうのディフラクトグラム(900°)に示すとおり、cBN、Al及び少量のAlNを含んだ。
【0057】
硬質グリーンは300メッシュサイズのグラファイト粉末中に埋め込むことにより詰め込みした。1つの実施形態において、いくつかの硬質グリーンをダイキャビティー中にセットし、少なくとも約3mm離し、そして約22μmの粒度を有するグラファイト粉末中に埋め込んだ。グラファイト粉末はグリーンの間及び周囲で均一な密度を有して、硬質グリーンインサートに形態適合し、それにより、硬質グリーンに対して均一な圧力とした。グラファイト粉末中に埋め込まれた硬質グリーンは約300MPaで圧縮され、埋め込みインサートを有する剛性円筒形グラファイトセルを形成した。圧密化後のグラファイト密度は約2.1g/cm
3であった。この構成の写真を
図3に示す。
【0058】
次に、通常のセラミック絶縁体及びヒータを含む入手可能な高圧高温(HPHT)圧力セルに適合させるようにグラファイトセルを機械加工した。HPHTセル中で、硬質グリーンインサートを埋め込みしたグラファイトセルを、標準PCBN焼結サイクルに従って、約5.5GPa及び約1600℃で約25分間、単軸単一作動ベルトプレス(パンチ及びダイ)にて焼結した。HPHT焼結を完了した後に、グラファイトセルを破壊して、非常に硬質で完全緻密ニアネットPCBNインサートが現れた。上記の方法により製造された例示のニアネットPCBNインサートを
図7に示す。
【0059】
記載したインサートは若干正方形から外れており(すなわち、全ての角は正確に90°であるわけではない)、周囲縁で若干のくぼみ(0.2mm未満)がある点で幾分かの歪みを示している。しかしながら、インサート上に見ることができるクラック又は欠けはない。光学顕微鏡上での研磨及び調査は>50ミクロンの欠陥を示さなかった。
【0060】
密度はアルキメデス法により測定して3.352g/cm
3であった。この密度は理論密度のほぼ100%であり、硬度は3160±25HV3であった。
【0061】
X−線回折データは最終製品が
図27に示すとおりcBN及びAlNから主になることを示す。図は例1に記載のとおりのHPHT後の最終焼結インサートの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008°を用いて2θで10〜70°の間でデータを回収した。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を指数化し、図面中の数は以下の相に対応する:
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365、
2=AlN、PDF番号00−025−1133
【0062】
[比較例5]
97wt%のcBN及び3wt%のAlを有機ミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料からなる粉末混合物を製造した。スラリーをパン乾燥した。その後、粉末を、下方にAl−ディスクを含むグラファイト容器中に充填し、そして1600℃、5.5GPaで25分間行うHPHTの間にAlを掃去しそしてAlNへと反応させた。この方法において、最終材料中のAl−含有分はHPHT及び浸透の前の粉末密度及び粉末床の均一性により、粉末バッチ毎に異なった。
【0063】
[例6 性能データ]
例4(ニアネットA及びBインサート)及び例5(標準、STDインサート)に記載の方法により製造されたSNMN1204インサートを全面研削して、約12.70mmのIC及び4.75mmの厚さの寸法を有する面取りされた切削工具を製造した。得られた工具を、V=314m/分、フィード=0.03mm/rev及び切削深さ=0.05mmで鋳鉄を機械加工することにより試験した。
図10は2つの例示のニアネットインサートの性能をHPHT焼結ブランク材料の従来のレーザーカッティングにより製造された同一のインサートと比較する。結果は、標準製造材料、STDにおける約7〜8wt%Alと比較して、ニアネットA及びBインサートにおけるAlN含有分が11wt%のAlという、より高いAlN含有分であるにも係わらず、ニアネット法により製造される材料が従来法により製造されたものと同一の品質であることを示す。
【0064】
[例7:ダイヤモンド複合材採掘ピック]
ダイヤモンド、シリコン及び窒化ケイ素粉末を湿式ミリング法を用いてミリング流体としてのイソプロピルアルコールとブレンドして、均質混合物を形成した。混合物の質量百分率は90%ダイヤモンド、9.5%シリコン、0.5%窒化ケイ素であった。ダイヤモンドは20〜30ミクロンダイヤモンド80%及び4〜8ミクロンダイヤモンド20%の混合物であった。シリコンは、Alfa Aesarシリコン粉末であり、結節性でAPS1〜5ミクロン、99.999%(金属基準)であった。窒化ケイ素は、Alfa Aesarの窒化ケイ素(IV)、α相、99.5%(金属基準)、<1ミクロンであった。スラリーは、流体として水を用い、バインダーとして、この混合物の24体積%のPEGを用いて調製した。スラリーを噴霧凍結造粒し、プレス加工用顆粒を製造した。
【0065】
顆粒は通常に採掘作業で使用される工具先端の形状に単軸プレスで軟質グリーンをプレス加工するために使用した。軟質グリーンを水素の存在下で450℃に加熱してPEGを除去し、次いで、真空中で、1300〜1350℃にさらに加熱してグリーンを予備焼結し、シリコンとダイヤモンドの部分反応を生じさせ、炭化ケイ素を生成した。
図11は、直径16mm、高さ22mmであると測定された硬質グリーンの写真を示す。
【0066】
硬質グリーンをグラファイト封じ込め手段の中に封入した。HPHT焼結の間に複合材中に浸透させるための追加のシリコンを供給することが望ましかったので、16mm直径×0.75mm厚さと測定される2つのシリコンディスクをプレスの底部パンチの中央にスタックで置き、硬質グリーンをシリコンディスクの上に置いた。硬質グリーンの周囲のダイキャビティーを緩いグラファイトフレークで充填し、約175MPaの圧力でプレス加工し、硬質グリーンの周囲のグラファイトを団結させた。グラファイトの質量及び封じ込め手段の体積を、完全に緻密化されたグラファイトの密度の91%の密度を有する封じ込め手段を提供するように選択した。このような2つの封じ込め手段を作製した。
【0067】
2つの封じ込め手段をHPHTセル内に配置し、そして3GPa及び1600℃の条件で焼結した。HPHTセルを破壊し、焼結物品をハンマーを使って封じ込め手段から取り出した。最後のクリーニングをSiCグリットでグリットブラスターを使用して行った。SiCグリットは焼結体からグラファイトを除去したが、焼結体を摩耗せず、焼結体は十分に焼結されており、非常に高い硬度及び耐摩耗性を有したことを示す。クリーニングされた焼結物品を
図13に示す。HPHT焼結物品の密度をアルキメデス法を用いて測定し、密度は3.407及び3.409g/cm
3であった。この密度は本発明の方法を用いずに製造された同様の材料の密度と同等である。
【0068】
[例8:ダイヤモンド複合材ノズルボディ]
ダイヤモンドスラリー及び顆粒を例3に記載の方法と同一の方法を用いて製造した。顆粒を用いて24mm直径及び12mm高さと測定される円筒物をプレス加工した。ドリルプレスを用いて4.8mm直径と測定される中央穴をドリルした。次いで、例7に記載したのと同一の方法を用いて円筒物を予備焼結した。硬質グリーンの写真を
図11に示す。
【0069】
例3に記載の方法と同一の方法を用いてグラファイト封じ込め手段を製造したが、ボディをボトムパンチ上に配置せず、そして固体グラファイト円筒物を製造した。円筒形キャビティーを2つのグラファイト封じ込め手段に各々機械加工し、円筒+2つの24mm×0.75mm厚さのシリコンディスクが、機械加工されたキャビティの中央に適合するようにした。シリコンディスクを1つの封じ込め手段の1つのキャビティーの基部に配置し、硬質グリーン円筒物をシリコンディスクの上に配置した。緩い粉末状グラファイトを、中央穴中に配置し、そして手動で圧縮して、穴を充填した。第二の封じ込め手段を硬質グリーンの上に配置し、そしてアセンブリをHPHT圧力セル中に装填した。
【0070】
例7に記載の方法と同一の方法を用いてセルを焼結し、そしてセルから回収した。クリーニングした焼結体を
図14に示す。中心孔は円筒からのわずかな歪みをもって無傷のままであった。焼結体に亀裂は認められなかった。焼結ノズルの密度は3.403g/cm
3であった。
【0071】
[例9:ダイヤモンド複合材採掘ピック]
例7に記載の方法と同一の方法を用いて採掘ピックを製造したが、使用したシリコン粉末はElkem Silgrain HQ 0.05 Fe <10ミクロンであった。軟質グリーンピックの相対密度は64%であった。HPHT焼結後に、採掘ピックは密度が3.419g/cm
3であった。ピックの円筒形ボディをセンターレスグラインダーで14.00mmに研削し、ピックの基部をワイヤEDMを用いてある長さに切断し、そしてダイヤモンド研削ホイールを用いてピックの底部上を研削して45°面取りを行った。ピックの円錐切削表面を形成するために研削又は他の仕上げ操作を行わなかった。試験前のピックのCTスキャンを
図19に示す。これらのスキャンのために用いたCT装置は以下の設定を用いたGe Sensig and Inspection Technologiesからのv/tome/xs240であった。
【0072】
【表3】
【0073】
CTスキャンを完了した後に、GE Sensing and Inspection Technologiesからのdatos×2.0を用いて投射を再構築し、その後、Volume Graphics StudioMax2.1により分析した。
【0074】
スチール工具ボディに収縮適合することによりピックを試験のために取り付けた。同一のダイヤモンド複合材料から製造されたが、ニアネット予備圧密化及び封じ込め法を用いていない1つの他のピックをプレス加工されたままのピックとの比較の試験のために調製した。比較ピックは35mm直径×38mm高さの焼結ブランクから所望の形状にワイヤEDM切削し、そしてダイヤモンド研削ホイールにより外径を研削しそして表面を切削することにより製造した。
図19に示すものと同一の設定を用いた「研削したまま」のピックのCTスキャンを
図20に示す。
【0075】
花崗岩ブロックの1点機械切削により採掘用カッターとしての適切さについてピックを試験した。この花崗岩ブロックの機械特性は非拘束圧縮強さ(USC)が132MPaであり、非拘束引張り強さ(UTS)が11.2MPaであり、そしてサーチャー摩擦指数(Cerchar Abrasivity Index)(CAI)が4.1である。工具のポイント攻撃角は55°であった。累進的に、より攻撃的になる切削条件を用いて合計で12の切削面を作った。試験のための切削条件を下記の
図21に示す。最も高品質の市販の炭化タングステン(WC)採掘ピックは破壊される前にこれらの条件下での1つの切削面さえも完成することができない。
【0076】
試験後のプレス加工されたままの採掘ピックの写真を
図22に示す。
図19に示すのと同一の設定を用いて、試験後のプレス加工されたままの採掘ピックのCTスキャンを
図23に示す。非常に少量の摩耗しかなく、切削の結果として内部損傷は存在しない。試験後の研削されたままの採掘ピックの写真を
図24に示す。
図19に示すのと同一の設定を用いて、試験後の研削されたままの採掘ピックのCTスキャンを
図25に示す。わずかの量の摩耗が存在し、切削の結果として内部損傷はなかった。これらの結果は、プレス加工されたままの採掘ピックは同一の材料であるが、ダイヤモンド研削された切削面を有するピックと同等の性能を有することを示す。
【0077】
[例10]
2つの顆粒化粉末を例1(PCBN)に記載のとおりに製造したが、粉末2を製造するときに、分散剤として作用する0.52wt%のTEA(トリエタノールアミン)もスラリーに添加した。粉末をコールドプレスし、55及び59%相対密度を有する円筒物を製造し、有機バインダ及び分散剤を除外した。円筒形ピルを片面プレスインし、そしてKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて軸強度を測定した。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.033mmであった。55から59%へのプレス密度の増加により、2.9MPaから5.4MPaの軸軟質グリーン強度の増加をもたらした。
【0078】
59%相対密度の円筒物を、その後、例1に記載のとおりに脱バインダしそして予備焼結し、そして硬質グリーンの軸強度を測定し、軸強度は、粉末1については5.4MPaと比較して49.2MPa、そして粉末2については4.7MPaから56.1MPaと、軟質グリーンよりも有意に高いことが分かった。
【0079】
【表4】
【0080】
[例11]
例4(PCBN)に記載のとおりに製造した顆粒粉末をコールドプレスし、59%相対密度を有する円筒物を製造し、有機バインダ及び分散剤を除外した。円筒形ピルを片面プレスインし、そしてKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて軸強度を測定した。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.020mmであった。円筒物を、その後、例1に記載のとおりに脱バインダしそして予備焼結し、そして硬質グリーンの軸強度を測定し、軸強度は、13.6MPaと比較して80.6MPaと、軟質グリーンよりも有意に高いことが分かった。
【0081】
【表5】
【0082】
[例12]
同一の組成を有しそして例7に記載のとおりに製造した顆粒化粉末を円筒形ピルにプレス加工し、それは60%相対密度を有し、有機バインダを除外した。例7に記載のとおりに円筒形ピルを片面プレスし、そして1200、1300、1350及び1400℃に予備焼結する前及び後に軸強度を測定した。プレス及び強度測定はKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて行った。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.033mmであった。
【0083】
【表6】
【0084】
表4において、グリーン強度は予備焼結温度を増加させることにより有意に増加し、このようにして、予備焼結反応において生成されるSiCの量は増加し、そのことは
図18にも示している。温度の増加によりSiC含有分の増加を引き起こし、そのことは図中に3として示すSiC反射の強度によって示される。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてダイヤモンド(PDF番号00−006−0675)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を以下に従って指数化した。
1=C、ダイヤモンド、PDF番号00−006−0675
2=Si、シリコン、PDF番号00−027−1402
3=SiC、モアッサナイト−3C、PDF番号00−029−1129
4=α−Si
3N
4、α−窒化ケイ素、PDF番号00−041−0360
【0085】
[例13]
予備焼結温度を変更することにより、HPHT前の組成及びグリーン強度は変化することがあり、各組成について最適化されうる。900℃及び1100℃に予備焼結した例4(PCBN7000)に記載のとおりのグリーンについての予備焼結反応の例を下記に示した。
図26は900℃及び1100℃に予備焼結した例に記載の組成を有する2つの硬質グリーンの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008°を用いて2θで10〜95°の間でデータを回収したが、2θで30〜80°の範囲のみを示している。バックグランド及びCuKa2−ピークをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディファクトグラムの反射を指数化し、図中の数は下記の相に対応する。
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365
2=Al、アルミニウム、PDF番号00−004−0787
3=AlN、PDF番号00−025−1133
【0086】
図26中のディフラクトグラムにおいて分かるとおり、900℃でAlは溶融しそして硬質グリーン中に分散したが、下のX−線ディフラクトグラムに示すように非常に少量割合のAlNしか生成しなかった。1100℃では、有意な量のAlNが生成し(上のX−線ディフラクトグラム)、少量のAlのみが最終HPHT工程の間に反応のために残っていた。
【0087】
[例14]
例7に記載した方法と同一の方法を用いて6つのダイヤモンド複合材採掘ピックを製造したが、1つの硬質グリーンボディを各封じ込め手段に封入するのではなく、3つの硬質グリーンボディを各封じ込め手段に封入した。封じ込め手段を高圧セルに組み立て、そして例7に記載した条件と同一の条件を用いて処理した。
図12は焼結後のHPHTセルの写真を示し、セルの片側は露出して、グラファイト封じ込め手段に埋め込まれたニアネット形状ボディを現している。
【0088】
[例15]
例8に記載の方法と同一の方法を用いて14個の硬質グリーンボディを製造したが、HPHT焼結の前に硬質グリーンボディに穴をドリルで空けず、また、予備焼結を1200℃〜1550℃の範囲の種々の最大温度で行った。横断方向破断強度を測定するためのテストバー、及び、XRD定性スキャン及び定量相分析のためのディスクをワイヤEDM機械を用いて焼結体から切った。XRD定量相分析をJade XRD分析ソフトウエアの"Easy Quantitative Analysis"ルーチンを用いて行った。
図15は1200℃、1300℃及び1430℃で予備焼結したHPHT焼結体の組成の比較を示す。
図16はHPHT焼結体の曲げ強度(横断方向破断強度)に対する予備焼結温度の効果を示す。
図17はHPHT焼結体のSiC含有分に対する予備焼結温度の効果を示す。
図18は1200℃、1300℃、1350℃及び1400℃に焼結した硬質グリーンボディ中に存在する相に対する予備焼結温度の効果を示す。相1はダイヤモンドであり、相2はシリコンであり、相3は炭化ケイ素であり、そして相4は窒化ケイ素である。予備焼結温度を増加させると、SiC含有分が増加する。硬質グリーンボディの組成の変化はHPHT焼結体の最終組成及び強度を変化させる。
図17はHPHT焼結体中のSiC含有分が約1400℃の予備焼結温度を超えると、有意に高くなることを示している。
図16は材料強度に対するこの組成変化の効果を示し、これは約1400℃の予備焼結温度を超えると、有意に低下することを示す。