特許第6281875号(P6281875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281875
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ニアネット切削工具インサート
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/06 20060101AFI20180208BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20180208BHJP
   B23B 27/20 20060101ALI20180208BHJP
   B22F 7/00 20060101ALI20180208BHJP
   B22F 3/10 20060101ALI20180208BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B22F7/06 D
   B23B27/14 B
   B23B27/20
   B22F7/00 G
   B22F3/10 F
   B22F1/00 E
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-550536(P2014-550536)
(86)(22)【出願日】2012年12月31日
(65)【公表番号】特表2015-510546(P2015-510546A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】US2012072257
(87)【国際公開番号】WO2013102184
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年10月30日
(31)【優先権主張番号】61/581,664
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516053969
【氏名又は名称】ダイヤモンド イノヴェーションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ダブリュ.ウェブ
(72)【発明者】
【氏名】イェロルド ベインル
(72)【発明者】
【氏名】マーリン マルテンソン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シー.イーズリー
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04647546(US,A)
【文献】 米国特許第06346689(US,B1)
【文献】 特公昭51−007348(JP,B2)
【文献】 国際公開第2006/112156(WO,A1)
【文献】 特開2000−319705(JP,A)
【文献】 米国特許第04797241(US,A)
【文献】 特開平08−301610(JP,A)
【文献】 特開平10−071569(JP,A)
【文献】 特開平03−150303(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0247899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−8/00
C22C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンド及び/又は立方晶窒化ホウ素粉末と、金属粉末、半金属粉末、酸化物粉末、炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉末、カルボオキシ窒化物粉末及びホウ化物粉末の群から選択される粉末とを含む粉末、分散剤、バインダ及び流体の混合物から顆粒を調製すること、
該顆粒を圧縮して、画定された形状の軟質グリーンボディを形成すること、
該軟質グリーンボディを炉内で加熱し、硬質グリーンボディを形成すること、
封じ込め粉末中に1つ以上の硬質グリーンボディを埋め込み、そして該封じ込め粉末を圧縮して、圧力セルを形成すること、
該圧力セルを高圧高温下で焼結すること、及び、
該圧力セルから封じ込め粉末を取り出し、1つ以上のニアネットボディを現すこと、
を含む、ニアネット超硬材料体の製造方法。
【請求項2】
前記顆粒は立方晶窒化ホウ素、窒化物及び/又はホウ化物形成性金属及び一時的な有機バインダの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記顆粒はダイヤモンド及び炭化物形成性金属又は炭化物形成性半金属及び一時的な有機バインダの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
セラミック材料を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記顆粒はダイヤモンド及び炭化物形成性金属又は炭化物形成性半金属、セラミック材料及び一時的な有機バインダの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記顆粒は立方晶窒化ホウ素及びアルミニウムのポリエチレングリコールバインダ中の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記封じ込め粉末は高圧高温焼結プロセスの間の圧力の均一な分散を可能とするために、硬質グリーンボディを包囲する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記封じ込め粉末は粉末化グラファイト、六方晶窒化ホウ素、酸化アルミニウム又はタルクのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記封じ込め粉末は高圧高温焼結プロセスの前に硬質グリーンボディ以上の相対密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記硬質グリーンボディを含む封じ込め手段は少なくとも1.35GPaの圧力及び少なくとも1080℃の温度で焼結される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
エタノール−水混合物中のポリエチレングリコールのバインダと、立方晶窒化ホウ素及びアルミニウムの粉末及び分散剤とを混合し、スラリーを形成すること、
該スラリーを噴霧乾燥して、顆粒を形成すること、
該顆粒を圧縮して、軟質グリーンボディを形成すること、
該軟質グリーンボディを炉内で脱バインダしそして予備焼結して、硬質グリーンボディを形成すること、
該硬質グリーンボディをグラファイト粉末中に埋め込み、そして該グラファイト粉末を圧縮して、セルを形成すること、
該セルを高圧高温下で焼結すること、及び、
該セルから封じ込め粉末を取り出し、1つ以上のニアネットボディを現すこと、
を含む、ニアネット超硬材料体の製造方法。
【請求項12】
ダイヤモンド及び/又は立方晶窒化ホウ素粉末と、金属粉末、半金属粉末、酸化物粉末、炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉末、カルボオキシ窒化物粉末及びホウ化物粉末の群から選択される粉末とを含む粉末、分散剤、バインダ及び流体の混合物から顆粒を調製すること、
該顆粒を圧縮して、画定された形状の軟質グリーンボディを形成すること、
該軟質グリーンボディを炉内で加熱し、硬質グリーンボディを形成すること、
1つ以上の硬質グリーンボディを、該硬質グリーンボディを閉じ込めるための封じ込め手段中に予備形成されたキャビティ―に挿入し、圧力セルを形成すること、
該圧力セルを高圧高温下で焼結すること、及び、
該圧力セルから封じ込め手段を取り出し、1つ以上のニアネットボディを現すこと、
を含む、ニアネット超硬材料体の製造方法。
【請求項13】
前記粉末が、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料の群より選ばれる材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記顆粒は立方晶窒化ホウ素及びアルミニウムのポリエチレングリコールバインダ中の混合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記封じ込め手段はグラファイト、焼結サーメット及びそれらの組み合わせの群より選ばれる固体材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
焼結サーメット封じ込め手段は、不活性層により硬質グリーンボディから分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性層が、マイカ、マイカ箔、hBN又はTiNである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
硬質グリーンボディを含む前記封じ込め手段は少なくとも1.35GPaの圧力及び少なくとも1080℃の温度で焼結される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記硬質グリーンボディはへこみ、穴、くぼみ、うね、まるみ、面取り、へリックス形状、スクリュー及びそれらの組み合わせの群より選ばれる特徴を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法を含む、インサートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2011年12月30日に出願された米国仮出願第61/581664号の利益を主張する。
【0002】
本開示はニアネット切削工具インサート及び高圧高温(HPHT)法でのニアネット切削工具インサートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)、ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料は、一般に、鉱業、金属切削及び掘削作業で使用されるような切削工具のための超硬超砥粒切削面を提供するために使用される。
【0004】
立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド及びダイヤモンド複合材料を含む工具は当該分野でよく知られている。通常、cBN粒子は、例えばTiN、TiC又はTiCNであることができるバインダーマトリックス中に埋め込まれている。アルミニウムも、金属形態、又は、Ti3Al、TiAl3、TiAl、CoAl又はNiAlなどのAl−化合物のいずれかとして添加されてよい。
【0005】
ダイヤモンド複合材料の一つのタイプでは、ダイヤモンド粒子は、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、又は、炭化物の混合物であることができるバインダーマトリックス中に埋め込まれている。炭化物はHPHTの間に部分的又は完全に形成されうる。このような固形体を製造する従来の方法は、所望の組成の粉末をキャビティーに装填し、粉末中に溶浸用金属の外部供給を場合により提供し、セルを高温高圧(HPHT)に暴露することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
希望のサイズ及び形状を効率的かつ経済的に達成するために大規模な機械加工を必要としない超砥粒体を製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの例示の実施形態において、ニアネット超硬材料体の製造方法は超硬粉末、セラミック粉末及び/又は金属粉末、一時的な有機バインダ及び混合用液体の混合物から顆粒を調製すること、該顆粒を圧縮して、画定された複雑な形状の軟質グリーンボディを形成すること、該軟質グリーンボディを炉内で脱バインダしそして予備焼結して、硬質グリーンボディを形成すること、封じ込め粉末中に1つ以上の硬質グリーンボディを埋め込み、そして該封じ込め粉末を圧縮して、封じ込め手段を形成すること、高圧高温下で封じ込めセルを焼結すること、及び、該封じ込めセルからHPHT焼結ニアネットボディを取り出すことの工程を含むことができる。
【0008】
別の例示の実施形態において、ニアネット超硬材料体の製造方法は、エタノール−水混合物中のポリエチレングリコールの一時的な有機バインダと立方晶窒化ホウ素及びアルミニウムの粉末を混合し、スラリーを形成すること、該スラリーを噴霧乾燥して、顆粒を形成すること、該顆粒を最大グリーン密度まで圧縮して、軟質グリーンボディを形成すること、該軟質グリーンボディを炉内で脱バインダしそして予備焼結して、硬質グリーンボディを形成すること、該硬質グリーンボディをグラファイト粉末中に埋め込み、そして該グラファイト粉末を圧縮して、セルを形成すること、該セルを高圧高温下で焼結すること、及び、該封じ込めセルからHPHT焼結ニアネットボディを取り出し、ニアネットボディを現すことの工程を含むことができる。
【0009】
別の例示の実施形態において、ニアネット超硬材料体の製造方法は、ダイヤモンド、シリコン及び窒化ケイ素の粉末を、水の混合物中のポリエチレングリコールである一時的な有機バインダと混合して、スラリーを形成すること、液体窒素中にスラリーを噴霧して、顆粒を形成すること、該顆粒を凍結乾燥すること、該顆粒を最大グリーン密度まで圧縮して、軟質グリーンボディを形成すること、該軟質グリーンボディを炉内で脱バインダしそして予備焼結して、硬質グリーンボディを形成すること、該硬質グリーンボディをシリコンディスクとともにグラファイト粉末中に埋め込み、そして該グラファイト粉末を圧縮して、セルを形成すること、該セルを高圧高温下で焼結すること、及び、該封じ込めセルからHPHT焼結ニアネットボディを取り出し、ニアネットボディを現すことの工程を含むことができる。
【0010】
1つの例示の実施形態におおいて、得られた焼結ニアネットボディは標準加工及び切断されたボディよりも本質的に内部欠陥(コンピュータ断層撮影(CT)で約50ミクロン未満)を含まないことができる。標準加工及び切断されたボディは内部欠陥(約50ミクロン未満)を示す。
【0011】
2つの例示の実施形態では、ニアネットボディの性能は、標準加工及び切断され、そして研削された材料と比較して同等又は改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例1に記載の組成物を用いて、例示の実施形態により約900℃に予備焼結された硬質グリーンの回折パターンを示す。
図2a】高圧高温(HPHT)の前の例1に記載の硬質グリーンの装填の概略上面図を示す。
図2b】高圧高温(HPHT)の前の例1に記載の硬質グリーンの装填の断面図を示す。
図3】例示の実施形態によるグラファイト残留物を除去するためにHPHT後にブラスト処理した、表1に記載のインサート斜視図を示す。
図4】例1に記載のとおりのHPHT後の最終的な焼結インサートの回折パターンを示す。
図5】内部欠陥を検出するためにコンピューター断層撮影(CT)で調べた例1に記載の焼結完全緻密体を示している。2D画像はボディが均質であり、50ミクロンより大きい欠陥を含まないことを示している。
図6】グラファイト粉末中にプレス加工され、グラファイトホイルにより包囲され、そしてHPHT前にMgOカップ中に装填された、例2及び4のとおりの硬質グリーンを示す。
図7】ブラスト処理した後に例2に記載のとおりにHPHTした後の2つのニアネットSNMAインサートであって、トップ部分及びボトム部分がグラインディングされているインサートを示す。
図8】例2に記載のとおりに製造した>50ミクロンの欠陥を含まない均質完全緻密焼結均質体の2次元CT−射影を示す。
図9】例3(従来技術)に記載のとおりに製造した完全緻密焼結体の2次元CT−射影を示す。
図10】例示の実施形態による延性鉄で、標準製造インサートSTDと比較したニアネットインサート、NNA及びNNBの耐摩耗性データを示す。
図11】凍結造粒、単軸プレス加工、450℃まで水素中で脱PEGし、そして真空炉内で1300℃まで予備焼結することにより形成された硬質グリーンを示す。
図12】6個のニアネット形状ボディを製造するためのプレス加工グラファイト封じ込め手段を用いるHPHTセルの写真を示す。セルの片側が暴露されており、グラファイト封じ込め手段中に埋め込まれたニアネット形状ボディを示す。
図13】封じ込め手段を用いたHPHT焼結された硬質グリーンボディから形成されるニアネットダイヤモンド複合材ボディを示す。HPHT焼結後にボディに対してグラインディング又はその他の機械加工操作を行わなかった。
図14】閉じ込め手段を用いてHPHT焼結した硬質グリーンボディから形成されるニアネットダイヤモンド複合材ボディを示す。予備焼結の前に軟質グリーンボディ中に穴を形成し、封じ込め手段を製造するために使用されたグラファイトと同一のグラファイト材料によりHPHT焼結のために充填した。HPHT焼結後にボディに対してグラインディング又はその他の機械加工操作を行わなかった。
図15】1200℃、1300℃及び1400℃で予備焼結したHPHT焼結体の組成物の間の比較を示す。予備焼結温度が高いほど、焼結製品中のSiCの量が増加する。
図16】加圧グラファイト封じ込めデバイスを用いて製造したHPHT焼結ダイヤモンド複合材の曲げ強さに対する予備焼結温度の効果を示す。
図17】加圧グラファイト封じ込めデバイスを用いて製造したHPHTダイヤモンド複合材のSiCの含有量に対する予備焼結温度の効果を示す。
図18】1200℃、1300℃、1350℃及び1400℃で焼結した硬質グリーン中に存在する相に対する温度の効果を示す。
図19】試験前のプレス加工されたままの採掘ピックのCTスキャンを示す。
図20】試験前の研削されたままの採掘ピックのCTスキャンを示す。
図21】花崗岩切削におけるピックの性能を試験するために使用された機械的切削条件を示す。
図22】試験後のプレス加工されたままの採掘ピックの写真を示す。
図23】試験後のプレス加工されたままの採掘ピックのCTスキャンを示す。
図24】試験後の研削されたままの採掘ピックの写真を示す。
図25】試験後の研削されたままの採掘ピックのCTスキャンを示す。
図26】それぞれ約900℃及び約1100℃に予備焼結された、例に記載の組成物の2つの硬質グリーンの回折パターンを示す。
図27】HPHT後の例4に記載のボディの回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法、装置及び材料を記載する前に、本開示は記載される特定の方法、装置及び材料に限定されず、これらは変更可能であることが理解されるべきである。なお、本明細書において使用される用語は特定の態様又は実施形態を記載することを目的とするのみであり、範囲を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。例えば、本明細書で用いるときに、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明確に指示しない限り複数の言及を含む。また、本明細書で使用されるときに、「含む」という用語は、「含むが、それに限定されない」ことを意味することが意図される。他に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術用語及び科学用語は当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0014】
特に指示のない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用されるような成分の量、特性、例えば、サイズ、重量、反応条件などを表す全ての数は、用語「約」によって全ての場合において修飾されるものと理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明により得ようとする所望の特性に応じて変化しうる近似値である。最低限でも、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようと試みることなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数に照らし、そして通常の端数処理技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0015】
本明細書において使用されるときに、用語「約」は使用されている数値の±10%を意味する。したがって、約50%は45%〜55%の範囲を意味する。本明細書で使用されるときに、用語「バインダ」はスラリー(噴霧乾燥又は凍結噴霧乾燥用)に添加して、顆粒を形成し、プレス加工後に、一緒に軟質グリーンを保持することができるワックス又はポリマーを意味する。本明細書で用いられるときに、用語「最大可能グリーン密度」はプレス加工することができる最高密度の軟質グリーンを意味する。軟質グリーンがより高い密度であると、最終製品において、より低いHPHT変形及び最良の形状制御をもたらすことができることが分かる。
【0016】
例示の実施形態はHPHT工程の間に形状を維持しそして全密度を達成する能力を持つ所望の形状のボディを提供する。例示の実施形態は、原材料、ミリング/ブレンディング及び造粒工程、ならびに、予備焼結の間の反応を注意深くモニターすることによって、HPHT後の組成を操縦することができる。より具体的には、例示の実施形態は、圧縮及び予備焼結後のグリーン密度及び強度を最適化することによりHPHTの間の歪みを最小化することができる。
【0017】
例示の実施形態において、本方法は、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素複合材料などのニアネット超砥粒の製造方法が開示される。この方法は、ダイヤモンド及び/又は立方晶窒化ホウ素粉末、及び、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーバインダー、及び、場合により、金属粉末、半金属粉末、酸化物粉末、炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉末、カルボオキシ窒化物粉末及びホウ化物粉末を含むスラリーから顆粒を調製することを含む。CBN又はダイヤモンド体を形成するときに、出発の超硬粉末は、約1μm〜約150μmの粒度を有することができ、任意成分の金属、半金属、酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、カルボオキシ窒化物及びホウ化物粉末は、約0.1〜約25μmの粒度を有することができる。
【0018】
スラリーを形成するために、混合液が必要になることがある。ミリング液体は、水、アルコール又は有機溶媒、あるいは、水とアルコールとの混合物であることができる。スラリーの乾燥は、既知の技術、特に、噴霧乾燥(SD)又は噴霧凍結乾燥(SFD)により達成されうる。SDにおいて、液体及び有機バインダーと混合された粉末化材料を含むスラリーを乾燥塔内で適切なノズルを通して噴霧し、ここで、小滴を窒素流中などの高温ガス流によって瞬時に乾燥させ、凝集された顆粒を形成する。
【0019】
SFDにおいて、スラリーを液体窒素中に噴霧し、顆粒を瞬時に凍結し、その後、凍結乾燥することができる。SFDで使用される最も一般的な液体は水である。顆粒の形成は、均質に分布した原料を得るために特に必要であるが、後段で使用される圧密化工具へのフィード粉末を緩ませる。必要に応じて、分散剤、例えば、ポリアクリレートコポリマー、高分子電解質、アクリルポリマーの塩、及び/又は、セルロース系物質などの増粘剤もまたスラリーに添加されてよい。分散剤は、粒子の分離の制御だけでなく、スラリーの特性と得られた造粒粉の特性を制御するために添加される。
【0020】
スラリーは、水性又はエタノールベースであることができる。スラリーは、噴霧乾燥又は噴霧凍結乾燥などの造粒法を用いて造粒する。本発明の例示の実施形態において、ボディは焼結工程前に圧縮によって形成されうる。プレス加工剤及びその添加は、使用される圧密化法に応じて最適化することができる。造粒粉末を一軸プレス加工、多軸プレス加工又は静水圧プレス加工などのプレス加工法により、画定された形状に圧密化される。一軸プレスを目的とした粉末を製造するときに、プレス加工剤は乾燥前にスラリーに添加されうる。プレス加工剤は、好適には、パラフィン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、長鎖脂肪酸であることことができる。プレス加工剤の量は、適切には、全乾燥粉末体積に基づいて約15〜約25体積%である。有機バインダの量は全乾燥粉末重量には含まれない。
【0021】
最終的なHPHT工程の後に、焼結体の歪みにつながる可能性がある、グリーンにおける密度勾配を形成するので、圧縮化工程は重要である。これらの歪みを最小限に抑えるために、グリーン密度及び圧密化方法の両方は、それぞれの粉末ブレンド及びグリーンボディ形状のために最適化されなければならない。密度は、ポリマーバインダーなしで、粉末混合物の理論密度と比較した相対密度として測定することができる。相対密度の典型的な範囲は約50%〜約75%である。より高い相対密度を使用して、約60〜約75%はHPHT焼結の間に最も均質なニアネット形状ボディを生じる。より高いグリーン密度はより高いグリーン強度を提供し、HPHTの間のより低い収縮及びひずみを提供する。圧密化は当技術分野で公知の一軸又は多軸プレス加工操作で、又は、予備成形されるボディの形状に応じて、冷間静水圧プレス加工、粉末射出成形(PIM)又は押出加工を使用して行われることができる。
【0022】
グリーンボディは任意の数の有用なサイズ、形態及び幾何学形状で製造することができる。1つの有用な形態は、円筒形のシャンク、及び、球状先端を有する円錐切削面を特徴とする弾道採掘カッターの形態であることができる。別の有用な幾何学的形状は、外側円筒面と内側円筒面を特徴とするノズル体の形態であることができる。別の有用な幾何学的形状は切削工具インサートの形態であることができる。
【0023】
有機バインダは焼成前に除去することができ、このことはバインダー系によって、約200℃〜約600℃の温度で、空気、窒素、水素、アルゴン又はそれらの混合物の流体ガス中で行うことができる。得られたボディは少なくとも一緒に保持するのに十分なグリーン強度を有することができ、そして、脱バインダ条件下にモニターすることにより、炭素の残留量及びボディの強度を制御することができる。
【0024】
予備焼結工程は、別個のプロセス工程で行われるか、又は、脱バインダ後の単一の炉サイクルにおける次の工程として行われることができる。1つの実施形態では、脱バインダされたグリーンボディをHPHTセルに直接入れ、そして、全密度まで焼結することができるが、ボディ歪みの程度はグリーンが予備焼結され、グリーン強度が有意に増加された場合よりも有意に高くなる。
【0025】
予備焼結は、材料及び所望の反応生成物によって、真空下、アルゴン、窒素又は水素又は炭素含有ガス中などの反応性又は非反応性雰囲気中で行うことができる。予備焼結している間に、金属又は半金属、例えば、シリコンは部分的に反応して窒化物及び/又は炭化物を生成し、脱バインダされたグリーンの強度と比較してグリーンの強度を有意に高めることができる。使用される予備焼結温度はcBN含有材料では約500℃〜約1500℃、約700℃〜約1300℃、ダイヤモンド含有複合材では約1200℃〜約1500℃の範囲にある。焼結炉内のボディの全装填物が所望の温度に達し、所望の相転移が完了するまで温度を約1〜約90分又は約15〜約30分維持する。
【0026】
高圧高温(HP/HT)は、約1200〜約1600℃及び約20〜約75kbarで行われ、ダイヤモンド材料では約3GPa、cBN材料では約5.0GPaであることができる。ディスクの形態のシリコンなどの金属の外部供給源は、焼結プロセスの間に硬質グリーン中に浸透するために硬質グリーンに隣接して提供されうる。
【0027】
ニアネットプロセスの別の実施形態では、ダイヤモンド粉末はシリコン粉末及び窒化ケイ素粉末とブレンドされうる。この混合物は、典型的には、ダイヤモンドフィード原料として知られている。ダイヤモンド粉末は、典型的には、約25ミクロン及び約5ミクロンなどの異なる平均粒径を有するダイヤモンド粉末のブレンドを含むことができる。しかしながら、1種のみのサイズ、又は、3種以上の異なるサイズのブレンドは使用されうる。ダイヤモンド複合材は、典型的には、約3GPa及び約1500〜約1650℃の条件下にダイヤモンドフィード原料のHPHT焼結によって製造される。焼結反応の間に、Siは溶融し、そしてダイヤモンドと反応してSiCを生成し、それが固体複合材中でダイヤモンドどうしを結合する連続マトリックスを形成する。焼結反応を援助するために、追加的なシリコンをダイヤモンドフィード原料に隣接して提供してよく、それにより、該シリコンが焼結の間にダイヤモンドフィード原料に浸透できるようになる。摩耗部品、ワイヤーダイ、ドレッシングツール及び採掘カッターなどのダイヤモンド複合体は、通常、焼結ダイヤモンド複合材ブランクから様々な形及びサイズに切断される。しかしながら、このような方法はダイヤモンドをかなり無駄にし、大きな製造コストを招く。
【0028】
1つの例示の実施形態では、ダイヤモンドフィード原料は、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーバインダ材料と一緒に水性スラリー中に取り込まれる。このスラリーは、ボールミル、アトライターミル、機械的混合、超音波処理又はそれらの組み合わせによって調製することができる。スラリーは、凍結造粒法により概して球形である顆粒を製造するために使用することができる。噴霧凍結乾燥では、最初に小さな液滴を形成するノズルを通してスラリーを噴霧することを含む。液滴は、例えば、約5ミクロン〜約700ミクロンのサイズの範囲である。液滴を液体窒素の容器に向け、液滴を瞬時に均一に分散したダイヤモンドフィード原料、PEGバインダ及び氷を含む固体球状に凍結させる。凍結した顆粒を回収し、その形状を維持するために約−20℃未満に維持することができる。その後、氷を凍結乾燥プロセスを用いて、凍結した顆粒から抽出し、均一に分散ダイヤモンドフィード原料及びポリマーバインダからなる固体顆粒を製造することができる。顆粒サイズの上限はノズル直径によって決定されることができ、一般に約700ミクロンであることができる。顆粒サイズの下限は約5ミクロンであり、顆粒の粒度分布は、スラリー粘度、ml/分での噴霧速度及びスラリー噴霧を液滴に分解するノズルに供給されるガス圧を含む幾つかの要因によって決定されうる。
【0029】
噴霧凍結乾燥した顆粒は、軟質グリーンボディを形成するために、約150〜約200MPaの圧力でダイ圧密化することができる。軟質グリーンボディは、一般に、所望のHPHT焼結製品と同一の幾何学的形状であってよいが、HPHT焼結プロセスにより生じる変形により異なるサイズ又はアスペクト比を有することができる。穴、角度、曲面、面取り、くぼみ、半径、リッジ又は粉末圧縮技術によって達成可能な他の特徴などの複雑な幾何学的特徴を生じることができる。軟質グリーンのより高い密度はHPHT焼結プロセスの間に生じる変形を低減し、最終製品の最終的なサイズ及び形状制御を改善することができる。
【0030】
軟質グリーンボディを約450℃の温度に加熱し、ポリマーバインダを蒸発させる。この脱バインダ操作は真空条件下で実施してもよいし、例えば、水素、窒素、空気、酸素又はアルゴンガス流下に実施してもよい。軟質グリーンは、その後、真空、Ar又はN2などの不活性雰囲気下に約1300℃までの温度に加熱処理して、Siとダイヤモンドとの間の反応を引き起こし、少量のSiCを形成し、グリーンボディの強度を増加させて、硬質グリーンボディを形成することができる。
【0031】
1つ以上の硬質グリーンボディを、その後、圧密化グラファイト粉末などの封じ込め手段に封入することができる。硬質グリーンボディの封入の1つの方法はプレス機のパンチ上に硬質グリーンを置き、グリーンの周囲に緩いグラファイト粉末を注ぎ、約175MPaの圧力を加え、グリーンの周囲でグラファイト粉末を圧縮する。この方法により、約90%の相対密度を有する固体グラファイト封じ込め手段を得ることができる。
【0032】
硬質グリーンボディの封入の別の方法は、プレスキャビティーに緩いグラファイトを注ぎ、そして約175MPaの圧力を加えて、粉末を緻密化ボディに圧縮することである。硬質グリーンのサイズ及び形状に適合するキャビティーを、緻密化グラファイトボディへと機械加工することができる。この方法により、約90%の相対密度を有する固体グラファイト封じ込め手段を得る。
【0033】
硬質グリーンボディの封入のさらに別の方法は、硬質グリーンのサイズ及び形状に適合するロッドを含むプレスパンチのセットを提供し、プレスキャビティーに緩いグラファイトを注ぎ、そして約175MPaの圧力を加えて、粉末を緻密化ボディに圧縮することである。パンチからの圧縮ボディの取り出し後に、緻密化グラファイトボディは予備成形されたキャビティーを有し、その中に硬質グリーンを挿入する。この方法により、約100%までの相対密度を有する固体グラファイト封じ込め手段を得る。封じ込め手段のために選択される粉末は、焼結されるダイヤモンド材料と非反応性であることができる。ダイヤモンド、シリコン及び、場合により、窒化ケイ素粉末の場合には、グラファイトは非反応性封じ込め手段であることができる。封じ込め手段を形成するために使用され得る他の粉末材料としては、六方晶窒化ホウ素、アルミナ及びタルク粉末が挙げられる。
【0034】
液体合金は高温下でのダイヤモンド複合材ボディ中に浸透することができる。本発明に係るダイヤモンド複合材を製造する方法において、浸透工程は任意工程である。本発明の1つの実施形態では、部分浸透工程が含まれてもよい。本発明の別の実施形態において、浸透は全く起こらなくてよい。焼結の間に外部シリコンをダイヤモンドフィード原料に浸透させるために使用するならば、シリコンを硬質グリーンに隣接して提供し、そして硬質グリーンとともに封じ込め手段中に取り込むことができる。
【0035】
硬質グリーンが封じ込め手段に組み込まれたら、封じ込め手段を高圧セル内に取り込み、約3GPa及び約1500℃〜約1650℃のHPHT条件下で約15〜約30分間焼結する。焼結が完了した後に、グラファイト封じ込め手段をハンマー又は他の適切な工具を用いてばらばらに破壊することができ、そして焼結体をグラファイト材料から分離する。焼結体の最終的なクリーニングはSiC又はアルミナなどの適切な研磨グリットを使用してグリットブラストすることにより完成される。
【実施例】
【0036】
[例1]
72wt%のcBN、8wt%のAl、3.2wt%のAl23、6.4wt%のTiC及び10.4wt%の化学量論未満のTiNをミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料のニアネットボディを製造した。粉末混合物をパン乾燥し、その後、82%エタノール/18%水の溶液とブレンドし、そして有機バインダPEG300、PEG1500及びPEG4000を乾燥粉末の20体積%に対応する量まで添加した。スラリー粘度を噴霧乾燥工程の前に注意深く制御した。顆粒化粉末は良好な流動性を有し、そして50トンDorsetプレスを用いて行った単軸プレス加工工程の間にダイを容易に充填することができ、そしてプレス加工圧力は約30kNであった。グリーンを単一工程プロセスで脱バインダ及び予備焼結し、そして脱バインダ工程を水素流下で500℃までのゆっくりとした上昇の間に行い、次いで、900℃まで真空下に上げ、15分間維持することにより予備焼結した。
【0037】
予備焼結工程の間に、Alは溶融し、分配され、硬質グリーンは約2.61g/m3±0.03g/cm3の密度を有し、相対密度で72%±1%に対応するものであった。硬質グリーン中に観察される相をX-線ディフラクトグラムである図1に示した。図1は900℃に予備焼結した例1に記載の組成物を用いた硬質グリーンの回折パターンを示す。このディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008度を用いて2θで10〜70度の間でデータを回収したが、図中では、2θで25〜69度の範囲のみを示している。バックグランド及びCuKa2−ピークをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を指数化し、図面中の数は以下の相:1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365、2=Al、アルミニウム、PDF番号00−004−0787、3=α−Al23、コランダム、PDF番号00−046−1212、4=TiN0.96、Osbornite、PDF番号01−087−0627、5=TiC、Khamrabaeuite、PDF番号00−032−1383に対応する。
【0038】
グリーンは予備焼結後に有意な強度を示し、7つの硬質グリーンをダイの中に入れた。グラファイト粉末をその周囲に注ぎ、グラファイトを圧密化して、硬質グリーンが内部に埋め込まれた大きな円筒物を形成した。グラファイト円筒物をMgOカップに入れ、その後、1500〜1600℃で5GPaの圧力下で30分間焼結した。
【0039】
HPHT前のグラファイト中の硬質グリーンの装填パターンの記載をHPHT前の図2a及び2bに示す。図2aはプレス加工したグラファイト粉末(B)中に埋め込まれた7つの硬質グリーン(A)の位置を示している。図2bにおいて、模式図はプレス加工したグラファイト粉末(B)中に埋め込まれた側面からの同一のグリーン(A)を示しており、高密度グラファイトは圧密体の上及び底に配置されている。圧密体は、底に硬質グラファイトを有するMgOカップ中に入れられ、グラファイトホイルはMgOカップの内径を覆っている。セルの異なる部品の寸法をインチで図面右側に示している。
【0040】
HPHTの間に、最終の緻密化が起こった。インサートをブラストし、寸法を表1に示すとおりに測定し、焼結されたインサートの1つを図3に示す。
【0041】
下記の表1は硬質グリーンの寸法、ならびに、5つのHPHT焼結ニアネット物品を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1中のデータはHPHT焼結プロセスの間の緻密化及び若干の歪みを示す。平均して、HPHT焼結体の高さは外径の約2倍でグリーン状態から収縮しており、真円度の歪みは初期値の約4倍に増加した。HPHTの後に、焼結密度は3.617g/cm3であり、理論密度の100%に対応し、XRDにより検出された相は図4に示すとおりcBN、TiB2、Al23、AlN、TiC及びTiN0.96であった。図4は例1に記載のとおりのHPHT後の最終の焼結インサートの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008度を用いて2θで10〜70度の間でデータを回収したが、図中では、2θで25〜69度の範囲のみを示している。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディファクトグラムの反射を指数化し、図中の数は下記の相に対応する。
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365
2=TiB2、PDF番号01−075−0967
3=α−Al23、コランダム、PDF番号00−046−1212
4=AlN、PDF番号00−025−1133
5=TiC、Khamrabaevite、PDF番号00−032−1383
6=TiN0.96、Osbornite、PDF番号01−087−0627。反射の位置は、しかしながら、より低い2θに向けて若干シフトし、若干、より大きい単位セル寸法を示している。
【0044】
これらの全密度焼結ニアネットボディの1つをCTにおいて調査した。20-画像(図5)において、2D−画像(図5)において、ボディが均質であり、欠陥>50muを含まないインサートを示している。これらのスキャンのために使用されるCT−装置は、以下の設定を用いた、Ge Sensig and Inspection Technologiesからのv/tome/xs240であった。
【0045】
【表2】
【0046】
CTスキャンを完了した後に、GE Sensing and Inspection Technologiesからのdatos×2.0を用いて投射を再構築し、その後、Volume Graphics StudioMax2.1により分析した。
【0047】
[例2]
例1で記載したのと同一の粉末から、切削工具幾何学形状SNMNにおけるボディを厚さ=8.016mm及び内接円(IC)=15.712mmで約60%の相対密度にプレス加工し、その後、例1に記載されるのと同様にして予備焼結した。予備焼結後に、ボディをグラファイト粉末中にプレス加工し、MgO容器中に入れ、下方及び上方に高密度グラファイトがあり、そしてトップにMgOリッドを有し、図6に示すとおりである。
【0048】
例1と同一の条件を用いたHPHTの後に、インサートを図7に示すとおりの形状を有するように加工でき、焼結密度は3.592g/cm3であった。その密度は理論密度の99.5%に対応する。
【0049】
硬度は3044±18HV3であり、XRDにおいて、例2に記載のとおりに同一の相が検知された。
【0050】
図7はブラストされた後の例2に記載のとおりのHPHT後の2つのニアネットSNMAインサートであって、頂部及び底部が研削されているインサートを示す。
【0051】
これらの完全に緻密な焼結されたニアネットボディの1つをCTで調査した。2D−画像において(図8)、インサートは示されており、このボディは均質で欠陥>50muを含まない。例1に記載されるように、CTスキャンを回収し、再構築しそして分析した。
【0052】
[例3(従来技術−BZN7100)]
72wt%のcBN、8wt%のAl、3.2wt%のAl23、6.4wt%のTiC及び10.4wt%の化学量論未満のTiNを有機ミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料からなる粉末混合物を製造した。スラリーをパン乾燥し、その後、粉末をグラファイト容器中に充填し、そして1500〜1600℃、5GPaで30分間HPHT−処理し、固体焼結PCBNディスクを形成した。
【0053】
RNMN幾何学形状のPCBN−ディスクピースから所望の幾何学形状にEDM−切削しそして研削して、PCBNスケルトンを残した。それは使用されず又は容易にリサイクルされなかった。
【0054】
このピースに対して、例1及び2からのピースと同一の調査をCTで行った。結果を図9に示し、従来技術で製造されたインサートは>50ミクロンのより重質の含有物(白色スポット)の可視欠陥を明らかに有する。例1に記載されるように、CTスキャンを回収し、再構築しそして分析した。
【0055】
図9は例3(従来技術)に記載されるように製造された完全に密の焼結体の2D CT−投影を示している。CT−画像はボディが均質でなく、>50ミクロンよりも大きい重質含有分(白色スポット)を含むことを示す。
【0056】
[例4]
89wt%のcBN、11wt%のAlをミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料のニアネットボディを製造した。粉末混合物をパン乾燥し、その後、82%エタノールとブレンドし、そして有機バインダPEG300、PEG1500及びPEG4000を乾燥粉末の22体積%に対応する量まで添加した。スラリー粘度を噴霧乾燥工程の前に注意深く制御した。顆粒化粉末は良好な流動性を有し、そして30トンDorsetプレスで行った単軸プレス加工工程の間にダイを容易に充填することができた。グリーンを最大の許容される力を用いてプレス加工し、SNMN幾何学形状を形成した。グリーンを単一工程プロセスで脱バインダ及び予備焼結し、そして脱バインダ工程を水素流下で500℃までのゆっくりとした上昇の間に行い、次いで、900℃まで真空下に上げ、15分間維持することにより予備焼結した。冷却時に、硬質グリーンの正方形物は硬く強固であり、クラック及び歪みを含まず、約14.60mmのIC及び約7.70mmの厚さの寸法であり、2.1〜2.3g/cm3の密度であり、それは65%±1%の相対密度に対応する。予備焼結後に、硬質グリーンは図26で低いほうのディフラクトグラム(900°)に示すとおり、cBN、Al及び少量のAlNを含んだ。
【0057】
硬質グリーンは300メッシュサイズのグラファイト粉末中に埋め込むことにより詰め込みした。1つの実施形態において、いくつかの硬質グリーンをダイキャビティー中にセットし、少なくとも約3mm離し、そして約22μmの粒度を有するグラファイト粉末中に埋め込んだ。グラファイト粉末はグリーンの間及び周囲で均一な密度を有して、硬質グリーンインサートに形態適合し、それにより、硬質グリーンに対して均一な圧力とした。グラファイト粉末中に埋め込まれた硬質グリーンは約300MPaで圧縮され、埋め込みインサートを有する剛性円筒形グラファイトセルを形成した。圧密化後のグラファイト密度は約2.1g/cm3であった。この構成の写真を図3に示す。
【0058】
次に、通常のセラミック絶縁体及びヒータを含む入手可能な高圧高温(HPHT)圧力セルに適合させるようにグラファイトセルを機械加工した。HPHTセル中で、硬質グリーンインサートを埋め込みしたグラファイトセルを、標準PCBN焼結サイクルに従って、約5.5GPa及び約1600℃で約25分間、単軸単一作動ベルトプレス(パンチ及びダイ)にて焼結した。HPHT焼結を完了した後に、グラファイトセルを破壊して、非常に硬質で完全緻密ニアネットPCBNインサートが現れた。上記の方法により製造された例示のニアネットPCBNインサートを図7に示す。
【0059】
記載したインサートは若干正方形から外れており(すなわち、全ての角は正確に90°であるわけではない)、周囲縁で若干のくぼみ(0.2mm未満)がある点で幾分かの歪みを示している。しかしながら、インサート上に見ることができるクラック又は欠けはない。光学顕微鏡上での研磨及び調査は>50ミクロンの欠陥を示さなかった。
【0060】
密度はアルキメデス法により測定して3.352g/cm3であった。この密度は理論密度のほぼ100%であり、硬度は3160±25HV3であった。
【0061】
X−線回折データは最終製品が図27に示すとおりcBN及びAlNから主になることを示す。図は例1に記載のとおりのHPHT後の最終焼結インサートの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008°を用いて2θで10〜70°の間でデータを回収した。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を指数化し、図面中の数は以下の相に対応する:
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365、
2=AlN、PDF番号00−025−1133
【0062】
[比較例5]
97wt%のcBN及び3wt%のAlを有機ミリング液体中で混合しそしてミリングすることによりcBN材料からなる粉末混合物を製造した。スラリーをパン乾燥した。その後、粉末を、下方にAl−ディスクを含むグラファイト容器中に充填し、そして1600℃、5.5GPaで25分間行うHPHTの間にAlを掃去しそしてAlNへと反応させた。この方法において、最終材料中のAl−含有分はHPHT及び浸透の前の粉末密度及び粉末床の均一性により、粉末バッチ毎に異なった。
【0063】
[例6 性能データ]
例4(ニアネットA及びBインサート)及び例5(標準、STDインサート)に記載の方法により製造されたSNMN1204インサートを全面研削して、約12.70mmのIC及び4.75mmの厚さの寸法を有する面取りされた切削工具を製造した。得られた工具を、V=314m/分、フィード=0.03mm/rev及び切削深さ=0.05mmで鋳鉄を機械加工することにより試験した。図10は2つの例示のニアネットインサートの性能をHPHT焼結ブランク材料の従来のレーザーカッティングにより製造された同一のインサートと比較する。結果は、標準製造材料、STDにおける約7〜8wt%Alと比較して、ニアネットA及びBインサートにおけるAlN含有分が11wt%のAlという、より高いAlN含有分であるにも係わらず、ニアネット法により製造される材料が従来法により製造されたものと同一の品質であることを示す。
【0064】
[例7:ダイヤモンド複合材採掘ピック]
ダイヤモンド、シリコン及び窒化ケイ素粉末を湿式ミリング法を用いてミリング流体としてのイソプロピルアルコールとブレンドして、均質混合物を形成した。混合物の質量百分率は90%ダイヤモンド、9.5%シリコン、0.5%窒化ケイ素であった。ダイヤモンドは20〜30ミクロンダイヤモンド80%及び4〜8ミクロンダイヤモンド20%の混合物であった。シリコンは、Alfa Aesarシリコン粉末であり、結節性でAPS1〜5ミクロン、99.999%(金属基準)であった。窒化ケイ素は、Alfa Aesarの窒化ケイ素(IV)、α相、99.5%(金属基準)、<1ミクロンであった。スラリーは、流体として水を用い、バインダーとして、この混合物の24体積%のPEGを用いて調製した。スラリーを噴霧凍結造粒し、プレス加工用顆粒を製造した。
【0065】
顆粒は通常に採掘作業で使用される工具先端の形状に単軸プレスで軟質グリーンをプレス加工するために使用した。軟質グリーンを水素の存在下で450℃に加熱してPEGを除去し、次いで、真空中で、1300〜1350℃にさらに加熱してグリーンを予備焼結し、シリコンとダイヤモンドの部分反応を生じさせ、炭化ケイ素を生成した。図11は、直径16mm、高さ22mmであると測定された硬質グリーンの写真を示す。
【0066】
硬質グリーンをグラファイト封じ込め手段の中に封入した。HPHT焼結の間に複合材中に浸透させるための追加のシリコンを供給することが望ましかったので、16mm直径×0.75mm厚さと測定される2つのシリコンディスクをプレスの底部パンチの中央にスタックで置き、硬質グリーンをシリコンディスクの上に置いた。硬質グリーンの周囲のダイキャビティーを緩いグラファイトフレークで充填し、約175MPaの圧力でプレス加工し、硬質グリーンの周囲のグラファイトを団結させた。グラファイトの質量及び封じ込め手段の体積を、完全に緻密化されたグラファイトの密度の91%の密度を有する封じ込め手段を提供するように選択した。このような2つの封じ込め手段を作製した。
【0067】
2つの封じ込め手段をHPHTセル内に配置し、そして3GPa及び1600℃の条件で焼結した。HPHTセルを破壊し、焼結物品をハンマーを使って封じ込め手段から取り出した。最後のクリーニングをSiCグリットでグリットブラスターを使用して行った。SiCグリットは焼結体からグラファイトを除去したが、焼結体を摩耗せず、焼結体は十分に焼結されており、非常に高い硬度及び耐摩耗性を有したことを示す。クリーニングされた焼結物品を図13に示す。HPHT焼結物品の密度をアルキメデス法を用いて測定し、密度は3.407及び3.409g/cm3であった。この密度は本発明の方法を用いずに製造された同様の材料の密度と同等である。
【0068】
[例8:ダイヤモンド複合材ノズルボディ]
ダイヤモンドスラリー及び顆粒を例3に記載の方法と同一の方法を用いて製造した。顆粒を用いて24mm直径及び12mm高さと測定される円筒物をプレス加工した。ドリルプレスを用いて4.8mm直径と測定される中央穴をドリルした。次いで、例7に記載したのと同一の方法を用いて円筒物を予備焼結した。硬質グリーンの写真を図11に示す。
【0069】
例3に記載の方法と同一の方法を用いてグラファイト封じ込め手段を製造したが、ボディをボトムパンチ上に配置せず、そして固体グラファイト円筒物を製造した。円筒形キャビティーを2つのグラファイト封じ込め手段に各々機械加工し、円筒+2つの24mm×0.75mm厚さのシリコンディスクが、機械加工されたキャビティの中央に適合するようにした。シリコンディスクを1つの封じ込め手段の1つのキャビティーの基部に配置し、硬質グリーン円筒物をシリコンディスクの上に配置した。緩い粉末状グラファイトを、中央穴中に配置し、そして手動で圧縮して、穴を充填した。第二の封じ込め手段を硬質グリーンの上に配置し、そしてアセンブリをHPHT圧力セル中に装填した。
【0070】
例7に記載の方法と同一の方法を用いてセルを焼結し、そしてセルから回収した。クリーニングした焼結体を図14に示す。中心孔は円筒からのわずかな歪みをもって無傷のままであった。焼結体に亀裂は認められなかった。焼結ノズルの密度は3.403g/cm3であった。
【0071】
[例9:ダイヤモンド複合材採掘ピック]
例7に記載の方法と同一の方法を用いて採掘ピックを製造したが、使用したシリコン粉末はElkem Silgrain HQ 0.05 Fe <10ミクロンであった。軟質グリーンピックの相対密度は64%であった。HPHT焼結後に、採掘ピックは密度が3.419g/cm3であった。ピックの円筒形ボディをセンターレスグラインダーで14.00mmに研削し、ピックの基部をワイヤEDMを用いてある長さに切断し、そしてダイヤモンド研削ホイールを用いてピックの底部上を研削して45°面取りを行った。ピックの円錐切削表面を形成するために研削又は他の仕上げ操作を行わなかった。試験前のピックのCTスキャンを図19に示す。これらのスキャンのために用いたCT装置は以下の設定を用いたGe Sensig and Inspection Technologiesからのv/tome/xs240であった。
【0072】
【表3】
【0073】
CTスキャンを完了した後に、GE Sensing and Inspection Technologiesからのdatos×2.0を用いて投射を再構築し、その後、Volume Graphics StudioMax2.1により分析した。
【0074】
スチール工具ボディに収縮適合することによりピックを試験のために取り付けた。同一のダイヤモンド複合材料から製造されたが、ニアネット予備圧密化及び封じ込め法を用いていない1つの他のピックをプレス加工されたままのピックとの比較の試験のために調製した。比較ピックは35mm直径×38mm高さの焼結ブランクから所望の形状にワイヤEDM切削し、そしてダイヤモンド研削ホイールにより外径を研削しそして表面を切削することにより製造した。図19に示すものと同一の設定を用いた「研削したまま」のピックのCTスキャンを図20に示す。
【0075】
花崗岩ブロックの1点機械切削により採掘用カッターとしての適切さについてピックを試験した。この花崗岩ブロックの機械特性は非拘束圧縮強さ(USC)が132MPaであり、非拘束引張り強さ(UTS)が11.2MPaであり、そしてサーチャー摩擦指数(Cerchar Abrasivity Index)(CAI)が4.1である。工具のポイント攻撃角は55°であった。累進的に、より攻撃的になる切削条件を用いて合計で12の切削面を作った。試験のための切削条件を下記の図21に示す。最も高品質の市販の炭化タングステン(WC)採掘ピックは破壊される前にこれらの条件下での1つの切削面さえも完成することができない。
【0076】
試験後のプレス加工されたままの採掘ピックの写真を図22に示す。図19に示すのと同一の設定を用いて、試験後のプレス加工されたままの採掘ピックのCTスキャンを図23に示す。非常に少量の摩耗しかなく、切削の結果として内部損傷は存在しない。試験後の研削されたままの採掘ピックの写真を図24に示す。図19に示すのと同一の設定を用いて、試験後の研削されたままの採掘ピックのCTスキャンを図25に示す。わずかの量の摩耗が存在し、切削の結果として内部損傷はなかった。これらの結果は、プレス加工されたままの採掘ピックは同一の材料であるが、ダイヤモンド研削された切削面を有するピックと同等の性能を有することを示す。
【0077】
[例10]
2つの顆粒化粉末を例1(PCBN)に記載のとおりに製造したが、粉末2を製造するときに、分散剤として作用する0.52wt%のTEA(トリエタノールアミン)もスラリーに添加した。粉末をコールドプレスし、55及び59%相対密度を有する円筒物を製造し、有機バインダ及び分散剤を除外した。円筒形ピルを片面プレスインし、そしてKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて軸強度を測定した。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.033mmであった。55から59%へのプレス密度の増加により、2.9MPaから5.4MPaの軸軟質グリーン強度の増加をもたらした。
【0078】
59%相対密度の円筒物を、その後、例1に記載のとおりに脱バインダしそして予備焼結し、そして硬質グリーンの軸強度を測定し、軸強度は、粉末1については5.4MPaと比較して49.2MPa、そして粉末2については4.7MPaから56.1MPaと、軟質グリーンよりも有意に高いことが分かった。
【0079】
【表4】
【0080】
[例11]
例4(PCBN)に記載のとおりに製造した顆粒粉末をコールドプレスし、59%相対密度を有する円筒物を製造し、有機バインダ及び分散剤を除外した。円筒形ピルを片面プレスインし、そしてKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて軸強度を測定した。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.020mmであった。円筒物を、その後、例1に記載のとおりに脱バインダしそして予備焼結し、そして硬質グリーンの軸強度を測定し、軸強度は、13.6MPaと比較して80.6MPaと、軟質グリーンよりも有意に高いことが分かった。
【0081】
【表5】
【0082】
[例12]
同一の組成を有しそして例7に記載のとおりに製造した顆粒化粉末を円筒形ピルにプレス加工し、それは60%相対密度を有し、有機バインダを除外した。例7に記載のとおりに円筒形ピルを片面プレスし、そして1200、1300、1350及び1400℃に予備焼結する前及び後に軸強度を測定した。プレス及び強度測定はKZKからのPowder Testing Center モデルPTC-03DT装置を用いて行った。プレスインしたダイの寸法はOD=12.700mm及び高さ=10.033mmであった。
【0083】
【表6】
【0084】
表4において、グリーン強度は予備焼結温度を増加させることにより有意に増加し、このようにして、予備焼結反応において生成されるSiCの量は増加し、そのことは図18にも示している。温度の増加によりSiC含有分の増加を引き起こし、そのことは図中に3として示すSiC反射の強度によって示される。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。バックグランドをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてダイヤモンド(PDF番号00−006−0675)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディフラクトグラムの反射を以下に従って指数化した。
1=C、ダイヤモンド、PDF番号00−006−0675
2=Si、シリコン、PDF番号00−027−1402
3=SiC、モアッサナイト−3C、PDF番号00−029−1129
4=α−Si34、α−窒化ケイ素、PDF番号00−041−0360
【0085】
[例13]
予備焼結温度を変更することにより、HPHT前の組成及びグリーン強度は変化することがあり、各組成について最適化されうる。900℃及び1100℃に予備焼結した例4(PCBN7000)に記載のとおりのグリーンについての予備焼結反応の例を下記に示した。図26は900℃及び1100℃に予備焼結した例に記載の組成を有する2つの硬質グリーンの回折パターンを示す。ディフラクトグラムはXPERT-PROディフラクトメータを用いてCuKa線を用いて室温で得られた。ステップサイズ0.008°を用いて2θで10〜95°の間でデータを回収したが、2θで30〜80°の範囲のみを示している。バックグランド及びCuKa2−ピークをDIFFRAC Plus Evaluation ソフトウエアを用いて差し引いた。ディフラクトグラムは、また、内部標準としてcBN(PDF番号00−035−1365)の111−ピークを用いてサンプル変位について補正した。ディファクトグラムの反射を指数化し、図中の数は下記の相に対応する。
1=cBN、立方晶窒化ホウ素、PDF番号00−035−1365
2=Al、アルミニウム、PDF番号00−004−0787
3=AlN、PDF番号00−025−1133
【0086】
図26中のディフラクトグラムにおいて分かるとおり、900℃でAlは溶融しそして硬質グリーン中に分散したが、下のX−線ディフラクトグラムに示すように非常に少量割合のAlNしか生成しなかった。1100℃では、有意な量のAlNが生成し(上のX−線ディフラクトグラム)、少量のAlのみが最終HPHT工程の間に反応のために残っていた。
【0087】
[例14]
例7に記載した方法と同一の方法を用いて6つのダイヤモンド複合材採掘ピックを製造したが、1つの硬質グリーンボディを各封じ込め手段に封入するのではなく、3つの硬質グリーンボディを各封じ込め手段に封入した。封じ込め手段を高圧セルに組み立て、そして例7に記載した条件と同一の条件を用いて処理した。図12は焼結後のHPHTセルの写真を示し、セルの片側は露出して、グラファイト封じ込め手段に埋め込まれたニアネット形状ボディを現している。
【0088】
[例15]
例8に記載の方法と同一の方法を用いて14個の硬質グリーンボディを製造したが、HPHT焼結の前に硬質グリーンボディに穴をドリルで空けず、また、予備焼結を1200℃〜1550℃の範囲の種々の最大温度で行った。横断方向破断強度を測定するためのテストバー、及び、XRD定性スキャン及び定量相分析のためのディスクをワイヤEDM機械を用いて焼結体から切った。XRD定量相分析をJade XRD分析ソフトウエアの"Easy Quantitative Analysis"ルーチンを用いて行った。図15は1200℃、1300℃及び1430℃で予備焼結したHPHT焼結体の組成の比較を示す。図16はHPHT焼結体の曲げ強度(横断方向破断強度)に対する予備焼結温度の効果を示す。図17はHPHT焼結体のSiC含有分に対する予備焼結温度の効果を示す。図18は1200℃、1300℃、1350℃及び1400℃に焼結した硬質グリーンボディ中に存在する相に対する予備焼結温度の効果を示す。相1はダイヤモンドであり、相2はシリコンであり、相3は炭化ケイ素であり、そして相4は窒化ケイ素である。予備焼結温度を増加させると、SiC含有分が増加する。硬質グリーンボディの組成の変化はHPHT焼結体の最終組成及び強度を変化させる。図17はHPHT焼結体中のSiC含有分が約1400℃の予備焼結温度を超えると、有意に高くなることを示している。図16は材料強度に対するこの組成変化の効果を示し、これは約1400℃の予備焼結温度を超えると、有意に低下することを示す。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25
図26
図27