特許第6281907号(P6281907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6281907系統連系システムの異常判定方法および異常判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281907
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】系統連系システムの異常判定方法および異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   H02J3/38 180
   H02J3/38 130
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-153545(P2014-153545)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-32344(P2016-32344A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】宮川 竜治
(72)【発明者】
【氏名】原田 茂
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−078207(JP,A)
【文献】 特開2010−014616(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/076906(WO,A1)
【文献】 特開2012−120285(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0077367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を出力する電力変換装置と交流電力系統とを連系する系統連系システムにおいて、系統電源電圧の位相変化成分からノイズ成分を除去した補正位相変化成分を求め、その補正位相変化成分にランプ・レート・リミテーションを与えた制限付与位相変化成分を生成し、さらに前記補正位相変化成分と前記制限付与位相変化成分との差分であるFRT判定指標を求め、このFRT判定指標に基づいて前記交流電力系統の異常判定を行う系統連系システムの異常判定方法。
【請求項2】
入力する系統電源電圧における位相変化成分を抽出する位相変化成分抽出手段と、
前記位相変化成分抽出手段が抽出する前記位相変化成分からノイズ成分を除去して補正位相変化成分を生成するノイズ成分除去手段と、
前記ノイズ成分除去手段が生成する前記補正位相変化成分に対してランプ・レート・リミテーションを与えて制限付与位相変化成分を生成するランプ・レート・リミテーション手段と、
前記ノイズ成分除去手段が生成する前記補正位相変化成分に対して、前記ランプ・レート・リミテーション手段が生成する前記制限付与位相変化成分を減算してFRT判定指標を生成する減算手段と、
前記FRT判定指標に基づく演算結果から単独運転状態の発生の有無を判定する単独運転判定手段とを備えた系統連系システムの異常判定装置。
【請求項3】
前記減算手段が生成する前記FRT判定指標から跳躍周波数成分を生成する跳躍周波数演算手段と、
前記減算手段が生成する前記FRT判定指標から跳躍位相成分を生成する跳躍位相演算手段と
をさらに備え、
前記単独運転判定手段は、前記跳躍周波数演算手段が生成する前記跳躍周波数成分と前記跳躍位相演算手段が生成する前記跳躍位相成分とに基づいて単独運転状態の発生の有無を判定する請求項2に記載の系統連系システムの異常判定装置。
【請求項4】
前記ランプ・レート・リミテーション手段は、
n回目に生成された前記補正位相変化成分と(n−1)回目に生成された前記制限付与位相変化成分との差分値の大きさが所定のリミット値を超えているとき前記差分値を前記リミット値に制限する一方、前記差分値の大きさが前記リミット値以下であるときは前記リミット値によって制限することなく、
(n−1)回目の前記制限付与位相変化成分に前記差分値を加えてn回目の前記制限付与位相変化成分を生成する請求項2または請求項3に記載の系統連系システムの異常判定装置。
【請求項5】
前記リミット値は可変とされ、
定常時には前記差分値に対する前記ランプ・レート・リミテーションによる制限がされないように前記リミット値が設定される一方、瞬時電圧低下時には前記差分値に対する前記ランプ・レート・リミテーションによる制限がされるよう前記系統電源電圧の大きさに応じた前記リミット値が設定される請求項4に記載の系統連系システムの異常判定装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流を出力する電力変換装置と交流電力系統とを連系する系統連系システムにおける異常判定方法および異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
系統連系システムにおけるパワーコンディショナなどの電力変換装置は、太陽電池などの分散型電源で発電された直流電力を、インバータを用いて商用の交流電力系統の周波数・電圧に適合する交流電力に変換し、交流電力系統に出力する。
【0003】
近時、分散型電源の導入の急激な拡大に伴って、広域にわたり多数の電力変換装置が交流電力系統に連系され、交流電力系統に与える影響が無視できない規模になりつつある。交流電力系統の擾乱(じょうらん)により多数の電力変換装置が一斉に解列すると、交流電力系統における電力品質に大きな影響を与える。この問題を回避するために規程されたものとして、FRT(Fault Ride Through:事故時運転継続)要件がある。FRTというのは系統擾乱時における運転継続性能のことである。具体的には、交流電力系統の瞬時電圧低下(瞬低)や系統周波数変動のような系統擾乱の発生に際して、パワーコンディショナを解列せずに運転継続することである。
【0004】
日本電気技術規格委員会が定めた「系統連系規程 JEAC 9701-2012」によると、三相発電設備については次のように規程されている。
【0005】
a.電圧低下時
○ 残電圧が20%以上(2017年3月末までに連系するものについては30%以上)で継続時間が0.3秒以内の電圧低下に対しては運転を継続し、電圧の復帰後0.1秒以内(2017年3月末までに連系するものについては0.5秒以内)に電圧低下前の出力の80%以上の出力まで復帰すること。
【0006】
○ 三相短絡事故を想定した残電圧20%未満(2017年3月末までに連系するものについては30%未満)で継続時間が0.3秒以内の電圧低下に対しては運転継続又はゲートブロックにて対応する。この場合、電圧復帰後1秒以内に電圧低下前の出力の80%以上の出力まで復帰すること。
【0007】
b.周波数変動時
○ ステップ状に+0.8Hz(50Hz系統に連系する場合)、+1.0Hz(60Hz系統に連系する場合)、3サイクル間継続する周波数変動に対しては運転を継続する。
【0008】
○ ランプ(傾斜)状の±2Hz/sの周波数変動に対しては運転を継続する。ただし、周波数の上限は51.5Hz(50Hz系統に連系する場合)、61.8Hz(60Hz系統に連系する場合)、周波数の下限は47.5Hz(50Hz系統に連系する場合)、57.0Hz(60Hz系統に連系する場合)とする。
【0009】
つまり、FRT要件とは端的には、系統の異常を検知する機能の感度をある程度鈍らせて、不要動作(単独運転発生ではなく本来は検出すべきでないのに誤検出すること)を回避しつつ、同時に、その感度は鈍すぎてはならず、本来の系統連系保護機能を適切に動作させるための要件である。
【0010】
交流電力系統の事故時等には配電線遮断器が開放されるが、配電線に分散型電源が接続されていると、分散型電源から供給される電力によって部分系統内で運転を継続してしまう場合があり、この状態が単独運転状態である。単独運転状態においては、本来は無電圧であるべき範囲が充電されてしまう危険がある。そこで、危険を避けるために単独運転状態の検出を行う構成を採用し、単独運転状態を検出したときは分散型電源を交流電力系統から解列するようにしている。
【0011】
単独運転の検出方式には受動的方式と能動的方式とがある。受動的方式は、単独運転移行時に発電出力と負荷の不平衡により電圧位相や周波数などが急変する事象を検出する方式である。一方、能動的方式は、電力変換装置の制御系により常に電圧や周波数に変動を与えておき、単独運転移行時に変動が顕著になる事象を検出する方式である。
【0012】
電圧位相跳躍検出方式は、受動的単独運転検出方式の一つであり、系統連系状態から単独運転状態へ移行するときの系統電源電圧の位相の急変すなわち位相跳躍を検出して単独運転状態と判定するものである(例えば特許文献1、2参照)。
【0013】
また、能動的単独運転検出方式としては、ステップ注入付周波数フィードバック方式やスリップモード周波数シフト方式がある。
【0014】
前者のステップ注入付周波数フィードバック方式は、交流電力系統に電力変動を注入し、交流電力系統の電圧の周期を計測し、前回計測時の周期に対する今回計測時の周期の増減変化を助長するように正のフィードバック制御をかけて前記電力変動の注入を補正する。その上で、系統電圧の周期の変化パターンを作成し、当該変化パターンに基づいて単独運転を判定する。すなわち、正のフィードバックにより不足または過剰の周波数変化を助長させながら、計測サイクルの偏差に基づいて単独運転判定のための変化パターンを作成し、その変化パターンに基づいて単独運転状態の発生の有無を判定する。このような一連のステップ動作を一定の周期で繰り返し実行する(例えば特許文献3、4参照)。
【0015】
後者のスリップモード周波数シフト方式は、定格周波数からの周波数変化に対して出力電流位相を変化させる特性を電力変換装置にもたせることにより、有効電力・無効電力が平衡している場合でも、単独運転移行時に生じる微小な周波数変化を正帰還して周波数をシフトさせ、その過程で周波数異常に至ったときは単独運転局限化リレー(OFR又はUFR)が動作することにより単独運転を検出するものである(例えば特許文献5、6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−94921号公報
【特許文献2】特開2008−118733号公報
【特許文献3】特開2007−215392号公報
【特許文献4】特表2002−500496号公報
【特許文献5】特開平7−123595号公報
【特許文献6】特開2013−99230号公報
【特許文献7】特開2011−247852号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】パワーエレクトロニクス機器の制御技術 電気学会技術報告第1084号 2007年4月 15〜16ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記で説明した受動的単独運転検出の電圧位相跳躍検出方式にあっては、課題とするところの、FRT要件で求められる条件では検出せず、しかも単独運転を適切に検出するように構成するとなると、現在の技術水準では複雑な検出の仕組みを構築しなければならないことが分かっている。加えて、交流電力系統の電圧の歪みがある程度に大きくなると、誤動作を起こす可能性もある。
【0019】
また、能動的単独運転検出のステップ注入付周波数フィードバック方式やスリップモード周波数シフト方式で用いられる周波数検出についても、上記の電圧位相跳躍検出方式と同様に複雑な仕組みと誤動作のリスクがあることが分かっている。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、系統連系システムにおける交流電力系統の瞬時電圧低下(瞬低)や系統周波数変動のような系統擾乱の発生に際して、電力変換装置を解列せずに運転継続するFRT技術に関し、高精度な制御を簡素な構成で実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
【0022】
本発明による系統連系システムの異常判定方法は、交流を出力する電力変換装置と交流電力系統とを連系する系統連系システムにおいて、系統電源電圧の位相変化成分からノイズ成分を除去した補正位相変化成分を求め、その補正位相変化成分にランプ・レート・リミテーションを与えた制限付与位相変化成分を生成し、さらに前記補正位相変化成分と前記制限付与位相変化成分との差分であるFRT判定指標を求め、このFRT判定指標に基づいて前記交流電力系統の異常判定を行うものである。
【0023】
また、本発明による系統連系システムの異常判定装置は、
入力する系統電源電圧における位相変化成分を抽出する位相変化成分抽出手段と、
前記位相変化成分抽出手段が抽出する前記位相変化成分からノイズ成分を除去して補正位相変化成分を生成するノイズ成分除去手段と、
前記ノイズ成分除去手段が生成する前記補正位相変化成分に対してランプ・レート・リミテーションを与えて制限付与位相変化成分を生成するランプ・レート・リミテーション手段と、
前記ノイズ成分除去手段が生成する前記補正位相変化成分に対して、前記ランプ・レート・リミテーション手段が生成する前記制限付与位相変化成分を減算してFRT判定指標を生成する減算手段と、
前記FRT判定指標に基づく演算結果から単独運転状態の発生の有無を判定する単独運転判定手段とを備えたものである。
【0024】
本発明による系統連系システムの異常判定方法・異常判定装置において、交流電力系統の異常判定に用いるFRT判定指標は補正位相変化成分と制限付与位相変化成分との差分であり、この2要素のうち補正位相変化成分は系統電源電圧の位相変化成分からノイズ成分を除去したものであり、制限付与位相変化成分は補正位相変化成分にランプ・レート・リミテーションを与えたものである。系統連系システムの異常判定に用いる一連の要素(成分)は系統電源電圧の位相変化成分を出発要素とするもので、出発要素はこの位相変化成分ただ1つのみである。この出発要素から一連の複数の関連要素が生成されるが、そのいずれも比較的簡単に生成することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、交流電力系統の瞬時電圧低下(瞬低)や系統周波数変動のような系統擾乱の発生に際して、パワーコンディショナなどの電力変換装置を解列せずに運転継続することに関し、高精度な制御を簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の主要部の構成を示すブロック図
図2】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の動作説明に供する波形図
図3】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置における制限付与位相変化成分の説明図
図4】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の制御に供されるフローチャート
図5】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の制御に供されるフローチャート(サブルーチン)
図6】本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の制御に供される系統電源電圧に応じて決まるリミット値指標の特性図
【発明を実施するための形態】
【0027】
上記構成の本発明の系統連系システムの異常判定装置には、次のようないくつかの好ましい態様がある。
【0028】
上記の異常判定装置の構成要素に加えて、さらに、減算手段が生成するFRT判定指標から跳躍周波数成分を生成する跳躍周波数演算手段と、減算手段が生成するFRT判定指標から跳躍位相成分を生成する跳躍位相演算手段とを備えるものとし、前記の単独運転判定手段は、跳躍周波数演算手段が生成する跳躍周波数成分と跳躍位相演算手段が生成する跳躍位相成分とに基づいて単独運転状態の発生の有無を判定するように構成されているという態様は、好ましいものの1つである。
【0029】
また、前記のランプ・レート・リミテーション手段については、n回目に生成された補正位相変化成分と(n−1)回目に生成された制限付与位相変化成分との差分値の大きさが所定のリミット値を超えているとき差分値をリミット値に制限する一方、差分値の大きさがリミット値以下であるときはリミット値によって制限することなく、(n−1)回目の制限付与位相変化成分に前記の差分値を加えてn回目の制限付与位相変化成分を生成するという態様も、好ましいものの1つである。
【0030】
また、前記のリミット値は可変とされ、定常時には前記の差分値に対するランプ・レート・リミテーションによる制限がされないようにリミット値が設定される一方、瞬時電圧低下時には前記の差分値に対するランプ・レート・リミテーションによる制限がされるよう系統電源電圧の大きさに応じたリミット値が設定されるように構成されているという態様も、好ましいものの1つである。
【0031】
以下、上記構成の本発明の系統連系システムの異常判定装置・異常判定方法につき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
【実施例】
【0032】
以下、本発明にかかわる系統連系システムの異常判定装置・異常判定方法の実施例を、図1図6を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施例における系統連系システムの異常判定装置の主要部の構成を示すブロック図、図2は系統連系システムの異常判定装置の動作説明に供する波形図である。
【0033】
図1において、11は商用の系統電源の電圧W1(Vpu)を入力として、その系統電源電圧における位相変化成分Δθを抽出する位相変化成分抽出手段、12はノイズ成分除去手段、13はランプ・レート・リミテーション手段、14は減算手段、15は跳躍周波数演算手段、16は跳躍位相演算手段、17は単独運転判定手段である。以下、これらの構成要素について順次説明する。
【0034】
まず、位相変化成分抽出手段11について、図2(a)を参照しつつ説明する。
【0035】
図2(a)において、波形のW1は系統電源電圧、W2は系統電源電圧W1についてPLL(Phase Locked Loop:位相同期ループ)にて同期させた正弦波信号、θは系統電源電圧W1についてPLLにて生成した位相、Δθは位相変化成分である。
【0036】
位相変化成分抽出手段11は、例えば乗算型PLLを利用するもので、系統電源電圧W1を入力として、位相同期演算により系統電源電圧W1に位相同期した正弦波信号W2を生成する過程で中間的に生成される位相変化成分Δθを抽出する機能を有している。用いる乗算型PLLについては、厳密型や近似型その他があるが、いずれの型式を用いてもよい(例えば非特許文献1参照)。この非特許文献1のPLLは三相交流の場合であるが、単相交流のPLLでも同様である(特許文献7参照)。また、ソフトウェア方式、ハードウェア方式のいずれも用いることができる。
【0037】
ソフトウェア方式の場合、今回n回目の計測サイクルで検出した位相θn と前回(n−1)回目の計測サイクルで検出した位相θn-1 との差分が今回の位相変化成分Δθn として求められる。すなわち、
Δθn =θn −θn-1 ……………(1)
である。
【0038】
計測サイクルに関する周波数をfc とすると、計測タイミングの周期Tは、T=1/fc であり、例えば、fc =16kHzとすると、T=62.5μsとなる。具体的には、計測タイミング(n−1)から計測タイミングnまでの時間間隔が62.5μsということである。
【0039】
次に、ノイズ成分除去手段12について図2(b)を参照しつつ説明する。
【0040】
系統電源電圧には様々な不平衡成分や歪成分が含まれており、それを原因とするノイズ成分が系統電源電圧の位相変化成分Δθに影響を与える。そこで、ノイズ成分除去手段12は、このノイズ成分の影響を避けるために、フィルタリングにより系統電源電圧の位相変化成分Δθの波形情報からノイズ成分を位相オフセットとして除去し、オフセット補正された位相変化成分Δθ′を得る。ここで、「オフセット補正された位相変化成分」を単に「補正位相変化成分」と記載することとする。補正位相変化成分Δθ′は系統電源電圧の位相につき、真に変化している成分のみを抽出したものとなる。
【0041】
具体的には、系統電源電圧の周期(60Hzの場合は約16.7ms、50Hzの場合は20ms)において移動平均をとることにより、基本周波数や高調波に同期した揺らぎをカットする。ノイズ成分除去手段12としては、非巡回型のFIR(Finite Impulse Response)フィルタや巡回型のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタなどのローパスフィルタあるいはディジタルフィルタ、電子回路におけるローパスフィルタなどを用いることができる。
【0042】
次に、ランプ・レート・リミテーション手段13について図2(c)を参照しつつ説明する。
【0043】
補正位相変化成分Δθ′に対して与えるランプ・レート・リミテーションは、補正位相変化成分Δθ′の変化率に対して制限をかける処理である。詳しいことは図4図5のフローチャートを用いて後述するが、ランプ・レート・リミテーション手段13の概要は、補正位相変化成分Δθ′の変化率(単位計測サイクルでの変化量)が規定値(リミット値Lim )以下のときは補正位相変化成分Δθ′に追従させ、一方、補正位相変化成分Δθ′の変化率が規定値(リミット値Lim )を超えるときは補正位相変化成分Δθ′への追従をやめるというものである。
【0044】
補正位相変化成分Δθ′に対してランプ・レート・リミテーションを与えた関数を制限付与位相変化成分Δθrampとする。この制限付与位相変化成分Δθrampは、補正位相変化成分Δθ′の変化率が制限値であるリミット値Lim 以下のときは、補正位相変化成分Δθ′に追従させて、補正位相変化成分Δθ′の変化率と同じ値で変化させる一方、補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim を超えるに至ったときには、補正位相変化成分Δθ′への追従をやめて、補正位相変化成分Δθ′の変化率に対して制限を与えた前記のリミット値Lim だけ変化させる。
【0045】
図2(c)において、期間T1では、補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim 以下であることから、制限付与位相変化成分Δθrampは補正位相変化成分Δθ′に追従しており、補正位相変化成分Δθ′と一致している。一方、期間T2では、補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim を超えていることから、制限付与位相変化成分Δθrampは補正位相変化成分Δθ′から外れている。図2(c)ではΔθ′>Δθrampの状態が示されているが、もちろん逆のΔθ′<Δθrampの場合も起こり得る。
【0046】
より具体的には次のとおりである。前回(n−1)回目の計測サイクルでの制限付与位相変化成分を(Δθramp)n-1 、今回n回目の計測サイクルでの制限付与位相変化成分を(Δθramp)n として、前回の制限付与位相変化成分(Δθramp)n-1 に調整用の変数δ(マイナス値の場合を含む)を与えることによって今回の制限付与位相変化成分(Δθramp)n を生成する。すなわち、
(Δθramp)n =(Δθramp)n-1 +δ ……………(2)
とする。そして、この方式の場合に、補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim 以下のときは、調整用の変数δとして、今回の補正位相変化成分(Δθ′)n と前回の制限付与位相変化成分(Δθramp)n-1 との差分値(追従中での補正位相変化成分Δθ′の変化量)を与え(これについては後述する)、補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim を超えるときは、調整用の変数δとして、リミット値Lim を与えるものである。まとめると、
補正位相変化成分Δθ′の変化率≦Lim のとき、
δ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 ……………(3)
補正位相変化成分Δθ′の変化率>Lim のとき、
δ=Lim (プラス値またはマイナス値) ……………(4)
である。
【0047】
図3(a),(b)は補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim 以下の場合の制限付与位相変化成分Δθrampの推移を示す。図3(a)は補正位相変化成分Δθ′の変化を示し、図3(b)は同じ計測サイクルでの制限付与位相変化成分Δθrampの変化を示す。ここで、制限付与位相変化成分Δθrampはタイミング(n−1)まで補正位相変化成分Δθ′に追従してきているとする。すなわち、
(Δθ′)n-1 =(Δθramp)n-1 ……………(5)
であるとする。そして、
(Δθ′)n −(Δθ′)n-1 =(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 <Lim …………(6)
である。ゆえに、タイミングnにおける制限付与位相変化成分(Δθramp)n として、タイミング(n−1)における制限付与位相変化成分(Δθramp)n-1 に、調整用の変数δとして、ランプ・レート・リミテーションによる制限を与えない、期間〔(n−1)〜n〕での補正位相変化成分Δθ′の変化量δをそのまま採用する。ただし、
δ=(Δθ′)n −(Δθ′)n-1 ……………(7)
とするのではなく、数式(5)を利用した
δ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 ……………(8)
を用いる。その理由については後述する。
【0048】
図3(c),(d)は補正位相変化成分Δθ′の変化率がリミット値Lim より大きい場合の制限付与位相変化成分Δθrampの推移を示す。図3(c)は補正位相変化成分Δθ′の変化を示し、図3(d)は同じ計測サイクルでの制限付与位相変化成分Δθrampの変化を示す。
【0049】
タイミングnでの制限付与位相変化成分(Δθramp)n を求めるに際して、タイミング(n−1)での制限付与位相変化成分(Δθramp)n-1 に加算する調整用の変数δとして、上記の場合の変化量δ(=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 )に代えて、δ=±Lim が用いられる。ただし、δ=+Lim は、期間〔(n−1)〜n〕での補正位相変化成分Δθ′の変化量δがプラスの場合に採用され、δ=−Lim は、変化量δがマイナスの場合に採用される。図3(c),(d)はプラスの場合に対応している。
【0050】
ここでの議論は、図4図5のフローチャートを用いた動作説明でより明瞭なものとなる。
【0051】
ランプ・レート・リミテーション手段13は、以上のような手法で、補正位相変化成分Δθ′に対してランプ・レート・リミテーションを与えた制限付与位相変化成分Δθrampの関数を得る。
【0052】
減算手段14は、ノイズ成分除去手段12によって生成されるところの、系統電源電圧の位相につき真に変化している成分のみを抽出した補正位相変化成分Δθ′に対して、ランプ・レート・リミテーション手段13が生成したところの、補正位相変化成分Δθ′に対してランプ・レート・リミテーションを与えた制限付与位相変化成分Δθrampを減算する。なお、制限付与位相変化成分Δθrampの値がマイナスのときは、減算手段14が行う実際上の演算は加算となる。減算手段14による演算結果をFRT判定指標Δθ″とする。
【0053】
Δθ″=Δθ′−Δθramp ……………(9)
である。このFRT判定指標Δθ″が図2(c)に表示されている。
【0054】
図2(d)は跳躍周波数演算手段15がFRT判定指標Δθ″から求めた跳躍周波数成分Fと、跳躍位相演算手段16がFRT判定指標Δθ″から求めた跳躍位相成分φを表している。
【0055】
跳躍周波数演算手段15は、能動的単独運転検出方式にかかわるもので、FRT判定指標Δθ″から跳躍周波数成分Fを求める機能を有している。ここでは、FRT判定指標Δθ″を定数倍(k倍)することにより跳躍周波数成分Fを求める。すなわち、
F=k・Δθ″ ……………(10)
である。kは計測サイクルに関する周波数fc を2πで割った値とする。
【0056】
k=fc /2π ……………(11)
であり、例えば、fc =16kHzの場合は、k≒2546.5となる(一例)。
【0057】
跳躍位相演算手段16は、受動的単独運転検出方式にかかわるもので、FRT判定指標Δθ″から跳躍位相成分φを求める機能を有している。ここでは、FRT判定指標Δθ″を積分することにより跳躍位相成分φを求める。すなわち、
φ=∫Δθ″dt ……………(12)
である。ソフトウェア処理としては、総和(数列の和)Σを用いて、
φ=ΣΔθ″ ……………(13)
となる。
【0058】
なお、一度位相跳躍が発生すると、前段で算出された位相跳躍の値が残ったままとなるので、跳躍位相演算手段16においては、次の位相跳躍に備えて、予め値をゼロに近づけておく積分値ゼロリセットの演算を行うものとする。例えば、
φ←0.9999・φ ……………(14)
の演算を繰り返し実行する。
【0059】
単独運転判定手段17は、跳躍周波数演算手段15によって求められた跳躍周波数成分Fと跳躍位相演算手段16によって求められた跳躍位相成分φとによって、真に問題となる分散型電源の単独運転状態の発生の有無を判定する。
【0060】
受動的単独運転検出方式の場合には、逆潮流バランス時に変化が現れず、単独運転が検出されないことがある。そこで、受動的単独運転検出方式を補完して逆潮流バランス時でも検出可能とするために能動的単独運転検出方式が用いられる。
【0061】
次に、図4図5のフローチャートと図6の系統電源電圧に応じて決まるリミット値指標の特性図を用いて、系統連系システムの異常判定方法の具体的な動作を説明する。このフローチャートはタイミングn(nは任意の自然数)から始まるn回目の計測サイクルでの動作を示している。
【0062】
まず、ステップS10において、調整用の変数δとして、
δ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 ……………(15)
の演算を行う。ここで、(Δθ′)n はタイミングnにおいてノイズ成分除去手段12によって生成された補正位相変化成分であり、(Δθramp)n-1 は前回のタイミングであるタイミング(n−1)においてランプ・レート・リミテーション手段13によって生成された制限付与位相変化成分である。
【0063】
ここで、δをδ=(Δθ′)n −(Δθ′)n-1 としない理由は、次のとおりである。もし、そのようにすれば、補正位相変化成分Δθ′が急峻に変化して制限付与位相変化成分Δθrampが補正位相変化成分Δθ′に追従しなくなった後に、補正位相変化成分Δθ′の変化率(1回の計測サイクルにおける変化量)が急にゼロになった場合には、δの値もゼロになってしまう。しかし、補正位相変化成分Δθ′と制限付与位相変化成分Δθrampがリミット値Lim 以上乖離していれば、δはリミット値Lim に等しくなっている必要があり、この原則に反することになってしまう。このような理由により、上式(15)が用いられる。
【0064】
次いで、ステップS20において、以下に説明するリミット値取得のサブルーチン(ステップS21〜S26)に従って、今回n回目の計測サイクルで用いるリミット値Lim を取得する。
【0065】
リミット値取得のサブルーチン(ステップS21〜S26)での処理は次のとおりである。
【0066】
まず、ステップS21において、図6に示す系統電源電圧Vpu([p.u.](per-unit)…基準値に対する相対値での表記)に応じて決まるリミット値指標の特性データに従って、リミット値指標xを取得する。
【0067】
次いで、ステップS22において、前ステップで取得したリミット値指標xがリミット値Lim より大きいか否かを判断する。リミット値指標xがリミット値Lim より大きいときはステップS23に進み、リミット値指標xがリミット値Lim 以下のときはステップS24に進む。
【0068】
図6のリミット値指標xの特性図に従うと、系統電源電圧Vpuが正常値に対する相対値として0.8[p.u.]以上あるときは、リミット値指標xは実質的に0となる値βであり、系統電源電圧Vpuが0.7[p.u.]未満のときは、リミット値指標xは1.0である。そして、系統電源電圧Vpuが0.7〜0.8[p.u.]の領域では、リミット値指標xは1またはβに急速接近する。
【0069】
交流電力系統が瞬低を起こして系統電源電圧Vpuが0.7[p.u.]未満となり、リミット値指標xが1となった場合、ステップS22(x>Lim ?)の判断が肯定的となって、ステップS23に進む。一方、系統電源電圧Vpuが正常で0.8[p.u.]以上あり、リミット値指標xがβ(≒0)となっている場合はもとより、交流電力系統が瞬低から正常へ回復しつつあって系統電源電圧Vpuが0.7〜0.8[p.u.]の推移領域でも、ステップS22(x>Lim ?)の判断が否定的となって、ステップS24に進む。
【0070】
交流電力系統の瞬低の結果、リミット値指標xがリミット値Lim より大きいことから進んだステップS23においては、リミット値Lim としてステップS21で取得したリミット値指標xを設定する。すなわち、
Lim =x ……………(16)
とする。そして、メインルーチンのステップS30に進む。
【0071】
一方、リミット値指標xがリミット値Lim 以下であることからステップS24に進む場合においては、リミット値Lim を実質的に0となる値βに戻す処理へと進む(ステップS24〜S26)。ただし、1回のステップで一気に戻すのではなく、一定の時間をかけて戻すようにしている。
【0072】
すなわち、ステップS24において、リミット値Lim として前回(n−1)回目の計測サイクルでのリミット値Lim から微小な規定値αを差し引いて、リミット値Lim を漸減させる。すなわち、
Lim =Lim −α ……………(17)
である。この動作を複数サイクルにわたって繰り返すことになる。
【0073】
次のステップS25では、漸減中のリミット値Lim が実質的に0となる値βより小さくなったか否かを判断する。実質的に0となる値βに接近中のリミット値Lim がβ以上のときは、ステップS26をジャンプして、次の計測サイクルへと進み、ステップS24で再び微小な規定値αを減算する。しかし、漸減しているリミット値Lim が実質的に0となる値βより小さくなるに至ったときには、ステップS26に進んで、リミット値Lim を実質的に0となる値βに設定する(ジャストβ)。すなわち、
Lim =β ……………(18)
である。交流電力系統が瞬低を起こした後に系統電源電圧Vpuが正常状態に復帰すれば、リミット値Lim は実質的に0となる値βに戻され、保持される。
【0074】
図6の傾斜線上での推移は急峻なものである。ちなみに、漸減にかかわる微小な規定値αは次のように決められる(一例)。計測サイクルに関する周波数fc =16kHz、計測サイクルの周期T=1/fc =62.5μsの場合に、例えば40msの時間をかけてリミット値Lim を1から0まで戻すとすると、
(40×10-3)÷(62.5×10-6)=640 ……………(19)
で、640回の計測サイクルの繰り返しが必要となる。したがって、漸減にかかわる微小な規定値αは1回当りの数値であるから、
α=1/640≒1.56×10-3 ……………(20)
となる(一例)。なお、実質的に0となる値βについて参考までに一例を挙げると、β=0.00012という極小値である。
【0075】
ステップS21〜S26のリミット値取得のサブルーチンを抜けると(リミット値Lim を取得すると)、次はメインルーチンのステップS30に進む。
【0076】
ステップS30において、調整用の変数δがステップS20(サブルーチン(S21〜S26))で取得したリミット値Lim より大きいか否かを判断する。数式(8)を再掲すると、
δ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 ……………(8)
である。調整用の変数δがリミット値Lim 以下のときには、補正位相変化成分Δθ′の変化が比較的緩やかで、制限付与位相変化成分Δθrampにはランプ・レート・リミテーションを与える必要はなく、制限付与位相変化成分Δθrampは補正位相変化成分Δθ′に追従していることになる。このときは、ステップS50に進む。
【0077】
一方、調整用の変数δがリミット値Lim より大きくなるときには、補正位相変化成分Δθ′の変化が急峻で、制限付与位相変化成分Δθrampにランプ・レート・リミテーションを与えることになる。このときは、ステップS40に進む。
【0078】
ステップS40において、調整用の変数δとしてリミット値取得のサブルーチン(S21〜S26)で取得した今回n回目の計測サイクルのリミット値Lim を設定する。すなわち、
δ=Lim ……………(21)
とする。前述したように、系統電源電圧Vpuが正常なときは、リミット値Lim =実質的に0となる値βであり、瞬低時にはリミット値Lim =リミット値指標x=1である。
【0079】
ステップS30、ステップS40の処理は調整用の変数δがプラス(補正位相変化成分Δθ′が増加中)の場合に対応している。調整用の変数δがマイナス(補正位相変化成分Δθ′が減少中)の場合に対応するのがステップS50、ステップS60である。
【0080】
ステップS50において、調整用の変数δがステップS20(サブルーチン(S21〜S26))で取得したリミット値Lim のマイナス値(−Lim )より小さいか否かを判断する。
【0081】
調整用の変数δがリミット値Lim のマイナス値(−Lim )以上のときには、補正位相変化成分Δθ′の変化が比較的緩やかで、制限付与位相変化成分Δθrampにはランプ・レート・リミテーションを与える必要はなく、制限付与位相変化成分Δθrampは補正位相変化成分Δθ′に追従していることになる。このときは、ステップS70に進む。
【0082】
一方、調整用の変数δがリミット値Lim のマイナス値(−Lim )より小さくなるときには、補正位相変化成分Δθ′の変化が急峻で、制限付与位相変化成分Δθrampにランプ・レート・リミテーションを与えることになる。このときは、ステップS60に進む。
【0083】
ステップS60において、調整用の変数δとしてサブルーチンで取得した今回n回目の計測サイクルでのリミット値Lim のマイナス値(−Lim )を設定する。すなわち、
δ=−Lim ……………(22)
とする。
【0084】
ステップS30〜ステップS60の処理を総合すると、調整用の変数δがリミット値Lim より大きくなるときには、調整用の変数δは、δ=Lim となり、調整用の変数δがリミット値Lim のマイナス値(−Lim )より小さくなるときには、調整用の変数δは、δ=−Lim となり、それ以外のときは、調整変化分δは、ステップS10で求めた調整用の変数δ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 そのものを採用する。δ=Lim とδ=−Lim とはランプ・レート・リミテーションを与えるということであり、それ以外のδ=(Δθ′)n −(Δθramp)n-1 はランプ・レート・リミテーションを与えずに、制限付与位相変化成分Δθrampは補正位相変化成分Δθ′に追従させるということである。
【0085】
次いで、ステップS70において、前回(n−1)回目の計測サイクルにおける制限付与位相変化成分(Δθramp)n-1 に対して、上記のステップで求めた調整用の変数δを加えることにより、今回n回目の計測サイクルでの制限付与位相変化成分(Δθramp)n を求める。すなわち、
(Δθramp)n =(Δθramp)n-1 +δ ……………(23)
とする。これは、既に概要を説明したときの数式(2)と同じものである。
【0086】
さらに、ステップS80において、得られた補正位相変化成分Δθ′と制限付与位相変化成分ΔθrampとからFRT判定指標Δθ″を算出する。すなわち、
Δθ″=Δθ′−Δθramp ……………(24)
である。
【0087】
次いで、ステップS90において、FRT判定指標Δθ″を定数倍(k倍)することにより跳躍周波数成分Fを求める。すなわち、
F=k・Δθ″ ……………(25)
である。
【0088】
次いで、ステップS100において、FRT判定指標Δθ″の総和を取ることにより跳躍位相成分φを求める。すなわち、
φ=ΣΔθ″ ……………(26)
である。
【0089】
次いで、ステップS110において、求めた跳躍周波数成分Fと跳躍位相成分φとによって、真に問題となる分散型電源の単独運転状態の発生の有無を判定する。これにより、単独運転状態であると判定したときは、パワーコンディショナを交流電力系統から解列するための指示を与える。ここでの単独運転状態の判定は、跳躍周波数成分Fのみを用いて行うのでもよいし、あるいは跳躍位相成分φのみを用いて行うのでもよいし、さらにはそれらの双方を用いて行うのでもよい。
【0090】
本発明実施例の系統連系システムの異常判定方法によれば、交流電力系統の瞬低(瞬時電圧低下)や系統周波数変動のような系統擾乱の発生に対してパワーコンディショナを解列せずに運転継続することに関して、全体的な構成が比較的簡単でありながら、高精度な制御を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、系統連系システムにおける交流電力系統の瞬時電圧低下(瞬低)や系統周波数変動のような系統擾乱の発生に際して、電力変換装置を解列せずに運転継続するFRT技術に関し、高精度な制御を簡素な構成で実現する技術として有用である。
【符号の説明】
【0092】
11 位相変化成分抽出手段
12 ノイズ成分除去手段
13 ランプ・レート・リミテーション手段
14 減算手段
15 跳躍周波数演算手段
16 跳躍位相演算手段
17 単独運転判定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6