特許第6281910号(P6281910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリニティ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6281910-塗装方法及び塗装装置 図000002
  • 特許6281910-塗装方法及び塗装装置 図000003
  • 特許6281910-塗装方法及び塗装装置 図000004
  • 特許6281910-塗装方法及び塗装装置 図000005
  • 特許6281910-塗装方法及び塗装装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6281910
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】塗装方法及び塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/02 20060101AFI20180208BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20180208BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20180208BHJP
   B05B 12/16 20180101ALI20180208BHJP
   B05B 14/00 20180101ALI20180208BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B05D1/02 Z
   B05D3/00 A
   B05B15/00
   B05B15/04 104
   B05B3/10 B
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-190709(P2014-190709)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-59885(P2016-59885A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100084984
【弁理士】
【氏名又は名称】澤野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100094123
【弁理士】
【氏名又は名称】川尻 明
(72)【発明者】
【氏名】石 川 勝 浩
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−087810(JP,A)
【文献】 特開2008−023456(JP,A)
【文献】 特開平06−277586(JP,A)
【文献】 特開平11−070348(JP,A)
【文献】 特開平08−229442(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3029960(JP,U)
【文献】 特開昭58−115290(JP,A)
【文献】 米国特許第06037010(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00−9/08
B05B15/00−15/12
B05C7/00−21/00
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料室に塗料を充填したカートリッジを塗料霧化機構が形成された塗装機本体に装着する塗装準備工程と、
塗料室を陽圧にしてカートリッジから塗料を圧し出し、塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装する塗装工程と、
塗装工程終了後に使用済カートリッジを取り外して、充填済カートリッジを装着して塗装を繰り返し行う塗装方法において、
塗装工程終了後、使用済カートリッジを取り外す前に、塗料流路に残る塗料をカートリッジ内に圧し戻す絞出工程を備えたことを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
前記カートリッジから回転霧化機構に至る剛性管内に前記塗料流路となる柔軟管が挿通されると共に、前記剛性管と柔軟管との間に絞出室が形成されて成り、
前記絞出工程は、剛性管の回転霧化頭側先端部から絞出室内に加圧流体を供給し、前記絞出室を先端側から膨らませることにより塗料流路断面を縮小させて、残塗料を絞り出す請求項1記載の塗装方法。
【請求項3】
前記絞出工程において、加圧流体を前記絞出室内の回転霧化頭側先端部から流入させ、カートリッジ側後端部から流出されるように供給する請求項2記載の塗装方法。
【請求項4】
前記吸引工程終了後、使用済みカートリッジを取り外す前に、塗料流路を洗浄する洗浄工程を備えた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗装方法。
【請求項5】
塗料室に塗料を充填したカートリッジが、塗料霧化機構を備えた塗装機本体に着脱可能に装着され、
塗料室を陽圧にする陽圧生成手段により、カートリッジから圧し出された塗料を塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装し、
塗装終了後に使用済カートリッジを取り外して充填済カートリッジを装着し繰り返し塗装を行う塗装装置において、
前記塗料流路には、塗装終了後、使用済みカートリッジを取り外す前に、当該塗料流路に残る塗料をカートリッジ内に圧し戻す残塗料絞出機構を備えたことを特徴とする塗装装置。
【請求項6】
残塗料絞出機構は、カートリッジから回転霧化機構に至る剛性管内に前記塗料流路となる柔軟管が挿通されると共に、前記剛性管と柔軟管との間には加圧流体の流体圧により当該柔軟管を圧し潰す絞出室が形成され、
剛性管の回転霧化頭側先端部から絞出室内に加圧流体を供給することにより、前記絞出室を先端側から膨らませて塗料流路断面を縮小させる加圧流体供給系を備えた請求項5記載の塗装装置。
【請求項7】
前記絞出室の回転霧化頭側先端部に加圧流体の流入口が形成され、カートリッジ側後端部に加圧流体の流出口が形成された請求項6記載の塗装装置。
【請求項8】
前記カートリッジを装着したままの状態で、前記塗料流路を洗浄する洗浄液供給手段を備えた請求項5乃至7のいずれか一項に記載の塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアなどにより連続的に搬送されてくる自動車ボディその他のワークに対して、各ワークごとに指定された塗色の塗料で塗装する塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディ等の塗装では、環境保護及び公害防止の観点から塗装工程において大量に発生する揮発性有機溶剤を削減することが要請されており、その対策として、有機溶剤を使用した塗料(塗布材)に替えて水性塗料による塗装が行われている。
【0003】
水性塗料を無駄なく使用するためには、塗着効率の高い静電塗装機(塗布機)で塗装するのが好ましいが、水性塗料は電気抵抗が低く、塗料供給系を流れる塗料を介して静電塗装機の回転霧化頭とアース側が導通しやすいため、塗料供給系全体に絶縁対策を施して、回転霧化頭に印加される−45〜90kVの高電圧がリークするのを防止しなければならない。
【0004】
このため従来より、塗料を充填したカートリッジを塗装機本体に着脱可能に装着し、塗料供給系と塗装機を物理的に切り離した状態でカートリッジから塗料を圧し出して塗装することにより、水性塗料を静電塗装するために塗装機に高電圧を印加する場合でも、塗料供給系を介した高電圧のリークを防止することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この種の塗装機は、個々のカートリッジに異なる塗色の塗料が充填されており、これを共通の塗装機本体に装着して使用するため、色替えするたびに塗装機本体内の塗料流路を洗浄しなければならず、その際に、塗料の無駄を生ずるという問題があった。
【0006】
図5は、このような従来の塗装機による塗装方法を示す説明図であり、塗装機51は、先端側に回転霧化頭(塗料霧化機構)52を備えた塗装機本体53の後端側にカートリッジ54が着脱可能に装着されて成る。
【0007】
塗装機本体53には、回転霧化頭52を回転駆動するエアモータ55が内蔵されると共に、エアモータ55の管状回転軸56には先端から回転霧化頭52内に塗料を吐出する塗料ノズル(塗料流路)57が挿通され、当該ノズル57の後端が塗装機本体53の後端面に開口されるシャッターバルブ58に接続されている。
シャッターバルブ58は、カートリッジ54から供給される塗料と、塗装機本体53の外周面に形成された洗浄液ポート60から洗浄液流路61を介して供給される洗浄液とを、塗料ノズル57に対して切換供給できるようになっている。
【0008】
カートリッジ54の内部空間は、パウチパック(可動壁)62で形成された塗料バッグ(塗料室)63と、当該塗料バッグ63の外側空間の作動液室64とに仕切られている。
また、塗装機本体53のシャッターバルブ58に対向する位置に、塗料バッグ63から圧し出された塗料を、塗料ノズル57に流入させる塗料ポート65が形成され、当該塗料ポート65には塗装機本体53に係合されたときに機械的に開弁される塗料バルブ66が設けられている。
さらに、作動液室64には塗装機本体53を経由して外部から作動液を供給する作動液流路67が接続されており、当該流路67の塗装機本体53側及びカートリッジ54側の接続口には、カートリッジ54の装着時にのみ開き、取り外した時に閉塞されるコネクタバルブ68、69が設けられている。
【0009】
このような従来の塗装機51で塗装する場合、図5(a)に示すように、ロボットアームなどに取り付けられた塗装機本体53に、塗料充填済のカートリッジ54を装着する。
このとき、図5(b)に示すように、コネクタバルブ68、69が開いて外部から作動液室64に至る作動液流路67が導通され、シャッターバルブ58が開口された状態で塗料ノズル57がカートリッジ54の塗料ポート65に接続される。
ここで、−45〜90kVの高電圧を印加した回転霧化頭52をエアモータ55により高速回転駆動させると同時に、作動液流路67を介して作動液室64に作動液を供給すると、作動液室64の内圧が高まって塗料バッグ63が圧し潰され、塗料バッグ63から圧し出された塗料が、塗料バルブ66−塗料ポート65−塗料ノズル57を通り回転霧化頭52に供給され、回転霧化頭52で微粒化されて静電霧化される。
したがって、ワークを反対極性(例えば、アース電位)に維持することにより、帯電塗料粒子がワーク表面に静電付着して塗装される。
【0010】
塗装が終了した時点では、図5(c)に示すように、使用済カートリッジ54は塗料バッグ63が圧し潰されて塗料が空になっているので、後続のワークについて塗装する場合は充填済カートリッジ54aに交換する必要があり、また、前色塗料と異なる次色塗料で塗装する場合には色替洗浄を行う。
【0011】
この色替洗浄の工程では、図5(d)に示すように使用済みカートリッジ54を外し、塗料ノズル後端のシャッターバルブ58が閉じるので、この状態で図5(e)に示すように、洗浄液ポート60から洗浄液を供給する。
洗浄液は、塗料ノズル57内を通り回転霧化頭52から噴霧されるので、これらに残る前色塗料が洗浄除去されることとなり、次色塗料の塗装時にコンタミ(色交じり)を生じないように、前色塗料を洗浄する。
そして、洗浄終了後に、図5(f)に示すように、次色塗料が充填されたカートリッジ54aを塗装機本体53に装着し、後続ワークの到来を待って再び塗装を行う。
【0012】
このような手順で連続して搬送されるワークに色替塗装する場合、前色塗料の塗装が終了した時点では、塗料ノズル57内には前色塗料が残塗料として隙間なく充填されているので、色替洗浄することにより塗料ノズル57内の残塗料がすべて廃棄されることとなり、その分塗料が無駄になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−334549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、色替塗装における色替洗浄の際に、塗料流路内に充填されている残塗料を再利用することにより、塗料の無駄を低減することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題を解決するために、本発明は、塗料室に塗料を充填したカートリッジを塗料霧化機構が形成された塗装機本体に装着する塗装準備工程と、塗料室を陽圧にしてカートリッジから塗料を圧し出し、塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装する塗装工程と、塗装工程終了後に使用済カートリッジを取り外して、充填済カートリッジを装着して塗装を繰り返し行う塗装方法において、塗装工程終了後、使用済カートリッジを取り外す前に、塗料流路に残る塗料をカートリッジ内に圧し戻す絞出工程を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、塗料室に塗料を充填したカートリッジが、塗料霧化機構を備えた塗装機本体に着脱可能に装着され、塗料室を陽圧にする陽圧生成手段により、カートリッジから圧し出された塗料を塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装し、塗装終了後に使用済カートリッジを取り外して充填済カートリッジを装着し繰り返し塗装を行う塗装装置において、前記塗料流路には、塗装終了後、使用済みカートリッジを取り外す前に、当該塗料流路に残る塗料をカートリッジ内に圧し戻す残塗料絞出機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の塗装方法によれば、コンベアにより順次搬送されるワークに対して色替塗装を行う際に、塗装準備工程で塗料室に塗料を充填したカートリッジを塗装機本体に装着し、塗装工程で塗料室を陽圧にしてカートリッジから塗料を圧し出し、塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装を行い、塗装終了後、使用済カートリッジを次色塗料が充填された充填済カートリッジに交換して、後続のワークに対し次色塗料の塗装を行う。
【0018】
そして、塗装工程終了後、使用済カートリッジを取り外す前に、塗料流路を絞って当該流路内の残塗料をカートリッジに圧し戻す絞出工程を備えている。
これにより、塗料流路内の残塗料は使用済カートリッジに戻されて、取り外された後、同色塗料が充填されて充填済みカートリッジとして再利用に供されるので、塗料の無駄が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る塗装装置を示す説明図。
図2】その要部を示す拡大図。
図3】本発明に係る塗装方法を示す説明図。
図4】その要部を示す説明図。
図5】従来の塗装方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本例では、色替塗装における色替洗浄の際に、塗料流路内に充填されている残塗料を再利用することにより、塗料の無駄を低減するという目的を達成するために、塗料室に塗料を充填したカートリッジを塗料霧化機構が形成された塗装機本体に装着する塗装準備工程と、塗料室を陽圧にしてカートリッジから塗料を圧し出し、塗装機本体に形成された塗料流路を通って塗料霧化機構に送給して塗装する塗装工程と、塗装工程終了後に使用済カートリッジを取り外して、充填済カートリッジを装着して塗装を繰り返し行う塗装方法において、塗装工程終了後、使用済カートリッジを取り外す前に、塗料流路に残る塗料をカートリッジ内に圧し戻す絞出工程を備えた。
【実施例1】
【0021】
図1及び図2に示す塗装装置1は、塗装機本体2にカートリッジ3が着脱可能に装着されて成る塗装機4と、これに作動液及びオペレートエアを供給する吐出用作動液供給系5及びオペレートエア供給系6を備えている。
【0022】
塗装機本体2には、その先端側に塗料を回転霧化する回転霧化頭(塗料霧化機構)11が取り付けられ、その内部には、回転霧化頭11を回転駆動するエアモータ12が内蔵されると共に、回転霧化頭11内に塗料を吐出する塗料ノズルNがエアモータ12の管状回転軸14に挿通され、当該ノズルNの後端が塗装機本体2の後端面に開口された塗料流入ポート15に接続されている。
また、塗料ノズルNの後端側には、その側面からノズル内に洗浄液を供給する洗浄液バルブ16が配されており、塗装機本体2の外周面に形成された洗浄液ポート17が洗浄液流路18を介して洗浄液バルブ16に接続されている。
【0023】
カートリッジ3の内部空間は、パウチパック(可動壁)21で形成された塗料バッグ(塗料室)22と、当該塗料バッグ22の外側空間の作動液室23とに仕切られている。
また、塗装機本体2の塗料流入ポート15に対向する位置には、塗料流入ポート15と接続される塗料流出ポート24が形成され、当該流出ポート24には塗装機本体2に形成されたエア配管25を経由して供給されるオペレートエアにより開閉操作される塗料バルブ26が設けられている。
さらに、作動液室23には塗装機本体2を経由して外部から作動液を供給する作動液流路27が接続されており、当該流路27の塗装機本体2側及びカートリッジ3側の接続口には、カートリッジ3の装着時にのみ開き、取り外した時に閉塞されるコネクタバルブ28、29が設けられている。
【0024】
吐出用作動液供給系5は、塗料バッグ22内を陽圧にしてバッグ22に充填されている塗料を圧し出すための陽圧生成手段であって、具体的には、前記作動液流路27に連通する作動液配管31が切換バルブ32を介して供給配管33とドレン配管34に分岐され、往路配管33に送液ポンプ35が介装されて成る。
この送液ポンプ35を運転して、作動液を作動液供給源(図示せず)から作動液室23に向かって正方向に送液することにより、作動液の圧力が塗料バッグ22の周囲に作用するので、塗料バッグ22が潰されて陽圧となり、塗料バッグ22内の塗料が圧し出され、塗料ノズルNを通り回転霧化頭11に供給されて静電霧化される。
【0025】
塗料ノズルNは、カートリッジ3に接続される塗料流入ポート15から回転霧化頭11に延設される剛性管41内に、塗料流路となる柔軟管42が配され、前記剛性管41と柔軟管42との間には、流体圧により当該柔軟管42を圧し潰す絞出室43が形成されている。
そして、剛性管41の回転霧化頭側先端部から絞出室43内に加圧エアなどの加圧流体を供給することにより、前記絞出室43を先端側から膨らませて塗料流路断面を縮小させる絞出用加圧流体供給系Sを備えている。
【0026】
この絞出用加圧流体供給系Sにより流路断面を縮小させることができるように、剛性管41は、外管41aと内管41bからなる二重管に形成され、その隙間が加圧流体の流路41cとなっており、その後端寄りで加圧流体供給流路44に接続されている。
また、絞出室43は、回転霧化頭側先端部の流入口43inが前記流路41cに接続され、剛性管41の後端側に形成された流出口43outが加圧流体排出流路45に接続されている。
【0027】
この絞出用加圧流体供給系Sと塗料ノズルNにより残塗料絞出機構Zが形成され、加圧流体供給路44から剛性管41の流路41cに加圧流体を供給すると、剛性管41の先端側に形成された流入口43inから絞出室43に加圧流体が流入して絞出室43が先端側から膨らんでいき、柔軟管42が先端側から潰れるので、塗料流路断面が縮小されて、柔軟管42内の残塗料がカートリッジ3側に圧し戻される。
【0028】
オペレートエア供給系6は、前記エア配管25に接続される圧縮エア供給路36にオンオフバルブ37が介装され、オンオフバルブ37が開成されると圧縮エア供給路36が導通されてオペレートエアが塗料バルブ26に供給され、塗料バルブ26を開く。
本例では、塗装を行うときに、作動液を作動液室23に供給すると同時にオンオフバルブ37が開成されて、これによって塗料バルブ26が開かれるので、塗料バッグ22から圧し出された塗料が回転霧化頭11に送給される。
また、塗装終了後、塗料ノズルNの絞出室43に加圧流体を供給して、柔軟管42を先端側から圧し潰すときに、オンオフバルブ37を開成すると、これによって塗料バルブ26が開かれ、柔軟管42内の残塗料がカートリッジ3内に圧し戻される。なお、このとき、カートリッジ3の作動液室23内の作動液を逃がすため吐出用作動液供給系5の切換バルブ32をドレン配管34に接続しておく。
【0029】
以上が本発明に係る塗装装置1であって、次にこれを用いた塗装方法について、図3及び図4を伴って説明する。
まず、図3(a)に示すように、塗料を塗料バッグ22に充填したカートリッジ3を、ロボットアームなどに取り付けられたが塗装機本体2に装着して塗装機4をセットする塗装準備工程を行う。
【0030】
次いで、この塗装機4を所定の塗装位置に移動させ、ワークが到来するのを待って、塗装工程を行う。
このとき、図3(b)に示すように、−45〜90kVの高電圧を印加した回転霧化頭11をエアモータ12により回転駆動させ、吐出用作動液供給系5により作動液を作動液室23に供給すると同時に、オペレートエア供給系6のオンオフバルブ37を開成し、塗料バルブ26を開くと、作動液室23に供給された作動液の圧力で塗料バッグ22が圧し潰されて、塗料バッグ22が陽圧となるので、塗料バッグ22内の塗料が塗料ノズルNに圧し出されて、回転霧化頭11に供給されて霧化され、帯電した塗料粒子が反対極性(アース電位)に維持されたワークに静電塗装される。
【0031】
塗装工程を終了するときは、作動液の供給を停止すると同時に塗料バルブ26を閉じれば、塗料ノズルNへ塗料供給が停止されるので、回転霧化頭11からの塗料噴霧も停止される。
塗装が終了した時点では、塗料バッグ22は、例えば図3(c)に示すようにつぶれた状態となっており、塗料ノズルNは、図4(a)に示すように塗料が詰まった状態となっている。
【0032】
塗装工程が終了すると、使用済カートリッジ3を外して、次のワークの塗色の塗料が充填されているカートリッジ3Nに交換する。
ここで、使用済カートリッジ3を外す前に、カートリッジ3に圧し戻す絞出工程を実行し、図3(d)に示すように塗料ノズルN内の塗料を絞り出す。
【0033】
この絞出工程は、具体的には、塗装機4を所定の洗浄位置まで移動するまでに、塗料バルブ26を開き、吐出用作動液供給系5の切換バルブ32をドレン配管34に接続した状態で、絞出用加圧流体供給系Sから塗料ノズルNに加圧流体を供給する。
これにより、図4(b)〜(c)に示すように、剛性管41の流路41cを通って、先端側から絞出室43に加圧流体が流入し、これによって、絞出室43がノズル先端側から膨らんで、柔軟管42が先端側から潰れて、柔軟管42内の残塗料が絞り出されて、塗料ノズルN内の残塗料は、殆んどがカートリッジ3の塗料室22に圧し戻される。
【0034】
絞出工程終了後、図3(e)に示す洗浄工程が行われ、塗料ノズルN及び回転霧化頭11に付着している塗料を除去する洗浄工程が行われる。
洗浄工程は、所定の洗浄位置に位置決めされた塗装機4の洗浄液ポート17に洗浄液コネクタ(図示せず)を接続して洗浄液を供給し、塗装機本体2の洗浄機バルブ16を開くと、図4(d)に示すように、塗料ノズルNの後端部から洗浄液が供給されて、塗料ノズルNから回転霧化頭11に至る間に付着している塗料が洗浄除去される。
このとき、絞出用加圧流体供給系Sの加圧流体供給流路44及び加圧流体排出流路45の双方とも大気に開放(液体の場合はドレンに接続)することにより、絞出室43内に充填された加圧流体を容易に排出させることができるので、柔軟管42が洗浄液の液圧により元通りに膨らんで剛性管41の内壁に密着する。
【0035】
そして、洗浄工程終了した後、図3(f)に示すように、所定のカートリッジ脱着位置に移動して、使用済カートリッジ3を取り外し、次に到来するワークの塗色塗料が充填された充填済カートリッジ3Nを装着する塗装準備工程を行って、塗装工程に移行し、繰り返し塗装を行う。
【0036】
このようにすれば、カートリッジ3を交換する直前に、塗料ノズルN内の残塗料がカートリッジ3に回収されて、再利用に供されるので塗料の無駄が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、コンベアなどにより搬送されてくるワークに対し、異なる色の塗料を色替塗装する塗装装置の用途に適用し得る。
【符号の説明】
【0038】
1 塗装装置
2 塗装機本体
3 カートリッジ
4 塗装機
5 吐出用作動液供給系
6 オペレートエア供給系
11 回転霧化頭(塗料霧化機構)
12 エアモータ
N 塗料ノズル
14 管状回転軸
21 パウチパック(可動壁)
22 塗料バッグ(塗料室)
23 作動液室
41 剛性管
42 柔軟管
43 絞出室
44 加圧流体供給流路
45 加圧流体排出流路
S 絞出用加圧流体供給系
Z 残塗料絞出機構

図1
図2
図3
図4
図5