(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油貯留可能とされたハウジングと、前記ハウジングに軸線回り回転自在に支持された第1回転軸と、前記第1回転軸より下方に位置された状態で前記ハウジングに軸線回り回転自在に支持された第2回転軸と、前記第1回転軸に相対回転不能に支持された状態で前記ハウジングに収容された第1油圧アキシャルピストン部材と、前記第2回転軸に相対回転不能に支持された状態で前記ハウジングに収容された第2油圧アキシャルピストン部材とを備えたアキシャルピストン装置であって、
前記第1回転軸は駆動源に作動連結されるポンプ軸とされ、前記第2回転軸は回転動力を出力するモータ軸とされ、
油圧ポンプとして作用する前記第1油圧アキシャルピストン部材及び油圧モータとして作用する前記第2油圧アキシャルピストン部材は、少なくとも一方が可変容積型とされ且つ一対の作動油ラインによって閉回路を形成するように流体接続されており、
前記ハウジングは、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材が挿通可能な開口が設けられたハウジング本体と、前記開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱可能に連結されるポートブロックとを有し、
前記ハウジング本体は、前記第2回転軸の軸線方向に延び且つ前記第2回転軸の軸線方向一端側に前記開口を画する周壁と、前記周壁における前記第2回転軸の軸線方向他端側を閉じ、前記ポートブロックと共働して前記第2回転軸を軸線回り回転自在に支持する端壁とを有し、
前記ハウジングには貯留油を外部に排出させるドレンポートが設けられ、
前記ドレンポートは、下方に位置する前記第2油圧アキシャルピストン部材の一部又は全体が貯留油に浸漬されつつ、上方に位置する前記第1油圧アキシャルピストン部材は貯留油に浸漬されない貯留油面を画する高さ位置において、前記第2回転軸と直交する側面視において前記第2油圧アキシャルピストン部材とオーバーラップするように前記周壁に設けられ、これにより、下方に位置する前記第2油圧アキシャルピストン部材は前記ハウジング内の貯留油によって潤滑される一方で、上方に位置する前記第1油圧アキシャルピストン部材は前記ハウジング内の貯留油による回転抵抗を受けないように構成され、
前記第1油圧アキシャルピストン部材は、前記第1回転軸に相対回転不能に支持され且つ前記第1回転軸の軸線回りに複数のシリンダ孔が形成されたシリンダブロックと、前記複数のシリンダ孔に進退自在に収容された複数のピストンとを有し、前記複数のピストンの自由端部が前記アキシャルピストン装置に備えられる第1油圧アキシャルピストン部材用斜板と直接又は間接的に係合されることで容積量が画されるように構成されており、
前記第1油圧アキシャルピストン部材は、前記一対の作動油ラインに作動油を補給するチャージラインから油を受け入れる供給ラインを介して潤滑され、
前記チャージラインは、一端側が油源に流体接続され且つ他端側が一対のチェック弁を介して前記一対の作動油ラインに流体接続されるように前記ポートブロックに形成されたチャージ油路を有し、
前記供給ラインは、一端側が前記一対のチェック弁よりチャージ油流れ方向上流側において前記チャージ油路に流体接続され且つ他端側が前記ハウジング本体の前記周壁との当接部位に開口するように前記ポートブロックに形成されたポートブロック側供給油路と、一端側が前記ポートブロックとの当接部位に開口されて前記ポートブロック側供給油路の他端側に流体接続され且つ他端側が前記第1回転軸を支持する為に前記端壁に形成された第1軸受孔のうち前記第1回転軸と摺接する部位に開口するように前記ハウジング本体に形成されたハウジング本体側供給油路と、一端側が前記ハウジング本体側供給油路の他端部に流体接続されるように前記第1回転軸の外表面に開口された受入油孔と、前記受入油孔に流体接続された状態で軸線方向に延びる軸線油孔と、一端側が前記軸線油孔に流体接続され且つ他端側が前記複数のピストンの自由端部と前記第1油圧アキシャルピストン部材用斜板との係合部分近傍における前記第1回転軸の外表面に開口された第1潤滑油孔と、一端部が前記軸線油孔に流体接続され且つ他端部が前記第1回転軸の軸線方向一端側を軸線回り回転自在に支持する為に前記ポートブロックに装着された軸受部材へ向けて開口された第2潤滑油孔と、一端部が前記ハウジング本体側供給油路に流体接続され且つ他端部が前記第1回転軸の軸線方向他端側を軸線回り回転自在に支持する為に前記端壁に装着された軸受部材へ向けて開口された第3潤滑油孔とを有していることを特徴とするアキシャルピストン装置。
前記第1油圧アキシャルピストン部材用斜板は、前記第1回転軸と直交する揺動軸線回り回転自在に前記周壁に支持された基部と、前記基部に支持された状態で前記複数のピストンの自由端部と直接又は間接的に係合される斜板本体とを有し、
前記供給ラインは、さらに、一端部が前記ハウジング本体側供給油路に流体接続され且つ他端部が前記基部を支持する為に前記周壁に形成された支持孔に開口された第4潤滑油孔を有していることを特徴とする請求項1に記載のアキシャルピストン装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るアキシャルピストン装置の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図3に、それぞれ、本実施の形態に係るアキシャルピストン装置1の正面図、左側面図及び右側面図を示す。
また、
図4及び
図5に、それぞれ、
図1におけるIV-IV線及びV-V線に沿った断面図を示す。
さらに、
図6に、前記アキシャルピストン装置1の油圧回路図を示す。
【0013】
図4に示すように、前記アキシャルピストン装置100は、油貯留可能とされたハウジング10と、前記ハウジング10に軸線回り回転自在に支持された第1回転軸50−(1)と、前記第1回転軸50−(1)より下方に位置された状態で前記ハウジング10に軸線回り回転自在に支持された第2回転軸50−(2)と、前記第1回転軸50−(1)に相対回転不能に支持された状態で前記ハウジング10に収容された第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)と、前記第2回転軸50−(2)に相対回転不能に支持された状態で前記ハウジング10に収容された第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)とを備えている。
【0014】
本実施の形態に係るアキシャルピストン装置1は油圧無段変速装置として作用するように構成されている。
即ち、前記第1回転軸50−(1)及び前記第2回転軸50−(2)の一方が駆動源900に作動連結されるポンプ軸として作用し、他方が回転動力を出力するモータ軸として作用するものとされる。
【0015】
そして、前記第1及び第2回転軸50−(1)、50−(2)に支持される前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)の少なくとも一方が可変容積型とされ且つ一対の作動油ライン100によって閉回路を形成するように流体接続される。
【0016】
図示の形態においては、前記第1及び第2回転軸50−(1)、50−(2)がそれぞれポンプ軸及びモータ軸として作用し、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)がそれぞれ油圧ポンプ及び油圧モータとして作用するように構成されている。
【0017】
図4〜
図6に示すように、前記アキシャルピストン装置1は、さらに、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の容積量を画する第1斜板70−(1)と、前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)の容積量を画する第2斜板70−(2)とを有している。
【0018】
本実施の形態においては、
図5に示すように、前記第1斜板70−(1)が外部操作に基づき揺動軸線R回り傾転可能な可動斜板とされており、油圧ポンプとして作用する前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の容積量が可変とされている。
【0019】
本実施の形態においては、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)を有効に潤滑しつつ、前記油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)の全体としての回転抵抗を可及的に低減させる為に、下記構成が採用されている。
【0020】
即ち、下方に位置する前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)については、前記ハウジング10内の貯留油によって潤滑が行われている。
【0021】
詳しくは、
図2〜
図4に示すように、前記貯留油を外部に排出する為のドレンポート11が、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)は貯留油に浸漬されず且つ前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)の一部又は全体は貯留油に浸漬されるような貯留油面の高さを現出させる位置に配置されており、これにより、前記貯留油に起因する前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の回転抵抗を防止乃至は低減している。
【0022】
本実施の形態においては、
図4に示すように、前記ドレンポート11は、側面視において前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)とオーバーラップする位置に配置されている。
【0023】
詳しくは、
図4及び
図5等に示すように、前記ハウジング10は、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)が挿通可能な開口15aが設けられたハウジング本体15と、前記開口15aを閉塞するように前記ハウジング本体15に着脱可能に連結されるポートブロック20とを有している。
【0024】
図4及び
図5等に示すように、前記ハウジング本体15は、前記第2回転軸50−(2)の軸線方向に延び且つ前記第2回転軸50−(2)の軸線方向一端側に前記開口15aを画する周壁16と、前記周壁16における前記第2回転軸50−(2)の軸線方向他端側を閉じ、前記ポートブロック20と共働して前記第2回転軸50−(2)を軸線回り回転自在に支持する端壁17とを有している。
【0025】
斯かる構成において、本実施の形態においては、
図2〜
図4に示すように、前記ドレンポート11は、前記第2回転軸50−(2)と直交する側面視において前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)とオーバーラップするように前記周壁16に設けられている。
なお、図示の形態においては、前記ドレンポート11は前記第2回転軸50−(2)と略同一高さに配置されている。
【0026】
一方、上方に位置する前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)については、
図6に示すように、一端側が油源に流体接続された供給ライン150を介して潤滑を行うように構成されている。
【0027】
このように、本実施の形態においては、前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)の一部又は全体が貯留油に浸漬されるが、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)は貯留油に浸漬されないような貯留油面を現出する高さ位置に前記ドレンポート11を設ける一方で、前記供給ライン15を介して前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の潤滑を行っており、これにより、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)への潤滑を有効に確保しつつ、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の貯留油による回転抵抗を防止乃至は低減している。
【0028】
本実施の形態においては、前述の通り、前記ドレンポート11を前記ハウジング本体15の前記周壁16に設けたが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0029】
例えば、前記ドレンポート11を前記ハウジング本体15の前記端壁17に設けることも可能である。
図7に、前記ドレンポート11を前記端壁17に設けた変形例の部分拡大断面図を示す。
【0030】
詳しくは、
図4に示すように、前記第1回転軸50−(1)は、一端側が前記ポートブロック20に形成された第1軸受孔20−(1)に軸受部材55−(1)を介して支持され且つ他端側が前記端壁17に形成された第1軸受孔17−(1)に軸受部材56−(1)を介して支持されている。
【0031】
同様に、前記第2回転軸50−(2)は、一端側が前記ポートブロック20に形成された第2軸受孔20−(2)に軸受部材55−(2)を介して支持され且つ他端側が前記端壁17に形成された第2軸受孔17−(2)に軸受部材56−(2)を介して支持されている。
そして、前記端壁17の前記第2軸受孔17−(2)は前記端壁17に着脱自在に装着されるキャップ部材18によって閉塞されている。
【0032】
図7に示す変形例は、本実施の形態に係る前記アキシャルピストン装置1に比して、前記ハウジング本体15の代わりに前記ドレンポート11が削除されたハウジング本体15’を有し、前記キャップ部材18の代わりにドレンポート11が設けられたキャップ部材18’を有している。
【0033】
前記変形例によれば、前記ハウジング10内の貯留油が、前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)、前記第2斜板70−(2)及び前記第2回転軸50−(2)の他端側を支持する前記軸受部材56−(2)を通って、前記ドレンポート11から排出されることになる。
【0034】
なお、
図7に示す変形例においては、前記ドレンポート11への貯留油の流路が前記第2回転軸50−(2)及び前記軸受部材56−(2)によって制限された状態となる。
前記ドレンポート11への貯留油の流れが悪い場合には、
図7に示すように、前記第2回転軸50−(2)の外周面に、前記軸受部材56−(2)を跨いで軸線方向に延びる連通溝59を形成することができる。
【0035】
以下、前記供給ライン150について説明する。
本実施の形態においては、
図6に示すように、前記供給ライン150は、前記一対の作動油ライン100に作動油を補給するチャージライン110から油を受け入れるように構成されている。
【0036】
図8〜
図10に、それぞれ、
図5におけるVIII-VIII線、
図4におけるIX-IX線及び
図9におけるX-X線に沿った断面図を示す。
【0037】
図5、
図6及び
図10に示すように、前記ポートブロック20には、前記一対の作動油ライン100を形成する一対の作動油路101と、一端部が油源に流体接続され且つ他端部が一対のチェック弁115を介して前記一対の作動油ライン100に流体接続された前記チャージライン110を形成するチャージ油路111とが設けられている。
【0038】
本実施の形態においては、
図6に示すように、前記油源として、前記駆動源900によって駆動される補助ポンプが採用されている。
なお、
図6に示すように、前記チャージライン110は、リリーフ弁112によって所定油圧に設定されている。
【0039】
本実施の形態においては、
図6に示すように、前記一対の作動油ライン100は、双方向に作用する高圧リリーフ弁106が介挿された連通ライン105によって互いに対して流体接続されており、前記一対の作動油ライン100の一方の油圧が所定油圧を超えると、前記一方の作動油ライン100から他方の作動油ライン100に作動油が流入するようになっている。
【0040】
斯かる構成により、前記一対の作動油ライン100が異常高圧となることを有効に防止することができる。
本実施の形態においては、
図10に示すように、前記連通ライン105及び前記高圧リリーフ弁106は前記ポートブロック20に設けられている。
【0041】
本実施の形態においては、前記供給ライン150は前記ハウジング10に形成された供給油路155を有している。
前記供給油路155は、一端側が前記一対のチェック弁115よりチャージ油流れ方向上流側において前記チャージ油路111に流体接続され且つ他端側が前記第1
油圧アキシャルピストン部材60−(1)に向けて開放されている。
斯かる構成によって前記供給ライン150の簡略化を図ることができる。
【0042】
図3、
図4及び
図9等に示すように、前記供給油路155は、前記ポートブロック20に形成されたポートブロック側供給油路160と、前記ハウジング本体15に形成されたハウジング本体側供給油路165と、前記第1回転軸50−(1)に形成された回転軸側供給油路170とを含んでいる。
【0043】
詳しくは、
図4、
図9及び
図10に示すように、前記チャージ油路111は、一端部が外表面に開口してチャージポート111aを形成し且つ他端部が二方向に分岐されて前記一対のチェック弁115を介して前記一対の作動油路101に流体接続されている。
【0044】
前記ポートブロック側供給油路160は、
図4及び
図9に示すように、一端部が前記一対のチェック弁115よりチャージ油流れ方向上流側において前記チャージ油路111に流体接続され且つ他端部が前記ハウジング本体15の前記周壁16との当接部位に開口されている。
【0045】
前記ハウジング本体側供給油路165は、
図4に示すように、一端部が前記ポートブロック側供給油路160の他端部に流体接続されるように前記ポートブロック20との当接部位に開口され且つ他端部が前記端壁17に形成された前記第1軸受孔17−(1)のうち前記第1回転軸50−(1)と摺接する部位に開口されている。
【0046】
詳しくは、
図4等に示すように、前記ハウジング本体側供給油路165は、前記ポートブロック側供給油路160に流体接続され且つ前記第1回転軸50−(1)の軸線方向に延びるように前記周壁16に形成された第1油孔166と、一端部が前記第1油孔166に流体接続され且つ他端部が前記第1軸受孔17−(1)のうち前記第1回転軸50−(1)と摺接する部位に開口されるように前記端壁17に形成された第2油孔167とを含んでいる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、
図9に示すように、前記リリーフ弁112は前記第1油孔166に作用し得るように前記周壁16に装着されている。
【0048】
前記回転軸側供給油路170は、前記ハウジング本体側供給油路165を介して供給された潤滑油を前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)に向けて案内するように構成されている。
【0049】
詳しくは、
図4、
図5及び
図8に示すように、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)は、前記第1回転軸50−(1)に相対回転不能に支持され且つ前記第1回転軸50−(1)の軸線回りに配置された複数のシリンダ孔を有するシリンダブロック61−(1)と、前記複数のシリンダ孔に進退自在に収容された複数のピストン62−(1)とを有している。
【0050】
なお、前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)は前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)と実質的に同一構成を有している。
従って、図中、末尾を(2)に変更した同一符号を付している。
【0051】
前記シリンダブロック61−(1)は、軸線方向一端側が分配弁板25−(1)を介して前記ポートブロック20に当接されており、前記複数のピストン62−(1)は自由端部が前記複数のシリンダ孔から軸線方向他方側(前記ポートブロック20とは反対側)へ延在されている。
【0052】
前記複数のピストン62−(1)の自由端部は直接又は間接的に前記第1斜板70−(1)に係合されており、前記第1斜板70−(1)の傾転角度によって前記複数のピストン62−(1)の進退範囲が変更され、これに応じて、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の容積量が変更される。
【0053】
斯かる構成において、前記回転軸側供給油路170は、
図4及び
図5等に示すように、一端部が前記ハウジング本体側供給油路165の他端部に流体接続されるように前記第1回転軸50−(1)の外表面に開口された受入油孔171と、前記受入油孔171に流体接続された状態で軸線方向に延びる軸線油孔172と、一端部が前記軸線油孔172に流体接続され且つ他端部が前記複数のピストン62−(1)の自由端部と前記第1斜板70−(1)における斜板本体71との係合部分近傍において前記第1回転軸50−(1)の外表面に開口された第1潤滑油孔173とを含んでいる。
【0054】
ここで、前記第1潤滑油孔173から供給される潤滑油による潤滑作用について説明する。
図5に示すように、前記アキシャルピストン装置1は、さらに、前記シリンダブロック61−(1)を前記分配弁板25−(1)に向けて付勢するバネ65−(1)と、前記バネ65−(1)における前記ポートブロック20とは反対側の端部を係止するように前記第1回転軸50−(1)に支持されるバネ受け部材66−(1)とを備えている。
【0055】
即ち、前記シリンダブロック61−(1)は、前記第1回転軸50−(1)に相対回転不能且つ軸線方向移動可能に支持されており、軸線方向一端側が前記分配弁板25−(1)に押圧されるように前記バネ65−(1)によって付勢されている。
【0056】
詳しくは、前記シリンダブロック61−(1)は、前記第1回転軸50−(1)に相対回転不能且つ軸線方向移動可能に支持される筒状小径部61aと、前記筒状小径部61aから径方向外方へ延びる筒状大径部61bとを有している。
【0057】
前記筒状大径部61bは、前記複数のシリンダ孔を有しており、且つ、軸線方向一端側の端面が前記分配弁板25−(1)に当接されている。
【0058】
前記筒状小径部61aの軸線方向一端側(前記ポートブロック20に近接する側)の端部は前記筒状大径部61bの軸線方向一端側の端部(前記分配弁板25−(1)に当接される端部)よりも軸線方向他端側(前記ポートブロック20から離間される側)で終焉しており、前記筒状大径部61bのうち軸線方向一端側に位置する部分の内周面と前記第1回転軸50−(1)の外周面との間には環状空間が画されている。
前記環状空間が前記バネ65−(1)の収容空間を形成している。
【0059】
前記筒状小径部61aの軸線方向他端側の端部は前記筒状大径部61bの軸線方向他端側の端部よりも軸線方向他端側に延在されており、前記筒状小径部61aの軸線方向他端側が環状突出部を形成している。
【0060】
図5に示すように、前記バネ受け部材66−(1)は、前記筒状小径部61aより軸線方向他端側において前記第1回転軸50−(1)に相対回転不能に支持される端壁部66aと、前記端壁部66aから径方向外方且つ軸線方向一端側へ延びて前記筒状小径部66aの軸線方向他端側に位置する部分を囲繞する周壁部66bとを有するカップ形状とされている。
【0061】
前記バネ受け部材66−(1)は、前記端壁部66aと前記筒状小径部61aの軸線方向他端側の端部との間にポケット空間が形成されるように配置されており、且つ、軸線方向他端側への移動が禁止されている。
【0062】
本実施の形態においては、
図4及び
図5に示すように、前記第1斜板70−(1)の斜板本体71と前記複数のピストン62−(1)の自由端部とは軸受部材を介して係合されている。前記軸受部材には前記第1回転軸50−(1)が挿通される中央開口が設けられている。
【0063】
一方、前記バネ受け部材66−(1)の前記周壁部66bは、前記中央開口よりも小径の小径部位から前記小径部位より軸線方向一端側に位置し且つ前記中央開口よりも大径の大径部位まで延びる環状傾斜面領域であって、前記小径部位から前記大径部位へ向かって徐々に拡径される環状傾斜面領域を有している。
【0064】
斯かる構成の前記バネ受け部材66−(1)は、前記環状傾斜面領域が前記中央開口に係合することで、軸線方向他端側への移動が禁止されている。
【0065】
前記筒状小径部61aには軸線方向に沿った貫通孔が形成されており、前記貫通孔には棒状部材67−(1)が挿入されている。
前記棒状部材67−(1)は、一端側が前記環状空間に突入し且つ他端側が前記バネ受け部材66−(1)の前記端壁部66aに係合している。
【0066】
前記環状空間に収容されている前記バネ65−(1)は、軸線方向一端側が前記筒状大径部61bの内周面に設けられた止め輪68−(1)に係合され、且つ、軸線方向他端側が前記棒状部材67−(1)の軸線方向一端側に係合されることで、前記シリンダブロック61−(1)を軸線方向一端側へ付勢している。
なお、本実施の形態においては、前記バネ65−(1)の一端側及び他端側は、それぞれ、摺動リングを介して前記止め輪68−(1)及び前記棒状部材67−(1)に係合している。
【0067】
前記第1潤滑油孔173の他端部は、前記ポケット空間を向くように前記第1回転軸50−(1)の外表面に開口されている。
前記バネ受け部材66−(1)には、前記ポケット空間を前記複数のピストン62−(1)の自由端部と前記第1可動斜板70−(1)の斜板本体71との係合部分に向けて開く絞り孔が形成されている。
【0068】
斯かる構成により、前記第1潤滑油孔173からの油は、前記シリンダブロック61−(1)のうち前記第1回転軸50−(1)に支持される部分(即ち、前記筒状小径部61aの内周面)、及び、前記複数のピストン62−(1)の自由端部と前記第1斜板70−(1)の斜板本体71との係合部分に効率的に供給される。
【0069】
本実施の形態においては、
図4及び
図5に示すように、前記供給油路155は、さらに、前記第1回転軸50−(1)の軸線方向一端側を軸線回り回転自在に支持する為に前記ポートブロック20に装着された前記軸受部材55−(1)に向けて潤滑油を案内する第2潤滑油孔174と、前記第1回転軸50−(1)の軸線方向他端側を軸線回り回転自在に支持する為に前記端壁17に装着された前記軸受部材56−(1)に向けて潤滑油を案内する第3潤滑油孔175とを有している。
【0070】
詳しくは、
図4及び
図5に示すように、前記第2潤滑油孔174は、一端部が前記軸線油孔172に流体接続され且つ他端部が前記軸受部材55−(1)へ向けて開口されている。
前記第3潤滑油孔175は、一端部が前記ハウジング本体側供給油路165に流体接続され且つ他端部が前記軸受部材56−(1)に向けて開口されている。
【0071】
なお、本実施の形態においては、前記第3潤滑油孔175の一端部は前記ハウジング本体側供給油路165に流体接続されているが、これに代えて、前記第3潤滑油孔175の一端部を前記回転軸側供給油路170に流体接続させることも可能である。
【0072】
前述の通り、本実施の形態においては、前記第1斜板70−(1)は外部操作に基づき揺動軸線R回り傾転可能な可動斜板とされている。
斯かる構成においては、好ましくは、前記供給油路155は、前記第1斜板70−(1)を支持する部分へも潤滑油を供給するように構成される。
【0073】
詳しくは、
図5及び
図8に示すように、前記第1斜板70−(1)は、前記第1回転軸50−(1)と直交する揺動軸線R回り回転自在に前記周壁16に支持された基部75と、前記基部75に支持された状態で前記複数のピストン62−(1)の自由端部と直接又は間接的に係合される前記斜板本体71とを有している。
より詳しくは、前記周壁16には揺動軸線Rと同軸上に支持孔が形成されており、前記基部75は前記支持孔に軸線回り回転自在に支持されている。
【0074】
本実施の形態においては、
図5及び
図8に示すように、前記第1斜板70−(1)はトラニオン型斜板とされている。
従って、前記第1斜板70−(1)は、前記斜板本体71を狭持した状態で揺動軸線R上に配置される一対の基部75、75を有している。
【0075】
即ち、
図5及び
図8に示すように、前記周壁16における揺動軸線R方向一方側の第1側面には前記揺動軸線Rと同軸上に第1支持孔16aが形成され、前記周壁16における揺動軸線R他方側の第2側面には前記揺動軸線Rと同軸上に第2支持孔16bが形成されている。
斯かる構成において、前記一対の基部75、75は、前記第1及び第2支持孔16a、16bに挿入された軸受部材19、19を介して軸線回り回転自在に支持されている。
【0076】
なお、前記第1斜板70−(1)は、前記一対の基部75、75の一方に付加される操作力によって、揺動軸線R回り一方側及び他方側へ傾転される。
本実施の形態に係るアキシャルピストン装置1は、
図5〜
図8等に示すように、前記第1斜板70−(1)に対して操作力を付加する油圧サーボ機構500を有している。
前記油圧サーボ機構500の詳細構成については後述する。
【0077】
図5及び
図8に示すように、操作力を受ける前記一方の基部75は、連結用カップリング80を介して、対応する支持孔16aに軸線回り回転自在に支持され、他方の基部75は、閉塞用カップリング85を介して、対応する支持孔16bに軸線回り回転自在に支持されている。
なお、本実施の形態においては、
図5及び
図8に示すように、前記一方の基部75は前記第1支持孔16aに支持され、前記他方の基部75は前記第2支持孔16bに支持されている。
【0078】
図5及び
図8に示すように、前記連結用カップリング80は前記支持孔16aに挿入される第1筒部81を有しており、前記一方の基部75は前記軸受部材19を介して前記第1筒部81に軸線回り回転自在に支持されている。
【0079】
前記連結用カップリング80においては、前記一方の基部75への外部からのアクセスを許容すべく前記第1筒部81の外端側が開口とされている。
なお、前記開口は、前記連結用カップリング80を囲繞するように前記第1側面に連結される前記油圧サーボ機構500によって閉塞される。
【0080】
図5及び
図8に示すように、前記閉塞用カップリング85は、前記支持孔16bに挿入される第2筒部86と前記第2筒部86の外端側を閉塞する外壁部87とを有しており、前記他方の基部75は前記軸受部材19を介して前記第2筒部86に軸線回り回転自在に支持されている。
【0081】
本実施の形態においては、
図5及び
図8に示すように、前記外壁部87は、前記第2筒部86の外端側を閉塞する中央領域87aと、前記中央領域87aから径方向外方へ延在されたフランジ領域87bとを有している。
【0082】
前記周壁の第2側面にはボルト孔が形成され、前記フランジ領域87bには前記ボルト孔に対応した貫通孔が形成されており、前記閉鎖用カップリング85は、
図3に示すように、前記貫通孔に挿通されるボルト89によって前記第2側面に着脱可能に装着されている。
【0083】
なお、本実施の形態においては、
図5及び
図8に示すように、前記一対の基部75を支持する前記軸受部材19はテーパ軸受部材とされている。
この場合、前記一方の基部75を支持する前記軸受部材19と前記他方の基部75を支持する前記軸受部材19との離間距離を正確に調整する必要がある。
本実施の形態においては、
図5等に示すように、前記フランジ領域87bと前記第2側面との間にシム88を介挿させることによって、前記離間距離を調整している。
【0084】
斯かる構成において、前記供給油路155は、前記基部75を支持する前記支持孔16a、16bへ潤滑油を供給するように構成されている。
【0085】
詳しくは、
図4、
図8及び
図9に示すように、前記供給油路155は、一端部が前記ハウジング本体側供給油路165に流体接続され且つ他端部が前記支持孔16a、16bに開口された第4潤滑油孔176を有している。
【0086】
前述の通り、本実施の形態においては、前記ハウジング本体15には前記第1及び第2支持孔16a、16bが形成されている。
従って、
図8に示すように、前記第4潤滑油孔176は、一端部が前記ハウジング本体側供給油路165に流体接続された状態で前記第1支持孔16aに開口された第1支持孔用潤滑油孔176aと、一端部が前記ハウジング本体側供給油路165に流体接続された状態で前記第2支持孔16bに開口された第2支持孔用潤滑油孔176bとを含んでいる。
【0087】
前記連結用カップリング80の前記第1筒部81には、外周面に形成された第1環状溝81aと、前記第1環状溝81aを前記第1筒部81の内部に流体接続させる第1貫通油孔81bとが設けられている。
【0088】
前記閉塞用カップリング85の前記第2筒部86には、外周面に形成された第2環状溝86aと、前記第2環状溝86aを前記第2筒部86の内部に流体接続させる第2貫通油孔86bとが設けられている。
【0089】
前記第1環状溝81aは、前記連結用カップリング80を前記第1支持孔16aに装着させた際に、前記第1支持孔用潤滑油孔176aに流体接続するように配置されている。
前記第2環状溝86aは、前記閉塞用カップリング85を前記第2支持孔16bに装着させた際に、前記第2支持孔用潤滑油孔176bに流体接続するように配置されている。
【0090】
なお、本実施の形態においては、前記連結用カップリング80を前記第2支持孔16bに装着させ且つ前記閉塞用カップリング85を前記第1支持孔16aに装着させ得るように、前記第1及び第2支持孔16a、16bの内径を同一寸法とし、且つ、前記第1及び第2筒部81、86の外径及び内径同一寸法としている。
【0091】
前記連結用カップリング80を前記第2支持孔16bに装着させると、前記第1環状溝81aが前記第2支持孔用潤滑油孔176bに流体接続され、前記閉塞用カップリング85を前記第1支持孔16aに装着させると、前記第2環状溝86aが前記第1支持孔用潤滑油孔176aに流体接続される。
【0092】
なお、本実施の形態においては、
図5及び
図8等に示すように、前記第1及び第2貫通油孔81b、86bには絞りが設けられており、前記軸受部材19への潤滑油量の調整を図っている。
【0093】
ここで、前記油圧サーボ機構500について説明する。
図11及び
図12に、それぞれ、
図5におけるXI-XI線及びXII-XII線に沿った断面図を示す。
【0094】
図5、
図8及び
図11に示すように、前記油圧サーボ機構500は、ケーシング510と、サーボピストン530と、スプール540と、操作部材550と、前記操作部材550及び前記スプール540を連結するリンクアーム560とを備えている。
【0095】
前記ケーシング510は、前記ハウジング10に着脱可能に装着されている。
本実施の形態においては、前記ケーシング510は、前記連結用カップリング80を囲繞するように前記ハウジング本体15における前記周壁16の第1側面に着脱可能に装着されている。
【0096】
詳しくは、前記第1側面にはボルト孔が形成され、
図2及び
図11に示すように、前記ケーシング510には、前記ボルト孔に対応した貫通孔518が形成されており、前記ケーシング510は、
図12に示すように、前記貫通孔518に挿通されるボルト519によって前記第1側面に着脱可能に装着されている。
【0097】
図11及び
図12に示すように、前記ケーシング510には、前記サーボピストン530を収容する収容空間515が形成されている。
前記サーボピストン530は、前記収容空間515の一端側及び他端側にそれぞれ第1油室515a及び第2油室515bを液密に画した状態で前記収容空間515内において軸線方向往復動可能に収容されている。
【0098】
図8及び
図11に示すように、前記ケーシング510には、さらに、前記スプール540を収容するスプール室520が形成されている。
前記スプール540は、前記スプール室520に摺動自在に収容されており、前記スプール室520内での移動に応じて前記第1及び第2油室515a、515bに対する圧油給排を切り替えるように構成されている。
【0099】
詳しくは、
図6、
図8及び
図11に示すように、前記ケーシング510には、一端部が前記ハウジング本体15に当接される内側面に開口され且つ他端部が前記スプール室520の入力ポート521に流体接続された入力油路581と、一端部が前記スプール室520の第1ポート522に流体接続され且つ他端部が前記第1油室515aに流体接続された第1油路582と、一端部が前記スプール室520の第2ポート523に流体接続され且つ他端部が前記第2油室515bに流体接続された第2油路583と、ドレン油路584とが形成されている。
【0100】
斯かる構成において、前記スプール540は、前記入力ポート521を前記第1ポート523に流体接続させ且つ前記ドレン油路584を前記第2ポート523に流体接続させる第1位置と、前記入力ポート521を前記第2ポート523に流体接続させ且つ前記ドレン油路584を前記第1ポート522に流体接続させる第2位置と、前記第1及び第2ポート522、523を閉塞する保持位置とを選択的にとり得るようになっている。
【0101】
前記操作部材550は、一端部が外部へ延在され且つ他端部が前記スプール540に作動連結された状態で前記ケーシング510に支持されている。
図5及び
図8に示すように、本実施の形態においては、前記操作部材550は、前記揺動軸線Rと平行となるように前記ケーシング510に軸線回り回転自在に支持されている。
【0102】
前記リンクアーム560は、前記操作部材550の軸線回りの回動に応じて前記スプール540が移動するように両者を作動連結している。
【0103】
前記油圧サーボ機構500は、前記ケーシング510を前記ハウジング10に装着することによって、前記サーボピストン530が前記一方の基部75に連結された連結アーム600に作動連結されると共に、前記一方の基部75が前記スプール540に連結された前記リンクアーム560に作動連結されるように構成されている。
【0104】
詳しくは、
図5に示すように、前記連結アーム600は、基端部が前記一方の基部75に連結され且つ先端部が揺動軸線Rを基準にして径方向外方へ延びている。
前記連結アーム600には、前記第1回転軸50−(1)の軸線を基準にして径方向外方へ突出された係合凸部605と径方向内方へ凹む係合凹部610とが設けられている。
【0105】
前記サーボピストン530は、
図11及び
図12に示すように、前記第1油室515a及び前記第2油室515bの油圧をそれぞれ受ける第1及び第2大径部531、532と、前記第1及び第2大径部531、532の間に環状の係合溝535を形成しつつ前記両大径部531、532を連結する小径部533とを有している。
【0106】
前記サーボピストン530は、前記係合溝535へのアクセスが可能な状態で前記収容空間515に収容されている。
詳しくは、
図5に示すように、前記収容空間515は、前記ケーシング510を前記ハウジング10に装着した際に前記ハウジング10に面する側にアクセス開口515aを有しており、前記アクセス開口515aを介して前記係合溝535へのアクセスが可能となっている。
【0107】
また、前記操作部材560及び前記スプール540を作動連結する前記リンクアーム56には、
図5に示すように、前記第1回転軸50−(1)の軸線を基準にして径方向内方へ突出された係合凸部565が設けられている。
【0108】
斯かる構成において、前記ケーシング510を前記ハウジング10に装着することによって、前記連結アーム600の前記係合凸部605が前記係合溝535に係合し且つ前記リンクアーム560の前記係合凸部565が前記係合凹部610に係合するようになっている。
【0109】
本実施の形態においては、前記油圧サーボ機構500は前記供給油路155から作動油の供給を受けるように構成されている。
【0110】
詳しくは、
図8に示すように、前記供給油路155は、一端部が前記第4潤滑油孔176に流体接続され且つ他端部が前記第1側面に開口されて第1出力ポート181aを形成する第1取出油孔181を有している。
そして、前記ケーシング510を前記ハウジング10に装着すると、前記入力油路581が前記第1出力ポート181aに流体接続されるようになっている。
【0111】
本実施の形態においては、
図11に示すように、前記サーボピストン530及び前記スプール540は、軸線方向が互いに対して平行となるように配置されており、揺動軸線Rと直交する方向(以下、第1方向D1という)に沿って移動可能とされている。
【0112】
前記リンクアーム560及び前記連結アーム600は、
図11に示すように、揺動軸線R及び前記第1方向D1の双方に対して直交する第2方向D2に沿って延びている。
【0113】
前記リンクアーム560は、軸線方向一方側の第1連結位置において前記操作部材550に作動連結され且つ軸線方向他方側の第2連結位置において前記連結アーム600に作動連結された状態で、前記第1及び第2連結位置の間の第3連結位置において前記スプール540に作動連結されている。
【0114】
斯かる構成の前記油圧サーボ機構500は以下のように作動する。
前記操作部材550を操作せず且つ前記サーボピストン530が中立位置に位置されている初期状態(
図11参照)から、前記操作部材550が軸線回り一方側へ操作されると、前記リンクアーム560は、前記第2連結位置が実質的に位置固定された状態で前記第1連結位置が前記操作部材550の操作方向に応じた方向へ移動される。即ち、前記リンクアーム560は前記第2連結位置回りに移動される。
【0115】
前記リンクアーム560のこの動きによって、前記スプール540は軸線方向一方側へ移動されて前記第1位置に位置される(
図13(a)参照)。
この状態においては、前述の通り、前記第1ポート522が前記入力ポート521に流体接続され且つ前記第2ポート523が前記ドレン油路584に流体接続される。
【0116】
従って、前記第1油室515aに作動油が供給され且つ前記第2油室515bから作動油が排出されて、前記サーボピストン530は軸線方向一方側へ移動され、これにより、前記第1斜板70−(1)は前記連結アーム600を介して揺動軸線回り一方側(例えば、前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の容積を増加させる方向)へ傾転される(
図13(a)参照)。
【0117】
ここで、前記サーボピストン530の軸線方向一方側への移動に応じて前記連結アーム600が移動されると、前記リンクアーム560のうち前記第2連結位置が位置する側が前記連結アーム600の移動に応じて移動される。
【0118】
斯かる前記リンクアーム560の動きによって前記スプール530は前記第1位置から軸線方向他方側へ移動されて保持位置に戻される(
図13(b)参照)。
従って、前記第1及び第2ポート522、523が閉塞されて、前記サーボピストン530、即ち、前記第1斜板70−(1)がその位置に保持される。
【0119】
このように、本実施の形態においては、前記ケーシング510を前記ハウジング本体15に装着させることによって、前記サーボピストン530が前記一対の基部75の一方に連結されている前記連結アーム600に係合されると共に、前記操作部材550と前記スプール540とを作動連結するリンクアーム560も前記連結アーム600に係合される一方で、前記ケーシング510を前記ハウジング本体15から取り外すことによって、前記サーボピストン530及び前記リンクアーム560の前記連結アーム600に対する係合が解除される。
【0120】
従って、可動斜板として作用する前記第1斜板70−(1)を前記油圧サーボ機構500によって傾転させる態様と前記油圧サーボ機構500を用いずに傾転させる態様との仕様変更を容易に行うことができる。
【0121】
なお、本実施の形態においては、前記第1回転軸50−(1)の軸線を基準にして、前記サーボピストン530に径方向内方に開く係合溝530を設け且つ前記連結アーム600に径方向外方へ延びる係合凸部605を設けたが、前記ケーシング510の前記ハウジング10に対する脱着に応じて、前記サーボピストン530が前記連結アーム600に係脱する限り、この構成に限定されるものではない。
【0122】
即ち、前記第1回転軸50−(1)の軸線を基準にして、前記サーボピストン530に径方向内方に延びる係合凸部を設け且つ前記連結アーム600に径方向外方に開く係合凹部を設けることも可能である。
【0123】
同様に、本実施の形態においては、前記第1回転軸50−(1)の軸線を基準にして、前記リンクアーム560に径方向内方へ延びる係合凸部565を設け且つ前記連結アーム600に径方向外方に開く係合凹部610を設けたが、これに代えて、前記リンクアーム560に径方向内方に開く係合凹部を設け且つ前記連結アーム600に径方向外方に延びる係合凸部を設けることも可能である。
【0124】
本実施の形態においては、前記油圧サーボ機構500は、中立位置付勢機構650を有している。
【0125】
図5及び
図12に示すように、前記中立位置付勢機構650は、基端部が前記操作部材550の内端側に相対回転自在に支持された状態で前記リンクアーム560と対向するように前記操作部材550の軸線を基準にして径方向に延びる支持アーム660と、前記操作部材550及び前記支持アーム660の双方と直交する方向に延びる収容空間に軸線方向移動可能に収容されたディテントロッド670であって、軸線方向所定長さの中央部671、前記中央部671から軸線方向両側へ延び且つ前記中央部671より小径とされた一対の軸部672及び前記一対の軸部672のそれぞれから軸線方向外方へ延び且つ前記軸部672より大径とされた一対の基端部673を有するディテントロッド670と、前記一対の軸部672に軸線方向移動可能に外挿された一対のバネ受け部材680と、前記一対のバネ受け部材680を前記中央部671へ向けて付勢する一対の中立バネ685と、前記支持アーム660の自由端側に支持されたピン部材690であって、一端側が前記リンクアーム560に係合され且つ他端側が前記ディテントロッド670の軸線方向に関し前記中央部671の長さと同一長さの幅を有し、前記中央部671と共に前記一対のバネ受け部材680によって狭圧されるピン部材690と、前記操作部材550に相対回転不能に支持された基端部及び前記ピン部材690に沿って延びる係合部696を有する連動部材695と、前記操作部材550に外挿された中央部及び前記中央部から前記操作部材550の軸線を基準にして径方向外方へ延び、前記ピン部材690及び前記係合部を狭持する一対の自由端部を有する捩りバネ700とを有している。
【0126】
本実施の形態においては、
図12に示すように、前記収容空間の軸線方向一端側はキャップ部材710によって画されており、前記キャップ部材710には位置調整ボルト715が螺入されている。
【0127】
前記位置調整ボルト715の先端部は前記ディテントロッド670の一端部と係合されており、前記位置調整ボルト715によって前記ディテントロッド670を軸線方向に沿って移動させることで、前記中央部671を前記第1斜板70−(1)の中立位置に対応した位置に調整させ得るようになっている。
なお、
図12中の符合716は、前記位置調整ボルト715を固定するロックナットである。
【0128】
本実施の形態においては、前記油圧サーボ機構500は、前記一対の基部75のうち前記第1支持孔16aに支持された基部に連結されている前記連結アーム600に前記サーボピストン530を係合させ且つ前記連結アーム600に前記リンクアーム560を係合させつつ、前記ケーシング510が前記ハウジング10に装着される第1装着状態(
図8参照)に加えて、前記一対の基部75のうち前記第2支持孔16bに支持された基部に連結されている前記連結アーム600に前記サーボピストン530を係合させ且つ前記連結アーム600に前記リンクアーム560を係合させつつ、前記ケーシング510が前記ハウジング10に装着される第2装着状態をとり得るようになっている。
【0129】
図14に、前記油圧サーボ機構500が第2装着状態で前記ハウジング10に取り付けられた際の前記アキシャルピストン装置1の縦断面図を示す。
【0130】
図14に示すように、前記連結用カップリング80を前記第2支持孔16bに装着させ且つ前記閉塞用カップリング85を前記第1支持孔16aに装着させた場合には、前記連結アームは、前記連結用カップリング80を介して前記第2支持孔16bに支持される基部75に連結される。
【0131】
この状態の前記連結アーム600に前記サーボピストン530を係合させ且つ前記リンクアーム560を前記連結アーム600に係合させつつ、前記ケーシング510が前記ハウジング10の第2側面に装着され得るようになっている。
【0132】
本実施の形態においては、
図8及び
図14に示すように、第2装着状態の際の前記油圧サーボ機構500の姿勢は、第1装着状態の際の前記油圧サーボ機構500を前記第1回転軸50−(1)回りに180度回転させた姿勢とされている。
【0133】
この場合、前記油圧サーボ機構500の前記ハウジング10に対する上下方向に関する相対位置が第1装着状態と第2装着状態とでは反対になるが、下記構成を採用することによって、何れの装着状態においても前記油圧サーボ機構500への前記供給油路155からの作動油の供給が可能となっている。
【0134】
即ち、
図8及び
図14に示すように、前記供給油路155は、さらに、上流側が前記第2支持孔16bに開口され且つ下流側が前記第2側面に開口して第2出力ポート182aを形成する第2取出油孔182を有している。
【0135】
図8に示すように、前記油圧サーボ機構500の第1装着状態においては、前記入力油路581は前記第1出力ポート181aに流体接続される。
【0136】
即ち、前記油圧サーボ機構500の第1装着状態においては、前記油圧サーボ機構500は、前記第1支持孔用潤滑油孔176a及び前記第1取出油孔181を介して、作動油の供給を受ける。
【0137】
一方、
図14に示すように、前記油圧サーボ機構500の第2装着状態においては、前記入力油路581は前記第2出力ポート182aに流体接続される。
前記第2取出油孔182は、前記連結用カップリング80が前記第2支持孔16bに装着された際に、上流側が前記第1環状溝81aに流体接続されるように形成されている。
【0138】
即ち、前記油圧サーボ機構500の第2装着状態においては、前記油圧サーボ機構500は、前記第2支持孔用潤滑油孔176b、前記第1環状溝81a及び前記第2取出油孔182を介して、作動油の供給を受ける。
【0139】
なお、前記油圧サーボ機構500の第1装着状態においては、前記第2取出油孔182はプラグによって閉塞され(
図8参照)、前記油圧サーボ機構500の第2装着状態においては、前記第1取出油孔181はプラグによって閉塞される(
図14参照)。
【0140】
図15に、本実施の形態の他の変形例に係るアキシャルピストン装置1Bの縦断側面図を示す。
なお、
図15中、前記アキシャルピストン装置1におけると同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図4等に示す本実施の形態及び
図7に示す前記変形例においては、上方に位置する前記第1回転軸50−(1)に支持された前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)が油圧ポンプとして作用し、下方に位置する前記第2回転軸50−(2)に支持された前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)が油圧モータとして作用している。
【0142】
これに対し、前記アキシャルピストン装置1Bは、上方に位置する前記第1回転軸50−(1)に支持された前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)が油圧モータとして作用し、下方に位置する前記第2回転軸50−(2)に支持された前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)が油圧ポンプとして作用するように構成されている。
【0143】
なお、前記変形例に係る前記アキシャルピストン装置1Bは、
図15に示すように、前記駆動源900(
図15においては図示せず)に連接されるフライホイールハウジング930の一室に収容されている。
【0144】
詳しくは、前記フライホイールハウジング930は、収容空間を形成する周壁931と、前記収容空間を伝動方向に関し上流側の第1空間930a及び下流側の第2空間930bに画する仕切壁935とを有している。
【0145】
図15に示すように、前記第1空間930aには、前記駆動源900の出力軸に連結されたクラッチ941付きフライホイール940が収容され、前記フライホイール940にはクラッチ出力軸950が連結されている。
【0146】
前記仕切壁935には、前記第1空間930aに対して液密に区画された中空空間935aが設けられている。
前記中空空間935aには、前記クラッチ出力軸950に支持された大ギヤ961と、前記大ギヤ961と噛合するように前記第2回転軸50−(2)に支持された小ギヤ962とを含む平行歯車式の増速ギヤ列が収容されている。
【0147】
前記アキシャルピストン装置1Bは、前記アキシャルピストン装置1に比して、前記ハウジング10の代わりにハウジング10Bを備えている。
【0148】
前記ハウジング10Bは、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)が挿通可能な開口を有するハウジング本体15Bと、前記開口を閉塞するように前記ハウジング本体15Bに着脱可能に連結されるポートブロック20Bとを備えている。
【0149】
前記ポートブロック20Bは、前記油路の配置が変更されている点及び前記フライホイールハウジング930に連結可能とされている点を除き、前記ポートブロック20と実質的に同一構成を有している。
【0150】
前記ハウジング本体15Bは、軸線方向一方側に前記開口を有し且つ前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)を囲繞する周壁16Bと、前記周壁16Bの軸線方向他端側を閉塞する端壁17Bとを有している。
【0151】
前記第1及び第2回転軸50−(1)、50−(2)は、前記端壁17B及び前記ポートブロック20Bに前記軸受部材55−(1)、56−(1)、55−(2)、56−(2)を介して支持されている。
【0152】
前記ハウジング10Bには前記ドレンポート11が設けられている。
前記ドレンポート11は、下方に位置する前記第2回転軸50−(2)に支持された前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)の一部又は全部が浸漬されつつ、上方に位置する前記第1回転軸50−(1)に支持された前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)は浸漬されないような貯留油の油面高さを現出させる位置に設けられている。
【0153】
なお、前記変形例においては、前記第2回転軸50−(2)に支持され且つ油圧ポンプとして作用する前記第2油圧アキシャルピストン部材60−(2)の容積量を画する第2斜板70−(2)が可動斜板とされ、前記第1回転軸50−(1)に支持され且つ油圧モータとして作用する前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)の容積量を画する第1斜板70−(1)が固定斜板とされている。
【0154】
前記変形例においては、前記ハウジング10Bのうち、可動斜板とされた前記第2斜板70−(2)を支持する部分も貯留油によって潤滑されるように、前記ドレンポート11の高さ位置が設定されている。
図15に示す形態においては、前記ドレンポート11は、前記第2回転軸50−(2)の軸線位置と略同一高さに設けられている。
【0155】
好ましくは、前記増速ギヤ列も前記ハウジング10B内の貯留油によって潤滑されるように構成することができる。
具体的には、
図15に示すように、前記仕切壁935に前記ハウジング10Bの内部空間及び前記中空空間935aを流体接続させる連通孔935bを設けることができる。
【0156】
前記変形例においては、前記仕切壁935は、前記アキシャルピストン装置1Bに近接する側の第1仕切壁936と、前記第1仕切壁936との間に前記中空空間935aを形成するように前記第1仕切壁936から前記アキシャルピストン装置1Bとは反対側へ離間された第2仕切壁937とを有している。
【0157】
前記連通孔935bは前記第1仕切壁936に形成されており、前記連通孔935bが中空の接続部材938を介して前記端壁17Bに形成された前記第2軸受孔17−(2)に流体接続されている。
【0158】
前記ドレンポート11は前記第2仕切壁937に設けられている。
斯かる構成によれば、前記ハウジング10B内の貯留油によって前記増速ギヤ列の潤滑を行いつつ、前記中空空間935a内に油が滞留することを有効に防止することができる。
【0159】
上方に位置する前記第1回転軸50−(1)に支持された前記第1油圧アキシャルピストン部材60−(1)については、一端側が油源に流体接続された前記供給油路155を介して潤滑が行われる。この点は、前記アキシャルピストン装置1と同一であり、
図15中、前記アキシャルピストン装置1におけると同一部材には同一符号を付している。
【0160】
前記変形例に係る前記アキシャルピストン装置1Bにおいても、前記第1及び第2油圧アキシャルピストン部材60−(1)、60−(2)への潤滑を有効に確保しつつ、前記第1アキシャルピストン部材60−(1)の貯留油による回転抵抗を防止乃至は低減することができる。