特許第6281997号(P6281997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6281997
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   A45D34/04 525A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-139078(P2017-139078)
(22)【出願日】2017年7月18日
【審査請求日】2017年9月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510300762
【氏名又は名称】ウィントレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−102910(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/123416(WO,A1)
【文献】 特開2000−127672(JP,A)
【文献】 実開昭59−130608(JP,U)
【文献】 実開昭60−29675(JP,U)
【文献】 実開平2−144485(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107036(US,A1)
【文献】 特開平9−271710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B43K 3/00
B43K 5/18
B43K 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に略円筒状をなすシュノーケルを嵌挿して保持される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材に取り付けられ、塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する吸収体と、前記ボディ内において前記シュノーケルを嵌挿した塗布部材の後端側を保持する保持部を有する尾栓と、を備え、
前記保持部は、円周方向に間隔をあけて、かつ円の中心部に向かい張り出して形成された保持片を有して形成され、該保持片は、塗布部材の後端側に形成された先細り状の尖端部側に向かって広がるテーパ面を表面に有し、保持片の基端側には、塗布部材の膨張長さ分を吸収する吸収空間が設けられた、
ことを特徴とする塗布具。
【請求項2】
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に略円筒状をなすシュノーケルを嵌挿して保持される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材に取り付けられ、塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する吸収体と、前記ボディ内において前記シュノーケルを嵌挿した塗布部材の後端側を保持する保持部を有する尾栓と、を備え、
前記保持部は、円周方向に間隔をあけて、かつ円の中心部に向かい張り出して形成された保持片を有して形成され、該保持片は、塗布部材の後端側に形成された先細り状の尖端部側に向かって広がるテーパ面を表面に有し、保持片の基端側には、塗布部材の膨張長さ分を吸収する吸収空間が設けられ、
塗布部材が液状塗布材を吸って軸方向に膨張したとき、前記保持片テーパ面が塗布部材の先細り状尖端部を受け止めて膨張した長さ分を軸方向へスライド移動させ、膨張長さ分は前記吸収空間で吸収するよう構成された、
ことを特徴とする塗布具。
【請求項3】
前記吸収空間は、前記貯留部と連通する第2貯留部ともなり、前記塗布部材は、第2貯留部に貯留された液状塗布材を前記後端側の尖端部より含浸する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布具。
【請求項4】
前記塗布部材の外周面には、液状塗布材を含浸しない保護シート材で被覆され、軸方向両端側は前記保護シート材が削除されて液状塗布材が含浸可能とされた、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアイライナーやアイブローのような化粧用具、あるいは頭髪や眉毛などの部分白髪染め具など内部に貯留した液状塗布材を塗布部に浸潤させ、これを先端塗布部より塗布あるいは描画して使用する塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイライナーなど内部に液状塗布材を貯留し、この液状塗布材を繊維部材などからなる芯材により構成された塗布部材に吸収、浸潤させ、該塗布部材の先端塗布部によって塗布あるいは描画する塗布具が一般に知られている。
【0003】
これら塗布具については、内部に貯留されている液状塗布材のバルク出量調整をするため、通常、前記芯材を覆う吸収体が設けられており、この吸収体により、芯材に送出される液状塗布材の出量を調整するものとしていた。
【0004】
従来は、吸収体については一般的に外周面を蛇腹状の凹凸面に形成した樹脂成形品によって作製されており、その設計には多くの調整が必要で、また高額な金型費用が必要とされていた。
また、内部に液状塗布材を貯留する貯留部の領域も確定していて、この領域を変更できる構成にはなっていなかった。
【0005】
ところで、前記液状塗布材は、使用の態様によって、その粘性や材質が多数異なっており、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものである。
【0006】
よって、上記のように、複数種類存在する液状塗布材に対応させ、しかもその貯留量の異なる場合も含めて同じ形状で同じ大きさの構造をなす塗布具や内部の吸収体を使用することは困難なこととされていた。
【0007】
すなわち、長さなどを変更した樹脂成形品からなる吸収体を別部品として1つ1つ作製することは、高額な金型費用を必要とし、また、前記貯留量を変更するには塗布具の大きさそのものを抜本的に変更しなければならないとの課題があるからである。
【0008】
そして、前記バルクの粘度は、バルク液の種類によって異なっており、粘度の異なったバルク液にあわせて、液漏れが起こらないようそれぞれ塗布具の形状を変更することはきわめてコスト高になり、到底容認されるものではなかった。
【0009】
そこで前記バルクの粘度が異なる場合であっても、同じ規格の塗布具を用いることが出来、しかもそれぞれ液漏れが起こらないように構成された塗布具が要請されていた。
【0010】
さらに、一般的な塗布具は、塗布具内に貯留されたバルク液が少なくなると、芯材に送出される液状塗布材の出量が保持できなくなる傾向にあった。なぜなら塗布具の使用状態はそれを平行にして使用するか或いは少し後端側を下げて使用することが多く、その様な使用状態であると、芯材への貯留部からのバルク液の含浸がうまく調整出来ないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−48678号公報
【特許文献2】特開2013−102910号公報
【特許文献3】特開2004−344858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
かくして、本発明による塗布具は、前記従来の課題を解決するために創案されたものであって、内部に貯留させる液状塗布材、すなわちバルク液につき、その粘性や材質の異なるものが複数種類存在し、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものであったとしても、この複数種類存在するバルク液に対応でき、しかもそのバルク液の粘度が異なる場合であっても、例えば大きさや形状など同じ規格の塗布具を用いることが出来、それぞれ液漏れが起こらないように構成し、さらには塗布具を平行にして使用するか或いは少し後端側を下げて使用した状態が長くなったとしても、芯材への貯留部からのバルク液の含浸が調整出来て、たとえバルク液の量が少なくなってきたとしても最後まで液切れしない塗布具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による塗布具は、
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に略円筒状をなすシュノーケルを嵌挿して保持される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材に取り付けられ、塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する吸収体と、前記ボディ内において前記シュノーケルを嵌挿した塗布部材の後端側を保持する保持部を有する尾栓と、を備え、
前記保持部は、円周方向に間隔をあけて、かつ円の中心部に向かい張り出して形成された保持片を有して形成され、該保持片は、塗布部材の後端側に形成された先細り状の尖端部側に向かって広がるテーパ面を表面に有し、保持片の基端側には、塗布部材の膨張長さ分を吸収する吸収空間が設けられた、
ことを特徴とし、
または、
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に略円筒状をなすシュノーケルを嵌挿して保持される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材に取り付けられ、塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する吸収体と、前記ボディ内において前記シュノーケルを嵌挿した塗布部材の後端側を保持する保持部を有する尾栓と、を備え、
前記保持部は、円周方向に間隔をあけて、かつ円の中心部に向かい張り出して形成された保持片を有して形成され、該保持片は、塗布部材の後端側に形成された先細り状の尖端部側に向かって広がるテーパ面を表面に有し、保持片の基端側には、塗布部材の膨張長さ分を吸収する吸収空間が設けられ、
塗布部材が液状塗布材を吸って軸方向に膨張したとき、前記保持片テーパ面が塗布部材の先細り状尖端部を受け止めて膨張した長さ分を軸方向へスライド移動させ、膨張長さ分は前記吸収空間で吸収するよう構成された、
ことを特徴とし、
または、
前記吸収空間は、前記貯留部と連通する第2貯留部ともなり、前記塗布部材は、第2貯留部に貯留された液状塗布材を前記後端側の尖端部より含浸する、
ことを特徴とし、
または、
前記塗布部材の外周面には、液状塗布材を含浸しない保護シート材で被覆され、軸方向両端側は前記保護シート材が削除されて液状塗布材が含浸可能とされた、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明による塗布具であれば、内部に貯留させる液状塗布材につき、その粘性や材質の異なるものが複数種類存在し、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものであったとしても、この複数種類存在する液状塗布材に対応でき、しかもそのバルク液の粘度が異なる場合であっても、例えば大きさや形状につき同じ規格の塗布具を用いることが出来、それぞれ液漏れが起こらないよう構成し、さらには塗布具を平行にして使用するか或いは少し後端側を下げて使用した状態が長くなったとしても、芯材への貯留部からのバルク液の含浸が調整出来て、たとえバルク液の量が少なくなってきたとしても最後まで液切れしない塗布具を提供できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による塗布具の構成を説明する説明図(1)である。
図2】本発明による塗布具の構成を説明する説明図(2)である。
図3】本発明による保持部の構成を説明する説明図(1)である。
図4】本発明による塗布部材の後端側尖端部と保持部との当接状態を説明する説明図である。
図5】本発明による保持部の構成を説明する説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に基づいて本発明による塗布具1の構成を説明する。
本発明による塗布具1は、略円筒状をなすボディ2を有している。また、キャップ3及びインナーキャップ4を有している。
【0017】
ボディ2内には芯状をなす塗布部材5が保持されている。当該塗布部材5は通常繊維部材で構成され、該塗布部材5は、略円柱状をなし、その外周面は保護シール材30で被覆されており、もって外周面からは液状塗布材6が含浸せず、その軸方向両端部が切削などにより前記保護シール材30が削除され、もってこの軸方向両端部は略針状の尖端形状をなしており、この尖端部から毛細管現象などによって液状塗布材6が含浸できるように構成されている。
尚、塗布部材5は液状塗布材6を含浸すると主に軸方向に膨張する。よって、本発明ではその膨張に対しても対応できる構成をも採用している。
【0018】
図1乃至図5において、符号17は、止栓13と一体に形成された止栓付きの尾栓17であり、前記塗布部材5の後端側に対向する部位には、前記塗布部材5の後端側尖端部22を保持すべく凹部状に形成された保持部41が設けられている。そして、この保持部41は、円周方向に間隔をあけて、かつ円の中心部に向かい張り出して形成された、例えば、4つの保持片42を有して形成されている。尚、形成される保持片42の数について何ら限定はなく、3つでも構わないし、5つでも構わない。
【0019】
しかして、前記4つの保持片42は、図1乃至図5から理解されるように、それぞれ塗布部材5の後端側尖端部22側に向かって広がるテーパ面を有する保持片42として形成されており、この保持片42の基端側には、塗布部材5の膨張長さ分を吸収する吸収空間43が設けられている。よって、塗布部材5が液状塗布材6を吸って軸方向に膨張したとしても、4つの保持片42の前記テーパ面が塗布部材5の後端側尖端部22を受け止めて前記膨張した長さ分をスムーズに軸方向へスライドさせ、その膨張長さ分をさらに吸収空間43で受け止めて吸収できるように構成されているのである。
【0020】
尚、前記吸収空間43は、貯留部12と連通する液状塗布材6の第2貯留部ともなっており、塗布部材5は、この第2貯留部(吸収空間43)に貯留された液状塗布材6を前記後端側尖端部22より含浸して描画部材10側に送りだせるように構成されている。
【0021】
次に、符号7は、吸収体を示す。図1から理解される様に、当該吸収体7は、外周面に何らの凹凸形状も施さない円柱状に構成され、その軸方向中心部には、軸方向に向かって貫通する貫通孔8が設けられている。
【0022】
そして、この貫通孔8に前記塗布部材5が貫挿する。従来、この吸収体は、外周が蛇腹状の凹凸面として構成された樹脂成形品で作製されていたが、前記したように、前記樹脂成形品の金型費用が比較的高額であり、そのため複数種類の形態をなす異なった吸収体を作製すると塗布具自体のコストが高価となってしまっていた。
【0023】
しかして、本発明の吸収体7は、例えば、内部に連続気泡を有するフォーム材などの含浸力を有する柔軟部材で構成されており、その大きさや長さを簡単に切断することにより形状が変更できるものとなっている。さらに、長手方向や直径方向へ圧縮することにより形状を容易に変更できるようにも構成されている。そして、本発明において吸収体7は、軸方向に複数個取り付けることもできる。
【0024】
符号9はノーズピースであり、前記芯状をなす塗布部材5の先端側を保持して、ボディ2の先端部に固着している。尚、前記塗布部材5の先端側には描画部材10が被嵌して取り付けられており、該描画部材10により含浸した液状塗布材6を使って、描画あるいは塗布するように構成されている。
【0025】
次に符号23はシュノーケルを示す。該シュノーケル23は、長尺の略筒状に形成されており、内部の軸方向に貫通する貫通空間25に前述した塗布部材5が挿通するように構成されている。
【0026】
そして、図から理解されるように、塗布部材5の後端側はシュノーケル23より露出し、その後端側尖端部22が、前述したように保持部41で保持されているのである。
【0027】
また、シュノーケル23の外周面とボディ2の内周面との間の空間は、液状塗布材6の貯留部12として構成されている。そして、この貯留部12は第2貯留部(吸収空間43)と連通していることはすでに述べたとおりである。
【0028】
ここで、シュノーケル23の先端側は、前記貫通空間25の形より大きな孔を有した膨出筒体26として構成され、この膨出筒体26内にはプラグ11が嵌り込んでいる。
【0029】
尚、前記したように、吸収体7は、塗布部材5が貫通する貫通孔8を有すると共に、尾栓17側に位置する一方側端面はプラグ11の端面と密着しており、描画部材10側に位置する他方側端面はボディ2の係止端部により係止されてボディ2内に装着されている。
【0030】
ところで、前記シュノーケル23の後端側における貫通空間25−1を形成する貫通孔8及び膨出筒体26内のプラグ11の貫通孔8は、塗布部材5の円柱状外周面にすべて接する円筒状には構成されておらず、例えば、6角形状或いは8角形状などの多角形状をなす貫通孔8として形成され、塗布部材5の外周面と前記貫通孔8とは例えば6点あるいは8点で接するが、他の外周面位置では隙間が生じ、その隙間、例えば前記貫通空間25−1及び膨出筒体26内のプラグ11の貫通孔8との間に生じた隙間などから空気が流通できるようになっている。よって、この空気流通路により液状塗布材6が塗布部材5へスムーズに含浸出来るよう、即ち毛細管現象がスムーズに行えるよう構成されているのである。
【0031】
すなわち、シュノーケル23の中間部から先端側に位置する貫通空間25−2の径は、塗布部材5の径より大きく形成されており、よってシュノーケル23の中間部から先端側に位置する貫通空間25−2は空気が流入できる隙間、すなわち空気流通路28の一部として構成されている。
【0032】
そして、この空気流通路28は、ボディ2の先端側に形成された隙間、すなわち、先端側の空気流通路28と連通し、シュノーケル23の膨出筒体26内のプラグ11の貫通孔8に生ずる隙間及び前記貫通空間25−2、さらにはシュノーケル23の後端側における貫通空間25−1と連通し、最終的に第2貯留部(吸収空間43)と連通して、本発明の塗布具1における空気流通路28を構成するのである。
【0033】
ここで、本発明による塗布具1の組み立てにつき説明すると、例えば、先端側に、場合によっては、図2に示すように、所定の長さの圧縮部材20と吸収体7が取り付けられ、この吸収体7の隣にプラグ11が嵌着されたシュノーケル23に被嵌された塗布部材5がボディ2の後方から差し込まれる。圧縮部材20を介在させるのは吸収体7を軸方向に圧縮し、その圧縮率を変化させて液状塗布材の吸い上げ効率、すなわち、毛管効率を変化させ、液漏れ等を起こさないようにするためである。
【0034】
次いで、尾栓17をボディ2の後方から差し込んで、前記塗布部材5を所定の位置に装着させると共に、塗布部材5の後端側尖端部22と保持部41とを接触させて尾栓17を装着する。尚、前記尾栓17を装着する前に、あらかじめ貯留部12には液状塗布材6を充填しておく必要がある。
【0035】
さらに、ボディ2の先端側から、塗布部材5の先端側にノーズピース9が装着された塗布用ブラシなどの描画部材10を連結させる。そして、ボディ2の先端側にインナーキャップ4およびキャップ3を取り付け、これにより塗布具1の組み立てが完了する。
【0036】
ところで、前記液状塗布材6は、その種類によって粘度がまちまちであり、そのため粘度の小さな液状塗布材6の場合には、前記塗布部材5の先端に取り付けられた描画部材10側より液漏れが生じてしまうことがあった。
【0037】
しかしながら、従来ではこの液漏れを防止するために、所定の蛇腹型をなす吸収体を使用するものとしていたが、本発明ではさらに吸収体7などに改良を加え液漏れの完全な解消を達成するものとした。
【0038】
本発明では、たとえ同じ長さで同じ大きさの塗布具であっても、それぞれの種類のバルク粘度にあわせて液漏れの生じない塗布具1が前記一種類の塗布具1で構成できる発明としたのである。
【0039】
すなわち、塗布具1のボディ2内に本発明の吸収体7を軸方向に取り付け、この取り付けた1個の吸収体7、場合によっては複数個の吸収体7に隣接して略円柱状をなし、所定長さに設定した圧縮部材20を取り付け、これにより複数個の吸収体7につき各々圧縮の程度を変えて圧縮できるようにしたのである。
【0040】
そして、前記圧縮の程度が異なると、吸収体7の長さがそれぞれ異なるものとなり、その結果、液状塗布材6の吸い上げの効率がそれぞれの吸収体7で異なるものとなるのである。
【0041】
吸収体7は軸方向に圧縮されるとき、その圧縮の程度が異なると連続気泡を有するフォーム材であるため内部の気泡密度が変化する。すると液状塗布材6を吸い上げる毛細管現象も異なることになり、取り付けられた1個の、あるいは複数個の吸収体7の軸方向においても液状塗布材6の吸い上げの効率が変化することになる。
【0042】
圧縮部材20は、通常描画部材10側に所定の長さのものが1個取り付けられる。そして、この圧縮部材20に隣接する吸収体7が最も圧縮の程度が高く、その結果、液状塗布材6の毛細管現象による吸い上げの効率が高くなる。
【0043】
しかし、複数取り付けられた吸収体7の場合は、圧縮部材20に接しない吸収体7にあっては、前記隣接する吸収体7と異なり、それほど圧縮されない。よってこの箇所での液状塗布材6の毛細管現象による吸い上げの効率はそれほど高くないのである。
【0044】
この様に、塗布部材5の軸方向に複数個の吸収体7を直列に並べて取り付け、これを圧縮部材20によって、各々の吸収体7の圧縮の程度を変えて圧縮し、もって、各々の吸収体7の毛細管現象による液状塗布材6の吸い上げの効率を変化させれば、粘度の異なる液状塗布材6に対応できて、液漏れを生じさせない塗布具1を形成できるものとなる。
【0045】
そして、図2に示すように、吸収体7の一方側に圧縮部材20を介在させれば、介在させた圧縮部材20の長さの分だけ、吸収体7は長手方向に圧縮されることになる。
【符号の説明】
【0046】
1 塗布具
2 ボディ
3 キャップ
4 インナーキャップ
5 塗布部材
6 液状塗布材
7 吸収体
8 貫通孔
9 ノーズピース
10 描画部材
11 プラグ
12 貯留部
13 止栓
17 尾栓
20 圧縮部材
22 塗布部材の後端側尖端部
23 シュノーケル
25 貫通空間
25−1 シュノーケルの後端側における貫通空間
25−2 シュノーケルの中間位置から先端側に位置する貫通空間
26 膨出筒体
28 空気流通路
30 保護シール材
41 保持部
42 保持片
43 吸収空間
【要約】
【課題】本発明は内部に貯留させる液状塗布材、すなわちバルク液につき、複数種類存在するバルク液に対応でき、しかもそのバルク液の粘度が異なる場合であっても同じ規格の塗布具を用いることが出来、それぞれ液漏れが起こらないように構成し、芯材への貯留部からのバルク液の含浸が調整出来て、たとえバルク液の量が少なくなってきたとしても最後まで液切れしない塗布具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、略円筒状をなすボディと、該ボディ内に略円筒状をなすシュノーケルを嵌挿して保持される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材に取り付けられ、塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する吸収体と、前記ボディ内において前記シュノーケルを嵌挿した塗布部材の後端側を保持する保持部を有する尾栓とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5