特許第6282004号(P6282004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧

特許6282004箱形パック容器の充填装置および充填方法
<>
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000002
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000003
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000004
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000005
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000006
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000007
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000008
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000009
  • 特許6282004-箱形パック容器の充填装置および充填方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282004
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】箱形パック容器の充填装置および充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/06 20060101AFI20180208BHJP
   B65B 3/18 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B65B31/06
   B65B3/18
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-40771(P2014-40771)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2015-166248(P2015-166248A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2017年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【弁理士】
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】青江 陽平
(72)【発明者】
【氏名】西浦 正明
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−37215(JP,A)
【文献】 特開2009−255964(JP,A)
【文献】 特開昭61−115818(JP,A)
【文献】 特開2009−73545(JP,A)
【文献】 特開平6−345192(JP,A)
【文献】 米国特許第3942301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B31/00−31/10
B65B 1/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形パック容器の充填装置において、
箱形パック容器内の内容物の酸化を防止する酸化防止ガスを供給するガス供給源と、
前記箱形パック容器の上部を折り曲げることによって封止可能な上開口部より、前記箱形パック容器内に挿入される昇降ヘッドと、
前記昇降ヘッドに設けられ、前記ガス供給源から供給された前記酸化防止ガスを前記箱形パック容器内に導入する導入口と、
前記昇降ヘッドが前記箱形パック容器内に挿入された状態において、前記箱形パック容器の内外を貫通する貫通孔として前記昇降ヘッド自体に設けられ、または、前記昇降ヘッドの外縁と前記箱形パック容器の内壁との隙間として設けられ、前記導入口からの前記酸化防止ガスの導入によって押し出された前記箱形パック容器内の残存エアを外部に放出する放出部と
を有することを特徴とする箱形パック容器の充填装置。
【請求項2】
前記箱形パック容器の上縁周りを内側に加圧変形させて、前記上開口部を閉じるための折り目を形成する可動式の外側治具をさらに有し、
前記昇降ヘッドは、前記外側治具による加圧変形時に前記箱形パック容器が潰れないように、前記箱形パック容器を内側から保持する内側治具であって、前記箱形パック容器の開口形状に対応した面形状を有することを特徴とする請求項1に記載された箱形パック容器の充填装置。
【請求項3】
前記箱形パック容器の内側に突出し、前記箱形パック容器の上縁の一部と当接することによって、前記箱形パック容器の上下方向の変位を規制するストッパをさらに有し、
前記放出部は、前記昇降ヘッドが前記ストッパと干渉することを避けるために、前記昇降ヘッドの外縁の一部を切り欠いた切欠部であることを特徴とする請求項2に記載された箱形パック容器の充填装置。
【請求項4】
前記ガス供給源から前記導入口に至る流路中に設けられ、前記酸化防止ガスの流量を制御する制御弁をさらに有し、
前記制御弁は、前記昇降ヘッドが下降して、前記導入口が前記上開口部の高さに到達した後に開弁し、前記昇降ヘッドが上昇して、前記導入口が前記上開口部の高さに到達する前に閉弁することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された箱形パック容器の充填装置。
【請求項5】
箱形パック容器の充填方法において、
前記箱形パック容器の上開口部より、前記箱形パック容器内に昇降ヘッドを挿入して、前記箱形パック容器の内外を完全に遮蔽することなく、前記上開口部の一部を塞ぐ第1のステップと、
前記昇降ヘッドによって前記上開口部の一部が塞がれた状態において、前記昇降ヘッドに設けられた導入口から、前記箱形パック容器内の内容物の酸化を防止する酸化防止ガスを前記箱形パック容器内に導入するとともに、これによって押し出された前記箱形パック容器内の残存エアを、前記昇降ヘッドの非遮蔽部分より外部に放出する第2のステップと、
前記箱形パック容器内への前記酸化防止ガスの導入後に、前記箱形パック容器内に前記内容物を充填した上で、前記箱形パック容器の上部を折り曲げることによって、前記上開口部を封止する第3のステップと
を有することを特徴とする箱形パックの充填方法。
【請求項6】
前記第2のステップは、
外側治具を用いて、前記箱形パック容器の上縁周りを内側に加圧変形させるステップと、
前記箱形パック容器の開口形状に対応した面形状を有する前記昇降ヘッドを内側治具として用いて、前記外側治具による加圧変形時に前記箱形パック容器が潰れないように、前記箱形パック容器を内側から保持するステップと
を有することを特徴とする請求項5に記載された箱形パック容器の充填方法。
【請求項7】
前記第2のステップは、
前記箱形パック容器の内側に突出したストッパを、前記箱形パック容器の上縁の一部と
当接させることによって、前記箱形パック容器の上下方向の変位を規制するステップをさらに有し、
前記残存エアの放出は、前記昇降ヘッドが前記ストッパと干渉することを避けるために、前記昇降ヘッドの外縁の一部を切り欠くことによって設けられた切欠部を、前記放出部として用いることによって行われることを請求項6に記載された箱形パック容器の充填方法。
【請求項8】
前記第2のステップは、
前記昇降ヘッドが下降して、前記導入口が前記上開口部の高さに到達した後に、前記酸化防止ガスの導入を開始するステップと、
前記昇降ヘッドが上昇して、前記導入口が前記上開口部の高さに到達する前に、前記酸化防止ガスの導入を終了するステップと
を有することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載された箱形パック容器の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形パック容器の充填装置および充填方法に係り、特に、箱形パック容器内への酸化防止ガスの充填に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、密封容器の一つとして、上部を折り曲げることによって開口部を封止する箱形パック容器が知られている。この類のパック容器には、ジュース類や酒類などが充填されるが、このような液状内容物の酸化が進まないように、窒素や二酸化炭素といった酸化防止ガスを液状内容物と併せて充填することも従来から行われている。例えば、特許文献1には、容器内に液状内容物を充填する工程の直前、および、液状内容物が充填された容器の上開口部を折り曲げて封止する工程の直前の2度にわたって、容器上方に配置された吹出し口より酸化防止ガス(置換ガス)を吹き付けて、容器内の残存エアを酸化防止ガスに置換する手法が開示されている。また、特許文献2には、このような吹出し口に、多数の微細孔よりなる網目状のメッシュシートが取り付けることによって、酸化防止ガスを分散させて均一な吹き出しを実現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−145514号公報
【特許文献2】特開2005−271927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2では、箱形パック容器の上開口部と、これと対向した吹出し口との間が高さ方向に離れており、両者の間に隙間が存在するため、吹出し口より吹き出された酸化防止ガスが外部に漏れて、酸化防止ガスの充填効率の低下を招くといった問題がある。また、酸化防止ガスが大量に漏れ出すような作業環境は、作業者にとって必ずしも好ましいとはいえない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、箱形パック容器内に充填される酸化防止ガスの充填効率の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、ガス供給源と、昇降ヘッドと、酸化防止ガスの導入口と、残存エアの放出部とを有する箱形パック容器の充填装置を提供する。ガス供給源は、箱形パック容器内の内容物の酸化を防止する酸化防止ガスを供給する。昇降ヘッドは、箱形パック容器の上部を折り曲げることによって封止可能な上開口部より、箱形パック容器内に挿入される。昇降ヘッドに設けられた導入口は、ガス供給源から供給された酸化防止ガスを箱形パック容器内に導入する。放出部は、前記昇降ヘッドが前記箱形パック容器内に挿入された状態において、箱形パック容器の内外を貫通する貫通孔として昇降ヘッド自体に設けられ、または、昇降ヘッドの外縁と箱形パック容器の内壁との隙間として設けられている。箱形パック容器内の残存エアは、導入口からの酸化防止ガスの導入によって押し出され、放出口より外部に放出される。
【0007】
ここで、第1の発明において、箱形パック容器の上縁周りを内側に加圧変形させて、上開口部を閉じるための折り目を形成する可動式の外側治具をさらに設けてもよい。この場合、外側治具による加圧変形時に箱形パック容器が潰れないように、箱形パック容器を内側から保持する内側治具を、上記昇降ヘッドとして兼用してもよい。この内側治具は、箱形パック容器の開口形状に対応した面形状を有する。また、箱形パック容器の内側に突出し、箱形パック容器の上縁の一部と当接することによって、箱形パック容器の上下方向の変位を規制するストッパを設ける場合、昇降ヘッドがストッパと干渉することを避けるために、昇降ヘッドの外縁の一部を切り欠いた切欠部を、上記放出部として兼用してもよい。
【0008】
また、第1の発明において、ガス供給源から導入口に至る流路中に、酸化防止ガスの流量を制御する制御弁をさらに設けてもよい。この制御弁は、昇降ヘッドが下降して、導入口が上開口部の高さに到達した後に開弁するとともに、昇降ヘッドが上昇して、導入口が上開口部の高さに到達する前に閉弁することが好ましい。
【0009】
第2の発明は、以下の第1から第3のステップを有する箱形パック容器の充填方法を提供する。第1のステップでは、箱形パック容器の上開口部より、箱形パック容器内に昇降ヘッドを挿入して、箱形パック容器の内外を完全に遮蔽することなく、上開口部の一部を塞ぐ。第2のステップでは、昇降ヘッドによって上開口部の一部が塞がれた状態において、昇降ヘッドに設けられた導入口から、箱形パック容器内の内容物の酸化を防止する酸化防止ガスを箱形パック容器内に導入するとともに、これによって押し出された箱形パック容器内の残存エアを、昇降ヘッドの非遮蔽部分より外部に放出する。第3のステップでは、箱形パック容器内への酸化防止ガスの導入後に、箱形パック容器内に内容物を充填した上で、箱形パック容器の上部を折り曲げることによって、上開口部を封止する。
【0010】
ここで、第2の発明において、上記第2のステップは、外側治具を用いて、箱形パック容器の上縁周りを内側に加圧変形させるステップと、箱形パック容器の開口形状に対応した面形状を有する昇降ヘッドを内側治具として用いて、外側治具による加圧変形時に箱形パック容器が潰れないように、箱形パック容器を内側から保持するステップとを有することが好ましい。この場合、上記第2のステップは、箱形パック容器の内側に突出したストッパを、箱形パック容器の上縁の一部と当接させることによって、箱形パック容器の上下方向の変位を規制するステップをさらに有していてもよく、残存エアの放出は、昇降ヘッドがストッパと干渉することを避けるために昇降ヘッドの外縁の一部を切り欠くことによって設けられた切欠部を、上記放出部として用いることによって行われる。
【0011】
また、第2の発明において、上記第2のステップは、昇降ヘッドが下降して、導入口が上開口部の高さに到達した後に、酸化防止ガスの導入を開始するとともに、昇降ヘッドが上昇して、導入口が上開口部の高さに到達する前に、酸化防止ガスの導入を終了することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1または第2の発明によれば、昇降ヘッドが箱形パック容器内に挿入された状態で、酸化防止ガスの充填が行われる。昇降ヘッドによって箱形パック容器の上開口部の一部が塞がれた状態でガスの充填が行われるので、箱形パック容器の上方から酸化防止ガスを吹き付ける従来技術と比べて、酸化防止ガスが外部に漏れ難く、酸化防止ガスの充填効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る箱形パック容器の充填装置の全体構成図
図2】昇降ヘッドの斜視図
図3】箱形パック容器の充填装置の要部説明図
図4】本実施形態に係る充填装置を用いた作業工程の説明図
図5】本実施形態に係る充填装置を用いた作業工程の説明図
図6】酸化防止ガスの導入に伴う残存エアの放出の説明図
図7】流量制御弁の開閉タイミングを示す図
図8】第1の変形例に係る昇降ヘッドの斜視図
図9】第2の変形例に係る昇降ヘッドの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施形態に係る箱形パック容器の充填装置の全体構成図である。本実施形態に係る充填装置1は、箱形パック容器A(図3参照)の上部に設けられた上開口部を閉じるために、箱形パック容器Aの上部に折り目を形成する既存の折目形成装置に、箱形パック容器Aの内部に酸化防止ガスを充填する機能を追加したものである。この充填装置1は、いわゆる「一次クセ折り」と呼ばれる工程で用いられる。
【0015】
一連の製造工程における本工程の位置付けは、概ね以下のとおりである。まず、第1の工程として、前工程から搬入された箱形パック容器Aがターンテーブル上にセットされる。この段階において、箱形パック容器Aは半組立状態、すなわち、上部のみが開口した有底筒状の箱体として供給される。箱形パック容器Aに対する以後のプロセスは、これがターンテーブル上を円周方向に移動する過程において順次行われる。続く第2の工程では、箱形パック容器Aの上部にキャップB(図3参照)が取り付けられた上で、溶着によってキャップBが固定される。第3の工程では、箱形パック容器Aの上部を折り曲げることによって、上開口部を閉じるための折り目加工が箱形パック容器Aに施される。上述した「一次クセ折り」と呼ばれる工程は、この第3の工程を指す。また、本工程において、箱形パック容器Aの折り曲げは、後述する手法によって、空の容器の内部に酸化防止ガスを導入(サブフロー)しながら行われる。本工程で使用される充填装置1は、折り目の形成および酸化防止ガスの充填という2つの機能を有しているので、両者が一つの工程として行われる。第4の工程では、酸化防止ガスが導入された箱形パック容器Aの内部に、ジュース類や酒類などの液状の内容物が充填される。そして、第5の工程では、形成済みの折り目に沿って箱形パック容器Aを折り曲げて上開口部を閉じた上で、溶着によって上開口部が封止される。また、この第5の工程において、上開口部の封止は、内容物が充填された箱形パック容器Aの内部に酸化防止ガスを再度導入(メインフロー)しながら行われる。最後に、第6の工程として、以上の製造工程を経た密封充填済みの箱形パック容器Aがターンテーブルから排出され、後工程へ搬出される。なお、酸化防止ガスの導入をメインフロー(第5の工程))のみならずサブフロー(第3の工程)でも行う理由は、サブフローで導入されたガスがメインフローに至るまで過程で外部に漏れることはあるにせよ、メインフロー単独の場合と比べて、酸化防止ガスの充填効率を高めることができるからである。
【0016】
図1に示したように、充填装置1は、載置台2と、サイドホルダ3と、載置台2の上方に配置された昇降体4と、この昇降体4を昇降させる昇降機構5とを主体に構成されており、その他にも、ガス供給源6および流量制御弁7よりなるガス供給系を有する。載置台2には、作業対象となる箱形パック容器Aが載置され、この箱形パック容器Aは、サイドホルダ3によって側面から保持される。昇降体4は、昇降ヘッド8と、可動式の外側治具9と、ストッパ10とを有し、これらはベース体4aに取り付けられている。昇降ヘッド8は、一対の支持ロッド4bを介してベース体4aに取り付けられており、昇降機構5による下降時に、箱形パック容器Aの上開口部より容器内部に挿入される。外側治具9は、箱形パック容器Aの上開口部を閉じる際の折り目を容器上部に形成するために用いられる。ストッパ10は、後述するように、容器上縁の一部と当接することによって、箱形パック容器Aの上下方向の変位を規制する。また、ガス供給源6は、箱形パック容器Aの内部に充填されるジュール類や酒類といった液状内容物の酸化を防止する酸化防止ガス(例えば、窒素、二酸化炭素等)を供給する。ガス供給源6から供給された酸化防止ガスは、ガス流路11aを介して昇降体4のベース体4aに導かれた後、ベース体4aの内部に形成されたガス流路11bと、ベース体4aと昇降ヘッド8との間を連結するガス供給管11c(「ガス流路11c」と称することもある)とを介して、昇降ヘッド8に導かれる。流量制御弁7は、ガス流路11a〜11cの途中(例えば、ガス流路11a中)に設けられており、弁の開閉によって、酸化防止ガスの流量を制御する。
【0017】
図2は、昇降ヘッド8の斜視図である。昇降ヘッド8は、箱形パック容器Aの開口形状に対応した略正方形の面形状を有する板状部材である。このヘッド面は、箱形パック容器Aの内部への挿入を容易にすべく、所定のクリアランスを以て、上開口部よりも若干小さく形成されている。昇降ヘッド8の上面には、一対の支持ロッド4bが取り付けられているとともに、これらの支持ロッド4bの間で、かつ、昇降ヘッド8の略中央には、ガス供給管11cが取り付けられている。また、昇降ヘッド8の略中央には、上下の面を貫通する導入口8aが設けられており、この導入口8aは、ガス供給管11cと連通している。さらに、本実施形態では、昇降ヘッド8の外縁の一部を切り欠くことによって、昇降ヘッド8を上下方向に貫通する貫通孔としての切欠部8bが設けられている。
【0018】
図3は、箱形パック容器Aの上開口部周りにおける充填装置1の要部説明図である。同図において、キャップBが取り付けられている方向を前とし、これを基準に前後左右を定義する。箱形パック容器Aの上縁の一部には、これと対向してストッパ10が設けられている。このストッパ10は、箱形パック容器Aの上縁と交差するように、箱形パック容器Aの外側から内側に向かって延在している。図6に示すように、箱形パック容器Aへの折り目の形成によって上開口部が半閉した状態で、容器内部に挿入された昇降ヘッド8を上昇させた場合、昇降ヘッド8が半閉した上開口部に引っ掛かり、昇降ヘッド8に追従して箱形パック容器Aも上昇しようとする。しかしながら、容器上縁がストッパ10と当接して、箱形パック容器Aの上下方向の変位が規制されるので、半閉した上開口部を押し広げながら昇降ヘッド8のみが上昇する。これにより、昇降ヘッド8の上昇(箱形パック容器Aからの抜き出し)を、箱形パック容器Aの上昇を招くことなく、有効に行うことができる。また、ストッパ10は、箱形パック容器Aの内側に突出しているため、そのままでは、内側に突出した部分が昇降ヘッド8の係脱に際して邪魔になる。そこで、昇降ヘッド8との干渉を避けるために、昇降ヘッド8の外縁の一部、具体的には、ストッパ10と位置的に対応する箇所に切欠部8bが設けられている。この切欠部8bは、昇降ヘッド8が箱形パック容器Aの内部に挿入された状態において、容器内外を貫通する貫通孔として機能する。
【0019】
図1では説明の便宜上省略されているが、図1に示した外側治具9は、実際には、箱形パック容器Aの周囲に複数、具体的には、図3に示すように、箱形パック容器Aが備える各側面に対応して4つ配置されている。左右の外側治具9a,9bは、三角形状の板状部材であり、それぞれの回転軸X1,X2に対して回動自在に取り付けられている。また、前後の外側治具9c,9dは、互いに向き合った一対のL字状のアームによってそれぞれが構成されており、それぞれの回転軸Y1,Y2に対して回動自在に取り付けられている。これらの外側治具9a〜9dは、図1に示した可動体4cにリンク機構4dを介して取り付けられている。この可動体4cは、スプリング4eを介してベース体4aに可動自在に取り付けられている。油圧等の供給によって、可動体4cをスプリング4eの付勢力に抗して下降させた場合、その駆動力はリンク機構4dを介して外側治具9a〜9dに伝達され、これによって、外側治具9a〜9dは容器内側に閉じる方向に回動する。これに対して、油圧等の供給を停止して、スプリング4eの復元力によって可動体4cを上昇させた場合、外側治具9a〜9dは逆方向に回動して、容器外側に開いた本来の方向に復帰する。
【0020】
図6に示すように、箱形パック容器Aに折り目を形成する際は、昇降ヘッド8が容器内部に挿入された状態において、4つの外側治具9a〜9dを容器内側に閉じる方向に回動させる。これによって、容器上縁周りは、容器内側に加圧変形される。箱形パック容器Aのうち、昇降ヘッド8よりも下側の部分については、昇降ヘッド8自体の形状によって潰れないように保持されており、昇降ヘッド8よりも上側の部分だけが変形していく。その結果、図6に示したように、箱形パック容器Aの各側面に、上開口部を閉じるための折り目が形成される。箱形パック容器Aの折り目形成という観点でいえば、昇降ヘッド8は、外側治具9a〜9dによる加圧変形時に箱形パック容器Aが潰れないように、容器内側から保持する内側治具として機能する。なお、綺麗な折り目を効率的に形成すべく、箱形パック容器Aの表面自体に筋状の加工(これによって、面の折れは筋状の部位を起点に生じる)を予め施しておいてもよい。
【0021】
つぎに、図4および図5を参照しつつ、本実施形態に係る充填装置1を用いた製造工程について説明する。まず、図4に示すように、載置台2の上に箱形パック容器Aがセットされる。セットされた箱形パック容器Aは、以後の作業過程で位置がずれないように、サイドホルダ3等によって保持される。箱形パック容器Aがセットされた状態において、上昇した昇降ヘッド8は、箱形パック容器Aの上開口部よりも上方に位置している。
【0022】
この状態において、図5に示すように、昇降ヘッド8を下降させ、箱形パック容器Aの上開口部より容器内部に昇降ヘッド8を挿入させる。そして、昇降ヘッド8を内側治具として用いて、箱形パック容器Aが潰れないように内側から保持しつつ、外側治具9によって、容器上縁周りを内側に加圧変形させる。これによって、箱形パック容器Aの側面上部に、上開口部を閉じるための折り目が形成される。それとともに、昇降ヘッド8が箱形パック容器A内に挿入された状態、すなわち、箱形パック容器Aの内外を完全に遮蔽することなく上開口部の一部が塞がれた状態で、昇降ヘッド8に設けられた導入口8aから酸化防止ガスを容器内部に導入する。
【0023】
図6は、酸化防止ガスの導入に伴う残存エアの放出の説明図である。昇降ヘッド8に設けられた導入口8aから容器内部に酸化防止ガスが導入されると、これによって押し出された容器内の残存エアが切欠部から外部に放出される。切欠部8bを除く上開口部の大半が昇降ヘッド8によって塞がれているので、容器内に導入された酸化防止ガスは、外部にあまり漏れることなく、容器内に有効に貯留されていく。また、酸化防止ガスの導入は、上開口部の全体ではなく、導入口8aを介して局所的に行われるとともに、残存エアの放出は、導入口8aとは位置的にオフセットした切欠部8bを介して行われる。このように、導入口8aと切欠部8bとを別け、箱形パック容器Aの上開口部全体ではなく、その一部から酸化防止ガスを導入することにより、残存エアから酸化防止ガスへの置換を効率的に行うことが可能となる。容器内部における気体の流れを阻害することなく、容器内の気体をスムーズに切欠部8bに導くことができるとともに、切欠部8bによる残存エアの放出と、導入口8aによる酸化防止ガスの導入との衝突が生じることもないからである。酸化防止ガスへの置換に着目すると、内側治具としての昇降ヘッド8は、箱形パック容器Aの内外を部分的に遮蔽する遮蔽部位として機能し、ストッパ10との干渉を避けるための切欠部8bは、残存エアを外部に放出するための放出部(非遮蔽部分)として機能する。
【0024】
その後、昇降ヘッド8を上昇させる。上述したように、箱形パック容器Aの上縁に当接したストッパ10によって、箱形パック容器Aの上下方向の変位が規制されるので、半閉した上開口部を押し広げながら昇降ヘッド8のみが上昇する。
【0025】
図7は、流量制御弁7の開閉タイミングを示す図である。昇降ヘッド9が上昇位置の高さupにある初期状態では、流量制御弁7は閉弁している。したがって、この状態では、酸化防止ガスの導入は行われない。つぎに、昇降ヘッド8が下降して、昇降ヘッド8の導入口8a(昇降ヘッド9の下面)が上開口部の高さH1に到達した後(到達時点を含む)に、流量制御弁7が開弁する。これによって、導入口8aから箱形パック容器Aの内部への酸化防止ガスの導入が開始される。そして、下降位置の高さHdownに位置した昇降ヘッド8が上昇して、導入口8aが上開口部の高さH1に到達する前(到達時点を含む)に、酸化防止ガスの導入が終了する。流量制御弁7の開閉タイミングをこのようにすることで、外部に漏れ出す酸化防止ガスの量を最低限に抑えることができる。
【0026】
以上の一連のプロセスを経て、箱形パック容器Aに対する折り目形成と、酸化防止ガスの導入とが、単一の装置を用いた一つの工程として同時に完了する。そして、その後の工程において、箱形パック容器Aに内容物を充填した上で(第4の工程)、適宜の手法(例えば、容器上方からの酸化防止ガスの吹き付け)で酸化防止ガスのメインフローを行いながら、容器上部を折り曲げることによって上開口部が封止される(第5の工程)。これによって、内容物等が充填された密封状態の箱形パック容器Aが完成する。
【0027】
このように、本実施形態によれば、昇降ヘッド8が箱形パック容器Aの内部に挿入された状態で、導入口8aから容器内部への酸化防止ガスの充填が行われる。昇降ヘッド8によって上開口部の一部が塞がれた状態でガスの充填が行われるので、箱形パック容器Aの上方から酸化防止ガスを吹き付ける従来技術と比べて、酸化防止ガスが外部に漏れ難く、酸化防止ガスの充填効率(残存エアの置換効率)の向上を図ることができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、昇降ヘッド8を、箱形パック容器Aの断面変形を抑制するための内側治具のみならず、酸化防止ガスが外部に漏れることを規制する遮蔽部材としても兼用しているので、箱形パック容器Aを加圧変形させる工程で、酸化防止ガスの充填も併せて行うことができる。したがって、酸化防止ガスの充填工程を個別に追加する必要がないので、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0029】
また、本実施形態において、切欠部8bは、酸化防止ガスの導入によって押し出された残存エアを外部に放出する機能と、箱形パック容器Aの上下方向の変位を規制するために設けられたストッパとの干渉を避ける機能とを兼ね備えているので、既存の装置の改造を最小限に留めつつ、酸化防止ガスの充填機能の実装が可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、酸化防止ガスの流路中に流量制御弁7を設けて、その開閉タイミングを制御することで、酸化防止ガスが必要以上に外部に漏れないようにすることができる。その結果、作業者にとっての作業環境の改善を図ることができる。流量制御弁7の制御は単なる開閉ではなく、半開状態を含めてより高度に制御することも当然可能である。
【0031】
なお、上述した実施形態では、導入口8aを昇降ヘッド自体に形成した例について説明したが、図8に例示するように、ガス供給管11cを下方に伸ばすことで、昇降ヘッド8よりも下方に位置するように導入口8aを設けてもよい。これにより、空気よりも軽い気体(例えば窒素)を酸化防止ガスとして用いる場合、導入口8aを下方にした分だけ、箱形パック容器Aの内部に酸化防止ガスが貯留し易くなるので、酸化防止ガスの充填効率を一層高めることができる。この場合、ガス供給管11cとして伸縮式のものを用い、昇降ヘッド8の昇降に応じて伸縮量を制御すれば、昇降ヘッド9自体の昇降量(ストローク)の増大を抑制できる。
【0032】
また、上述した実施形態では、箱形パック容器Aの上部に折り目を形成する既存の折目形成装置の改良を前提に説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、箱形パック容器Aの内部に酸化防止ガスを充填する機能のみに特化した充填装置として実現してもよい。この場合、箱形パック容器Aに折り目を形成するための外側治具9は不要であり、これに起因して、内側治具としての機能を昇降ヘッド8に担わせる必要もなく、箱形パック容器Aの内外を部分的に遮蔽する遮蔽部材としての機能のみを担せれば足りる。それとともに、箱形パック容器Aを保持するためのストッパ10も必ずしも必要ではないので、切欠部8bとして例示した放出部の設置場所に関する自由度が高くなる(上述した実施形態で、放出部を昇降ヘッド8の外縁に設けたのは、専らストッパ10との関係に起因する。)。この場合、放出部としては、昇降ヘッド8の上下面を貫通し、昇降ヘッド8が箱形パック容器Aの内部に挿入された状態において、容器内外を貫通する貫通孔であってもよいし、その設置場所についても、ガス置換の効率性の観点より導入口8aとオフセットしていれば足りる。
【0033】
また、箱形パック容器Aの内部の残存エアを外部に放出するための放出部として、昇降ヘッド8自体に貫通孔を設ける構成に代えて、昇降ヘッド8の外縁と箱形パック容器Aの内壁との隙間を放出部として用いてもよい。例えば、図9に示すように、昇降ヘッド8の四隅を面取りして、これらの非遮蔽部分を放出部として用いてもよいし、或いは、箱形パック容器Aの横断面よりも若干小さなプレート形状を有する昇降ヘッド8において、昇降ヘッド8の全周に存在する隙間(非遮蔽部分)を放出部として用いてもよい。この隙間は、最低限、箱形パック容器Aへの昇降ヘッド8の出し入れを可能にする微少なもの(クリアランス程度)で足りる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、ジュース類や酒類などの液状内容物が充填される箱形パック容器に対して広く利用できる。また、上述した実施形態で例示したような、上部が妻板状に形成された「ゲーブルトップ型」と呼ばれる箱形パック容器に限定されるものではなく、上部を折り曲げることによって封止可能な上開口部を備えた様々な形状の箱形パック容器(例えばプリックパック等)に対しても、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 充填装置
2 載置台
3 サイドホルダ
4 昇降体
5 昇降機構
6 ガス供給源
7 流量制御弁
8 昇降ヘッド
8a 導入口
8b 切欠部
9 外側治具
10 ストッパ
11a〜11c ガス流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9