(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る誘電体アンテナの構造について説明する。
図1は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
【0022】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ1は、ミリ波帯用のアンテナである。
図1に示したように、誘電体アンテナ1は、アンテナ本体2と、伝送部3と、支持部4とを備えている。アンテナ本体2は、高周波電力と電磁波の相互変換を行う。伝送部3は、アンテナ本体2に供給する高周波電力またはアンテナ本体2から出力される高周波電力の伝送を行う。
【0023】
支持部4は、アンテナ本体2および伝送部3を支持している。支持部4は、上面と下面と4つの側面を有する直方体形状である。アンテナ本体2は、支持部4の上面に配置されている。
【0024】
ここで、
図1に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。Z方向は、支持部4の上面に垂直な方向である。
【0025】
アンテナ本体2は、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体によって構成されている。また、アンテナ本体2は、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。本実施の形態におけるアンテナ本体2は、特に、薄く且つ一方向に長い直方体形状である。アンテナ本体2は、その長手方向がX方向と一致し、その下面が支持部4の上面に接するように配置されている。アンテナ本体2の長さは、X方向についてのアンテナ本体2の寸法である。アンテナ本体2の幅は、Y方向についてのアンテナ本体2の寸法である。アンテナ本体2の厚みは、Z方向についてのアンテナ本体2の寸法である。
【0026】
アンテナ本体2の厚みは、15μm〜50μmの範囲内である。アンテナ本体2の長さと幅は、いずれも、0.3mm〜3mmの範囲内である。アンテナ本体2の長さは、アンテナ本体2の幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0027】
支持部4は、第1の比誘電率E1よりも小さい第2の比誘電率E2を有する第2の誘電体によって構成されている。
【0028】
伝送部3は、マイクロストリップ線路である。伝送部3は、支持部4の上面に配置された線路部5と、支持部4の下面に配置された接地導体板6とを有している。線路部5と接地導体板6は、いずれも、導体、特に金属によって構成されている。線路部5と接地導体板6を構成する金属としては、例えばCu、AuまたはAgを用いることができる。接地導体板6は、グランドに接続される。
【0029】
線路部5は、X方向に延びている。線路部5は、X方向の両端に位置する第1の端部と第2の端部を有している。第1の端部は、支持部4の上面と1つの側面との間の稜線に接する位置に配置されている。第2の端部は、X方向におけるアンテナ本体2の一端部に接している。このようにして、線路部5は、アンテナ本体2に直接接続されている。
【0030】
第1の比誘電率E1は、150〜500の範囲内であることが好ましい。また、第1の誘電体の誘電正接は、0.01以下であることが好ましい。第2の比誘電率E2は、第1の比誘電率E1の1/10以下であることが好ましい。第1の誘電体を構成する誘電体材料としては、例えば、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等の高誘電率のセラミック材料を用いることができる。第2の誘電体を構成する誘電体材料としては、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂や、アルミナ等のセラミックや、ガラスや、これらの複合材料を用いることができる。
【0031】
アンテナ本体2は、50GHz〜70GHzの範囲内の共振周波数を有していることが好ましい。アンテナ本体2の共振周波数は、アンテナ本体2が送信(放射)または受信する電磁波の周波数帯域内に存在する。
【0032】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ1では、アンテナ本体2の長さ、幅および厚みのうち、厚みのみが、ミリ波帯の電磁波の自由空間における波長に比べて非常に小さい。例えば、60GHzの電磁波の自由空間における波長は5mmであることから、アンテナ本体2の厚みは、60GHzの電磁波の自由空間における波長の1/100以下である。
【0033】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1の作用について説明する。誘電体アンテナ1を送信用アンテナとして使用する場合には、図示しない高周波電力供給源から線路部5の第1の端部に、高周波電力が供給される。この高周波電力は、伝送部3によって線路部5の第2の端部に伝送されて、アンテナ本体2に供給される。アンテナ本体2は、供給された高周波電力を電磁波に変換して、この電磁波を送信(放射)する。
【0034】
誘電体アンテナ1を受信用アンテナとして使用する場合には、アンテナ本体2は、受信した電磁波を高周波電力に変換して、線路部5の第2の端部から伝送部3へ出力する。この高周波電力は、伝送部3によって線路部5の第1の端部に伝送されて、第1の端部に接続された図示しない回路へ送られる。
【0035】
本実施の形態では、アンテナ本体2の下方に接地導体板6が存在している。そのため、本実施の形態では、アンテナ本体2は、主にアンテナ本体2の上方に向けて電磁波を放射し、また、主にアンテナ本体2の上方からの電磁波を受信する。
【0036】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1の一例とその反射減衰特性について説明する。この例では、アンテナ本体2の厚みは20μmであり、アンテナ本体2の長さは1.8mmであり、アンテナ本体2の幅は0.55mmである。また、この例では、第1の比誘電率E1は250であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。
【0037】
図2は、上記の一例の誘電体アンテナ1の反射減衰特性を示す特性図である。
図2において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
図2に示した反射減衰特性では、約65.6GHzにおいて減衰量が最大になっている。この減衰量が最大になる周波数が、アンテナ本体2の共振周波数である。
【0038】
次に、第1の比較例の平面アンテナと比較しながら、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1の効果について説明する。
図3は、第1の比較例の平面アンテナ101の斜視図である。第1の比較例の平面アンテナ101は、アンテナ本体102と、伝送部103と、支持部104とを備えている。伝送部103は、支持部104の上面に配置された線路部105と、支持部104の下面に配置された接地導体板106とを有している。伝送部103と支持部104の構成は、誘電体アンテナ1における伝送部3と支持部4と同じである。アンテナ本体102は、導体、特にCuによって構成されて、支持部104の上面に配置されている。アンテナ本体102の厚み(Z方向の寸法)は20μmであり、アンテナ本体102の長さ(X方向の寸法)は1.2mmであり、アンテナ本体102の幅(Y方向の寸法)は0.55mmである。
【0039】
図4は、第1の比較例の平面アンテナ101の反射減衰特性を示す特性図である。
図4において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
図4に示した反射減衰特性では、約62.3GHzにおいて減衰量が最大になっている。この減衰量が最大になる周波数が、アンテナ本体102の共振周波数である。
【0040】
前述の誘電体アンテナ1の一例と第1の比較例の平面アンテナ101は、アンテナ本体2の共振周波数とアンテナ本体102の共振周波数が近くなるように設計している。一方、誘電体アンテナ1の一例におけるアンテナ本体2は、第1の比較例の平面アンテナ101におけるアンテナ本体102よりも大きい。具体的には、アンテナ本体2は、アンテナ本体102と比較して、厚みと幅は等しいが、長さが大きい。
【0041】
このように、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1によれば、ほぼ同等の特性を有する平面アンテナ101のアンテナ本体102と比較して、アンテナ本体2を大きくすることができる。そのため、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1によれば、導体よりなるアンテナ本体102を有する第1の比較例の平面アンテナ101と比較して、寸法精度が緩和される。具体的には、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1によれば、第1の比較例の平面アンテナ101と比較して、寸法の誤差に対する特性の変化が小さくなる。これについては、第2の実施の形態において具体的に説明する。
【0042】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ1において、第1の比較例の平面アンテナ101のアンテナ本体102と比較して、アンテナ本体2を大きくすることができる理由は、以下のように考えられる。なお、以下の説明では、アンテナ本体2の共振周波数と、アンテナ本体102の共振周波数は等しいものとする。
【0043】
まず、第1の比較例の平面アンテナ101では、アンテナ本体102で共振する電磁波の電磁界は、主に、アンテナ本体102と接地導体板106との間の支持部104内に存在する。そのため、アンテナ本体102で共振する電磁波の実効波長は、支持部104内の電磁波の波長、すなわち自由空間における波長の1/√(E2)に近い。
【0044】
一方、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1では、第1の誘電体よりなるアンテナ本体2の厚みは、アンテナ本体2で共振する電磁波の自由空間における波長に比べて非常に小さい。具体的には、前述のように、アンテナ本体2の厚みは、60GHzの電磁波の自由空間における波長の1/100以下である。このように、電磁波の自由空間における波長に比べて極めて薄い誘電体よりなるアンテナ本体2で共振する電磁波の電磁界は、アンテナ本体2の内部、ならびにアンテナ本体2の上面近くの空間上に存在すると考えられる。この場合、アンテナ本体2で共振する電磁波の実効波長は、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体よりなるアンテナ本体2の内部における波長と自由空間における波長との中間の値ではあるものの、比較的、自由空間における波長に近い値になると考えられる。そのため、アンテナ本体2で共振する電磁波の実効波長は、第1の比較例の平面アンテナ101のアンテナ本体102で共振する電磁波の実効波長よりも長くなると考えられる。その結果、アンテナ本体2の大きさは、アンテナ本体102よりも大きくなると考えられる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1では、アンテナ本体2の長さ、幅および厚みのうち、厚みのみが、ミリ波帯の電磁波の自由空間における波長に比べて非常に小さい。これにより、本実施の形態によれば、ミリ波帯用の誘電体アンテナ1であって、導体よりなるアンテナ本体を有する平面アンテナに比べて寸法精度が緩和される誘電体アンテナ1を実現することができる。
【0046】
なお、アンテナ本体2の長さと幅が大きく異なると、アンテナ本体2の幅が小さくなり過ぎて、アンテナ本体2の幅に、高い寸法精度が要求されるおそれがある。そのため、アンテナ本体2の長さは、アンテナ本体2の幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0047】
以下、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1に関して行った第1ないし第4のシミュレーションの結果について説明する。
【0048】
[第1のシミュレーション]
始めに、第1のシミュレーションについて説明する。第1のシミュレーションは、第1の比誘電率E1の好ましい範囲を求めるために行った。第1のシミュレーションでは、第1の比較例モデルと第1の実施例モデルとを用いた。
【0049】
第1の比較例モデルは、
図3に示した第1の比較例の平面アンテナ101のモデルである。シミュレーションによって求めた第1の比較例モデルの絶対利得(以下、単に利得と記す。)は、5.089dBであった。
【0050】
第1の実施例モデルは、
図1に示した本実施の形態に係る誘電体アンテナ1のモデルである。第1の実施例モデルにおいて、アンテナ本体2の厚みは20μmであり、アンテナ本体2の長さは1.80mmであり、アンテナ本体2の幅は0.55mmであり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。第1のシミュレーションでは、第1の比誘電率E1を変化させて、第1の比誘電率E1と第1の実施例モデルの利得との関係を求めた。その結果を、以下の表1と
図5に示す。表1と
図5には、第1の比較例モデルの利得も示している。
図5において、横軸は第1の比誘電率E1、縦軸は利得(dB)である。また、
図5において、白抜きの四角は第1の比較例モデルの利得を示し、複数の塗りつぶした四角は、第1の実施例モデルにおける第1の比誘電率E1と利得との関係を示している。
【0052】
表1および
図5に示したように、第1の実施例モデルにおいて、第1の比誘電率E1が150〜500の範囲内であれば、第1の比較例モデルとほぼ同等以上の利得が得られる。そのため、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1において、第1の比誘電率E1は、150〜500の範囲内であることが好ましい。
【0053】
[第2のシミュレーション]
次に、第2のシミュレーションについて説明する。第2のシミュレーションは、アンテナ本体2の厚みの好ましい範囲を求めるために行った。第2のシミュレーションでは、前記の第1の比較例モデルと、第2の実施例モデルとを用いた。
【0054】
第2の実施例モデルは、
図1に示した本実施の形態に係る誘電体アンテナ1のモデルである。第2の実施例モデルにおいて、アンテナ本体2の長さは1.80mmであり、アンテナ本体2の幅は0.55mmであり、第1の比誘電率E1は250であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。第2のシミュレーションでは、アンテナ本体2の厚みを変化させて、アンテナ本体2の厚みと第2の実施例モデルの利得との関係を求めた。その結果を、以下の表2と
図6に示す。表2と
図6には、第1の比較例モデルの利得も示している。
図6において、横軸はアンテナ本体2の厚み(μm)、縦軸は利得(dB)である。また、
図6において、白抜きの四角は第1の比較例モデルの利得を示し、複数の塗りつぶした四角は、第2の実施例モデルにおけるアンテナ本体2の厚みと利得との関係を示している。
【0056】
表2および
図6に示したように、第2の実施例モデルにおいて、アンテナ本体2の厚み15μm〜50μmの範囲内であれば、第1の比較例モデルとほぼ同等以上の利得が得られる。そのため、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1において、アンテナ本体2の厚みは、15μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0057】
[第3のシミュレーション]
次に、第3のシミュレーションについて説明する。第3のシミュレーションは、第1の誘電体の誘電正接の好ましい範囲を求めるために行った。第3のシミュレーションでは、前記の第1の比較例モデルと、第3の実施例モデルとを用いた。
【0058】
第3の実施例モデルは、
図1に示した本実施の形態に係る誘電体アンテナ1のモデルである。第3の実施例モデルにおいて、アンテナ本体2の厚みは20μmであり、アンテナ本体2の長さは1.80mmであり、アンテナ本体2の幅は0.55mmであり、第1の比誘電率E1は250であり、第2の比誘電率E2は2.55である。第3のシミュレーションでは、第1の誘電体の誘電正接を変化させて、第1の誘電体の誘電正接と第3の実施例モデルの利得との関係を求めた。その結果を、以下の表3と
図7に示す。表3と
図7には、第1の比較例モデルの利得も示している。また、表3には、誘電正接の逆数であるQ値も示している。
図7において、横軸は第1の誘電体の誘電正接、縦軸は利得(dB)である。また、
図7において、白抜きの四角は第1の比較例モデルの利得を示し、複数の塗りつぶした四角は、第3の実施例モデルにおける第1の誘電体の誘電正接と利得との関係を示している。
【0060】
表3および
図7に示したように、第3の実施例モデルにおいて、第1の誘電体の誘電正接が0.01以下であれば、第1の比較例モデルとほぼ同等以上の利得が得られる。そのため、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1において、第1の誘電体の誘電正接は0.01以下であることが好ましい。
【0061】
[第4のシミュレーション]
次に、第4のシミュレーションについて説明する。第4のシミュレーションは、第1の比誘電率E1およびアンテナ本体2の長さと、アンテナ本体2の共振周波数との関係を調べるために行った。第4のシミュレーションでは、第4の実施例モデルを用いた。
【0062】
第4の実施例モデルは、
図1に示した本実施の形態に係る誘電体アンテナ1のモデルである。第4の実施例モデルにおいて、アンテナ本体2の厚みは20μmであり、アンテナ本体2の幅は0.5mmであり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。第4のシミュレーションでは、第1の比誘電率E1を150〜400の範囲で変化させ、アンテナ本体2の長さ1.4mm、1.5mm、1.6mmと変化させて、アンテナ本体2の共振周波数(GHz)を求めた。その結果を、以下の表4と
図8に示す。表4において、アンテナ本体2の長さと第1の比誘電率E1以外の数値は、アンテナ本体2の共振周波数(GHz)である。また、
図8において、横軸はアンテナ本体2の長さ、縦軸はアンテナ本体2の共振周波数(GHz)である。
【0064】
表4および
図8から、本実施の形態に係る誘電体アンテナ1では、第1の比誘電率E1が大きくなるほどアンテナ本体2の共振周波数は低くなり、アンテナ本体2の長さが大きくなるほどアンテナ本体2の共振周波数は低くなることが分かる。従って、本実施の形態において、アンテナ本体2の共振周波数は、第1の比誘電率E1とアンテナ本体2の長さの少なくとも一方を調整することによって調整可能である。
【0065】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る誘電体アンテナについて説明する。始めに、
図9および
図10を参照して、本実施の形態に係る誘電体アンテナの構造について説明する。
図9は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
図10は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの断面図である。
【0066】
第1の実施の形態と同様に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21もミリ波帯用のアンテナである。
図9および
図10に示したように、誘電体アンテナ21は、アンテナ本体22と、伝送部23と、支持部24とを備えている。アンテナ本体22は、高周波電力と電磁波の相互変換を行う。伝送部23は、アンテナ本体22に供給する高周波電力またはアンテナ本体22から出力される高周波電力の伝送を行う。
【0067】
支持部24は、アンテナ本体22および伝送部23を支持している。支持部24は、上面と下面と4つの側面を有する直方体形状である。支持部24は、第1層24Aと、この第1層24Aの上に配置された第2層24Bとを有している。
【0068】
ここで、
図9および
図10に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。Z方向は、支持部24の上面(第2層24Bの上面)に垂直な方向である。
【0069】
伝送部23は、マイクロストリップ線路である。伝送部23は、第1層24Aと第2層24Bの間に配置された線路部25と、支持部24の下面(第1層24Aの下面)に配置された接地導体板26とを有している。線路部25と接地導体板26は、いずれも、導体、特に金属によって構成されている。線路部25と接地導体板26を構成する金属としては、例えばCu、AuまたはAgを用いることができる。接地導体板26は、グランドに接続される。
【0070】
線路部25は、第1の部分25Aと第2の部分25Bとを有している。第1の部分25Aは、X方向に延び、X方向の両端に位置する第1の端部と第2の端部を有している。第1の端部は、支持部24の第1層24Aの上面と1つの側面との間の稜線に接する位置に配置されている。第2の部分25Bは、第1の部分25Aの第2の端部に接続されている。Z方向から見た第2の部分25Bの形状は、正方形または長方形である。第2の部分25BのY方向の寸法は、第1の部分25AのY方向の寸法よりも大きい。
【0071】
アンテナ本体22は、アンテナ本体22の少なくとも一部が第2層24Bを介して第2の部分25Bと対向するように、第2層24Bの上面に配置されている。アンテナ本体22は、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体によって構成されている。アンテナ本体22は、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体22の厚みは、Z方向についてのアンテナ本体22の寸法である。Z方向から見たアンテナ本体22の形状は、2つの辺がX方向に平行で、他の2つの辺がY方向に平行な正方形または長方形である。Z方向から見たアンテナ本体22の形状が長方形である場合には、その長方形の長辺の寸法がアンテナ本体22の長さであり、その長方形の短辺の寸法がアンテナ本体22の幅である。Z方向から見たアンテナ本体22の形状が正方形である場合には、その正方形のX方向に平行な辺の寸法を長さと定義してもよいし、その正方形のY方向に平行な辺の寸法を長さと定義してもよい。いずれの場合も、アンテナ本体22の長さと幅は等しい。
【0072】
アンテナ本体22の厚みは、15μm〜50μmの範囲内である。アンテナ本体22の長さと幅は、いずれも、0.3mm〜3mmの範囲内である。アンテナ本体22の長さは、アンテナ本体22の幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0073】
本実施の形態では、線路部25は、アンテナ本体22に直接接続されていない。本実施の形態では、線路部25、特に第2の部分25Bが、アンテナ本体22に対して電磁気的に結合し、これにより、伝送部23とアンテナ本体22との間で高周波電力の授受が行われる。
【0074】
Z方向から見たアンテナ本体22の形状は、Z方向から見た第2の部分25Bの形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図9には、Z方向から見たアンテナ本体22の形状が、Z方向から見た第2の部分25Bの形状よりも大きい例を示している。
【0075】
支持部24は、第1の比誘電率E1よりも小さい第2の比誘電率E2を有する第2の誘電体によって構成されている。第1の比誘電率E1、第1の誘電体の誘電正接および第2の比誘電率E2の好ましい範囲は、第1の実施の形態と同様である。また、第1の誘電体を構成する誘電体材料や、第2の誘電体を構成する誘電体材料の例も、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
アンテナ本体22は、50GHz〜70GHzの範囲内の共振周波数を有していることが好ましい。アンテナ本体22の共振周波数は、アンテナ本体22が送信(放射)または受信する電磁波の周波数帯域内に存在する。
【0077】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21の作用について説明する。誘電体アンテナ21を送信用アンテナとして使用する場合には、図示しない高周波電力供給源から線路部25の第1の部分25Aの第1の端部に、高周波電力が供給される。この高周波電力は、伝送部23によって線路部25の第2の部分25Bに伝送され、更に、第2の部分25Bに電磁気的に結合するアンテナ本体22に供給される。アンテナ本体22は、供給された高周波電力を電磁波に変換して、この電磁波を送信(放射)する。
【0078】
誘電体アンテナ21を受信用アンテナとして使用する場合には、アンテナ本体22は、受信した電磁波を高周波電力に変換して、線路部25の第2の部分25Bへ出力する。この高周波電力は、伝送部23によって線路部25の第1の部分25Aの第1の端部に伝送されて、第1の端部に接続された図示しない回路へ送られる。
【0079】
誘電体アンテナ21および第2の部分25Bは、互いに共振周波数が異なる2つの共振モードを有する。これにより、誘電体アンテナ21によれば、第1の実施の形態に係る誘電体アンテナ1に比べて、送受信可能な周波数帯域を広くすることが可能になる。
【0080】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21の実施例とその反射減衰特性について説明する。この実施例では、アンテナ本体22の厚みは20μmであり、アンテナ本体22の長さと幅は、いずれも1.45mmである。また、第2の部分25Bの長さと幅は、いずれも0.9mmである。また、第1の比誘電率E1は200であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。
【0081】
図11は、実施例の誘電体アンテナ21の反射減衰特性を示す特性図である。
図11において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。この反射減衰特性において、減衰量が10dB以上となる周波数帯域を、送受信可能な周波数帯域と定義すると、送受信可能な周波数帯域は、約60GHz〜約74GHzである。
【0082】
次に、第2の比較例の平面アンテナと比較しながら、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21の効果について説明する。
図12は、第2の比較例の平面アンテナの斜視図である。
図13は、第2の比較例の平面アンテナの断面図である。
【0083】
第2の比較例の平面アンテナ121は、アンテナ本体122と、伝送部123と、支持部124とを備えている。支持部124は、アンテナ本体122および伝送部123を支持している。支持部124は、上面と下面と4つの側面を有する直方体形状である。支持部124は、第1層124Aと、この第1層124Aの上に配置された第2層124Bとを有している。
【0084】
伝送部123は、第1層124Aと第2層124Bの間に配置された線路部125と、支持部124の下面(第1層124Aの下面)に配置された接地導体板126とを有している。線路部125と接地導体板126は、いずれも、導体、特にCuによって構成されている。線路部125は、第1の部分125Aと第2の部分125Bとを有している。第1の部分125Aは、X方向に延び、X方向の両端に位置する第1の端部と第2の端部を有している。第1の端部は、支持部124の第1層124Aの上面と1つの側面との間の稜線に接する位置に配置されている。第2の部分125Bは、第1の部分125Aの第2の端部に接続されている。第2の部分125BのY方向の寸法は、第1の部分125AのY方向の寸法よりも大きい。
【0085】
アンテナ本体122は、アンテナ本体122の少なくとも一部が第2層124Bを介して第2の部分125Bと対向するように、第2層124Bの上面に配置されている。アンテナ本体122は、導体、特にCuによって構成されている。アンテナ本体122は、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体122の厚みは、Z方向についてのアンテナ本体122の寸法である。Z方向から見たアンテナ本体122の形状は、2つの辺がX方向に平行で、他の2つの辺がY方向に平行な正方形または長方形である。アンテナ本体122の厚みは20μmであり、アンテナ本体122の長さと幅は、いずれも1.10mmである。
【0086】
図14は、第2の比較例の平面アンテナ121の反射減衰特性を示す特性図である。
図14において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
【0087】
前述の実施例の誘電体アンテナ21と第2の比較例の平面アンテナ121は、それらの送受信可能な周波数帯域が互いに近くなるように設計している。一方、実施例の誘電体アンテナ21におけるアンテナ本体22は、第2の比較例の平面アンテナ121におけるアンテナ本体122よりも大きい。
【0088】
このように、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21によれば、ほぼ同等の特性を有する平面アンテナ121のアンテナ本体122と比較して、アンテナ本体22を大きくすることができる。そのため、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21によれば、導体よりなるアンテナ本体122を有する第2の比較例の平面アンテナ121と比較して、寸法精度が緩和される。具体的には、本実施の形態に係る誘電体アンテナ21によれば、第2の比較例の平面アンテナ121と比較して、寸法の誤差に対する特性の変化が小さくなる。以下、これを示す第5のシミュレーションの結果について説明する。
【0089】
[第5のシミュレーション]
第5のシミュレーションでは、第2の比較例の平面アンテナ121について、アンテナ本体122の長さと幅を、設計値に対して±25μmだけ変化させたときの、平面アンテナ121の反射減衰特性の変化を調べた。その結果を、
図15に示す。
図15において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
図15において、符号131で示す線は、アンテナ本体122の長さと幅が設計値通りである場合における平面アンテナ121の反射減衰特性を示している。また、
図15において、符号132で示す線は、アンテナ本体122の長さと幅が設計値よりも25μmだけ小さい場合における平面アンテナ121の反射減衰特性を示している。また、
図15において、符号133で示す線は、アンテナ本体122の長さと幅が設計値よりも25μmだけ大きい場合における平面アンテナ121の反射減衰特性を示している。
【0090】
また、第5のシミュレーションでは、前述の実施例の誘電体アンテナ21について、アンテナ本体22の長さと幅を、設計値に対して±25μmだけ変化させたときの、誘電体アンテナ21の反射減衰特性の変化を調べた。その結果を、
図16に示す。
図16において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
図16において、符号31で示す線は、アンテナ本体22の長さと幅が設計値通りである場合における誘電体アンテナ21の反射減衰特性を示している。また、
図16において、符号32で示す線は、アンテナ本体22の長さと幅が設計値よりも25μmだけ小さい場合における誘電体アンテナ21の反射減衰特性を示している。また、
図16において、符号33で示す線は、アンテナ本体22の長さと幅が設計値よりも25μmだけ大きい場合における誘電体アンテナ21の反射減衰特性を示している。
【0091】
図15と
図16を比較すると、誘電体アンテナ21では、第2の比較例の平面アンテナ121と比較して、アンテナ本体22の寸法の誤差に対する特性の変化が小さく、アンテナ本体22の寸法精度が緩和されることが分かる。
【0092】
[第6のシミュレーション]
次に、第6のシミュレーションについて説明する。第6のシミュレーションは、アンテナ本体22の長さとの幅の比率の好ましい範囲を求めるために行った。第6のシミュレーションでは、第2の比較例モデルと第5の実施例モデルとを用いた。第2の比較例モデルと第5の実施例モデルは、送受信可能な周波数帯域がほぼ等しくなるように設計している。
【0093】
図17は、第2の比較例モデル141を示す斜視図である。第2の比較例モデル141は、平面アンテナのモデルである。
図17に示したように、第2の比較例モデル141は、アンテナ本体142と、伝送部143と、支持部144とを備えている。支持部144は、アンテナ本体142および伝送部143を支持している。支持部144は、上面と下面と4つの側面を有する直方体形状である。支持部144は、第1層144Aと、この第1層144Aの上に配置された第2層144Bとを有している。
【0094】
伝送部143は、第1層144Aと第2層144Bの間に配置された線路部145と、支持部144の下面(第1層144Aの下面)に配置された接地導体板146とを有している。線路部145と接地導体板146は、いずれも、導体、特にCuによって構成されている。線路部145は、第1の部分145Aと第2の部分145Bとを有している。第1の部分145Aは、X方向に延び、X方向の両端に位置する第1の端部と第2の端部を有している。第1の端部は、支持部144の第1層144Aの上面と1つの側面との間の稜線に接する位置に配置されている。第2の部分145Bは、第1の部分145Aの第2の端部に接続されている。第2の部分145BのY方向の寸法は、第1の部分145AのY方向の寸法よりも大きい。
【0095】
アンテナ本体142は、アンテナ本体142の少なくとも一部が第2層144Bを介して第2の部分145Bと対向するように、第2層144Bの上面に配置されている。アンテナ本体142は、導体、特にCuによって構成されている。アンテナ本体142は、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体142の厚みは、Z方向についてのアンテナ本体142の寸法である。Z方向から見たアンテナ本体142の形状は、2つの辺がX方向に平行で、他の2つの辺がY方向に平行な正方形または長方形である。
【0096】
第2の比較例モデル141では、アンテナ本体142のY方向の寸法をアンテナ本体142の長さと定義し、アンテナ本体142のX方向の寸法をアンテナ本体142の幅と定義する。アンテナ本体142の長さは、アンテナ本体142の幅以上である。
【0097】
図18は、第5の実施例モデルを示す斜視図である。第5の実施例モデルは、
図9に示した本実施の形態に係る誘電体アンテナ21のモデルである。第5の実施例モデルでは、アンテナ本体22のY方向の寸法をアンテナ本体22の長さと定義し、アンテナ本体22のX方向の寸法をアンテナ本体22の幅と定義する。アンテナ本体22の長さは、アンテナ本体22の幅以上である。第5の実施例モデルにおいて、アンテナ本体22の厚みは20μmであり、第1の比誘電率E1は200であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。
【0098】
以下、第2の比較例モデル141におけるアンテナ本体142の長さと、第5の実施例モデルにおけるアンテナ本体22の長さを、共に記号Lで表す。また、第2の比較例モデル141におけるアンテナ本体142の幅と、第5の実施例モデルにおけるアンテナ本体22の幅を、共に記号Wで表す。
【0099】
第6のシミュレーションでは、第2の比較例モデル141について、アンテナ本体142の上面の面積を一定にしたままで、アンテナ本体142の長さLと幅Wの比率L/Wを変化させて、比率L/Wと利得との関係を求めた。その結果を、以下の表5に示す。
【0101】
また、第6のシミュレーションでは、第5の実施例モデルについて、アンテナ本体22の上面の面積を一定にしたままで、アンテナ本体22の長さLと幅Wの比率L/Wを変化させて、比率L/Wと利得との関係を求めた。その結果を、以下の表6に示す。
【0103】
また、表5と表6に示したL/Wと利得との関係を
図19に示す。
図19において、横軸はL/Wであり、縦軸は利得(dB)である。
図19において、符号41で示した線と、この線で結んだ複数の点は、第2の比較例モデル141についてのL/Wと利得との関係を示している。また、
図19において、符号42で示した線と、この線で結んだ複数の点は、第5の実施例モデルについてのL/Wと利得との関係を示している。
【0104】
図19から分かるように、L/Wが4〜5の範囲では、第5の実施例モデルの利得と第2の比較例モデル141の利得はほぼ等しい。また、L/Wが1〜3.5の範囲では、第5の実施例モデルの利得は、第2の比較例モデル141の利得よりも大きい。このことから、本実施の形態において、アンテナ本体22の長さLは、アンテナ本体22の幅Wの1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0105】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る誘電体アンテナについて説明する。始めに、
図20および
図21を参照して、本実施の形態に係る誘電体アンテナの構造について説明する。
図20は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
図21は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの断面図である。
【0107】
第1および第2の実施の形態と同様に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51もミリ波帯用のアンテナである。
図20および
図21に示したように、誘電体アンテナ51は、2つのアンテナ本体52A,52Bと、伝送部53と、支持部54とを備えている。アンテナ本体52A,52Bは、高周波電力と電磁波の相互変換を行う。伝送部53は、アンテナ本体52A,52Bに供給する高周波電力またはアンテナ本体52A,52Bから出力される高周波電力の伝送を行う。
【0108】
支持部54は、アンテナ本体52A,52Bおよび伝送部53を支持している。支持部54は、上面と下面と4つの側面を有する直方体形状である。支持部54は、下から順に配置された第1層54A、第2層54B、第3層54Cおよび第4層54Dを有している。
【0109】
ここで、
図20および
図21に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。Z方向は、支持部54の上面(第4層54Dの上面)に垂直な方向である。
【0110】
伝送部53は、第2層54Bと第3層54Cの間に配置された線路部531と、第1層54Aと第2層54Bの間に配置された接地導体板532と、第3層54Cと第4層54Dの間に配置された接地導体板533とを有している。線路部531と接地導体板532,533は、いずれも、導体、特に金属によって構成されている。この金属としては、例えばCu、AuまたはAgを用いることができる。接地導体板532,533は、グランドに接続される。
【0111】
線路部531は、第1の部分531Aと第2の部分531Bとを有している。第1の部分531Aは、X方向に延び、X方向の両端に位置する第1の端部と第2の端部を有している。第1の端部は、支持部54の第2層54Bの上面と1つの側面との間の稜線に接する位置に配置されている。第2の部分531Bは、第1の部分531Aの第2の端部に接続されている。第2の部分531BのY方向の寸法は、第1の部分531AのY方向の寸法と等しい。
【0112】
接地導体板532と接地導体板533は、互いに対向する位置に配置されている。第1の部分531Aの少なくとも一部は、第2層54Bを介して接地導体板532に対向していると共に、第3層54Cを介して接地導体板533に対向している。第1の部分531Aの少なくとも一部と接地導体板532,533は、ストリップ線路を構成している。
【0113】
アンテナ本体52A,52Bは、第2層54Bと第3層54Cの間において、第2の部分531BのY方向の両側に配置されている。第2の部分531Bは、線路部531のうち、アンテナ本体52A,52Bに挟まれた部分である。
図21は、X方向に垂直で、第2の部分531Bおよびアンテナ本体52A,52Bと交差する断面を示している。
【0114】
アンテナ本体52A,52Bは、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体によって構成されている。アンテナ本体52A,52Bは、それぞれ、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体52A,52Bの厚みは、Z方向についてのアンテナ本体52A,52Bの寸法である。Z方向から見たアンテナ本体52A,52Bの形状は、それぞれ、2つの辺がX方向に平行で、他の2つの辺がY方向に平行な正方形または長方形である。本実施の形態では、Y方向についてのアンテナ本体52A,52Bの寸法は、X方向についてのアンテナ本体52A,52Bの寸法以上である。従って、Y方向についてのアンテナ本体52A,52Bの寸法がアンテナ本体52A,52Bの長さであり、X方向についてのアンテナ本体52A,52Bの寸法がアンテナ本体52A,52Bの幅である。
【0115】
アンテナ本体52A,52Bの厚みは、15μm〜50μmの範囲内である。アンテナ本体52A,52Bの長さと幅は、いずれも、0.3mm〜3mmの範囲内である。アンテナ本体52A,52Bの長さは、アンテナ本体52A,52Bの幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0116】
アンテナ本体52Aと第2の部分531Bとの間と、アンテナ本体52Bと第2の部分531Bとの間には、それぞれ隙間が形成されている。従って、本実施の形態では、線路部531は、アンテナ本体52A,52Bに直接接続されていない。本実施の形態では、線路部531、特に第2の部分531Bが、アンテナ本体52A,52Bに対して電磁気的に結合し、これにより、伝送部53とアンテナ本体52A,52Bとの間で高周波電力の授受が行われる。
【0117】
支持部54は、第1の比誘電率E1よりも小さい第2の比誘電率E2を有する第2の誘電体によって構成されている。第1の比誘電率E1、第1の誘電体の誘電正接および第2の比誘電率E2の好ましい範囲は、第1の実施の形態と同様である。また、第1の誘電体を構成する誘電体材料や、第2の誘電体を構成する誘電体材料の例も、第1の実施の形態と同様である。
【0118】
アンテナ本体52A,52Bは、50GHz〜70GHzの範囲内の共振周波数を有していることが好ましい。アンテナ本体52A,52Bの共振周波数は、アンテナ本体52A,52Bが送信(放射)または受信する電磁波の周波数帯域内に存在する。
【0119】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51の作用について説明する。誘電体アンテナ51を送信用アンテナとして使用する場合には、図示しない高周波電力供給源から線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に、高周波電力が供給される。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第2の部分531Bに伝送され、更に、第2の部分531Bに電磁気的に結合するアンテナ本体52A,52Bに供給される。アンテナ本体52A,52Bは、供給された高周波電力を電磁波に変換して、この電磁波を送信(放射)する。
【0120】
誘電体アンテナ51を受信用アンテナとして使用する場合には、アンテナ本体52A,52Bは、受信した電磁波を高周波電力に変換して、線路部531の第2の部分531Bへ出力する。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に伝送されて、第1の端部に接続された図示しない回路へ送られる。
【0121】
本実施の形態では、アンテナ本体52A,52Bの上方と下方には、接地導体板532,533が存在していない。そのため、本実施の形態では、アンテナ本体52A,52Bは、アンテナ本体52A,52Bの上方および下方に向けて電磁波を放射することができると共に、アンテナ本体52A,52Bの上方および下方からの電磁波を受信することが可能である。
【0122】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51の実施例とその反射減衰特性について説明する。この実施例では、アンテナ本体52A,52Bの厚みは20μmであり、アンテナ本体52A,52Bの長さは1.70mmであり、アンテナ本体52A,52Bの幅は0.4mmである。また、第1の比誘電率E1は200であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。
【0123】
図22は、実施例の誘電体アンテナ51の反射減衰特性を示す特性図である。
図22において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。この反射減衰特性では、減衰量が10dB以上となる周波数帯域が広い。そのため、本実施の形態によれば、送受信可能な周波数帯域を広くすることが可能になる。
【0124】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0125】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る誘電体アンテナについて説明する。
図23は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
図24は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの断面図である。
【0126】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ51は、以下の点で、第3の実施の形態に係る誘電体アンテナ51と異なっている。本実施の形態では、
図24に示したように、アンテナ本体52A,52Bは、支持部54における第3層54Cと第4層54Dの間に配置されている。
図24は、X方向に垂直で、第2の部分531Bおよびアンテナ本体52A,52Bと交差する断面を示している。また、本実施の形態では、線路部531の第2の部分531BのY方向の寸法は、線路部531の第1の部分531AのY方向の寸法よりも大きい。
【0127】
第3の実施の形態と同様に、本実施の形態においても、線路部531は、アンテナ本体52A,52Bに直接接続されておらず、線路部531、特に第2の部分531Bが、アンテナ本体52A,52Bに対して電磁気的に結合する。
【0128】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51の実施例とその反射減衰特性について説明する。この実施例では、アンテナ本体52A,52Bの厚みは20μmであり、アンテナ本体52A,52Bの長さは1.6mmであり、アンテナ本体52A,52Bの幅は0.3mmである。また、第1の比誘電率E1は200であり、第1の誘電体の誘電正接は0.001であり、第2の比誘電率E2は2.55である。
【0129】
図25は、実施例の誘電体アンテナ51の反射減衰特性を示す特性図である。
図25において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。この反射減衰特性では、減衰量が10dB以上となる周波数帯域が広い。そのため、本実施の形態によれば、送受信可能な周波数帯域を広くすることが可能になる。
【0130】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
【0131】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係る誘電体アンテナについて説明する。
図26は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
図27は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの断面図である。
【0132】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ51は、以下の点で、第4の実施の形態に係る誘電体アンテナ51と異なっている。本実施の形態に係る誘電体アンテナ51は、第4の実施の形態における2つのアンテナ本体52A,52Bの代わりに、4つのアンテナ本体521,522,523,524を備えている。アンテナ本体521,522,523,524は、いずれも、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体によって構成されている。
【0133】
図27に示したように、アンテナ本体521,522は、支持部54の第1層54Aの下面に配置され、アンテナ本体523,524は、支持部54の第4層54Dの上面に配置されている。アンテナ本体521,522はY方向に並んでおり、アンテナ本体523,524もY方向に並んでいる。
図27は、X方向に垂直で、第2の部分531Bおよびアンテナ本体521,522,523,524と交差する断面を示している。
【0134】
アンテナ本体521,522,523,524は、それぞれ、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体521,522,523,524の厚みは、Z方向についてのアンテナ本体521,522,523,524の寸法である。Z方向から見たアンテナ本体521,522,523,524の形状は、それぞれ、2つの辺がX方向に平行で、他の2つの辺がY方向に平行な正方形または長方形である。本実施の形態では、Y方向についてのアンテナ本体521,522,523,524の寸法は、X方向についてのアンテナ本体521,522,523,524の寸法以上である。従って、Y方向についてのアンテナ本体521,522,523,524の寸法がアンテナ本体521,522,523,524の長さであり、X方向についてのアンテナ本体521,522,523,524の寸法がアンテナ本体521,522,523,524の幅である。
【0135】
アンテナ本体521,522,523,524の厚みは、15μm〜50μmの範囲内である。アンテナ本体521,522,523,524の長さと幅は、いずれも、0.3mm〜3mmの範囲内である。アンテナ本体521,522,523,524の長さは、アンテナ本体521,522,523,524の幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0136】
本実施の形態では、線路部531は、アンテナ本体521,522,523,524に直接接続されておらず、線路部531、特に第2の部分531Bが、アンテナ本体521,522,523,524に対して電磁気的に結合する。
【0137】
アンテナ本体521,522,523,524は、50GHz〜70GHzの範囲内の共振周波数を有していることが好ましい。アンテナ本体521,522,523,524の共振周波数は、アンテナ本体521,522,523,524が送信(放射)または受信する電磁波の周波数帯域内に存在する。
【0138】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51の作用について説明する。誘電体アンテナ51を送信用アンテナとして使用する場合には、図示しない高周波電力供給源から線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に、高周波電力が供給される。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第2の部分531Bに伝送され、更に、第2の部分531Bに電磁気的に結合するアンテナ本体521,522,523,524に供給される。アンテナ本体521,522,523,524は、供給された高周波電力を電磁波に変換して、この電磁波を送信(放射)する。
【0139】
誘電体アンテナ51を受信用アンテナとして使用する場合には、アンテナ本体521,522,523,524は、受信した電磁波を高周波電力に変換して、線路部531の第2の部分531Bへ出力する。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に伝送されて、第1の端部に接続された図示しない回路へ送られる。
【0140】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4の実施の形態と同様である。
【0141】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態に係る誘電体アンテナについて説明する。
図28は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの斜視図である。
図29は、本実施の形態に係る誘電体アンテナの側面図である。
【0142】
本実施の形態に係る誘電体アンテナ51は、以下の点で、第4の実施の形態に係る誘電体アンテナ51と異なっている。本実施の形態に係る誘電体アンテナ51は、第4の実施の形態における2つのアンテナ本体52A,52Bの代わりに、2つのアンテナ本体62A,62Bを備えている。アンテナ本体62A,62Bは、いずれも、第1の比誘電率E1を有する第1の誘電体によって構成されている。
【0143】
アンテナ本体62A,62Bは、支持部54の1つの側面に配置されている。
図27は、アンテナ本体62A,62Bが配置された支持部54の1つの側面を示している。
【0144】
アンテナ本体62A,62Bは、それぞれ、所定の長さ、幅および厚みを有する板状である。アンテナ本体62A,62Bの厚みは、X方向についてのアンテナ本体62A,62Bの寸法である。X方向から見たアンテナ本体62A,62Bの形状は、それぞれ、2つの辺がY方向に平行で、他の2つの辺がZ方向に平行な正方形または長方形である。本実施の形態では、Y方向についてのアンテナ本体62A,62Bの寸法は、Z方向についてのアンテナ本体61A,62Bの寸法以上である。従って、Y方向についてのアンテナ本体62A,62Bの寸法がアンテナ本体62A,62Bの長さであり、Z方向についてのアンテナ本体62A,62Bの寸法がアンテナ本体62A,62Bの幅である。
【0145】
アンテナ本体62A,62Bの厚みは、15μm〜50μmの範囲内である。アンテナ本体62A,62Bの長さと幅は、いずれも、0.3mm〜3mmの範囲内である。アンテナ本体62A,62Bの長さは、アンテナ本体62A,62Bの幅の1〜5倍の範囲内であることが好ましく、1〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。
【0146】
本実施の形態では、線路部531の第2の部分531Bは、アンテナ本体62A,62Bの近くに配置されている。線路部531は、アンテナ本体62A,62Bに直接接続されておらず、線路部531、特に第2の部分531Bが、アンテナ本体62A,62Bに対して電磁気的に結合する。
【0147】
アンテナ本体62A,62Bは、50GHz〜70GHzの範囲内の共振周波数を有していることが好ましい。アンテナ本体62A,62Bの共振周波数は、アンテナ本体62A,62Bが送信(放射)または受信する電磁波の周波数帯域内に存在する。
【0148】
次に、本実施の形態に係る誘電体アンテナ51の作用について説明する。誘電体アンテナ51を送信用アンテナとして使用する場合には、図示しない高周波電力供給源から線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に、高周波電力が供給される。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第2の部分531Bに伝送され、更に、第2の部分531Bに電磁気的に結合するアンテナ本体62A,62Bに供給される。アンテナ本体62A,62Bは、供給された高周波電力を電磁波に変換して、この電磁波を送信(放射)する。
【0149】
誘電体アンテナ51を受信用アンテナとして使用する場合には、アンテナ本体62A,62Bは、受信した電磁波を高周波電力に変換して、線路部531の第2の部分531Bへ出力する。この高周波電力は、伝送部53によって線路部531の第1の部分531Aの第1の端部に伝送されて、第1の端部に接続された図示しない回路へ送られる。
【0150】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4の実施の形態と同様である。
【0151】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、アンテナ本体の形状は、特許請求の範囲に記載された要件を満たす限り任意である。