特許第6282040号(P6282040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282040
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】紙葉判別装置および紙葉判別方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/12 20160101AFI20180208BHJP
   G07D 7/202 20160101ALI20180208BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20180208BHJP
【FI】
   G07D7/12
   G07D7/202
   G06T7/00 300E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-62358(P2013-62358)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-186649(P2014-186649A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝則
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−109599(JP,A)
【文献】 特開2006−331111(JP,A)
【文献】 特開2011−154490(JP,A)
【文献】 特開昭58−018788(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/023403(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/041411(WO,A1)
【文献】 特開2000−200352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D7/00−7/207
G06T7/00−7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判別対象である紙幣を搬送する搬送路と、
前記搬送路の搬送方向と交差する方向を長手方向として配置され、前記搬送路上を搬送される前記紙幣を撮像するイメージラインセンサと、
予め用意される複数の基準画像を記憶する記憶領域を有し、前記イメージラインセンサから出力された取得画像と前記複数の基準画像とを比較することにより、前記紙幣を判別する判別部と
を備え、
前記複数の基準画像それぞれは、互いに寸法が異なる複数の前記紙幣それぞれに関してサイズが揃えられた画像であり、
前記判別部は、前記取得画像から前記紙幣に相当する部分である判別対象画像を切り出し、前記判別対象画像のサイズが前記複数の基準画像のサイズに近づくように前記判別対象画像を拡大若しくは縮小させたのち、拡大後若しくは縮小後の前記判別対象画像と前記複数の基準画像とを比較し、
前記紙幣に新たな金種が加わった場合に、前記金種の前記基準画像を追加可能であることを特徴とする、紙葉判別装置。
【請求項2】
前記判別部は、前記取得画像から前記判別対象画像を切り出したのち、前記判別対象画像の傾きを調整し、その後、前記判別対象画像を拡大若しくは縮小させることを特徴とする、請求項1に記載の紙葉判別装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記判別対象画像を拡大若しくは縮小させる際、前記判別対象画像に含まれる画素について補間処理を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の紙葉判別装置。
【請求項4】
前記補間処理は、バイリニア補間若しくはバイキュービック補間による処理であることを特徴とする、請求項3に記載の紙葉判別装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記取得画像に含まれる前記判別対象画像のサイズが所定の範囲外である場合に、前記判別対象画像の拡大若しくは縮小、並びに前記判別対象画像と前記基準画像との比較を行わないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙葉判別装置。
【請求項6】
搬送路の搬送方向と交差する方向を長手方向として配置されたイメージラインセンサを用いて、前記搬送路上を搬送される判別対象である紙幣を撮像する撮像ステップと、
前記イメージラインセンサから出力された取得画像と予め用意された複数の基準画像とを比較することにより、前記紙幣を判別する判別ステップと
を備え、
前記複数の基準画像それぞれは、互いに寸法が異なる複数の紙幣それぞれに関してサイズが揃えられた画像であり、
前記判別ステップにおいて、前記取得画像から前記紙幣に相当する部分である判別対象画像を切り出し、前記判別対象画像のサイズが前記複数の基準画像のサイズに近づくように前記判別対象画像を拡大若しくは縮小させたのち、拡大後若しくは縮小後の前記判別対象画像と前記複数の基準画像とを比較し、
前記紙幣に新たな金種が加わった場合に、前記金種の前記基準画像を追加可能であることを特徴とする、紙葉判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉判別装置および紙葉判別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紙幣、小切手類その他の紙葉類の種類と真偽を判別する装置に関する技術が記載されている。この装置では、紙葉類についての読み取りデータパターンから紙葉類の外形寸法を算出し、その外径寸法に基づいて紙葉類の種別(紙幣であれば、金種)を決定している。
【0003】
特許文献2には、紙葉類の真偽を鑑別する装置に関する技術が記載されている。この装置では、紙葉類の搬送時の位置ずれによる影響を緩和するために、パターンマッチングを、画素単位ではなく適当な判別エリア単位で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−198837号公報
【特許文献2】特開平10−21442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙葉判別装置として、イメージラインセンサにより得られた画像と、予め準備された基準画像とのマッチングを行うことにより紙葉類の特定や真偽の判別を行うものがある。このような装置では、撮像時における紙葉類の搬送速度が、装置の個体差により装置毎に異なる場合がある。そのような場合、イメージラインセンサから得られる紙葉類の画像の搬送方向の大きさが一定にならない。また、真正の紙葉類であっても様々な理由(例えば、水没後の乾燥により収縮した等)により外形寸法に個体差が生じる。これらの事象に起因して、紙葉判別装置が誤った判別結果を出力するおそれがある。
【0006】
なお、上述した特許文献2では、紙葉類の位置ずれによる影響を緩和する目的で、イメージセンサにより得られた画像と基準画像とを部分的に比較している。しかしながら、このような方式では、比較に用いられる画像の情報量が低下するので、判別精度が抑えられてしまう。或いは、真偽を正確に判別する為に、高精細な画像を別途取得する必要がある。また、ロータリエンコーダを用いて紙葉類の搬送速度を計測し、得られた搬送速度に応じてイメージラインセンサの撮像周期を制御する方式も考えられる。しかしながら、このような方式では、部品を追加する必要があり、製造コストが上昇する一因となる。また、イメージラインセンサにより得られる画像の解像度が、ロータリエンコーダの性能に依存することとなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、判別精度を高めることができる紙葉判別装置および紙葉判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明による紙葉判別装置は、判別対象である紙葉類を搬送する搬送路と、搬送路の搬送方向と交差する方向を長手方向として配置され、搬送路上を搬送される紙葉類を撮像するイメージラインセンサと、予め用意される基準画像を記憶する記憶領域を有し、イメージラインセンサから出力された取得画像と基準画像とを比較することにより、紙葉類を判別する判別部とを備え、判別部は、取得画像から紙葉類に相当する部分である判別対象画像を切り出し、判別対象画像のサイズが基準画像のサイズに近づくように判別対象画像を拡大若しくは縮小させたのち、拡大後若しくは縮小後の判別対象画像と基準画像とを比較し、紙幣に新たな金種が加わった場合に、金種の基準画像を追加可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による紙葉判別方法は、搬送路の搬送方向と交差する方向を長手方向として配置されたイメージラインセンサを用いて、搬送路上を搬送される判別対象である紙葉類を撮像する撮像ステップと、イメージラインセンサから出力された取得画像と予め用意された基準画像とを比較することにより、紙葉類を判別する判別ステップとを備え、判別ステップにおいて、取得画像から紙葉類に相当する部分である判別対象画像を切り出し、判別対象画像のサイズが基準画像のサイズに近づくように判別対象画像を拡大若しくは縮小させたのち、拡大後若しくは縮小後の判別対象画像と基準画像とを比較し、紙幣に新たな金種が加わった場合に、金種の基準画像を追加可能であることを特徴とする。
【0010】
これらの紙葉判別装置および紙葉判別方法では、取得画像から切り出された紙葉類に相当する判別対象画像が拡大若しくは縮小されることにより、該判別対象画像のサイズが基準画像のサイズに近づけられる。これにより、例えば搬送速度のばらつきによって判別対象画像の長さが一定とならない場合や、真正の紙葉類が何らかの理由により伸縮した場合であっても、判別対象画像からそれらの影響を排除し、また、情報量を低下させることなく、判別対象画像と基準画像とを正確に比較して判別精度を高めることができる。また、これらの紙葉判別装置および紙葉判別方法では、ロータリエンコーダといった追加の部品を必要としないので、装置の製造コストを抑えることができ、また、イメージラインセンサにより得られる取得画像の高解像度を維持することができる。
【0011】
また、紙葉判別装置は、判別部が、記憶領域に記憶された複数の基準画像と拡大後若しくは縮小後の判別対象画像とを比較することにより紙葉類を判別し、複数の基準画像それぞれは、互いに寸法が異なる複数の紙葉類それぞれに関してサイズが揃えられた画像であることを特徴としてもよい。同様に、紙葉判別方法は、判別ステップにおいて、複数の基準画像と拡大後若しくは縮小後の判別対象画像とを比較することにより紙葉類を判別し、複数の基準画像それぞれは、互いに寸法が異なる複数の紙葉類それぞれに関してサイズが揃えられた画像であることを特徴としてもよい。従来より、判別対象である紙葉類の寸法が種別により異なる場合、判別対象である紙葉類の寸法に基づいてその種別が判別されている。そのような方法では、例えば取得画像における紙葉類の輪郭を検出した上でその長さや面積を求め、その長さや面積に基づいて判別を行う。しかしながら、紙葉類によっては長さや面積を正確に求めることが難しい場合があり、判別精度が低下してしまうという問題があった。これに対し、上記の紙葉判別装置および紙葉判別方法によれば、互いに寸法が異なる複数の紙葉類に関する基準画像のサイズが揃えられることによって、種別毎の寸法の相違に関わらず、模様等に基づいて判別を行うことができる。これにより、長さや面積を正確に求めることが難しい紙葉類であっても、その種別を精度良く判別することができる。また、紙葉類の長さや面積に基づく判別処理に必要な構成を省くことも可能となる。或いは、紙葉類の長さや面積に基づく判別処理と、上記の紙葉判別装置または紙葉判別方法とを併用することにより、互いに寸法が異なる複数の紙葉類の判別精度を格段に高めることができる。また、上記の紙葉判別装置および紙葉判別方法によれば、各紙葉類に関する判別処理の手順を共通化できるので、判別部の構成(例えばプログラム構成)を簡易化できる。一例としては、識別対象としての紙葉類に新たな種別が加わった場合であっても、その種別の紙葉類の基準画像を追加するだけで済み、プログラムの大規模な変更を不要にすることができる。
【0012】
また、紙葉判別装置は、判別部が、取得画像から判別対象画像を切り出したのち、判別対象画像の傾きを調整し、その後、判別対象画像を拡大若しくは縮小させることを特徴としてもよい。同様に、紙葉判別方法は、判別ステップにおいて、取得画像から判別対象画像を切り出したのち、判別対象画像の傾きを調整し、その後、判別対象画像を拡大若しくは縮小させることを特徴としてもよい。搬送路の横幅が紙葉類の幅よりも広い場合、イメージラインセンサの長手方向と直交する方向に対して紙葉類が傾いた状態で搬送される可能性がある。このような場合、判別対象画像が基準画像に対して傾くと、紙葉類が真正であっても基準画像と一致せず、判別精度が低下してしまう。これに対し、上記のように判別対象画像の傾きを調整することにより、判別対象画像と基準画像とをより正確に比較して、判別精度を更に高めることができる。
【0013】
また、紙葉判別装置は、判別部が、判別対象画像を拡大若しくは縮小させる際、判別対象画像に含まれる画素について補間処理を行うことを特徴としてもよい。同様に、紙葉判別方法は、判別ステップにおいて、判別対象画像を拡大若しくは縮小させる際、判別対象画像に含まれる画素について補間処理を行うことを特徴としてもよい。上記の装置及び方法では、判別対象画像を拡大若しくは縮小させたときに判別対象画像が乱れる(或いは、精細さが低下する)場合がある。そのような場合であっても、判別対象画像に含まれる画素について補間処理を行うことにより、判別対象画像の精細さを維持し、判別対象画像と基準画像とを正確に比較することができる。
【0014】
判別対象画像に含まれる画素について補間処理を行う場合、その補間処理は、バイリニア補間若しくはバイキュービック補間による処理であることが好ましい。バイリニア補間によれば、判別精度がバイキュービック補間よりも劣るが、演算処理を容易にして処理時間を短くすることができる。また、バイキュービック補間によれば、判別精度を高めることができる。
【0015】
また、紙葉判別装置は、判別部が、取得画像に含まれる判別対象画像のサイズが所定の範囲外である場合に、判別対象画像の拡大若しくは縮小、並びに判別対象画像と基準画像との比較を行わないことを特徴としてもよい。同様に、紙葉判別方法は、判別ステップにおいて、取得画像に含まれる判別対象画像のサイズが所定の範囲外である場合に、判別対象画像の拡大若しくは縮小、並びに判別対象画像と基準画像との比較を行わないことを特徴としてもよい。これにより、明らかに判別対象とはならない紙葉類を速やかに判別し、無駄な処理を省くことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による紙葉判別装置および紙葉判別方法によれば、判別精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る紙葉判別装置の一実施形態として、紙幣判別装置の構成を示すブロック図である。
図2】走査入力部の構成例を示す平面図である。
図3】取得画像から判別対象画像を切り出す様子を概念的に示す図である。
図4】判別対象画像切出部によって取得画像から切り出された判別対象画像から照合画像が生成される様子を概念的に示す図である。
図5】種々の紙幣から複数の基準画像が作成される様子を概念的に示す図である。
図6】紙幣判別方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明による紙葉判別装置および紙葉判別方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、以下の説明において、或る方向における画像のサイズとは、当該方向におけるその画像の一端から他端までの画素数を意味する。
【0019】
図1は、本発明に係る紙葉判別装置の一実施形態として、紙幣判別装置1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態の紙幣判別装置1Aは、紙葉類としての紙幣の種別および真偽を判別するための装置である。図1に示されるように、紙幣判別装置1Aは、走査入力部10と、判別部20と、これらの動作を制御する制御部30とを備えている。
【0020】
走査入力部10は、判別対象である紙幣を撮像して取得画像を生成するための構成要素である。ここで、図2は、走査入力部10の構成例を示す平面図である。図2に示されるように、走査入力部10は、搬送路11と、イメージラインセンサ12と、二つの通過検知センサ13と、制御回路14とを有している。
【0021】
搬送路11は、搬送ベルトと、搬送ベルトを所定の搬送方向(図中の矢印A)に移動させる駆動機構とを有しており、搬送ベルト上に載置された紙幣Bを搬送する。イメージラインセンサ12は、搬送路11の搬送方向Aと交差する方向を長手方向として配置され、搬送路11上を搬送される紙幣Bを撮像する。
【0022】
二つの通過検知センサ13は、イメージラインセンサ12に対して搬送方向Aの両側にそれぞれ配置され、該通過検知センサ13上を紙幣Bが通過していることを示す信号Sa,Sbを制御回路14へ出力する。制御回路14は、イメージラインセンサ12の前方に位置する通過検知センサ13から信号Saを受け、該通過検知センサ13上を紙幣Bが通過し始めたことを検知すると、撮像を開始するようにイメージラインセンサ12を制御する。また、制御回路14は、イメージラインセンサ12の後方に位置する通過検知センサ13から信号Sbを受け、該通過検知センサ13上を紙幣Bが通過し終わったことを検知すると、撮像を終了するようにイメージラインセンサ12を制御する。イメージラインセンサ12は、移動中の紙幣Bの表面を一定の周期でもって走査することにより、取得画像D1を生成する。イメージラインセンサ12から出力された取得画像D1は、制御回路14を経て、後述する判別部20へ送られる。また、紙幣Bが通過したことを示す信号が制御部30へ送られる。
【0023】
搬送方向Aに直交する方向における搬送路11の横幅は、同方向における紙幣Bの幅に対して僅かに(例えば+5mm程度)広くなっている。イメージラインセンサ12によって生成される取得画像D1の搬送方向のサイズは、撮像開始から撮像終了までの走査数によって決定される。また、搬送方向に直交する方向における取得画像D1のサイズは、搬送路11の横幅によって決定される。
【0024】
再び図1を参照する。判別部20は、処理部21、記憶部22、および判定部23を有している。処理部21及び判定部23は、例えばCPUといった演算処理装置が所定のプログラムを実行することによって好適に実現される。また、記憶部22は、後述する基準画像格納領域22cを除いて、例えば揮発性のメモリによって好適に実現される。このメモリは、上記の演算処理装置と一体となってチップ化されていてもよく、上記の演算処理装置とは別に設けられていてもよい。
【0025】
処理部21は、走査処理部21a、判別対象画像切出部21b、傾斜算出部21c、判別対象画像回転部21d、及び判別対象画像伸縮部21eを含んで構成されている。また、記憶部22は、取得画像格納領域22a、判別対象画像格納領域22b、基準画像格納領域22c、及び照合画像格納領域22dを含んで構成されている。
【0026】
走査処理部21aは、紙幣Bが通過したことを検知した制御部30からの指示に基づいて、走査入力部10の制御回路14(図2を参照)から取得画像D1を入力し、この取得画像D1を取得画像格納領域22aに記憶させる。判別対象画像切出部21bは、取得画像格納領域22aから取得画像D1を読み出し、取得画像D1から紙幣に相当する部分である判別対象画像を画素単位で切り出す。ここで、図3は、取得画像D1から判別対象画像D2を切り出す様子を概念的に示す図である。取得画像D1には、判別対象画像D2と、判別対象画像D2の周囲の背景画像D3とが含まれている。判別対象画像切出部21bは、判別対象画像D2と背景画像D3との境界線を判定して、判別対象画像D2を切り出す。判別対象画像切出部21bは、切り出した判別対象画像D2を、判別対象画像格納領域22bに記憶させる。
【0027】
傾斜算出部21cは、判別対象画像格納領域22bから判別対象画像D2を読み出し、搬送方向A(図2を参照)に対する判別対象画像D2の傾きを算出する。傾斜算出部21cは、判別対象画像D2の傾きを示す傾斜データD4を、判別対象画像回転部21dに提供する。なお、ここで判別対象画像D2の傾きを算出する理由は、先に述べたとおり搬送路11の横幅が紙幣Bの幅よりも広いので、イメージラインセンサ12の長手方向と直交する方向に対して紙幣Bが傾いた状態で搬送される可能性があるためである。
【0028】
判別対象画像回転部21dは、判別対象画像格納領域22bから判別対象画像D2を読み出し、傾斜算出部21cから提供された傾斜データD4に基づいて、判別対象画像D2の傾きを調整する。例えば、判別対象画像回転部21dは、判別対象画像D2の長辺方向が搬送方向Aと一致するように、判別対象画像D2の傾きを調整する。判別対象画像回転部21dは、傾き調整後の判別対象画像D2を、判別対象画像伸縮部21eに送る。
【0029】
判別対象画像伸縮部21eは、搬送方向及び該搬送方向に直交する方向における判別対象画像D2のサイズが基準画像のサイズに近づくように(好ましくは一致するように)、判別対象画像D2を拡大若しくは縮小させる。また、判別対象画像伸縮部21eは、判別対象画像D2に含まれる画素について補間処理を行う画素補間部21fを含んでもよい。なお、画素の補間処理とは、判別対象画像D2の拡大若しくは縮小によって互いに隣接する画素間のデータが不連続となった箇所について、これらのデータが擬似的に連続するように修正を施す処理である。このような補間処理としては、例えばバイリニア補間若しくはバイキュービック補間による処理が挙げられる。判別対象画像伸縮部21eは、拡大若しくは縮小、及び補間処理が完了した判別対象画像D2を、照合画像D5として照合画像格納領域22dに記憶させる。
【0030】
ここで、図4は、判別対象画像切出部21bによって取得画像D1から切り出された判別対象画像D2から照合画像D5が生成される様子を概念的に示す図である。図4(a)は、例えば搬送路11(図2を参照)における搬送速度が規定の速度よりも速い場合にイメージラインセンサ12によって取得された判別対象画像D2を示している。この判別対象画像D2では、搬送方向(長手方向)のサイズL1が標準サイズLaよりも短くなっている。また、図4(b)は、例えば水没後に乾燥した紙幣Bについてイメージラインセンサ12によって取得された判別対象画像D2を示している。この判別対象画像D2では、長手方向のサイズL1が標準サイズLaよりも短くなっており、且つ、短手方向のサイズL2が標準サイズLbよりも短くなっている。また、図4(c)は、搬送方向に対して角度θだけ傾斜した判別対象画像D2を示している。
【0031】
判別対象画像回転部21dおよび判別対象画像伸縮部21eは、図4(a)〜図4(c)に示されるような判別対象画像D2に基づいて、図4(d)に示される、標準の傾き及び標準サイズLa,Lbを有する照合画像D5を生成する。
【0032】
基準画像格納領域22cは、予め用意される真正紙幣についての基準画像を記憶するための記憶領域であって、記憶部22の他の領域とは異なり、例えば不揮発性のメモリによって好適に実現される。この不揮発性メモリは、処理部21を構成する演算処理装置と一体となってチップ化されていてもよく、該演算処理装置とは別に設けられていてもよい。ここで、図5は、種々の紙幣から基準画像D6〜D8が作成される様子を概念的に示す図である。紙幣には、図5(a)に示される一万円札、図5(b)に示される5千円札、及び図5(c)に示される千円札があり、これらの紙幣に関する基準画像D6〜D8が、基準画像格納領域22cに記憶される。また、基準画像D6〜D8それぞれは、互いに寸法が異なる複数の紙幣それぞれに関して大きさが揃えられた画像である。すなわち、一万円札、5千円札、及び千円札の長手方向のサイズL3は互いに異なっているが、基準画像格納領域22cに記憶される基準画像D6〜D8は、その長手方向のサイズが標準サイズLaと等しくなるように調整された画像である。また、基準画像D6〜D8の短手方向のサイズは、標準サイズLbと等しい。一例としては、標準サイズLaのサイズ(画素数)は160画素であり、標準サイズLbのサイズ(画素数)は80画素である。
【0033】
判定部23は、照合画像格納領域22dから照合画像D5を読み出し、また、基準画像格納領域22cから基準画像D6〜D8を読み出す。そして、判定部23は、照合画像D5と基準画像D6〜D8とを比較することにより、判別対象である紙幣Bが一万円札、5千円札、及び千円札の何れであるかを判別し、また、その真偽を判別する。
【0034】
なお、上述した構成において、判別部20は、取得画像D1に含まれる判別対象画像D2のサイズが所定範囲外である場合には、判別対象画像回転部21dによる判別対象画像D2の傾き調整、判別対象画像伸縮部21eによる判別対象画像D2の拡大若しくは縮小、並びに判定部23による照合画像D5と基準画像D6〜D8との比較を行わなくてもよい。
【0035】
以上の構成を備える本実施形態の紙幣判別装置1Aの動作について、本実施形態による紙幣判別方法と共に説明する。図6は、本実施形態による紙幣判別方法を示すフローチャートである。
【0036】
まず、図2に示された搬送路11上に判別対象である紙幣Bを載置し、搬送路11を搬送方向Aに移動させながら、イメージラインセンサ12を用いて紙幣Bを撮像する(撮像ステップS10)。このとき、イメージラインセンサ12は移動中の紙幣Bの表面を一定の周期でもって走査することにより、取得画像D1を生成する。
【0037】
次に、判別部20が、イメージラインセンサ12から出力された取得画像D1と、予め用意された基準画像D6〜D8とを比較することにより、紙幣Bの種別および真偽を判別する(判別ステップS20)。この判別ステップS20は、以下のステップS21〜S25を含む。
【0038】
ステップS21では、判別対象画像切出部21bが、取得画像D1から紙幣Bに相当する部分である判別対象画像D2を切り出す。次に、ステップS22では、判別部20が、判別対象画像D2のサイズが所定範囲内であるか否かを判定する。サイズが所定範囲内である場合には(ステップS22;Yes)、判別部20は以降のステップS23〜S25を行う。また、サイズが所定範囲外である場合には(ステップS22;No)、判別部20は以降のステップS23〜S25を行わず、処理を終了する。
【0039】
続いて、ステップS23では、傾斜算出部21cにより算出された判別対象画像D2の傾き角に基づいて、判別対象画像回転部21dが判別対象画像D2の傾きを調整する(図4(c)及び図4(d)を参照)。続いて、ステップS24では、判別対象画像伸縮部21eが、判別対象画像D2のサイズを拡大若しくは縮小させることにより、基準画像D6〜D8のサイズに近づける(図4(a),図4(b)及び図4(d)を参照)。なお、このとき、画素補間部21fが、判別対象画像D2に含まれる画素について補間処理を行うとよい。続いて、ステップS25では、判定部23が、判別対象画像伸縮部21eにおいて生成された照合画像D5と基準画像D6〜D8との比較を行うことにより、紙幣Bの種別および真偽を判別する。
【0040】
以上に説明した、本実施形態による紙幣判別装置1Aおよび紙幣判別方法によって得られる効果について説明する。前述したように、搬送路11における紙幣Bの搬送速度が装置毎に異なる場合、イメージラインセンサ12から得られる紙幣Bの画像の搬送方向Aにおける長さが一定にならない。例えば、搬送速度が規定よりも速い場合には、判別対象画像D2の搬送方向のサイズL1が標準サイズLa(例えば160画素)よりも短くなり、搬送速度が規定よりも遅い場合には該サイズL1が標準サイズLaよりも長くなる。また、真正の紙幣Bであっても様々な理由により外形寸法に個体差が生じることがある。例えば、紙幣Bを誤って水没させた後に乾燥させたような場合、紙幣Bが収縮し、本来の外形寸法よりも小さくなっている可能性がある。このような場合、判別対象画像D2の搬送方向のサイズL1が標準サイズLaより短くなり、搬送方向と直交する方向のサイズL2は標準サイズLb(例えば80画素)よりも短くなる。従って、これらの状況下において判別処理を行うと、いずれも真正の紙幣であるにも関わらず、誤った判別結果が出力されてしまうおそれがある。
【0041】
このような問題点に対し、本実施形態では、取得画像D1から切り出された紙幣Bに相当する判別対象画像D2が拡大若しくは縮小されることにより、該判別対象画像D2のサイズが基準画像D6〜D8のサイズに近づけられる。これにより、例えば搬送速度のばらつきによって判別対象画像D2の長さが一定とならない場合や、真正の紙幣Bが何らかの理由により伸縮した場合であっても、判別対象画像D2からそれらの影響を排除し、また、情報量を低下させることなく、判別対象画像D2と基準画像D6〜D8とを正確に比較して判別精度を高めることができる。また、ロータリエンコーダといった追加の部品を必要としないので、装置の製造コストを抑えることができ、また、イメージラインセンサ12により得られる取得画像D1の高解像度を維持することができる。
【0042】
また、本実施形態のように、判別ステップS20において、判別部20が、基準画像格納領域22cに記憶された複数の基準画像D6〜D8と、拡大後若しくは縮小後の判別対象画像D2(すなわち照合画像D5)とを比較することにより紙幣Bを判別する場合、複数の基準画像D6〜D8それぞれは、互いに寸法が異なる複数の紙幣Bそれぞれに関して大きさが揃えられた画像であることが好ましい。従来より、判別対象である紙幣Bの寸法が金種により異なる場合、判別対象である紙幣Bの寸法に基づいてその金種が判別されている。そのような方法では、例えば取得画像における紙幣Bの輪郭を検出した上でその長さや面積を求め、その長さや面積に基づいて判別を行う。しかしながら、例えば外国の紙幣などでは長さや面積を正確に求めることが難しい場合があり、判別精度が低下してしまうという問題があった。これに対し、本実施形態によれば、互いに寸法が異なる複数の紙幣Bに関する基準画像D6〜D8のサイズが揃えられることによって、金種毎の寸法の相違に関わらず、模様等に基づいて判別を行うことができる。これにより、長さや面積を正確に求めることが難しい紙幣であっても、その金種を精度良く判別することができる。また、紙幣の長さや面積に基づく判別処理に必要な構成を省くことも可能となる。或いは、紙幣の長さや面積に基づく判別処理と、本実施形態の紙幣判別装置1Aまたは紙幣判別方法とを併用することにより、互いに寸法が異なる複数の紙幣の判別精度を格段に高めることができる。また、上記の紙幣判別装置1Aおよび紙幣判別方法によれば、各紙幣に関する判別処理の手順を共通化できるので、判別部20の構成(例えばプログラム構成)を簡易化できる。一例としては、識別対象としての紙幣に新たな金種が加わった場合であっても、その金種の基準画像を追加するだけで済み、プログラムの大規模な変更を不要にすることができる。
【0043】
また、本実施形態のように、判別ステップS20において、判別部20は、取得画像D1から判別対象画像D2を切り出したのち、判別対象画像D2の傾きを調整し、その後、判別対象画像D2を拡大若しくは縮小させることが好ましい。前述したように、搬送路11の横幅が紙幣Bの幅よりも広い場合、イメージラインセンサ12の長手方向と直交する方向に対して紙幣Bが傾いた状態で搬送される可能性がある。このような場合、判別対象画像D2が基準画像D6〜D8に対して傾くと、紙幣Bが真正であっても基準画像D6〜D8と一致せず、判別精度が低下してしまう。これに対し、判別対象画像D2の傾きを調整することにより、判別対象画像D2と基準画像D6〜D8とをより正確に比較して、判別精度を更に高めることができる。
【0044】
また、本実施形態のように、判別ステップS20において、判別部20は、判別対象画像D2を拡大若しくは縮小させる際、判別対象画像D2に含まれる画素について補間処理を行うことが好ましい。判別対象画像D2を拡大若しくは縮小させたときに判別対象画像D2が乱れる(或いは、精細さが低下する)ような場合であっても、判別対象画像D2に含まれる画素について補間処理を行うことにより、判別対象画像D2の精細さを維持し、判別対象画像D2と基準画像D6〜D8とを正確に比較することができる。
【0045】
なお、前述したように、判別対象画像D2に含まれる画素について補間処理を行う場合、その補間処理は、バイリニア補間若しくはバイキュービック補間による処理であることが好ましい。バイリニア補間によれば、判別精度がバイキュービック補間よりも劣るが、演算処理を容易にして処理時間を短くすることができる。また、バイキュービック補間によれば、判別精度を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態のように、判別ステップS20において、取得画像D1に含まれる判別対象画像D2のサイズが所定の範囲外である場合、判別部20は、判別対象画像D2の拡大若しくは縮小、並びに判別対象画像D2と基準画像D6〜D8との比較を行わないことが好ましい。これにより、明らかに判別対象とはならない紙幣Bを速やかに判別し、無駄な処理を省くことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、拡大前若しくは縮小前の判別対象画像D2のサイズは何ら制約を受けない。例えば、判別対象画像D2のサイズL1,L2が標準サイズLa,Lbの2倍、4倍、或いは0.5倍であってもよく、これらの場合でも、判別対象画像D2のサイズが標準サイズLa,Lbに近づくように(好ましくは一致するように)、拡大若しくは縮小すればよい。判別対象画像D2のサイズが標準サイズよりも大きい場合には、判別のための情報量を十分に確保することができる。また、判別対象画像D2のサイズが標準サイズよりも小さい場合には、判別のための処理時間を短くすることができる。
【0048】
本発明による紙葉判別装置および紙葉判別方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では紙葉類の例として紙幣を示したが、本発明において判別対象となる紙葉類は紙幣に限られない。
【符号の説明】
【0049】
1A…紙幣判別装置、10…走査入力部、11…搬送路、12…イメージラインセンサ、13…通過検知センサ、14…制御回路、20…判別部、21…処理部、21a…走査処理部、21b…判別対象画像切出部、21c…傾斜算出部、21d…判別対象画像回転部、21e…判別対象画像伸縮部、21f…画素補間部、22…記憶部、22a…取得画像格納領域、22b…判別対象画像格納領域、22c…基準画像格納領域、22d…照合画像格納領域、23…判定部、30…制御部、A…搬送方向、B…紙幣、D1…取得画像、D2…判別対象画像、D3…背景画像、D4…傾斜データ、D5…照合画像、D6〜D8…基準画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6