特許第6282042号(P6282042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282042
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】測定データ記録装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   G01D9/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-78532(P2013-78532)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-202587(P2014-202587A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】平岡 佑基
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】船原 一平
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−038622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00−9/42
G01D 15/00−15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定ユニットにデータ取得部、記録処理部、及び無線通信部を備え、本体にデータメモリ、出力処理部、及び無線通信部を備える、測定データ記録装置であって、
所定サンプリング周期で測定データを前記データ取得部が順次取得し、前記記録処理部が記録すると共に、所定条件に基づく一部の前記測定データに対し測定時刻を付して記録し、
測定ユニットから本体に、前記各々の無線通信部を介して、複数の前記測定データを送信し、及び前記複数の測定データの測定時刻を送信して、前記データメモリに記録し、
前記データメモリに記録された前記複数の測定データを読み込んで、前記一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、測定時刻の付されていない前記測定データの測定時刻を補完して、前記複数の測定データを出力する出力処理部を、備えることを特徴とする測定データ記録装置。
【請求項2】
前記記録処理部が、前記所定条件として、前記測定データに対し定期的に測定時刻を付すものであることを特徴とする請求項1に記載の測定データ記録装置。
【請求項3】
前記記録処理部が、前記所定条件として、前記複数の測定データのうちの1つにだけ測定時刻を付すものであることを特徴とする請求項1に記載の測定データ記録装置。
【請求項4】
前記所定条件を設定するための設定部を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか記載の測定データ記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定データを時系列に沿って順次記録する測定データ記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
波形記録計やデータロガーなど、測定データを記録する測定データ記録装置が知られている。このような装置の一例として、特許文献1には、測定時刻に関する情報と共に測定データが格納されるデータ保持部(データメモリ)を備える波形記録装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−37803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定データ記録装置は、時系列に沿った数多くの測定データ、及び各測定データに対する測定時刻を記録する必要がある。一方、測定データ及び測定時刻を記録するデータメモリには記録容量に制限がある。測定データの記録中にデータメモリの容量が一杯になってしまうと、それ以上記録することができなくなってしまう。そのため、データメモリに、より多くの測定データを記録したいという課題がある。
【0005】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、測定データの記録可能数を多くすることができる測定データ記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された測定データ記録装置は、測定ユニットにデータ取得部、記録処理部、及び無線通信部を備え、本体にデータメモリ、出力処理部、及び無線通信部を備える、測定データ記録装置であって、所定サンプリング周期で測定データを前記データ取得部が順次取得し、前記記録処理部が記録すると共に、所定条件に基づく一部の前記測定データに対し測定時刻を付して記録し、測定ユニットから本体に、前記各々の無線通信部を介して、複数の前記測定データを送信し、及び前記複数の測定データの測定時刻を送信して、前記データメモリに記録し、前記データメモリに記録された前記複数の測定データを読み込んで、前記一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、測定時刻の付されていない前記測定データの測定時刻を補完して、前記複数の測定データを出力する出力処理部を、備えることを特徴とする。
【0007】
求項に記載された測定データ記録装置は、請求項1に記載のものであり、前記記録処理部が、前記所定条件として、前記測定データに対し定期的に測定時刻を付すものであることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載された測定データ記録装置は、請求項1に記載のものであり、前記記録処理部が、前記所定条件として、前記複数の測定データのうちの1つにだけ測定時刻を付すものであることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載された測定データ記録装置は、請求項1からのいずれかに記載のものであり、前記所定条件を設定するための設定部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の測定データ記録装置によれば、記録処理部が一部の測定データに対してだけ測定時刻を付して記録することにより、全ての測定データに対し測定時刻を記録する場合よりも、データメモリに記録するデータ量を少なくすることができるため、測定データの記録可能数を多くすることができる。測定時刻を記録しない測定データについては、出力処理部が測定時刻を補完して出力するので、全ての測定データの測定時刻を得ることができ、測定精度等は従来の装置と同等である。
【0013】
記録処理部が測定データに対し、定期的に測定時刻を付して記録する場合、万が一データの記録抜けが生じたとしてもその影響を殆ど受けることなく、測定時刻を正確に補完することができる。
【0014】
記録処理部が、複数の測定データのうちの1つにだけ測定時刻を付すものである場合、データメモリに記録するデータ量を最小限にすることができる。
【0015】
所定条件を設定するための設定部を備える場合、測定者によって何れの測定データに対して測定時刻を付して記録するか設定できるので、万が一のデータの記録抜け等の発生に対する記録の正確さを任意に設定することができる。
【0016】
測定ユニットと本体とが各々無線通信部を備えて、測定ユニットから本体に、複数の測定データ、及び、一部の測定データに付された測定時刻を無線通信で送信してデータメモリに記録する場合、データメモリに記録するデータ量を少なくすることができると共に、全ての測定データに対し測定時刻を付して測定ユニットから本体に送信する場合よりも、無線通信のデータ通信量を低減することができる。
【0017】
測定ユニットと本体とが各々無線通信部を備え、測定ユニットから本体に、複数の測定データ、及び複数の測定データの全てに測定時刻を付して送信し、本体側で測定時刻を間引いて一部の測定データに対してだけ測定時刻を付して記録する場合、無線通信のデータ通信量は減らないが、冗長性が高くなるので測定時刻に対する通信エラーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用する測定データ記録装置の構成を示すブロック図である。
図2図2(a)は、全てに測定時刻を付した測定データを示す概要図であり、図2(b)は、一部に測定時刻を付した測定データを示す概要図である。
図3】本発明を適用する他の測定データ記録装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明を適用する他の測定データ記録装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1に、本発明を適用する測定データ記録装置の一例を示す。測定データ記録装置1は、データ取得部2、RTC(リアルタイムクロック)3、記録処理部5、データメモリ6、出力処理部7、設定条件メモリ8、表示部11、外部I/F(インタフェース)部12、メディアスロット13、及び設定部14を備えている。
【0021】
この例では、記録処理部5及び出力処理部7が、CPU(中央演算処理装置)10によって構成されている例を示している。CPU10は、図示しないプログラム記憶部に記憶されたプログラムに従って動作して、記録処理部5及び出力処理部7として動作すると共に、測定データ記録装置1全体の動きを統括的に制御する。
【0022】
データ取得部2は、測定データを順次取得するものである。データ取得部2には、例えば温度センサ、電流センサ、電圧センサ、測定プローブなどの測定センサが接続されて使用される。データ取得部2は、一例として測定センサから出力されるアナログの測定値を、内蔵するアナログ/デジタル変換器(図示せず)でデジタルの測定データに変換することで取得して、順次、記録処理部5に出力する。データ取得部2が測定データを取得する測定タイミングは、一例として記録処理部5により制御される。CPU10は、測定者に設定された、又は測定条件で決まる所定のサンプリング周期で、データ取得部2に測定データを取得させる。
【0023】
RTC(リアルタイムクロック)3は、現在時刻を取得するための時計であり、CPU10(記録処理部5)に接続されている。データ取得部2にRTC3を接続して、データ取得部2が測定データの全てに測定時刻を付して、記録処理部5に出力するようにしてもよい。
【0024】
データメモリ6は、測定データを記録するためのものであり、CPU10(記録処理部5及び出力処理部7)に接続されている。データメモリ6は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、例えばフラッシュメモリやバックアップ電源を付したRAM(ランダムアクセスメモリ)などの半導体メモリである。データメモリ6としてハードディスクを用いてもよい。
【0025】
記録処理部5は、データメモリ6に、データ取得部2が順次取得する複数の測定データを記録すると共に、所定条件に基づく一部の測定データに対し、測定時刻を付して記録するものである。記録処理部5には、データ取得部2、RTC3、データメモリ6、設定条件メモリ8、及び設定部14が接続されている。
【0026】
出力処理部7は、データメモリ6に記録された測定データを読み込んで、一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、測定時刻の付されていない測定データの測定時刻を補完して、測定データを出力するものである。出力処理部7には、データメモリ6、設定条件メモリ8、表示部11、外部I/F部12、メディアスロット13、及び設定部14が接続されている。
【0027】
設定条件メモリ8は、測定時刻を付す一部の測定データを決定するための所定条件を記録するものである。設定条件メモリ8には、他にも測定データの取得を行うサンプリング周期や測定レンジなどの測定条件や、表示部11に測定データや測定時刻を表示する表示条件等も記録される。設定条件メモリ8には、書き換え可能な不揮発性メモリが用いられる。データメモリ6及び設定条件メモリ8として、記録領域を適宜分けて使用することで同じメモリ(半導体メモリ等)を共用して用いてもよいし、別個のメモリを用いてもよい。
【0028】
表示部11は、CPU10に制御されて、出力処理部7の出力する測定データ及び測定時刻を、グラフや数値で表示するものであり、例えば液晶パネルである。外部I/F部12は、CPU10に制御されて、出力処理部7の出力する測定データ及び測定時刻を外部に出力可能なものであり、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットなどの外部通信回線に接続可能なインタフェース回路である。メディアスロット13は、CPU10に制御されて、出力処理部7の出力する測定データ及び測定時刻を、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリや、CD(コンパクトディスク)−R(レコーダブル)/RW(リライタブル)などの外部記録媒体に記録するための書込装置である。
【0029】
設定部14は、測定者の操作により、前述した所定条件や測定条件、表示条件など、測定データ記録装置1の各種動作条件の設定を行うためのものである。設定部14は、測定データの記録開始や記録終了などの装置の操作を行うものとしても使用される。設定部14は、例えば、カーソルキーや各種操作キー、キーボード、マウスなどで構成されている。設定部14及び表示部11として、タッチパネルを用いてもよい。また、設定部14として、外部I/F部12や、メディアスロット13を用いて、外部のコンピュータや、メディアスロット13に装着した外部記録媒体から動作条件を読み込むようにしてもよい。外部I/F部12に接続したコンピュータから装置の操作を行うようにしてもよい。
【0030】
次に、測定データ記録装置1の動作について説明する。
【0031】
測定者は、測定データの記録を開始する前に、設定部14を操作して、所定条件等の測定データ記録装置1の各種動作条件を予め設定する。CPU10は、設定部14の操作で設定された動作条件を、設定条件メモリ8に記録する。
【0032】
記録開始時には、一例として、測定者が、設定部14の例えば記録開始キー(図示せず)を操作して、測定データ記録装置1に記録開始の指示を行う。設定部14の操作で記録開始を指示されると、記録処理部5は、設定条件メモリ8に記録されている所定サンプリング周期等の測定条件で、データ取得部2に測定データを順次取得させる。記録処理部5は、データ取得部2が順次出力する測定データをデータメモリ6に記録する。また、記録処理部5は、設定条件メモリ8に記録された所定条件に基づき、一部の測定データにRTC3から取得した測定時刻を付して、データメモリ6に記録する。
【0033】
所定条件は、例えば、測定データを所定サンプル数(10サンプル等の複数サンプル)取得するたびに測定時刻を付したり、サンプリング周期よりも長い所定の時間間隔(例えば0.001秒〜1時間等)経過するたびに測定時刻を付したり、記録開始時に最初に取得した測定データに1つだけ測定時刻を付したり、記録開始時及び記録終了時の2つの測定データに対し測定時刻を付したりできるように、種々の条件で設定できるようにすることが好ましいが、いずれか1つの条件に固定されていてもよい。所定条件として測定時刻を所定サンプル数ごとに記録するようにした場合、例えば10サンプルごとに記録するように数を固定値にしてもよいが、例えば2〜10000のように所定サンプル数を任意の数で設定できるようにすることがより好ましい。また、例えば所定サンプル数として1を設定可能にしたり、全測定データという条件を選択できるようにしたりすることで、従来の測定データ記録装置と同様に、全ての測定データに対して測定時刻を記録できるようにしてもよい。所定期間の経過ごとに測定時刻を付す場合、所定期間をサンプリング周期の公倍数に設定することが好ましい。設定された所定期間がサンプリング周期の公倍数に合わないときは、一例として、所定期間を自動的にサンプリング周期の公倍数に合わせて修正するようにしたり、設定された所定期間を用いて、所定期間が経過した直後の測定データに測定時刻を付したりする。
【0034】
所定条件は、サンプリング周期が一定であるので、複数の測定データのうちの少なくとも1つの測定データに測定時刻が付されるように設定されていればよいが、例えばバックアップ電源を有しないような簡易な装置では商用電源の短時間の停電などでデータ取得部2がデータ取得抜けを起こす場合が有り得るため、所定サンプル数ごと、又は所定期間の経過ごとのように、定期的に測定時刻を付すようにすることが好ましい。
【0035】
図2に、具体例を示す。図2(a)は、1μsのサンプリング周期で、データ取得部2が測定データを取得して測定時刻と共に出力する例である。測定時刻の最上欄に記載した「12_0423_150225_622548」は、西暦2012年4月23日15時2分25.622548秒であることを表している。同図には測定時刻を記載しているが、記録処理部5がデータ取得部2に測定タイミングを指示していることから、RTC3から時刻情報を取得して測定時刻を判別可能なので、データ取得部2は測定データだけを記録処理部5に出力してもよい。記録処理部5が測定データに対する測定時刻を判別不能であれば、データ取得部2は、RTC3から、又は記録処理部5を介して取得した測定時刻を、同図のように全ての測定データに付して出力する。
【0036】
図2(b)は、記録処理部5が、所定条件として10サンプルごとに、測定データに対して測定時刻を付して、データメモリ6に記録する例である。同図に示すように、記録開始時(図の最上欄)の測定時刻を測定データに付してデータメモリ6に記録し、以降は所定サンプル数ごとに測定時刻を付して記録することが好ましい。
【0037】
従来の測定データ記録装置では、図2(a)に示す測定データ及び測定時刻を全てデータメモリに記録していた。本発明では、図2(b)に示すように測定データ及び一部の測定データに対する測定時刻を記録する。図2(a)と図2(b)とを比較すると明らかなように、図2(b)のように時刻情報を間引いて記録することで、データメモリ6に記録するデータ量を大幅に少なくすることができる。従って、測定データの記録可能な数を多くすることができる。
【0038】
出力処理部7は、データメモリ6に記録された複数の測定データを読み込んで、サンプリング周期が一定であることから、一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、測定時刻の付されていない測定データの測定時刻を補完して、測定データと対応付けて出力する。
【0039】
出力処理部7が測定時刻を補完する方法には、種々の方法がある。出力処理部7は、例えば、設定条件メモリ8に記録されているサンプリング周期を読み込んで、データメモリ6に記録されている一部の測定データの測定時刻に対して、サンプリング周期を順番に加算(又は減算)していくことで、各測定データに対する測定時刻を補完してもよい。このようにサンプリング周期を用いて測定時刻を補完する方法は、演算が簡便であることから好ましく使用することができる。又、例えば図2(b)のように所定サンプル数ごとに測定時刻を記録している場合、記録されている直近の2つの測定時刻の間を、所定サンプル数に応じて等分して測定時刻を補完してもよい。データメモリ6に測定時刻が少なくとも1つ記録されていれば、サンプリング周期は一定であるので、残りの全ての測定データの測定時刻を算出することができる。測定中にサンプリング周期を変える場合、サンプリング周期を変えた箇所の測定データの測定時刻及び変更したサンプリング周期を記録しておくことで、各測定データに対する測定時刻を算出できる。
【0040】
出力処理部7は、例えば、データメモリ6に図2(b)に示す測定データ及び一部の測定時刻が記録されている場合、各測定データの測定時刻を補完することで、図2(a)に示す各測定データ及び各測定データの測定時刻を得て出力する。
【0041】
このように、出力処理部7から各測定データ及び各測定データに対する測定時刻が出力されるので、表示部11に測定データや測定時刻をグラフや数値で表示することができる。グラフは、例えば測定時刻を横軸で表し、測定データの値を縦軸で表した波形グラフである。横軸は、測定時刻を表示した絶対時間で表示してもよく、測定開始時刻、又は測定者によって例えばカーソルで選択された測定時刻をゼロとする相対時間で表示してもよい。
【0042】
出力処理部7は、表示部11に測定データの一部をグラフで表示する場合、表示対象となる測定データに関してだけ、測定時刻を補完して出力するようにしてもよい。表示部11に表示した測定データのグラフに、マーカー(カーソル)を表示する場合、マーカーの位置の測定時刻を出力処理部7が再度算出して、数値で表示するようにしてもよい。測定者が設定部14を操作して、マーカーを移動させる場合、マーカーの位置に応じた測定時刻を出力処理部7が逐次算出(補完)して求め、表示部11に表示させることが好ましい。グラフ上にマーカーを複数表示させて、複数のマーカー間の時間差を算出するように演算処理を行う場合、出力処理部7が各マーカーの位置の測定時刻を算出してから、各マーカーの時間差等を演算処理して、数値で表示してもよい。
【0043】
出力処理部7から各測定データ及び各測定データに対する測定時刻が出力されるので、外部I/F部12から出力したり、メディアスロット13で外部記録媒体に記録したりすることができる。測定データの外部出力装置として、表示部11、外部I/F部12、及びメディアスロット13が出力処理部7に接続されている例を示したが、外部出力装置はプリンターであってもよく、備える装置の数や種類は任意である。
【0044】
データメモリ6に記録する測定データは間引かないため、記録精度は、従来の測定データ記録装置と同等である。測定時刻を間引いて記録することで、データメモリ6に記録するデータ量が減るだけでなく、測定時刻を間引くことでCPU10とデータメモリ6との間のデータ通信量が減るため、消費電力を少なくできるという効果もある。データメモリ6が保持するデータ量も減るので、データメモリ6自体の消費電力も少なくできる。さらに、データメモリ6にはデータの書き換え可能回数に制限があるが、測定時刻を間引いて記録するため、データ量が減って書き換え回数が減るので、データメモリ6の寿命を長くすることができる。
【0045】
なお、データ取得部2から出力される測定データをリアルタイムに表示部11に表示させる場合、記録処理部5は、表示部11には測定時刻を間引かずに、例えば図2(a)のように出力された測定データをそのまま出力して表示するようにしてもよい。つまり、測定時にリアルタイムに測定データを表示する場合には、記録処理部5は、測定データの記録用にデータメモリ6に測定時刻を間引いた測定データを出力すると共に、表示用として、全ての測定データに測定時刻を付した状態で、表示部11に測定データを直接出力するようにしてもよい。このようにすると、リアルタイム表示のために測定時刻を補完しなくてもよいので、リアルタイム表示の処理負担を低減することができる。
【0046】
図3に、本発明を適用する他の測定データ記録装置の例を示す。なお、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
同図に示す測定データ記録装置1aは、測定ユニット21と本体22とを備えている。測定ユニット21と本体22とは互いに離れた場所に設置されて使用され、測定データは無線通信で送受される。
【0048】
測定ユニット21は、データ取得部2、RTC3、記録処理部5、設定条件メモリ8a、及び無線通信部25を備えている。この例では、記録処理部5は、測定ユニット21の動作を統括的に制御するCPU10aによって構成されている例を示している。
【0049】
本体22は、データメモリ6、出力処理部7、設定条件メモリ8b、表示部11、外部I/F部12、メディアスロット13、設定部14、及び無線通信部26を備えている。この例では、出力処理部7は、本体22の動作を統括的に制御するCPU10bによって構成されている例を示している。
【0050】
測定ユニット21の無線通信部25と、本体22の無線通信部26とは、互いに無線通信が可能なものである。無線通信部25,26により、測定ユニット21から本体22に測定データを送信したり、本体22から測定ユニット21に動作条件を送信したりすることが可能になっている。無線通信部25,26は、各々、無線送信回路及び無線受信回路(不図示)を備えると共にアンテナを備えている。無線通信部25,26には、公知のものを用いることができる。無線信号は、電波、赤外線、又は光のいずれであってもよい。10m〜数100m程度の近距離通信を行う場合、無線通信部25,26として、Bluetooth(登録商標)規格に準拠したものを用いると、小型化、入手性の観点や、免許が不要であることから、特に好ましい。
【0051】
次に、測定データ記録装置1aの動作について説明する。
【0052】
測定者は、測定データの記録を開始する前に、本体22の設定部14を操作して、前述した所定条件などの測定データ記録装置1aの各種動作条件の設定を行う。CPU10bは、設定された動作条件を、設定条件メモリ8bに記録すると共に、所定条件や測定条件等の測定ユニット21に関連する動作条件を無線通信部26から測定ユニット21に送信する。測定ユニット21は、無線通信部25によって、本体22から送信された動作条件を受信する。測定ユニット21のCPU10aは、無線通信部25が受信した動作条件を、設定条件メモリ8aに記録する。
【0053】
記録開始時には、一例として、測定者が、設定部14の例えば記録開始キーを操作して、測定データ記録装置1aに記録開始の指示を行う。設定部14の操作で測定者に記録開始を指示されると、CPU10bは、無線通信部26から記録開始信号を測定ユニット21に送信させる。測定ユニット21の記録処理部5は、無線通信部25によって記録開始信号を受信したときに、設定条件メモリ8aに記録されているサンプリング周期等の測定条件で、データ取得部2に測定データを順次取得させる。記録処理部5は、データ取得部2が順次出力する測定データを、無線通信部25から本体22に送信する。このとき、記録処理部5は、設定条件メモリ8aに記録されている所定条件に基づいて、例えば図2(b)に示すように、一部の測定データに対して測定時刻を付して送信させる。測定時刻は、測定時に、データ取得部2又は記録処理部5がRTC3から取得する。所定条件については、既に説明したとおりである。
【0054】
測定ユニット21から本体22に送信する測定データのデータ量は、一部の測定データに測定時刻が付されているだけであるので、全ての測定データに測定時刻を付す場合よりも、無線通信のデータ量を大幅に少なくすることができる。測定時刻は、例えば無線通信環境の悪化などでデータ抜けが生じる可能性もあることから、所定サンプルごと又は所定期間の経過ごとのように、定期的に付すことが好ましい。
【0055】
本体22は、無線通信部26によって、測定ユニット21が送信した測定データを受信する。CPU10bは、無線通信部26の受信した測定データをデータメモリ6に記録する。出力処理部7は、データメモリ6に記録された測定データを読み込んで、一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、既に説明したようにサンプリング周期や所定条件を用いて、測定時刻の付されていない測定データに対して測定時刻を補完して、測定データを出力する。
【0056】
表示部11は、出力処理部7の出力した測定データを表示する。又、設定部14の操作により、出力処理部7の出力した測定データを外部I/F部12から出力したり、メディアスロット13で外部記録媒体に記録したりする。
【0057】
データ取得部2は、複数の測定センサを接続可能、つまり複数の測定チャネルで測定可能に構成されていてもよい。また、測定データ記録装置1aは、1つの本体22に対し、複数の測定ユニット21を備えていてもよい。測定チャネル数が多くなるほど、測定時刻を間引くことによる記録データ容量やデータ通信量の低減効果が一層大きくなる。
【0058】
図4に、本発明を適用するさらに他の測定データ記録装置の例を示す。なお、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0059】
同図に示す測定データ記録装置1bは、測定ユニット21bと本体22bとを備えている。測定ユニット21bと本体22bとは互いに離れた場所に設置されて使用され、測定データは無線通信で送受される。
【0060】
測定ユニット21bは、データ取得部2、RTC3、測定ユニット制御部31、設定条件メモリ8a、及び無線通信部25を備えている。測定ユニット制御部31は、測定ユニット21bの動作を統括的に制御するCPU10cによって構成されている例を示している。
【0061】
本体22は、記録処理部5、データメモリ6、出力処理部7、設定条件メモリ8b、表示部11、外部I/F部12、メディアスロット13、設定部14、及び無線通信部26を備えている。記録処理部5及び出力処理部7は、本体22の動作を統括的に制御するCPU10dによって構成されている。
【0062】
次に、測定データ記録装置1bの動作について説明する。
【0063】
測定者は、測定データの記録を開始する前に、本体22bの設定部14を操作して、測定データ記録装置1bの各種動作条件の設定を行う。CPU10dは、設定された所定条件などの動作条件を設定条件メモリ8bに記録すると共に、測定条件等の測定ユニット21に関連する動作条件を無線通信部26から測定ユニット21bに送信する。測定ユニット21は、無線通信部25によって、本体22bから送信された動作条件を受信する。測定ユニット21bのCPU10cは、無線通信部25が受信した動作条件を、設定条件メモリ8aに記録する。
【0064】
設定部14の操作で測定者に記録開始を指示されると、CPU10dは、無線通信部26から記録開始信号を測定ユニット21に送信させる。測定ユニット21の測定ユニット制御部31は、無線通信部25によって記録開始信号を受信したときに、設定条件メモリ8aに記録されているサンプリング周期等の測定条件で、データ取得部2に測定データを順次取得させる。測定ユニット制御部31は、データ取得部2が順次出力する測定データを、無線通信部25から本体22に送信する。このとき測定ユニット制御部31は、測定した全ての測定データに対して測定時刻を付して無線通信部25から送信させる。測定時刻は、測定時にRTC3から取得する。
【0065】
本体22bは、無線通信部26によって、測定ユニット21bが送信した測定データを受信する。受信した全ての測定データに対して測定時刻が付されているが、記録処理部5は、設定条件メモリ8に記録された所定条件に基づき、一部の測定データにだけ測定時刻を付して、測定データをデータメモリ6に順次記録する。所定条件については、既に説明したとおりである。
【0066】
出力処理部7は、データメモリ6に記録された測定データを読み込んで、一部の測定データに付された測定時刻に基づいて、測定時刻の付されていない測定データに対して測定時刻を補完して、測定データを出力する。補完については、既に説明したとおりである。また、表示部11、外部I/F部12、メディアスロット13の動作は既に説明した通りである。
【符号の説明】
【0067】
1・1a・1bは測定データ記録装置、2はデータ取得部、3はRTC、5は記録処理部、6はデータメモリ、7は出力処理部、8・8a・8bは設定条件メモリ、10・10a・10b・10c・10dはCPU、11は表示部、12は外部I/F部、13はメディアスロット、14は設定部、21・21bは測定ユニット、22・22bは本体、25は測定ユニットの無線通信部、26は本体の無線通信部、31は測定ユニット制御部である。
図1
図2
図3
図4